Nothing Special   »   [go: up one dir, main page]

JP5278569B2 - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機 Download PDF

Info

Publication number
JP5278569B2
JP5278569B2 JP2012031367A JP2012031367A JP5278569B2 JP 5278569 B2 JP5278569 B2 JP 5278569B2 JP 2012031367 A JP2012031367 A JP 2012031367A JP 2012031367 A JP2012031367 A JP 2012031367A JP 5278569 B2 JP5278569 B2 JP 5278569B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lubricating oil
pivot
supply member
oil supply
trunnion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012031367A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012122617A (ja
Inventor
俊郎 豊田
大樹 西井
祐二 下村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2012031367A priority Critical patent/JP5278569B2/ja
Publication of JP2012122617A publication Critical patent/JP2012122617A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5278569B2 publication Critical patent/JP5278569B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Friction Gearing (AREA)
  • General Details Of Gearings (AREA)

Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図16および図17に示すように構成されている。図16に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁(中間壁)13に対しアンギュラ玉軸受107を介して支持されるとともに、この仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図17参照)が回転自在に挟持されている。
図16中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図16の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図16のA−A線に沿う断面図である図17に示すように、ケーシング50の内側であって、出力側ディスク3,3の側方位置には、両ディスク3,3を両側から挟む状態で一対のヨーク23A,23Bが支持されている。これら一対のヨーク23A,23Bは、鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。そして、後述するトラニオン15の両端部に設けられた枢軸14を揺動自在に支持するため、ヨーク23A,23Bの四隅には、円形の支持孔18が設けられるとともに、ヨーク23A,23Bの幅方向の中央部には、円形の係止孔19が設けられている。
一対のヨーク23A,23Bは、ケーシング50の内面の互いに対向する部分に形成された支持ポスト64,68により、支持ポスト64,68を支点として揺動できるように支持されている。これらの支持ポスト64,68はそれぞれ、入力側ディスク2の内側面2aと出力側ディスク3の内側面3aとの間にある第1キャビティ221および第2キャビティ222にそれぞれ対向する状態で設けられている。
したがって、ヨーク23A,23Bは、各支持ポスト64,68に支持された状態で、その一端部が第1キャビティ221の外周部分に対向するとともに、その他端部が第2キャビティ222の外周部分に対向している。
第1および第2のキャビティ221,222は同一構造であるため、以下、第1キャビティ221のみについて説明する。
図17に示すように、ケーシング50の内側において、第1キャビティ221には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸(傾転軸)14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図17においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、その本体部である支持板部16の長手方向(図17の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15は、パワーローラ11を収容するための凹状の収容空間であるポケット部Pを形成している。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には支軸としての変位軸23の基端部(第1の軸部)23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部(第2の軸部)23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、前述したように、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図17の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。前述したように、各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受(傾転軸受)30を介して揺動自在(傾転自在)に支持されている。また、前述したように、ヨーク23A,23Bの幅方向(図17の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、支持ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図17で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉26,26と、これら各玉26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図17の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(枢軸14から延びる軸部)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、駆動軸22の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2および入力軸1に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位(オフセット)する。例えば、図17の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面(トラクション面)11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、上記構成のトロイダル型無段変速機において、パワーローラ11およびその軸受部であるスラスト玉軸受24への潤滑油の供給に関しては従来から様々な形態(方法)のものが提案されている。例えば、特許文献1においては、各トラニオン15,15の背面(外側面)側に沿って、すなわち、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成されている側と反対側の支持板部16の部位に沿って管状の潤滑油供給部材を配置し、図示しない油圧ポンプから駆動ロッド29の油路を通じて送られてくる潤滑油を前記潤滑油供給部材を介して供給するとともに、潤滑油供給部材からの潤滑油をトラニオン15に形成された油穴を介してスラスト玉軸受24へ供給するようにしている。
また、特許文献2では、外輪28と一体の変位軸23の先端部23bに、パワーローラ11のトラクション面11aに向けて開口するパイプを取り付け、駆動ロッド29の中心に軸方向に沿って設けられた油路29a(図17参照)から供給される潤滑油をトラニオン15の長手方向に沿って形成された油路および変位軸23の軸方向に沿って形成された油路を通じて前記パイプへと送り、当該パイプの先端からトラクション面11aに対して潤滑油を供給するようにしている。
特開2005−249141号公報 特開2001−330100号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2のいずれの構造においても、パワーローラ11の軸受部であるスラスト玉軸受24へ潤滑油を供給するために、トラニオン15の支持板部16に潤滑油の油路を形成する必要がある。すなわち、トラニオン15の支持板部16に穴を穿設しなければならない。そのため、トラニオン15の強度が低下してしまう。一方、この強度低下を防ぐためにトラニオン15を肉厚に形成することも考えられるが、その場合にはトラニオン15の重量が大きくなり、トラニオン15の搭載性が悪くなる虞がある。また、強度が低下した状態でトラニオン15に負荷がかかると、トラニオン15の変形が大きくなり、駆動効率が低下したり、変速制御の安定性が損なわれるといった事態も招きかねない。
また、特許文献1および特許文献2の構造では、トラニオン15の支持板部16に長い油穴や斜めの油穴を形成しなければならず、そのため、加工コストも嵩んでしまう。また、油穴の加工時にバリが発生するため、これを除去するための手間もかかる。バリを完全に除去しきれない場合には、バリが油穴を介してパワーローラ11のトラクション面11aやスラスト玉軸受24に達してこれらを損傷させてしまう虞もある。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、トラニオンの強度を損なうことなく低コストで安全にパワーローラの軸受部であるスラスト玉軸受へ潤滑油を供給することができるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸を中心に傾転するとともに、前記各パワーローラを軸受を介して回転自在に支持する複数のトラニオンと、前記各トラニオンの前記各枢軸をそれぞれ傾転自在且つ軸方向に変位自在に支持するとともに、前記トラニオンの変位により揺動する一対のヨークと、を備えるトロイダル型無段変速機において、
前記枢軸の端部側からヨークを越えて、前記トラニオンに対してパワーローラを回転自在とする前記軸受に潤滑油を供給する潤滑油供給部材を備え、
前記枢軸には、前記枢軸を傾転自在かつ揺動自在にヨークに接続する傾転軸受が設けれ、前記ヨークには、前記傾転軸受が挿入されて支持される支持孔が形成され
前記枢軸の傾転軸受が取り付けられる傾転軸受取付部の前記枢軸の中心部分からパワーローラの先端側に、前記潤滑油供給部材を通す切欠部を設け、前記潤滑油供給部材が前記ヨークの前記支持孔を通ることを特徴とする。
この請求項1に記載の発明においては、枢軸の端部側からヨークを越えて、前記トラニオンに対してパワーローラを回転自在とする前記軸受に潤滑油を供給する潤滑油供給部材を備える際に、支持孔内に配置された枢軸の傾転軸受取付部の切欠部に潤滑油供給部材を配置することで、潤滑油供給部材をヨークの支持孔の部分でヨークを貫通させることができる。
ここで、上述のようにパワーローラ側から傾転軸受を介してヨークに力がかかることになるが、力はパワーローラの先端から後端に向かう方向にかかり、枢軸および傾転軸受のパワーローラの先端側を向く部分には、大きな力が作用せず、切欠部を設けたことの影響を最低限度とすることができる。
また、枢軸の切欠部を設けた部分において、傾転軸受はその内側にバックアップとなる部材が存在しないことになるが、この場合もこの部分に大きな力作用しないので、問題が生じることがない。
また、トラニオンにパワーローラを回転自在に支持させる軸受部分に潤滑油を供給する際に、パワーローラのトラニオンの反対側となる前面側から供給しても良いし、逆にトラニオンのパワーローラの反対となる背面側から供給してもよい。すなわち、潤滑油供給部材をパワーローラの前面側に配置しても良いし、トラニオンの背面側に配置してもよい。
また、請求項2に記載されたトロイダル型無段変速機は、請求項1に記載の発明において、前記切欠部が設けられた傾転軸受取付部の外周に円筒体を介して前記傾転軸受が取り付けられていることを特徴とする。
この請求項2に記載の発明においては、傾転軸受において、傾転軸受と枢軸との間に軸受を構成するにニードル等の転動部材を配置すると、切欠部で転動部材が回転不可となるので、この部分に円筒体を設けることで、ニードル等の転動部材が円滑に回転できるようになる。
また、請求項3に記載されたトロイダル型無段変速機は、請求項1または請求項2に記載の発明において、前記一対の枢軸のうちの一方の枢軸に前記トラニオンを前記枢軸の軸方向に駆動する駆動手段が接続され、
前記一対の枢軸のうちの他方の枢軸の前記傾転軸受取付部に前記切欠部が形成され、前記切欠部に前記潤滑油供給部材が配置されるとともに、前記潤滑油供給部材の潤滑油を受ける一端側が前記枢軸の中心から当該枢軸の軸方向に沿って延出して配置されていることを特徴とする。
この請求項3に記載の発明においては、トラニオンを枢軸の軸方向に駆動する駆動手段が接続された側の枢軸ではなく、駆動手段が接続されていない枢軸に潤滑油供給部材が配置されるので、潤滑油供給部材への潤滑油の供給にトラニオンの枢軸の駆動手段に接続される駆動ロッド(トラニオンシャフト)側から油を供給する場合よりも簡単な構造とすることができる。
例えば、枢軸の中心を通るように潤滑油供給部材を配置し、そのままケーシング等に0リング等の回転可能なシールを介して接続し、ケーシング側から油を供給する構成とすることができる。
本発明によれば、トラニオンの強度を損なうことなく低コストで安全にパワーローラの軸受へ潤滑油を供給することができる。
本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機をパワーローラの小端面側から見た要部平面図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の図2に対応する断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機をパワーローラの小端面側から見た要部平面図である。 本発明の第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 本発明の第1から第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機のヨークを説明するためのヨークを含むトロイダル型無段変速機の要部斜視図である。 本発明の第1から第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機のヨークを説明するためのヨークを含むトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 本発明の第1から第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の別の例となるヨークを示す平面図である。 本発明の第5の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 本発明の第5の実施形態に係るトロイダル型無段変速機のトラニオンの要部斜視図である。 本発明の第6の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部斜視図である。 本発明の第6の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部断面図である。 本発明の第6の実施形態に係るトロイダル型無段変速機の要部平面図である。 従来から知られているトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図16のA−A線に沿う断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明の特徴は、パワーローラおよびその軸受に対する潤滑油の供給形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図16および図17と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1および図2は本発明の第1の実施形態を示している。本実施形態においては、駆動ロッド29側からトラニオン15の枢軸14へと供給される潤滑油を受ける管状の潤滑油供給部材200が、パワーローラ11に対してトラニオン15と反対側に配置されて延在している。この場合、潤滑油供給部材200の一端200aは、駆動ロッド29側から潤滑油を受ける枢軸14の油路に接続されている。また、潤滑油供給部材200の他端200bは、パワーローラ11に対向して開口している。特に本実施形態において、潤滑油供給部材200の他端200bは、パワーローラ11の小端面側から突出する変位軸(支軸)23の先端部23bの端面と対向している。
パワーローラ11の小端面側から突出する変位軸23の先端部23b中には、潤滑油供給部材200の他端200bから供給される潤滑油をスラスト玉軸受(軸受部)24へと流す油路が形成されている。この油路は、変位軸23の先端部23bの中心軸に沿って延び且つ潤滑油供給部材200の他端200bから潤滑油を受ける第1の油路210と、変位軸23の先端部23bの中心軸に対して略垂直に延びるとともにスラスト玉軸受24へと達する第2の油路220とから成る。
変速機の駆動時にパワーローラ11は図1に矢印で示されるX方向に傾転するが、どの傾転位置であっても潤滑油供給部材200からの潤滑油を第1の油路210の開口へと確実に供給できるように且つ潤滑油供給部材200と第1の油路210とが干渉しないように、第1の油路210の内径Dは潤滑油供給部材200の外径dよりも大きく設定されている。すなわち、パワーローラ11の傾転が損なわれないように潤滑油供給部材200と第1の油路210との間の隙間の寸法が設定されている。
したがって、このような構成において、図示しない油圧ポンプにより駆動ロッド29側からトラニオン15の枢軸14へと供給される潤滑油は、図2に矢印で示されるように、潤滑油供給部材200の一端200aから潤滑油供給部材200内に流入し、潤滑油供給部材200を通じて流れるとともに、潤滑油供給部材200の他端200bから変位軸23の第1の油路210および第2の油路220を通ってスラスト玉軸受24へと供給される。
以上説明したように、本実施形態によれば、トラニオン15の枢軸14へと供給される潤滑油を、潤滑油供給部材200を通じて直接にパワーローラ11およびそのスラスト玉軸受24へ供給することができるため、潤滑油の効率的な供給および潤滑油による効率的な冷却を行なうことができるとともに、トラニオン15に油路を形成する必要がないため、トラニオン15の強度を低下させないで済む。また、このようにトラニオン15に油路を形成しなければ、加工コストをその分だけ削減できるとともに、バリも発生しないため、バリによるパワーローラ11およびスラスト玉軸受24の損傷も防止できる。また、本実施形態において、潤滑油供給部材200は、トラニオン15の背面側に沿って、すなわち、パワーローラ11が配置されている側と反対側のトラニオン15の部位に沿って配置されておらず、パワーローラ11に対してトラニオン15と反対側に配置されて延在しているため、トラニオン15の最大回転半径R(枢軸の中心からトラニオン15の外側端面までの最大距離・・・図2参照)を小さくすることができ、トロイダル型無段変速機を小型化することができる。また、潤滑油供給部材200をパワーローラ11に対してトラニオン15と反対側に配置することにより、組立時にパワーローラ11がトラニオン15から外れることを潤滑油供給部材200によって防止することも可能になる。
なお、本実施形態において、潤滑油供給部材200は、パワーローラ11に対してその下側から潤滑油を供給しているが、パワーローラ11の上側から潤滑油を供給しても良い。
図3は本発明の第2の実施形態を示している。本実施形態では、変位軸23の先端部23bがパワーローラ11の小端部から突出しておらず、袋状を成したパワーローラ11の内側で変位軸23の先端部23bが終端している。そのため、第1の実施形態と同様の配置構成を成す潤滑油供給部材200の他端200bの開口と対向するパワーローラ11の部位には油穴11bが設けられるとともに、この油穴11bをスラスト玉軸受24へ連通させるための油路を形成する隙間240がパワーローラ11と変位軸23の先端部23bとの間に確保されている。なお、それ以外の構成は第1の実施形態と同一である。
したがって、本実施形態において、トラニオン15の枢軸14へと供給される潤滑油は、図3に矢印で示されるように、潤滑油供給部材200、油穴11b、隙間240を通じてスラスト玉軸受24へと供給される。そのため、第1の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、潤滑油供給部材200からの潤滑油を短い経路により効率的にスラスト玉軸受24へと供給できる。
図4および図5は本発明の第3の実施形態を示している。本実施形態では、潤滑油供給部材200の途中から2つの分岐管路200A,200Bが延びており、各分岐管路200A,200Bの先端(潤滑油供給部材200の他端)200Aa,200Baはパワーローラの周面(トラクション面)に向けて開口している。なお、それ以外の構成は第1の実施形態と同じである。
したがって、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、パワーローラ11のトラクション面11aに対する潤滑も行なうことができ、少ない部品点数で潤滑油供給の効率化を図ることが可能になる。なお、パワーローラ11のトラクション面11aに潤滑油を供給する方法としては、本構成のように分岐管路を設けることなく、トラクション面11aを横切る潤滑油供給部材200の部位(トラクション面11aと対向する潤滑油供給部材200の側壁)に穴を設け、この穴からトラクション面11aに向けて潤滑油が流れ出すようにしても良い。
図6は本発明の第4の実施形態を示している。本実施形態も、第2の実施形態と同様、変位軸23の先端部23bがパワーローラ11の小端部から突出しておらず、袋状を成したパワーローラ11の内側で変位軸23の先端部23bが終端している。そのため、第2の実施形態と同様、パワーローラ11の小端面部位に油穴11bが設けられるとともに、この油穴11bをスラスト玉軸受24へ連通させるための油路を形成する隙間240がパワーローラ11と変位軸23の先端部23bとの間に確保されている。また、本実施形態では、パワーローラ11を収容するためのトラニオン15のポケット部Pの開口を閉じるように枢軸14,14同士を接続する補強部材を兼ねる潤滑油供給部材300が設けられており、この潤滑油供給部材300中には、トラニオン15の枢軸14へと供給される潤滑油を油穴11bへと導く油路300aが形成されている。
したがって、このような構成において、トラニオン15の枢軸14へと供給される潤滑油は、潤滑油供給部材300の油路300a、油穴11b、隙間240を通じてスラスト玉軸受24へと供給される。そのため、第2の実施形態と同様の作用効果が得られるとともに、潤滑油供給部材300がトラニオン15の補強部材を兼ねているため、少ない部品点数で潤滑油の効率的な供給および補強を同時に達成することができる。
ここで、第1の実施形態から第3の実施形態において、図7および図8に示すように、駆動ロッド29が接続された枢軸14の傾転軸受(ラジアルニードル軸受30)取付部より端側からパワーローラ11側に向かって潤滑油供給部材200が配置されている場合に、潤滑油供給部材200は、下側のヨーク23Bを貫通する必要がある。
そこで、第1の実施形態の場合を例にとって説明すると、従来とほぼ同様のヨーク23Bに、潤滑油供給部材200を貫通させる貫通開口部201が設けられている。
この例では、貫通開口部201は、ヨーク23Bにおいて、トラニオン15の枢軸14の外周に設けられたラジアルニードル軸受30(傾転軸受)が揺動自在に嵌合する支持孔18と一体となるように支持孔18に連通して形成されている。
ここで、ヨーク23Bの支持孔18と、ラジアルニードル軸受30の外周面は、枢軸14を揺動自在に支持するための球面軸受を構成している。
そして、前記支持孔18と、ラジアルニードル軸受30とにより、トラニオン15の枢軸14を揺動自在、かつ、傾転自在に支持する支持部が構成される。
すなわち、各トラニオン15の各枢軸14をそれぞれ傾転自在且つ軸方向に変位自在に支持するとともに、トラニオン15の変位により揺動する一対のヨーク23A,23Bを備え、ヨーク23Bは、枢軸14を傾転自在かつ揺動自在に支持する支持部を備え、潤滑油供給部材200がヨーク23Bを貫通して配置されることになる。
そして、ヨーク23Bには、支持部の中心よりパワーローラ11の先端側となる部分で、かつ、トラニオン15の傾転により移動する潤滑油供給部材200の移動範囲が含まれる部分に、潤滑油供給部材200を貫通させる貫通開口部201が設けられている。
ここで、上述のように支持孔18に連通する貫通開口部201を形成した場合に、上述の球面軸受の凹となる球面の一部に欠落が生じることになるが、支持孔18において、球面軸受に作用する力は、パワーローラ11に入力側ディスク2および出力側ディスク3からかかる押付力であり、その方向は、パワーローラ11の先端側から後端側に向かうものとなる。従って、支持部(支持孔18)の中心よりパワーローラ11の先端側においては、球面軸受の支持孔18の凹となる球面に切欠部があっても実質的に枢軸14の揺動自在な支持に影響がない。
そこで、この例においては、円形の支持孔18に一部重なる状態で角を面取りされた状態の略長方形状の貫通開口部201が形成されているとともに、その貫通開口部201の位置が支持孔18の中心よりパワーローラ11の先端側となる。
なお、パワーローラ11は、トラニオン15とともに傾転するが傾転の角度範囲は、180度より小さなものとなっており、この例において、貫通開口部201は、パワーローラ11がいずれの傾転角度にあっても、支持孔18の中心よりパワーローラ11の先端側となっている。
より具体的には、中立位置のパワーローラ11の中心軸の延長線を中心として左右に潤滑油供給部材200の移動範囲より僅かに広い範囲で貫通開口部201が形成されている。また、支持孔18に対する貫通開口部201の位置は、ヨーク23B上において、外側ではなく内側となる。すなわち、一組の入力側ディスク2および出力側ディスク3に対して一対のトラニオン15およびパワーローラ11が配置されている場合に、ヨーク23Bに一対ずつの支持孔18,18が形成されるが、一対の支持孔18,18において一方の支持孔18の中心より他方の支持孔18側に貫通開口部201が形成される。
なお、ここで、ヨーク23Bのパワーローラ11に対する押付力がトラニオン15の枢軸14を介して負荷としてかかる部分を負荷圏と称し、前記負荷が直接かかることがない部分を非負荷圏と称する。そして、貫通開口部201は、この非負荷圏に形成されることになる。
また、ダブルキャビティ型においては、一対の支持孔18,18が2組配置されるが、各一対の支持孔18,18において、上述のように貫通開口部201が形成される。
また、貫通開口部201の左右幅は、傾転角度の範囲と、枢軸14の中心から潤滑油供給部材200までの距離に対応し、前記距離を半径とする傾転角度範囲の円弧より僅かに広い幅となる。
なお、貫通開口部201が形成されるヨーク23A,23Bは、下側のヨーク23Bに限定されるものではなく、潤滑油供給部材200が駆動ロッド29の無い上側の枢軸14側から潤滑油を供給する構成となっている場合には、上側のヨーク23Aに貫通開口部201が形成されることになる。
また、貫通開口部201は、必ずしも支持孔18,18と連通して一体に形成される必要はなく、図9に示すように、支持孔18から離間した位置に支持孔18に対して独立して貫通開口部202を形成するものとしてもよい。貫通開口部202は、貫通開口部201と同様に、潤滑油供給部材200が挿通されてヨーク23B(もしくはヨーク23A)を貫通するものである。
貫通開口部202は、傾転するトラニオンに対応して移動する潤滑油供給部材200の移動軌跡に対応して、枢軸14の中心を中心とする円弧状に形成されている。
以上のヨーク23Bにおける貫通開口部201,202は、第1の実施の形態だけではなく、第2および第3の実施の形態にも適用される。
そして、上述のように潤滑油供給部材200をヨーク23Bを貫通して配置することで、潤滑油供給部材200の取り回しが極めて簡素化され、ヨーク23Bの周囲に潤滑油供給部材200を取り回す空間を確保する必要もなく、ヨーク23Bの周囲を省スペース化することができる。
また、上述の第1から第3の実施形態において、潤滑油供給部材200は、トラニオン15の枢軸14に取り付けられた傾転軸受(ラジアルニードル軸受30)の外側を通ってヨーク23Bを貫通する構成となるが、図10〜図12に示す第5の実施形態では、枢軸14のラジアルニードル軸受30が取り付けられる傾転軸受取付部141に潤滑油供給部材203を通す切欠部204を設け、潤滑油供給部材203をラジアルニードル軸受30の内側を通す構成とすることで、潤滑油供給部材203をヨーク23Aの支持孔18を通すようにしている。
前記切欠部204は、枢軸14のラジアルニードル軸受30(傾転軸受)が取り付けられる傾転軸受取付部141の枢軸14の中心部分もしくはその近傍からパワーローラ11の先端側に設けられている。なお、切欠部204は、枢軸14の中心部分(中心およびその周囲)を含んでいても含んでいなくても良いが、この例では、中心部分を含み、後述のように潤滑油供給部材203の一端側を枢軸14の端面において、枢軸14の中心から枢軸14の軸方向に沿って延出することができるようになっている。
より詳細には、切欠部204は、枢軸14の中心部からパワーローラ11の先端側に向く外周面に開放するように溝状に形成されている。さらに、切欠部204は、傾転軸受取付部141の幅より広い範囲で形成されており、枢軸14の端面側に開放した状態に形成されるとともに枢軸14から枢軸14が取り付けられる折れ曲がり壁部20の上部まで形成され、かつ、折れ曲がり壁部20の先端面で開放されている。また、溝状の切欠部204の幅は、管状の潤滑油供給部材203を挿入可能なように、潤滑油供給部材203の直径に僅かなクリアランス分を足した長さとなっている。また、溝状の切欠部204は、枢軸14の中心部に上述のように潤滑油供給部材203を配置できるように、管状の潤滑油供給部材203が挿入可能な空間が確保されている。
すなわち、切欠部204は、ラジアルニードル軸受30(傾転軸受)の上下幅の範囲より広い範囲で形成され、潤滑油供給部材203をラジアルニードル軸受30の上下幅の範囲において、完全にラジアルニードル軸受30の内側に配置されるようにしている。
そして、潤滑油供給部材203は、枢軸14の中心から挿入されて、傾転軸受となるラジアルニードル軸受30を超えて、トラニオン15の折れ曲がり壁部20に至るところで直角に方向転換するように湾曲する。そして、潤滑油供給部材203は、折れ曲がり壁部20の先端からパワーローラ11の先端面より僅かに先に突出し、再び、パワーローラ11の中心にむかうように直角に方向転換するように湾曲して形成され、パワーローラ11の先端面の中心にいたる。
そして、潤滑油供給部材203は、その先端部がパワーローラ11の回転軸方向に沿うように直角に方向転換するように湾曲し、前記第1の油路210に潤滑油を流出可能となっている。
また、上述のように枢軸14に切欠部204を設けた場合に、ラジアルニードル軸受30のニードル301が直接枢軸14の外周面を転動する構成となっていると、切欠部204の部分でニードル301が脱落したり転動不可の状態となったりするので、この例では、切欠部204が設けられた傾転軸受取付部141の外周に図示しない円筒体としてのカラーを介して前記傾転軸受としてのラジアルニードル軸受30が取り付けられている。
これにより、ニードル301が転動しない状態となるのを防止することができる。
なお、この例では、トラニオン15にできるだけ油路用の孔あけ加工をしないようにしており、枢軸14の潤滑油供給部材203を通す部分は、孔ではなく開放状態の切欠部204としている。そこで、ラジアルニードル軸受30は、枢軸14を内輪とするのではなく、円筒状のカラーを内輪とすることで、枢軸14に切欠部204を形成可能としている。
また、第1〜第3の実施形態では、潤滑油供給部材200が駆動ロッド29を有する下側の枢軸14からパワーローラ11に向かう構成となっていたが、この例では、駆動ロッド29が接続されていない上側の枢軸14に前記切欠部204が形成され、潤滑油供給部材203が配置されるようになっている。
すなわち、一対の枢軸14,14のうちの一方の枢軸14にトラニオン15を枢軸の軸方向に駆動する駆動手段としての駆動シリンダ31が駆動ロッド29を介して接続され、一対の枢軸14,14のうちの他方の枢軸14の傾転軸受取付部141に切欠部204が形成され、切欠部204に潤滑油供給部材203が配置されるとともに、潤滑油供給部材20の潤滑油を受ける一端側が枢軸14の中心に枢軸14の軸方向に沿って配置されている。
以上のことから、枢軸14に切欠部204を設けるものとしても、枢軸14の中心部よりパワーローラ11の先端側に切欠部204が配置されている。これにより、上述のパワーローラ11に作用する押付力の負荷が直接かからない部分(非負荷圏)に切欠部204がもうけられているので、切欠部204を設けることによる強度的な影響を最低限度のものとすることができる。また、ラジアルニードル軸受30の内周側で切欠部204の部分だけバックアップする構造がない状態となるが、ここも上述の負荷がかからない非負荷圏となり、ラジアルニードル軸受30が切欠部204で大きな負荷がかかるようなことがない。
そして、この構成により、潤滑油供給部材203をヨーク23Aの支持孔18の部分を通過させることができるので、ヨーク23Aに切欠部や開口部を設けなくても、潤滑油供給部材203がヨーク23Aを貫通することになり、潤滑油供給部材203をヨーク23Aを避けて配置する必要はなく、ヨーク23Aの外側の省スペース化を図ることができる。なお、潤滑油供給部材203の他端側は、第1の実施形態と同様に、パワーローラ11の先端面側から第1の油路210と第2の油路220を介してスラスト玉軸受24へ潤滑油を供給するようになっている。また、第2の実施の形態と同様の構成で、パワーローラ11の先端面側からスラスト玉軸受24に潤滑油を供給するようにしてもよい。
また、第3の実施の形態と同様に、潤滑油供給部材203にパワーローラ11のトラクション面11aに潤滑油を供給する分岐を設けてもよい。
また、駆動ロッド29が接続されていない側の枢軸14に切欠部204を設けて、潤滑油供給部材203を配置し、かつ、枢軸14の中心から枢軸14の軸方向に沿って潤滑油供給部材203の一端側が配置されているので、潤滑油供給部材203がトラニオン15の傾転に対応して回転しても、その位置が変わらないことになり、簡単に潤滑油を潤滑油供給部材203に供給できる構造とできる。
例えば、ケーシング50の部分に潤滑油供給部材203の一端部を挿入可能な孔を設け、孔の内周と潤滑油供給部材203との間に、回転可能にシール(例えばOリング)を施し、前記孔から潤滑油供給部材203に潤滑油を供給できる構造とできる。
図13〜図15は、本発明の第6の実施の形態を示すものであって、上述の第5の実施形態における構成において、潤滑油供給部材203の配管位置を変更したものである。
すなわち、第5の実施の形態においては、潤滑油供給部材203の潤滑油の吐出口側となる他端が、第1〜第3の実施の形態と同様にパワーローラ11の先端面側に配置されているが、第6の実施の形態においては、枢軸14の端部側からヨーク23A(23B)を超えてパワーローラ11のスラスト玉軸受24に潤滑油を供給する潤滑油供給部材205がトラニオン15のパワーローラ11の反対側となる背面からスラスト玉軸受24に潤滑油を供給する構成となっている。
その他の点については、第5の実施の形態と同様の構成を有するものであり、第5の実施形態と同様の構成要素には、同一の符号を付してその説明を省略する。
第5の実施の形態と同様に、潤滑油供給部材205は、その一端205a側から枢軸14の切欠部204を通って、ラジアルニードル軸受30の内部を通過してトラニオン15の折れ曲がり壁部20の先端面に突出している。ここで、潤滑油供給部材205は、パワーローラ11の先端面に向かわずに、トラニオン15の折れ曲がり壁部20の外周に沿って、折れ曲がり壁部20の周囲を半周して、トラニオン15のパワーローラ11の反対側となる背面の左右の中央至り、下側に直角に方向転換するように湾曲している。
そして、潤滑油供給部材205は、トラニオン15の背面に露出する変位軸23(基端部23a)の中心部に至り、ここで変位軸23の端面に向かうように湾曲して形成されている。
そして、変位軸23の基端部23aには、変位軸23(基端部23a)の端面に開口する第3の油路230が基端部23aの中心を通り基端部23aの軸方向に沿って配置されている。そして、潤滑油供給部材205の他端205bは、第3の油路230に挿入されている。
また、この例において、第1の油路211が上述の第1の油路210と異なり、変位軸23の先端部23bの中心より基端部23aの中心側にずれて配置されており、先端部23bから基端部23aの第3の油路230の外周部に接続して連通するように配置されている。また、第1の油路211の先端部23bの端面側の開口部は閉塞されている。
これにより、トラニオン15の背面側から潤滑油供給部材205に供給された潤滑油は、第3の油路230を通った後に第1の油路211と通り、さらに、第2の油路220を通ってスラスト玉軸受24に至るようになっている。
この構成により、トラニオン15の背面側から潤滑油の供給が可能となる。
また、潤滑油供給部材205をトラニオン15の前面側から背面側に配管するようにしたので、枢軸14の切欠部204の位置は、第5の実施の形態と同様となり、枢軸14および傾転軸受の負荷のかからない部分に形成することができる。
なお、この例では、トラニオン15の背面に変位軸23が露出している場合を例としたが、トラニオン15の背面に変位軸23が露出してないものや、変位軸23(基端部23a)を持たないトラニオン15の場合に、トラニオン15を背面からパワーローラ11側に貫通する油路を形成するものとしてもよい。この場合に、単にトラニオン15の厚み分だけの短い油穴を形成すればいいので、トラニオン15に油穴を形成するものとしても上述のような長い油穴を形成した際の問題が発生しずらい。
そして、第5および第6の実施の形態においても、トラニオン15に長い油穴を形成することの問題は解決されることになる。
また、第6の実施の形態においても、第3の実施の形態に示すように潤滑油供給部材205にパワーローラ11のトラクション面11aに潤滑油を供給する分岐を設ける構成としてもよい。
また、第5および第6の実施の形態においても、第1〜第3の実施の形態のように、駆動ロッド29が接続された枢軸14側から潤滑油供給部材205を配置するようにしてもよい。この場合に、駆動ロッド29が設けられた枢軸14に潤滑油供給部材205を通す切欠部204を形成することになる。そして、潤滑油供給部材205は、枢軸14から直接駆動ロッド29の内部に連通するようにしてもよいし、駆動ロッド29の外周側から駆動ロッド29の内部に連通するようにしてもよい。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機に適用することができる。
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
11 パワーローラ
11a 周面(トラクション面)
11b 油穴
14 枢軸
15 トラニオン
18 支持孔
23 変位軸(軸部)
23A ヨーク
23B ヨーク
24 スラスト玉軸受(軸受)
30 ラジアルニードル軸受(傾転軸受)
200 潤滑油供給部材
201 貫通開口部
202 貫通開口部
204 切欠部
205 潤滑油供給部材
200a 一端
200b 他端
210,220,240 油路
300 潤滑油供給部材(補強部材)
300a 油路

Claims (3)

  1. 互いの内側面同士を対向させた状態で互いに同心的に且つ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、これらの両ディスク間に挟持される複数のパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にあり且つ互いに同心的に設けられた一対の枢軸を中心に傾転するとともに、前記各パワーローラを軸受を介して回転自在に支持する複数のトラニオンと、前記各トラニオンの前記各枢軸をそれぞれ傾転自在且つ軸方向に変位自在に支持するとともに、前記トラニオンの変位により揺動する一対のヨークと、を備えるトロイダル型無段変速機において、
    前記枢軸の端部側からヨークを越えて、前記トラニオンに対してパワーローラを回転自在とする前記軸受に潤滑油を供給する潤滑油供給部材を備え、
    前記枢軸には、前記枢軸を傾転自在かつ揺動自在にヨークに接続する傾転軸受が設けれ、前記ヨークには、前記傾転軸受が挿入されて支持される支持孔が形成され
    前記枢軸の傾転軸受が取り付けられる傾転軸受取付部の前記枢軸の中心部分からパワーローラの先端側に、前記潤滑油供給部材を通す切欠部を設け、前記潤滑油供給部材が前記ヨークの前記支持孔を通ることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
  2. 前記切欠部が設けられた傾転軸受取付部の外周に円筒体を介して前記傾転軸受が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
  3. 前記一対の枢軸のうちの一方の枢軸に前記トラニオンを前記枢軸の軸方向に駆動する駆動手段が接続され、
    前記一対の枢軸のうちの他方の枢軸の前記傾転軸受取付部に前記切欠部が形成され、前記切欠部に前記潤滑油供給部材が配置されるとともに、前記潤滑油供給部材の潤滑油を受ける一端側が前記枢軸の中心から当該枢軸の軸方向に沿って延出して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトロイダル型無段変速機。
JP2012031367A 2012-02-16 2012-02-16 トロイダル型無段変速機 Active JP5278569B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012031367A JP5278569B2 (ja) 2012-02-16 2012-02-16 トロイダル型無段変速機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012031367A JP5278569B2 (ja) 2012-02-16 2012-02-16 トロイダル型無段変速機

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007006769A Division JP5057210B2 (ja) 2007-01-16 2007-01-16 トロイダル型無段変速機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012122617A JP2012122617A (ja) 2012-06-28
JP5278569B2 true JP5278569B2 (ja) 2013-09-04

Family

ID=46504244

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012031367A Active JP5278569B2 (ja) 2012-02-16 2012-02-16 トロイダル型無段変速機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5278569B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6683063B2 (ja) * 2016-08-24 2020-04-15 トヨタ自動車株式会社 動力伝達装置の潤滑構造

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3627621B2 (ja) * 2000-05-19 2005-03-09 日産自動車株式会社 トロイダル型無段変速機
JP4631323B2 (ja) * 2004-06-28 2011-02-16 日本精工株式会社 無段変速装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012122617A (ja) 2012-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5278569B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP5057210B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4758809B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2008032084A (ja) トロイダル型無段変速機
JP4923989B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP5772026B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4984138B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4706920B2 (ja) トロイダル型無段変速機
WO2015118949A1 (ja) トロイダル型無段変速機のトラニオン
JP4872878B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP6015253B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4587120B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2013108511A (ja) トロイダル型無段変速機
JP4626883B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4513008B2 (ja) 無段変速装置
JP4761193B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4900710B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2007205546A (ja) トロイダル型無段変速機
JP4962326B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP5003140B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP5141669B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP4734892B2 (ja) トロイダル型無段変速機
JP2009041628A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2010151151A (ja) トロイダル型無段変速機
JP2007321774A (ja) トロイダル型無段変速機

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121005

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121011

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121203

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130423

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130506

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5278569

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150