JP4778499B2 - 茶系飲料用抽出液の製造方法 - Google Patents
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また、複数種の茶を使用する場合、茶の種類によってうま味や香味等を最大限に引き出すための抽出条件が異なり、しかも抽出条件によって非重合体カテキン類濃度が変動し苦味渋味やエグ味が増強されるため、非重合体カテキン類を高濃度に含有し、うま味、香味、苦味、渋味、エグ味等をバランスさせた風味の良好な飲みやすい茶系飲料を得ることは容易でない。
本発明は、各茶の持ち味を損なうことなく、非重合体カテキン類を高濃度で含み、かつ風味の良好な茶系飲料用抽出液の製造方法、及び当該茶系飲料用抽出液を用いた容器詰茶系飲料を提供することを目的とする。
本発明はまた、かかる製造方法により得られた茶系飲料用抽出液を、そのまま又は希釈して容器内に充填してなる容器詰茶系飲料を提供するものである。
A工程は、カップテストで得られる抽出液のカフェイン分析値が15mg/100mL以上となる茶の1種又は2種以上をカラム型抽出機内に仕込み、該茶の合計質量に対して5〜30倍量に相当する30〜60℃の抽出用水を供給して抽出液Aを採取する工程である。
本発明においては、抽出方法としてカラム型抽出機を用いるカラム抽出を採用するが、カラム抽出とは、カラム型抽出機内に茶を充填し、これに抽出用水を通過させ抽出液を得る方法をいう。
茶保持板としては、茶と抽出液とを分離できるものであれば特に限定されないが、金網(メッシュ)が好ましく、フラット、円錐状、角錐状等の形状のものを用いることができる。また、金網のメッシュサイズは、実質的に仕込んだ茶と茶抽出液との分離の点から、18〜100メッシュであるのが好ましい。
また、茶葉、茎茶及び棒茶は、火入れ加工が施されていてもよい。火入れ加工の原料としては不発酵茶が好ましく、苦味抑制効果の点から、茶葉より茎茶、棒茶の方が好適に使用される。火入れは、例えば、120〜300℃、更に170〜230℃の温度で、1〜15分、更に1〜10分加熱するのが苦味抑制効果及び風味の点から好ましい。
本発明においては、単一の茶だけなく、2種以上の茶を組み合わせて使用することができる。
ここで、本明細書において、カップテストとは茶3gを審査茶碗(容量200cc)に秤取し、茶に熱湯180mLを注ぎ、5分間静置した後、茶殻を除いた抽出液について官能検査することをいい(新茶葉業全書 改訂発行6版 昭和55年8月10日 編集 静岡県茶業会議所)、カフェイン分析値とはこのカップテストで得られた抽出液中に含まれるカフェイン量を分析したものである。そして、この分析結果に基づき、使用する茶を選択する。なお、カフェイン含有量は、非重合体カテキン類含有量と同様に後掲の実施例に記載の測定方法によって高速液体クロマトグラフにより分析することができる。
また、通水方向としては、抽出用水をカラム型抽出機の下方から上方に通水(上昇流)しても、カラム型抽出機の上方から下方に通水(下降流)してもよいが、茶が圧密化によりカラム型抽出機内で閉塞することを防止可能な上昇流が好ましい。
抽出用水の供給速度をカラム断面積で割った値、すなわちカラム型抽出機内における抽出用水の線速度は、0.9〜1.9cm/min、更には1.1〜1.7cm/min、特に1.3〜1.5cm/minが好ましい。これにより、茶が圧密となって閉塞するのを防止して効率的に抽出することができる。
抽出用水の温度は30〜60℃であるが、40〜60℃、特に50〜60℃が好ましい。30℃未満であると、抽出液の風味及びカテキン類の抽出効率上好ましくない。他方60℃を超えると、抽出液の風味上好ましくない。
滞留時間は、3.5〜6.5分、更には4.5〜6.5分、特に5.5〜6.5分が好ましい。これにより、非重合体カテキン類を高濃度で含み、風味豊かな抽出液を得ることができる。
得られた抽出液Aは、活性炭や膜処理等の処理を施してもよい。
B工程は、カップテストで得られる抽出液のカフェイン分析値が15mg/100mL未満となる茶の1種又は2種以上をカラム型抽出機内に仕込み、該茶の合計質量に対して40〜100倍量に相当する40〜100℃の抽出用水を供給して抽出液Bを採取する工程である。
抽出条件において、抽出用水の供給量は、茶の合計質量に対して40〜100倍量であるが、50〜90倍量、特に60〜80倍量が好ましい。40倍量未満であると、風味とカテキン類の抽出効率から好ましくなく、他方100倍量を超えると、風味上好ましくない。すなわち、抽出倍率は40〜100であるが、好ましくは50〜90、特に60〜80が好ましい。これにより、風味と物性のバランスの取れた抽出液を抽出することが出来る。
抽出用水の温度は40〜100℃であるが、50〜90℃、特に55〜80℃が好ましい。40℃未満であると、風味上好ましくなく、他方80℃を超えると、使用する茶の種類によっては苦渋味が増強されるため、好ましくない。
C工程は、A工程で得られた抽出液Aと、B工程で得られた抽出液Bとを混合する工程である。抽出液Aと抽出液Bとの混合割合は、目的とする茶系飲料の呈味に応じて適宜決定することができるが、抽出液Aと抽出液Bとの混合質量比(A/B)を1〜5、更には1.5〜4.5、特に2〜4とするのが、茶系飲料用抽出液中の非重合体カテキン類濃度の確保、及び風味の維持の点から好ましい。
抽出液又は飲料をイオン交換水で100gに希釈した後、メンブランフィルター(0.8μm)でろ過し、次いで蒸留水で希釈した試料を、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着した、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用いて、カラム温度35℃でグラジエント法により測定した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
時間 移動相A 移動相B
0分 97% 3%
5分 97% 3%
37分 80% 20%
43分 80% 20%
43.5分 0% 100%
48.5分 0% 100%
49分 97% 3%
62分 97% 3%
緑茶(煎茶:カップテストで得られた抽出液のカフェイン分析値33.6mg/100mL)100gをカラム型抽出機内(内径97mm、高さ400mm)に入れ、55℃に加熱したイオン交換水を0.103L/minの速度でカラム下方から供給した。このとき、抽出時の高さは83mm、線速度は1.4cm/min、平均滞留時間は5.9minであった。その後、カラム下方から抽出液を抜き出しながら55℃に加熱したイオン交換水を0.107L/minの速度でカラム上方から供給した。このとき、平均滞留時間は5.9minであった。抽出液の質量が仕込み茶葉質量の1.5倍になったところから採液を開始し、15倍になったところで通液を終了し、採液タンク内の液を均一に混合して抽出液Aを得た(A工程)。
緑茶(棒茶:カフェイン分析値7.2mg/100mL)100gをカラム型抽出機内(内径97mm、高さ400mm)に入れ、75℃に加熱したイオン交換水を0.103L/minの速度でカラム下方から供給した。このとき、抽出時の高さは83mm、線速度は1.4cm/min、平均滞留時間は5.9minであった。その後、カラム下方から抽出液を抜き出しながら75℃に加熱したイオン交換水を0.103L/minの速度でカラム上方から供給した。このとき、平均滞留時間は5.9minであった。最初から採液を開始し、抽出液の質量が仕込み茶葉質量の60倍になったところで通液を終了し、採液タンク内の液を均一に混合して抽出液Bを得た(B工程)。
得られた各抽出液を質量比(抽出液A/抽出液B)4で混合し(C工程)、茶系飲料用抽出液を得た。茶系飲料用抽出液の非重合体カテキン濃度は0.41質量%であった。次いで、茶系飲料用抽出液に、0.03質量%のアスコルビン酸を加え加水した後、殺菌処理し、常法によりPETボトルに詰め容器詰茶系飲料を得た。
A工程において抽出液を全量採液し、B工程における抽出条件を表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様な方法にて容器詰茶系飲料を得た。なお、茶系飲料用抽出液の非重合体カテキン濃度は0.49質量%であった。
A工程において抽出液を全量採液し、B工程における抽出条件を表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様な方法にて容器詰茶系飲料を得た。なお、茶系飲料用抽出液の非重合体カテキン濃度は0.49質量%であった。
A工程における抽出条件を表1に記載のものに変更して抽出液を全量採取し、C工程における混合質量比を表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様な方法にて容器詰茶系飲料を得た。なお、茶系飲料用抽出液の非重合体カテキン濃度は0.38質量%であった。
55℃のイオン交換水1500g(抽出倍率15倍に相当)を入れたニーダー抽出機内に、緑茶(煎茶)100gを投入し5分間攪拌抽出して抽出液Aを得た。75℃の熱水6000g(抽出倍率60倍に相当)を入れた別のニーダー抽出機内に、緑茶(棒茶)100gを投入し5分間攪拌抽出して抽出液Bを得た。次いで、各抽出液を質量比(抽出液A/抽出液B)4で混合して茶系飲料用抽出液を得た。茶系飲料用抽出液の非重合体カテキン濃度は0.38質量%であった。次いで、茶系飲料用抽出液を実施例1と同様の方法により処理して容器詰茶系飲料を得た。
実施例1と同様にして抽出液Aを得た。75℃の熱水6000g(抽出倍率60倍に相当)を入れたニーダー抽出機内に、緑茶(棒茶)100gを投入し5分間攪拌抽出して抽出液Bを得た。次いで、各抽出液を質量比(抽出液A/抽出液B)4で混合して茶系飲料用抽出液を得た。茶系飲料用抽出液の非重合体カテキン濃度は0.41質量%であった。次いで、茶系飲料用抽出液を実施例1と同様の方法により処理して容器詰茶系飲料を得た。
A工程及びB工程における抽出条件を表1に記載のものに変更し、C工程における混合質量比を表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様な方法にて容器詰茶系飲料を得た。なお、茶系飲料用抽出液の非重合体カテキン濃度は0.18質量%であった。
A工程及びB工程における抽出条件を表1に記載のものに変更し、C工程における混合質量比を表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様な方法にて容器詰茶系飲料を得た。なお、茶系飲料用抽出液の非重合体カテキン濃度は0.39質量%であった。
A工程及びB工程で使用した茶葉、並びにA工程における抽出条件を表1に記載のものに変更したこと以外は、実施例1と同様な方法にて容器詰茶系飲料を得た。なお、茶系飲料用抽出液の非重合体カテキン濃度は0.22質量%であった。
各茶系飲料用抽出液を最終カテキン濃度が0.10質量%になるように希釈し、パネラー4名で風味を評価した。評価項目は、香り、飲用中の苦渋味、飲用後のエグ味である。
◎:非常に良好。〇:良好。△:やや不良。×:不良。
2 抽出用水供給用シャワーノズル
3 抽出用水供給用バルブ
4 抽出液抜き出し用バルブ
5 茶保持板
6 茶葉
Claims (4)
- カップテストで得られる抽出液のカフェイン分析値が15mg/100mL以上となる茶の1種又は2種以上をカラム型抽出機内に仕込み、該茶の合計質量に対して5〜30倍量に相当する30〜60℃の抽出用水を供給して抽出液Aを採取するA工程と、
カップテストで得られる抽出液のカフェイン分析値が15mg/100mL未満となる茶の1種又は2種以上をカラム型抽出機内に仕込み、該茶の合計質量に対して40〜100倍量に相当する40〜100℃の抽出用水を供給して抽出液Bを採取するB工程と、
抽出液Aと抽出液Bとを混合するC工程とを含む茶系飲料用抽出液の製造方法。 - 抽出液Aと抽出液Bとの混合質量比(A/B)が1〜5である、請求項1記載の製造方法。
- 茶系飲料用抽出液中の非重合体カテキン類の含有量が0.1〜0.5質量%である、請求項1又は2記載の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により得られた茶系飲料用抽出液を、そのまま又は希釈して容器内に充填してなる、容器詰茶系飲料。
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