JP5342874B2 - ポリフェノール高含有紅茶飲料及びその製造法 - Google Patents
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Description
本発明の紅茶飲料は総ポリフェノール量が70mg/100mL以上100mg/100mL未満、好ましくは80mg/100mL以上100mg/100mL未満の紅茶飲料である。下限を下回ると、紅茶ポリフェノール由来の生理効果が相対的に小さくなる。また上限を超えると本発明の方法を持ってしても満足出来る香味や外観は実現できない。なお、一般的な市販紅茶飲料の総ポリフェノール量はおおよそ30〜50mg/100mL程度である。なお、ここでいう総ポリフェノール量は、日本食品分析センター編、「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」、中央法規、2001年7月、p.252に記載の公定法(酒石酸鉄試薬法)に従って求めた値を指す。
本発明の紅茶飲料のテアフラビン量は0.1〜3.5mg/100mLであり、好ましくは0.3〜3.0mg/100mLであり、より好ましくは0.5〜2.5mg/100mLである。テアフラビンは、カテキンが酸化重合した2量体であり、具体的にはテアフラビン、テアフラビン3−O−ガレート、テアフラビン3’−O−ガレート、及びテアフラビン3’,3’−O−ジガレートのことをいう。これらは、紅茶抽出液の水色の主な由来となる物質群であり、紅茶飲料の外観の指標となりうる物質群である。テアフラビン量が0.1mg/100mLを下回ると紅茶本来の水色が期待できなくなる。
試料溶液を0.45μm親水性PTFEフィルター(アドバンテック(株)製,DISMIC−13HP)で濾過した後、以下の条件にてHPLCを用いて定量する。
装置 :アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ株式会社製)
カラム : CAPCELL PAK UG120(4.6mmI.D.×100mm、
SHISEIDO)
移動相A液: 0.05%リン酸水
移動相B液: アセトニトリル:酢酸エチル=985:15
グラジエント:注入13.3分後から26.6分にかけてA液81%から77%に達する
リニアグラジエント
流速 :1.5mL/min
検出 : UV280nm
カラム温度:25℃
サンプル量:20μL
好適な測定濃度範囲:0.25mg/100mL−10mg/100mL
本発明の紅茶飲料のカフェイン量は5〜20mg/100mLである。20mg/100mLを超えると、苦渋味が強くなり飲用には好ましくない。また寒冷混濁の発生にも影響する。一方、5mg/100mLを下回ると、紅茶本来の風味が損なわれるため好ましくない。なお、紅茶抽出液のカフェイン量は総ポリフェノール量と相関しており、本発明の総ポリフェノール量の範囲では通常茶葉を用いて通常の抽出をするだけでは20mg/100mL超になることが知られている。カフェインは、公知の方法を適宜使用して算出すればよい。一例として以下の方法を例示する。
試料溶液を0.45μm親水性PTFEフィルター(アドバンテック(株)製,DISMIC−13HP)で濾過した後、以下の条件にてHPLCを用いて、カフェインを定量した。
[HPLC分析条件]:
装置:アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ株式会社製)
カラム:Mightysil RP−18 GP、4.6mmI.D.×150mm
(関東化学(株)製)
移動相A液:アセトニトリル:0.05%リン酸水=10:400の溶液
移動相B液:メタノール:アセトニトリル:0.05%リン酸水=200.10:400
の溶液
グラジエント:注入3分後から25分後にA液100%からB液100%に達する
リニアグラジエント
流速 :1mL/min
検出 :UV275nm(カフェイン)
カラム温度:40℃
サンプル量:10μL
本発明の紅茶飲料に使用する紅茶抽出液は、例えば次のように製造することができる:まず、茶葉の選定および抽出条件の調整によって本発明の紅茶飲料が製造できる。紅茶葉は産地別に、ダージリン、ディンブラ、アッサム、ウバ、ケニア、ヌアラエリアを始め、多数の種類が知られており、その成分は原料の茶樹の種類の違いやその発酵方法の違いによって異なっている。さらには毎年の収穫ごとでも厳密には成分が異なってくる。これらの茶葉の成分分析をおこなって、1種あるいは2種以上の茶葉を原料として使用できる。
<紅茶エキス比較品の調製>
市販されている紅茶葉(スリランカ産)90gを95℃の超純水810mLに投入後、80〜95℃の温度で時々攪拌しながら45分間抽出した。この抽出液を濾紙(アドバンテック(株)製、No.2、110mm)で濾過し、1回目の抽出濾過液を得た。上記抽出工程で残った茶葉を回収し、再度95℃の超純水720mLに投入後、80〜95℃の温度で時々攪拌しながら45分間抽出した。この抽出液を濾紙(アドバンテック(株)製、No.2、110mm)で濾過し、2回目の抽出濾過液を得た。上記1回目及び2回目の抽出濾過液を混合し、紅茶抽出液1,250gを得た。この抽出液50gを濃縮後凍結乾燥して、紅茶エキス比較品1g(カテキン=4.38重量%、カフェイン=6.70重量%、ポリフェノール=27.9重量%、テアフラビン=0.72重量%)を得た。
上記方法と同様な方法で得られた紅茶抽出液400gに活性炭(二村化学工業(株)製)5gを添加し、75℃で1時間攪拌後、セライトをプレコートしたろ過板(NA500.110mm)により濾過した。この濾液を濃縮後凍結乾燥して、本発明に用いるに適した紅茶エキス(1)6g(総ポリフェノール量=23.5重量%、カフェイン量=0.63重量%、テアフラビン量=0.31重量%)を得た。
活性炭を添加して45℃で、1時間30分攪拌すること以外は、紅茶エキス(1)の調製と全く同様に処理して、紅茶エキス(2)6g(総ポリフェノール量=24.3重量%、カフェイン量=0.1重量%、テアフラビン量=0.5重量%)を得た。
紅茶葉100gを、90℃の熱水3000gで6分間攪拌しながら抽出した。得られた抽出液と上記調製例で調製した紅茶エキス(1)(本発明に用いるに適する紅茶エキス)とを用いて表1のポリフェノール量になるようにそれぞれ配合量を決定した。紅茶原料(紅茶葉、紅茶エキス)のほか、ビタミンCを0.05%配合し、重曹を用いてpH6.0になるように調製して紅茶飲料調合液を得た。得られた調合液を、UHT殺菌処理してPETボトルに充填し、本発明の紅茶飲料を製造した。その時のカフェイン量、テアフラビン量を表2に示す。
紅茶エキスを使用しない、すなわち紅茶抽出液だけを使用して飲料総ポリフェノール量が実施例1、4、5、6、7と同じになるようにした以外は全く同様にして比較例1−5の紅茶飲料を製造した。また、実施例5の紅茶エキスを上記調製例に示す紅茶エキス比較品に替えて比較例6の飲料を製造した。その時のカフェイン量、テアフラビン量を表2に示す。
実施例1−7、比較例1−6の紅茶飲料を熟練したパネリストにより官能評価を行なった。その結果を表2に示す。香味評価の「後ギレのよさ」については、良い(5点)から悪い(1点)の5段階で評価した。また、紅茶の香りやテクスチャーなども含めた総合評価として「飲みやすさ」を5段階で点数評価した。外観評価は飲料を0℃で2週間保存した後、目視にて混濁の程度を3段階で評価した。
紅茶葉100gを、90℃の熱水3000gで6分間攪拌しながら抽出した。得られた抽出液と上記調製例で調製した紅茶エキス(2)(本発明に用いるに適する紅茶エキス)とを用いて表1のポリフェノール量になるようにそれぞれ配合量を決定した。紅茶原料(紅茶葉、紅茶エキス)のほか、ビタミンCを0.05%配合し、重曹を用いてpH6.0になるように調製して紅茶飲料調合液を得た。得られた調合液を、UHT殺菌処理してPETボトルに充填し、本発明の紅茶飲料を製造した。その時のカフェイン量、テアフラビン量を表3に示す。
実施例8−14の紅茶飲料を熟練したパネリストにより官能評価を行なった。その結果を表3に示す。香味評価の「後ギレのよさ」については、良い(5点)から、悪い(1点)の5段階で評価した。また、紅茶の香りやテクスチャーなども含めた総合評価として「飲みやすさ」を5段階で点数評価した。外観評価は飲料を0℃で2週間保存した後、目視にて混濁の程度を3段階で評価した。
Claims (5)
- 紅茶飲料中の紅茶由来の総ポリフェノール量が、酒石酸鉄試薬法で測定した場合に、70mg/100mL以上100mg/100mL未満である容器詰め紅茶飲料の製造方法において、紅茶飲料中のテアフラビン量を0.1〜3.5mg/100mL、カフェイン量を5〜20mg/100mLとなるように調整することにより、紅茶本来の風味及び外観を保有させた容器詰め紅茶飲料の製造方法。
- 紅茶飲料中の総ポリフェノール量、テアフラビン量、及びカフェイン量の調整を、紅茶抽出液に対して、別途、調製した紅茶エキスを添加することにより行うことを特徴とする請求項1記載の容器詰め紅茶飲料の製造方法。
- 添加する紅茶エキスのカフェイン含有量が0.01〜1重量%、テアフラビン量が0.05〜1.3重量%であることを特徴とする請求項2記載の容器詰め紅茶飲料の製造方法。
- 紅茶エキスの添加量が、紅茶飲料の総ポリフェノール量の10%以上100%未満であることを特徴とする請求項2又は3記載の容器詰め紅茶飲料の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の容器詰め紅茶飲料の製造方法によって製造され、紅茶飲料中の紅茶由来の総ポリフェノール量が、酒石酸鉄試薬法で測定した場合に、70mg/100mL以上100mg/100mL未満であり、テアフラビン量が0.1〜3.5mg/100mL、カフェイン量が5〜20mg/100mLとなるように調整されていることを特徴とする紅茶本来の風味及び外観を保有する容器詰め紅茶飲料。
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