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JP5233959B2 - 機器用コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、機器のケースに取り付けられるコネクタに関する。
従来、電気自動車において金属製のケースに収容されたモータ等の機器に電源から延びる電線の末端に取り付けられた電線側コネクタを嵌合させるための機器用コネクタとして、例えば特許文献1に記載されたものが公知である。この機器用コネクタは、端子金具をインサート成形することによって形成された合成樹脂製のコネクタハウジングを備え、このコネクタハウジングをアルミダイキャスト製のシェルに装着して構成されている。この機器用コネクタは、ダイキャストシェルに設けた取付片をボルト締めすることで機器に取り付けられる。
特開2009−32500号公報
ところが、従来の機器用コネクタでは、シェルがアルミダイキャスト製であるために十分な強度が得られるものの、製造コストが高くなるという問題がある。このため、近年、金属製の補強板を樹脂にインサート成形してコネクタハウジングを形成することで、強度面の仕様を低コストで満足できる構成が検討されている。
しかしながら、金属製の補強板と合成樹脂部材とをインサート成形することで一体化成形されたコネクタは、コネクタ本体を構成する合成樹脂部と金属製の補強板との熱膨張率の違いにより、例えばインサート成形後の冷却過程で、補強板よりも合成樹脂部が大きく収縮する。
その為、補強板の外周端部を覆う合成樹脂は補強板の両面側を覆う合成樹脂に引っ張られてクラックが生じるといった問題がある。
合成樹脂部にクラックが生じると、見栄えが悪くなるだけでなく、補強板と合成樹脂部との界面の密着性が低下して隙間が発生し、その隙間からコネクタ本体内に水が浸入するといったことが懸念される。
以上のことから、金属製の補強板がインサート成形された合成樹脂製のコネクタの実用化は、大形のタイプでは困難と考えられていた。
本願発明は上記事情に鑑みて完成されたものであって、補強板を覆う合成樹脂部に生じるクラックを防ぎ、金属製の補強板をインサート成形することで製造コストを抑えた機器用コネクタを提供することを目的としている。
上記の目的を達成するための手段として本発明は、機器のケースに設けられたコネクタ取付部に取り付けられる機器用コネクタにおいて、前記コネクタ取付部に固定するための機器取付部及び端子金具挿通用の開口部を有する金属製の補強板と、前記補強板の両面側を覆うように合成樹脂をインサート成形してなるコネクタハウジングと、前記開口部を貫通した状態で前記コネクタハウジングに保持された端子金具とを備え、前記コネクタハウジングは、前記機器取付部の間に位置する部分において前記補強板の外周端面が露出するように成形されているところに特徴を有する。
このような構成の機器用コネクタによると、成形金型内でコネクタハウジングが冷却される際に補強板の両面側を覆う合成樹脂層が収縮しても、補強板の外周端面には合成樹脂部が存在しないから、その合成樹脂部が両側から引っ張られてクラックが発生するような現象が生じない。
本発明の実施の態様として、以下のような構成としてもよい。
前記コネクタハウジングには前記ケース側の面に前記端子金具をループ状に取り囲む無端環状のシール部材が設けられている。
このような構成にすると、機器のケースと機器用コネクタとの間から水が浸入することを防ぐことができる。
前記機器取付部は、前記補強板の外周縁部から突出する取付片に設けられている。
このような構成にすると、端子金具を挿通させる開口部を大きくすることで端子金具間のスペースを大きくしたり、端子金具の位置を容易に変更することができる。
前記補強板には、前記コネクタハウジングを構成する合成樹脂によって覆われる部分に前記合成樹脂が入り込んだアンカー溝が形成されている。
このような構成にすると、補強板を覆う合成樹脂はアンカー溝に入り込むことで収縮する方向に対して密着し、補強板を覆う合成樹脂の偏りを無くすことができ、他の合成樹脂部においてクラックが発生することを防ぐことができる。
前記補強板には、前記コネクタハウジングを構成する合成樹脂によって覆われる部分に前記補強板の両面側の合成樹脂層を連結するための連結孔が形成されている。
このような構成にすると、補強板を覆う合成樹脂が連結孔に入り込むことで収縮する方向に対して密着し、補強板を覆う合成樹脂の偏りを無くすことができ、他の合成樹脂部においてクラックが発生することを防ぐことができる。
本発明によれば、補強板の外周端面を覆う合成樹脂部に生じるクラックを防ぎ、金属製の補強板をインサート成形することで製造コストを抑えた機器用コネクタを提供することができる。
本発明の実施形態1に係る機器用コネクタの正面図 同平面図 同背面図 同側面図 図1のV−V線断面図 図2のVI−VI線断面図 インサート成形される前の状態を示す補強板の正面図 実施形態2に係る機器用コネクタの正面図 同平面図 同側面図 図8のXI−XI線断面図 図9のXII−XII線断面図 インサート成形される前の状態を示す補強板の正面図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1乃至図7によって説明する。
この実施形態1では機器のケースに設けられたコネクタ取付部(図示せず)に取り付けられる機器用コネクタを例示している。尚、以下の機器用コネクタにおいて相手方コネクタ側を前方、機器のケースに設けられたコネクタ取付部側を後方として説明する。
機器用コネクタは図1乃至図6に示すように前方向に延びる略直方体状を成すハウジング本体10と、ハウジング本体10の後方の外周から外側に延びるフランジ部11と、フランジ部11の後方面から後方向に延びて機器のケースに設けられたコネクタ取付孔(図示せず)に収容される機器側ハウジング部12とを備えている。そして、ここで示されるハウジング本体10と、フランジ部11と、機器側ハウジング部12とが合成樹脂製のコネクタハウジングに相当する。
ハウジング本体10にはその長手方向の側面の一方に開口され電線の末端に取り付けられた電線側コネクタ(図示せず)を嵌合させる嵌合部13とハウジング本体10の突出面に開口された作業孔14とが形成されている。ハウジング本体10の内部には機器側ハウジング部12まで延びる三本の端子金具15がハウジング本体10の側面より嵌合部13側に延びた状態で横並びに保持され、その先端部には第一ボルト孔15Bを有し電線側コネクタの端子(図示せず)と接続される電線側接続部15Aが形成されている。そして、ハウジング本体10には電線側接続部15Aのフランジ部11側の面に第一ボルト孔15Bと連なる第一ナット16が取り付けられ、作業孔14からボルト接続ができるようになっている。
フランジ部11はインサート成形によって金属製の補強板30が両面側を合成樹脂で覆われる状態に合成樹脂部材と一体に形成されている。
補強板30は図7に示すように、プレスによって打ち抜き形成した台形板状をなし、端子金具15を挿通する開口部31と嵌合検知端子挿通用の補助開口部32が形成されている。開口部31は長手方向に延びる略長方形状をなし、補強板30の略中央部に位置している。補助開口部32は開口部31に隣接し補強板30の長手方向短辺側の位置に開口部31の約1/3幅の大きさの略長方形状に設定されている。
機器用コネクタ内に保持されている端子金具15はこの開口部31を抜けてハウジング本体10と機器側ハウジング部12との間を連絡している。
フランジ部11の後方面側には、ハウジング本体10とはやや横方向にずれた位置に後方向に真っ直ぐ延びた機器側ハウジング部12と、機器用コネクタを機器のケース(図示せず)に取り付ける際の位置決めを行う位置決めピン33と、機器側ハウジング部12からやや離れた位置に後方向に延びる補助ハウジング17とが形成されている。その為、ハウジング本体10と機器側ハウジング部12とを連絡する端子金具15は機器側ハウジング部12内において屈曲した状態で保持されている。
機器側ハウジング部12にはフランジ部11から後方に延びる三本の端子金具15が二等辺三角形状を成す配置に保持され、先端部には第二ボルト孔15Dを有し機器側の端子(図示せず)とボルト接続される機器側接続部15Cが形成されている。そして、機器側ハウジング部12には第二ボルト孔15Dと連なる第二ナット18が取り付けられている。
位置決めピン33はフランジ部11の両端部の二箇所から後方向に向かってやや細くなった円柱状をなした状態に形成されている。
補助ハウジング17はフランジ部11を介して前方向にも延びており、補助ハウジング17内にはフランジ部11の補助開口部32を貫通する嵌合検知用端子17Aが保持されている。
さて、フランジ部11にはその後方面側にフランジ部11の外周縁部より突出した突起部19と、フランジ部11の外周縁部に沿ってループする取付溝20と、外周端面より突出する取付片34とが形成されている。
突起部19はフランジ部11の外周縁部よりやや内側の位置に間隔をあけて計八箇所に形成され、その先端は中心に向かって細くなる形状を成している。取付溝20は突起部19の外側に位置し、取付溝20にはシール部材21が取り付けれられている。シール部材21には突起部19と対応する位置に取付孔21Bを有するフランジ側取付部21Aが形成され、機器側コネクタはシール部材21の取付孔21Bにフランジ部11の突起部19を挿入することでシール部材21をフランジ部11の取付溝20に装着している。
取付片34はフランジ部11のほぼ四隅の位置にフランジ部11内に位置する補強板30から延びて金属面を露出した状態に形成され、その取付片34にはボルト貫通孔34Bを有する機器取付部34Aが形成されている。
四隅に設けられた取付片34の間に位置するフランジ部11の外周端面は補強板30が露出する状態に形成され、補強板30の両面を覆う合成樹脂の外周端面は補強板30の外周端面とほぼ同一面上の形態に形成されている。
そして、合成樹脂に覆われた部分の補強板30にはその両側の表面に網目状に切欠いたアンカー溝35が形成され、補強板30の内周及び外周の縁部よりやや離れた位置には補強板30を貫通した連結孔36が形成されている。
本実施形態の機器用コネクタは以上のような構成であって、インサート成形時の合成樹脂部材が固化する際の収縮変形に関して説明する。
機器用コネクタを構成する補強板30を覆う合成樹脂部はインサート成形時の冷却による固化の際に熱膨張率の関係から金属製の補強板30に比べて収縮が大きくなる。その為、補強板30を覆う面積が大きく、合成樹脂の厚みが厚い合成樹脂部分ではより大きく合成樹脂部が収縮する。この為、補強板30の両面側を覆う合成樹脂部は面積が広く、全体的に収縮する量が多くなり、合成樹脂部の外周縁部はハウジング本体10及び機器側ハウジング部12方向に向かって引っ張られる。しかしながら、フランジ部11の外周端面は合成樹脂によって覆われておらず、収縮によって過剰な負担が及ぶ合成樹脂部が存在しないことから、その合成樹脂部が両面側から引っ張られてクラックが発生するような現象が生じない。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図8乃至図13によって説明する。
実施形態2の機器用コネクタは、上述した実施形態1と同様の作用効果を奏すると共に、実施形態1と同様、機器のケースに設けられたコネクタ取付部(図示せず)に取り付けられる。
実施形態2の機器用コネクタは、図8乃至図12に示すように、フランジ部11の形状が略長方形をなし、機器側ハウジング部12がハウジング本体10の真後ろに形成されている。また、ハウジング本体10は嵌合部13と作業孔14との位置が入れ替わった状態に構成され、その内部に位置する端子金具15は前方に真っ直ぐ伸びた状態に保持されている。
一方、機器側ハウジング部12の内部に保持されている三本の端子金具15は横並びに配されている。このため、ハウジング本体10と機器側ハウジング部12を連絡する端子金具15は機器側ハウジング部12内で僅かに屈曲した状態を成しているが、同一面上に延びた状態に成形されている。
また、フランジ部11を介して前後方向に延びる補助ハウジング17はフランジ部11の前方側の面と後方側の面とでやや横方向ずれて形成され、補助ハウジング17に保持されている嵌合検知用端子17Aもそれに合わせて補助ハウジング17内で屈曲されている。
フランジ部11内に位置する補強板30はフランジ部11と同様、略長方形状の板状をなしている。そして、補強板30に形成された端子挿通用の開口部31は細長い略長方形をなし、補強板30の略中央位置に設けられている。また、補助開口部32は開口部31と横並びに設けられている。その他は、前記実施形態1とほぼ同じ構成となっている。
実施形態2は実施形態1と同様、補強板30の両面側を覆う合成樹脂部はインサート成形後の冷却過程において熱膨張率の関係からフランジ部11の外周縁部に位置する合成樹脂部をハウジング本体10及び機器側ハウジング部12方向に引っ張る。しかしながら、フランジ部11の外周端面は合成樹脂に覆われておらず、収縮によって過剰な負担が及ぶ合成樹脂部はなく、クラックが生じることはない。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、端子挿通用の開口部31は補強板30の内周縁が閉じたループ状を成す孔として構成したが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、開口部31が開いた状態に開口された開口部として構成してもよい。
(2)本実施形態では、端子金具15はボルトによって接続する構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば電線側コネクタに設けた雌型端子金具と嵌合される雄型端子金具によって構成してもよい。
(3)本実施形態では、連結孔36は内周及び外周縁部に形成されている構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、本発明は、例えば、連結孔36が補強板30の内周縁部のみもしくは外周縁部のみ、更にはその他複数箇所に形成された構成としてもよく、連結孔を形成しない構成としてもよい。
(4)本実施形態では、嵌合検知用端子17Aを装着した構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば、嵌合検知用端子17Aを有しないコネクタにも適用することができる。
(5)本実施形態では、補強板30の両面側に網目状のアンカー溝35を形成する構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば、補強板30の両面側にストライプ状や破線状のアンカー溝を形成する構成としてもよく、アンカー溝を形成しない構成としてもよい。
(6)本実施形態では、補強板30の外周端面が全周にわたって合成樹脂より露出した構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば、合成樹脂の収縮の影響が少なく補強板の外周端面の一部が合成樹脂によって被覆されていてもよい。
10 :ハウジング本体
11 :フランジ部
12 :機器側ハウジング部
15 :端子金具
21 :シール部材
30 :補強板
31 :開口部
34 :取付片
34A:機器取付部
35 :アンカー溝
36 :連結孔

Claims (5)

  1. 機器のケースに設けられたコネクタ取付部に取り付けられる機器用コネクタにおいて、 前記コネクタ取付部に固定するための機器取付部及び端子金具挿通用の開口部を有する金属製の補強板と、前記補強板の両面側を覆うように合成樹脂をインサート成形してなるコネクタハウジングと、前記開口部を貫通した状態で前記コネクタハウジングに保持された端子金具とを備え、
    前記コネクタハウジングは、前記機器取付部の間に位置する部分において前記補強板の外周端面が露出するように成形されていることを特徴とする機器用コネクタ。
  2. 前記コネクタハウジングには前記ケース側の面に前記端子金具をループ状に取り囲む無端環状のシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載の機器用コネクタ。
  3. 前記機器取付部は、前記補強板の外周縁部から突出する取付片に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の機器用コネクタ。
  4. 前記補強板には、前記コネクタハウジングを構成する合成樹脂によって覆われる部分に前記合成樹脂が入り込んだアンカー溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の機器用コネクタ。
  5. 前記補強板には、前記コネクタハウジングを構成する合成樹脂によって覆われる部分に前記補強板の両面側の合成樹脂層を連結するための連結孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の機器用コネクタ。
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