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JP5370073B2 - 機械構造用合金鋼鋼材 - Google Patents

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Description

本発明は、機械構造用合金鋼鋼材に関し、詳しくは、疲労強度に優れるとともに、切削加工時の工具のチッピングが発生しにくい機械構造用合金鋼鋼材に関する。より詳しくは、本発明は、疲労強度に優れるとともに、例えば、産業機械、自動車などに用いるギヤ、シャフトなどの部品製造の際の切削加工用工具、なかでも、超硬工具に対して、優れた被削性、特に工具のチッピングが発生しにくいフェライト・パーライト組織を有する機械構造用合金鋼鋼材に関する。以下、切削加工用工具のチッピングが発生しにくいことを、耐チッピング性に優れるという。
産業機械、自動車などの部品のなかで、例えばギヤなどの素材鋼としては、JISに規定されたクロム鋼であるSCr420鋼、クロムモリブデン鋼であるSCM420鋼などに代表される機械構造用合金鋼が広く用いられている。
これらの鋼は、多くの場合、圧延によって棒鋼に加工され、ついで、焼準、焼鈍などの熱処理を施されて硬さや組織などが調整され、さらに鍛造などによって製品形状に近い状態にまで塑性加工された後、切削工程により所定の形状に加工される。その後、必要とされる特性に応じて浸炭などの表面処理を施され、さらに、仕上げのための研削加工などを受けて最終部品となる。
上記工程のなかでも特に切削工程の生産能率向上のために、鋼には優れた被削性を有していることが強く望まれる。
一般に「被削性に優れる」ということは、
・切削時に使用する工具の寿命が長いこと、
・切削時に排出される切りくずが細かく分断されること、
・切削抵抗が低いこと、
・切削面や研削面の仕上がりが良好であること、
などを意味する。
切削工程において無人化や自動化が進むと、上記のうちでも特に工具寿命が長く、かつその長寿命が安定して得られることが重要となってくる。
例えば、耐工具摩耗性が確保されていても、「チッピング」と称される、何らかの要因で突発的に工具の刃先が欠ける現象が生じると、製品の切削面や研削面の仕上げ精度が低下することに加えて歩留まりが低下するなど極めて重要な問題となる。
被削性の向上に対しては、主に切削方法(切削条件、工具材質、工具形状など)の適正化で対応されることが多い。しかしながら、被削性は鋼材そのものの特性に支配される場合もあり、特に、長い工具寿命を安定して確保できることは、鋼材の被削性の向上という点からも重要な課題となっている。
一般に、鋼材の被削性はPbの添加により向上することがよく知られている。しかしながら、Pbの添加は、鋼材価格の上昇を伴うばかりでなく、環境汚染を招く懸念がある。 そこで、Pbを添加せずに鋼材の被削性を改善する技術の研究が進められてきた。その代表的なものは、硫化物系介在物であるMnSの活用による被削性改善技術であり、多くの検討がなされ、実用化されているものもある。
しかし、機械構造用合金鋼鋼材に関しては、その生産上の特徴から冷間鍛造を実施する場合があり、その際、MnSが割れの起点になることもある。また、ギヤなどはピッチング強度などに代表される疲労特性に優れることが必要であり、介在物は疲労破壊の起点となる場合がある。そのため、Sを多量に添加することを避ける場合が多い。
このように機械構造用合金鋼鋼材においては、介在物を積極的に活用せずに被削性を改善させることが強く望まれている。
なお、MnSの活用も含め機械構造用合金鋼鋼材の被削性を改善する技術が、例えば、特許文献1〜3に提案されている。
具体的には、特許文献1に、C:0.03〜0.25%、Si:0.50%以下、Mn:0.55〜3.00%、Cr:0.30〜1.50%、S:0.035%以下、P:0.015%以下、Al:0.015〜0.06%およびN:0.004%超え0.03%以下を含有し、さらに必要に応じて、Cu、Ni、Mo、V、Ti、Nb、B、Ca、ZrおよびTeのうちの1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、Ceq=C+(1/20)Si+(1/20)Mn+(1/20)Cr+(1/25)Mo+(33/100)V(%)で表わされるCeqが0.50%以下で、かつ〔表面硬化処理後の表面C(%)〕×Cr(%)≦1.2であることを特徴とする「肌焼鋼」が提案されている。
特許文献2には、化学成分組成が、質量%で、C:0.3%以下、Si:0.3%以下、Mn:1.5%以下、P:0.02%以下、S:0.02%以下、Al:0.06%以下およびN:0.03%以下に加えて、Cr:3%以下、Mo:1.5%以下およびV:1.5%以下のうちの1種以上を含有し、さらに必要に応じて、Ti、Nb、Cu、Ni、Ca、Zr、PbおよびBのうちの1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、(フェライト+パーライト)の面積率が75%以上であり、かつフェライトの平均粒径が40μm以下およびパーライトの平均粒径が30μm以下であることを特徴とする「冷間鍛造用肌焼鋼」が提案されている。
特許文献3には、質量%で、C:0.10〜0.35%、Si:0.03〜0.35%、Mn:0.20〜2.0%、S:0.003〜0.30%、Al:0.010〜0.05%およびN:0.010〜0.025%を含有し、さらに必要に応じて、Cr、Mo、Nb、Pb、Bi、Te、CaおよびSeのうちの1種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物よりなる鋼において、840〜930℃に加熱し、730〜650℃の温度区間を徐冷温度域として15〜50℃/hの冷却速度で冷却することを特徴とするフェライトおよびパーライトの2相組織からなり「冷間加工性および結晶粒度特性に優れた肌焼鋼の製造方法」が提案されている。
特開平7−179990号公報 特開平11−12684号公報 特開平2002−146438号公報
前述の特許文献1で開示された鋼は、ハイス工具によるホブ加工時の工具摩耗量という意味では被削性に優れているかもしれないが、C、Si、SおよびCr含有量が適切でなく、超硬工具を用いた場合の耐チッピング性ということでは、優れた工具寿命を有しているとはいえるものではなく、また、優れた被削性と良好な疲労強度を両立できるという点でも十分とはいえなかった。
特許文献2に開示されている鋼は、冷間鍛造後に浸炭処理を行うことを前提としたものであり、球状化焼鈍処理の迅速化が達成できて冷間鍛造性に優れるものの、切削加工した場合に長い工具寿命を維持できるという点では、満足できるものでなかった。
特許文献3に開示された方法で製造された鋼は、冷間加工後に浸炭処理を行うことを前提としているものであり、浸炭時の混粒発生はしにくいものの、切削加工中の工具のチッピングを必ずしも抑制できるものではなく、安定した被削性を有するといえるものではなかった。
上述のように、従来提案されている機械構造用合金鋼鋼材はいずれも、良好な疲労強度と優れた被削性、特に耐チッピング性とを両立できるものではなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、高い疲労強度を有するとともに、被削性、なかでも、耐チッピング性に優れ安定した工具寿命を確保させることができる機械構造用合金鋼鋼材を提供することを目的とする。
機械構造用合金鋼鋼材の被削性のうちで、特に、工具寿命については、熱処理による硬さの調整で工具摩耗を抑制できることはよく知られている。しかしながら、突発的に発生する工具刃先の欠け(チッピング)の抑制に関する検討はあまりなされていない。
そこで本発明者らは、機械構造用合金鋼鋼材の耐チッピング性を改善するため、鋼材の機械的特性、合金成分およびミクロ組織と被削性との関係を詳細に調査した。その結果、下記(a)〜(d)の知見を得た。
(a)硬さが同等の鋼材におけるチッピングの発生は、切削加工中の切削抵抗の主分力の変動幅と相関を有する。すなわち、図1および図2に示すように、主分力の変動幅が小さい場合(図1)にはチッピングは発生せず、主分力の変動幅が大きい場合(図2)にチッピングが発生する。このことから、切削抵抗の主分力の変動幅が大きくなることによって刃先への繰り返しの負荷が増大されてチッピングに至ることが判明した。なお、上記の切削抵抗の主分力の変動幅はデータのバラツキとして標準偏差σで表現することができる。
(b)切削加工中の切削抵抗の主分力の変動幅を小さくするためには、鋼材の主たる組織がフェライトとパーライトで形成されるいわゆる「フェライト・パーライト組織」であるのがよく、しかも、引張特性における降伏比(0.2%耐力/引張強さ)が小さい方がよい。これはフェライトの硬さが低いことが有効であることを意味し、切りくず形成時に連続して起こるせん断歪みがフェライトに集中することで切削抵抗が安定化するものと考えられる。
(c)Siは、従来からフェライト強化元素として知られているが、Siの含有量を増やしても適正な熱処理条件を選択することで降伏比が低下することが判明した。
(d)一方、組織に占めるフェライトの割合が多すぎると、鋼材の延性が大きくなりすぎ、切削加工中に工具への鋼材の凝着が進みやすくなる。そして、切削加工中の凝着物の生成脱落の繰り返しによって、耐チッピング性が損なわれることになる。したがって、組織に占めるフェライトの割合は、高ければよいわけではなく、制限する必要がある。
そこでさらに、本発明者らは、合金成分、鋼材の組織を種々変更し、切削抵抗の変動と降伏比の関係を調査した。その結果、図3に一例を示すように、降伏比が0.63以下の場合には切削加工中の切削抵抗の主分力の変動幅(標準偏差σ)が抑えられていることが判明した。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記(1)〜(4)に示す機械構造用合金鋼鋼材にある。
(1)質量%で、C:0.15〜0.25%、Si:0.15以上で0.50%未満、Mn:0.70〜1.30%、S:0.015%以下、Cr:1.25%を超えて1.80%以下、Al:0.005〜0.035%およびN:0.010〜0.025%を含み、かつ下記の(1)式で表されるfn1の範囲が1.50〜1.85であり、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のPおよびO(酸素)がそれぞれ、P:0.020%以下およびO:0.0020%以下であり、さらに組織の95%以上がフェライト・パーライト組織で構成され、しかも、組織に占めるフェライトの割合が40〜60%であることを特徴とする機械構造用合金鋼鋼材。
fn1=Si+Cr・・・(1)
ただし、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
(2)Feの一部に代えて、質量%で、Mo:0.50%以下およびNi:0.20%以下のうちの1種以上を含有するとともに、下記の(2)式で表されるfn2の範囲が1.30以下であることを特徴とする上記(1)に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
fn2=Mn+Mo+Ni・・・(2)
ただし、(2)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
(3)Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.050%以下を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
(4)Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.0050%以下を含有することを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれかに記載の機械構造用合金鋼鋼材。
なお、残部としての「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石やスクラップあるいは環境などから混入するものを指す。
「フェライト・パーライト組織」とは、フェライトとパーライトの混合組織を指す。
「組織に占めるフェライトの割合」における「フェライト」にはパーライトを構成するフェライトは含まない。
組織に占める「フェライト・パーライト組織」および「フェライト」の割合は、面積率を指す。
本発明の機械構造用合金鋼鋼材は、MnSなどの介在物を積極的に活用しないにもかかわらず被削性に優れており、さらに、疲労強度にも優れている。特に、機械構造用合金鋼鋼材の対象部品に代表されるギヤなどの切削加工を必要とする部品の素材としてこの鋼材を使用することにより、その部品の製造コストを大幅に低下させることができる。
切削加工中の切削抵抗測定結果を示す図で、切削加工中の主分力の変動幅が小さくチッピングを生じなかった場合について説明する図である。 切削加工中の切削抵抗測定結果を示す図で、切削加工中の主分力の変動幅が大きくチッピングを生じた場合について説明する図である。 切削加工中の主分力の変動幅に及ぼす降伏比の影響を示す図である。 実施例で用いた切欠き付き小野式回転曲げ疲労試験片の熱処理材から切り出したままの形状を示す図である。 実施例における「浸炭焼入−焼戻し」のヒートパターンを示す図である。 実施例の小野式回転曲げ疲労試験で用いた切欠き付き小野式回転曲げ疲労試験片の形状を示す図である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)鋼材の化学組成について:
C:0.15〜0.25%
Cは、ギヤなど機械構造部品の芯部(生地)の強度確保のために必須の元素であり、0.15%以上の含有量が必要である。また、Cの含有量が、0.15%を下回ると、鋼材の組織に占めるフェライト面積率が過剰になることにより、耐チッピング性が低下する。しかしながら、Cの含有量が多すぎると硬さが大きくなって摩耗による工具寿命の低下を招き、特に、その含有量が0.25%を超えると、硬さ上昇に伴う工具寿命の低下が著しくなる。したがって、Cの含有量を0.15〜0.25%とした。なお、Cの含有量は0.17%以上、0.23%以下であることが好ましい。
Si:0.15%以上で0.50%未満
Siは、本発明において重要な元素の一つであり、耐チッピング性を向上させる作用を有する。すなわち、Siは、含有量の増加とともに引張強さが上昇することで切削抵抗の平均値は高くなるが、一方で降伏比の上昇を防ぐ作用があり、この結果切削抵抗の変動幅を大きく抑制する効果がある。切削抵抗の平均値の上昇効果に比べて、切削抵抗の変動幅の抑制効果が大きいため、耐チッピング性を大幅に向上させる。この効果を得るには、0.15%以上のSiを含有する必要がある。しかしながら、Siの含有量が0.50%以上になると硬さが高くなり、切削抵抗そのものが高くなりすぎることで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。加えて、浸炭部品の場合には、浸炭による粒界酸化層の生成が促進されて疲労強度も低下する。したがって、Siの含有量を0.15%以上で0.50%未満とした。
より良好な被削性が要求される場合には、Siの含有量は0.25%以上であることが好ましく、0.30%を超えれば一層好ましい。
なお、Siの含有量は上記の範囲において、前記の(1)式で表されるfn1が1.50≦fn1≦1.85も満たす必要がある。
Mn:0.70〜1.30%
Mnは、ギヤなど機械構造部品の強度を確保するために必要である。Mnには、浸炭時の焼入性を向上させる作用もある。これらの効果を得るには、0.70%以上のMn含有量が必要である。しかしながら、Mnの含有量が1.30%を超えると、切削加工前のフェライト量の減少をきたし、延いてはベイナイト組織が形成し切削抵抗が上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、Mnの含有量を0.70〜1.30%とした。なお、Mnの含有量は0.75%以上、1.25%以下であることが好ましい。
なお、Mo:0.50%以下およびNi:0.20%以下のうちの1種以上も含む場合には、Mnの含有量は上記の範囲において、前記の(2)式で表されるfn2が1.30以下を満たせばよい。
S:0.015%以下
Sは、鋼に含有される不純物である。また、Sは含有させると、Mnと結合してMnSを形成し、被削性を向上させる作用がある。しかしながら、Sの含有量が0.015%を超えると粗大なMnSを形成して、生産性の面で熱間加工性および冷間鍛造性が低下し、さらに、機械構造部品として要求される耐疲労特性(曲げ疲労強度、ピッチング強度など)が低下する。したがって、Sの含有量を0.015%以下とした。
Cr:1.25%を超えて1.80%以下
Crは、Siと同様に本発明において重要な元素の一つであり、浸炭時の焼入性を向上させる効果がある。Crには、耐チッピング性を向上させる作用もある。すなわち、Crは、含有量の増加とともに引張強さが上昇することで切削抵抗の平均値は高くなるが、一方で降伏比の上昇を防ぐ作用があり、この結果切削抵抗の変動幅を大きく抑制する効果がある。切削抵抗の平均値の上昇効果に比べて、切削抵抗の変動幅の抑制効果が大きいため、耐チッピング性を大幅に向上させる。この効果を得るには、Crを1.25%を超えて含有する必要がある。しかしながら、Crの含有量が1.80%を超えると硬さが高くなり、切削抵抗そのものが高くなりすぎることで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、Crの含有量を1.25%を超えて1.80%以下とした。
より一層良好な被削性が要求される場合には、Crの含有量は1.40%以上であることが好ましく、1.65%以下であることが好ましい。
なお、Crの含有量は上記の範囲において、前記の(1)式で表されるfn1が1.50≦fn1≦1.85も満たす必要がある。
Al:0.005〜0.035%
Alは、脱酸作用を有する。また、Alには、Nと結合してAlNを形成し、結晶粒を微細化して鋼を強化する作用もある。しかしながら、Alの含有量が0.005%未満では、前記の効果を得難い。一方、Alの含有量が0.035%を超えると、硬質で粗大なAl23を形成し、工具摩耗が増大し工具寿命の低下を招く。したがって、Alの含有量を0.005〜0.035%とした。なお、Al含有量は0.015%以上であることが好ましく、また、0.025%以下であることが好ましい。
N:0.010〜0.025%
Nは、窒化物を形成することにより結晶粒を微細化させ、曲げ疲労強度を向上させる効果を有する。この効果を得るには、Nを0.010%以上含有する必要がある。しかしながら、Nの含有量が過剰になると、粗大な窒化物を形成して靱性の低下を招き、特に、その含有量が0.025%を超えると、靱性の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量を0.010〜0.025%とした。なお、Nの含有量は0.015%を超えることが好ましく、また、0.020%以下であることが好ましい。
fn1:1.50〜1.85
SiとCrは、本発明において重要な元素であり、耐チッピング性を向上させる作用を有する。すなわち、前述のとおり、SiおよびCrは、含有量の増加とともに引張強さが上昇することで切削抵抗の平均値を高くするが、一方で降伏比の上昇を防ぐ作用があり、この結果切削抵抗の変動幅を大きく抑制する効果がある。切削抵抗の平均値の上昇効果に比べて、切削抵抗の変動幅の抑制効果が大きいため、耐チッピング性を大幅に向上させる。この効果を得るには、SiおよびCrの含有量をそれぞれ、上述した範囲に調整したうえで、前記の(1)式で表されるfn1、つまり、〔Si+Cr〕を1.50以上にする必要がある。一方、fn1が1.85を超えると硬さが大きくなりすぎて、切削抵抗そのものが上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、fn1が1.50〜1.85の範囲にあることが必要である。
本発明の機械構造用合金鋼鋼材の一つは、上記元素のほか、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するものである。
なお、本発明においては、不純物中のPおよびO(酸素)は、その含有量をそれぞれ、P:0.020%以下およびO:0.0020%以下に制限する必要がある。
以下、上記不純物中のPおよびOについて説明する。
P:0.020%以下
Pは、鋼に含有される不純物であり、結晶粒界に偏析して鋼を脆化させる。特に、その含有量が0.020%を超えると、脆化の程度が著しくなる。したがって、本発明においては、不純物中のPの含有量を0.020%以下とした。なお、不純物中のPの含有量は0.010%以下とすることが好ましい。
O(酸素):0.0020%以下
O(酸素)は、鋼中のSiやAlと結合して、酸化物を生成する。酸化物のうちでも、特に、Al23は硬質であるため、被削性を低下させる。したがって、本発明においては、不純物中のOの含有量を0.0020%以下とした。
本発明の機械構造用合金鋼鋼材の他の一つは、Feの一部に代えて、Mo、Ni、NbおよびCaのうちの1種以上の元素を含有するものである。
以下、任意元素である上記Mo、Ni、NbおよびCaの作用効果と、含有量の限定理由について説明する。
MoおよびNiは、いずれも、浸炭時の焼入性を高める作用を有する。このため、浸炭時により大きな焼入性を得たい場合には、これらの元素を含有させてもよい。以下、上記のMoおよびNiについて説明する。
Mo:0.50%以下
Moは、浸炭時の焼入性を向上させる作用があるため必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Moの含有量が0.50%を超えると、切削加工前のフェライト量の減少をきたし、延いてはベイナイト組織が形成し切削抵抗が上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、含有させる場合のMoの含有量を0.50%以下とした。なお、Moの含有量は0.30%以下であることが好ましい。
一方、前記したMoの浸炭時の焼入性向上効果を確実に得るためには、Moの含有量は0.03%以上であることが好ましい。
なお、Moの含有量は上記の範囲において、前記の(2)式で表されるfn2が1.30以下も満たす必要がある。
Ni:0.20%以下
Niは、浸炭時の焼入性を向上させる作用を有するので、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Niの含有量が0.20%を超えると、切削加工前のフェライト量の減少をきたし、延いてはベイナイト組織が形成し切削抵抗が上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、含有させる場合のNiの含有量を0.20%以下とした。なお、Niの含有量は0.10%以下であることが好ましい。
一方、前記したNiの浸炭時の焼入性向上効果を確実に得るためには、Niの含有量は0.03%以上であることが好ましい。
なお、Niの含有量は上記の範囲において、前記の(2)式で表されるfn2が1.30以下も満たす必要がある。
上記のMoおよびNiは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種の複合で含有させることができる。なお、これらの元素の合計含有量は0.70%以下であってもよいが、0.50%以下とすることが好ましい。
fn2:1.30以下
Mn、MoおよびNiはいずれも、浸炭時の焼入性を向上させる作用を有するが、適正な組織形態を確保するためにそれぞれの含有量を制限する必要がある。このためには、前記の(2)式で表されるfn2、つまり、〔Mn+Mo+Ni〕を1.30以下にする必要がある。fn2が1.30を超えると、切削加工前のフェライト量の減少をきたし、延いてはベイナイト組織が形成し切削抵抗が上昇することで工具摩耗が増加し、かえって工具寿命の低下を招く。したがって、浸炭時の焼入性を高めるためにMoおよびNiのうちの1種以上を含有させる場合には、fn2は1.30以下の範囲にあることが必要である。なお、fn2は、1.20以下とすることが好ましい。
また、浸炭時の焼入性向上効果を確実に得るためには、fn2は0.73以上であることが好ましい。fn2はより好ましくは0.76以上、さらに好ましくは0.80以上である。
Nb:0.050%以下
Nbは、CおよびNと結合して微細な炭化物、窒化物、炭窒化物を形成して結晶粒を微細化し、機械構造部品としての疲労特性、特に曲げ疲労強度を向上させる効果を有するので、必要に応じて含有してもよい。しかしながら、Nbの含有量が過剰になると熱間延性の低下を招き、特に、その含有量が0.050%を超えると、熱間延性の低下が著しくなって、熱間圧延や熱間鍛造時に表面キズが発生しやすくなる。また、Nbの含有量が高くなりすぎると、結晶粒の微細化が著しく、降伏比が上昇し、その結果、耐チッピング性が低下する。したがって、含有させる場合のNbの含有量を0.050%以下とした。なお、Nbの含有量は0.040%以下であることが好ましい。
一方、前記したNbの特性向上効果を確実に得るためには、Nbの含有量は0.005%以上であることが好ましく、0.020%以上であれば一層好ましい。
Ca:0.0050%以下
Caは、被削性を改善する作用を有する。このため、被削性向上のためにCaを含有してもよい。しかしながら、Caの過度の添加はコストの上昇につながり、特に、Caの含有量が0.0050%を超えると、被削性向上効果が飽和するのでコストが嵩んで経済性が損なわれる。しかも、Caの含有量が0.0050%を超える場合には、粗大な酸化物を形成して曲げ疲労強度およびピッチング強度の低下も招く。したがって、含有させる場合のCaの含有量を0.0050%以下とした。なお、Caの含有量は0.0030%以下であることが好ましい。
一方、前記したCaの被削性改善効果を確実に得るためには、Caの含有量は0.0005%以上であることが好ましい。
(B)鋼材の組織について:
本発明の機械構造用合金鋼鋼材は、組織の95%以上が、フェライト・パーライト組織で構成され、しかも、組織に占めるフェライトの割合が40〜60%であることが必要である。
先ず、フェライト・パーライト組織の形成は良好な疲労強度を確保するとともに降伏比を下げることで被削性を安定して確保するうえで重要な因子である。すなわち、上記(A)項で述べた化学組成を有する鋼材において、組織に占めるフェライト・パーライト組織の割合が95%より少ない場合は、その残部はベイナイトに置き換わることになる。この場合には、硬さが増して切削抵抗が上がりすぎので、工具摩耗が増加することによる工具寿命の低下を招く。したがって、組織の95%以上がフェライト・パーライト組織で構成されることとした。なお、組織の100%がフェライト・パーライト組織であってもよい。
次に、組織に占めるフェライトの割合は良好な疲労強度を確保するとともに被削性を安定して確保するうえで重要な因子である。すなわち、上記の、95%以上がフェライト・パーライト組織で構成される組織に占めるフェライトの割合が40%より少ない場合には、残部のパーライト量が増加するか、場合によっては一部ベイナイトなどに置き換わることになって、硬さが増して切削抵抗が上がりすぎので、工具摩耗が増加することによる工具寿命の低下を招く。一方、上記の組織に占めるフェライトの割合が60%を超えると、硬さが低下し鋼材としては延性が増加するため、切削中に工具への凝着が進みやすくなる。そして、硬さの低下による工具摩耗は抑制されても切削加工中の凝着物の生成脱落の繰り返しによって、かえって耐チッピング性が損なわれることになる。以上のことから、組織に占めるフェライトの割合が40〜60%であることとした。
既に述べたように、「フェライト・パーライト組織」とは、フェライトとパーライトの混合組織を指し、「組織に占めるフェライトの割合」における「フェライト」にはパーライトを構成するフェライトは含まない。また、組織に占める「フェライト・パーライト組織」および「フェライト」の割合は、面積率を指す。
なお、(A)項で述べた化学組成を有する鋼材の組織を、組織の95%以上が、フェライト・パーライト組織で構成され、しかも、組織に占めるフェライトの割合が40〜60%であるものとするためには、例えば、鋼材を870〜950℃の範囲に30分以上加熱した後、鋼材の表面温度で800℃から500℃の冷却時間を6分以上として連続冷却する熱処理が推奨される。上記の熱処理において、870〜950℃の範囲への加熱時間の上限は特に規定されるものではないが、生産性の観点から推奨される加熱時間は2時間以内である。また、安定して所定の組織を得るために、鋼材の表面温度で800℃から500℃の冷却時間は8分以上とすることがより推奨されるが、生産性の観点から30分以内にすることが好ましい。なお、鋼材の表面温度が500℃に達した後の冷却速度については特段の調整をするに及ばない。生産性、設備面などの観点から適宜の冷却方法で冷却すればよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
表1に示す化学組成の鋼A1〜A11および鋼B1〜B15を150kg真空溶解炉で溶製し、インゴット鋳造により製造した。なお、鋼A1〜A11は、化学組成が本発明で規定する範囲内にある本発明例の鋼であり、一方、鋼B1〜B15は、本発明で規定する条件から外れた比較例の鋼である。
Figure 0005370073
各鋼の鋼塊を1250℃に加熱してから1000℃以上で仕上げる熱間鍛造を行い、直径65mmの丸棒を作製した。なお、熱間鍛造後は大気中で放冷した。
このようにして得た各鋼の丸棒に、組織および硬さを調整するための熱処理として、900℃に加熱して1時間保持し、次いで、800℃から500℃の冷却時間が10分となる冷却を実施した。なお、鋼A2の丸棒については、上記の熱処理のほかに、800〜1000℃に加熱して1時間保持し、次いで、800℃から500℃の冷却時間が10分となる冷却と、900℃に加熱して1時間保持し、次いで、800℃から500℃の冷却時間が5分となる冷却も行った。なお、いずれの熱処理についても500℃に達した後の冷却は大気中での放冷とした。
上記の熱処理を施した各丸棒の表面から16mmの位置(以下、「R/2部」という。)を中心にして、鍛練軸方向に平行に採取、つまり、長手方向に平行に採取した試験片の10mm×10mmの断面を鏡面研磨し、ナイタールで腐食して、100倍の倍率で各試料について6視野の光学顕微鏡観察を行い組織を調査するとともに、組織に占めるパーライトおよびフェライトの割合(面積率)を計測し、フェライト・パーライト組織およびフェライトが組織に占める割合を求めた。なお、具体的な計測は次のようにして行った。
組織の100%がフェライトとパーライトで形成されている場合には、フェライトとそれ以外の組織形態を画像解析により2値化処理し、フェライトに色分けられた領域の面積を、全面積で除した値を組織に占めるフェライトの割合とした。
また、フェライトとパーライト以外の相(ベイナイト)を含んでいる場合には、先ず、ベイナイトとそれ以外の組織形態を画像解析により2値化処理し、全面積からベイナイトに色分けられた領域の面積を引いた値をフェライト・パーライトの割合とした。また、フェライトとそれ以外の組織形態を画像解析により2値化処理し、フェライトに色分けられた領域の面積を、全面積で除した値を組織に占めるフェライトの割合とした。
また、上記の組織を観察した試験片を、再度鏡面研磨し、JIS Z 2244(2009)に記載の「ビッカース硬さ試験−試験方法」に準拠して、R/2部でのビッカース硬さ(以下、「HV硬さ」という。)を、試験力を980Nとして測定し、その値を算術平均して熱処理材のHV硬さを評価した。
さらに、上述のようにして作製した直径65mmの熱処理材のR/2部から、丸棒の長手方向に平行にJIS Z 2201(1998)に記載のJIS14A号試験片(平行部の直径が4.5mm)を採取して、室温で引張試験を行い、0.2%耐力および引張強さを測定して降伏比を求めた。
被削性は、上述のようにして作製した直径65mmの熱処理材をそれぞれ、直径62mmにまでピーリングして長さ400mmに切断した円柱状試験片を用いて、旋削加工による被削性試験を行って評価した。
なお、切削は、P20種の超硬工具を使用し、20倍に希釈した水溶性エマルジョンによる湿式加工(供給量:20リットル/min)によって、切削速度を150m/minの一定とし、送りが0.35mm/revで、切り込み量が1.5mmとなる条件で400mmの試験片の長手方向に実施した。
切削抵抗の評価について、工具は未使用の状態から切削を開始し、加工時間5〜6秒までの間をサンプリングタイムを1/100秒として計測した。そして、先の図1および図2に示すような切削加工中の主分力の測定結果を得た後に、加工開始後0.5秒後以降の加工時間内4秒間(データ数:400)において、主分力の平均値とその変動を標準偏差σとして算出した。なお、切削加工中の「主分力」とは、工具と被削材が接する点に働く被削材の回転方向に平行な接線方向の力を指す。
工具摩耗については、上記の条件にて切削距離3000mまで加工を実施し、刃先の損傷状況を切削距離300m毎に観察した。工具寿命の判定は、損傷状況を観察時に逃げ面摩耗量(以下、「VB」という。)が0.2mmを超えた時点、または、チッピングが確認できた時点の切削距離とした。
浸炭後の疲労強度は次に述べる小野式回転曲げ疲労試験を実施し、107回転で破断しなかった応力を疲労限として評価した。
先ず、上述のようにして作製した直径65mmの熱処理材のR/2部から、丸棒の長手方向に平行に図4に示す粗形状の切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片を切り出した。
なお、図4中に示した試験片における寸法の単位は全て「mm」であり、図中の仕上記号「▽」、「▽▽」および「▽▽▽」は、JIS B 0601(1982)の解説表1の表面粗さを示す「三角記号」である。
上記粗形状の切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片の全てに対して、図5に示すヒートパターンによる「浸炭焼入−焼戻し」を施した。図5中の「Cp」はカーボンポテンシャルを表す。また、「100℃油焼入」は油温100℃の油中に焼入したことを、さらに「AC」は大気中で放冷したことを表す。油焼入については、均一に焼入処理されるように、攪拌している焼入油中に試験片を投入して行った。
なお、上記の「浸炭焼入−焼戻し」は、各試験片の吊り下げ用に加工した孔に針金を通し、吊下げた状態で実施した。
上記の「浸炭焼入−焼戻し」を施した試験片を仕上げ加工して、図6に示す切欠付き小野式回転曲げ疲労試験片を作製した。
なお、図6に示した試験片における寸法の単位も全て「mm」であり、図における仕上記号「▽」および「▽▽▽」は先の図4におけると同様、それぞれ、JIS B 0601(1982)の解説表1の表面粗さを示す「三角記号」である。また、「▽▽▽」に付した「G」はJIS B 0122(1978)に規定の「研削」を示す加工方法の略号であることを意味する。さらに、「〜」は「波形記号」であり、生地であること、すなわち、「浸炭焼入−焼戻し」した表面のままであることを意味する。
上記の仕上加工した小野式回転曲げ疲労試験片を用いて、下記の試験条件によって小野式回転曲げ疲労試験を実施し、前述のとおり、繰返し数107回転で破断しなかった応力を疲労限として評価した。
・温度:室温、
・雰囲気:大気中、
・回転数:3400rpm。
表2に、上記の各調査結果をまとめて示す。なお、表2には前記直径65mmの丸棒に施した熱処理を併せて示した。
Figure 0005370073
表2から、本発明で規定する条件を満たす試験番号1〜11の場合、切削距離3000m時点でも工具寿命に至っておらず、被削性が良好で、さらに、疲労限も500MPa以上であって、疲労強度にも優れていることが明らかである。
これに対して、本発明で規定する条件から外れた比較例の試験番号12〜30の場合、被削性と疲労強度の片方もしくは双方ともが劣っている。
すなわち、試験番号12、試験番号13、試験番号15および試験番号17の場合には鋼材の化学組成が本発明で規定する条件から外れているため、切削加工中の主分力の変動幅が大きく、チッピングによって工具寿命に至っており、被削性が劣る。
試験番号14、試験番号16、試験番号18〜23および試験番号25の場合には鋼材の化学組成および組織が本発明で規定する条件から外れているため、切削加工中の主分力の変動幅が大きく、VBの増加あるいはチッピングによって工具寿命に至っており、被削性が劣る。上記のうちでも試験番号14はSi含有量が本発明で規定する上限から外れているため疲労限が500MPaに達しておらず、疲労強度にも劣っている。
試験番号24および試験番号26の場合には鋼材の化学組成が本発明で規定する条件から外れているため、すなわち、試験番号24はSの含有量が、試験番号26はCaの含有量が、それぞれ本発明で規定する上限から外れているため疲労限が500MPaに達しておらず、疲労強度に劣っている。
試験番号27〜30場合には鋼材の化学組成は本発明で規定する条件を満たすものの組織が本発明で規定する条件から外れているため、切削加工中の主分力の変動幅が大きく、VBの増加あるいはチッピングによって工具寿命に至っており、被削性が劣る。
本発明の機械構造用合金鋼鋼材は、MnSなどの介在物を積極的に活用しないにもかかわらず被削性に優れており、さらに、疲労強度にも優れている。特に、機械構造用合金鋼鋼材の対象部品に代表されるギヤなどの切削加工を必要とする部品の素材としてこの鋼材を使用することにより、その部品の製造コストを大幅に低下させることができる。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.15〜0.25%、Si:0.15以上で0.50%未満、Mn:0.70〜1.30%、S:0.015%以下、Cr:1.25%を超えて1.80%以下、Al:0.005〜0.035%およびN:0.010〜0.025%を含み、かつ下記の(1)式で表されるfn1の範囲が1.50〜1.85であり、残部はFeおよび不純物からなり、不純物中のPおよびO(酸素)がそれぞれ、P:0.020%以下およびO:0.0020%以下であり、さらに組織の95%以上がフェライト・パーライト組織で構成され、しかも、組織に占めるフェライトの割合が40〜60%であることを特徴とする機械構造用合金鋼鋼材。
    fn1=Si+Cr・・・(1)
    ただし、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、Mo:0.50%以下およびNi:0.20%以下のうちの1種以上を含有するとともに、下記の(2)式で表されるfn2の範囲が1.30以下であることを特徴とする請求項1に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
    fn2=Mn+Mo+Ni・・・(2)
    ただし、(2)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
  3. Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.050%以下を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の機械構造用合金鋼鋼材。
  4. Feの一部に代えて、質量%で、Ca:0.0050%以下を含有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の機械構造用合金鋼鋼材。
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