各種電子機器の小型化、高機能化にともなって、電子部品の高実装密度の要求は高まっている。これに対応して、配線基板も、絶縁体層と配線層とを交互に積層した構成の多層配線基板が広く用いられている。多層配線基板は、配線層を多層化することにより高密度化や高機能化の要求に対応するもので、配線パターン層間の接続をビア接続が行われている。
図24は従来の多層配線基板の断面構造の1例を示す断面図である。この多層配線基板901は、5層にわたって形成された配線回路がビア接続されたものである。第1の配線回路901、第2の配線回路902、第3の配線回路903、第4の配線回路904、第5の配線回路905はそれぞれ導体層をパターニングして形成されている。これら各層の配線回路はそれぞれ絶縁層906により絶縁されている。
図24に例示したような構造の多層配線基板の一般的な製造方法を説明する。
まず絶縁層の両面に銅箔などの導体層を接着した両面積層板の層間の接続を行うために、両面積層板の電気的に接続すべき部分にスルーホール907を形成する。そして、このスルーホール907の内壁面に化学メッキを施し、さらに電気メッキ処理を施して、スルーホール内壁面の導体層907bを厚くして層間接続の信頼性を高める。
次いで、両面の導体層を、例えばフォトエッチング法などにより所定の回路にパターニングする。
ついで、パターニングした導体層上に、例えばプリプレグ層などの絶縁層を積層し、さらに銅箔などの導体層を積層して、加熱、加圧により一体化する。そしてスルーホールの形成から、回路のパターニングまでの工程を繰り返すことにより多層化を行う。
このような配線層の層間接続をビアホールによって行っている多層配線基板は、高密度実装への対応が困難であるという問題がある。
例えば、一般的にいって、スルーホールを設けた領域には配線を形成できないし、電子部品を実装することもできないので、配線密度および実装密度の向上が制約される。また、近年では電子部品の高密度実装に伴って配線基板の配線も高密度化している。このような配線の微細化に対応するために、スルーホールの径を小さくしようとすると、層間接続の信頼性の確保が困難になる。
また、スルーホールによる配線層間の接続の形成は、スルーホール形成工程や、メッキ工程などを伴うため冗長であり、生産性の観点からも問題がある。
例えばスルーホールを形成する工程は、ドリルなどによって1個ごとに穴明けするので、穴明け作業に多くの時間を要する。さらに、スルーホールをあけた後は、バリ取りのための研磨工程を必要とする。また、スルーホールの形成位置には高い精度が要求され、かつスルーホール内壁面のメッキ付着性等を考慮に入れる必要がある。このため、スルーホール形成の精度、形成条件の管理なども煩雑である。
加えて、スルーホールを介して複数の配線層間の電気的接続を形成するメッキ工程では、薬液の濃度管理や温度管理などの工程管理も煩雑である。さらにスルーホールを形成する装置、メッキに必要な設備は大掛かりなものとなる。
このような、スルーホールによる多層配線基板の層間接続は、配線基板(PWB)の生産性を低下させており、低コスト化などへの要求に対応することが困難である。
多層配線基板の配線層間の電気的な接続を簡略化するために、配線層間の接続を導電性バンプにより行う方法も提案されている。この方法は、配線回路に形成された層間接続部であるビアランドに導電性バンプを形成し、この導電性バンプを層間絶縁層を厚さ方向に貫挿させることにより、対向する配線層に形成されたビアランドとの接続を確立するものである。
図25A、図25Bはこのような導電性バンプを用いて配線層間を接続した多層配線基板の製造方法の1例を示す図である。
まず、例えば紙−フェノール系の絶縁性樹脂基材911の両面に銅からなる配線回路912を形成した両面配線板913を内層コアとして用意する。絶縁性樹脂基材911の両面に形成された配線回路912は層間接続のためのビアランド912aを有している。このビアランド912a上には、例えば導電性ペーストを印刷して形成された導電性バンプ914を形成する。
次いで、Bステージ(セミキュア状態)の絶縁性樹脂シート915と銅箔916とを積層して、両面配線板913の両側に、絶縁性樹脂シート915を介して配線回路912と銅箔916とが対向するように配置する(図25A)。
そして、これらの積層体を加圧・加熱することによりBステージの絶縁性樹脂シート915を硬化して全ての層を一体化する。このとき、加圧により、導電性バンプ914はBステージ(セミキュア状態)の絶縁性樹脂シート915を貫通し、塑性変形など起こしながら銅箔916と一体化して接合する。このように導電性バンプによる導体層間の接続が形成される。
そして、所定の位置にスルーホール917を形成し、このスルーホール917に例えば銀ペースト918などの導電性材料を充填し、もしくはスルーホール917の内壁に例えば銀ペーストなどの導電性材料をコーティングすることにより外層の導体層間を接続する。外層の銅箔916を例えばフォトエッチング法などによりパターニングしてビアランド916aを含む所定の配線回路916bに形成することにより、配線回路の層間接続に導電性バンプとスルーホールを組み合わせた多層配線基板が形成される(図25B)。
図26A、図26Bは導電性バンプを用いて配線層間を接続した多層配線基板の製造方法の別の1例を示す図である。
まず、例えばガラスクロスとエポキシ系樹脂基材921の両面に銅箔を張り付けて硬化しパターニングし配線回路922を形成した両面配線板923を内層コアとして用意する。両面配線板923の両面に形成された配線回路922は層間接続用ビアランド922aを有している。
一方、導電性バンプ924を形成した銅箔925と、エポキシ樹脂系のプリプレグ926とをそれぞれ用意する。導電性バンプ924は、銅箔925を両面配線板923と積層したときにビアランド922aに対応する位置に形成する。
次いで、図26Aに図示するように、プリプレグ926を介して銅箔925を、前記両面配線板923の両側に配置してから、加圧・加熱してすべての層を一体化する。このとき加圧により、導電性バンプ924は対向する。このとき、加圧により、導電性バンプ924はBステージ(セミキュア状態)のプリプレグ926を貫通し、塑性変形など起こしながらビアランド922aと一体化して接合する。このように導電性バンプによる導体層間の接続が形成される。
そして、所定の位置にスルーホール927を形成し、このスルーホール927に例えば銅などの導体層928をメッキすることにより各導体層間を接続する。
その後、外層の銅箔925を例えばフォトエッチング法などによりパターニングしてビアランド925aを含む所定の配線回路926bに形成することにより、配線回路の層間接続に導電性バンプとメッキスルーホールを組み合わせた多層配線基板が形成される(図26B)。
このような導電性バンプを採用した配線回路の層間接続は、構成がシンプルであること、工程数が少なく生産性が高いこと、高密度実装に対応できることなどのメリットがある。しかしながら、導電性バンプを採用して配線回路の層間接続を行った配線基板には、以下に説明するような問題がしばしば認められる。
例えば、図25に例示したような製造方法の場合、ビアランド912a上に導電性バンプ914を形設した両面配線板913に対し、絶縁性樹脂層915および銅箔916を積層配置し、これらの外側から硬い金属製のプレス板を当てて、両面から加圧・加熱してすべての層を一体化する。
この加圧工程により、外層に露出した銅箔916はほぼ平坦になる。ところが、導電性バンプ914が一般に両面配線板913の絶縁性樹脂基材911に比べて相対的に硬いためにビアランド912aが凹面化しやすく、ときにはビアランド912aに亀裂を生じるなど、ビア接続部が損傷することがある。このような問題は、特に外層側の接続部において顕著である。
図27は、加圧工程により凹面化した図26で説明した多層配線基板のビア接続部を模式的に示す図である。また、最悪の場合は、ビアランド922aと配線回路922との接続が絶たれて多層配線基板としての機能を失する場合もある。図25に例示した方法でも全く同様の問題が認められる。
このような問題は、多層配線基板の信頼性を大きく低下させるとともに、配線基板の生産性を低下させる主要な原因の一つになっている。
本発明は上記の事情を解決するためになされたもので、簡便な手段で構成でき、かつ信頼性の高いビア接続部を備えた多層配線基板を提供することを目的とする。
従来の導電性バンプを用いた多層配線基板の課題としては、熱的な負荷、機械的な負荷(応力)がかかった場合の層間接続の信頼性のより一層の向上が望まれている。
図25、図26に例示したような、導電性バンブを用いて配線回路の層間接続を行った配線基板の信頼性は、通常の使用条件では特に問題はない。
しかしながら、高信頼性を要求される例えば産業用エレクトロニクス機器に用いる場合には、層間接続の信頼性のより一層の向上が望まれている。
高信頼性が要求される配線基板は厳しい熱応力に十分耐える必要がある。例えば125℃程度の高温に曝した後、−65℃程度まで冷却する冷・熱サイクル試験を行った場合でも、複数の配線層を層間接続する導電性バンプが配線層から剥離したり、同一層内の配線回路が損なわれてはならない。
ところが、導電性バンプと、この導電性バンプが接続する配線層との接続が熱応力によって剥離こともあり、より高度な産業用途に十分耐えられるように信頼性の向上を図ることが望まれている。
また、近年では半導体素子をはじめとする電子部品の高集積化は著しく、実装上の問題も生じている。例えば、高集積化にともない電子部品と外部回路との接続数も多くなっている。より多くの電極との接続をより小さな面積で行うことのできる高密度実装技術の確立が求められている。また、半田バンプなどの従来の実装方法は、鉛を含有する半田を用いるため、作業員の健康を害したり、廃棄物としての処理が困難であるなどの問題がある。
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたものである。
すなわち本発明は、導電性バンプを採用するメリットを維持しながら、かつ層間接続の信頼性を向上した配線基板および高密度実装に適した外部回路との接続部を備えた電子部品を提供することを目的とする。
すなわち請求項1に記載の本発明は、電子部品であって、前記電子部品の第1の面に形成された電極と、前記電極上に形成された略円錐形状を有する導電性ピラーとを具備し、前記導電性ピラーと前記電極との接触部は、前記導電性ピラーと前記電極との間に働く応力集中を緩和するように、前記導電性ピラーの外側面と前記電極の表面とが滑らかに連続している部分を有する形状を有することを特徴とする。
また、請求項2に記載の本発明は、電子部品であって、前記電子部品の第1の面に形成された電極と、前記電極上に形成された略円錐形状を有する導電性ピラーとを具備し、前記導電性ピラーと前記電極との接触部は、前記導電性ピラーと前記電極との間に働く応力集中を緩和するように、前記導電性ピラーの外側面と前記電極の表面とのなす角が鋭角である形状を有することを特徴とする。
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載の電子部品において、前記電子部品は半導体素子であることを特徴とする。
本発明において、導電性ピラーの形成方法は、導体層上に略円柱形の貫通孔を有するマスクを配置する工程と、前記マスクの前記貫通孔に導電性樹脂を充填する工程と、前記導電性樹脂が前記導体層上に略円錐形状を有するように前記導体層と前記マスクとを前記導体層の法線方向と平行に離間させる工程とを有することを特徴とする。
また、この場合において、前記導体層と前記マスクとを離間させる工程は、前記導電性樹脂が前記導体層上に略円錐形状を有するとともに、前記導電性ピラーと前記導体層との接触部が、導電性ピラーと前記導体層との間に働く応力集中を緩和する形状を有するように離間させることを特徴とする。
また、前記導体層と前記マスクとを離間させる工程は、前記導電性樹脂が前記導体層上に略円錐形状を有するとともに、前記導電性ピラーと前記導体層との接触部が、前記導電性ピラーの外側面と前記導体層表面とが滑らかに連続している部分を有するように離間させることを特徴とする。
また、前記導体層と前記マスクとを離間させる工程は、前記導電性樹脂が前記導体層上に略円錐形状を有するとともに、前記導電性ピラーと前記導体層との接触部が前記導電性ピラーの外側面と前記導体層の表面とのなす角が鋭角である部分を有するように離間させることを特徴とする。
また、前記充填工程は、前記導体層と前記マスクとを離間させる工程において、前記導電性樹脂の一部が前記マスクの前記貫通孔に残るように粘度を調節した前記導電性樹脂層を充填することを特徴とする。また、前記充填工程はスクリーン印刷により行うことを特徴とする。
すなわちこの多層配線基板は、応力分散手段を備えたビアランドを採用することにより、ビア接続部に働く応力を分散し、ビアランドの破損、ビアランドと配線回路の接続の破損を防止するものである。
ビアランドの備える応力分散手段は例えばビアランドを貫通する孔である。この孔は、一般的に導電性ピラーの最大径よりは小径の孔である。この孔の形状は、導電性ピラーがその軸方向に加圧されたときに、ビアランドおよびビアランドと接続した配線回路に働く応力、特に法線応力を低減できればよい。例えばその形状は、円形、楕円形、星形、瓢箪形などいずれでもよいが、なめらかに連続した閉曲線で描ける形状が好適である。切り欠き(ノッチ)部分があると、その部分に応力が集中し(ノッチ効果)、ビアランドや配線層が破断しやすいからである。また、ビアランドに形成される孔の数は複数でもよい。
また、このビアランドに形成する孔の径は、導電性ピラーが圧接されたとき、十分な電気的接続が形成されるように設定すればよい。例えば、導電性ピラーを一方のビアランドにのみ形成する場合で、導電性ピラーの底面から第2の絶縁層の厚さと同じ高さの部分における径が約0.3mm、ビアランド外径が約0.7mmの場合、ビアランドの孔の平均径を約0.1〜0.25mm程度に設定するようにしてもよい。
この多層配線基板の導電性ピラーを採用した接続部は、このような応力分散手段を設けたビアランドを備えることにより、特にビアランドに働く法線応力を緩和することができる。また、導電性ピラーは硬化状態の第1の絶縁層に貫入するが、容易に貫くことはできないので、ビアランドの表面方向にも塑性変形する。この導電性ピラーのビアランドの表面方向の塑性変形により接線応力も緩和される。したがって、ビアランドは破壊されず、その機能を維持することができる。
このようなビアランドの応力分散手段である孔の形成は、このビアランドが属する配線層を所定の配線回路にパターニングするときに同時に行うことが好適である。つまり、配線回路のパターニングを行う際に、同時に形成すれば、工程を増やす必要がないからである。もちろん、導体層の所定の位置に予め孔を穿設して形成することも可能である。
また、この多層配線基板のもう一つの特徴は、導電性ピラーを採用したビア接続部の構造を、配線層と導電性ピラーとの接合部が剥離しないようにしたことである。すなわち単双曲面状(hyperboloid of one sheet)、あるいは単双曲回転面状(hyperboloid of revolution of one sheet)の外側面を有する導電性ピラーとビアランドとの接続部を、この接続部に働くノッチ効果を緩和するように形成したものである。このような導電性ピラーとビアランドとの接合と、前述のような応力分散手段を備えたビアランドとを組み合わせることにより、多層配線基板の信頼性はより一層向上する。
導電性ピラーを採用した多層配線基板のビア接続部の構造を、配線層と導電性ピラーとの接合部が剥離しないようにした本発明は、本発明者が得たつぎのような知見に基づいたものである。
本発明者は導電性ピラーを用いた層間接続の信頼性を向上するために、導電性ピラーを用いた接続部に働く力を解析した。
絶縁層を貫通して形成された導電性ピラーは、絶縁層により隔てられた第1の配線層の第1のビアランドと第2の配線層の第2のビアランドとを接続している。例えば、実装工程の半田のリフローなどの際には、このような構造の層間接続部に熱負荷がかかり、熱膨張率の差に起因する応力が生じることになる。
例えば、銀の熱膨張係数は19.0×10-6[°K-1]であり、銅の熱膨張係数は17.0×10-6[°K-1]であり、アルミニウムの熱膨張係数は23.0×10-6[°K-1]である。
一方、絶縁性樹脂の熱膨張率は、例えばFR−4(NEMA規格)の場合、縦方向の熱膨張率はα1=1.3×10-5[°K-1]、α2=1.5×10-6[°K-1]、横方向の熱膨張率はα1=1.8×10-5[°K-1]、α2=1.4×10-5[°K-1]、そして厚さ方向の熱膨張率はα1=5.1×10-5[°K-1]、α2=2.6×10-4[°K-1]である。ここで、α1はガラス転移温度Tg以下の熱膨張率、α2はガラス転移温度Tg以上の熱膨張率である。FR−4のガラス転移温度は約125℃程度である。
また、ここで縦方向は絶縁性樹脂層の面内でのガラス繊維の伸長方向であり、横方向は絶縁性樹脂層の面内でのガラス繊維の伸長方向と垂直な方向のことである。
このように絶縁層の樹脂材料の熱膨張率は、ビアランドを含む配線層および導電性ピラーの主要部を構成する導体金属の熱膨張率よりも大きい。特に、ビア接続の信頼性と密接に関係する絶縁層の厚さ方向(シートの法線方向)の熱膨張率は、配線層に用いられる一般的な導体金属の熱膨張率よりもずっと大きく、1桁から2桁も大きい。また、この絶縁性樹脂層の厚さ方向の熱膨張率は、ガラス転移温度Tgよりも高い温度では、ガラス転移温度Tgよりも低い温度での熱膨張率よりもずっと大きい。このような傾向は、GPY、FR−5、CEM−3、CEM−1、FR−3、FR−2、XXXPC、FR−1、XPC、G−10などの絶縁性樹脂材料でも同じである。
すなわち、導電性ピラーの軸方向の熱膨張率は、導電性ピラーを形成する材料が金属である場合は勿論のこと、導電金属粉末をバインダー樹脂に分散させた導電性樹脂組成物である場合にも、前述のように絶縁層を構成する樹脂材料に比べて熱膨脹率が小さい。
したがって、導電性ピラーを採用したビア接続部に熱負荷がかかった場合、導電性ピラーの熱膨張率と絶縁層の熱膨張率の差に起因して、導電性ピラーの中心軸方向(絶縁層の法線方向と平行)に、大きな応力が発生することになる。この応力は、一般的にいって、導電性ピラーと第1のビアランドおよび第2のビアランドとの接合部を引きはがす方向に作用する。つまり、導電性ピラーの中心軸と垂直な面である導電性ピラーと第1のビアランドとの界面および導電性ピラーと第2のビアランドとの界面には法線方向の張力が作用する。
また、このような、熱負荷により導電性ピラーを採用したビア接続部にかかる応力は、絶縁層、導電性ピラーおよび配線層の3つの部分が接する点で最も大きくなる。つまり、導電性ピラーを採用したビア接続部に熱負荷がかかったとき、絶縁層、導電性ピラーおよび配線層の3つの部分は、それぞれ熱膨脹率、剛性など材料物性が異なっているため、物性の異なる材料が当接する3重点(トリプルジャンクション)が応力が最も大きく作用する点となる。
本発明者は、ビア接続部に生じる応力を、各材料の物性定数を用いてシミュレーションで解析したところ、導電性ピラーと配線層とを引きはがすように働く応力の作用は、配線層(ビアランド)と導電性ピラーが接続する部分で、ビアランドの表面と、導電性ピラーの外周面の形成する角度に依存していることがわかった。
すなわち、導電性ピラーの単双曲面状の外周面と、ビアランドの表面が滑らかに連続して接続している場合には、剥離に対抗する強度が大きいが、導電性ピラーの外周面とビアランドとの接合部にノッチがあるとこの部分に応力が集中して耐剥離強度が低下するのである。ノッチが鋭いほど耐剥離強度の低下は大きくなる。また、導電性ピラーの外周面とビアランドの表面とが全体として滑らかに接続していれば、ミクロスコピックなノッチがあっても剥離強度を維持することができることもわかった。導電性ピラーの外周面とビアランド表面の接続部は概円形の閉曲線を描くが、この閉曲線上のすべての部分が滑らかに接続している場合に耐剥離強度は最大になる。いずれにせよ、この閉曲線の少なくとも一部が滑らかに接続しているならば、閉曲線のすべての部分に応力集中係数の大きい形状のノッチを有して接続している場合と比較して、耐剥離強度を大きくすることができる。
この多層配線基板は導電性ピラーを採用したビア接続部を有するとともに、導電性ピラーの外周面とビアランド表面の接続する部分の少なくとも一部は滑らかに接続している。
このような導電性ピラーとビアランドとの接合は、導電性ピラーの先端部を、たとえば硬質なステンレス鋼板などで一度押圧して塑性変形させ、この状態で、配線層になる金属箔などを圧着することにより得ることができる。また、導電性ピラーの形成時の高さを、この導電性ピラーが貫通する絶縁層の厚さに対して適正に設定しておくことにより、よりノッチ効果を緩和するような導電性ピラーとビアランドとの接合をより容易に達成することができる。ここで、ノッチ効果とは、ノッチのある固体に外力が加わったとき、ノッチの部分に応力が集中して変形や破壊が発生しやすくなる効果をいう。本発明の多層配線基板は、導電性ピラーと導体層またはビアランドとの接続部の形状を応力集中係数が小さくなるように制御して形成したものである。
ここで、多層配線基板を構成する配線層としては、銅やアルミニウムをはじめとして、配線材料として利用される金属材料を用いることができる。また、導電性樹脂を用いることもできる。これらの導体層をフォトエッチング処理してパターン化したり、あるいは導電性樹脂をスクリーン印刷することにより所定パターンの配線回路を有する配線層を形成することができる。
多層配線基板の層間接続に用いる導電性ピラーは、導電性樹脂、導電性ペーストなどの導電性組成物により形成することができる。また、各種金属材料により形成することも可能である。
ここで、導電性組成物としては、樹脂材料などからなるバインダーに、例えば銀、金、銅、半田粉などの導電性粉末、導電性微粒子をフィラーとして混合または分散させた導電性樹脂をあげることができる。導電性材料は複数の金属、合金を組み合わせて用いることもできる。
バインダー成分の樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などが一般的に挙げられる。これら以外にも例えば、メチルメタアクリレート、ジエチルメチルメタアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジエチルアクリレート、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシレート、ε−カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールのアクリレートなどのアクリル酸エステル、あるいはメタアクリル酸エステルなどの紫外線硬化型樹脂もしくは電子線照射硬化型樹脂などが挙げられる。また必要に応じて溶剤を用いるようにしてもよい。
このような導電性樹脂を用いて導電性ピラーを形成するには、例えば、メタルマスクなどのマスクを用いて、導電性樹脂をスクリーン印刷するようにしてもよい。メタルマスクの形状、開口径、厚さを調節し、一方導電性樹脂層の粘性、チキソトロピー、表面張力、またはマスクの表面張力などの物性値を調節することにより導電性ピラーを所望の形状に形成することができる。導電性ピラーの形状を制御するためには、導電性樹脂の粘性を、通常用いられる導電性樹脂層の粘性範囲よりも大きく設定することが好適である。また、揺変性(チキソトロピー)を有する導電性樹脂材料を用い、例えば超音波振動などにより導電性樹脂のチキソトロピーを調節して用いるようにしてもよい。
このようにマスクの孔に充填された導電性樹脂は、マスクと導体層とを導体層の法線方向に離間させることにより、導体層とメタルマスクとの間に張られながら変形し、導体層上に略円錐形状を有する導電性ピラーが形成される。このような方法により、導体層の表面との接触角θの小さい、ノッチ効果を緩和するような接合形状を有する導電性ピラーを得ることができる。
さらにアスペクト比の高い導電性ピラーを形成したい場合には、例えば、マスクの孔の形状、導電性樹脂の物性などを調節するようにしてもよいし、またマスクを同じ位置に再配置し、スクリーン印刷を繰り返すようにしてもよい。
また、導電性ピラーの形成はスクリーン印刷に限らず、導電性ペーストをマスクの孔に押し出すスタンプ法などにより形成するようにしてもよい。このような方法によっても、スクリーン印刷と同様に導電性ペースト、導電性樹脂などからアスペクト比の高い導電性ピラーを形成することができる。またメッキ法などにより金属からなる導電性ピラーを形成するようにしてもよい。
導電性ピラーは銅箔などの導体層に形成してもよいし、パターニングされた配線層上に形成してもよい。さらに、半導体素子などの電子部品の電極上に形成するようにしてもよい。
また、例えば剥離性の良好な合成樹脂シート類(例えばポリフッ化ビニリデンなどのテフロン(登録商標)樹脂)に導電性ピラーを形成し、この導電性ピラーをセミキュア状態の絶縁性樹脂層に埋め込み、その底面を銅箔や配線層と圧着するようにしてもよい。
なお導電性ピラーは、多層配線基板の層間接続に限らず、例えば半導体素子などの電子部品の電極上に形成し、電子部品と、この電子部品を実装する配線回路の接続に用いることができる。
多層配線基板を構成する、前述の導電性ピラーが接続する配線層間を電気的に隔てる絶縁層としては、例えば一般的な絶縁性樹脂材料を用いることができる。厚さは必要に応じて設定するようにすればよく、例えば40〜800μm程度に設定してもよい。また絶縁層の厚さは導電性ピラーの高さとともに設定すればよい。
ここで、絶縁層として用いることができる熱可塑性樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、4フッ化ポリエチレン樹脂、6フッ化ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などがある。これらの絶縁性樹脂材料をシート状に成型したものを用いてもよい。
また、熱硬化性樹脂材料として、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、あるいはブタジェンゴム、ブチルゴムなどをあげることができる。また熱硬化性樹脂材料として天然ゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴムなどの生ゴムのシート類を用いることもできる。
これら絶縁性樹脂材料は、単独で用いることもできるし、絶縁性の無機物や有機物を充填して用いてもよい。さらにガラスクロスやガラスマット、合成繊維布やマット、あるいは紙などの補強材と組み合わせて用いるようにしてもよい。
本発明の電子部品は、外部回路との接続部に形成された電極上に、前述の略円錐形状を有する導電性ピラーを形成したものである。また、電子部品パッケージは、電子部品の実装を導電性ピラーにより行ったものである。
導電性ピラーと電子部品の電極との接触部は、導電性ピラーと電極との間に働く応力集中を緩和するような形状を有している。導電性ピラーと電極との接触部の形状は例えば、導電性ピラーの外側面と電極表面とが滑らかに連続している部分を有するようにすればよい。また例えば、導電性ピラーの外側面と電極表面とのなす角θが鋭角である部分を有するようにしてもよい。
このような外部回路との接続形状を有する本発明の電子部品は、本発明の多層配線基板の多層化プロセスと同様の方法で、多層配線基板に実装し、本発明の電子部品パッケージを得ることができる。
例えば、まず、電子部品の電極と対応する位置にビアランドを有する所定パターンの配線層と、電極上に導電性ピラーを形成した電子部品とを、未硬化の絶縁性樹脂層を介して対向配置する。そして、両側から加圧することにより導電性ピラーはセミキュア状態の絶縁性樹脂層を貫通し、塑性変形しながらビアランドと接続する。同時に加熱することにより絶縁性樹脂層は硬化する。
このように本発明の電子部品および電子部品パッケージは実装に際して半田を必要としないという大きな利点を有する。また、多層配線基板に実装することにより電子部品からの引き出し配線の取り回しを複数の配線層で行うことができ、実装密度が格段に向上する。この場合、配線基板に実装された電子部品は、多層配線基板の最外層の1層と構成上等価なものと考えることができる。したがって、電子部品の電極と導電性ピラーを介して接続する配線層のビアランドを、さらに導電性ピラーを介して別の配線層のビアランドと層間接続することにより、電子部品からの引き出し配線の取り回しを複数の配線層で立体的に行うことができる。
図1は多層配線基板の構成の1例を概略的に示す図であり、導体からなる配線層が、絶縁層を介して積層されたものである。
〔参考例1〕
この多層配線基板10は、第1の絶縁層11aの上に第1の配線層12が形成されており、第1の配線層12はその回路パターンの一部として第1のビアランド12aを有している。第1の配線層12の上側から第1の絶縁層11aにかけて第2の絶縁層11bが形成されており、この第2の絶縁層11b上には第2の配線層13が形成されている。
この第2の配線層は、第1の配線層のビアランド12aと対向する位置に第2のビアランド13aを有している。
そして、第2の絶縁層11bを介して対向配置された第1のビアランドと第2のビアランドは、導電性ピラー14により接続されている。つまり、この多層配線基板10は、導電性ピラー14によって異なる配線層の層間接続を行っている。
この多層配線基板10の特徴の1つとして、第1のビアランド12aは、導電性ピラー14の軸方向にかかる応力を分散する手段を有しており、この場合第1のビアランド12aには貫通孔12bが形成されている。
図2は第1のビアランドの形状の1例を概略的に示す図であり、第1の絶縁層11aにパターニングしたときの状態を示している。この第1のビアランド12aはほぼ円形の貫通孔12bを1個有しているが、貫通孔12bの形状および数はこれに限ることはない。貫通孔12bの形状としては、円形以外に例えば楕円形、星形、瓢箪型などでもよい。いずれにせよ、貫通孔12bの形状は、応力が特定の部分に集中しないように角ばった部分がない形状であることが好適である。
また、第1のビアランド12aには複数の貫通孔12bを備えるようにしてもよい。図3Aは第1のビアランドの形状の別の例を概略的に示す図である。
図4は図1に示した本発明の多層配線基板の層間接続部を拡大して示す図である。第1のビアランド12aと第2のビアランド13bとが導電性ピラー14によりビア接続されている。導電性ピラー14は、第1のビアランド12aに対応する領域で、第1の絶縁層11aに貫入した貫入部14bを有している。このような貫入部14bは、例えば第1のビアランドと第2のビアランドとの間に導電性ピラーを挟み込んだ状態で、第1の絶縁層と第2の配線層とを導電性ピラーの軸方向に加圧することにより形成される。本発明の多層配線基板はこのような構成を採用することにより、多層配線基板の層間接続方向、すなわち導電性ピラー14の軸方向に圧力負荷がかかった場合でも、第1のビアランド12aに形成した応力分散手段である貫通孔14bから導電性ピラーの一部が第1の絶縁層側に塑性変形しながら貫入することにより、第1のビアランド12aの破損を防ぐことができる。したがって多層配線基板の層間接続の信頼性が向上する。また、第1のビアランド12aが備える応力分散手段の形成を第1の配線層12のパターニングと同時に行えば、工程数を増やす必要もない。なお、導電性ピラーの剛性は第1の絶縁層よりも大きいが、貫入時にある程度変形する程度に設定することが好適である。
〔参考例2〕
図5は、多層配線基板の構成の別の1例を概略的に示す断面図である。この多層配線基板20は、導体からなる4層の配線層を有している。各配線層はその回路パターンの一部として設けられたビアランドを有しており、絶縁層11bを介して対向した1対のビアランド間を導電性ピラー14により接続することにより配線層の層間接続を行っている。
第1の絶縁層11aの両面には第1のビアランド12aを有する第1の配線層12が形成されている。この第1のビアランド12aには、応力分散手段として例えば図3に例示したような貫通孔12bが形成されている。第1の配線層12上には、第2の絶縁層11bが形成されており、第2の絶縁層11b上には第2のビアランド13aを有する第2の配線層13が形成されている。第1のビアランド12aと第2のビアランド13aとは、第2の絶縁層11b絶縁層を介して対向して形成されており、導電性ピラー14により層間接続されている。
なお、ここでは第1の絶縁層11aの両側に形成される配線層をどちらも第1の配線層12として説明している。いずれにせよ、当然ながら、第1の絶縁層11aの両側の形成される第1の配線層12の回路パターンは異なっていてもよい。同様に、外層に形成される第2の配線層13についてもその回路パターンは異なっていてもよい。すなわち、各配線層はその層間接続部にビアランドを有しているが、その回路パターンは必要に応じて形成される。このことは特に述べない場合にも同様である。
〔参考例3〕
次に図5に例示した多層配線基板20の製造方法の1例を説明する。
図6A、図6B、図6Cは図5に示した多層配線基板の製造工程を説明するための図である。
まず、絶縁層の両面に導体層を張り合わせたコア基材として、両面銅張積層板を用意する。ここでは第1の絶縁層11aである厚さ1.2mmの紙−フェノール樹脂系の絶縁基板の両面に、第1の配線層12にパターニングされる厚さ35μmの電解銅箔を張り合わせた両面銅張積層板(商品名、紙フェノール樹脂銅張積層板 R−8705E、松下電工製)を用意した。
次いで、このコア基材に張り付けられた第1の配線層12である銅箔を例えばフォトエッチングプロセスなどにより所定の配線回路にパターニングする。ここでは、銅箔上にスクリーン印刷で所定パターンのレジストを形成し、このレジストをマスクとして、塩化第2鉄溶液をエッチング液として、銅箔を選択的にエッチング除去した後、レジストを除去して、所定の回路パターンを有する第1の配線層12に形成した(図6A)。このとき、第1の配線層12の回路パターンの一部として第1のビアランド12aも形成した。第1のビアランド12aは直径約0.7mmの略円形に形成され、かつその中央部に直径約0.2mmの孔12bを形成した。
なお、ここでは第1の絶縁層11aの両側に形成される配線回路をどちらも第1の配線回路として説明しているが、第1の絶縁層の両側で第1の配線層の回路パターンは異なるパターンに形成した。
次に、第1の配線回路12の第1のビアランド12a上に略円錐形状を有する導電性ピラー14を形成した。この導電性ピラー14は、第1のビアランド12aに対応する位置にピットを形成したメタルマスクを配置して、導電性樹脂をスクリーン印刷することにより形成した。メタルマスクは直径約0.3mmの孔を穿設した、厚さ約300μmのステンレス鋼製のものを用いた。導電性樹脂としては、この例では、銀粉末をフィラーとしたフェノール樹脂系の導電性ペーストを用いたが、導体からなるフィラー、バインダー樹脂とも必要に応じて選択して用いればよい。印刷した導電性ペーストを乾燥処理した後、同一マスクを用い同一位置に印刷、乾燥する処理を3回繰り返した。さらに加熱して、第1のビアランド12a上に略円錐形状を有する高さ約0.3mmの導電性ピラー14を形成した(図6B)。導電性ピラー14の形状は、例えば、用いるマスクのピット径、厚さ、または印刷する導電性樹脂の粘性などの諸物性、さらに印刷回数などを調節することにより所望の形状に形成することができる。
導電性ピラー14を形成した後、第2の絶縁層11bと、第2の配線層13をコア材の両側に積層する。ここでは、第2の絶縁層11bとしては例えば厚さ約70μmのエポキシ系樹脂シート(Bステージ)を用い、第2の配線層13(未パターニング)としては、厚さ約35μmの電解銅箔を用いた。
第2の絶縁層11bと第2の配線層13とを、コア基材の両側に、第2の配線層13が第2の絶縁層11bを介して第1の配線層12と対向するように配置して(図6C)、第2の配線層13の外側から、プレス板で挟み込んで加熱しながら加圧する。加熱と加圧により、第2の絶縁層11bは硬化してCステージになる。このとき、略円錐形状の導電性ピラー14は、セミキュア状態の第2の絶縁層11bを貫き、対向する第2のビアランド13aと接続する。第2の絶縁層11bの硬化が始まるのは、コア基材と第2の配線層13とが第2の絶縁層11bの両側に接した後だから、第1の配線層12上に形成した導電性ピラー14は、比較的容易に第2の絶縁層11bを貫くことができる。
ここで、プレスの際に用いる当て板としては、例えばステンレス板、真鍮板などの寸法変化や変形の少ない金属板や、ポリイミド樹脂板(シート)、ポリテトラフロロエチレン樹脂板(樹脂シート)な寸法変化や変形の少ない耐熱性樹脂板などを使用することが好適である。
また、絶縁層を加熱して柔らかくなった状態でプレスを行うと、導電性ピラー先端が絶縁層を貫通し易くなる。
次いで、第2の配線層13をパターニングして所定の回路に形成する。ここでは、第2の配線層13である銅箔上にスクリーン印刷で所定パターンのレジストを形成し、このレジストをマスクとして、塩化第2鉄溶液をエッチング液として、銅箔を選択的にエッチング除去した後、レジストを除去して第2のビアランドを有する所定の回路パターンに形成した。このとき、配線回路パターンの部として第2のビアランド13aも同時に形成した。
以上のような工程により、各配線層が導電性ピラーによる1000箇所のビア接続を有する4層の多層配線基板が形成された(図5参照)。
このように製造した多層配線基板の配線回路の接続抵抗は約2.1Ωであった。この接続抵抗は、導電性ピラー1000個を銅箔からなる配線を介して直列に接続したときの抵抗に相当し、銅箔のパターン抵抗を考慮すると、導電性ピラー1本あたりの接続抵抗値の平均は約1mΩであった。また導電性ピラーの接続抵抗および銅箔のパターン抵抗ともバラツキが少ないものであった。
また、この多層配線基板を導電性ピラーの軸方向と平行な平面で切断して、層間接続部の状態を観察したところ、図4に模式的に示したように、導電性ピラー14と第1のビアランドおよび第2ビアランドは密に接続し、接合状態も良好であった。第2のビアランド12aは第1の絶縁層側にわずかに若干窪んでいるが、亀裂の発生は認められなかった。また、導電性ピラー14の一部は、第2のビアランド12aに形成した孔12bを通じて第1の絶縁層11a側に貫入した部分を有していた。
なお、比較のため、第1のビアランド12aに応力分散手段を形成しないこと以外は図5と同じ構成を有する多層配線を同一条件で製作した。この導電性ピラーによる1000箇所のビア接続を有する四層の多層配線基板の配線パターンの接続抵抗は5.1Ωで、図5に例示した本発明の多層配線基板の接続抵抗よりも約3Ωも大きかった。また、第1のビアランドに応力分散手段を備えない多層配線基板を切断してビア接続の状態を観察したところ、第1のビアランド12a部分が大きく第1の絶縁層11a側に窪んでいた。第1のビアランド12aには亀裂が発生していた。
このように、この多層配線基板は、応力分散手段を備えたビアランドを備えることにより、導電性ピラーの軸方向にかかるビアランドへの応力(圧力)を分散することができる。また、ビアランドの接線方向にかかる応力(接線応力)は、主として導電性ピラーの塑性変形により緩和される。したがって、ビアランドを含む配線回路が破損しにくく、信頼性の高い層間接続を確立することができる。また、スルーホールによる層間接続を必要最小限に抑制することができるため、高密度実装に対応することができる。
また本発明の多層配線基板の製造方法によれば、導電性ピラーを用いた多層配線基板の製造方法の高い生産性を保ちながら、接続不良の発生を抑制し、さらに生産性を向上することができる。
〔参考例4〕
図7A、図7B、図7C、図7Dは多層配線基板の製造方法の別の例について説明するための図である。
まず、絶縁層の両面に導体層を張り合わせたコア基材として、両面銅張積層板を用意する。ここでは厚さ1.2mmの紙−フェノール樹脂系の絶縁基板の両面に、第1の配線層12にパターニングされる厚さ35μmの電解銅箔を張り合わせた両面銅張積層板(商品名、紙フェノール樹脂銅張積層板 R−8705E、松下電工製)を用意した。
次いで、このコア基材に張り付けられた銅箔を例えばフォトエッチングプロセスなどにより所定の配線回路にパターニングする。ここでは、銅箔上にスクリーン印刷で所定パターンのレジストを形成し、このレジストをマスクとして、塩化第2鉄溶液をエッチング液として、銅箔を選択的にエッチング除去した後、レジストを除去して、所定の回路パターンを有する第1の配線層12に形成した(図7A)。このとき、第1の配線層12の配線回路パターンの一部として第1のビアランドも形成した。第1のビアランド12aは直径約0.7mmの略円形に形成され、かつその中央部に直径約0.2mmの孔12bを形成した。
なお、ここでは第1の絶縁層11aの両側に形成される配線回路をどちらも第1の配線回路として説明しているが、第1の絶縁層の両側で第1の配線層の回路パターンは異なるパターンに形成した。
一方、第2の配線層13として、厚さ約35μmの電解銅箔を用意し、この電解銅箔上に略円錐形状を有する導電性ピラー14を形成した。
この導電性ピラー14は、第2の配線層13を第1の配線層12と重ねたとき第1の配線層12に形成した第1のビアランド12aと対応する位置に形成した。
導電性ピラー14の形成は、ピットを形成したメタルマスクを配置して、導電性樹脂をスクリーン印刷することにより形成した。メタルマスクは直径約0.3mmの孔を穿設した、厚さ約300μmのステンレス鋼製のものを用いた。導電性樹脂としては、この例では、銀粉末をフィラーとしたフェノール樹脂系の導電性ペーストを用いた。印刷した導電性ペーストを乾燥処理した後、同一マスクを用い同一位置に印刷、乾燥する処理を3回繰り返した。さらに加熱して、第1のビアランド12a上に略円錐形状を有する高さ約0.3mmの導電性ピラー14を形成した(図7B)。
第1の絶縁層11aの両面に第1の配線層12を形成したコア材と、導電性ピラー14を形成した第2の配線層(未パターニング)をそれぞれ用意した後、図7Cに示すように、コア材の両側に第2の絶縁層11bを介して第2の配線層を配置する。このとき、第1のビアランド12aと、導電性ピラー14とが対向するように位置あわせして配置する。
第2の絶縁層11bとしては、ガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた厚さ約100μmのBステージのプリプレグを用いた。
そして、第2の配線層13の外側から、プレス板で挟み込んで加熱しながら全体を加圧する。加熱と加圧により第2の絶縁層11bはCステージに硬化する。
このとき、略円錐形状の導電性ピラー14は、セミキュア状態の第2の絶縁層11bを貫き、対向する第1のビアランド12aと接続する。第2の絶縁層11bの硬化が始まるのは、コア基材と第2の配線層13とが第2の絶縁層11bの両側に接した後だから、第2の配線層13上に形成した導電性ピラー14は、比較的容易に第2の絶縁層11bを貫くことができる。
導電性ピラー14の先端部は第1のビアランド12aに形成した応力分散手段である貫通孔12bに挿入され、塑性変形しながら第1のビアランド12aと密着する。ここでは導電性ピラー14は、塑性変形しながら第1の絶縁層11aに貫入するものの、第1の絶縁層11aを容易に刺し貫けるほど堅くないので、第1のビアランドを破損することなく密着することができる。
次いで、第2の配線層をパターニングして所定の回路に形成する。ここでは、第2の配線層13である銅箔上にスクリーン印刷で所定パターンのレジストを形成し、このレジストをマスクとして、塩化第2鉄溶液をエッチング液として、銅箔を選択的にエッチング除去した後、レジストを除去して第2のビアランドを有する所定の回路パターンに形成した。
以上のような工程により、各配線層が導電性ピラーによる1000箇所のビア接続を有する4層の多層配線基板が形成された(図7D)。
このように製造した多層配線基板の配線回路の接続抵抗は約2.1Ωであった。この接続抵抗は、導電性ピラー1000個を銅箔からなる配線を介して直列に接続したときの抵抗に相当し、銅箔のパターン抵抗を考慮すると、導電性ピラー1本あたりの接続抵抗値の平均は約1mΩであった。また導電性ピラーの接続抵抗および銅箔のパターン抵抗ともバラツキが少ないものであった。
図8は、図7Dの多層配線基板を導電性ピラーの軸方向と平行な平面で切断して、層間接続部の状態を観察した様子を示す図である。導電性ピラー14の一部は、第1のビアランド12aに形成した孔12bを通じて第1の絶縁層11a側に貫入した部分14cを有していたが、導電性ピラー14と第1のビアランドおよび第2ビアランドは密に接続し、接合状態も良好であった。
第2のビアランド12aは第1の絶縁層側にわずかに若干窪んでいるが、亀裂の発生は認められなかった。これは、導電性バンプ14が第1のビアランド12aに設けられた孔12bを通じて第1の絶縁層11aに貫入するとともに、第1のビアランド12aに沿って塑性変形したためである。
なお、比較のため、第1のビアランド12aに応力分散手段を形成しないこと以外は図7Dと同じ構成を有する多層配線を同一条件で製作した。この導電性ピラーによる1000箇所のビア接続を有する四層の多層配線基板の配線パターンの接続抵抗は5.1Ωで、図7Dに例示した本発明の多層配線基板の接続抵抗よりも約3Ωも大きかった。また、第1のビアランドに応力分散手段を備えない多層配線基板を切断してビア接続の状態を観察したところ、第1のビアランド12a部分が大きく第1の絶縁層11a側に窪んでいた。第1のビアランド12aには亀裂が発生していた(図27参照)。
このように、この多層配線基板は、応力分散手段を備えたビアランドを備えることにより、導電性ピラーの軸方向にかかる応力を分散することができる。したがって、ビアランドを含む配線回路が破損しにくく、信頼性の高い層間接続を確立することができる。また、スルーホールによる層間接続を必要最小限に抑制することができるため、高密度実装に対応することができる。
また、この多層配線基板の製造方法によれば、導電性ピラーを用いた多層配線基板の製造方法の高い生産性を保ちながら、接続不良の発生を抑制し、さらに生産性を向上することができる。
本発明は上記参考例に限定されるものでなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲でいろいろの変形を採ることができる。たとえば、配線層は、導電性組成物で形成してもよいし、また導電性ピラーは金属製でもよい。さらに絶縁層もエポキシ系樹脂に限らず、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを必要に応じて選択して用いることができる。
〔参考例5〕
図9Aは、多層配線基板の層間接続部の断面構造を概略的に示す図である。図9Bは図9Aに示した層間接続部の構造を導電性ピラーの軸方向から透視して概略的に示す図であり、図9Cは図9Aに示した層間接続部の構造を概略的に示す斜視図である。
この多層配線基板は、絶縁性膜21と、この絶縁性膜21の第1の面に形成された第1のビアランド22と、絶縁性膜21の第2の面に形成され、第1のビアランド22と対向する領域に形成された第2のビアランド23とを備えている。
ここで第1のビアランド22は第1の配線層の回路パターン22bの一部として形成されており、第2のビアランド23は図示しない第2の配線層の回路パターン23bの一部として形成されている。
そして、第1の配線層と第2の配線層との層間接続は、第1のビアランド22と第2のビアランド23とを接続するように絶縁性膜21を貫通して形成された導体からなる導電性ピラー24とにより確立されている。そして、この導電性ピラー24の外側面と第1のビアランド22および第2のビアランド23の表面とが接する部分の形状は、導電性ピラー24と第1のビアランド22または第2のビアランド23との接続部の固体−固体界面に応力集中が生じないように形成されている。
導電性ピラー24と第1のビアランド22、第2のビアランド23との接続部の界面に応力集中が生じないようにするには、例えば、導電性ピラー24の外側面と第1のビアランド22および第2のビアランド23の絶縁性膜21側の表面とのなす接触角をできるだけ応力集中係数が小さくなるように設定すればよい。
図10A、図10B、図10Cは、多層配線基板の有する導電性ピラー24と第1のビアランド22(または第2のビアランド23)との接続部の形状の例を模式的に示す図である。図11A、図11Bは比較のために示した導電性ピラー24と第1のビアランド22(または第2のビアランド23)との接続部の形状の、望ましくない形状の例である。
本発明者は、導電性ピラーを採用したビア接続部に生じる応力を、各材料の物性定数を用いてシミュレーションで解析した結果、導電性ピラー24と配線層またはビアランドとを引きはがすように働く応力は、配線層(またはビアランド)と導電性ピラー24が接続する部分で、ビアランドの表面と、導電性ピラーの外周面の形成する角度に依存していることがわかった。したがって、本発明では、概単双曲面形状を有する導電性ピラーの外周面とビアランド表面との接触角θを、応力集中係数が小さくなるように制御して形成している。
例えば、導電性ピラー24の外側面とビアランド22の表面とが、滑らかに連続するように接触角θを小さく設定すれば、接合強度、耐剥離強度を向上することができる。例えば図10Bに示した形状を有するビア接続は、図10Cに示した形状を有するビア接続よりも剥離に対する強度は大きい。同様に図10Aに示した形状を有するビア接続は、図10Bに示した形状を有するビア接続よりも剥離に対する強度は大きい。いずれにせよ、図10Cに示した形状を有するビア接続でも、図11A、図11Bに示した形状を有するビア接続よりも耐剥離強度はずっと大きい。
すなわち、導電性ピラーの外周面と、ビアランドの表面が滑らかに連続して接続している場合には、剥離に対抗する強度が大きいが、導電性ピラーの外周面とビアランドとの接合部にノッチがあるとこの部分に応力が集中して耐剥離強度が低下し、ノッチが鋭いほど耐剥離強度の低下は大きくなる。
また、導電性ピラーの外周面とビアランドの表面とが全体として滑らかに接続していれば、ミクロスコピックなノッチがあっても剥離強度を維持することができることもわかった。図12A、図12Bは、導電性ピラーと第1のビアランドまたは第2のビアランドとの接続部の形状の別の例を模式的に示す図である。導電性ピラーの外周面とビアランド表面の接続部は閉曲線、例えば円を描くが、この閉曲線上のすべての部分が滑らかに接続している場合に耐剥離強度は最大になる。いずれにせよ、この閉曲線の少なくとも一部が滑らかに接続しているならば、閉曲線のすべての部分に応力集中係数の大きい形状のノッチを有して接続している場合と比較して、耐剥離強度を大きくすることができる。例えば、図12A、図12Bに示した形状は、ミクロスコピックにはノッチを有しているが(接触角ψ)、導電性ピラー24の外側面とビアランドの表面とは全体として滑らかに連続して接続しており(接触角θ)、半田リフローなどの実装プロセスで熱的負荷がかかる場合であっても、配線層間のビア接続を安定して維持することができる。
〔参考例6〕
図13Aは多層配線基板の構造の1例を模式的に示す図であり、図13Bは図13Aの多層配線基板に熱負荷がかかったときの状態を模式的に示す図である。この多層配線基板は、導電性ピラー24を採用したビア接続を3000箇所有している。
図13Aの多層配線基板の層間接続部は、図9Aに示した本発明の多層配線基板と同様の構造を有している。絶縁層21を貫通して形成された導電性ピラー24は、絶縁層21により隔てられた第1の配線層の第1のビアランド23と第2の配線層の第2のビアランド24とを接続している。そして、導電性ピラー24と第1のビアランド22のおよび第2のビアランド23との接合部はどちらも3重点25にかかる応力を緩和するような形状を有している。この例では導電性ピラー24の外周面と第1のビアランド22の表面とのなす角、および導電性ピラー24の外周面と第2のビアランド23の表面とのなす角は、どちらも鋭角に形成されている。
このような多層配線基板に各種電子部品を実装する際、特に半田のリフローなどの際には、層間接続部に熱負荷がかかって熱膨張率の差に起因する応力が生じ、特に3重点25には応力が集中することになる。
図13Aの多層配線基板は、絶縁層21としてFR−4規格の絶縁性樹脂基材を用い、配線層としては銅箔を用い、導電性ピラーとしては、銀の微粒子をフィラーとしてバインダー樹脂に分散させた導電性樹脂を用いている。
FR−4のガラス転移温度Tg(約125℃)より低い温度での、絶縁層21の法線方向の熱膨張率α1は5.1×10-5[°K-1]である。またTgより高い温度での、FR−4の厚さ方向の熱膨張率α2は2.6×10-4[°K-1]とα1よりずっと大きい。
一方、導電性ピラーの主要部を構成する銀の熱膨張係数は17.0×10-6[°K-1]である。したがって、図13Aの多層配線基板に熱負荷がかかったとき、絶縁層21のほうが導電性ピラー24よりも大きく膨張する。とくにガラス転移温度Tgより高い温度では、絶縁層21の熱膨張率は、銀の熱膨張係数と比較して15倍以上も大きい。半田として一般的なPb−Sn系の共晶半田合金の共晶温度は183℃であるから、半田をリフローする際には多層基板にも220〜240℃程度の熱負荷がかかることになる(図13B)。
したがって、導電性ピラー24の熱膨張率と絶縁層21との熱膨張率の差に起因して、導電性ピラー24の軸方向(絶縁層の法線方向と平行)に、大きな応力が発生する。この応力は、導電性ピラー24と第1のビアランド22および第2のビアランド23との接合部に対して張力として作用する。また、このような応力は、絶縁層21、導電性ピラー24およびビアランド22、23の3つの部分が接する3重点で最も大きくなる。
図13Aに示した多層配線基板を240℃に20秒間加熱して、層間接続を調べたところ、すべての層間接続部が導通を確保しており、抵抗値も維持されていた。
なお、第1のビアランド22、第2のビアランド23として、例えば図2に例示したような導電性ピラーとビアランドとの間にかかる圧力をリリースする手段を設けてもよい。例えば第1のビアランド22または第2のビアランド23に貫通孔12bを形成すれば、導電性ピラーとビアランドとの間に圧力がかかる場合でも、張力がかかる場合でも、ビア接続の損傷を防ぎ、層間接続の機能を安定して維持することができる。
図9から図13では1層の絶縁層の両面に形成された配線層の層間接続について示したが、上述のビア接続は3層以上の配線層を備えた多層配線基板にも全く同様に適用することができる。
〔参考例7〕
次に、導電性ピラーと第1のビアランドおよび第2のビアランドとの接合部にかかる応力を緩和するような形状を有する本発明の多層配線基板の製造方法について説明する。
図14A、図14B、図14C、図14D、図14E、図14F、図14Gは本発明の多層配線基板の製造方法の1例を説明するための図である。
第1の配線層22となる厚さ約35μmの電解銅箔を用意し、この銅箔上の所定の位置に導電性ピラー24を形成した。この導電性ピラー24は、銀の微粒子(平均粒径約10μm)を導体フィラーとした導電性ペーストをスクリーン印刷して形成し、その底面の直径は約250μm、高さは約250μmの略円錐形状を有する(図14A)。
導電性ピラー24を乾燥させた後に、絶縁層21としてガラスクロスにエポキシ系樹脂を含浸させた厚さ約115μmの熱硬化性のプリプレグ(商品名、ガラエポプリプレグHE、東芝ケミカル社製)を用意し、第1の配線層22の導電性ピラー24を形成した面上に積層配置した。このとき、Bステージの絶縁層21を約100℃(<Tg)に加温するとともに、フレキシブルな押圧体26で、導電性ピラー24が変形しないようにプレスすることにより、導電性ピラー24は絶縁層21を貫通した(図14B)。このとき絶縁層21完全に硬化しておらずセミキュア状態を保っている。これは、本発明の多層配線基板のプレハブ素材に相当する。ここでプレハブ素材とは多層配線基板を構成するprefabricatedされた素材という意味であり、例えば図14Bの状態あるいは図14Cの状態のものを指す。このような本発明の多層配線基板のプレハブ素材を用いることにより、本発明の多層配線基板を容易に構成することができる。例えば両面積層板の両面に図14Cのプレハブ素材を積層することにより、4層の配線層を有する本発明の多層配線基板を構成することができる。
その後、絶縁層21から突出した導電性ピラー24の先端部を、導電性ピラー24の中心軸方向に加圧して変形させた。ここでは、導電性ピラー24上に厚さ1mm程度の硬質ステンレス鋼板を載置し、常温で平板プレスを行って、導電性ピラーの先端部がつぶれるように塑性変形させた(図14C)。このとき、絶縁層21の表面からは導電性ピラー24の潰れた頭部がわずかに盛り上がって露出していた。この状態でも、多層配線基板のプレハブ素材として用いることができる。
次いで、導電性ピラー24の先端部が露出した絶縁層21の表面に、第2の配線層となる厚さ約35μmの電解銅箔を配置した。この積層体を第1の配線層22および第2の配線層23の外側から加熱しながらプレスし、セミキュア状態の絶縁層21を加熱により完全に硬化させるとともに、導電性ピラー24と第2の配線層を圧着した(図14D)。ここまでの工程で、第1の配線層22と第2の配線層23とが導電性ピラー24により絶縁層21を介して層間接続された両面銅張板が得られる。導電性ピラー24はその形状を制御して形成し、まず絶縁層21から突出した頭部を潰され、つぎに第2の配線層23と圧着されることにより多段階に塑性変形する。そして、導電性ピラー24と配線層との接合部に応力が集中しないような形状を得ることができる。
つぎに、第1の配線層22、第2の配線層23を、第1のビアランド22a、第2のビアランド22bを含む所定の配線回路にパターニングした(図14E)。この製造例では、一般的なエッチングレジストインク(PSR−4000H、太陽インキKK製)を、所定の配線回路パターンが得られるように、スクリーン印刷してマスクを形成し、塩化第2銅で銅箔をエッチングし、レジストマスク剥離した。図14Eに示した第1の配線層22と第2の配線層23とを有する2層配線基板をコア基材としてさらに多くの配線層を有する多層配線基板を製造する場合には、配線回路のパターニングと同時に、第1のビアランド22a、第2のビアランド23aに例えば図2に示したような応力解放手段を形成することが好適である(図14F)。応力解放手段を形成しておくことにより、外側の配線層との層間接続を形成する際のビアランド、配線回路の損傷が防止され、多層配線基板の信頼性を向上することができる。
図14Eの状態で、常套的方法によりビア接続部の導通テストを行ったところ、全て(3000個)の導電性ピラー24を有する層間接続に異常は認められなかった。抵抗値にも異常は認められなかった。
〔参考例8〕
次に、図14Eに示した状態の多層配線基板をコア基材として、この両側にさらに第3の配線層27a、27bを有する4層の多層配線基板を製造した例について説明する。
前述同様の方法で、図14Cに示したような、所定の位置に導電性ピラー24を形成した第3の配線層27a、27bと絶縁層21bを積層したプレハブ素材を用意する。ここでは、絶縁層21bは絶縁層21と同材質のプリプレグを用いたが、必要ならば、材質の異なる絶縁材料を用いることができる。
そして、図14Eに示した両面配線基板をコア基材として、この両側に第3の配線層27a、27bと絶縁層21bとを配置する。このとき、第1の配線層22および第2の配線層23と第3の配線層27a、27bとのビア接続部をそれぞれ対向するように配置する(図14G)。
次いで、この積層体を第3の配線層27a、27bの外側から加熱しながらプレスして、セミキュア状態の絶縁層21bを加熱により完全に硬化させるとともに、導電性ピラー24と第3の配線層27a、27bを圧着した。
そして第3の配線層27a、27bを所定の配線回路にパターニングすることにより、第1の配線層22および第2の配線層23と、第3の配線層27a、27bが導電性ピラー24により絶縁層21bを介して層間接続された4層の配線層を有する多層配線基板が得られる(図14H)。
〔参考例9〕
このような耐剥離強度の大きい接合形状を有する本発明の多層配線基板の製造方法についてさらに詳しく説明する。まず、第1の配線層22と導電性ピラー24との接合について説明し、つぎに第2の配線層と導電性ピラー24との接合形状について説明する。
図14の例では第1の配線層22と導電性ピラー24との接合形状は、例えば銅箔などの第1の配線層22上に導電性ピラーを形成するときに実質的に決定される。例えば、メタルマスクなどのマスクを用いて、導電性樹脂、導電性ペーストなどをスクリーン印刷して導電性ピラーを形成する場合には、メタルマスクの形状、開口径、厚さを調節し、一方導電性樹脂層の粘性、チキソトロピー、表面張力、またはマスクの表面張力などの物性値を調節することにより導電性ピラーを所望の形状に形成することができる。
ここで、導電性ピラーの形成方法について説明する。ここでは、多層配線基板を例にとって導電性ピラーを形成する方法を説明する。
図15A、図15B、図15C、図15D、図15Eは導電性ピラー24の形成工程の1例を説明するための図である。
第1の配線層22上に略円柱形状を有する貫通孔(ピット)31aを形成したメタルマスク31を配置した。ここでメタルマスクは厚さ300μmのステンレススチール製で、貫通孔31aの直径は3.00μmに設定した。
そして、スクリーン32を介して、導電性樹脂33をスキージ34によりメタルマスク31の孔31aに充填する(図15A、図15B)。図15Cはスクリーン印刷の様子の1例を説明するための図である。
ここでは導電性樹脂33としては、銀の微粒子をエポキシ系のバインダー樹脂に混練したものに、さらに溶剤を混合して用いた。通常、導電性樹脂33は数百ポアズ程度に粘性を調節して使用するのが一般的であるが、本発明では導電性ピラーの形状を制御するためにこれよりもずっと粘性を大きく調節して用いた。また必要であれば、例えば超音波振動などにより導電性樹脂33のチキソトロピーを調節して(ただし導電性樹脂33がチキソ性を有する場合)用いるようにしてもよい。
このように、粘性を調節した導電性樹脂33をメタルマスク31の孔31aに充填したなら、メタルマスク31と第1の配線層22とを第1の配線層22の法線方向に離間させる(図15D)。このとき導電性樹脂33は、第1の配線層22とメタルマスク31との間に張られながら変形し、第1の配線層22上に略円錐形状を有する導電性ピラー24が形成された(15E)。形成された略円錐形状を有する導電性ピラー24の底面の直径rは約300μm、高さhは約250μmであった。また、導電性樹脂33の一部はメタルマスク31の孔31aに付着していた。このような方法により、導電性ピラー24と第1の配線層22の表面との接触角θは小さく、ノッチ効果を緩和するような接合形状を得ることができる。さらにアスペクト比(高さ(h)/底面の直径(r))の高い導電性ピラー24を形成したい場合には、例えば、貫通孔31aの形状と導電性樹脂33の物性を調節するようにしてもよいし、またメタルマスク31を同じ位置に配置し、スクリーン印刷を繰り返すようにしてもよい。
また、導電性ピラー24の形成はスクリーン印刷に限らず、導電性ペーストをマスクの孔に押し出すスタンプ法などにより形成するようにしてもよい。このような方法によっても、スクリーン印刷と同様に導電性ペースト、導電性樹脂などからアスペクト比の高い導電性ピラー24を形成することができる。またメッキ法などにより金属からなる導電性ピラーを形成するようにしてもよい。いずれの場合でも、導電性ピラー24の高さ、径は、後述するように、形成するビア接続部の構成に応じて設定すればよい。
なお上述の導電性ピラーの形成方法は多層配線基板の層間接続を例にとって説明したが、例えば半導体素子などの電子部品の電極上にも全く同様の方法で形成することができる。
次に、このように形成した導電性ピラー24と第2の配線層23との接合形状を制御する方法について説明する。
図16は導電性ピラー24と絶縁層21との関係を概略的に示す図であり、参考例7の図14Bの状態に相当する。本発明者は、導電性ピラー24と第2の配線層23との接合形状は、導電性ピラー24の絶縁層21に埋まった部分と、絶縁層21の表面から突出した部分との質量の比、および、導電性ピラー24の塑性変形能などの物性値と関係することを実験により見い出だした。
例えば、配線層として電解銅箔を用い、導電性ピラー24の主要部を構成する導体フィラーとして銀の微粒子を用いた場合には、絶縁層21の厚さdに対して、導電性ピラー24の高さhを1〜5倍大きく、より好ましくは1.6〜4倍大きく設定することにより、導電性ピラー24と第2の配線層23の表面との接触角θの小さなノッチ効果を緩和するような接合形状を得ることができることがわかった。
ここで、導電性ピラー24の高さhを絶縁層21の厚さdよりも大きく設定するのは、次のような理由に基づくものである。例えば絶縁層21が熱硬化性樹脂の場合は、そのBステージからCステージへ硬化する際に厚さdは0〜30%程度収縮し、また、熱可塑性樹脂の場合は、軟化状態から固化することによってその厚さdは0〜15%程度収縮する。したがって、導電性ピラー24の高さhが、少なくとも絶縁層21の厚さの1.2倍を超える高さであれば、少なくとも先端部が絶縁層21の表面から突出することになる。この突出する部分は、第2の配線層23と圧着される際に塑性変形して接合形状を形成する部分である。そして導電性ピラー24の高さhが、絶縁層21の厚さdの1.2〜5倍、好ましくは1.6〜4倍程度であれば、第2の配線層23を破壊することなく、接触角θの小さい、ノッチ効果を緩和するような接合形状を得ることができる。
なお以上の説明は、層間接続する2層の配線層のどちらか一方に導電性ピラー24を形成する場合に適用される。
例えば、セミキュア状態の絶縁層21の両側から導電性ピラー24を対向させて貫通させて層間接続を形成する場合には、導電性ピラー24の高さhを絶縁層21の厚さdの0.8〜2倍程度の高さに設定することが好ましい。
図17は絶縁層21の両側から導電性ピラー24を対向させて第1の配線層22と第2の配線層23とを配置した様子を示す図であり、図18は絶縁層21の両側から導電性ピラー24を対向させて貫通させて形成した、本発明の多層配線基板の層間接続部の構造を模式的に示す図である。
一方、前述のように層間接続する2層の配線層のどちらか一方に導電性ピラー24を形成し、絶縁層21の片側から導電性ピラー24を貫通させて層間接続を形成する場合には、導電性ピラー24の高さhを絶縁層21の厚さdの1.6〜4倍程度の高さに設定することが好ましい。
〔参考例10〕
参考例8で製造した多層配線基板を切断して、導電性ピラー24の断面形状、導電性ピラー24と配線層22、23、27a、bと接触角度を観察した。導電性ピラー24の軸と平行な平面による断面形状はいずれもその外周面が略双曲面状の鼓型の形状を有していた。また接触角θはいずれ30〜80°までの角度範囲に分布していた。
上述のように製造した、9000個の導電性ピラー24を有する4層の多層配線基板を5枚用意し、これらの多層配線基板を288℃の半田浴に20秒間浸漬した後引き上げて配線抵抗の変化を試験評価した。測定した配線抵抗値は、テストの前と後では測定誤差範囲内であり、実質的な変化はなかった。同様のテストをさらに5回繰り返しても、抵抗値の有意な変化は認められなかった。
また、上述のように製造した、9000個の導電性ピラー24を有する4層の多層配線基板を5枚用意し、熱サイクル試験を行った。熱サイクル試験は多層配線基板を−65℃と+125℃にそれぞれ温度30分間ずつ放置するサイクルを3000サイクル繰り返した。試験前後の配線抵抗値には有意な変化は認められず、いずれも測定誤差の範囲内に分布していた。
比較のため、参考例7、参考例8で説明した製造方法により、導電性ピラー24の高さを、この導電性ピラー24の先端部が貫通する絶縁層21の厚さより小さくして(絶縁層21の熱硬化による収縮を考慮)4層の配線層を有する多層配線基板を製造した。絶縁層21、21b配線層22、23、27a、27b導電性ピラー24を含めてすべての材料も参考例7、参考例8と同じ材料を用いた。
配線回路も同じパターンに形成した。この多層配線基板を切断して、導電性ピラー24の断面形状、導電性ピラー24と配線層22、23、27a、27bと接触角度を観察した。導電性ピラー24の軸と平行な平面による断面形状は図11A、図11Bに示した形状であり。また接触角θは30〜150°までの範囲に分布していた。
この比較例の多層配線基板を、288℃の半田浴に20秒間浸漬した後引き上げて、配線抵抗の変化を試験したところ平均して95%のビア接続が断線状態となっていた。縦断して断面を観察したところ、導電性ピラー24と配線層22、23、27a、27bとの接合界面で剥離が発生していた。これは、半田浴による熱負荷で絶縁層21、21bが導電性ピラー24の軸方向に、導電性よりも大きく熱膨張するが、このとき比較例の多層配線基板の構造では、導電性ピラー24と配線層22、23、27a、bとの接合界面に、とくに導電性ピラー24の外側面と配線層との接合部のノッチに大きな応力(張力)が集中したためである。
〔参考例11〕
次に、導電性ピラー24の高さhおよび絶縁層21の厚さdとの関係について説明する。本発明者は、導電性ピラー24の高さdを変化させて本発明の多層配線基板を作成し、各種の試験を行った。
絶縁層21としては、厚さ約115μmのガラスクロス入りエポキシ樹脂プリプレグを用いた。一方、第1の配線層22および第2の配線層23としては、厚さ約35μmの電解銅箔を用いた。そして、導電性ピラー24として、銀の微粒子を導体フィラーとした導電性ペーストのスクリーン印刷、乾燥、硬化を繰り返して、導電性ピラー24の高さdの異なる6種類の多層配線基板を製造した。いずれの導電性ピラー24もほぼ円形の底面を有する略円錐形状を有しており、底面の直径は約250μmにした。高さdは100μm、140μm、200μm、300μm、570μm、および600μmとした。したがって、第1の配線層22と導電性ピラー24との接触角θはいずれの場合にも応力が集中しないような形状を有している。なお、絶縁層21は硬化の際に約20%程度収縮して、その厚さdは約100μmになるので、導電性ピラー24の突出分高さは、導電性ピラー24の高さhが100μmの場合には僅かに露出している程度であり、その他の場合は40μm、100μm、200μm、470μm、もしくは500μm程度となる。
このような導電性ピラー24を形成した第1の配線層22に、厚さ115μmのガラスクロス入りエポキシ樹脂プリプレグからなる絶縁層21を積層し、ステンレス板でプレスして頭部が塑性変形するように圧潰した。ついで厚さ約35μmの電解銅箔からなる第2の配線層23を積層配置し、加熱しながら加圧した。
絶縁層は加熱により硬化する一方、第1の配線層22と第2の配線層23とが導電性ピラー24で接続された。
このように製造した6種類の多層配線基板を切断し、導電性ピラー24を含む層間接続の構造をそれぞれ写真観察した。図19Aは導電性ピラー24の高さhを100μmに調節して製造した多層配線基板の層間接続の構造を、図19B、図19C、図19D、図19E、図19Fはそれぞれ導電性ピラー24の高さdを140μm、200μm、300μm、570μm、および600μmに調節して製造した多層配線基板の層間接続の構造を模式的に示す図である。
絶縁層21の厚さdよりも導電性ピラー24の高さhが小さい場合、図19Aに示すように、第2の配線層23との接合面積が十分でなかった。また、接触角θは90°より大きく、ほぼ100〜160°の範囲に分布していた。
一方、絶縁層21の厚さdよりも導電性ピラー24の高さhを大きく設定した場合(h=140μm、200μm、300μm、570μm、は、第2の配線層23との接合面積は十分であり。また、接触角θは90°より小さく応力が集中しにくい形状を有していた。接触角θはほぼ30〜80°の範囲に分布していた。
しかしながら、導電性ピラー24の高さhが絶縁層21の厚さよりも5倍を超える場合には(図19F)は、第2の配線層23が損傷を起こしている部分もあった。なお、第2の配線層を別の絶縁層21c上に形成し、高さhが600μmの導電性ピラー24と接続するビアランドに図2に例示したような応力解放手段を設けた多層配線基板を製造したところ、図19Fのような第2の配線層23の損傷は認められなかった(図19G)。なお導電性ピラー24は、その一部が絶縁層21cに貫入した貫入部24bを有していた。
さらに、図19Aから図19Fに示した多層配線基板の第1の配線層22および第2の配線層23を配線回路にパターニングし、約288℃の半田浴に20秒間浸漬した後引き上げる試験を行い、その前後における配線抵抗の変化を調べた。
導電性ピラー24の形成時の高さhを100μm、600μmに設定した多層配線基板では、試験後接続不良が認められ、導通が確保されている部分も抵抗値が増大していた。
一方導電性ピラー24の形成時の高さhを140〜570μmに設定した多層配線基板では、試験の前後での配線抵抗値には有意な変化は認められず、測定誤差範囲内に分布していた。同様の試験を5回繰り返しても配線抵抗値には有意な変化は認められず、測定誤差範囲内に分布していた。
これとは別に、図19Aから図19Fに示した多層配線基板の第1の配線層22および第2の配線層23を配線回路にパターニングし、20℃で20sec、260℃で5secの熱負荷サイクルを繰り返すホットオイル試験を行い、その前後における配線抵抗の変化を調べた。
導電性ピラー24の形成時の高さhを100μm、600μmに設定した多層配線基板では、試験後接続不良が認められ、導通が確保されている部分も抵抗値が増大していた。
一方導電性ピラー24の形成時の高さhを140〜570μmに設定した多層配線基板では、試験の前後での配線抵抗値には有意な変化は認められず、測定誤差範囲内に分布していた。同様の試験を5回繰り返しても配線抵抗値には有意な変化は認められず、測定誤差範囲内に分布していた。
また、10000箇所の導電性ピラーによる層間接続を有する本発明の多層配線基板(4層板)を製造した。この多層配線基板は、導電性ピラー24の外側面と配線層(ビアランド)表面との接続形状の多くは例えば図10A、図10B、図10Cに示したような形状を有しており、一部は図12A、図12Bに示したようなマクロスコピックな接触角θは90°より小さいが、ミクロスコピックな接触角ψは90°以上であるものも含まれていた。
この多層配線基板に前述のようなホットオイルテストを行い、層間接続の導通を調べたところ、すべての接続部で導通が確保されていた。また、試験の前後での配線抵抗値には有意な変化は認められず、測定誤差範囲内に分布していた。同様の試験を5回繰り返しても配線抵抗値には有意な変化は認められず、測定誤差範囲内に分布していた。
比較のため、図11A、図11Bに示したようなマクロスコピックな接触角θは90°よりおおきな接続形状を有する10000箇所の導電性ピラーによる層間接続を有する多層配線基板(4層板)を製造して、同じ試験を行ったところすべての接続部が導通不良になった。
このように、この多層配線基板は、応力が集中しないような導電性ピラーを備えた層間接続の構造を有しているため、実装工程や、使用環境などで熱負荷がかかる場合にも導電性ピラーと配線層との剥離、断線の発生を防止することができる。したがって、信頼性が高く、構造の簡単な多層配線基板を提供することができる。また本発明の多層配線基板は、スルーホールの数が少なく、もしくはスルーホールがなくてもよいので、電子部品の実装可能面積を拡大し、高密度実装に対応することができる。
また、この多層配線基板の製造方法によれば、生産性を低下させることなく、導電性ピラーと配線層との接合強度が向上した多層配線基板を製造することができる。本発明の多層配線基板の製造方法によれば、配線層間の電気的な接続を容易に、かつ確実に確保することができる。したがって信頼性の高い多層配線基板を低いコストで提供することができる。
この多層配線基板は、一般的な電子機器、パーソナルコンピュータなどの配線基板だけでなく、マルチチップモジュール(MCM)の配線基板、CSP(Chip Sized Package)の配線基板に用いることにより、接続の信頼性の向上、実装密度の向上を図ることができる。