JP5370073B2 - 機械構造用合金鋼鋼材 - Google Patents
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Description
・切削時に使用する工具の寿命が長いこと、
・切削時に排出される切りくずが細かく分断されること、
・切削抵抗が低いこと、
・切削面や研削面の仕上がりが良好であること、
などを意味する。
上述のように、従来提案されている機械構造用合金鋼鋼材はいずれも、良好な疲労強度と優れた被削性、特に耐チッピング性とを両立できるものではなかった。
fn1=Si+Cr・・・(1)
ただし、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
fn2=Mn+Mo+Ni・・・(2)
ただし、(2)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
C:0.15〜0.25%
Cは、ギヤなど機械構造部品の芯部(生地)の強度確保のために必須の元素であり、0.15%以上の含有量が必要である。また、Cの含有量が、0.15%を下回ると、鋼材の組織に占めるフェライト面積率が過剰になることにより、耐チッピング性が低下する。しかしながら、Cの含有量が多すぎると硬さが大きくなって摩耗による工具寿命の低下を招き、特に、その含有量が0.25%を超えると、硬さ上昇に伴う工具寿命の低下が著しくなる。したがって、Cの含有量を0.15〜0.25%とした。なお、Cの含有量は0.17%以上、0.23%以下であることが好ましい。
Siは、本発明において重要な元素の一つであり、耐チッピング性を向上させる作用を有する。すなわち、Siは、含有量の増加とともに引張強さが上昇することで切削抵抗の平均値は高くなるが、一方で降伏比の上昇を防ぐ作用があり、この結果切削抵抗の変動幅を大きく抑制する効果がある。切削抵抗の平均値の上昇効果に比べて、切削抵抗の変動幅の抑制効果が大きいため、耐チッピング性を大幅に向上させる。この効果を得るには、0.15%以上のSiを含有する必要がある。しかしながら、Siの含有量が0.50%以上になると硬さが高くなり、切削抵抗そのものが高くなりすぎることで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。加えて、浸炭部品の場合には、浸炭による粒界酸化層の生成が促進されて疲労強度も低下する。したがって、Siの含有量を0.15%以上で0.50%未満とした。
Mnは、ギヤなど機械構造部品の強度を確保するために必要である。Mnには、浸炭時の焼入性を向上させる作用もある。これらの効果を得るには、0.70%以上のMn含有量が必要である。しかしながら、Mnの含有量が1.30%を超えると、切削加工前のフェライト量の減少をきたし、延いてはベイナイト組織が形成し切削抵抗が上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、Mnの含有量を0.70〜1.30%とした。なお、Mnの含有量は0.75%以上、1.25%以下であることが好ましい。
Sは、鋼に含有される不純物である。また、Sは含有させると、Mnと結合してMnSを形成し、被削性を向上させる作用がある。しかしながら、Sの含有量が0.015%を超えると粗大なMnSを形成して、生産性の面で熱間加工性および冷間鍛造性が低下し、さらに、機械構造部品として要求される耐疲労特性(曲げ疲労強度、ピッチング強度など)が低下する。したがって、Sの含有量を0.015%以下とした。
Crは、Siと同様に本発明において重要な元素の一つであり、浸炭時の焼入性を向上させる効果がある。Crには、耐チッピング性を向上させる作用もある。すなわち、Crは、含有量の増加とともに引張強さが上昇することで切削抵抗の平均値は高くなるが、一方で降伏比の上昇を防ぐ作用があり、この結果切削抵抗の変動幅を大きく抑制する効果がある。切削抵抗の平均値の上昇効果に比べて、切削抵抗の変動幅の抑制効果が大きいため、耐チッピング性を大幅に向上させる。この効果を得るには、Crを1.25%を超えて含有する必要がある。しかしながら、Crの含有量が1.80%を超えると硬さが高くなり、切削抵抗そのものが高くなりすぎることで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、Crの含有量を1.25%を超えて1.80%以下とした。
Alは、脱酸作用を有する。また、Alには、Nと結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化して鋼を強化する作用もある。しかしながら、Alの含有量が0.005%未満では、前記の効果を得難い。一方、Alの含有量が0.035%を超えると、硬質で粗大なAl2O3を形成し、工具摩耗が増大し工具寿命の低下を招く。したがって、Alの含有量を0.005〜0.035%とした。なお、Al含有量は0.015%以上であることが好ましく、また、0.025%以下であることが好ましい。
Nは、窒化物を形成することにより結晶粒を微細化させ、曲げ疲労強度を向上させる効果を有する。この効果を得るには、Nを0.010%以上含有する必要がある。しかしながら、Nの含有量が過剰になると、粗大な窒化物を形成して靱性の低下を招き、特に、その含有量が0.025%を超えると、靱性の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量を0.010〜0.025%とした。なお、Nの含有量は0.015%を超えることが好ましく、また、0.020%以下であることが好ましい。
SiとCrは、本発明において重要な元素であり、耐チッピング性を向上させる作用を有する。すなわち、前述のとおり、SiおよびCrは、含有量の増加とともに引張強さが上昇することで切削抵抗の平均値を高くするが、一方で降伏比の上昇を防ぐ作用があり、この結果切削抵抗の変動幅を大きく抑制する効果がある。切削抵抗の平均値の上昇効果に比べて、切削抵抗の変動幅の抑制効果が大きいため、耐チッピング性を大幅に向上させる。この効果を得るには、SiおよびCrの含有量をそれぞれ、上述した範囲に調整したうえで、前記の(1)式で表されるfn1、つまり、〔Si+Cr〕を1.50以上にする必要がある。一方、fn1が1.85を超えると硬さが大きくなりすぎて、切削抵抗そのものが上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、fn1が1.50〜1.85の範囲にあることが必要である。
Pは、鋼に含有される不純物であり、結晶粒界に偏析して鋼を脆化させる。特に、その含有量が0.020%を超えると、脆化の程度が著しくなる。したがって、本発明においては、不純物中のPの含有量を0.020%以下とした。なお、不純物中のPの含有量は0.010%以下とすることが好ましい。
O(酸素)は、鋼中のSiやAlと結合して、酸化物を生成する。酸化物のうちでも、特に、Al2O3は硬質であるため、被削性を低下させる。したがって、本発明においては、不純物中のOの含有量を0.0020%以下とした。
Moは、浸炭時の焼入性を向上させる作用があるため必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moの含有量が0.50%を超えると、切削加工前のフェライト量の減少をきたし、延いてはベイナイト組織が形成し切削抵抗が上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、含有させる場合のMoの含有量を0.50%以下とした。なお、Moの含有量は0.30%以下であることが好ましい。
Niは、浸炭時の焼入性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Niの含有量が0.20%を超えると、切削加工前のフェライト量の減少をきたし、延いてはベイナイト組織が形成し切削抵抗が上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、含有させる場合のNiの含有量を0.20%以下とした。なお、Niの含有量は0.10%以下であることが好ましい。
Mn、MoおよびNiはいずれも、浸炭時の焼入性を向上させる作用を有するが、適正な組織形態を確保するためにそれぞれの含有量を制限する必要がある。このためには、前記の(2)式で表されるfn2、つまり、〔Mn+Mo+Ni〕を1.30以下にする必要がある。fn2が1.30を超えると、切削加工前のフェライト量の減少をきたし、延いてはベイナイト組織が形成し切削抵抗が上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、浸炭時の焼入性を高めるためにMoおよびNiのうちの1種以上を含有させる場合には、fn2は1.30以下の範囲にあることが必要である。なお、fn2は、1.20以下とすることが好ましい。
Nbは、CおよびNと結合して微細な炭化物、窒化物、炭窒化物を形成して結晶粒を微細化し、機械構造部品としての疲労特性、特に曲げ疲労強度を向上させる効果を有するので、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると熱間延性の低下を招き、特に、その含有量が0.050%を超えると、熱間延性の低下が著しくなって、熱間圧延や熱間鍛造時に表面キズが発生しやすくなる。また、Nbの含有量が高くなりすぎると、結晶粒の微細化が著しく、降伏比が上昇し、その結果、耐チッピング性が低下する。したがって、含有させる場合のNbの含有量を0.050%以下とした。なお、Nbの含有量は0.040%以下であることが好ましい。
Caは、被削性を改善する作用を有する。このため、被削性向上のためにCaを含有してもよい。しかしながら、Caの過度の添加はコストの上昇につながり、特に、Caの含有量が0.0050%を超えると、被削性向上効果が飽和するのでコストが嵩んで経済性が損なわれる。しかも、Caの含有量が0.0050%を超える場合には、粗大な酸化物を形成して曲げ疲労強度およびピッチング強度の低下も招く。したがって、含有させる場合のCaの含有量を0.0050%以下とした。なお、Caの含有量は0.0030%以下であることが好ましい。
本発明の機械構造用合金鋼鋼材は、組織の95%以上が、フェライト・パーライト組織で構成され、しかも、組織に占めるフェライトの割合が40〜60%であることが必要である。
・雰囲気:大気中、
・回転数:3400rpm。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.15〜0.25%、Si:0.15以上で0.50%未満、Mn:0.70〜1.30%、S:0.015%以下、Cr:1.25%を超えて1.80%以下、Al:0.005〜0.035%およびN:0.010〜0.025%を含み、かつ下記の(1)式で表されるfn1の範囲が1.50〜1.85であり、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のPおよびO(酸素)がそれぞれ、P:0.020%以下およびO:0.0020%以下であり、さらに組織の95%以上がフェライト・パーライト組織で構成され、しかも、組織に占めるフェライトの割合が40〜60%であることを特徴とする機械構造用合金鋼鋼材。
fn1=Si+Cr・・・(1)
ただし、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - Feの一部に代えて、質量%で、Mo:0.50%以下およびNi:0.20%以下のうちの1種以上を含有するとともに、下記の(2)式で表されるfn2の範囲が1.30以下であることを特徴とする請求項1に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
fn2=Mn+Mo+Ni・・・(2)
ただし、(2)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。 - Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.050%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
- Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.0050%以下を含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の機械構造用合金鋼鋼材。
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