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JP5386090B2 - 電子写真機器用現像ロール - Google Patents

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JP5386090B2 JP2008025120A JP2008025120A JP5386090B2 JP 5386090 B2 JP5386090 B2 JP 5386090B2 JP 2008025120 A JP2008025120 A JP 2008025120A JP 2008025120 A JP2008025120 A JP 2008025120A JP 5386090 B2 JP5386090 B2 JP 5386090B2
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Description

本発明は、電子写真機器用現像ロールに関するものである。
近年、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器が広く使用されるようになってきている。電子写真機器の内部には、通常、感光ドラムが組み込まれており、その周囲には、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどの導電性ロールが配設されている。
最近、この種の電子写真機器では、プリント画像の高画質化が求められている。高画質なプリント画像を得るためには、現像ロールが均一で確実にトナー搬送することが重要である。したがって、現像ロールには優れたトナー搬送性が求められる。そのため、現像ロール表面には凹凸形状が形成されることが多い。
現像ロールは、通常、軸体の外周にゴム層などの弾性層が形成され、必要に応じて、その弾性層の外周に抵抗調整層や保護層などの中間層や表層が1層または2層以上形成されている。従来、現像ロール表面に凹凸形状を形成するため、例えば、現像ロールの中間層内や表層内に、ウレタン樹脂などの硬質粒子(粗さ形成用粒子)を分散させる方法が知られている。
また、粗さ形成用粒子を用いないで現像ロール表面に凹凸形状を形成する方法もある。例えば特許文献1には、金型を用いて、軸体の外周に形成する弾性層の表面に凸部を形成してロール表面に凹凸形状を形成した現像ロールが開示されている。
特開2006−184608号公報
しかしながら、現像ロールの中間層内や表層内に、ウレタン樹脂などの硬質粒子(粗さ形成用粒子)を分散させる方法では、粒子が硬いため、粒子が存在するロール表面がロールに当接する感光ドラムやブレードなどの当接部材から受ける圧接ストレスが大きくなる。その結果、ロール表面の凸部の削れや粒子の脱落を招き、トナー搬送量が安定しないという問題があった。また、圧接ストレスが大きいロール表面では、凸部が削れて接触面が大きくなり、トナーがつきやすくなる。その結果、トナーフィルミングが始まり、画像の劣化を招くという問題があった。
一方、弾性層の表面に凸部を形成する方法では、ロール全体(特に凸部以外の部分)のトナーフィルミングを低減するために、表層に硬い材料を用いることが多い。そのため、耐久時に、弾性層に形成した凸部が損傷破壊して、トナー搬送量を維持できない問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、長期に渡って耐トナーフィルミング性に優れるとともに、長期に安定して高いトナー搬送量を維持することが可能な電子写真機器用現像ロールを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る電子写真機器用現像ロールは、軸体と、前記軸体の外周に形成され、外周面に多数の凸部を有するゴム弾性層と、前記ゴム弾性層の外周に形成され、熱可塑性ウレタンと熱硬化性ウレタンとを含有する中間層と、前記中間層の外周に形成され、ガラス転移温度(Tg)が−10℃以上のシリコーングラフト変性ウレタンを含有する表層とを備え、前記ゴム弾性層の凸部に起因する凹凸形状がロール表面に形成されていることを要旨とする。
この場合、前記中間層の熱可塑性ウレタンに対する熱硬化性ウレタンの質量比は、20/80〜80/20の範囲内にあることが望ましい。
このとき、前記ゴム弾性層は、シリコーンゴムおよびウレタンゴムから選択された1種または2種以上を含有すると良い。
そして、前記中間層の厚さは、1〜50μmの範囲内にあると良い。
また、前記表層の厚さは、1〜20μmの範囲内にあると良い。
さらに、前記ゴム弾性層の凸部の高さは、2〜50μmの範囲内にあると良い。
また、前記ゴム弾性層の外周面における凸部の数密度は、50〜1000個/mmの範囲内にあると良い。
本発明に係る電子写真機器用現像ロールによれば、ゴム弾性層の外周面に形成した多数の凸部によりロールの表面凹凸を形成し、Tgが−10℃以上のシリコーングラフト変性ウレタンを含有する材料で表層を形成しているため、耐トナーフィルミング性に優れる。そして、熱可塑性ウレタンと熱硬化性ウレタンとを含有する中間層を設けたことにより、ゴム弾性層の外周面に形成した多数の凸部が受ける圧接ストレスを緩和して、耐久時の凸部の損傷破壊が抑えられる。これにより、長期に安定して高いトナー搬送量を維持することができる。また、長期に渡って耐トナーフィルミング性に優れる。
この場合、前記中間層の熱可塑性ウレタンに対する熱硬化性ウレタンの質量比が、20/80〜80/20の範囲内にあると、ゴム弾性層の凸部が受ける圧接ストレスを緩和するのに好適な厚さに中間層を形成しやすくなるとともに、耐ヘタリ性も良好になる。
このとき、前記ゴム弾性層が、シリコーンゴムおよびウレタンゴムから選択された1種または2種以上を含有すると、耐ヘタリ性に優れる。
そして、前記中間層の厚さが1〜50μmの範囲内にあると、ゴム弾性層の凸部が受ける圧接ストレスを緩和する効果が優れ、耐久時の凸部の損傷破壊の抑制効果に優れる。
また、前記表層の厚さが1〜20μmの範囲内にあると、耐トナーフィルミング性が優れ、また、削れにくく耐久性にも優れる。
さらに、前記ゴム弾性層の凸部の高さが2〜50μmの範囲内にあると、トナー搬送性に優れる。
また、前記ゴム弾性層の外周面における凸部の数密度が、50〜1000個/mmの範囲内にあると、トナー搬送性に優れる。
次に、本発明の実施形態に係る電子写真機器用現像ロール(以下、現像ロールということがある。)について、図を参照しつつ、詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る現像ロールを表す周方向断面図である。
図1に示すように、一実施形態に係る現像ロール10は、軸体を形成する導電性シャフト12の外周面に沿ってゴム弾性層14が形成され、その外周面に中間層16が形成され、その外周面に表層18が形成された構成を有する。現像ロール10は、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器に組み込まれる現像ロールであり、電子写真機器の内部に組み込まれる感光ドラムの周囲に配設される。
導電性シャフト12は、アルミニウム、ステンレス等の金属製の中実体よりなる芯金、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体、またはこれらにめっきが施されたものなどが挙げられる。必要に応じて、導電性シャフト12の外周面に、接着剤やプライマーなどを塗布して、接着層を形成しても良い。接着剤やプライマーなどには、必要に応じて導電化を行なっても良い。
ゴム弾性層14は、現像ロール10のベース層となる。ゴム弾性層14は、図2に示すように、その外周面に多数の凸部を有しており、これら多数の凸部は、現像ロール10の表面凹凸を形成する。ゴム弾性層14は、例えば、円筒状金型の中空部に上記導電性シャフト12をセットし、円筒状金型と導電性シャフト12との空隙部にゴム材料を注型して加熱架橋させた後、上記円筒状金型から脱型して形成される。円筒状金型には、内面に多数の凹部が形成された金型を用いると良い。多数の凹部が形成された金型内にゴム材料を注型すると、ゴム弾性層14の外周面に多数の凸部が転写形成される。
円筒状金型の内面に多数の凹部を形成する方法としては、例えば、円筒状金型の内面をショットブラスト処理する方法や、円筒状金型の内面を放電加工する方法、円筒状金型の内面に無電解複合めっきし、その無電解複合めっき層の表面にピット(めっきの欠陥)を形成させる方法などがある。これらのうち、無電解複合めっき層の表面にピットを形成させる方法は、金型内面の凹部を深くすることができ、ゴム弾性層14の凸部をより大きくすることができる点で好ましい。
無電解複合めっき層の表面にピット(めっきの欠陥)を形成させるには、意図的に不良の無電解複合めっきを行なう。このピットの形成は、めっき反応中に発生する水素ガスが、析出しためっきの表面に吸着し、その吸着した部分で、めっきのさらなる析出が阻害されることによるものである。そして、各ピットの凹形状は、通常、略球面の一部からなる曲面状(例えば半球状)に形成される。
無電解複合めっきにおけるめっき金属としては、ニッケル、コバルト、銅、錫、パラジウム、金、またはこれらの合金などが挙げられる。これらのうち、ピットの形成容易性の観点から、ニッケルまたはニッケル合金が好ましい。
無電解複合めっきとしては、ピットの分布密度をより均一にしやすい観点から、粒子分散型の無電解複合めっきが好ましい。その分散粒子としては、平均粒径が0.1〜5μmの範囲内にあることが好ましい。これにより、分散粒子のめっき浴における均一分散性および無電解複合めっき層における均一共析性が向上し、無電解複合めっき層の表面をより均一な粗面に形成することができる。
上記分散粒子の形成材料としては、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化チタン(TiO)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、窒化ホウ素(BN)等が挙げられる。これらのうち、注型するゴム材料との離型性に優れる観点から、PTFEが好ましい。
めっき浴には、めっき反応中に発生する水素ガスをより表面吸着しやすくし、ピットの形成をより簡単にできる観点から、炭化水素系のカチオン性界面活性剤または両性界面活性剤を含有させることが好ましい。
ゴム弾性層14の外周面に形成される凸部の高さ(図2中、高さh)は、トナー搬送性に優れるなどの観点から、2〜50μmの範囲内にあることが好ましい。また、ゴム弾性層14の外周面における凸部の数密度は、トナー搬送性および画質のきめ細かさを向上させるなどの観点から、50〜1000個/mmの範囲内にあることが好ましい。ゴム弾性層14の凸部の高さを測定するには、例えば、レーザー顕微鏡などを用いると良い。そして、凸部の数密度を測定するには、例えば、レーザー顕微鏡などを用いると良い。
ゴム弾性層14を形成する材料としては、ゴム弾性を有する材料であれば良い。具体的には、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、ヒドリンゴムなどを例示することができる。これらのうち、耐ヘタリ性が良好であるなどの観点から、シリコーンゴム、ウレタンゴムが好ましい。また、シリコーンゴムは、温度変化や湿度変化などの環境変化に対して体積変化しにくく、環境変化によるロールの外径変動が小さい利点も有する。
ゴム弾性層14には、必要に応じて、導電剤、充填剤、増量剤、補強剤、加工助剤、硬化剤、加硫促進剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、シリコーンオイル、助剤、界面活性剤などの各種添加剤が適宜添加される。導電剤としては、カーボンブラックなどの電子導電剤や第4級アンモニウム塩などのイオン導電剤など、一般的な導電剤を用いることができる。
ゴム弾性層14は、発泡体であっても良いし、中実体であっても良い。ゴム弾性層14の厚みは、0.1〜10mmの範囲内にあることが好ましい。より好ましくは、1〜5mmの範囲内にすると良い。
ゴム弾性層14の外周に形成される中間層16は、抵抗調整層として、また、応力緩和層として設けられている。すなわち、現像ロール10の抵抗を調整する働きをするとともに、ゴム弾性層14の外周面に形成した多数の凸部が受ける圧接ストレスを緩和する働きをする。中間層16は、コーティングにより薄膜状に形成されていると良い。
中間層16は、熱可塑性ウレタンと熱硬化性ウレタンとを含有する材料により形成されている。熱可塑性ウレタンを含有することにより材料に粘りが出てコーティングしやすくなっている。形成材料に熱可塑性ウレタンを含まない場合には、熱硬化性ウレタンの架橋により材料が大きく収縮するため、μmオーダーのコート層にするのが難しくなり、コーティングしにくい。一方、熱硬化性ウレタンを含有することにより材料がヘタリにくくなる。また、中間層16を低硬度にして、多数の凸部が受ける圧接ストレスを緩和することができる。
熱硬化性ウレタンと熱可塑性ウレタンとの混合比(熱硬化性ウレタン/熱可塑性ウレタン)は、質量比で20/80〜80/20の範囲内にあることが好ましい。混合比がこの範囲内にある場合には、ゴム弾性層の凸部が受ける圧接ストレスを緩和するのに好適な厚さに中間層を形成しやすくなり、凸部が受ける圧接ストレスを十分に緩和して凸部の削れを防止する。また、耐ヘタリ性も良好になる。より好ましくは、40/60〜60/40の範囲内である。
熱可塑性ウレタンとしては、カプロラクトン型やアジペート型、エーテル型などが挙げられる。これらのうち、高い機械的強度や弾性回復性を確保するなどの観点から、カプロラクトン型が好ましい。これにより、低硬度ながら高い機械的強度を得ることができる。また、コート性を確保するなどの観点から、分子量は比較的大きいほうが好ましい。好ましい分子量の範囲としては、10000〜500000の範囲内である。
熱硬化性ウレタンは、中間層16を形成する材料中にポリオールとイソシアネートとを配合してこれらを反応させたものである。ポリオールとイソシアネートとの配合比は、ポリオールおよびイソシアネートの種類や、架橋レベルなどにより適宜調整される。
ポリオールは、分子中にヒドロキシル基を2個以上有する化合物であれば良い。ポリオールとしては、エーテル系ポリオールや、カプロラクタン系ポリオール、エステル系ポリオールなどが挙げられる。これらのうち、低抵抗にするなどの観点から、エーテル系ポリオールが好ましい。低抵抗であると、画像の残像特性が良好になる。
エーテル系ポリオールとしては、比較的低分子量の多価アルコール1種または2種以上にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどの1種または2種以上を付加重合させて得られるポリエーテルポリオールや、テトラヒドロフランを開環重合させて得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)などが挙げられる。
一方、イソシアネートは、分子中にイソシアネート基を1個または2個以上有する化合物であれば良い。
中間層16を形成する材料は、ゴム弾性層14の外周面にコーティングするために液状であると良い。例えば、熱硬化性ウレタンを構成する材料が液状であっても良いし、熱硬化性ウレタンと熱可塑性ウレタンとを溶解あるいは懸濁させる溶剤を用いても良い。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは1種または2種以上併用することができる。特に、材料各成分の溶解性などの観点で、MEKが好ましい。溶剤を用いる場合には、コーティングしやすい粘度に調整してコート性を高めるなどの観点から、溶液濃度を5〜30質量%の範囲内にすることが好ましい。
中間層16を形成する材料には、必要に応じて、導電剤(電子導電剤および/またはイオン導電剤)、可塑剤、レベリング剤などの各種添加剤が1種または2種以上含まれていても良い。
中間層16の厚さは、1〜50μmの範囲内にあることが好ましい。厚さが1μm未満では、ゴム弾性層の凸部の頂点に層形成しにくい。そのため、ゴム弾性層の凸部が受ける圧接ストレスを緩和する効果が低下しやすい。一方、厚さが50μmを超えると、ゴム弾性層の凸部に起因する表面凹凸が小さくなり、トナー搬送性が低下しやすい。また、ウレタンポリマーによる寸法変化の影響が大きくなりやすい。さらに、コーティングを繰返し行なう回数が多くなり、工程が煩雑になりやすい。中間層16の厚さとしては、より好ましくは、5〜20μmの範囲内である。
中間層16を形成するには、まず、熱可塑性ウレタンと、熱硬化性ウレタンを形成するポリオールおよびイソシアネートと、必要に応じて、溶剤、その他添加剤を混合して、コーティング液を調製する。次いで、導電性シャフト12の外周にゴム弾性層14を形成した後、ゴム弾性層14の外周面にこのコーティング液をコーティングする。コーティング方法は、特に制限されるものではなく、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法などの一般的な方法を適用することができる。コーティング後、乾燥、加熱架橋処理すれば、熱可塑性ウレタンと熱硬化性ウレタンとの混合物を含有する中間層16を形成することができる。
中間層16の外周面に形成される表層18は、トナー帯電性を調整するとともに、ロール表面を保護するなどの働きをする。表層18は、シリコーングラフト変性ウレタンを含有する材料で形成されている。シリコーングラフト変性ウレタンは、シリコーンセグメント(ポリシロキサンセグメント)がポリウレタンの側鎖に化学結合されていることにより、表層18に優れた離型性を付与する。これにより、トナーフィルミングが低減できる。
シリコーングラフト変性ウレタンとしては、ガラス転移温度(Tg)が−10℃以上のものを用いる。Tgが−10℃未満では、表層18が柔軟になりすぎてトナーが食い込みやすくなり、トナーフィルミングが生じる。より好ましくは、Tgが10℃以上である。さらに耐トナーフィルミング性に優れるからである。
ウレタンにグラフトされるシリコーン(ポリシロキサン)としては、例えば、ジメチルシロキサン、ジエチルシロキサン、ジプロピルシロキサンなどのアルキル置換シロキサンなどを例示することができる。ポリシロキサンは、ウレタンにグラフトさせるためには、ウレタンのイソシアネート基と反応性を有する活性水素含有基(−OHや−NHなど)を有すると良い。ポリシロキサンの導入量(シリコーン変性量)は、1〜20質量%の範囲内にあることが好ましい。シリコーン変性量が1質量%未満では、離型性が発揮されにくく、20質量%を超えると、遊離したシリコーンオイルがブリードアウトしやすくなり、また、ウレタンの機械的強度が低下しやすくなるからである。
ウレタンを構成するポリオール成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。
ポリエステルポリオールの酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ドデシルコハク酸等の脂肪族系二塩基酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−カルボキシシクロヘキシル)プロパン等の脂環族系二塩基酸、あるいは、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系二塩基酸を挙げることができる。脂環族系二塩基酸、芳香族系二塩基酸は、樹脂の凝集力を向上させ、一方、脂肪族系二塩基酸は、樹脂の柔軟性を向上させやすい。
ポリオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2’,2’−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール等の脂肪族系グリコール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシメトキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシシクロヘキシル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、3(4),8(9),トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール等の脂環族系グリコールが挙げられる。これらの中では、特にエチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンが好ましい。
ウレタンを構成するイソシアネート成分としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの水添化物のような脂肪族、脂環族ジイソシアネートが挙げられる。これらの中、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
表層18を形成する材料には、上記シリコーングラフト変性ウレタン以外に、ウレタンを架橋するジイソシアネートや、導電剤(電子導電剤および/またはイオン導電剤)、可塑剤、レベリング剤などの各種添加剤が1種または2種以上含まれていても良い。
表層18を形成する材料は、中間層16の外周面にコーティングするために液状であると良い。液状にするための溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、トルエン、イソプロピルアルコール、メチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド等があげられる。これらは1種または2種以上併用することができる。特に、材料各成分の溶解性などの観点で、MEKが好ましい。溶剤を用いる場合には、コーティングしやすい粘度に調整してコート性を高めるなどの観点から、溶液濃度を3〜30質量%の範囲内にすることが好ましい。
表層18を形成するには、表層形成材料を中間層18の外周面にコーティングする。コーティング方法は、特に制限されるものではなく、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法などの一般的な方法を適用することができる。コーティング後、乾燥、加熱架橋処理すれば、中間層18の外周に表層18を形成することができる。
表層18の厚さは、1〜20μmの範囲内にあることが好ましい。表層18の厚さが1μm未満では、表層としての機能を十分に発揮できないおそれがある。一方、表層18の厚さが20μmを超えると、表面硬度が高くなりすぎるおそれがある。
この表層18の表面には、特定物質が含浸されていても良い。特定物質としては、アミノ基を含有する物質や、イソシアネート基を含有する物質が挙げられる。これらは1種または2種以上併用しても良い。これらのうち、高温高湿条件下においてより一層トナー帯電量の変動を起こしにくいなどの観点から、イソシアネート基を含有する物質が好ましい。これら特定物質は、モノマーであっても良いし、ポリマー、オリゴマーであっても良い。コート層16の表面に含浸しやすいなどの観点から、特定物質の分子量は比較的小さいほうが好ましい。好ましい分子量の範囲としては、100〜1000の範囲内である。
アミノ基を含有する物質としては、例えば、メラミン、ベンゾグアナミン、アニリンなどが挙げられる。アミノ基を含有する物質としては、芳香環を有するもののほうが好ましい。
一方、イソシアネート基を含有する物質としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、MDIやポリメリックMDIの混合物であるクルードMDI(c−MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、あるいはこれらの多量体であるMDIヌレート、HDIヌレート、TDIヌレート、またはこれらを尿素化、ビュレット化、アロファネート化、カルボジイミド化、ウレタン化などした変性体などが挙げられる。これらは1種または2種以上併用しても良い。これらのうち、高温高湿条件下においてより一層、トナー帯電量の変動を起こしにくいなどの観点から、クルードMDI(c−MDI)が好ましい。
上記特定物質を表層18の表面に含浸させるには、液状にされた上記特定物質を表層18の表面にコーティングした後、加熱処理すると良い。特定物質は、液状のものをそのまま用いても良いし、液状または固形のものを溶剤で希釈して用いても良い。溶剤としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)などが挙げられる。このとき、表層18の表面に染み込みやすくするなどの観点から、溶液濃度を1〜5質量%の範囲内にすることが好ましい。
コーティング方法は、特に制限されるものではなく、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法などの一般的な方法を適用することができる。コーティングされた特定物質が表層18の表面に良く染み込むように、表層18の表面にコーティングした後、数秒〜1時間程度静置させても良い。コーティング後に加熱処理すると、溶媒等の揮発成分が除去される。
なお、中間層16と表層18には、現像ロール10の表面粗さを形成するための粗さ形成粒子が含有されていない。表面粗さは、図2に示すように、ゴム弾性層14の外周面に形成された凸部によって形成されている。
現像ロール10の表面硬度(MD−1硬度)は、30〜60度の範囲内にあることが好ましい。表面硬度が30度未満では、ロール表面が柔軟になりすぎて、トナーが食い込みやすく、フィルミングの原因になりやすい。一方、表面硬度が60度を超えると、ロール表面と接触する相手部材やトナーのストレスの原因となりやすく、耐久時の画像が悪化しやすい。
現像ロール10の表面硬度(MD−1硬度)は、熱硬化性ウレタンだけでなく熱可塑性ウレタンを中間層16に含有させることで低硬度に抑えられる。
現像ロール10の体積抵抗は、1×10〜1×10Ωの範囲内にあることが好ましい。体積抵抗が1×10Ω未満では、導電剤の体積比率が増大し、十分な耐圧が得られにくい。一方、体積抵抗が1×10Ωを超えると、導電剤の体積比率が低減し、抵抗ムラが生じやすい。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
(実施例1)
<ゴム弾性層組成物(1)の調製>
導電性液状シリコーンゴム(信越化学工業(株)製、「X34−264A/B」)をスタティックミキサにて混合し、ゴム弾性層組成物(1)を調製した。
<中間層組成物の調製>
熱可塑性ウレタンエラストマー(日本ポリウレタン社製、「N5196」)50質量部と、エーテル系ポリオール(三洋化成社製、「PPG2000」)30質量部と、イソシアネート(大日本インキ化学工業製、「バーノックDN955」)20質量部と、電子導電剤(電気化学工業製、「デンカブラック」)30質量部と、イオン導電剤(4級アンモニウム塩)1質量部とをボールミルにより混練した後、MEK400質量部を加えて混合、攪拌することにより、中間層組成物を調製した。
<表層組成物の調製>
(ポリエステルジオール(a)の合成)
温度計、攪拌機、リービッヒ冷却管を備えた反応容器中に、テレフタル酸83質量部と、イソフタル酸83質量部と、エチレングリコール74質量部と、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール83質量部とを投入し、触媒としてテトラブトキシチタネート0.1質量部を添加した。常圧下240℃で約4時間反応させ、生成する水を留去した。ついで、245℃で約30分間減圧し、反応を終了した。得られたポリエステルジオール(a)の水酸基価は1020eq/10g、酸価は2.5eq/10gであった。
(シリコーングラフト変性ウレタンの合成)
上記ポリエステルジオール(a)60質量部と、大日本インキ化学工業(株)製のポリエステルジオール「ODX688」40質量部とをメチルエチルケトン(MEK)76質量部に溶解させた後、日本ポリウレタン社製の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)「ミリオネートMT」14質量部を溶解させて、75℃で約2時間反応させた。次いで、MEK106質量部と、信越化学工業(株)製のシリコーンオイル「KF865」(側鎖にアミノ基を含有するシリコーンオイル、25℃における粘度:90cps、官能基等量:4400)6質量部とを溶解させて、75℃で約1時間反応させた。その後、トリメチロールプロパン1質量部を溶解させ、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.01質量部を添加して、75℃で約2時間反応を行なった。これにより、シリコーングラフト変性ウレタンを得た。得られたシリコーングラフト変性ウレタンの分子量(Mn)は25×10であり、ガラス転移温度(Tg)は10℃であった。
上記シリコーングラフト変性ウレタン(Tg=10℃)100質量部と、イソシアネート(大日本インキ化学工業製、「バーノックDN955」)20質量部と、電子導電剤(電気化学工業製、「デンカブラックHS−100」)15質量部とをボールミルにより混練した後、MEK400質量部を加えて混合、攪拌することにより、表層組成物を調製した。
(ガラス転移温度(Tg)の測定方法)
各シリコーングラフト変性ウレタンを採取し、アルミニウム製容器に入れ、それをホルダユニットに載せ、電気炉内にセットした。そして、室温(20℃)から昇温速度10℃/分で150℃まで加熱した後、150℃のまま10分間維持した。ついで、室温(20℃)まで冷却し、その室温状態で10分間維持した。つぎに、窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分で150℃まで再度加熱してDSC測定を行なった。ガラス転移温度(Tg)は、TG−DSCシステムTAS−100(リガク社製)解析システムを用いて、ガラス転移温度(Tg)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
<多数の凹部を有する円筒状金型の作製>
硫酸ニッケル6水和物を20g/リットル、次亜リン酸ナトリウム1水和物(還元剤)を25g/リットル、乳酸(錯化剤)を27g/リットル、プロピオン酸(錯化剤)を2.5g/リットル、PTFE製分散粒子(平均粒径0.2μm)を5g/リットル、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド(カチオン性界面活性剤)を0.1g/リットル配合して、pH4.8のめっき浴を調製した。
上記めっき浴に円筒状金型基材を浸漬することにより、円筒状金型基材の内面に、不良の無電解複合めっきを行ない、多数のピットが均一に分布形成された無電解複合めっき層の表面を型面とする円筒状金型(内径12mm)を得た。このとき、めっき浴の温度を90℃、めっき時間を120分間とし、無電解複合めっき層を厚み22μmに形成した。この無電解複合めっき層の表面の十点平均粗さ(Rz)は10μmであった。なお、十点平均粗さ(Rz)は、表面粗さ計(東京精密社製、サーフコム1400D)を用いて測定した。
<現像ロールの作製>
上記円筒状金型内に導電性シャフト(φ6mm、長さ270mm)を同軸にセットして、型内にゴム弾性層組成物(1)を注入し、150℃で30分間加熱した後、冷却、脱型した。これにより、導電性シャフトの外周に厚さ3mmのゴム弾性層を有するロール体を作製した。形成したゴム弾性層の外周面には、円筒状金型の内面に形成された多数の凹部に対応する多数の凸部が型転写により形成されている。
次いで、ロール体の表面にロールコート法により中間層組成物をコーティングした後、170℃で60分熱処理して厚さ10μmの中間層を形成した。次いで、中間層の表面にロールコート法により表層組成物をコーティングした後、150℃で60分熱処理して厚さ3μmの表層を形成した。以上のようにして、実施例1に係る現像ロールを作製した。
(実施例2〜3)
実施例1の中間層組成物の調製において、熱可塑性ウレタンとポリオールとイソシアネートの配合量を表2に記載する配合量とした点以外は実施例1と同様にして実施例2〜3に係る現像ロールを作製した。
(実施例4〜5)
実施例1の表層組成物の調製において、表2に記載するTg値のシリコーングラフト変性ウレタンを用いた点以外は実施例1と同様にして実施例4〜5に係る現像ロールを作製した。
(実施例6)
<ゴム弾性層組成物(2)の調製>
ウレタンゴム(バイエル製、「ウレパン643G」)100質量部と、滑剤(ステアリン酸)1質量部と、加硫促進剤(亜鉛華)5質量部と、イオン導電剤(トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート)0.5質量部と、老化防止剤(大内新興化学(株)製、「ノクラックNS−6」)0.3質量部とを攪拌機により撹拌混合して、ゴム弾性層組成物(2)を調製した。
実施例1の現像ロールの作製において、シリコーンゴムよりなるゴム弾性層組成物(1)に変えて、ウレタンゴムよりなるゴム弾性層組成物(2)を用いた点以外は実施例1と同様にして実施例6に係る現像ロールを作製した。
(比較例1)
実施例1の現像ロールの作製において、ゴム弾性層の外周に中間層を形成しないで表層を形成した点以外は、実施例1と同様にして比較例1に係る現像ロールを作製した。
(比較例2)
実施例1の表層組成物の調製において、表2に記載するTg値のシリコーングラフト変性ウレタンを用いた点以外は実施例1と同様にして比較例2に係る現像ロールを作製した。
(比較例3)
実施例1の中間層組成物の調製において熱可塑性ウレタンを配合しなかった点以外は実施例1と同様にして比較例3に係る現像ロールを作製した。
各現像ロールの評価に先立って、実施例1と同様のロール構成において、表層中のシリコーングラフト変性ウレタンのTg値が与える耐トナーフィルミング性への影響について調べた。シリコーングラフト変性ウレタンのTg値は、実施例1において、ジオール成分であるポリエステルジオール(a)とODX688との配合比率を変えることにより調整した。その結果を表1に示す。
<各現像ロールの評価>
実施例および比較例に係る各現像ロールについて、耐久前後でのトナー搬送性を評価した。また、耐トナーフィルミング性およびゴム弾性層凸部の損傷具合を評価した。その結果を表2に示す。
(初期トナー搬送性)
いわゆる吸引式ファラデーゲージ法を用いて、ロール表面に付着したトナー量を測定した。すなわち、各現像ロールを市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、「LBP−2510」)に組み込み、HH環境下(32.5℃×85%RH)でベタ黒画像出し中にプリンターを停止した。次いで、ファラデーゲージを用いて、ロール表面に付着したトナーを吸引し、吸込み面積(A)と吸込み量(M)よりトナー搬送量(M/A)を算出した。トナー搬送量(M/A)が4〜7g/mの範囲内にある場合を合格「○」とし、トナー搬送量(M/A)が4〜7g/mの範囲から外れた場合を不合格「×」とした。
(耐久後トナー搬送性)
HH環境下(32.5℃×85%RH)で画像出しを10000枚(A4)サイズ)行なった後、HH環境下でベタ黒画像出し中にプリンターを停止した点以外は、上記初期トナー搬送性評価と同様にして、トナー搬送量(M/A)を算出した。トナー搬送量(M/A)が4〜7g/mの範囲内にある場合を合格「○」とし、トナー搬送量(M/A)が4〜7g/mの範囲から外れた場合を不合格「×」とした。
(耐トナーフィルミング性)
各現像ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、LBP−2510)に組込み、32.5℃×85%RHの環境下で、画像出しを通紙10000枚(A4サイズ)行ない、その後のロール外観を顕微鏡((株)キーエンス製、VK−9510)で拡大し観察した。この際、ロール表面にトナーの付着が無かった場合を「◎」、ロール表面にトナーが付着しているが、軽微で搬送量の変化や画像に影響が出なかった場合を「○」、ロール表面にトナーが付着し、搬送量の変化や画像にムラが発生した場合を不合格「×」とした。
(凸部の損傷具合)
各現像ロールを、市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、LBP−2510)に組込み、32.5℃×85%RHの環境下で、画像出しを通紙10000枚(A4サイズ)を行い、その後のローラ外観を顕微鏡((株)キーエンス製、VK−9510)で拡大し観察した。この際、凸部の損傷がなく、初期の状態を維持している場合を合格「○」、凸部が損傷している場合を不合格「×」とした。
(耐ヘタリ性)
各現像ロールを市販のカラーレーザープリンター(キヤノン(株)製、LBP−2510)のカートリッジに組み込んだ状態で、気温32.5℃、湿度80%の環境下で2週間放置し、その後ハーフトーン画像をNN環境(23℃×53%RH)で画像出しを行なった。画像上に圧接部に起因する不良がない場合を「○」とした。
(体積抵抗)
金属棒上に各現像ロールを線接触させ、ロールの導電性シャフトの両端に各々500gの荷重をかけた状態で金属棒を回転駆動し、30rpmで各現像ロールをつれ回り回転させ、100VDC印加した状態での導電性シャフトと金属棒間の電気抵抗を測定し、各現像ロールの体積抵抗(Ω)とした。
(表面粗さ)
ロール表面の両端からそれぞれ軸方向内側5mmの位置および軸方向中央の3つの位置において、それぞれの位置の外周の任意の3点での算術平均粗さ(Ra)を、表面粗さ計(東京精密社製、サーフコム1400D)を用いて測定した。そして、その合計9点(3点×3つの位置)での算術平均粗さ(Ra)の平均値を算出し、その結果を下記の表2に併せて表記した。
(残留電荷)
温度15℃、湿度10%RHの環境下において、ロール回転数70rpmで各現像ロールを回転させながら、その現像ロール表面に、コロナ放電線(コロトロン)を用いて100μAのコロナ電流を印加し、ロール表面を帯電した。そして、上記コロナ放電線から1/4周期分後方の位置に配した表面電位計により、上記現像ロール表面の残留電荷を測定した。なお、測定はロールを回転させたままで行なった。
(表面硬度)
各現像ロールの表面硬度を、MD−1硬度計(高分子計器(株)製、「マイクロゴム硬度計MD−1型」)により測定(N=3)した。
Figure 0005386090
表1より、シリコーングラフト変性ウレタンのTg値が−10℃以上の場合に、耐トナーフィルミング性に優れることが分かった。特に、Tgが10℃以上であると、より一層、耐トナーフィルミング性に優れている。一方、Tg値が−10℃未満の場合には、耐トナーフィルミング性に劣ることが分かった。
Figure 0005386090
比較例1では、ゴム弾性層と表層との間に中間層を設けていない。そのため、耐久時に、ゴム弾性層表面の凸部が損傷し、トナー搬送量が低下した。比較例2では、表層中のシリコーングラフト変性ウレタンのTgが低すぎる。そのため、表層が柔軟になりすぎて、トナーが食い込みやすくなり、トナーフィルミングが生じている。比較例3では、ゴム弾性層の外周に熱硬化性ウレタンをコーティングしようとしたが、熱硬化収縮が大きいため、μmオーダーの成膜が困難であった。そのため、ゴム弾性層の外周に熱硬化性ウレタンのみからなる中間層(ウレタン薄膜)を形成することができなかった。
これに対し、実施例に係る各現像ロールは、ゴム弾性層と表層との間に熱可塑性ウレタンと熱硬化ウレタンとを含有する中間層が設けられ、かつ、表層中のシリコーングラフト変性ウレタンのTgが−10℃以上になっている。そのため、耐久時にロールの表面凹凸を形成するゴム弾性層の凸部の損傷が抑えられ、長期に安定して高いトナー搬送量を維持しているとともに、長期に渡って耐トナーフィルミング性に優れることが確認できた。
また、実施例に係る各現像ロールでは、コート層に熱可塑性ウレタンが含まれているため、コート性が良好でμmオーダーの成膜が可能になっている。さらに、ベースとなる層にシリコーンゴムを使用した場合には、より一層、耐ヘタリ性に優れている。そして、製品特性より、製品性能にも問題がないことを確認できた。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
一実施形態に係る電子写真機器用現像ロールを表す周方向断面図である。 一実施形態に係る電子写真機器用現像ロールを表す軸方向断面図である。
符号の説明
10 電子写真機器用現像ロール
12 導電性シャフト
14 ゴム弾性層
16 中間層
18 表層

Claims (7)

  1. 軸体と、
    前記軸体の外周に形成され、外周面に多数の凸部を有するゴム弾性層と、
    前記ゴム弾性層の外周に形成され、熱可塑性ウレタンと熱硬化性ウレタンとを含有する中間層と、
    前記中間層の外周に形成され、ガラス転移温度(Tg)が−10℃以上のシリコーングラフト変性ウレタンを含有する表層とを備え、
    前記ゴム弾性層の凸部に起因する凹凸形状がロール表面に形成されていることを特徴とする電子写真機器用現像ロール。
  2. 前記中間層の熱可塑性ウレタンに対する熱硬化性ウレタンの質量比は、20/80〜80/20の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の電子写真機器用現像ロール。
  3. 前記ゴム弾性層は、シリコーンゴムおよびウレタンゴムから選択された1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真機器用現像ロール。
  4. 前記中間層の厚さは、1〜50μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真機器用現像ロール。
  5. 前記表層の厚さは、1〜20μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真機器用現像ロール。
  6. 前記ゴム弾性層の凸部の高さは、2〜50μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真機器用現像ロール。
  7. 前記ゴム弾性層の外周面における凸部の数密度は、50〜1000個/mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の電子写真機器用現像ロール。
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