本発明は、段取り替えに要する時間を短くして生産性を向上させたワークの切断装置に関する。
半導体装置の組立工程(後工程)には、半導体ウエハや樹脂封止基板等のワークを一括処理により切断して、多数の半導体装置(個片化ワーク)を得る切断工程(ダイシング加工工程)がある。続いて、切断工程の後には、洗浄工程や検査工程等が実行される。
ワークの切断を行う切断装置では、ワークによって加工時間が異なるが、開発の盛んな半導体装置の切断においては切断対象の変更も頻繁であり、ワークの加工時間も頻繁に変化する。このため、ワーク切断能力をワークに柔軟に対応させる必要があり、その時々に応じて切断効率を向上させたいという要求が生じることがある。
例えば、特許文献1には、電子部品製造用の個片化装置が開示されている。本文献には、個片化装置におけるオプション部として、個片化部の切断機構と同じ切断機構を有するモジュールを装着することにより、個片化する際の効率を向上させることが開示されている。また、特許文献2には、ウエハを個々のチップにダイシングするダイシング装置に関し、2つの切断部ユニットを左右対称に配置したダイシング装置が開示されている。
このように、切断部を2つ設けることにより、ワーク切断時における効率をある程度は改善することができる。
特開2008−153565号公報
特開2002−280328号公報
しかしながら、上述の切断装置では、例えば、多品種のワークを切断する場合、切断部の段取り替えの必要があるため、ワーク切断時における効率を十分に向上させることができない。
多品種のワークを効率良く切断するには、その品種に応じて、切断装置を構成するユニットの種類や個数を柔軟に変更することが必要である。また、ワークの加工目的に応じて、切断装置を構成するユニットを変更する必要もある。
そこで本発明は、段取り替えに要する時間を短くして生産性を向上させた切断装置を提供する。
本発明の一側面としての切断装置は、ワークを切断する切断装置であって、前記ワークを供給する供給部と、切断刃により前記ワークを切断して、前記ワークを複数の個片化ワークに分割する加工部と、前記複数の個片化ワークを収納する収納部と、前記ワークを前記供給部から前記加工部へ搬送するローダと、前記複数の個片化ワークを前記加工部から前記収納部へ搬送するアンローダとを有し、前記供給部、前記加工部、及び、前記収納部は、着脱可能に直列に配置されており、前記ローダは第1接続部材によりワーク保持動作用の駆動源に接続されており、前記第1接続部材の長さを変えることにより前記ローダの搬送範囲は可変であり、前記加工部は、該加工部を構成するユニットの個数が変更可能であり、各ユニットには前記ワーク保持動作用の駆動源が設けられ、前記ローダは、前記ユニットの個数が増減する際に、前記第1接続部材の接続先を変更可能に構成されている。
本発明のその他の目的及び効果は、以下の実施例において説明される。
本発明によれば、段取り替えに要する時間を短くして生産性を向上させた切断装置を提供することができる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
まず、本発明の実施例1における切断装置の構成について説明する。本実施例の切断装置は、切断装置を構成する複数のユニットの種類や数を任意に変更して構成することができる。本実施例では、図1乃至図8及び図12を参照して、本実施例の一例としての切断装置について説明する。
図1(a)は、本実施例の一例としての切断装置1の概略構成図である。また、図2(a)は、切断装置1における搬送手段の概略構成図である。
切断装置1は、半導体ウエハや樹脂封止基板等のワーク10を切断することにより、複数の個片化ワーク11(個片化された半導体装置)を製造する装置である。本実施例において、1つのワーク10から12個の個片化ワーク11が製造されるが、これらに限定されるものではない。単数又は複数のワークから12個以外の個片化ワークを製造することもできる。
図1(a)に平面配置が示されるように、切断装置1は、供給部100、加工部200、及び、収納部300から構成されている。
供給部100内の搬入部120に外部から搬入されたワーク10は、不図示の搬送手段により供給部100のトレイ20へ搬送され、その上に載置される。供給部100内のトレイ20に載置されたワーク10は、X軸方向に移動可能なローダ40(ワーク搬送手段)により加工部200へ順次搬送されて供給される。
図2(a)に正面配置が示されるように、ワーク10は、ローダ40(ワーク搬送手段)によりX軸方向へ搬送される。ローダ40は、下面に吸着部を有し、不図示の真空ポンプにより空気を吸引することにより、トレイ20上に載置されたワーク10を吸着部で吸着する。このように、トレイ20上のワーク10は、ローダ40の吸着部によりZ軸方向に吸い上げられる。
ローダ40の吸着部に吸着されたワーク10は、ローダ40によりそのままX軸方向へ搬送される。ローダ40は、ワーク保持動作用の駆動源である真空ポンプとの接続部材(第1接続部材)である管路を収容したプラチェーン42に接続されることで、その管路を介して真空ポンプに接続されている。また、ローダ40は、供給部100と収納部300との間に架設された梁状の軌道400(図2)に吊り下げ支持されており、軌道400に沿ってX軸方向に移動可能に構成されている。例えば、この軌道400は、ローダ40及び後述するアンローダを吊り下げ支持するガイド、及び、ベルトやチェーンやラックアンドピニオンを用いた不図示の駆動機構を複数備えることによって、X軸方向において別個に移動可能に構成されている。
ワーク10を吸着したローダ40は、加工部200上に到達すると、真空ポンプによるワーク10の吸引を止め、ワーク10を加工部200に受け渡す。
なお、ワーク10が加工部200へ搬送された後、搬入部120から搬入された新たなワーク10がトレイ20の上に載置される。
加工部200は、レーザ加工部210、面取り切削部220、切断部230の3つのユニット、及び、不図示の主制御部から構成される。供給部100から加工部200へ搬送されたワーク10は、これらの複数(本例では3つ)のユニットを順に通過して所定の加工が行われることにより、複数の個片化ワーク11を得ることができる。
図1(a)に示されるように、レーザ加工部210は、ワーク10のレーザ加工を行うためのレーザ加工装置50、ステージ31、及び、不図示の制御部を有する。
図3(a)は、本実施例におけるレーザ加工装置50によりワーク10を加工している状態を示している。図3(a)に示されるように、レーザ加工装置50は、レーザ光Lをワーク10の表面に向けて射出し、ワーク10に所定の加工を行う。
供給部100から搬送されたワーク10は、まず加工部200において、供給部100側に配置されたレーザ加工部210内のステージ31(レーザ加工ステージ)の上に載置される。ステージ31は、1個のワーク10を保持可能であると共に、レーザ加工部210内において、図1(a)中のY軸方向(矢印方向)に移動可能に構成されている。
ステージ31は、ワーク10の引受け位置においてワーク10が載置されると、ワーク10のレーザ加工を行うため、ワーク10の引受け位置からレーザ加工装置50へY軸方向(同図の上方向)に移動する。レーザ加工装置50は、ワーク10の曲線切削加工等を行うが、これに限定されるものではない。不図示の制御部は、装置全体を総括的に制御する主制御部の制御下において、レーザ加工部210におけるステージ31及びレーザ加工装置50の各動作を制御する。
ワーク10は、レーザ加工装置50による加工が完了すると、レーザ加工がなされたワーク10aとなる。ワーク10aを載置したステージ31は、レーザ加工装置50からY軸方向(同図の下方向)に移動してワーク10aの引渡し位置(ワーク10の引受け位置)へ戻る。
図1(a)のレーザ加工部210には、ワーク10aの引渡し位置において、レーザ加工後のワーク10aがステージ31の上に載置されている状態が示されている。なお、本実施例及び後述する実施例において、各ユニットにおけるワークの加工前の引受け位置とワークの加工後の引渡し位置とが同一位置の構成について説明するものであっても、必要に応じてこれらの位置が異なるように構成してもよい。
次に、レーザ加工後のワーク10aは、X軸方向に搬送可能なローダ40により、面取り切削部220へ搬送される。
図2(a)に示されるように、ワーク10aは、ローダ40によりさらにX軸方向へ搬送される。上述と同様に、ローダ40は、ステージ31上に載置されたワーク10aを吸着部でZ軸方向に吸い上げて吸着する。
ローダ40の吸着部に吸着されたワーク10aは、ローダ40によりそのままX軸方向へ搬送される。ワーク10aを吸着したローダ40は、レーザ加工部210に隣接する面取り切削部220内のステージ32上に到達すると、真空ポンプによるワーク10aの吸引を止め、ワーク10aをステージ32上に載置する。
図1(a)に示されるように、面取り切削部220は、ステージ32(面取り切削ステージ)、スピンドル61、62、切断刃71、72、不図示の撮像装置、及び、不図示の制御部を有する。
図3(b)は、本実施例における面取り切削部によりワークを加工している状態を示した要部拡大図である。図3(b)に示されるように、例えばモータを主体に構成されるスピンドル61の回転軸の先端には、切断刃71が取り付けられている。スピンドル61(回転軸)の回転とともに切断刃71も回転し、ステージ32上に載置されたワーク10aの面取りのための彫り込み切削が行われる。なお、これらと対面するように設けられたスピンドル62及び切断刃72も同様の構成および動作となっている。また、本図は面取り切削部の概略構成を示しているが、切断部の概略構成も同様である。
ステージ32は、1個のワーク10aをエア吸着保持可能であると共に、図1(a)中のY軸方向(矢印方向)に移動可能に構成されている。ステージ32は、ローダ40からワーク10aを引受けた後、スピンドル61、62のそれぞれの先端部に取り付けられた切断刃71、72でワーク10aの面取り切削加工を行うため、Y軸方向(同図の上方向)に移動する。また、ステージ32は、面取り切削加工後にはワーク10aを面取り切削して形成されたワーク10bを切断部230へ搬送するため、Y軸方向(下方向)に移動する。
また、ステージ32は、XY平面内で回転可能に構成されている。このため、ステージ32に載置されたワーク10aの切削方向を任意に設定することができる。ステージ32における回転位置は、不図示の撮像装置から得られた位置情報に基づいて制御される。撮像装置は、例えば一方のスピンドル61に取り付けられており、ワーク10aの面取り切削を行う前にワーク10aと切断刃71、72との間の位置合わせを行うために設けられている。撮像装置により取得されたワーク10aの位置情報に基づいて、ワーク10aと切断刃71、72との間の位置合わせが行われるため、ワーク10aの面取り切削を高精度に行うことができる。
スピンドル61、62の回転軸が回転することにより、その先端部に取り付けられた切断刃71、72が回転し、ワーク10aの面取り切削を行うことが可能となる。また、スピンドル61、62はX軸方向(左右方向)に移動可能に構成されており、ワーク10aの面取り切削位置をX軸方向において変えることができる。
不図示の制御部は、主制御部の制御下において、面取り切削部220におけるステージ32、スピンドル61、62、切断刃71、72、及び、不図示の撮像装置の各動作を制御する。
本実施例の面取り切削部220には、互いに向かい合うようにスピンドル61、62の先端に取り付けられた切断刃71、72の2つの切断刃が設けられている。複数の切断刃を設けることにより、ワーク10aの面取り切削時間を短縮し、生産性を向上させることが可能となる。
ステージ32の上に載置されたワーク10aは、切断刃71、72により面取り切削される。なお、面取り切削部220では、ワーク10aは切断刃71、72を用いて加工されるため、主にワーク10aの直線加工が行われる。
また、 図1(a)に示されるように、加工部200において、面取り切削部220の隣には切断部230が配置されている。切断部230は、ステージ33(切断ステージ)、スピンドル63、64、切断刃73、74、及び、不図示の撮像装置を備えており、取り付けられた切断刃の種類及びステージ33の構造以外の構成は、面取り切削部220と同様である。
図4は、本実施例におけるワーク10の加工領域の一例を示す平面図である。2本の破線401で挟まれた格子状の狭い領域は、切断部230により切断される部分である。図4(a)に示されるように、本実施例では、1つのワーク10が切断されて個片化されることにより、縦4個、横3個の計12個の加工済み製品である個片化ワーク11が形成される。なお、個片化ワーク11は、例えばメモリカード等のように個片化によって加工が完了するものでもよく、また、後の工程でさらに加工される半導体チップのような半製品でもよい。
図4(b)において、曲線402で囲まれた円弧状の狭い領域は、レーザ加工部210による曲線切削が行われる部分である。また、一点鎖線403で挟まれた帯状の領域413は、面取り切削部220により面取り切削(彫り込み切削)がなされる端部である。
図5は、本実施例における切断刃の一例を示す断面図である。図5(a)は面取り切削部の切断刃71、72の先端部を示し、図5(b)は切断部の切断刃73、74の先端部を示している。
図5(a)に示されるように、切断刃71、72は、ワーク10aの面取り切削を行うため、厚み方向において所定の傾斜角に傾斜した先端部710を有している。このような切断刃71を用いてワーク10aの面取り切削を行うことにより、ワーク10aには、領域413(面取り部)として表される傾斜面(C面)が形成される。
また、図5(b)に示されるように、切断刃73、74は、ワーク10bを切断するため、切断刃71、72よりも鋭利で厚み方向において均一な直径の先端部730を有している。この切断刃73、74が破線401で囲まれた格子状の領域411を切削することにより、ワーク10bは切断される。なお、切断部の詳細については後述する。
図6は、本実施例における切断刃の他の一例を示す断面図である。図6(a)及び図6(b)のいずれも面取り切削部220における切断刃の変形例である。図6(a)に示される切断刃71aは、中央が突起するような先端部711を備えることにより、ワーク10aにVノッチ(面取り部)を形成する。また、図6(b)に示される切断刃71bは、厚み方向において均一な直径の先端部712をワーク厚以下の深さで切削することにより、ワーク10aに平切断部(ハーフエッジ)を形成する。これらの切削加工が行われたワークを切断して個片化することでワークの端面にVノッチ加工やハーフエッジ加工を容易に行うことが可能となる。また、切断刃としては形状が異なるもののみならず、ワークの切削部位の材質毎にその材質の切削(切断)に適した切断刃を個別に用いる構成を採用することもできる。例えば一方のスピンドルに樹脂切断用の切断刃を取り付けると共に他方のスピンドルに金属切断用の切断刃を取り付けてもよい。
ワーク10aは、面取り切削されたことにより、ワーク10bとなる。面取り切削後、ワーク10bを載置したステージ32は図1(a)中のY軸方向(同図の下方向)へ移動する。
図1(a)の面取り切削部220には、ワーク10bの引渡し位置において、面取り切削後のワーク10bがステージ32の上に載置されている状態が示されている。
次に、面取り切削後のワーク10bは、X軸方向に搬送可能なローダ40により、切断部230へ搬送される。
図2(a)に示されるように、ワーク10bは、ローダ40によりさらにX軸方向へ搬送される。上述と同様に、ローダ40は、ステージ32上に載置されたワーク10bを吸着部でZ軸方向に吸い上げて吸着する。なお、ローダ40は、搬送するワーク10、10a、10bが切断されていない状態であるため、1個のワークを吸着することができればよい。このため、ローダ40の保持構造も簡易な構成でよく、ローダ40用の駆動源としての真空ポンプを用いない構成も採用することができる。
ローダ40の吸着部に吸着されたワーク10bは、ローダ40によりそのままX軸方向へ搬送される。ワーク10bを吸着したローダ40は、切断部230内のステージ33上に到達すると、真空ポンプによるワーク10bの吸引を止め、ワーク10bをステージ33上に載置する。
切断部230は、切削部220の面取り切削に替えて、面取り切削されたワーク10bを切断刃73、74で切断して12個の個片化ワーク11に個片化する。具体的には、切断部230では、破線401で挟まれた領域として図示される格子状のストリートに沿って、切断刃73、74でワーク10bを切断することにより、4行3列の個片化ワーク11に分割する。このように、複数個の個片化ワーク11を保持しなければならないため、ステージ33は、各個片化ワーク11を個別に吸着保持可能に構成されている。
図7は、本実施例における加工部により切削及び切断されたワークを示す平面図及び側面図である。図7(a)は切断前のワークであり、面取り切削後の状態を示している。また、図7(b)は複数の個片化ワーク11に分割された切断後のワークを示している。切断後、複数の個片化ワーク11を載置したステージ33は図1(a)中のY軸方向(同図の下方向)へ移動する。
図1(a)の切断部230には、複数の個片化ワーク11の引渡し位置において、12個の個片化ワーク11がステージ33の上に載置されている状態が示されている。
次に、アンローダ41(個片化ワーク搬送手段)は、ステージ33の上に載置された12個の個片化ワーク11を吸着してX軸方向へ移動し、12個の個片化ワーク11を収納部300へ搬送する。
図8(a)は、本実施例の切断装置により分割された個片化ワークの一例を示す平面図である。また、図8(b)は、本実施例におけるアンローダの要部断面図である。
図8(b)に示されるように、アンローダ41は、複数の個片化ワーク11のそれぞれを吸着するための吸着部430を有する。吸着部430は、個片化ワーク11を吸着保持可能とするため、例えばゴムなどの弾性体で構成されている。また、吸着部430には、吸引孔425が個片化ワーク11の個数だけ設けられている。このため、本実施例では、12個の吸引孔425が設けられている。図8(b)では、図8(a)中の横に3個並んだ個片化ワーク11を吸着する箇所を表しているため、3個の吸引孔425が示されている。
アンローダ41は、12個の個片化ワーク11を吸引するための複数の吸引孔425がそれぞれ独立して設けられている。不図示の真空ポンプを用いて、吸引孔425における空気を吸引することにより、個片化ワーク11を吸着部430に吸着することができる。
図2(a)に示されるように、複数の個片化ワーク11は、アンローダ41(個片化ワーク搬送手段)によりX軸方向へ搬送される。アンローダ41は、個片化ワーク保持動作用の駆動源である真空ポンプとの接続部材(第2接続部材)である管路を収容したプラチェーン43に接続されることで、その管路を介して真空ポンプに接続されている。また、アンローダ41は、ローダ40と同様に上述の軌道400に吊り下げ支持されており、不図示の駆動手段によって軌道400に沿ってX軸方向に移動可能に構成されている。アンローダ41は、ローダ40とは異なり上述のような複雑な形状であり、より多くのワークを吸着可能な吸着部を有する。アンローダ41は、不図示の真空ポンプにより空気を吸引することにより、ステージ33上に載置された複数の個片化ワーク11を吸着部430で吸着する。
この場合、吸着部430における12個の吸引孔425は、例えば全体の落下防止のために、複数の管路を介して真空ポンプに接続されている。12個の個片化ワーク11のそれぞれは、12個の吸引孔425の直下にそれぞれに吸着される。なお、吸引孔425のそれぞれを独立した真空ポンプに接続して、それぞれ独立して動作可能させることもできる。また、アンローダ41では、吸着個数が多いため、全ての個片化ワーク11の確実な保持、及び、アンローダの保持部における構成の簡素化する必要があり、真空ポンプを用いたエア吸着による構成が採用されている。
ただし、本実施例のアンローダはこれに限定されるものではなく、12個以外の個片化ワークを搬送するように構成してもよい。吸引孔の個数は、搬送する個片化ワークの個数に応じて適宜変更される。
このように、ステージ33上の複数の個片化ワーク11は、アンローダ41の吸着部によりZ軸方向に吸い上げられる。アンローダ41の吸着部に吸着された複数の個片化ワーク11は、アンローダ41によりX軸方向へ搬送される。複数の個片化ワーク11を吸着したアンローダ41は、軌道400に沿って移動して軌道400端の収納部300内の所定位置の上に到達すると、真空ポンプによる複数の個片化ワーク11の吸引を止め、個片化ワーク11をその位置に載置する。
例えば、本実施例では、アンローダ41は、収納部300内に設けられた洗浄・検査部90(洗浄・検査ステージ)に複数の個片化ワーク11を載置する。
収納部300内に設けられた洗浄・検査部90は、洗浄部と検査部とを備える。洗浄部は、切断部230から搬送された複数の個片化ワーク11の切断面等を洗浄する。また検査部は、複数の個片化ワーク11の一つ一つについて、外観検査や導通検査等の検査を実施し、それぞれの個片化ワーク11が良品か否かを判定する。検査に合格した個片化ワーク11は、トレイ24の中に収納される。
このように、本実施例では、ワークをX軸方向に搬送するローダ40、及び、個片化ワーク11をX軸方向に搬送するアンローダ41が設けられている。
このように、ローダ40は、供給部100と切断部230との間で1個のワークを搬送し、アンローダ41は、切断部230と収納部300との間でローダ40の搬送個数より多い複数個の個片化ワークを搬送する。図1(a)及び図2(a)に示されるように、ローダ40の搬送範囲はR1で表され、アンローダ41の搬送範囲はR2で表される。この場合、ローダ40の搬送範囲R1は、ローダ40が供給部100と複数のユニットとの間を移動しなければならないため、供給部100と切断部230との間のみを移動するアンローダ41の搬送範囲R2よりも広い。換言すれば、ローダ40の移動距離のほうがアンローダ41よりも長くなっている。
切断部230は、面取り切削部220と収納部300との間に配置されて、収納部300に隣接するように配置されている。すなわち、切断部230は、加工部200を構成する複数のユニットのうち、収納部300に最も近い位置に配置されている。このため、一度に複数の個片化ワーク11を搬送するアンローダ41の搬送範囲を小さくすることができ、切断装置1の安定化を図ることが可能となる。また、アンローダ41の搬送範囲R2を狭くすることで、アンローダ41における真空ポンプと吸着部430とを接続する管路の距離を短くすることができるため、管路長の増加に起因する吸着部430における吸着動作の遅れを抑えることが可能となる。
次に、本実施例の他の一例としての切断装置の構成について説明する。図1(b)は、本実施例の一例としての切断装置1aの概略構成図である。また、図2(b)は、切断装置1aにおける搬送手段の概略構成図である。なお、切断装置1aの基本的構成は切断装置1と同様であるため、切断装置1と同様な部分についての説明は省略する。
切断装置1aは、レーザ加工部210と切断部231からなる加工部201を有する。切断装置1aは、切断部231において、ワークの面取り切削を行うとともに、ワークの切断も行う。
図1(b)に示されるように、切断部231は、取り付けられる切断刃を除いて切断部230と同様の構成となっており、ステージ33(切断ステージ)、スピンドル63a、64a、切断刃73a、74a、不図示の撮像装置、及び、不図示の制御部を有する。
切断装置1aによる切断加工の際には、ローダ40は、レーザ加工がなされたワーク10aを、レーザ加工部210から切断部231に直接搬送する。切断部231は、レーザ加工がなされたワーク10aをローダ40から引受けた後、スピンドル63a、64aのそれぞれの先端部に取り付けられた切断刃73a、74aでワーク10aに対して面取り切削及び切断を行う。
具体的には、切断部231では、最初に、切断刃73aによりワーク10aの面取り切削が行われる。切断刃73aとしては、例えば、図5(a)に示されるような切断刃71、72と同じものが用いられる。
切断刃73aによるワーク10aの面取り切削が完了した後、切断刃74aにより面取り切削後のワーク10bが切断される。切断刃74aとしては、例えば、図5(b)に示されるような切断刃73、74と同じものが用いられる。
このように、図1(b)に示される切断装置1aによれば、単一のユニットである切断部231内において、ワークの面取り切削及び切断の両方が実行される。すなわち、切断装置1aは、切断装置1における面取り切削部220及び切断部230の2個のユニットの代わりに、切断部231の1個のユニットが組み込まれた構成となっている。図1(b)の切断装置1aによれば、図1(a)の切断装置1と同様の加工を省スペースで実行することが可能となる。
この場合、ローダ40は、供給部100から切断部231までの間でワークを搬送し、アンローダ41は、切断部231と収納部300との間で個片化ワークを搬送する。すなわち、ローダ40は、供給部100からレーザ加工部210へのワーク10の搬送とレーザ加工部210から切断部231へのワーク10aの搬送との2種の搬送のみが割り当てられている点で切断装置1のローダ40とは異なる。一方、アンローダ41は、切断部231から収納部300への複数の個片化ワーク11の搬送が割り当てられており、切断装置1のアンローダ41と同様である。したがって、図1(b)及び図2(b)に示されるように、ローダ40の搬送範囲はR3で表され切断装置1のローダ40とは異なるが、アンローダ41の搬送範囲はR2で表され切断装置1のアンローダ41と同様となる。
図2(b)に示されるように、切断装置1aの加工部201は、レーザ加工部210及び切断部231の2つのユニットから構成されている。このため、3つのユニットで構成される加工部200を備えた切断装置1に比べて、ローダ40の移動距離は短い。すなわち、切断装置1aにおけるローダ40の搬送範囲R3は、切断装置1におけるローダ40の搬送範囲R1より小さい。したがって、切断装置1aのプラチェーン42a及びその内部に収容される管路は、切断装置1のそれらより短くてよい。この場合、切断装置1を製造する際には、予め短い接続部材を用いればよく、省いたユニットの幅分だけプラチェーンや管路を短くすればよい。また、必要に応じて軌道400の長さも調整する。一方、実施する加工に必要に応じてユニット数を調整するときには、これらを適宜の長さのものに交換すればよい。
このように、本実施例では、プラチェーンの長さを調整すると共に管路や軌道400を適切な長さのものに切り替える程度の簡易な作業により、ローダ40の搬送範囲は可変である。このため、本実施例の切断装置においては、任意の個数のユニットを用いて加工部を構成することができる。したがって、切断装置の製造時においては、共通設計のユニットを用意しておいて必要に応じてユニットを追加すると共にプラチェーンなどの長さを伸縮させて適宜の長さとすることで容易にユニットを増減できる。
図12は、本実施例の切断装置におけるプラチェーンの概略構成図である。図12(a)はプラチェーンを含む搬送手段の概略構成図であり、図12(b)はプラチェーンの要部拡大図である。
図12(a)、図12(b)に示されるように、プラチェーン42は、複数の筒状部材を開口部同士で連結することで形成され、例えば切断部230の真空ポンプに接続された基端部から供給部100に向けて延在し、その延在方向とは反対方向に途中で折れ曲がって延在するように構成されている。一方、プラチェーン43は、プラチェーン42と同様の構成を有し、例えば切断部230の真空ポンプに接続された基端部から収納部300に向けて延在し、その延在方向とは反対方向に途中で折れ曲がって延在するように構成されている。また、プラチェーン42、43の下側にはその先端部側の垂れ下りを防止するために梁状の支え部材が架設されている。これにより、プラチェーン42、43は、その先端部が接続されたローダ40またはアンローダ41の移動に応じて基端部よりも下側に設けられた先端部がそれぞれの長さよりも短い範囲でX軸方向において移動させられる。したがって、プラチェーン42、43内に収容した管路を保護しながら切断装置内を自由に取り回すことが可能となっている。
この場合、プラチェーン42の一方の端部E1における筒状部材を取り外して組み直すことにより、図2(a)のプラチェーン42の長さ(換言すれば、ローダ40の搬送範囲)は、図2(b)のプラチェーン42aの長さに変更することができる。この場合、プラチェーン42の長さは短くなるが、逆にプラチェーンの端部に筒状部材を加えることにより、プラチェーン42を長くすることも可能である。なお、内部に収容する管路も併せて長さを伸縮させるように調整する。一方、管路の構造が複雑なアンローダ41側の長さ調整は不要のため、簡易にユニット数の増減に対応することができる。
本実施例では、供給部、加工部、及び、収納部は、それぞれ着脱可能に直列に配置されている。加工部を構成するユニットの個数も適宜変更可能である。そして、ローダ側のプラチェーンなどの長さを変えることにより、ローダの搬送範囲も加工部の構成に応じて可変にすることができる。
このように、本実施例によれば、ワークの品種や加工目的に応じて、切断装置を構成するユニットの種類や個数を柔軟に変更することができる。従って、本実施例によれば、段取り替えに要する時間を短くして生産性を向上させると共に、装置自体の製造時間も短縮可能な切断装置を提供することが可能となる。
次に、本発明の実施例2における切断装置の構成について説明する。
本実施例の切断装置は、ワークを搬送するための独立したワーク搬送部を有する。また、ワークの搬入部又は個片化ワークの搬出部の位置を適宜変更して構成することができる。
図9(a)は、本実施例の一例としての切断装置2の概略構成図である。また、図9(b)は、本実施例の他の一例としての切断装置2aの概略構成図である。なお、本図及び後述する各図において、先に説明した実施例と同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
図9(a)に示されるように、切断装置2は、供給部101、加工部202、収納部300、ワーク搬送部500、及び、不図示の主制御部から構成されている。このように、本実施例の切断装置2は、供給部101及び加工部202とは別に独立したワーク搬送部500が設けられている点で、実施例1の切断装置1、1aとは異なる。
供給部101内のワーク10は、不図示の搬送手段によりワーク搬送部500内のトレイ20へ搬送され(矢印方向)、その上に載置される。供給部100内のトレイ20に載置されたワーク10は、X軸方向に移動可能なローダ(ワーク搬送手段)により、ワーク搬送部500の内部においてX軸方向(矢印方向)に搬送される。ローダの構成は実施例1と同様である。
加工部202は、レーザ加工部212、面取り切削部222、及び、切断部232の3つのユニットから構成される。供給部101から加工部202へ搬送されたワーク10は、これらの3つのユニットを順に通過して所定の加工が行われることにより、複数の個片化ワーク11を得ることができる。
図9(a)に示されるように、レーザ加工部212は、ワーク10のレーザ加工を行うためのレーザ加工装置50、ステージ34(レーザ加工ステージ)、及び、不図示の制御部を有する。
ステージ34は、実施例1のステージ31とは異なり、レーザ加工部212とワーク搬送部500との間を移動可能に構成されている。ステージ34は、ワーク10が載置されていない状態において、ワーク搬送部500内の所定位置(ワーク10の引受け位置)に待機する。ローダは、ワーク搬送部500内においてワーク10をX軸方向へ搬送し、ステージ34が待機する所定位置(ワーク10の引受け位置)の上方に到達すると、吸着していたワーク10を離してステージ34の上に載置する。
ローダからワーク10を受け取ったステージ34は、ワーク10のレーザ加工を行うため、ワーク10を載置した状態でY軸方向へ移動する。
レーザ加工装置50による加工が完了すると、レーザ加工がなされたワーク10aを載置したステージ34は、ワーク搬送部500内におけるワーク10aの引渡し位置(ワーク10の引受け位置)へY軸方向(下方向)に移動する。
次に、レーザ加工後のワーク10aは、ワーク搬送部500内において、ローダにより面取り切削部222へ搬送される。
図9(a)に示されるように、面取り切削部222は、ステージ35(面取り切削ステージ)、スピンドル61、62、切断刃71、72、不図示の撮像装置、及び、不図示の制御部を有する。
ステージ35は、実施例1のステージ32とは異なり、面取り切削部222とワーク搬送部500との間を移動可能に構成されている。ステージ35は、ワーク10aが載置されていない状態において、ワーク搬送部500内の所定位置(ワーク10aの引受け位置)に待機する。ローダは、ワーク搬送部500内においてワーク10aをX軸方向へ搬送し、ステージ35が待機する所定位置(ワーク10aの引受け位置)の上方に到達すると、吸着していたワーク10aを離してステージ35の上に載置する。
ローダからワーク10aを受け取ったステージ35は、ワーク10aの面取り切削を行うため、ワーク10aを載置した状態でY軸方向(上方向)へ移動する。
面取り切削が完了すると、面取り切削されたワーク10bを載置したステージ35は、ワーク搬送部500内におけるワーク10bの引渡し位置(ワーク10aの引受け位置)へY軸方向(下方向)に移動する。
次に、面取り切削後のワーク10bは、ワーク搬送部500内において、ローダにより切断部232へ搬送される。
図9(a)に示されるように、切断部232は、ステージ36(切断ステージ)、スピンドル63、64、切断刃73、74、不図示の撮像装置、及び、不図示の制御部を有する。
ステージ36は、実施例1のステージ33とは異なり、切断部232とワーク搬送部500との間を移動可能に構成されている。ステージ36は、ワーク10bが載置されていない状態において、ワーク搬送部500内の所定位置(ワーク10bの引受け位置)に待機する。ローダは、ワーク搬送部500内においてワーク10bをX軸方向へ搬送し、ステージ36が待機する所定位置(ワーク10bの引受け位置)の上方に到達すると、吸着していたワーク10bを離してステージ36の上に載置する。
ローダからワーク10bを受け取ったステージ36は、ワーク10bを切断するため、ワーク10bを載置した状態でY軸方向(上方向)へ移動する。
本実施例の切断部232には、実施例1と同様に、一対のスピンドル63、64及び一対の切断刃73、74が設けられている。
ステージ36の上に載置されたワーク10bは、切断刃71、72により切断される。
ワーク10bの切断が完了すると、個片化ワーク11を載置したステージ36は、切断部232内における個片化ワーク11の引渡し位置へY軸方向(下方向)に移動する。このように、本実施例では、個片化ワーク11の引渡し位置は、ワーク10bの引受け位置とは異なる。
次に、アンローダ(個片化ワーク搬送手段)は、上述の実施レイと同様の軌道に沿って移動可能に構成され、ステージ36の上に載置された個片化ワーク11を吸着してX軸方向へ移動し、収納部300へ搬送する。本実施例では、アンローダは、収納部300内に設けられた洗浄・検査部90(洗浄・検査ステージ)に複数の個片化ワーク11を載置する。アンローダの構成は実施例1と同様である。
切断装置2において、ローダはワーク搬送部501内に設けられた軌道に沿ってワークを搬送するのに対し、アンローダは加工部204と収納部301との間に設けられた別の軌道に沿って個片化ワークを搬送する。このため、ローダによるワークの受渡位置とアンローダによる個片化ワークの受渡位置は、平面位置及び長さが互いに異なるそれぞれの軌道によって規定される直線上に配置されている。
収納部300内に設けられた洗浄・検査部90では、実施例1と同様に、洗浄及び検査が行われる。このように、本実施例によれば、上述の実施例と同様な構成による作用効果の他にも、ワーク搬送部500を供給部101、加工部202及び収納部300とは別体構成にしたため、それぞれ独立させた設計にすることができ、組立時にはユニット同士を単に組み立てるだけで簡易に組み立てることができる。また、供給部101及び収納部300に対する操作と加工部202による加工の視認とを装置の同じ面側から行うことができ、使用者の利便性を向上させることができる。
本実施例においても、実施例1と同様に、ワークの品種や加工目的に応じて、切断装置を構成するユニットの種類や個数を柔軟に変更することができる。このとき、ローダを保持して移動させるためのプラチェーン及びワーク搬送部500は、それらの長さが調節可能に構成されている。
図9(b)に示される切断装置2aは、ワークを外部から搬入するための搬入部120(供給部)及び個片化ワーク11を搬出するための搬出部320を同一側に配置している点で、図9(a)の切断装置2とは異なる。
具体的には、図9(b)に示されるように、ワーク10は外部から搬入部120を介してワーク搬送部501内のトレイ20に載置され、その後は図9(a)の切断装置2と同様な加工が実行される。切断部232で切断された個片化ワーク11は、洗浄及び検査が行われて、切断装置2aの手前側に設けられた搬出部320から搬出される。
このように、本実施例の切断装置2aでは、上述の実施例と同様な効果の以外にも、搬入部120(供給部)及び搬出部320の両方が使用者側(図2(b)中の下側)に配置されているため、ハンドリングが容易となり、使用者の利便性を向上させることができる。
次に、本発明の実施例3における切断装置の構成について説明する。本実施例の切断装置では、収納部の構成が上記各実施例とは異なる。
図10(a)は、本実施例の一例としての切断装置3の概略構成図である。また、図10(b)は、本実施例の他の一例としての切断装置3aの概略構成図である。
図10(a)に示されるように、切断装置3の構成は、収納部302を除いて、実施例1の切断装置1aと同様である。
切断装置3の収納部302は、洗浄部95、乾燥部96、検査部97、トレイ98、搬出領域99から構成されている。
洗浄部95は、切断部231から搬送された複数の個片化ワーク11の切断面等を洗浄する。また乾燥部96は、洗浄部95で洗浄された複数の個片化ワーク11を乾燥させる。
検査部97は、複数の個片化ワーク11の一つ一つについて、外観検査や導通検査等の検査を実施し、それぞれの個片化ワーク11が良品か否かを判定する。検査部97は回転可能な検査テーブルを備え、複数の個片化ワーク11の検査は、この検査テーブル上にて行われる。この場合、個片化ワーク11は、検査テーブルによって向きを変えられて、検査に合格した個片化ワーク11は、トレイ98の中に収納され、搬出領域99を介して収納部302の手前側(使用者側)から取り出される。
このように、本実施例の切断装置3では、搬出領域99が収納部302の手前側(使用者側)に配置されているため、ハンドリングが容易となり、使用者の利便性を向上させることができる以外にも、必要に応じて個片化ワーク11の向きを適宜変えて収納することができ、個片化ワーク11を後の工程で扱い易いようにトレイ98内に並べ替えて収納することができる。
図10(b)に示されるように、本実施例の変形例である切断装置3aは、レーザ加工部210の代わりに面取り切削部220が設けられている点で、図10(a)の切断装置3とは異なる。切断装置3aの他の構成は、切断装置3と同様である。
ワーク10の曲線加工が不要な場合、レーザ加工部210を省略することができる。切断装置3aでは、曲面加工部のない個片化ワーク11aを形成することが可能である。
次に、本発明の実施例4における切断装置の構成について説明する。
本実施例の切断装置は、切断装置を構成するユニットの個数に応じてローダの長さが調節可能であるという点で上記各実施例と同様であるが、ローダに加えてアンローダの長さも調節可能であるという点で上記各実施例とは異なる。
図11(a)は、本実施例の一例としての切断装置4の概略構成図である。また、図11(b)は、本実施例の他の一例としての切断装置4aの概略構成図である。
図11(a)に示されるように、切断装置4は、ローダ又はアンローダによるワーク又は個片化ワークの搬送手法を除いて、実施例2の切断装置2a(図9(b))に類似する構成を有する。
図11(a)に示されるように、切断装置4は、搬入部120(供給部)、加工部204、収納部301、搬出部320、及び、ワーク搬送部501から構成されている。なお、本実施例においても、搬入部120に替えて供給部101を備える構成を採用することもできる。
切断装置4の加工部204は、レーザ加工部212、及び、切断部231、233から構成されている。この点で、レーザ加工部212、面取り切削部222、及び、切断部232から構成されている加工部202を備えた切断装置2aとは異なる。切断装置4において、切断部231、233は、互いに同様の構成を有し、それぞれ別のワーク10aを切断するために設けられている。すなわち、第1の切断部としての切断部231は第1のワークを切断し、第2の切断部としての切断部233は第2のワークを切断する。
ワーク搬送部501内のトレイ20に載置されたワーク10は、X軸方向に移動可能なローダ(ワーク搬送手段)により、ワーク搬送部501の内部においてX軸方向(矢印方向)に順次搬送される。
本実施例では、搬入部120からワーク搬送部501へ搬送されたワーク10は、最初にレーザ加工部212にて所定の加工が行われた後、切断部231(第1の切断部)又は切断部233(第2の切断部)のいずれか一つへ搬送される。
本実施例では、切断部231、233では、後述するような同一の加工がそれぞれで行われるが、これらの切断部においてそれぞれ異なる加工を行うように構成することもできる。例えば、切断部233が切断部231とは異なる種類の切断刃を有する場合、一度に多品種の個片化ワークを製造することが可能となる。この場合、収納部301において、同じ収納部では異なる加工が行われたものを一種のトレイに全て収容してもよいが、加工品種ごとに収納先のトレイを異ならせるようにしてもよい。
上述のとおり、本実施例の加工部204には3つのユニットが設けられているが、それぞれのワーク10はそのうちの2つのみを通過して個片化ワーク11となる。
ステージ36aは、切断部231とワーク搬送部501との間を移動可能に構成されている。ステージ36aは、ワーク10aが載置されていない状態において、ワーク搬送部501内の所定位置(ワーク10aの引受け位置)に待機する。ローダは、ワーク搬送部501内においてワーク10aをX軸方向へ搬送し、ステージ36aが待機する所定位置(ワーク10aの引受け位置)の上方に到達すると、吸着していたワーク10aを離してステージ36aの上に載置する。
ステージ36bは、ステージ36aと同様の構成を有し、切断部233とワーク搬送部501との間を移動可能に構成されている。ステージ36bは、次のワーク10aが載置されていない状態において、ワーク搬送部501内の所定位置(ワーク10aの引受け位置)に待機する。ローダは、ワーク搬送部501内においてワーク10aをX軸方向へ搬送し、ステージ36aが待機する所定位置の上方をそのまま通過する。ローダはワーク10aをさらにX軸方向へ搬送し、ステージ36bが待機する所定位置(ワーク10aの引受け位置)の上方に到達すると、吸着していたワーク10aを離してステージ36bの上に載置する。
例えばレーザ加工がなされた最初のワーク10a(第1のワーク)は、ローダによりステージ36aに搬送されるが、次にレーザ加工がなされたワーク10a(第2のワーク)は、ローダによりステージ36bに搬送される。このように、ワーク10aはレーザ加工が行われたものから交互にステージ36a、36bの上に載置される。
ローダからワーク10aを受け取ったステージ36aは、ワーク10aに切削及び切断を行うため、ワーク10aを載置した状態でY軸方向(上方向)へ移動する。同様に、次のワーク10aを受け取ったステージ36bは、ワーク10aに切削及び切断を行うため、ワーク10aを載置した状態でY軸方向(上方向)へ移動する。
切断部231には、スピンドル63aの先端に取り付けられた切断刃73a、及び、スピンドル64aの先端に取り付けられた切断刃74aの2つの切断刃が設けられている。
同様に、切断部233には、スピンドル63bの先端に取り付けられた切断刃73b、及び、スピンドル64bの先端に取り付けられた切断刃74bの2つの切断刃が設けられている。
切断部231、232では、上述の実施例と同様にして、ワーク10aの面取り切削及び切断が行われる。切断部231、232における加工は、同時に実行されてもよく、加工タイミングを互いに異ならせることも可能である。
切断部231で切断されたワーク10aは複数の個片化ワーク11(第1の個片化ワーク)となる。切断後、ステージ36aは切断部231内部の所定位置に移動する。ステージ36aの上に載置されている複数の個片化ワーク11は、この所定位置においてアンローダ(個片化ワーク搬送手段)により吸着され、収納部301へ搬送される。
また、切断部233で切断されたワーク10aも、複数の個片化ワーク11(第2の個片化ワーク)となる。切断後、ステージ36bは切断部233内部の所定位置に移動する。ステージ36bの上に載置されている複数の個片化ワーク11は、この所定位置においてアンローダ(個片化ワーク搬送手段)により吸着され、収納部301へ搬送される。
2つのステージ36a、36bから収納部301へ搬送された個片化ワーク11は、洗浄・検査部91(洗浄・検査ステージ)で洗浄及び検査が行われる。検査に合格した個片化ワーク11はトレイ24の中に収納され、搬出部320から搬出される。
本実施例において、ローダは、ワーク搬送部501の内部においてトレイ20とステージ36bとの間を移動可能に構成されている。より具体的には、ローダは、トレイ20上に載置されたワーク10をステージ34に搬送し、また、ステージ34上に載置されたワーク10aをステージ36a又はステージ36bのいずれか一方に交互に搬送する。
図11(a)に示されるように、ローダの搬送範囲はR1で表される。搬送範囲R1は、加工部を構成するユニットの個数に応じて適宜変更される。ローダ側の接続部材は、ユニットの個数に応じて調整可能に構成されており、例えばプラチェーンや管路の長さを調整することにより、搬送範囲R1を変更することができる。
一方、アンローダは、ローダの軌道とは異なる平面位置に配置された軌道に沿って加工部204と収納部301との間を移動可能に構成されている。より具体的には、アンローダは、切断部231にて切断された個片化ワーク11を吸着して収納部301へ搬送し、また、切断部233にて切断された個片化ワーク11を吸着して収納部301へ搬送する。これらの搬送は、例えば交互に行われる。
図11(b)に示される切断装置4aは、アンローダの搬送範囲が可変であることを除いて、実施例1の切断装置1(図1(a))と同じである。切断装置4aの構成においても、アンローダ側の接続部材の長さを変えることにより、アンローダの搬送範囲を可変にすることができる。
例えば、実施例1のように面取り切削部220がワークの面取り切削のみ行う場合、ローダがワーク10bをステージ33へ搬送するように構成することが好ましい。一方、面取り切削部220の位置に配置されたユニットがワークの切断も行う場合には、アンローダが、切断後のワーク(個片化ワーク)をステージ32からステージ33又は収納部300へ搬送するように構成することができる。
このように、アンローダの搬出元は、収納部側の端部に設けられている一の切断部のみならず、加工部に複数の切断部が設けられている場合、収納部側の複数の切断部に設定されることが好ましい。
図11(a)、図11(b)に示されるように、アンローダの搬送範囲はR4で表される。搬送範囲R4は、加工部を構成する切断部の個数に応じて適宜変更される。例えば、図11(a)に示される切断部231、233にさらに他の切断部が設けられると、アンローダと真空ポンプとを接続する接続部材が長くなるように調整される。このように、本実施例では、アンローダに接続された接続部材の長さがユニットの個数に応じて調整可能に構成されており、アンローダ側の接続部材の長さを変えることにより、アンローダの搬送範囲R4を可変にすることができる。したがって、図11に示されるように、両搬送範囲R1、R4が重複するように設定することも可能である。この場合、図11(a)に示される切断装置4では、ローダ及びアンローダの軌道が互いに異なる平面位置に配置されているため、これらを自由に加工部に移動させることができ、効率的な搬送を実現することができる。一方、図11(b)に示される切断装置4aでは、ローダ及びアンローダの同一の軌道上を移動させているため、搬送に用いられる平面領域を狭めて奥行きを小さくすることができ、切断装置を小型化することができる。
以上のとおり、本実施例では、ローダの搬送範囲R1に加えてアンローダの搬送範囲R4も可変に構成されている。このため、切断以外の加工後のワークをローダで搬送し、切断後の複数の個片化ワークをアンローダで搬送することができる。この場合、個片化ワークは全てアンローダで搬送するため、ローダによるワークの保持個数は、アンローダによる個片化ワークの保持個数より少なくなる。従って、ローダの構成を簡素化することが可能となる。
なお上記各実施例では、各切断部に2つの切断刃が設けられているが、これに限定されるものではなく、各切断部に1つの切断刃又は3つ以上の複数の切断刃が設けられていてもよい。また、各切断部に複数の切断刃が設けられている場合、複数の切断刃はそれぞれ異なる種類の切断刃であってもよい。このような構成により、さらに生産性を向上させることが可能となる。
また、上記各実施例において、加工部を構成するユニットとして、加圧された水により加工を行うウォータージェットや、さらに研磨材を添加して加工を行うアブレッシブジェットを用いてもよい。また、極細ワイヤを用いて切断するワイヤソーや、鋸の刃が側面に形成されたバンドを一方向に回転させて切断するバンドソー等を用いることもできる。また、加工部を構成するユニットとして、洗浄装置や検査装置等のユニットも追加することができる。さらに、切削と切断との間のように複数の加工間でワークの加工面を反転させる反転ユニットを追加し、一面を所定深さで切り込むハーフカットした後に他面の同位置をハーフカットすることで個片化する構成を採用することもできる。
上記各実施例では、供給部、加工部、及び、収納部は、着脱可能に直列に配置されており、ローダによるワークの搬送範囲は可変である。このため、上記各実施例によれば、段取り替えに要する時間を短くして生産性を向上させると共に装置自体の製造時間も短縮可能な切断装置を提供することができる。
また、上述の実施例では、ローダの保持動作用の駆動源として、真空ポンプを用いてローダでワークを吸着する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述の実施例において駆動源としてコンプレッサを用いると共に、管路を介してエアをローダに供給する(正圧を付加する)。また、供給されたエアによって負圧を発生させるエジェクタをローダに設けることで、供給されたエアでエジェクタを駆動してワークを吸着保持する構成を採用することができる。この場合、ローダに正圧を供給するほうが管路を細くしても高速な動作を維持することができるため、より細いプラチェーンを用いることができる。また、ローダにエアシリンダを設けることで、コンプレッサから供給されたエアでエアシリンダを駆動して機械的にワークを保持する構成を採用することもできる。
また、上述の実施例において、駆動源として電源を用いると共に、接続部材としての配線を介して駆動電源信号をローダに供給する。また、ソレノイドをローダに設けることで、供給された信号でソレノイドを駆動してワークを機械的に保持する構成を採用することができる。
また、上述の実施例では、1つの主制御部が加工部の各ユニットの制御部を総括して制御することで装置全体を制御する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、加工部内の各ユニットに、単独で各ユニット内を制御可能な制御部を備える構成を採用することもできる。
また、上述の実施例では、各ユニットのステージは、ワークをエアにより吸着可能に構成された構成例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、粘着テープでワークを貼り付けてステージに保持する構成や機械的に保持する構成を採用することもできる。
また、プラチェーン42、43は、上述の図などにおいて、その基端部が先端部よりも上側に設けられた構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、その基端部が先端部よりも下側に設けられた構成を採用することもできる。この場合、プラチェーン42、43の基端部側の垂れ下りを防止するための梁状の支え部材が架設された構成を採用することもできる。
また、図9及び図11(a)に示される切断装置2、2a、4において、各ユニットに設けられたステージがワーク搬送部と各ユニット内とを移動可能な構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ワーク搬送部の各ユニットの前方位置にワークの仮置き用の仮置きステージを設けると共に、ローダが供給部と仮置きステージとの間の搬送と仮置きステージ間の搬送とを行う構成とする。この場合、各ユニットのステージと対応する位置に配置された仮置きステージとの間を移動する移動ハンドをさらに備える。このような構成を採用することにより、仮置きステージには、前のワークの加工開始直後からすぐに次のワークを載置することができ、常時ワークを供給しておくことができる。従って、加工を開始することができ、各ユニットの稼働率を更に向上させることができる。
また、真空ポンプのような駆動源は、自由に配置することができる。例えば、各ユニットにステージにおけるワーク保持用の真空ポンプの配置しておき、プラチェーンの基端部が位置するユニットの真空ポンプにローダ及びアンローダを接続し、切替え弁にて吸着状態を制御することもできる。この場合、ユニットの増減の際には、プラチェーンの基端部が位置するユニットの真空ポンプにローダ及びアンローダを接続することができるため、簡易な構成でユニットの増減に対応することができる。また、ローダ及びアンローダに専用の真空ポンプを設ける構成を採用することもできる。さらには、例えば切断ユニットに設けられた真空ポンプでローダ及びアンローダを制御することもできる。
また、上述の実施例において、アンローダの吸着部430が複数の管路を介して真空ポンプに接続される構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、アンローダの吸着部430が一本の管路を介して真空ポンプに接続される構成を採用することもできる。
また、上述の実施例において、複数の吸引孔425が形成された吸着部430によって個片化ワーク11を保持する構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1個の個片化ワーク11を保持可能な保持する丸パッド状の吸着部430を個片化ワーク11の個数だけアンローダの下面に備える構成を採用することもできる。
以上、本発明の実施例を具体的に説明した。ただし、本発明は、上記各実施例にて説明した事項に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。
実施例1における切断装置の概略構成図である。
本実施例の切断装置における搬送手段の概略構成図である。
本実施例における加工部の要部拡大図である。
本実施例におけるワークの加工領域の一例を示す平面図である。
本実施例における切断刃の一例を示す断面図である。
本実施例における切断刃の他の一例を示す断面図である。
本実施例における加工部により切削及び切断されたワークを示す平面図及び側面図である。
(a)本実施例の切断装置により分割された個片化ワークの一例を示す平面図である。(b)本実施例におけるアンローダの要部断面図である。
実施例2における切断装置の概略構成図である。
実施例3における切断装置の概略構成図である。
実施例3における切断装置の概略構成図である。
本実施例の切断装置におけるプラチェーンの概略構成図である。
符号の説明
1、2、3、4:切断装置
10、10a、10b:ワーク
11:個片化ワーク
20、24:トレイ
31、32、33、34、35、36:ステージ
40:ローダ
41:アンローダ
42、42a、43:プラチェーン
61、62、63、64:スピンドル
71、72、73、74:切断刃
90、91:洗浄・検査部
100、101:供給部
120:搬入部
200、201、202、203、204:加工部
210、211、212:レーザ加工部
220、221、222:面取り切削部
230、231、232、233:切断部
300、301、302:収納部
320:搬出部
425:吸引孔
430:吸着部
500:ワーク搬送部