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JP5274826B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

口腔用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、口腔用組成物に関し、詳細には、凝縮や沈殿等が起こらず、リゾチーム又はその塩が均一に配合され、かつその活性が安定に維持された口腔用組成物に関する。
リゾチームはムコ多糖類加水分解酵素であり、そのムコ多糖類加水分解作用により、炎症を起こす微生物に対して殺菌(溶菌)作用を示し、また、強力な消炎作用を有する。従ってリゾチームは感染症炎症、非感染症炎症のいずれの予防、治療にも有効であり、口腔内疾患、特に歯槽膿漏等の歯周疾患の予防、進行阻止および治療上非常に重要な役割を果たしており、各種の内服剤あるいは外用剤に配合されている。
このような製剤については、口腔内に適用させるために歯磨剤や洗口剤等の様々なものが挙げられるが、特に口腔内の軟組織(例えば口腔粘膜、舌、歯茎、唾液腺、口蓋など)への適用のしやすさ及び製剤の滞留性を考えた上では指等で塗布できる軟膏状製剤が最も望ましいと思われる。
これについて、リゾチーム配合口腔用組成物に関し、リゾチームの活性を高め、またあるいはリゾチームの活性低下を防いで安定配合するために様々な研究が従来よりなされており、種々の特許が開示されている。
例えば、特許文献1(特開昭52−54037号公報)、特許文献2(特開昭52−90638号公報)にはハロゲン化ナトリウム塩、特許文献3(特開平02−264711号公報)にはリン酸2水素塩、特許文献4(特開平03−157322号公報)や特許文献5(特開平03−157323号公報)、特許文献6(特開平03−167115号公報)には、特定の界面活性剤とリゾチームを共存させた口腔用組成物が開示されている。また、特許文献7(特開平06−329523号公報)には、リゾチームにヒドロキシエチルセルロース及びアルギン酸ナトリウムを配合した口腔用組成物が開示されている。
しかしながら、これらの口腔用組成物はいずれも歯磨剤や洗口剤を中心とした製剤に関するものであり、これを単純に軟膏状製剤に利用した場合には、外観性状が悪化したり、場合によっては凝集や沈殿を生じるなどする。これは、一般に使用されるラウリル硫酸ナトリウムのようなアニオン性界面活性剤や、カルボキシメチルセルロースナトリウムやアルギン酸ナトリウム、カラギーナンのようなアニオン性水溶性高分子といったイオン性成分にリゾチームが反応することにより、結果として外観性状に影響を及ぼし、凝集や沈殿を生じてしまうためと考えられる。また、上記の口腔用組成物については、実際にリゾチームが組成物全体に均一に配合されているか否かも明らかにされていない。
そこで本発明者らは、これらの問題を解決すべく、種々検討を行った結果、凝集や沈殿が起こらず、リゾチームが活性を安定に維持したまま組成物中に均一に配合される技術を見出し、さらにはこれが軟膏状製剤をはじめとする口腔用組成物全般に利用できることを見いだして、本発明を完成するに至った。
特開昭52−54037号公報 特開昭52−90638号公報 特開平02−264711号公報 特開平03−157322号公報 特開平03−157323号公報 特開平03−167115号公報 特開平06−329523号公報
本発明は、凝縮や沈殿等が起こらず、リゾチーム又はその塩が活性を安定に維持したまま組成物中に均一に配合された口腔用組成物を簡便に提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、リゾチーム又はその塩及びアニオン性水溶性高分子に加え、0.5〜10重量%の水溶性金属塩を配合することにより、凝集や沈殿を引き起こすことなく、組成物中に安定的かつ均一にリゾチーム又はその塩が配合される組成物を作製できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、特に以下の項1及び項2の口腔用組成物を提供するものである。
項1.以下の(a)〜(c)を配合したことを特徴とする口腔用組成物。
(a)リゾチーム又はその塩
(b)カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム及びカラギーナンからなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性水溶性高分子
(c)マグネシウム塩、カルシウム塩及び亜鉛塩からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性金属塩を、0.5〜10重量%
項2.水溶性金属塩が、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム及びグルコン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の口腔用組成物。
本発明によれば、凝縮や沈殿等が起こらず、リゾチーム又はその塩が活性を安定に維持したまま組成物中に均一に配合された口腔用組成物を簡便に提供することができる。また、当該口腔用組成物は、リゾチームの活性が安定に維持されているため、口腔内疾患、特に歯槽膿漏等の歯周疾患の予防、進行阻止および治療に好ましく用いることができる。さらに、凝集や沈殿が起こらないため、見た目及び使用時の触感において使用者に不快感を与えることも無く、製造時及び使用時において不都合が生じることも無い。
以下、本発明につき更に詳細に説明する。
本発明に係る口腔用組成物は、リゾチーム又はその塩、特定のアニオン性水溶性高分子及び水溶性金属塩を配合した口腔用組成物である。
リゾチームは、通常鶏卵の卵白から一般的な方法に従って抽出精製することにより得られる。また、市販品として例えばエーザイフード・ケミカル株式会社あるいはキューピー株式会社より入手できる(いずれも商品名は「塩化リゾチーム」)。リゾチームの塩としては、例えば塩化リゾチームが挙げられる。本発明において用いるリゾチーム又はその塩の量は、少なすぎると十分な添加効果を得ることができず、また必要以上過剰に添加することは経済的に不利となる。よって、その添加量は、一般に組成物全量に対して、0.05〜5.0重量%、好ましくは0.25〜2.5重量%、より好ましくは0.25〜1.5重量%である。
本発明に係る口腔用組成物に配合されるアニオン性水溶性高分子は、カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム及びカラギーナンが好ましい。この中でもカルボキシメチルセルロース塩が好ましく、その塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられるが、これらの中でもナトリウム塩であるカルボキシメチルセルロースナトリウムが特に好ましい。また、アニオン性水溶性高分子の配合量は、組成物全量に対し、0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜5重量%であることがより好ましく、0.5〜2.5重量%であることがさらに好ましく、1〜2重量%であることがよりさらに好ましい。
本発明に係る口腔用組成物に配合される水溶性金属塩は、水溶性多価金属塩が好ましく、なかでもマグネシウム塩、カルシウム塩及び亜鉛塩の水溶性多価金属塩が好ましい。具体的には、塩化マグネシウム、リン酸三マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、塩化カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、プロピオン酸カルシウム、酢酸カルシウム、臭化カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛等が例示でき、特に塩化マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム及びグルコン酸亜鉛が好ましい。これらの水溶性金属塩を用いることで、凝集や沈殿等の発生を抑えるだけでなく、保形性や曵糸性等の製剤学的物性も向上させることができる。また、水溶性金属塩の配合量は、組成物全量に対し、0.5〜10重量%であることが好ましく、1〜5重量%であることがより好ましく、1〜2.5重量%であることがさらに好ましい。
さらに、本発明に係る口腔用組成物に配合されるアニオン性水溶性高分子と水溶性金属塩の量比は、組成物全量に対する重量%の比が、アニオン性水溶性高分子/水溶性金属塩=0.01〜10であることが好ましく、0.05〜5であることがより好ましく、0.1〜2であることがさらに好ましい。
本発明に係る水溶性の成分は、特に限定されるものではないが、60℃以上の水に対し0.1重量%以上が溶解するものが好ましい。
本発明に係る口腔用組成物のpHは、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、リゾチーム活性の安定化をより向上させるため、pH5〜pH7であることが好ましい。
本発明に係る口腔用組成物は、例えば軟膏状製剤として指等で塗布する、あるいは歯磨剤として歯ブラシにのせる等の使用態様を取ることができる。そのため、チューブ等の容器から絞り出す、あるいは瓶や缶等の容器から指等ですくい取る等して使用することができる。
本発明に係る口腔用組成物は、常法に従って例えば軟膏状製剤、練歯磨剤、ジェル剤、パスタ剤、歯磨剤(練歯磨剤、液体歯磨剤、液状歯磨剤等)、洗口剤、ゼリー製剤、ガム剤等の通常の剤形にすることができる。なお、ここで言う軟膏状製剤とは、いわゆる軟膏剤のことをいい、その中には油脂性軟膏、乳剤性軟膏、水溶性軟膏等が含まれる。本発明に係る口腔用組成物は、軟膏状製剤であることが好ましく、その中でも特に水溶性軟膏であることが好ましい。
本発明に係る口腔用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、他の基剤成分は特に限定するものではなく、通常この種の組成物に用いられるものを配合できる。例えば、軟膏状製剤の場合であれば、湿潤剤、香味剤、活性剤、甘味剤、防腐剤、着色剤、pH調整剤、安定化剤、矯味剤、収れん剤、増粘剤、他の薬効剤等が適宜配合される。また、練歯磨の場合であれば研磨剤、湿潤剤、香味剤、活性剤、甘味剤、防腐剤、着色剤、pH調整剤、安定化剤、矯味剤、収れん剤、増粘剤、他の薬効剤等が適宜配合される。
具体的には、湿潤剤として、エタノール、グリセリン、ソルビット、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット等を単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。湿潤剤の通常配合量は、5〜70重量%である。
香味剤としては、メントール、アネトール、カルボン、オイゲノール、リモネン、ペパーミントオイル、スペアミントオイル、ウインターグリーン、サリチル酸メチル、シオネール、チモール、丁字油、ユーカリ油、ローズマリー油、セージ油、レモン油、オレンジ油、オシメン油、シトロネロール、メチルオイゲノール等が挙げられる。これらの香味剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。香味剤の通常配合量は、0.05〜5重量%である。
活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、アルキルグルコシド類、脂肪酸アルカノールアミド類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、N−ラウリルジアミノエチルグリシン、N−ミリスチルジエチルグリシン等のN−アルキルジアミノエチルグリシン、N−アルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の界面活性剤が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合でき、通常配合量は0.1〜10重量%である。
甘味剤として、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、α−メトキシシンナミックアルデヒド、キシリット、スクラロース、キシリトール、パラチノース、パラチニット、エリスリトール、マルチトール等を配合することができる。これらの甘味剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。甘味剤の通常配合量は0.005〜5重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等が挙げられる。
着色剤としては、青色1号、黄色4号、赤色202号、緑3号等の法定色素、群青、強化群青、紺青等の鉱物系色素、酸化チタン等が挙げられる。
pH調整剤としては、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、ピロリン酸、乳酸、酒石酸、グリセロリン酸、酢酸、硝酸、またはこれらの化学的に可能な塩や水酸化ナトリウム等が挙げられ、これらは、組成物のpHが5〜7の範囲となるよう、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。pH調整剤の通常配合量は0.01〜2重量%である。
安定化剤としては、エデト酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
矯味剤としては、チャエキス、チャ乾留液、プロポリスエキス、グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
収れん剤としては、重曹、乳酸アルミニウム等が挙げられる。
増粘剤として、本発明に用いるカルボキシメチルセルロース塩以外に、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、本発明に用いるキサンタンガム以外に、トラガカントガム、カラヤガム、アラビアガム、ジェランガム等のガム類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルピロリドン等の合成粘結剤、増粘性シリカ、アルミニウムシリカゲル、ビーガム等の無機粘結剤、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、大豆多糖類、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等を添加することも可能である。これらの増粘剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。増粘剤の通常配合量は0.01〜20重量%である。
他の薬効剤としては、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ素化合物;デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素(リテックエンザイム)等の酵素;トラネキサム酸、ε−アミノカプロン酸、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アラントイン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、ビサボロール、イソプロピルメチルフェノール、グリセロリン酸、クロロフィル、グルコン酸銅、塩化ナトリウム、水溶性無機リン酸化合物、クロルヘキシジン塩類、トリクロサン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;酢酸−dl−α−トコフェロール、酢酸ピリドキシン、アスコルビン酸またはその塩等のビタミン類;タイム、オウゴン等の植物抽出物等が挙げられる。これらの薬効剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
研磨剤としては、第2リン酸カルシウム・2水和物および無水和物、リン酸カルシウム、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、無水ケイ酸、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、第3リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、ポリメタクリル酸メチル、ベントナイト、ケイ酸ジルコニウム、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂等を用いることができる。これらの研磨剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。研磨剤の通常配合量は、5〜50重量%である。
また、その他の基剤として、アルコール類、シリコン、アパタイト、白色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等を添加することも可能である。
なお、これら任意成分の配合量は、本発明の効果を妨げない程度で、通常の口腔用組成物に配合されている程度の量とすればよい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、各例中の配合量は、特に規定がない限り重量%を示す。
<組成物の調製>
各種金属塩に水及びメチルパラベンを加え、60〜70℃に加熱し、溶解するまで5〜10分間撹拌を行った。次に、濃グリセリン及び各種アニオン性水溶性高分子を加え、ホモミキサー(M2−f、特殊機化工業株式会社製)で3000rpmにて5分間撹拌を行った。さらに、水及び塩化リゾチームを加え、ホモミキサーで3000rpmにて5分間撹拌を行って水溶性軟膏剤を作製した。
<組成物の性能評価>
各例において、製造した組成物の凝集性及び外観性状を評価した。
凝集性
凝集が発生(粒状のものが複数生成された状態のものも含む)したか否かを目視により評価した。評価基準については以下の通りである。
○:凝集の発生が認められなかったもの
×:凝集が発生したもの
外観性状
当該組成物が口腔用組成物として使用されるものであることを考慮した上で、凝集・沈殿等の発生や色等を目視により総合的に評価した。評価基準については以下の通りである。
1:外観性状が非常に良いもの
2:外観性状が良いもの
3:外観性状が悪いもの
以下に、組成物調製時の配合量及び組成物の性能評価の結果を記載した表を示す。なお、表中の成分についての数値は、その配合量を重量%で表したものである。
Figure 0005274826
表1に示した通り、実施例の結果から、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム及びカラギーナンからなる群より選択されるアニオン性水溶性高分子を1〜2%、並びに、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム及びグルコン酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性金属塩を0.5〜10%含む組成物は、凝集がなく、外観性状も良好であることが確認された。
これに対して、比較例1〜4の結果から、水溶性金属塩の濃度が0.1%以下では、凝縮が起こり、外観性状も悪いことが確認された。また、比較例5〜11の結果から、アニオン性水溶性高分子としてアルギン酸ナトリウムは不適であることが確認された。さらに、比較例12〜14の結果から、金属塩としてリン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸アルミニウムを用いたのでは凝縮が発生し、外観性状も悪いことが確認された。
以上のように、特定のアニオン性水溶性高分子及び特定の水溶性金属塩を、それぞれ特定の濃度配合することで、初めて本願発明に係る口腔用組成物の効果が発揮されることがわかった。
<組成物中のリゾチーム活性評価>
実施例1及び4並びに比較例2の組成物における、塩化リゾチームの活性を測定した。組成物調製は測定前日に行い、日本薬局方外医薬品成分規格のリゾチーム塩酸塩定量法に従って測定した。なお、測定は同一組成物の3点から試料を回収して行った。
以下に、その結果を示す。また、当該結果をグラフ化したものを図1に示す。
Figure 0005274826
表2に示した通り、塩化マグネシウムを10%配合した組成物(実施例1)及び1%配合した組成物(実施例4)は、いずれもリゾチーム活性はほぼ100%に保たれていた。さらに標準偏差も、両方ともに0.7と低値であり、組成物中にほぼ均一にリゾチームが配合されていることがわかった。これに対して、塩化マグネシウムを加えなかった組成物(比較例2)では、リゾチーム活性が10%程度低下し、さらに標準偏差が8.0であり、リゾチーム配合の均一性を著しく欠くことがわかった。
以下に、本発明に係る口腔用組成物の処方例を記載する。
Figure 0005274826
Figure 0005274826
Figure 0005274826
Figure 0005274826
Figure 0005274826
Figure 0005274826
実施例1及び4並びに比較例2の組成物における、リゾチーム活性の測定結果をグラフ化したものである。

Claims (2)

  1. 以下の(a)〜(c)を配合したことを特徴とする口腔用組成物。
    (a)リゾチーム又はその塩
    (b)カルボキシメチルセルロース塩、キサンタンガム及びカラギーナンからなる群より選択される少なくとも1種のアニオン性水溶性高分子
    (c)マグネシウム塩及びカルシウム塩からなる群より選択される少なくとも1種の水溶性金属塩を、0.5〜10重量%
  2. 水溶性金属塩が、塩化マグネシウム、塩化カルシウム及び乳酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の口腔用組成物。
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