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JP5287835B2 - 半導体装置 - Google Patents

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Description

本発明は、トレンチゲート構造を有する絶縁ゲート型の半導体装置に関する。
従来より、N型のドリフト層の上にP型のベース層が形成され、このベース層を貫通してドリフト層に達すると共にベース層を複数に分離したトレンチが複数形成された素子領域を有する絶縁ゲート型半導体装置が、例えば特許文献1で提案されている。
この素子領域では、複数に分離されたベース層の一部に、当該ベース層内においてトレンチの側面に接するようにエミッタ領域が形成されている。そして、トレンチによって複数に分離されたベース層のうち、エミッタ領域が形成されたものがチャネル部として機能すると共に、エミッタ領域が形成されていないものがフローティング部として機能し、チャネル部とフローティング部とが一定の配置順で繰り返し配置されている。
そして、一般的に、複数のトレンチが設けられた素子領域の外周部にフローティング部よりも拡散深さが深いP型拡散層(いわゆるPwell)が設けられている。このP型拡散層がトレンチの長手方向のうち最もP型拡散層側の終端部に近づけられることにより、当該トレンチの終端部における電界集中が緩和されるようになっている。
特開2001−308327号公報
しかしながら、上記従来の技術では、フローティング部のフローティングを保つために、フローティング部を形成するトレンチの終端部と素子外周のP型拡散層との間隔を離す必要がある。このため、トレンチの長手方向のうち最もP型拡散層側の終端部に電界が集中してしまい、素子耐圧が低下してしまうという問題がある。
本発明は上記点に鑑み、素子耐圧を低下させずに素子外周のP型拡散層に対してフローティング部のフローティングを保持できる半導体装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、第1導電型の半導体基板(20)と、半導体基板(20)の表面に形成された第2導電型のドリフト層(21)と、ドリフト層(21)の上に形成された第1導電型のベース層(22)と、ベース層(22)を貫通してドリフト層(21)に達するように形成されることによりベース層(22)を複数に分離し、一方向を長手方向として延設された環状のゲートトレンチ(23)と、を備えている。
また、複数に分離されたベース層(22)の一部に形成され、当該ベース層(22)内においてゲートトレンチ(23)の側面に接するように形成された第2導電型のエミッタ領域(25)と、ゲートトレンチ(23)の表面に形成されたゲート絶縁膜(26)と、ゲートトレンチ(23)内において、ゲート絶縁膜(26)の上に形成されたゲート電極(27)と、を備えている。
また、ベース層(22)のうちゲートトレンチ(23)が形成された領域(10)の外周に、ベース層(22)よりも深く形成された第1導電型の外周ウェル領域(29)と、エミッタ領域(25)に電気的に接続されたエミッタ電極(33)と、半導体基板(20)の裏面側に形成されたコレクタ電極(34)と、を備えている。
さらに、ベース層(22)は、ゲートトレンチ(23)によって複数に分離され、複数のベース層(22)のうち、エミッタ領域(25)が形成されたものがチャネル層(24)として機能すると共に、エミッタ領域(25)が形成されていないものがフロート層(28)として機能し、チャネル層(24)とフロート層(28)とが一定の配置順で繰り返し配置されている。
そして、ゲートトレンチ(23)の長手方向において、ゲートトレンチ(23)のうち最も外周ウェル領域(29)側のゲートトレンチ終端部(23a)よりも外周ウェル領域(29)側に位置すると共に、ゲートトレンチ(23)と分離された環状であり、外周ウェル領域(29)のうち最もゲートトレンチ(23)側の外周ウェル終端部(29a)が環状に囲まれた範囲内に位置するバッファートレンチ(30)を備え、ゲートトレンチ(23)は複数形成されており、バッファートレンチ(30)は、ゲートトレンチ(23)毎に設けられていることを特徴とする。
これによると、ゲートトレンチ(23)の長手方向においてバッファートレンチ(30)のうち外周ウェル領域(29)側の部分は、外周ウェル領域(29)に位置するので、バッファートレンチ(30)の当該部分の電界集中が無くなる。したがって、耐圧低下を防止することができる。
また、外周ウェル領域(29)の外周ウェル終端部(29a)はバッファートレンチ(30)で囲まれた範囲内に位置しているので、外周ウェル領域(29)とフロート層(28)とが交差することなく離れている。したがって、外周ウェル領域(29)とフロート層(28)との絶縁性を保持でき、フロート層(28)のフローティングを維持することができる。
請求項2に記載の発明では、フロート層(28)は、ゲートトレンチ(23)の深さ方向にフロート層(28)をゲートトレンチ(23)の開口側の第1の層(28b)とゲートトレンチ(23)の底部側の第2の層(28c)とに分割する第2導電型のホールストッパー層(28a)を備え、エミッタ電極(33)は、エミッタ領域(25)と第1の層(28b)との両方に電気的に接続されていることを特徴とする。
これによると、フロート層(28)の一部である第1の層(28b)がエミッタ電極(33)に接続されるため、フロート層(28)を介してエミッタ電極(33)にホールが流れる。しかしながら、第1導電型のフロート層(28)に第2導電型のホールストッパー層(28a)を備えているので、ホールストッパー層(28a)が電位の壁となって機能する。このため、フロート層(28)に流れるホールの流れを抑制してドリフト層(21)におけるホールの蓄積効果を高めることができ、ひいてはIGBTのオン電圧を低減することができる。
請求項3に記載の発明では、ゲートトレンチ(23)の長手方向に直交する方向における外周ウェル領域(29)の外周ウェル終端部(29b)は、ゲートトレンチ(23)の長手方向に直交する方向において最も外周ウェル領域(29)側に位置する環状のゲートトレンチ(23)によって囲まれたフロート層(28)の範囲内に位置していることを特徴とする。
これによると、ゲートトレンチ(23)の長手方向に直交する方向において最も端に位置するゲートトレンチ(23)が外周ウェル領域(29)内に位置するので、当該ゲートトレンチ(23)の電界集中が無くなる。したがって、ゲートトレンチ(23)が形成された領域(10)の外周全体で耐圧低下を防止することができる。
請求項に記載の発明では、バッファートレンチ(30)のうち最もゲートトレンチ終端部(23a)側のバッファートレンチ終端部(30a)およびゲートトレンチ終端部(23a)において、ゲートトレンチ(23)の長手方向に延びる部分とこの長手方向に直交する方向に延びる部分とで構成された角部(23b、30b)がそれぞれR形状になっていることを特徴とする。
これによると、バッファートレンチ終端部(30a)およびゲートトレンチ終端部(23a)の各角部(23b、30b)に電界が集中しにくくなるので、各角部(23b、30b)における電界集中を緩和することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 外周ウェル終端部とゲートトレンチ終端部との間隔とIGBT素子の耐圧との関係を示した図である。 本発明の第2実施形態に係る半導体チップの一部平面図である。 本発明の第3実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図である。 図6のC−C断面図である。 本発明の第4実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部断面図である。 (a)は本発明の第5実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図であり、(b)は(a)のD−D断面図である。 (a)は本発明の第6実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図であり、(b)は(a)のE−E断面図である。 (a)は本発明の第7実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図であり、(b)は(a)のF−F断面図である。 本発明の第8実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図である。 本発明の第9実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。また、以下の各実施形態で示されるP型、P+型は本発明の第1導電型に対応し、N型、N+型は本発明の第2導電型に対応し、ている。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態で示される絶縁ゲート型半導体装置は、例えば、インバータ、DC/DCコンバータ等の電源回路に使用されるパワースイッチング素子として用いられるものである。
図1は、本実施形態に係る絶縁ゲート型の半導体装置としての半導体チップの一部平面図である。図1では、半導体チップの角部を示している。また、図2は図1のA−A断面図であり、図3は図1のB−B断面図である。
図1に示されるように、半導体チップはセルエリア10を備えている。セルエリア10は、IGBT素子が形成された領域である。図2に示されるように、IGBT素子は、P型の半導体基板20に形成されている。この半導体基板20の主表面上には、エピタキシャル成長等により半導体基板20よりも低不純物濃度となるように形成されたN型のドリフト層21が備えられている。また、ドリフト層21の上には、所定厚さのP型のベース層22が形成されている。
さらに、ベース層22を貫通して半導体基板20まで達するように複数個のゲートトレンチ23が形成されている。このゲートトレンチ23によってベース層22が複数個に分離されている。そして、ゲートトレンチ23は、ベース層22の表面の面方向のうち一方向を長手方向とし、この長手方向に平行に延設されている。ゲートトレンチ23は例えば複数個等間隔に平行に形成されており、図1に示されるように、各ゲートトレンチ23の先端部が引き回されることで環状構造とされている。
そして、隣接するゲートトレンチ23同士の間に配置されているベース層22(すなわち、環状のゲートトレンチ23に囲まれていないベース層22)は、チャネル領域を構成するP型のチャネル層24である。このチャネル層24の表層部に、N+型のエミッタ領域25が形成されている。N+型のエミッタ領域25は、N型のドリフト層21よりも高不純物濃度で構成され、ベース層22内において終端しており、かつ、ゲートトレンチ23の側面に接するように形成されている。
より詳しくは、エミッタ領域25は、ゲートトレンチ23間の領域において、ゲートトレンチ23の長手方向に沿ってゲートトレンチ23の側面に接するように棒状に延設され、ゲートトレンチ23の先端よりも内側で終端した構造とされている。ゲートトレンチ23間に形成されたチャネル層24の深さ(つまりベース層22の深さ)は例えば4μmである。また、ゲートトレンチ23の深さは例えば5μmであり、各ゲートトレンチ23の長手方向に延びる部分の間隔は例えば5μmである。
各ゲートトレンチ23内は、各ゲートトレンチ23の内壁表面を覆うように形成されたゲート絶縁膜26と、このゲート絶縁膜26の上に形成されたポリシリコン等により構成されるゲート電極27とにより埋め込まれている。これにより、トレンチゲート構造が構成されている。本実施形態では、ゲート絶縁膜26はエミッタ領域25の一部を覆うように形成されている。ゲート電極27は、ゲートトレンチ23の長手方向に沿って形成され、図示しないゲートパッドに接続されている。
また、環状構造を構成するゲートトレンチ23に囲まれたベース層22、すなわちエミッタ領域25が形成されていないベース層22がフロート層28である。
このように、ベース層22はゲートトレンチ23により分割され、複数のベース層22のうち、エミッタ領域25が形成されたものがチャネル層24として機能すると共に、エミッタ領域25が形成されていないものがフロート層28として機能する。そして、複数に分割されたベース層22に交互にエミッタ領域25が形成されることで、チャネル層24とフロート層28とが一定の配置順で繰り返し配置される。したがって、セルエリア10には、IGBT素子とダミー素子とが交互に配置されている。このため、本実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置は、間引き型のIGBT素子であると言える。
一方、セルエリア10の外周には、図3に示されるように、ベース層22およびゲートトレンチ23よりも深いP型の外周ウェル領域29が形成されている。この外周ウェル領域29の深さは例えば8μmである。
また、図1に示されるように、ゲートトレンチ23の長手方向において、ゲートトレンチ23のうち最も外周ウェル領域29側のゲートトレンチ終端部23aよりも外周ウェル領域29側に、ゲートトレンチ23と分離された環状のバッファートレンチ30が形成されている。本実施形態では、バッファートレンチ30は、複数のゲートトレンチ23毎に設けられている。
このバッファートレンチ30には、図3に示されるように、ゲートトレンチ23と同様に、ゲート絶縁膜26およびダミーのゲート電極27が形成されている。なお、ゲート絶縁膜26はバッファートレンチ30で囲まれた領域の上や外周ウェル領域29の上にも形成されている。
そして、外周ウェル領域29の終端がバッファートレンチ30のうち外周ウェル領域29側の外周部を完全に包んでいる。この場合、外周ウェル領域29はゲートトレンチ23まで到達しないように形成されている。言い換えると、バッファートレンチ30が形成された領域については、外周ウェル領域29のうち最もゲートトレンチ23側の外周ウェル終端部29aが環状のバッファートレンチ30に囲まれた範囲内に位置している。これにより、外周ウェル領域29とフロート層28とは交差せず離れているので、フロート層28の絶縁性を保持できる。また、このような外周ウェル終端部29aの位置は、イオン注入の際に用いるマスクの位置によって調節することができる。
なお、2つのバッファートレンチ30の間における外周ウェル終端部29aの位置についても、ゲートトレンチ23の長手方向において環状のバッファートレンチ30に囲まれた範囲内に位置している。また、図1では、ゲートトレンチ23の長手方向の一方のみが示されているが、ゲートトレンチ23の長手方向の他方にもバッファートレンチ30が設けられ、上記と同様に外周ウェル終端部29aの位置が規定されている。
フロート層28を構成するゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aからバッファートレンチ30までの間隔は例えば4μmである。電界緩和効果を保持し電界集中を防ぐためにはこの間隔は4μm程度が適当である。
また、環状のゲートトレンチ23と環状のバッファートレンチ30とが向かい合う各引き回し部分の角部はR形状になっている。具体的には、ゲートトレンチ終端部23aにおいて、ゲートトレンチ23の長手方向に延びる部分とこの長手方向に直交する方向に延びる部分とで構成された角部23bがR形状になっている。同様に、バッファートレンチ30のうち最もゲートトレンチ終端部23a側のバッファートレンチ終端部30aにおいて、バッファートレンチ30(ゲートトレンチ23)の長手方向に延びる部分とこの長手方向に直交する方向に延びる部分とで構成された角部30bがR形状になっている。これら角部23b、30bは、例えば1μm以上のR形状であることが好ましい。
このように、各トレンチ23、30の各角部23b、30bがR形状になっていることで、各角部23b、30bに電界が集中しにくくなる。このため、各角部23b、30bにおける電界集中を緩和できる。
上記構成において、さらに、ゲート絶縁膜26およびゲート絶縁膜26から露出するゲート電極27の上にはBPSG等の層間絶縁膜31が形成されている。ゲート絶縁膜26および層間絶縁膜31にはコンタクトホール32が形成されており、コンタクトホール32からエミッタ領域25の一部およびチャネル層24の一部が露出している。
そして、層間絶縁膜31の上にエミッタ電極33が形成されると共にコンタクトホール32を通じてエミッタ電極33がエミッタ領域25の一部およびチャネル層24の一部に電気的に接続されている。このエミッタ電極33は、例えばセルエリア10に形成されている。また、半導体基板20の裏面側にコレクタ電極34が形成されている。以上が、本実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置の構成である。
次に、上記の絶縁ゲート型半導体装置の製造方法について説明する。まず、P型のウェハを用意し、ウェハの表面にN型のベース層22をエピタキシャル成長させる。また、セルエリア10の外周にイオン注入および熱拡散を行うことで外周ウェル領域29を形成する。この場合、外周ウェル領域29の外周ウェル終端部29aが、ゲートトレンチ23の長手方向において後の工程で形成するバッファートレンチ30で囲まれた範囲内に位置するように、マスクを用いてイオン注入および熱拡散を行う。
そして、ウェハのうち各セルエリア10にベース層22を貫通してドリフト層21に達するゲートトレンチ23を形成する。また、ゲートトレンチ23を形成する工程で、ゲートトレンチ23の長手方向において、ゲートトレンチ23の隣に、ゲートトレンチ23と分離された環状のバッファートレンチ30も形成する。
この後、ゲートトレンチ23およびバッファートレンチ30の各内壁表面を酸素雰囲気中で熱酸化させてゲート絶縁膜26を形成し、ゲート絶縁膜26の上にCVD法等でゲート電極27としてポリシリコンを形成する。続いて、ゲート絶縁膜26上の不要なポリシリコンを除去し、ゲート絶縁膜26の上にゲート電極27を覆うように層間絶縁膜31をCVD法等で形成する。そして、フォトリソグラフィ・エッチング工程によりゲート絶縁膜26および層間絶縁膜31にコンタクトホール32を形成し、このコンタクトホール32を埋めるようにAl等のエミッタ電極33をCVD法等で形成する。なお、エミッタ電極33の形成と同時に、ゲートパッド等も形成する。
また、ウェハの裏面側を研削・研磨し、ウェハの裏面にAl等のコレクタ電極34を形成し、ウェハを個々にダイシングカットする。こうして、本実施形態に係る半導体チップが完成する。
以上説明したように、本実施形態では、ゲートトレンチ23の長手方向において、ゲートトレンチ23の隣に配置されると共にゲートトレンチ23と分離された環状であり、外周ウェル領域29の外周ウェル終端部29aが環状に囲まれた範囲内に位置するバッファートレンチ30を備えたことが特徴となっている。
このように、外周ウェル領域29の端部である外周ウェル終端部29aは、ゲートトレンチ23の長手方向においてバッファートレンチ30で囲まれた範囲内に位置しているので、外周ウェル領域29とフロート層28とが交差することなくこれらが離れた構造となっている。したがって、外周ウェル領域29とフロート層28との絶縁性を保持でき、フロート層28のフローティングを維持することができる。
このため、フロート層28の下部のドリフト層21にホールが溜まり、ドリフト層21のホールおよび電子の濃度が上昇していわゆる導電率変調が促進されるので、ドリフト層21の抵抗が下がる。したがってIGBT素子のオン電圧を下げることができる。
また、ゲートトレンチ23の長手方向においてバッファートレンチ30のうちゲートトレンチ23側とは反対側の部分は外周ウェル領域29内に位置するので、バッファートレンチ30の当該部分の電界集中が外周ウェル領域29により緩和される。したがって、IGBT素子の耐圧低下を防止することができる。
発明者らは、バッファートレンチ30が形成されていない従来の構造と、バッファートレンチ30が形成された本発明の構造との耐圧をそれぞれ調べた。その結果を図4に示す。図4の横軸は、外周ウェル領域29の外周ウェル終端部29aとゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aとの間隔である。また、図4の縦軸は、IGBT素子の耐圧である。
なお、半導体チップ(ドリフト層21)の比抵抗が55Ω・mであり、半導体基板20、ドリフト層21、およびベース層22の各厚さの合計に相当するチップ厚が125μmの半導体チップを用いた。また、耐圧測定は室温で行った。
図4に示されるように、従来の構造では、バッファートレンチ30が設けられていないので、外周ウェル終端部29aとゲートトレンチ終端部23aとの間隔が、5μm未満というように非常に狭い間隔で1450V程度の耐圧が得られている。しかし、外周ウェル終端部29aとゲートトレンチ終端部23aとの間隔が5μmを超えると、IGBT素子の耐圧は急激に下がってしまう。これは、ゲートトレンチ終端部23aに電界が集中してしまうからである。
一方、本発明の構造はバッファートレンチ30が設けられ、外周ウェル終端部29aがバッファートレンチ30で囲まれた領域に位置している。すなわち、バッファートレンチ30のうちゲートトレンチ終端部23a側とは反対側は外周ウェル領域29内に位置しているので、コレクタ電極34に電圧が印加されたときに電界集中が緩和される。その結果、図4に示されるように、外周ウェル終端部29aとゲートトレンチ終端部23aとの間隔が5μmを超えて30μmに達しても、1450V以上の耐圧を維持できている。本発明の構造では、ゲートトレンチ終端部23aおよびバッファートレンチ終端部30a共に、トレンチエッジ部での電界緩和構造がとられているために、図4に示されように従来の構造のように耐圧低下がない。
以上のように、バッファートレンチ30を備えた構造により、フロート層28を構成するゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aから外周ウェル領域29を離したままで電界緩和が可能になるため、フロート層28のフローティングを維持したまま高耐圧を維持できる。
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、セルエリア10が特許請求の範囲の「ゲートトレンチが形成された領域」に対応する。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図5は、本実施形態に係る絶縁ゲート型の半導体装置としての半導体チップの一部平面図である。この図に示されるように、バッファートレンチ30は、所定数のゲートトレンチ23毎に設けられている。本実施形態では、例えば3つのゲートトレンチ23に対して1つのバッファートレンチ30が設けられている。このように、バッファートレンチ30が所定数のゲートトレンチ23に対して共通化されていても良い。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、ゲートトレンチ23の長手方向にバッファートレンチ30を設けると共に、外周ウェル領域29の外周ウェル終端部29aの位置を規定したが、本実施形態ではゲートトレンチ23の長手方向に垂直な方向における外周ウェル領域29の終端部の位置を規定したことが特徴となっている。
図6は本実施形態に係る絶縁ゲート型の半導体装置としての半導体チップの一部平面図であり、図7は図6のC−C断面図である。
上述のように、外周ウェル領域29は、セルエリア10の外周に設けられているが、図6および図7に示されるように、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向における外周ウェル領域29の外周ウェル終端部29bは、当該直交方向において最も外周ウェル領域29側に位置する環状のゲートトレンチ23によって囲まれたフロート層28の範囲内に位置している。
これにより、当該直交方向において最も端に位置するゲートトレンチ23が外周ウェル領域29内に位置するので、当該ゲートトレンチ23の電界集中を緩和することができる。このように、ゲートトレンチ23の長手方向だけでなく、この長手方向に直交する方向でも電界集中を緩和できるので、セルエリア10の外周全体で電界集中を緩和できる。したがって、耐圧低下を確実に防止することができる。
なお、図6では、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向の一方のみが示されているが、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向の他方における外周ウェル終端部29bも上記と同様にフロート層28の範囲内に位置している。
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。図8は、本実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの断面図である。この図は、図1のB−B断面に相当する図である。
図8に示されるように、ベース層22のうちのフロート層28にはN型のホールストッパー層28aが形成されている。このホールストッパー層28aは、ベース層22とエミッタ電極33との界面を基準としたゲートトレンチ23の深さ方向に当該フロート層28をゲートトレンチ23の開口側の第1の層28bとゲートトレンチ23の底部側の第2の層28cとに分割している。このホールストッパー層28aにより、第1の層28bと第2の層28cとは電位的に完全に分離されている。
ホールストッパー層28aはベース層22のうちフロート層28のみに形成され、ベース層22のうちチャネル層24には形成されていない。すなわち、ホールストッパー層28aは、IGBTセルには無く、チャネル領域が形成されないダミー素子のみに存在している。
また、ホールストッパー層28aは、ゲートトレンチ23の深さ方向においてはフロート層28の表面側に位置している。この場合、ゲートトレンチ23の深さの半分よりもフロート層28の表面側に位置することが好ましく、例えば、ゲートトレンチ23の深さを5μm程度とすると、フロート層28の表面から0.8μmの深さに0.3μmの厚さのホールストッパー層28aが位置している。
上記のホールストッパー層28aは、マスクを用いたイオン注入と熱処理により形成することができる。例えば、500keV程度、ドーズ量として1×1012〜1×1013/cmでドーパントであるP(リン)をイオン注入し、900℃以上の熱処理で活性化させる。或いは、P(リン)をインプラ、熱処理した後、B(ボロン)をインプラ、熱処理する。このようにして、フロート層28にホールストッパー層28aを形成する。上記の条件によりホールストッパー層28aを形成すると、ホールストッパー層28aの面密度は例えば1×1012/cm程度となる。
また、エミッタ電極33は、チャネル層24(エミッタ領域25)とフロート層28の第1の層28bとの両方に電気的に接続されている。つまり、第1の層28bがエミッタ電極33に接地されている。
このように、第1の層28bがエミッタ電極33に電気的に接続されるので、フロート層28はエミッタ電位(GND)に固定される。これにより、IGBT素子のスイッチの切り替え時にフロート層28に大量に溜まっていた電荷がエミッタ電極33に吐き出される。このため、コレクタ電極34からフロート層28を介してゲート電極27に到達する経路に形成される帰還容量の中に溜まる電荷はほとんど無くなる。したがって、スイッチの切り替え時に放電する電荷がほとんど無いので、スイッチング時間を短縮でき、ひいてはスイッチング損失を低減することができる。
また、P型のフロート層28に設けられたN型のホールストッパー層28aが電位の壁となって機能するので、フロート層28の一部である第1の層28bがエミッタ電極33に接地されたことによりドリフト層21からフロート層28を介してエミッタ電極33にホールが抜けてしまうことを抑制することができる。このため、ドリフト層21を流れるホールがエミッタ電極33にはき出されにくくなり、ドリフト層21のホールおよび電子の濃度が上昇していわゆる導電率変調が促進されるので、ドリフト層21の抵抗が下がる。したがってIGBT素子のオン電圧を下げることができる。
そして、上述のように、バッファートレンチ30を設けているので、P型の外周ウェル領域29に対してフロート層28のフローティングを維持したまま高耐圧を維持しつつ、IGBT素子のオン電圧を下げることができる。
なお、バッファートレンチ30が設けられていない従来の構造では、フロート層28にホールストッパー層28aを形成した後、フロート層28よりも深い外周ウェル領域29を形成することとなる。この場合、ゲートトレンチ23の長手方向においてフロート層28の終端部と外周ウェル領域29の終端部とを重ねて形成することになるため、濃い外周ウェル領域29によってフロート層28のホールストッパー層28aが消滅してしまう。しかし、本実施形態のように、バッファートレンチ30が設けられていることで、外周ウェル領域29の終端部をフロート層28に重ねて形成する必要がない。したがって、バッファートレンチ30によって外周ウェル領域29に対するフロート層28のフローティングを確実に保持しつつ、IGBT素子のオン電圧を低減した構造を実現することができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。図9(a)は本実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図であり、図9(b)は図9(a)のD−D断面図である。
図9(a)に示されるように、本実施形態では、バッファートレンチ30の全体およびゲートトレンチ23の長手方向の端部を覆うように、セルエリア10の外縁部および外周部に配線部35が形成されている。また、配線部35は、図9(b)に示されるように、ゲート絶縁膜26の上に形成されている。
そして、配線部35は、ゲートトレンチ23内に形成されたゲート電極27と、バッファートレンチ30内に形成された電極すなわちダミーのゲート電極27と、の両方に接続されている。このように、バッファートレンチ30内の電極はゲート接地されている。
以上のように、バッファートレンチ30内の電極をゲート接地しても良い。もちろん、本実施形態のようにバッファートレンチ30内の電極をゲート接地した構造において、第4実施形態のようにフロート層28にホールストッパー層28aを設けても良い。
(第6実施形態)
本実施形態では、第5実施形態と異なる部分について説明する。図10(a)は本実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図であり、図10(b)は図10(a)のE−E断面図である。
図10(a)に示されるように、本実施形態では、バッファートレンチ30の全体を覆うように、セルエリア10の外周部に配線部35が形成されている。また、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向に、ゲートトレンチ23の長手方向の端部をそれぞれ覆うように配線部36が形成されている。
また、図10(b)に示されるように、配線部35および配線部36はゲート絶縁膜26の上に形成され、それぞれがゲート絶縁膜26および層間絶縁膜31によって絶縁されている。
配線部35はバッファートレンチ30内に形成された電極すなわちダミーのゲート電極27に接続されている。さらに、配線部35の上に形成された層間絶縁膜31の一部が開口して配線部35が露出している。そして、この開口部にエミッタ電極33が形成されることで、配線部35とエミッタ電極33とが接続されている。これにより、バッファートレンチ30内の電極はエミッタ接地されている。
一方、配線部36は、ゲートトレンチ23内に形成されたゲート電極27に接続されることでゲート接地されている。
以上のように、バッファートレンチ30内の電極をエミッタ接地しても良い。もちろん、本実施形態のようにバッファートレンチ30内の電極をエミッタ接地した構造において、第4実施形態のようにフロート層28にホールストッパー層28aを設けても良い。
(第7実施形態)
本実施形態では、第5、第6実施形態と異なる部分について説明する。図11(a)は本実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図であり、図11(b)は図11(a)のF−F断面図である。
図11(a)に示されるように、第6実施形態と同様に、バッファートレンチ30の全体を覆うように、セルエリア10の外周部に配線部35が形成されている。また、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向に、ゲートトレンチ23の長手方向の端部をそれぞれ覆うように配線部36が形成されている。
また、図11(b)に示されるように、配線部35および配線部36はゲート絶縁膜26の上に形成され、それぞれがゲート絶縁膜26および層間絶縁膜31によって絶縁されている。配線部35はバッファートレンチ30内に形成された電極すなわちダミーのゲート電極27に接続され、配線部36はゲートトレンチ23内に形成されたゲート電極27に接続されることでゲート接地されている。
そして、本実施形態では、配線部35はゲート、エミッタ、コレクタのいずれにも接続されていない。すなわち、バッファートレンチ30内の電極はフロートとされている。
以上のように、バッファートレンチ30内の電極をフロートとしても良い。もちろん、本実施形態のようにバッファートレンチ30内の電極をフロートとした構造において、第4実施形態のようにフロート層28にホールストッパー層28aを設けても良い。
(第8実施形態)
本実施形態では、第1〜第7実施形態と異なる部分について説明する。図12は、本実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図である。この図に示されるように、半導体装置においてセルエリア10の外周部のうちゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向におけるデッドスペースにもゲートトレンチ23と分離された環状のバッファートレンチ30が設けられている。
例えば、上述の第3実施形態では、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向において最も外周ウェル領域29側のゲートトレンチ23をバッファートレンチ30として機能させていたが、本実施形態では積極的にバッファートレンチ30を設けている。すなわち、図12に示されるように、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向において最も外側のゲートトレンチ23の隣に、ゲートトレンチ23の長手方向に沿って環状のバッファートレンチ30が複数設けられている。
また、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向における外周ウェル領域29の外周ウェル終端部29bは、ゲートトレンチ23の長手方向に沿って配置された環状の各バッファートレンチ30に囲まれた範囲内に位置している。これにより、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向においても、外周ウェル領域29とフロート層28とが交差することなく、外周ウェル領域29とフロート層28との絶縁性を保持でき、フロート層28のフローティングを維持することができる。
なお、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向において最も外側のゲートトレンチ23の隣に設けられたバッファートレンチ30の角部は、第1実施形態と同様に、R形状になっていても良い。また、第8実施形態に示された構造に対し、第4〜第7実施形態で示されたいずれかの構造を適宜組み合わせても良い。
(第9実施形態)
本実施形態では、第1〜第8実施形態と異なる部分について説明する。図13は、本実施形態に係る絶縁ゲート型半導体装置としての半導体チップの一部平面図である。
上記各実施形態では、各ゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aの位置は、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向で揃っていた。このため、バッファートレンチ30のうち最もゲートトレンチ終端部23a側のバッファートレンチ終端部30aの位置も、ゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向で揃っていた。これにより、隣同士のゲートトレンチ23とこれらのゲートトレンチ23に対応した各バッファートレンチ30において、一方のゲートトレンチ23に対応したバッファートレンチ30のバッファートレンチ終端部30aの角部30bと他方のゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aの角部23bとの間に寸法の長い箇所が形成されていた。
そこで、本実施形態では、図13に示されるように、隣同士のゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aの位置がゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向で異なっている。具体的には、一つのゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aの位置が、この一つのゲートトレンチ23の隣に位置するゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aの位置よりもセルエリアの内側に位置しており、ゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aの位置がセルエリア10の内側に位置するゲートトレンチ23とそうでないゲートトレンチ23とが交互に配置されている。
また、各ゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aの位置に限らず、ゲートトレンチ23と当該ゲートトレンチ23に対応するバッファートレンチ30との間隔はそれぞれ一定に保たれている。本実施形態では、図13に示されるように、一つのゲートトレンチ23と隣のゲートトレンチ23に対応したバッファートレンチ30とがゲートトレンチ23の長手方向に直交する方向においてオーバーラップするように、ゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aの位置が一つおきにずらされている。
以上により、上記した一方のゲートトレンチ23に対応したバッファートレンチ30のバッファートレンチ終端部30aの角部30bと他方のゲートトレンチ23のゲートトレンチ終端部23aの角部23bとの間の寸法に対して、一つのゲートトレンチ23に対応したバッファートレンチ30のバッファートレンチ終端部30aの角部30bから隣のバッファートレンチ30までの寸法を短くすることができる。また、一つのゲートトレンチ23に対応したバッファートレンチ30のバッファートレンチ終端部30aの角部30bと隣のバッファートレンチ30との間の寸法を一定に保つことができる。したがって、局所的な耐圧低下を防止することができる。
(他の実施形態)
上記各実施形態で説明したIGBT素子の構造は一例であり、他の構造でも良い。例えば、チャネル層24にP型のコンタクト領域が設けられていても良い。
上記各実施形態では、ゲートトレンチ23の長手方向にバッファートレンチ30を設けていたが、このバッファートレンチ30のさらに外側に別個のバッファートレンチ30を設けても良い。この場合、外周ウェル終端部29aは最もゲートトレンチ23に近いバッファートレンチ30で囲まれた領域の範囲内に位置することとなる。
10 セルエリア
23 ゲートトレンチ
23a ゲートトレンチ終端部
23b ゲートトレンチの角部
24 チャネル層
28 フロート層
28a ホールストッパー層
28b 第1の層
28c 第2の層
29 外周ウェル領域
29a 外周ウェル終端部
29b 外周ウェル終端部
30 バッファートレンチ
30a バッファートレンチ終端部
30b バッファートレンチの角部

Claims (4)

  1. 第1導電型の半導体基板(20)と、
    前記半導体基板(20)の表面に形成された第2導電型のドリフト層(21)と、
    前記ドリフト層(21)の上に形成された第1導電型のベース層(22)と、
    前記ベース層(22)を貫通して前記ドリフト層(21)に達するように形成されることにより前記ベース層(22)を複数に分離し、一方向を長手方向として延設された環状のゲートトレンチ(23)と、
    複数に分離された前記ベース層(22)の一部に形成され、当該ベース層(22)内において前記ゲートトレンチ(23)の側面に接するように形成された第2導電型のエミッタ領域(25)と、
    前記ゲートトレンチ(23)の表面に形成されたゲート絶縁膜(26)と、
    前記ゲートトレンチ(23)内において、前記ゲート絶縁膜(26)の上に形成されたゲート電極(27)と、
    前記ベース層(22)のうち前記ゲートトレンチ(23)が形成された領域(10)の外周に、前記ベース層(22)よりも深く形成された第1導電型の外周ウェル領域(29)と、
    前記エミッタ領域(25)に電気的に接続されたエミッタ電極(33)と、
    前記半導体基板(20)の裏面側に形成されたコレクタ電極(34)と、を備え、
    前記ベース層(22)は、前記ゲートトレンチ(23)によって複数に分離され、前記複数のベース層(22)のうち、前記エミッタ領域(25)が形成されたものがチャネル層(24)として機能すると共に、前記エミッタ領域(25)が形成されていないものがフロート層(28)として機能し、前記チャネル層(24)と前記フロート層(28)とが一定の配置順で繰り返し配置された絶縁ゲート型の半導体装置であって、
    前記ゲートトレンチ(23)の長手方向において、前記ゲートトレンチ(23)のうち最も前記外周ウェル領域(29)側のゲートトレンチ終端部(23a)よりも前記外周ウェル領域(29)側に位置すると共に、前記ゲートトレンチ(23)と分離された環状であり、前記外周ウェル領域(29)のうち最も前記ゲートトレンチ(23)側の外周ウェル終端部(29a)が前記環状に囲まれた範囲内に位置するバッファートレンチ(30)を備え
    前記ゲートトレンチ(23)は複数形成されており、
    前記バッファートレンチ(30)は、前記ゲートトレンチ(23)毎に設けられていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記フロート層(28)は、前記ゲートトレンチ(23)の深さ方向に前記フロート層(28)を前記ゲートトレンチ(23)の開口側の第1の層(28b)と前記ゲートトレンチ(23)の底部側の第2の層(28c)とに分割する第2導電型のホールストッパー層(28a)を備え、
    前記エミッタ電極(33)は、前記エミッタ領域(25)と前記第1の層(28b)との両方に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記ゲートトレンチ(23)の長手方向に直交する方向における前記外周ウェル領域(29)の外周ウェル終端部(29b)は、前記ゲートトレンチ(23)の長手方向に直交する方向において最も前記外周ウェル領域(29)側に位置する環状のゲートトレンチ(23)によって囲まれたフロート層(28)の範囲内に位置していることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記バッファートレンチ(30)のうち最も前記ゲートトレンチ終端部(23a)側のバッファートレンチ終端部(30a)および前記ゲートトレンチ終端部(23a)において、前記ゲートトレンチ(23)の長手方向に延びる部分とこの長手方向に直交する方向に延びる部分とで構成された角部(23b、30b)がそれぞれR形状になっていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1つに記載の半導体装置。
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