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JP5219773B2 - 無機系基材塗装用の水性樹脂分散体 - Google Patents

無機系基材塗装用の水性樹脂分散体 Download PDF

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Description

本発明は建材・建築分野、土木分野等で使用される多孔質の無機系基材用の塗装において、塗料に供せられる水性樹脂分散体およびその塗料に関するものである。さらに詳しくは主としてプレハブなどの住宅建築の外壁材あるいは屋根材として使用される、セメントスラグ板、木片セメント板、パルプ繊維セメント板、軽量気泡コンクリート板、珪酸カルシウム板等に好適に塗装使用されるプライマー用水性樹脂分散体およびその塗料に関するものである。
上記の建材・建築分野、土木分野等においては、従来から多孔質の無機系基材が多方面で使用されている。このような多孔質の無機系基材は、内部に多数の気泡を有しており、軽量で取り扱いが良好であることが大きな特徴である。特に住宅建築においては施工性向上で大いに役立っている。また機能的にも断熱性や遮音性が高い等の特徴を有し、外壁材として優れた材料である。しかしながら、多孔質の無機系基材には、内部に多数の気孔が存在するため、実使用においては雨などが材料中へ染み込み易く、耐久性を損なう原因となり改良が求められている。
また上記の無機系基材はカルシウム成分が多量に含まれており、大気中の二酸化炭素が経時的に材料表面から内部に移行して炭酸カルシウムを生じてpHの低下を起こす中性化の問題がある。この問題点は骨材を使用した無機系基材において、pH低下で骨材の不動態膜が破壊され、腐食を引き起こして材料強度を低下させる大きな要因となり、材料の更なる軽量化による強度低下とあいまって、いかに材料強度を確保するかが大きな課題となっている。
上記課題への対策として、有機溶剤型の塗料の使用が考えられるが、有機溶剤を使用するため、環境面、コスト面から好ましいものではない。一方、水系としては、水分散性のエポキシ樹脂あるいは水分散性のイソシアネートプレポリマーを使用する方法が開示されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3)。しかしながらこれらはいずれも基本的に2液型であり、無機系基材への付着性、基材に対する補強効果はある程度達成されるものの、2液を混合する手間、あるいはポットライフによりおのずと使用時間が制限される問題点がある。
また1液型としては、スチレン/(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン等があるが(例えば特許文献4、特許文献5)、基材への付着性、基材に対する補強効果が未だ不十分である。
特開平11−209567号公報 特開平6−92756号公報 特開2004−10777号公報 特開平10−251590号公報 特開2002−114938号公報
このようなことから、建材・建築分野、土木分野等に使用される多孔質の無機系基材、特にプレハブ等の住宅建築の外壁材あるいは屋根材として使用頻度が増加している無機系建材に使用され、基材への浸透性、付着性、基材に対する補強効果において、従来技術にない優れた性能を有する新規な1液型塗料に必要な、水性樹脂分散体およびその塗料を提供することが本発明の課題である。
また無機系建材は、現場において使用されるまでの間、製品が積み上げられるのが通常である。このため積み上げで加重がかかった場合の、材料同士のブロッキングも大きな問題である。特に建材の裏面は、ほとんどの場合シーラーのみが塗装されているので、このことを勘案し、加重がかかってもブロッキングが起こらない、シーラー用水性樹脂分散体およびその塗料を提供することも本発明の課題である。
すなわち本発明は、α、β−エチレン性不飽和単量体量を乳化重合して得られる、多孔質の無機系基材用塗料に供せられる水性樹脂分散体であり、該α、β−エチレン性不飽和単量体量全体の中で、(1)アクリロニトリルが10〜40重量%、(2)単独重合体のTgが50℃以上である、アクリロニトリル以外のα、β−エチレン性不飽和単量体が30〜80重量%、かつ残りの部分は(3)その他のα、β−エチレン性不飽和単量体が共重合された水性樹脂分散体およびその塗料に関している。
さらには上記の水性樹脂分散体が、α、β−エチレン性不飽和単量体量をニ段階に分割使用し、かつそれぞれの単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体であり、一段目に続く二段目の重合反応において、一段目および二段目に使用する全アクリロニトリルのうち、少なくとも80重量%以上を二段目に使用することを特徴とする水性樹脂分散体およびその塗料に関している。
本発明の水性樹脂分散体は、多孔質の無機系基材、特に住宅建築に使用されるセメントスラグ板、木片セメント板、パルプ繊維セメント板、軽量気泡コンクリート板、珪酸カルシウム板等の無機系建材の塗料用途に好適に使用され、1液型でかつ従来技術にない優れた基材への浸透性、付着性、基材に対する補強効果を発揮させることができる。また乾燥性にも優れ、使用されるまでの間の建材の積み上げ時、特に夏場の高温多湿時においても、優れた耐ブロッキング性を発揮し、材同士のブロッキングで良好な外観が損なわれて製品材を無駄に損失することがない。
本発明について以下に具体的に説明する。
[1]水性樹脂分散体の単量体組成について
本発明の水性樹脂分散体については、アクリロニトリルがα、β−エチレン性不飽和単量体全体の中で10〜40重量%使用されるのが特徴である。このためニトリル基の強い凝集力により、本発明の水性樹脂分散体は従来の水性樹脂分散体では得られない、十分な基材への付着性、基材に対する補強効果を有している。アクリロニトリル量が10重量%未満では、十分な凝集力がえられず、40重量%を超えると安定な水性樹脂分散液が得られにくい。また二段重合法で本発明の水性樹脂分散体を製造する場合は、一段目および二段目重合に使用する全アクリロニトリルのうち、少なくとも80重量%以上を二段目重合に使用することで、上記のアクリロニトリルの効果をなお一層有効に機能させることができる。
また(2)単独重合体のTgが50℃以上である、アクリロニトリル以外のα、β−エチレン性不飽和単量体については、アクリロニトリルも含めて、本発明の水性樹脂分散体に硬さを付与するための成分である。この単量体がα、β−エチレン性不飽和単量体全体の中で、30〜80重量%使用されることで、塗装後の基材の積み上げ時、特に夏場の高温多湿時においても、優れた耐ブロッキング性を発揮させることができ、材同士のブロッキングで製品材を無駄に損失することがない。上記範囲外では性能は不十分である。また(2)の単量体のより好ましい範囲は35〜80重量%であり、さらに好ましい範囲は40〜80重量%ある。
また二段重合法で本発明の水性樹脂分散体を製造する場合は、(2)の単量体については一段目および二段目の全体量の10〜40%を二段目に重合するのがより好ましい。
単独重合体のTgが50℃以上である、アクリロニトリル以外のα、β−エチレン性不飽和単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられる。
さらに(3)その他のα、β−エチレン性不飽和単量体は、(1)アクリロニトリル、および(2)単独重合体のTgが50℃以上である、アクリロニトリル以外のα、β−エチレン性不飽和単量体以外の残りの部分であり、本発明の水性樹脂分散体にアクリロニトリルあるいは(2)の単量体では付与できない性能面を付与するために使用される。例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸へキシル、メタクリル酸ラウリル等は適度の柔軟性を付与する成分であり、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジル等は親水性あるいは官能性を付与する成分であり、アクリル酸、メタクリル酸等は水性樹脂分散体に高い分散安定性を付与する成分である。
[2]水性樹脂分散体の重合方法(乳化重合)について
本発明の水性樹脂分散体は、乳化重合法を用いて一段重合により合成することができる。しかし、α、β−エチレン性不飽和単量体量を2つのグループに分割し、かつそれぞれの単量体混合物を乳化重合する二段重合がより好ましく、中でも一段目に続く二段目の重合反応において、一段目および二段目に使用する全アクリロニトリルのうち少なくとも80重量%を二段目に使用して乳化重合する二段重合がさらに好ましい。一段目と二段目の単量体の割合は、全単量体に対して一段目の単量体が30〜70重量%、二段目の単量体が70〜30重量%が好ましい。さらには一段目40〜60重量%、二段目60〜40重量%がより好ましい。また二段目の重合反応においては、一段目の重合反応の反応率が80%以上になった時点で開始するのが好ましい。
本発明の水性樹脂分散体を製造するに際して、陰イオン性の界面活性剤あるいはノニオン性の界面活性剤を使用するが併用してもかまわない。陰イオン性の界面活性剤を例示すると、ラウリル硫酸ナトリウム、アンモニウムのような高級アルキル硫酸のアルカリ塩、ドデシルベンゼンスルホン酸、イソプロピルベンゼンスルホン酸のナトリウム、アンモニウムのようなアルキルアリールスルホン酸のアルカリ塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸、ノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸のナトリウム、アンモニウムのようなアルキルナフタレンスルホン酸のアルカリ塩、ノニルフェノールのポリエトキシエタノール硫酸ナトリウム、アンモニウムのようなアルキルアリールポリエトキシエタノール硫酸または同スルホン酸のアルカリ塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルまたは同スルホン酸のナトリウム、アンモニウム塩、さらには親水性−疎水性のバランスを有するカルボキシル基含有共重合体のアルカリ塩等が挙げられる。
またノニオン性の界面活性剤を例示すると、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルのようなポリオキシエチンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエートのようなポリオキシエチレン誘導体類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートのようなソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンがブロック共重合したいわゆるプルロニックタイプ、その他ポリオキシエチレンアルキルアミン類、アルキルアルカノールアミド類等が挙げられる。
さらに本発明に使用する界面活性剤としては、エチレン性不飽和結合を有する、いわゆる反応性乳化剤が好ましく、このような界面活性剤を用いることにより、フリーの非反応性の界面活性剤による耐水性の低下を抑制することが可能である。上記反応性乳化剤としては、ラテムルPD−104(花王株式会社製)、アクアロンKH−05、アクアロンKH−10(第一工業製薬株式会社製)、ANTOX MS−60(日本乳化剤株式会社製)、エレミノールJS−20(三洋化成株式会社製)等を挙げることができる。なかでも、乳化重合において重合反応性の高いアクアロンKH−05やアクアロンKH−10が特に好ましい。これらは、二種類以上併用してもよい。
上記界面活性剤量は、全単量体100重量部に対して0.5〜5重量%が好ましい。これより少ないと、粒子の安定性が十分に確保できず、これより多いと耐水性が十分でない。
重合開始剤としては、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物開始剤や、レドックス系開始剤、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物開始剤、あるいは上記の無機過酸化物開始剤に、過酸化水素、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリットなどの無機還元剤などを組み合わせて使用することもできる。全単量体100重量部に対し開始剤量は0.1〜3重量%、好ましくは0.3〜2重量%である。この範囲よりも少ないと、未反応単量体が増える傾向にあり、また、多いと分子量が低くなり目的の塗膜性能が得られにくい傾向にある。
反応温度は加温状態で行われるのが好ましく、通常40〜100℃である。しかしレドックス系開始剤の場合は室温でも十分実施が可能である。
乳化重合により得られる、本発明の水性樹脂分散体の平均粒径は、一段重合法、二段重合法にかかわらず、50〜200nmが好ましく、さらには60〜120nmが好ましい。粒径が上記の範囲より大きい場合には、水性樹脂分散体または塗料の造膜性が低下し膜の緻密性が損なわれ、さらには、顔料粒子との混和性が低下することにより、基材との密着性および耐水性が低下する傾向があるので好ましくない。
[3]塗料の作製
本発明の水性樹脂分散体は、そのままクリヤー塗料として使用することができるが、必要に応じて顔料、増粘剤、表面調整剤、溶剤等を配合して塗料化することができる。
ここで、顔料としては、特に制限はなく、各種の天然顔料、合成無機顔料および合成有機顔料を使用することができる。さらに、具体的には、着色顔料(チタン白、鉄黄、群青、ベンガラ、クロムイエロー、カーボンブラック、シアニン系顔料、アゾ系顔料、トリフェニルメタン系顔料、キノリン系顔料、アントラキノン系顔料、フタロシアニン系顔料など)、体質顔料(硫酸バリウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカ、アルミナ、パーライト、硅砂など)、特殊顔料(錆止め顔料、発光顔料、示温顔料など)、繊維状またはリン片状の特殊無機顔料(ロックウール、マイカなど)などが挙げられ、これらの顔料は単独で用いても良く、また二種以上を組み合わせて用いても良い。上記顔料の配合量は特に制限はない。
増粘剤としてはウレタン変性ポリエーテルなどの会合性増粘剤、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどの高分子系増粘剤が使用できる。塗料を作製する際には、樹脂の性能を損なわない範囲で増粘剤を添加することができる。
表面調整剤としてはポリエーテル変性ポリシロキサン、アクリル系共重合物、アルコールアルコキシレートなどが挙げられる。塗料を多孔質の無機系基材にスポンジロールコーターなどで塗装する際に、塗料をスポンジロールで基材に押さえつけることにより、基材の細孔の空気が塗膜中に含まれて乾燥したのちに穴となり、塗膜に欠陥ができシール性が損なわれて耐水性が低下する。これを防ぐため、塗膜中にできた泡を消すために、塗膜の表面張力を下げる目的で表面調整剤を添加することができる。また消泡剤も同じ目的で添加することができる。消泡剤については、例えば変性シリコーン系、シリカシリコーン系、鉱物油系などが挙げられる。
溶剤としては、例えば、油性溶剤(ベンジルアルコール、テキサノール、ジブチルアジペートなど)、水性溶剤(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ブチルジグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)を本発明の水性樹脂分散体の低温造膜性を確保するために添加することができる。
[4]多孔質の無機系基材
本発明の水性樹脂分散体から得られる塗料は、建材・建築分野、土木分野等で使用される多孔質の無機系基材、特に住宅建築に使用されるセメントスラグ板、木片セメント板、パルプ繊維セメント板、軽量気泡コンクリート板、珪酸カルシウム板等に塗装し使用することができる。
[5]塗装方法
塗料を基材に塗布するための方法は特に限定されるものではなく、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター、バーコーター、カーテンフローコーター、モルタルガン、リシンガン等を用いることができる。特に、ロールコーターが、住宅建築に使用される基材の平面部分を連続に塗装して大量生産でき、かつ、塗料の無駄を少なくできることから適している。
以下、実施例および比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお以下において特に説明がない場合、部は重量部を表す。
製造例1(実施例1用)
温度計、撹拌機、環流冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、(1)イオン交換水80部、(2)アクアロンKH−10(反応性アニオン乳化剤、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、第一工業製薬株式会社製)0.3部を仕込んで溶解し、系内を窒素ガスで置換しながら、75℃まで昇温した。次いで、(3)過硫酸アンモニウム0.1部を仕込んで10分間保持した。次いで(4)スチレン45部、(5)アクリロニトリル35部、(6)アクリル酸2−エチルへキシル18部、(8)アクリル酸2部、(9)イオン交換水40部、(10)アクアロンKH−10 2部、(11)ハイテノールNF−08(ポリオキシエチレンスチリルフェニル硫酸エステルアンモニウム塩およびポリオキシスチリルフェニルエーテルの混合物、第一工業製薬株式会社製)0.6部を予め混合した単量体プレ乳化液を4時間かけて滴下した。同時に、重合開始剤として(20)イオン交換水20部に(21)過硫酸アンモニウム1部を溶解したものを5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成した後、冷却し、(22)アンモニア水2部を添加して水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体の不揮発分は41.5%、粘度は30mPa・s、pHは8.5であった。
製造例2(実施例2用)
温度計、撹拌機、環流冷却管、窒素導入管および滴下ロートを備えたガラス製反応容器に(1)イオン交換水80部、(2)アクアロンKH−10(反応性アニオン乳化剤、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、第一工業製薬株式会社製)0.3部を仕込んで溶解し、系内を窒素ガスで置換しながら、75℃まで昇温した。次いで、(3)過硫酸アンモニウム0.1部を仕込んで10分間保持した。次いで、(4)スチレン49部、(8)アクリル酸1部、(9)イオン交換水20部、(10)アクアロンKH−10 1部、(11)ハイテノールNF−08(ポリオキシエチレンスチリルフェニル硫酸エステルアンモニウム塩およびポリオキシスチリルフェニルエーテルの混合物、第一工業製薬株式会社製)0.3部を予め混合した一段目単量体プレ乳化液を2時間かけて滴下した後、(12)スチレン18部、(13)アクリロニトリル15部、(14)アクリル酸2−エチルへキシル16部、(16)アクリル酸1部、(17)イオン交換水20部、(18)アクアロンKH−10 1部、(19)ハイテノールNF−08 0.3部を予め混合した二段目単量体プレ乳化液を2時間かけて滴下した。また重合開始剤としては(20)イオン交換水20部に(21)過硫酸アンモニウム1部を溶解したものを、一段目単量体プレ乳化液と同時に滴下を開始し5時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間熟成した後、冷却し、(22)アンモニア水2部を添加して水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体の不揮発分は41.7%、粘度は55mPa・s、pHは8.5であった。
製造例3(実施例3用)
製造例2で用いた二段目使用の単量体のうち(12)スチレン18部、(14)アクリル酸2−エチルへキシル16部を、(12)スチレン23部、(14)アクリル酸2−エチルへキシル11部に変更した以外は、製造例2と同様の操作で水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体の不揮発分は41.5%、粘度は40mPa・s、pHは8.5であった。
製造例4(実施例4用)
製造例2で用いた二段目使用の単量体のうち(12)スチレン18部、(14)アクリル酸2−エチルへキシル16部を、(12)スチレン27部、(14)アクリル酸2−エチルへキシル7部に変更した以外は、製造例2と同様の操作で水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体の不揮発分は41.5%、粘度は37mPa・s、pHは8.5であった。
製造例5(比較例1用)
製造例1で用いた単量体(5)アクリロニトリル35部を、(7)メタクリル酸メチル35部に変更した以外は、製造例1と同様の操作で水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体の不揮発分は41.4%、粘度は30mPa・s、pHは8.5であった。
製造例6(比較例2用)
製造例2で用いた二段目使用の単量体のうち(12)スチレン18部、(13)アクリロニトリル15部、(14)アクリル酸2−エチルへキシル16部を、(12)スチレン23部、(14)アクリル酸2−エチルヘキシル11部、(15)メタクリル酸メチル15部に変更した以外は、製造例2と同様の操作で水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体の不揮発分は41.3%、粘度は39mPa・s、pHは8.5であった。
製造例7(比較例3用)
製造例1で用いた単量体(4)スチレン45部、(5)アクリロニトリル35部、(6)アクリル酸2−エチルヘキシル18部を、(4)スチレン5部、(5)アクリロニトリル8部、(6)アクリル酸2−エチルヘキシル62部、(7)メタクリル酸メチル23部に変更した以外は、製造例1と同様の操作で水性樹脂分散体を得た。得られた水性樹脂分散体の不揮発分は41.5%、粘度は90mPa・s、pHは8.5であった。
表1に本発明および比較例用の水性樹脂分散体の製造例の原料使用量および分析値を示した。
Figure 0005219773
(塗料の作製方法)
イオン交換水12部に、ナトロゾール250MR( 増粘剤、ヒドロキシエチルセルロース ハーキュレス株式会社製)0.1部、25%アンモニア水0.05部、ノプコスパース44C(分散剤、ポリカルボン酸ナトリウム サンノプコ株式会社製)0.1部、SNデフォーマー1316( 消泡剤、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤とシリコーン系化合物の混合物、サンノプコ株式会社製)0.05部を仕込み、攪拌混合した。次いで、攪拌しながらスーパーSS(体質顔料、重質炭酸カルシウム、丸尾カルシウム株式会社製)22部を少量ずつ加えてプレミックスを作製した。これをビーズ分散法により顔料の粒径が15μm以下になるまで細分化して、これをミルベースとした。
各製造例で得られた水性樹脂分散体50部に、攪拌しながらブチルセロソルブ3.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテル3.6部を仕込んだ。次いで、ノプコートPEM−17(離型剤、酸化型ポリエチレンの乳化物、サンノプコ株式会社製)0.3部、SNシックナー623N( 増粘剤、変性ウレタンポリマー、高沸点アルコール系溶剤、水等の混合物、サンノプコ株式会社製)8部、SNデフォーマー1316 0.1部、サーフィノ―ル104(表面調整剤、アセチレンジオール化合物、エアープロダクツ株式会社製)0.1部を仕込み、攪拌して均一に混合した。ここに、上記ミルベース34.3部を仕込み、均一に攪拌したものを塗料とした。
表2に塗料(実施例1〜4、比較例1〜3)の原料使用量および塗料性状、性能試験結果を示した。
Figure 0005219773
(試験板の作成)
実施例1〜4、比較例1〜3の塗料を、予め30℃にプレヒートしたスレート板(JIS A 5430に規定のスレート板))にスポンジロールコーター(ビュルクル社製D−7290)を使用して塗布量が片面75g/mとなる様に塗装し、80℃で10分強制乾燥し室温まで放冷したものを試験板とした。
(耐透水性)
試験板の塗膜上に10cm×10cmの金枠を設置し、塗膜と金枠の外周の間をシーリング剤で防水処理を施した。ここに、200gの水を入れ室温で24時間放置した後に水を廃棄し、試験前(水を入れる前)と後(水を廃棄して余分な水分を拭いた直後)の重量差を測定した。この重量差を下記の評価基準で評価した。
◎ : 0〜200g/m未満
○ : 200g/m以上400g/m未満
△ : 400g/m以上500g/m未満
× : 500g/m以上
(耐ブロッキング性)
試験板の塗面と塗面を合わせそこに10kg/cmの圧力を掛けて、60℃雰囲気下で5時間放置した。試験後、試験体を室温まで放冷し、その時の塗面と塗面の固着具合で耐ブロッキング性を下記の評価基準で評価した。
◎ : 全く固着なし
○ : 固着は僅かで、手で容易に引き離すことができる
△ : 固着があり、手で引き離すことができるが、塗膜に跡が残る
× : 固着が強く、手で引き離すことができない
(密着性)
試験板上に、カッターナイフで4mm間隔に5×5マス目の碁盤目状の切れ目を入れ、セロハンテープで圧着剥離し塗膜の残存状態を観察した。
◎ : 剥離したマス目がないもの
○ : 剥離したマス目が1つのもの
△ : 剥離したマス目が2つのもの
× : 剥離したマス目が3つ以上のもの
本発明の水性樹脂分散体は1液型であり、多孔質の無機系基材、特に住宅建築に使用されるセメントスラグ板、木片セメント板、パルプ繊維セメント板、軽量気泡コンクリート板、珪酸カルシウム板等の無機系建材の塗料用途に好適に使用され、基材への浸透性、付着性、基材に対する補強効果において、従来技術にない優れた性能を発揮させることができる。また乾燥性にも優れ、建材の積み上げ時、特に夏場の高温多湿時においても、優れた耐ブロッキング性を発揮する。

Claims (3)

  1. α、β−エチレン性不飽和単量体量を乳化重合して得られる、多孔質の無機系基材用塗料に供せられる水性樹脂分散体であり、該α、β−エチレン性不飽和単量体量全体の中で、(1)アクリロニトリルが10〜40重量%、(2)単独重合体のTgが50℃以上である、アクリロニトリル以外のα、β−エチレン性不飽和単量体が30〜80重量%、かつ残りの部分は(3)その他のα、β−エチレン性不飽和単量体が共重合されてなり、そのTgが44〜76℃であることを特徴とする水性樹脂分散体。
  2. 請求項1に記載の水性樹脂分散体が、α、β−エチレン性不飽和単量体量を二段階に分割使用し、かつそれぞれの単量体を乳化重合して得られる水性樹脂分散体であり、一段目に続く二段目の重合反応において、一段目および二段目に使用する全アクリロニトリルのうち、少なくとも80重量%以上を二段目に使用することを特徴とする請求項1に記載の水性樹脂分散体。
  3. 請求項1あるいは請求項2に記載の水性樹脂分散体を必須成分とする、多孔質の無機系基材に塗装される塗料。
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