JP5235992B2 - エレベータ制御装置およびエレベータ装置 - Google Patents
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Description
図19において、特許文献1および特許文献2では、エレベータかごは出発階から目的階まで定格速度(図19に示す実線a1)より遅い低速度(図19に示す点線a2)で走行する。
特許文献1では、エレベータ乗場に設けられたスイッチを乗客が押下するか否かにより、エレベータかごの運転速度(定格速度または低速度)が選択される。
特許文献2では、エレベータかごの運転速度は、出発階から目的階までの昇降距離に応じて自動的に切り替えられる。
特許文献3では、図20の点線c2に示すように、エレベータかご内の気圧は、直線的に(一定の変化率で)変化するように制御されている。
図20において、実線c1は、非制御時におけるエレベータかご内の気圧の変化パターンを示している。
図20の実線c1に示すように、非制御時のエレベータかご内の気圧は、出発階を出発時の加速に伴って曲線状に変化し、その後、到着階に近づくまでの定格速度での定速走行に伴って直線状に変化し、目的階に到着時の減速に伴って曲線状に変化し、全体としてS字状に変化する。
つまり、エレベータかご内の気圧を一定の変化率で変化させることにより得られる効果は、超高層ビルのエレベータでは小さい。
図1は、実施の形態1におけるエレベータ装置9の構成図である。
実施の形態1におけるエレベータ装置9の構成について、図1に基づいて以下に説明する。
また、入力回路11は、エレベータ乗場に設置された乗場操作盤31に対する乗客の操作により発生した乗場呼び指令信号31aを入力する。乗場呼び指令信号31aは、乗客が乗場操作盤31を操作して指定したかご室1の出発階を示す。
また、入力回路11は、かご室1の現在位置(出発階)を示すかご位置指令信号3aをかご位置検出回路3から入力する。例えば、かご位置検出回路3は、巻上機23の回転数を計数してかご室1の現在位置を算出したり、昇降路内に設置されたセンサからのかご室1の検出信号によりかご室1の現在位置を特定したりする。
入力回路11は、かご呼び指令信号2aおよび乗場呼び指令信号31aを運行制御部12に出力し、かご位置指令信号3aを昇降距離算出部13に出力する。
具体的には、速度パターン発生部14は、かご室1の昇降距離を所定の距離(後述する「La」)と大小比較し、昇降距離が所定の距離以下である場合には通常運転の速度パターン14aを生成し、昇降距離が所定の距離より長い場合には一部低速運転の速度パターン14aを生成し、生成した速度パターン14aを出力回路15に出力する。
通常運転の速度パターン14aとは、図19の実線a1に示すように、かご室1を定格速度Vrまで加速させて定格速度Vrで走行させた後、かご室1を停止するまで減速させる制御情報である。
一部低速運転の速度パターン14aとは、図4に示すように、かご室1を定格速度Vrまで加速させて定格速度Vrで走行させた後、かご室1を定格速度Vrより遅い所定の低速度Vsまで減速させると共に、減速させたかご室1をその低速度Vsで走行させた後、かご室1を停止するまで減速させる制御情報である。
実施の形態1におけるエレベータ装置9がかご室1を特定の速度パターンで目的階まで昇降させるエレベータ制御方法について、図2に基づいて以下に説明する。
まず、運行制御回路10の運行制御部12は、かご室1の目的階を決定する。
以下、目的階決定処理(S110)の詳細について説明する。
また、エレベータ乗場に設置されている乗場操作盤31がエレベータを待つ利用者(以下、乗客という)に操作されたとき、乗場操作盤31は、自己の設置階をかご室1の出発階として示す乗場呼び指令信号31aを運行制御回路10の入力回路11に出力する。
運行制御回路10の入力回路11は入力したかご呼び指令信号2aまたは乗場呼び指令信号31aを運行制御部12に出力する。
例えば、運行制御部12はかご呼び指令信号2aが示す乗客の指定階をかご室1の目的階とする。また例えば、運行制御部12は乗場呼び指令信号31aが示す出発階をかご室1の目的階とする。
運行制御回路10の昇降距離算出部13は、現在位置から目的階までのかご室1の昇降距離(昇降行程)を算出する。
以下、昇降距離算出処理(S120)の詳細について説明する。
運行制御回路10の入力回路11はかご位置検出回路3から入力したかご位置指令信号3aを昇降距離算出部13に出力する。
例えば、予め各階におけるかご室1の停止位置が記憶機器に記憶されており、昇降距離算出部13は運行制御部12が示す目的階におけるかご室1の停止位置を記憶機器を参照して特定し、かご位置指令信号3aが示すかご室1の現在位置と特定したかご室1の停止位置との距離をかご室1の昇降距離として算出する。
具体例として、かご室1の現在位置や目的階におけるかご室1の停止位置はかご室1が昇降する昇降路の床からの高さで表わされ、昇降距離算出部13はかご室1の現在位置(L1)と目的階におけるかご室1の停止位置(L2)との差の絶対値(|L1−L2|)をかご室1の昇降距離Lとして算出する。
運行制御回路10の速度パターン発生部14は、かご室1の昇降距離Lに基づいて現在位置から目的階までのかご室1の速度パターンを決定し、決定した速度パターンを示す制御情報を速度パターン14aとして生成する。
以下、速度パターン発生処理(S130)の詳細について説明する。
実施の形態1における速度パターン発生処理(S130)について、図3に基づいて以下に説明する。
速度パターン発生部14は昇降距離算出部13から昇降距離情報13aを入力し、入力した昇降距離情報13aが示す昇降距離Lを第1の閾値「La」と大小比較する。
第1の閾値「La」は、予め設定される所定の距離を示す。第1の閾値「La」の詳細については後述する。
S131において昇降距離の値が第1の閾値より大きい場合(YES:「L>La」)、速度パターン発生部14は、一部低速運転の速度パターン(図4の41参照)でかご室1を昇降させる制御情報を速度パターン14aとして生成する。
一部低速運転の速度パターンの詳細については後述する。
S131において昇降距離の値が第1の閾値以下の場合(NO:「L≦La」)、速度パターン発生部14は、通常運転の速度パターン(図19の実線a1参照)でかご室1を昇降させる制御情報を速度パターン14aとして生成する。
速度パターン発生部14はS132において生成した一部低速運転の速度パターン14aまたはS133において生成した通常運転の速度パターン14aを出力回路15に出力する。
運行制御回路10の出力回路15は速度パターン14aを速度制御回路24に出力し、速度制御回路24に速度パターン14aに基づいて巻上機23を制御させ、かご室1を速度パターン14aに応じた速度で目的階まで昇降させる。
以下、速度制御処理(S140)の詳細について説明する。
速度制御回路24は運行制御回路10の出力回路15から入力した速度パターン14aに基づいて巻上機23のローターを回転させ、巻上機23にかご室1を速度パターン14aに応じた速度で昇降させる。
巻上機23は速度制御回路24の制御を受けてローターを回転させ、かご室1を懸吊するロープ21を巻き上げ、かご室1を速度パターン14aに応じた速度で目的階まで昇降させる。
図5は、実施の形態1における一部低速運転の昇降パターン42を示すグラフである。
図6は、実施の形態1における一部低速運転の気圧パターン43を示すグラフである。
実施の形態1における一部低速運転の速度パターン41について、図4〜図6に基づいて以下に説明する。
図4の縦軸はかご室1の昇降速度を表し、図5の縦軸はかご室1の昇降位置を表し、図6の縦軸は気圧の変化量の絶対値を表す。
図4において、「td」は、定格速度Vrから低速度Vsへの減速を開始する時刻(減速開始時刻)を示す。
また、「ta」は、低速度Vsへの減速が終了する時刻を示す。
また、「tz」は、かご室1が目的階に到着する時刻(目的階到着時刻)を示す。
かご室1が目的階に向けて「上昇」する場合(上昇運転時)には、図5の一部低速運転の昇降パターン42は上下反転したグラフを示す。つまり、かご室1は、時刻「ta」まで定格速度Vr(加減速時を含む)で上昇した後、目的階到着時刻tzまで低速度Vs(到着時の減速を含む)で緩やかに上昇する。
以下、かご室1の「下降」時を例に説明を続ける。
また、減速開始時刻tdは、かご室1を定格速度Vrから低速度Vsまで減速させるために要する時間だけLa到達時刻taより前の時刻として定められる。
一部低速運転の昇降パターン42で下降するかご室1内の気圧は、図6に示す一部低速運転の気圧パターン43のように上昇する。つまり、一部低速運転の昇降パターン42で下降するかご室1内の気圧は、La到達時刻taまでに「Pa」上昇した後、目的階到着時刻tzまで緩やかに上昇する。
かご室1の上昇時には、図6の一部低速運転の気圧パターン43は上下反転したグラフを示す。つまり、かご室1内の気圧は、La到達時刻taまで「Pa」低下した後、目的階到着時刻tzまで緩やかに低下する。
人は、意識的に耳管を開口させる「能動的な耳管の開口」または器官の機能により自動的に耳管が開口する「受動的な耳管の開口」により、外気を中耳に取り入れて中耳側と外耳側との気圧のバランスを取り、耳詰まりによる不快感を解消させる。
「能動的な耳管の開口」は外耳側の気圧が中耳側の気圧より高くなった場合(かご室1が下降した場合)に行われ、「受動的な耳管の開口」は外耳側の気圧が中耳側の気圧より低くなった場合(かご室1が上昇した場合)に行われる。
「能動的な耳管の開口」は、嚥下(唾液(つば)を飲み込むこと)をしたり、あくびしたりすることにより行われ、一般的に「耳抜き」と呼ばれる。
これにより、エレベータ装置9は、かご室1内が1回目の耳管の開口を生じさせる気圧「Pa」だけ変化する時刻「ta」から、かご室1内が2回目の耳管の開口を生じさせる気圧「Pa2」だけ変化する時刻「ta2」までの時間、つまり、耳抜きの1回目と2回目のインターバルを長くとることができる。
そして、エレベータ装置9は、かご室1内の乗客の耳詰まりによる不快感を緩和させることができる。
また、低速度Vsはかご室1の昇降距離Lに応じて変動させてもよい。例えば、昇降距離Lが非常に長い場合には所定の第1の速度(<Vr)を低速度Vsとし、昇降距離Lが比較的短い場合(但し、「L>La」を満たす)には所定の第2の速度(<第1の速度)を低速度Vsとしてもよい。
昇降路内を上昇および下降させるための手段を備えたエレベータ装置9であり、所定のエレベータ走行速度パターンを生成する速度パターン発生部14と、かご室1の出発階と目的階との昇降距離Lを算出する昇降距離算出部13とを備える。
エレベータ装置9は、昇降距離算出部13が所定の距離「La」を超える昇降距離Lを算出した場合、速度パターン発生部14によって出発階から所定の距離「La」近傍まではかご室1を定格速度で走行させ、所定の距離「La」近傍を超える位置からは定格速度より遅い速度でかご室1を走行させる。
また、耳抜きのインターバルを長くすることで、乗客に与える不快感を緩和させることができる。
さらに、かご室1内の気圧を制御するための給気用のファンおよび排気用のファンが不要であるため、かご室1の小型化・軽量化およびエレベータ装置9のコストの低減を図ることができる。
実施の形態2では、かご室1が上昇する場合とかご室1が下降する場合とで異なる速度パターンによりかご室1を昇降させる形態について説明する。
以下、実施の形態1と異なる事項について説明し、説明を省略する事項については実施の形態1と同様であるものとする。
実施の形態2における速度パターン発生処理(S130)について、図7に基づいて以下に説明する。
速度パターン発生部14は昇降距離算出部13から昇降距離情報13aを入力し、入力した昇降距離情報13aが示すかご室1の現在位置「L1」および目的階におけるかご室1の停止位置「L2」を大小比較する。
S131bにおいて現在位置の値が目的階における停止位置の値より大きい場合、つまり、かご室1が下降する場合(NO:「L1>L2」)、速度パターン発生部14は昇降距離情報13aが示す昇降距離Lを第1の閾値「La」と大小比較する。
S132bにおいて昇降距離の値が第1の閾値より大きい場合(YES:「L>La」)、速度パターン発生部14は、一部低速運転の速度パターン(図4の41参照)でかご室1を昇降させる制御情報を速度パターン14aとして生成する。
S131bにおいて現在位置の値が目的階における停止位置の値より小さい場合、つまり、かご室1が上昇する場合(YES:「L1<L2」)、および、S132bにおいて昇降距離の値が第1の閾値以下の場合(NO:「L≦La」)、速度パターン発生部14は、通常運転の速度パターン(図19の実線a1参照)でかご室1を昇降させる制御情報を速度パターン14aとして生成する。
速度パターン発生部14はS133bにおいて生成した一部低速運転の速度パターン14aまたはS134bにおいて生成した通常運転の速度パターン14aを出力回路15に出力する。
このため、かご室1が上昇運転する場合には、耳詰まりの不快感の解消より、目的階までの昇降時間の短縮を優先し、上記のように通常運転を行うようにしてもよい。
実施の形態3では、給気用のファンをかご室1に備え、速度パターンによる速度制御と給気用のファンによる加圧制御との組み合わせにより、かご室1内の気圧を調整する形態について説明する。
以下、実施の形態1および実施の形態2と異なる事項について主に説明し、説明を省略する事項については実施の形態1または実施の形態2と同様であるものとする。
実施の形態3におけるエレベータ装置9の構成について、図8に基づいて以下に説明する。
気圧制御設定部16は、かご室1が目的階へ下降する場合に昇降距離Lを第1耳管開口高低差Laと大小比較し、昇降距離Lが第1耳管開口高低差Laより大きい場合、気圧制御回路4への指令により、かご室1内に給気してかご室1内の気圧を第1耳管開口気圧Paまで加圧する。
そして、気圧制御設定部16は、かご室1内を第1耳管開口気圧Paまで加圧した後、加圧によるかご室1内の昇圧量と下降に伴うかご室1内の昇圧量との合計量に基づく単位時間当たりの昇圧量(気圧昇圧率)が低速度Vsで下降した場合のかご室1内の単位時間当たりの昇圧量と等しくなる加圧量でかご室1内を加圧する。
一部低速運転の速度パターン14aは、かご室1内の気圧がかご室1外の気圧と等しくなるときに低速度Vsに達することを示す。
図9に示すように、かご室1の天井部には、給気用ファン5、給気用ファン5を制御する気圧制御回路4および給気用ファン5からの給気をかご室1内に送り込む給気用ダクト6が気圧制御装置7として設置されている。
気圧制御回路4は、給気用ファン5を制御し、かご室1内に給気させ、かご室1内を加圧する。
実施の形態3における運行制御回路10が、かご室1を特定の速度パターンで目的階まで昇降させると共にかご室1内の気圧を特定の加圧パターンで昇圧させるエレベータ制御方法について、図10に基づいて以下に説明する。
但し、実施の形態3における速度パターン発生処理(S130)の具体的な処理内容は実施の形態1と異なるため、別途説明する。
運行制御回路10の気圧制御設定部16は、かご室1の昇降距離に基づいてかご室1内の加圧パターンを決定し、決定した加圧パターンを示す制御情報を加圧パターン16aとして生成する。
気圧制御設定処理(S150)の詳細については後述する。
運行制御回路10の出力回路15は加圧パターン16aを気圧制御回路4に出力し、気圧制御回路4に加圧パターン16aに基づいて給気用ファン5を制御させ、かご室1内を加圧パターン16aに応じた加圧量で加圧させる。
以下、気圧制御処理(S160)の詳細について説明する。
気圧制御回路4は加圧パターン16aを運行制御回路10の出力回路15から入力し、入力した加圧パターン16aに基づいて給気用ファン5を回転させ、給気用ファン5にかご室1内への給気を行わせる。
実施の形態3における速度パターン発生処理(S130)について、図11に基づいて以下に説明する。
速度パターン発生部14は昇降距離算出部13から昇降距離情報13aを入力し、入力した昇降距離情報13aが示すかご室1の現在位置「L1」および目的階におけるかご室1の停止位置「L2」を大小比較する。
S131cにおいて現在位置の値が目的階における停止位置の値以下の場合、つまり、かご室1が上昇する場合(YES:「L1<L2」)、速度パターン発生部14は昇降距離情報13aが示す昇降距離Lを第1耳管開口高低差La(閾値)と大小比較する。
S132cにおいて昇降距離Lが第1耳管開口高低差Laより大きい場合(YES)、速度パターン発生部14は、実施の形態1で説明した一部低速運転の速度パターン14aを生成する。
S132cにおいて昇降距離Lが第1耳管開口高低差La以下の場合(NO:「L≦La」)、速度パターン発生部14は、実施の形態1で説明した通常運転の速度パターン14aを生成する。
S131cにおいて現在位置の値が目的階における停止位置の値より大きい場合、つまり、かご室1が下降する場合(NO:「L1>L2」)、速度パターン発生部14は昇降距離情報13aが示す昇降距離Lを第1耳管開口高低差Laより大きい所定の第2の閾値「Lb」と大小比較する。
第2の閾値「Lb」の詳細については後述する。
S135cにおいて昇降距離の値が第2の閾値より大きい場合(YES:「L>Lb」)、速度パターン発生部14は、一部低速運転の速度パターン14aを生成する。
但し、このとき生成される一部低速運転の速度パターン14aは、実施の形態1で説明したものより、定格速度で走行する時間が長い。
以下、速度パターン生成処理C(S136c)において生成される速度パターン14aを「一部低速運転(加圧時)の速度パターン14a」と記す。
一部低速運転(加圧時)の速度パターン14aの詳細については後述する。
速度パターン発生部14は、S133cにおいて生成した一部低速運転の速度パターン14a、S134cにおいて生成した通常運転の速度パターン14aまたはS136cにおいて生成した一部低速運転(加圧時)の速度パターン14aを出力回路15に出力する。
実施の形態3における気圧制御設定処理(S150)について、図12に基づいて以下に説明する。
気圧制御設定部16は昇降距離算出部13から昇降距離情報13aを入力し、入力した昇降距離情報13aが示すかご室1の現在位置「L1」および目的階におけるかご室1の停止位置「L2」を大小比較する。
S151cにおいて現在位置の値が目的階における停止位置の値より大きい場合、つまり、かご室1が下降する場合(NO:「L1>L2」)、気圧制御設定部16は昇降距離情報13aが示す昇降距離Lを第1耳管開口高低差La(閾値)と大小比較する。
S152cにおいて昇降距離Lが第1耳管開口高低差Laより大きい場合(YES)、気圧制御設定部16は、所定の加圧パターン(図17の48参照)でかご室1内を加圧させる制御情報を加圧パターン16aとして生成する。
気圧制御設定部16はS153cにおいて生成した加圧パターン16aを出力回路15に出力する。
昇降距離に対応する速度制御および加圧制御について、図13に基づいて以下に説明する。
昇降距離Lが第1耳管開口高低差La以下の場合、かご室1は通常運転で上昇し、かご室1内は加圧されない。
昇降距離Lが第1耳管開口高低差Laより大きい場合、かご室1は一部低速運転で上昇し、かご室1内は加圧されない。
昇降距離Lが第1耳管開口高低差La以下の場合、かご室1は通常運転で下降し、かご室1内は加圧されない。
昇降距離Lが第1耳管開口高低差Laより大きく、且つ、第2の閾値「Lb」以下である場合、かご室1は通常運転で下降し、かご室1内は加圧される。
昇降距離Lが第2の閾値「Lb」より大きい場合、かご室1は加圧時用の一部低速運転で下降し、かご室1内は加圧される。
図15は、実施の形態3における一部低速運転(加圧時)の昇降パターン45を示すグラフである。
図16は、実施の形態3における一部低速運転(加圧時)の気圧パターン46および一部低速運転(非加圧時)の気圧パターン47を示すグラフである。
図17は、実施の形態3における加圧パターン48を示すグラフである。
実施の形態3における一部低速運転(加圧時)の速度パターン44および加圧パターン48について、図14〜図17に基づいて以下に説明する。
図14の縦軸はかご室1の昇降速度を表し、図15の縦軸はかご室1の昇降位置を表し、図16の縦軸は気圧の変化量の絶対値を表し、図17の縦軸はかご室1に対する加圧量を表す。
低速度Vsには、実施の形態1で説明したように、かご室1が目的階に到着するまでに時間がかかり過ぎない程度早く、耳抜きのインターバルを十分に確保できる程度遅い速度が設定される。
一部低速運転(非加圧時)の気圧パターン47(一点鎖線で示す)は下降時気圧変化量のみを示し、一部低速運転(加圧時)の気圧パターン46と一部低速運転(非加圧時)の気圧パターン47との差分が加圧気圧変化量を示す。
Pa変化時刻ta3は、下降時気圧変化量と加圧気圧変化量との合計量が第1耳管開口気圧Paと等しくなる時間として定められる。
言い換えると、Pa変化時刻ta3は、定格速度Vr(加速時を含む)で下降するかご室1内の気圧の変化量の累計と給気用ファン5が定格出力で加圧することにより上昇するかご室1内の気圧の変化量の累計との合計量が第1耳管開口気圧Paと等しくなる時間として定められる。
加圧パターン48の「所定の割合」は、一部低速運転(加圧時)の気圧パターン46を低速度Vsで下降した場合(但し、加圧制御無し)のかご室1内の気圧の変化率と同じ変化率にする割合として定められる。
以下、「Lb」を「加圧時高低差閾値」という。
また、減速開始時刻tdから減速しつづけた場合に速度が「0」になる時刻「td’」を「減速延長時刻」とする。
また、減速開始時刻tdに到達する地点の出発地点からの距離を「減速時到達距離Ld」(図15参照)とする。
かご室1の昇降距離Lが第1耳管開口高低差Laより大きく加圧時高低差閾値Lb以下の場合、かご室1は通常運転の速度パターンで速度制御され、加圧パターン48で加圧制御される。
このとき、かご室1内の気圧は、図18の通常運転(加圧時)の気圧パターン49(実線)に示すように、Pa変化時刻ta3まで第1耳管開口気圧Paだけ上昇し、以後、一定の割合で緩やかに上昇する。
図18の長破線に示すように、加圧制御は、Pa変化時刻ta3より後でありLa到達時刻taより前の時刻「ta’」にかご室1内の気圧を第1耳管開口気圧Paだけ上昇させるように、給気用ファン5の出力を抑えて行われても構わない。
昇降路内を上昇および下降させるための手段を備えたエレベータ装置9であり、所定のエレベータ走行パターンを生成する速度パターン発生部14と、かご室1の出発階と目的階との昇降距離Lを算出する昇降距離算出部13と、かご室1外の空気をかご内へ給気する給気用ファン5と、給気用ファン5をコントロールしてかご室1内の気圧を所定の加圧パターンで加圧する気圧制御回路4とを備える。
エレベータ装置9は、かご室1が下降する際、昇降距離算出部13が所定の距離「Lb」を超える昇降距離を算出した場合、出発階から所定の距離「Lb」までは速度パターン発生部14によってかご室1を定格速度で走行させると共に気圧制御回路4によってかご室1内を所定の加圧パターンで加圧し、所定の距離「Lb」を超える位置からは速度パターン発生部14によって定格速度よりも遅い速度で走行させる。
また、エレベータ装置9は、かご室1が上昇する際、昇降距離算出部13が所定の距離「La」を超える昇降距離Lを算出した場合、速度パターン発生部14によって出発階から所定の距離「La」近傍までかご室1を定格速度で走行させ、所定の距離「La」近傍を超える位置からは定格速度よりも遅い速度で走行させる。
下降運転の際は、「L1」と「L2」との差、すなわち「|L1−L2|」を昇降距離算出部13によって算出し、距離「La」との大小を判定する。
「|L1−L2|>La」の場合、さらに「|L1−L2|」と距離「Lb(>La)」との大小を判定する。「|L1−L2|>Lb」の場合、かご室1が出発階を出発して距離「La」を走行するのに要する時間「ta」よりも早い時間「ta3」で高低差「La」に相当する気圧差「Pa」に達するまで、気圧制御回路4および給気用ファン5を用いて、かご室1内の気圧を加圧する。時刻「ta3」の後、加圧量を徐々に減らし、時刻「tc」(かご室1内の気圧とかご外の気圧とが等しくなる時点)でかご室1内の気圧制御を停止させる。そして、時刻「tc」の近傍時刻「td」(「td」と「tc」との大小は問わない)において、定格速度Vrからかご室1の減速を開始し、低速度Vsの走行に切り替え、その後目的階でかご室1を停止させる。
「Lb」は、定格速度Vrで「tc」近傍の「td」から減速を開始した場合の走行距離である。
しかし、実施の形態3では、必要なものは給気用ファン5のみであるため、かご室1に設置する気圧制御装置の小型化、軽量化および省電力化を図ることができる。
また、乗客の耳詰まり感対策として、昇降中の全てを低速運転させる場合(図19の点線a2参照)よりも、昇降時間を短縮させることができ、運行効率をUPさせることができる。
また、耳抜きのインターバルを長くすることで、乗客に与える不快感を緩和させることができる。
但し、かご室1に排気用のファンを備え、かご室1が上昇する場合にも同様に、昇降距離Lと第1耳管開口高低差Laおよび加圧時高低差閾値Lbとの大小関係に基づいて、「通常運転」「通常運転+減圧制御」「一部低速運転+減圧制御」を切り替えても構わない。
Claims (7)
- エレベータかごの目的階に基づいて前記目的階までの前記エレベータかごの昇降距離を算出する昇降距離算出部と、
前記昇降距離算出部により算出された前記昇降距離を所定の距離と大小比較し、前記昇降距離が前記所定の距離以下である場合、前記エレベータかごを定格速度まで加速させて前記定格速度で走行させた後、前記エレベータかごを停止するまで減速させる通常運転を指示する制御情報である速度パターンを生成し、前記昇降距離が前記所定の距離より大きい場合、前記エレベータかごを前記定格速度まで加速させて前記定格速度で走行させた後、前記エレベータかごを前記定格速度より遅い所定の低速度まで減速させると共に、減速させた前記エレベータかごを前記所定の低速度で走行させた後、前記エレベータかごを停止するまで減速させる一部低速運転を指示する制御情報である速度パターンを生成する速度パターン発生部と、
前記速度パターン発生部により生成された前記速度パターンに基づいて前記エレベータかごを前記目的階まで昇降させる速度制御部と、
前記エレベータかごが前記目的階へ下降する場合に前記昇降距離を前記所定の距離と大小比較し、前記昇降距離が前記所定の距離より大きい場合、前記エレベータかご内に給気して前記エレベータかご内を所定の気圧まで加圧する気圧制御設定部とを備え、
前記速度パターン発生部は、
前記エレベータかごが前記目的階へ下降する場合に前記昇降距離を前記所定の距離より長い所定の第2の距離と大小比較し、前記昇降距離が前記所定の第2の距離以下である場合、前記通常運転を指示する制御情報である速度パターンを生成し、前記昇降距離が前記所定の第2の距離より大きい場合、前記一部低速運転を指示する制御情報である速度パターンを生成する
ことを特徴とするエレベータ制御装置。 - 前記所定の距離が、前記エレベータかご内の乗客に耳管を開口させる気圧差に相当する高低差を示すことを特徴とする請求項1記載のエレベータ制御装置。
- 前記一部低速運転を指示する制御情報である速度パターンは、前記定格速度から減速させた前記エレベータかごの走行速度が前記所定の距離を走行したときに前記所定の低速度に達することを示す
ことを特徴とする請求項1記載のエレベータ制御装置。 - 前記所定の気圧が、前記エレベータかご内の乗客に耳管を開口させる気圧差を示すことを特徴とする請求項1記載のエレベータ制御装置。
- 前記気圧制御設定部は、
前記エレベータかご内を前記所定の気圧まで加圧した後、加圧による前記エレベータかご内の昇圧量と下降に伴う前記エレベータかご内の昇圧量との合計量に基づく単位時間当たりの昇圧量が、前記所定の低速度で下降した場合の前記エレベータかご内の単位時間当たりの昇圧量と等しくなる加圧量で前記エレベータかご内を加圧する
ことを特徴とする請求項1記載のエレベータ制御装置。 - 前記一部低速運転を指示する制御情報である速度パターンは、前記エレベータかご内の気圧が前記エレベータかご外の気圧と等しくなるときに前記所定の低速度に達することを示す
ことを特徴とする請求項1記載のエレベータ制御装置。 - 請求項1から請求項6いずれかに記載のエレベータ制御装置を備えたエレベータ装置。
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