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JP5292745B2 - グラビア印刷用版胴 - Google Patents

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Description

本発明は、ウエブにインキを転写することにより印刷を行うグラビア印刷用版胴に関する。
グラビア印刷は、種々の用途に用いられ、通常の印刷物に加え、建材に対する印刷方法としても用いられている。グラビア印刷では、版胴の表面に、絵柄の印刷のための画線領域を形成している。この画線領域には、セルと呼ばれる微少な凹部が形成されており、このセルに充填されたインキをウエブに転写することで、ウエブに印刷を行う。最近では、印刷の質を改善するため、種々の提案がなされており、例えば、特許文献1では、絵柄の印刷に貢献しない非画線領域に微少なセルを形成し、カスレを防止することが開示されている。
特開2005−153201号公報
ところで、従来のグラビア印刷では、ウエブが版胴と圧胴との間に進入する前に、何らかの原因で歪みが生じると、これが改善されないまま進入した場合、その歪みがシワとして印刷されるという問題があった。特に、このシワは、ウエブの両端付近で生じることが多く、その理由は、次のように考えられている。すなわち、上記のように、版胴の版面には、セルが形成された画線領域と、形成されていない非画線領域があるが、印刷時には、セルにインキが充填されるため、画線領域と非画線領域とでは、これに接触するウエブの滑り性が相違する。このため、ウエブに生じた歪みは、版胴と圧胴との間で押圧された際に、非画線領域上で滑らないために、歪みが逃がされなくなり、結果としてシワが生じると考えられている。このようなシワは、図6に示すように、ウエブの上流側では、直線状に生じるが、下流にいくにしたがって軸方向に広がるように形成されるため、印刷の質を著しく低下させることとなっていた。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ウエブ上に生じた歪みがシワとして印刷されるのを防止することができるグラビア印刷用版胴を提供することを目的とする。
本発明は、圧胴との間に配置されたウエブに、インキを転写することで印刷を行うグラビア印刷用版胴であって、上記問題を解決するためになされたものであり、版面上に形成された画線領域及び非画線領域と、版面上の前記画線領域の軸方向両端と接する位置に、周方向に沿って形成された微小セル領域と、を備えており、前記微小セル領域は、周方向に沿って、前記画線領域の両端の全長に亘って接触する長さ、又はこれを超える長さに形成されており、前記微小セル領域内に、有効圧胴領域の両端が位置するように構成され、前記画線領域には、セルが形成されており、前記非画線領域には、セルが形成されておらず、前記微小セル領域には、インキがウエブに転移しない大きさの複数の微小セルが形成されている。
この構成によれば、画線領域の両端と接し、且つ有効圧胴領域の両端が位置する領域に、複数の微少セルが形成されている。このような微少セルを形成すると、インキが充填されたときに、画線領域と同様の滑り性を付与することができる。したがって、ウエブの両端付近に歪みが生じたとしても、ウエブは、その両端の領域において、画線領域と同様にすべるため、発生した歪みは逃がされ、シワになるのを防止することができる。その結果、ウエブにシワが印刷されるという質の低下を確実に防止することができる。なお、有効圧胴領域とは、版胴に対し、ウエブを介して圧胴による押圧力が作用する領域であり、通常は、圧胴の軸方向の長さをいう。
このような微少セルは、充填されたインキがウエブに転移しない必要があり、例えば、開口幅が40μm以下とすることが好ましく、30μm以下であることがさらに好ましい。この開口幅は、セルの開口のうち、最も大きい部分の長さを示しており、例えば、微少セルが楕円であれば長径、長方形であれば長辺を指す。一方、画線領域と同様の滑り性を付与するという観点からは、開口幅が、10μmを超えることが好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。このとき、隣接する微小セル間の長さが、20μm以上であることが好ましい。すなわち、最も近い位置にあるセル同士の間隔が20μm以上であることが好ましい。一方、離れすぎると、滑り性が低下するため、この間隔は、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。
本発明に係るグラビア印刷用版胴によれば、ウエブ上に生じた歪みがシワとして印刷されるのを防止することができる。
以下、本発明に係るグラビア印刷用版胴を用いたグラビア印刷方法の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係るグラビア印刷方法の概略構成図を示す斜視図であり、図2は版胴、圧胴、及びウエブの平面図である。
図1に示すように、グラビア印刷では、円筒状の版胴1と圧胴2との間に、印刷対象となるウエブ3を進入させ、版胴1の版面にあるインキをウエブに転写することで、印刷を行う方法である。版胴1と圧胴2とは、回転軸11、21が互いに平行となるように配置されている。そして、圧胴2が、版胴1を所定の圧力で押圧するように構成され、この圧力によって、インキがウエブに転写される。
図2に示すように、本実施形態では、圧胴2、ウエブ3、版胴1の順に軸方向の長さが大きくなっており、版胴1の直径が圧胴2よりも大きくなっている。版胴1の表面には、矩形状の画線領域12が形成されており、その軸方向長さは、圧胴2よりも小さくなっている。この画線領域12には、印刷される絵柄に対応する複数の凹部、つまりセルが形成されており、印刷時には、このセルに充填されたインキがウエブに転写される。また、画線領域12の軸方向の両端には、複数の微少セルが配置された微少セル領域13が形成されている。この微少セル領域13は画線領域12の両端部から軸方向の外方へ延び、圧胴2の両端よりもさらに外方に延びている。微少セル領域13の周方向の長さは、画線領域と同じである。また、版面において、画線領域12、及び微少セル領域13以外の領域は、セルは形成されておらず、非印画領域14を構成する。
ここでいう、微少セル131とは、微少な凹部であり、充填されたインキがウエブ3に転移しないような大きさである。その開口形状は、特には、限定されず、円形、矩形、楕円、多角形状など種々の形状にすることができる。また、その大きさは、最も大きい開口幅aが、10〜40μmであることが好ましく、20〜30μmであることがさらに好ましい。例えば、図3に示すように、円形であれば直径、正方形であれば一の辺の長さが開口幅となる。さらに、複数の微少セル131の配置も特には限定されないが、図4に示すように、最も隣接する微少セル131同士の間隔Sが20〜250μmであることが好ましく、20〜200μmであることがさらに好ましい。このような微少セル131は、画線領域のセルと同様に、彫刻、エッチング等、公知の種々の方法で形成することができる。
次に、上記のような版胴を用いたグラビア印刷方法について説明する。グラビア印刷は、ウエブ上に複数の色を重ねることでカラー印刷を行うのであるが、ここでは、一色の印刷について説明する。まず、版胴1をインキ溜め(図示省略)に浸し、画線領域12のセル及び微少セル領域13の微少セル131にインキを充填する。次に、ドクターブレード(図示省略)によって、版面上のインキを掻き取り、セル及び微少セル内にのみインキが充填されるようにする。これに続いて、版胴1と圧胴2との間にウエブ3を進入させ、圧胴2による押圧で、画線領域12のセル内のインキをウエブ3上に転写する。その後、インキを乾燥させつつ、他の色を順次転写することで、カラーのグラビア印刷が完成する。
以上のように、本実施形態によれば、画線領域12の両端と接し、且つ圧胴2の両端が位置する領域に、複数の微少セル131が形成されている。このような微少セル131を形成すると、インキが充填されたときに、画線領域12と同様の滑り性を付与することができる。したがって、ウエブ3の両端付近に歪みが生じたとしても、ウエブ3は、その両端の領域において、画線領域12と同様にすべるため、発生した歪みは逃がされ、シワになるのを防止することができる。その結果、ウエブ3にシワが印刷されるという質の低下を確実に防止することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、図5(a)に示すように、微少セル領域は、周方向に、画線領域の長さを超えて形成されていてもよいし、或いは図5(b)に示すように、画線領域の端部から版胴の端部までの全体に亘って形成されていてもよい。すなわち、圧胴による圧力によってウエブへのインキの転写を行っている領域、つまり有効圧胴領域の端部が微少セル領域内にあればよい。
次に、本発明の実施例について説明する。但し、本発明配下の実施例には限定されない。
以下では、16種類の版胴を用いて、上述したグラビア印刷を行った。使用する圧胴、ウエブ、及び版胴の大きさは、以下の通りである。ここでは、微少セル領域が形成されている15種類の版胴と、微少セル領域が形成されていない1種類の版胴を準備した。微少セル領域が形成されている版胴として、図2に示すような、画線領域の両端に、その径方向長さと同じ長さの微少セル領域が形成された版胴を用いた。そして、各版胴における微少セル領域自体の大きさ、形状は、同じであるが、形成されている微少セルが相違している。
(1)圧胴:直径140mm,長さ990mm
(2)ウエブ:幅1000mm
(3)版胴:直径320mm,長さ1100mm
・画線領域:軸方向長さ960mm、径方向長さ200mm
・微少セル領域:軸方向長さ30mm、径方向長さ200mm
(4)インキ 溶剤タイプ墨インキ
Figure 0005292745
上記のような版胴を用い、ウエブの搬送速度を、200m/s、圧胴による圧力を、1.5kg/cmとして、グラビア印刷を行った。その後、印刷が施されたウエブにおけるシワの有無、及び微少セル領域に対応する領域におけるインキの転移の有無を確認した。結果は、以下の通りである。
Figure 0005292745
以上の結果より、微少セル領域を設けることで、シワの発生が防止できていることが分かる。また、各微少セルの開口幅が40μm以下で、且つセル間隔を20μm以上にすると、ウエブへのインキの転移がないことが分かった
本発明に係るグラビア印刷用版胴を用いたグラビア印刷の一実施形態の概略構成を示す斜視図である。 図1で使用する版胴、圧胴、及びウエブの平面図である。 図1の版胴の微少セルの例を示す平面図である。 図1の版胴の微少セルの例を示す平面図である。 図1の版胴の他の例を示す平面図である。 従来のウエブに生じるシワの様子を示す平面図である。
符号の説明
1 版胴
12 画線領域
13 微少セル領域
131 微少セル
2 圧胴
3 ウエブ

Claims (2)

  1. 圧胴との間に配置されたウエブに、インキを転写することで印刷を行うグラビア印刷用版胴であって、
    版面上に形成された画線領域及び非画線領域と、
    版面上の前記画線領域の軸方向両端と接する位置に、周方向に沿って形成された微小セル領域と、を備えており、
    前記微小セル領域は、周方向に沿って、前記画線領域の両端の全長に亘って接触する長さ、又はこれを超える長さに形成されており、
    前記微小セル領域内に、有効圧胴領域の両端が位置するように構成され、
    前記画線領域には、セルが形成されており、
    前記非画線領域には、セルが形成されておらず、
    前記微小セル領域には、インキがウエブに転移しない大きさの複数の微小セルが形成されている、グラビア印刷用版胴。
  2. 前記各微小セルは、開口幅が40μm以下であり、且つ隣接する前記微小セル間の長さが、20μm以上である、請求項1に記載のグラビア印刷用版胴。
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