JP5350766B2 - 5軸加工機用数値制御装置 - Google Patents
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Description
そこで本発明の目的は、工具姿勢制御において特異点を通過すると判断した場合には、特異点における回転軸の速度や加速度の非常に大きな移動変動を回避可能な5軸加工機用数値制御装置を提供することである。
図2は、工具ヘッドが回転する形式の5軸加工機の説明図である。
5軸加工機は2つの回転軸A軸とC軸を有する。A軸はX軸方向を回転中心軸としワークに対して工具1の姿勢を傾斜させる軸である。C軸はZ軸方向を回転中心軸としワークに対して工具1の姿勢を回転させる軸である。符号3は機械制御点を表している。工具先端点から機械制御点3までの距離を工具長とする。ワークWはテーブル4上に固定して取り付けられている。図2では、2つの回転軸A軸、C軸ともにその位置が0度のときの状態を表している。A軸の位置が0度のときC軸の位置(角度)が何度であっても工具姿勢は変化しない。
上述した数値制御装置10の構成は、従来の5軸制御の数値制御装置と変わりはない。
本発明は、指令解析部30が特異点通過判断部36、特異点動作回避準備部37を有し、補間処理部31が特異点動作回避部38を有する点で従来の数値制御装置と相違する。
ブロックN10は、工具姿勢制御を指令するブロックである。「G43.4 P1」は工具姿勢制御の開始を意味し、「H01」は工具長補正番号指定を意味する。
ブロックN20は、始点への位置決めを指令するブロックである。「G90」はアブソリュート指令であり、「G01」は直線補間、「X,Y,Z,A,C」は各軸を意味し、「F」はワークに対する工具先端点の移動速度を意味する。つまり、X軸は0.0mm、Y軸は0.0mm、Z軸は0.0mm、A軸は−20.0度、C軸は0.0度の位置へ、速度600mm/分で直線補間で移動することを表している。
ブロックN30は、X軸が40.0mm、A軸が−20.0度、C軸が180.0度まで移動させる指令である。
●[ステップSA1]回避フラグFを0にし初期化する。回避フラグFは、特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなる場合に1とし、特異点を通過しない、または特異点で回転軸2の速度が大きくならない場合に0とする。
●[ステップSA2]指令ブロック始点と指令ブロック終点の回転軸1に対する位置指令の間に特異点が存在するか否か判断し、特異点が存在する場合には終了し、特異点が存在しない場合にはステップSA3へ移行する。
●[ステップSA3]指令ブロック始点と指令ブロック終点の回転軸2に対する位置指令の差が180度であるか否か判断し、180度である場合にはステップSA4へ移行し、180度ではない場合には終了する。なお、上述したように180度にある程度の許容値を考慮して判断してもよい。
●[ステップSA4]回避フラグFを1にし、終了する。回避フラグFを1にすることは、上述したように、特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなることを意味する。
特異点通過判断部36において特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなると判断した場合には、特異点動作回避準備部37と特異点動作回避部38にて、特異点における回転軸2の速度が非常に大きくなる現象を回避するための制御を行う。
また、加工プログラムの工具姿勢制御のための処理は、本発明における特異点通過判断部36、特異点動作回避準備部37、および特異点動作回避部38と並行して行われており、特異点動作回避を行わないときは、前記工具姿勢制御による各軸の移動指令により5軸加工機の回転軸2軸を制御する。
指令ブロック全体に渡って回転軸2を移動させることにより工具姿勢を滑らかに変化させる実施の形態1を説明する。
図10は、本発明の実施の形態1の指令ブロック開始時刻からの時間に対するA軸、C軸の位置の変化を表したグラフである。図11は、図2に示す5軸加工機の上方から見た機械制御点3の移動を表した図である。点Sと点Eを結ぶ線分は、機械制御点3の移動経路である。ここで点Sは指令ブロック始点における機械制御点3の位置、点Eは指令ブロック終点における機械制御点3の位置、点Pは特異点における機械制御点3の位置を表している。実施の形態1では機械制御点3は特異点を通過しない。
●[ステップSB1]回避フラグFが1であるか否か判断し、1である場合にはステップSB2へ移行し、1でない場合には終了する。回避フラグFが1であることは、特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなることを意味する。
●[ステップSB2]指令ブロック始点からの時刻tにおける回転軸1の位置を表す関数A(t)を計算し、ステップSB3へ移行する。
●[ステップSB3]回転軸2の速度V2を計算する。
●[ステップSC1]回避フラグFが1であるか否か判断し、1である場合にはステップSC2へ移行し、1でない場合には終了する。回避フラグFが1であることは、特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなることを意味する。
●[ステップSC2]関数A(t)に基づき回転軸1の移動指令を生成し、ステップSC3へ移行する。
●[ステップSC3]速度V2に基づき回転軸2の移動指令を生成し、処理を終了する。
指令ブロックの一部で工具姿勢を変更する参考例1を説明する。この参考例1は、特異点を通過する指令ブロックで、回転軸1の位置と特異点との差が設定値以下となる範囲で回転軸2の移動が行われるように制御する。
参考例1の対象とする移動指令では、図6に示したように、回転軸1は始点→特異点→終点と移動する。始点→特異点、特異点→終点の回転軸1の位置の変化は線形となるので、両移動中に回転軸1の位置と特異点との差があらかじめ決められた回転軸移動許可値以下となる時刻t1および時刻t2は容易に計算することができる。なお、指令ブロック開始時刻から終了時刻は求めることができる。
●[ステップSE1]回避フラグFが1であるか否か判断し、1である場合にはステップSE2へ移行し、1でない場合には終了する。回避フラグFが1であることは、特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなることを意味する。
●[ステップSE2]時刻t1と時刻t2の間であるか否か判断し、間である場合にはステップSE3に移行し、間でない場合には終了する。
●[ステップSE3]速度V2に基づき回転軸2の移動指令を生成し、終了する。
工具姿勢が誤差を持たずに特異点における回転軸2の急激な動作を回避する実施の形態2を説明する。実施の形態1および参考例1では、許容値内ではあるが、指令に対して工具姿勢が誤差を持っていた。実施の形態2では工具姿勢が誤差を有しない。
一般に、ある工具姿勢を実現するための二回転軸角度の組み合わせは複数存在するが、回転軸の一回転の自由度を除けば二組存在し、その関係は、回転軸1の角度は特異点に対して対称となり、回転軸2の角度は180度の差がある。
●[ステップSF1]回避フラグFが1であるか否か判断し、1である場合にはステップSF2へ移行し、1でない場合には終了する。回避フラグFが1であることは、特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなることを意味する。
●[ステップSF2]回転軸1の指令ブロック終点角度A1と速度V1とを計算する。
●[ステップSF3]回転軸2の速度V2を0(ゼロ)とし、終了する。
●[ステップSG1]回避フラグFが1であるか否か判断し、1である場合にはステップSG2へ移行し、1でない場合には終了する。回避フラグFが1であることは、特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなることを意味する。
●[ステップSG2]速度V1に基づき回転軸1の移動指令を生成する。
●[ステップSG3]速度V2に基づき回転軸2の移動指令を生成し、終了する。なお、この場合速度V2=0であるので、回転軸2は移動しない。
工具姿勢は指令ブロック始点と指令ブロック終点における工具姿勢を含む平面内にあり、かつ指令ブロック終点の回転軸座標が指令されたものとなる方法である。実施の形態2では、工具姿勢の誤差はないが、指令ブロック終点の回転軸座標が指令されたものと異なっており、その後の動作に影響を与える可能性がある。参考例2はこれを防止するものである。
●[ステップSH1]回避フラグFが1であるか否か判断し、1である場合にはステップSH2へ移行し、1でない場合には終了する。回避フラグFが1であることは、特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなることを意味する。
●[ステップSH2]指令ブロック始点から指令ブロック終点までの区間で、機械の動作を、特異点までの動作1、特異点における動作2、特異点以降の動作3に分割する。
●[ステップSH3]回転軸1の動作1における速度V11、動作2における速度V12、動作3における速度V13を計算し、終了する。ただし、速度V12は0である。
●[ステップSJ1]回避フラグFが1であるか否か判断し、1である場合にはステップSJ2へ移行し、1でない場合には終了する。回避フラグFが1であることは、特異点を通過し、かつ特異点で回転軸2の速度が非常に大きくなることを意味する。
●[ステップSJ2]動作1か否か判断し、動作1である場合にはステップSJ3へ移行し、動作1でない場合にはステップSJ4へ移行する。
●[ステップSJ3]図21−1のステップSH3で計算して求めた速度V11に基づき回転軸1の移動指令を生成し、終了する。
●[ステップSJ4]動作2か否かを判断し、動作2である場合にはステップSJ5へ移行し、動作2でない場合にはステップSJ8へ移行する。
●[ステップSJ5]回転軸2の特異点回転軸速度を読み込む。回転軸2の特異点回転軸速度は機械の最大速度とは別にあらかじめ設定あるいは加工プログラムで指定され数値制御装置内に記憶された値である。参考例2を実行してもワークWに悪影響を与えない程度の速度として設定される。
●[ステップSJ6]特異点回転軸速度に基づき回転軸2の移動指令を生成する。
●[ステップSJ7]速度V12に基づき回転軸1の移動指令を生成し、終了する。この場合、速度V12は0である。
●[ステップSJ8]動作3として、図21−1のステップSH3で計算して求めた速度V13に基づき回転軸1の移動指令を生成し、終了する。
本発明は、これらテーブル回転形および混合形の5軸加工機においても適用できる。図22のテーブル回転形5軸加工機においてA軸は回転軸1、C軸は回転軸2に相当する。また、図23の混合形5軸加工機においてA軸は回転軸1、C軸は回転軸2に相当する。また、図2、図22、図23では機械の持つ回転軸がA軸とC軸の2軸であるとしたが、機械によってはA軸とB軸、またはB軸とC軸の2軸を持つ場合もある。本発明はこのような機械に対しても適用できる。
2 工具取付部
3 機械制御点
4 テーブル
W ワーク
10 数値制御装置
11 CPU
12 メモリ
13 PMC
14 表示器
15 入力機器
16 インタフェース
17 軸制御回路
18 サーボアンプ
19 サーボモータ
20 スピンドル制御回路
21 スピンドルアンプ
22 スピンドルモータ
30 指令解析部
31 補間処理部
34 各軸用加減速部
35 サーボ制御
36 特異点通過判断部
37 特異点動作回避準備部
38 特異点動作回避部
S 指令ブロック始点における機械制御点の位置
E 指令ブロック終点における機械制御点の位置
P 特異点における機械制御点の位置
Claims (3)
- 直線軸3軸と工具傾斜用回転軸と工具回転用回転軸の回転軸2軸を有する5軸加工機を工具姿勢制御してテーブルに固定されたワークを工具により加工するための指令解析部と補間処理部を有する5軸加工機用数値制御装置において、
該工具姿勢制御は、指令ブロックの指令ブロック始点と指令ブロック終点の間における前記ワークに対する前記工具の姿勢が、該指令ブロック始点と該指令ブロック終点における指令回転軸位置に基づいて計算される工具姿勢を含む平面内に存在するようにサンプリング周期毎に前記直線軸3軸と前記回転軸2軸を制御する制御であって、
該指令解析部は特異点通過判断部を有し、該特異点通過判断部は、該指令ブロック始点での指令と該指令ブロック終点での指令に基づく計算によって、該指令ブロックにおいて該工具回転用回転軸が任意の位置となる特異点または工具姿勢が該特異点での工具姿勢に対して設定値より近くなる特異点近傍を通過するか否かを判断し、
該指令解析部は特異点動作回避準備部を有し、該特異点動作回避準備部は、該特異点通過判断部において該特異点または該特異点近傍を通過すると判断された場合には、該指令ブロック全体に渡って前記工具回転用回転軸を移動させ、かつ前記工具傾斜用回転軸が本来特異点に到達すべき時刻にあらかじめ決められた角度になるように該指令ブロック始点から該指令ブロック終点に向かって前記工具傾斜用回転軸を移動させることにより工具姿勢を滑らかに変化させるように該指令ブロック全体の指令工具経路を変更した工具経路を作成し、
該補間処理部は特異点動作回避部を有し、該特異点動作回避部は、該特異点動作回避準備部で変更された工具経路を実行することを特徴とする5軸加工機用数値制御装置。 - 該特異点動作回避準備部は、工具姿勢誤差が工具姿勢誤差許容値以下となるように該工具傾斜用回転軸が2次曲線を描き、かつ該工具回転用回転軸が該指令ブロック全体で線形に移動するよう該工具傾斜用回転軸と該工具回転用回転軸の工具経路を変更した工具経路を作成することを特徴とする請求項1に記載の5軸加工機用数値制御装置。
- 直線軸3軸と工具傾斜用回転軸と工具回転用回転軸の回転軸2軸を有する5軸加工機を工具姿勢制御してテーブルに固定されたワークを工具により加工するための指令解析部と補間処理部を有する5軸加工機用数値制御装置において、
該工具姿勢制御は、指令ブロックの指令ブロック始点と指令ブロック終点の間における前記ワークに対する前記工具の姿勢が、該指令ブロック始点と該指令ブロック終点における指令回転軸位置に基づいて計算される工具姿勢を含む平面内に存在するようにサンプリング周期毎に前記直線軸3軸と前記回転軸2軸を制御する制御であって、
該指令解析部は特異点通過判断部を有し、該特異点通過判断部は、該指令ブロック始点での指令と該指令ブロック終点での指令に基づく計算によって、該指令ブロックにおいて該工具回転用回転軸が任意の位置となる特異点または工具姿勢が該特異点での工具姿勢に対して設定値より近くなる特異点近傍を通過するか否かを判断し、
該指令解析部は特異点動作回避準備部を有し、該特異点動作回避準備部は、該特異点通過判断部において該特異点または該特異点近傍を通過すると判断された場合には、該工具回転用回転軸の移動がなくなるような該工具傾斜用回転軸のブロック終点を計算することによって指令ブロック終点における工具姿勢が指令回転軸位置に基づいて計算される工具姿勢と同じ工具姿勢となるように該指令ブロック全体の工具経路を変更した工具経路を作成し、
該補間処理部は特異点動作回避部を有し、該特異点動作回避部は、該特異点動作回避準備部で変更された工具経路を実行することを特徴とする5軸加工機用数値制御装置。
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