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JP5263521B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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JP5263521B2 JP2008309075A JP2008309075A JP5263521B2 JP 5263521 B2 JP5263521 B2 JP 5263521B2 JP 2008309075 A JP2008309075 A JP 2008309075A JP 2008309075 A JP2008309075 A JP 2008309075A JP 5263521 B2 JP5263521 B2 JP 5263521B2
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Description

本発明は、硬化性組成物に関するものであり、加熱および/または湿気により短時間で硬化し、広い温度範囲での弾性および耐熱性、耐湿性に優れた硬化型樹脂組成物に関するものであり、接着剤、シール剤、コーティング剤、注型剤等に広く応用が可能なものである。
従来より、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物の中に、常温で固体のポリアミン化合物の粉末を硬化剤として分散または混合した一液型樹脂組成物が知られている。(以下、ポリアミン化合物の粉末をポリアミン粉と呼ぶ。)ポリアミン化合物の融点以上の加熱により、ポリアミン化合物が溶解し速やかにイソシアネート基と反応するため、加熱硬化型組成物として有用であることが知られている。しかしながら、ポリアミン粉をそのままイソシアネート基を有する化合物に添加すると増粘やゲル化を伴い保存安定性が著しく低下してしまうため、実用的な一液化が困難であった。特に、100μm以下の微粉末状のポリアミン粉では比表面積が高くなるため、さらに保存性低下を招くことが知られている。
保存性を改善するため、種々の方法で表面を処理したポリアミン粉を分散または混合させる方法が知られている。特許文献1において段落0040に示されている実施例では、流動パラフィンで処理したポリアミン粉をイソシアネート基末端プレポリマーに添加すると保存性を維持することができると記述されている。一方、段落0043の比較例ではポリアミン粉を流動パラフィンにより表面処理を実施せずにポリアミン粉をイソシアネート基末端プレポリマーに添加すると保存性が著しく低下することが示されている。この様に保存性を維持するためにはポリアミン粉の表面処理は不可欠であることがわかる。
公知になっている他の表面処理方法としては、特許文献2の様な2μm以下の無機または有機微粉体を物理的に固着させて被覆する方法や、特許文献3の様なあらかじめ特定の割合のイソシアネート化合物で固形ポリアミン表面を反応表面処理させる方法や、特許文献4の様なパラトルエンスルホニルイソシアネートとオルソギ酸メチルエステルの反応物で固体ポリアミン表面をコーティングする方法が知られている。しかしながら、これらの手法は、工程の多段階化に伴う品質低下や加工賃の増加によるコストアップを伴う。
ポリオール化合物とイソシアネート化合物をウレタン結合させて、末端にイソシアネート基を有する常温で液状のポリマーが知られている。(以下、常温で液状の末端にイソシアネート基を有するポリマーをプレポリマーと呼ぶ。)該ポリオール化合物には、ポリエステル骨格やポリエーテル骨格を有している事が多い。しかしながら、特許文献5の段落0004に示されている通り、これらの硬化物は信頼性試験(100℃の高温試験、85℃×85%RHの耐湿試験など)により硬化物が堅くなる傾向(柔軟性が低下する)が見られ、被着体からの剥離や硬化物にクラックが入る等の問題点が従来から知られていた。
特開平5−32948号公報 特再公表WO1995−26374号公報 特開平7−173243号公報 特開2002−302600号公報 特開2003−155321号公報
従来は硬化剤の表面を処理することにより保存性を安定化させると共に、硬化性に優れた組成物が得られていた。しかしながら、ポリアミン粉の表面処理の製造工程が煩雑であり、品質安定化や加工賃の増加に問題を抱えていた。さらに、従来用いられているプレポリマーの多くはポリエステル骨格、ポリエーテル骨格を有し、その骨格を有する硬化物では柔軟性、耐熱性、耐湿性を同時に満足するものはなかった。
本発明者らは上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、粉末状の硬化剤を分散または混合するプレポリマーとして、水素添加ヒマシ油系ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られる末端にイソシアネート基を含有したプレポリマーを使用することにより、表面処理されていない粉末状の硬化剤でも充分安定した保存性を有する一液型組成物が得られ、加熱により容易に硬化し柔軟で耐熱性と耐湿性に優れる硬化物が得られることを見いだした。
本発明の要旨を次に説明する。本発明の第一の実施態様は、(A)成分と(B)成分からなる硬化性樹脂組成物である。
(A)成分:(a−1)成分と(a−2)成分を反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するプレポリマー
(a−1)成分:水素添加ヒマシ油系ポリオール
(a−2)成分:1分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物
(B)成分:1分子内に2以上の一級アミン基および/または二級アミン基を有する化合物の粉体
本発明の第二の実施態様は、(C)成分として1分子中に1以上のイソシアネート基を有する化合物を含む請求項1の硬化性樹脂組成物である。
本発明の第三の実施態様は、(D)成分として1分子内に1以上のエポキシ基および/またはチイラン基を有する化合物を含む請求項1〜2に記載の硬化性樹脂組成物である。
本発明の第四の実施態様は、前記(B)成分が脂肪族ポリアミン化合物および/またはヒドラジド化合物である請求項1〜3に記載の硬化性樹脂組成物である。
本発明の第五の実施態様は、請求項1〜4に記載の硬化性樹脂組成物を熱および/または湿気により硬化させる硬化方法と該硬化方法により得られた硬化物である。
本発明は、加熱または空気中の湿分により速やかに硬化し、弾性および耐熱性、耐湿性に優れた硬化物を形成し、電気電子分野、輸送機器分野、一般接着等広い分野で接着剤、シール剤、注型剤等として広く応用が可能である。
本発明の詳細を次に説明する。本発明で(A)成分として使用することができる末端にイソシアネート基を有するプレポリマーとは、(a−1)成分:水素添加ヒマシ油系ポリオールと、(a−2)成分:1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物を反応させたプレポリマーであれば限定されない。
合成方法としては、(a−1)成分に過剰量の(a−2)成分をイソシアネート基/水酸基の当量比が1.2〜3.5となるように反応させることにより製造することができる。反応は、無溶媒かつ無触媒の条件化で通常20℃〜90℃で1〜24時間の条件で撹拌することによって行うことができるが、必要に応じて酢酸エチル、トルエン、キシレンなどの溶媒および、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫系触媒、オクチル酸ビスマス等のビスマス系触媒、チタンアルコキシド等のチタン系触媒、1,4−ジアザ[2.2.2]ビシクロオクタン等の三級アミン系触媒などの重合触媒を用いても良い。
前記(a−1)成分におけるヒマシ油系ポリオールとは、ヒマシ油またはヒマシ油誘導体からなる広義の意味のものとする。ヒマシ油とはヒマの種子から得られる油を精製したものであり、リシノール酸を主成分とする脂肪酸のグリセリンエステルである。ヒマシ油系ポリオールの中でもヒマシ油が好適に用いられ、ヒマシ油誘導体としては、ヒマシ油と多価アルコールとのエステル交換反応物、部分脱水ヒマシ油、部分アシル化ヒマシ油(部分アセチル化ヒマシ油等)、ヒマシ油のアルキレンオキシド付加物、ヒマシ油のエポキシ化物、ヒマシ油のハロゲン化物、ビスフェノール類アルキレンオキサイド付加物のヒマシ油脂肪酸モノまたはジエステル、ダイマー酸とヒマシ油系ポリオールとのエステル化物、重合ヒマシ油のエステル交換反応物とカプロラクトンとの反応物、ヒマシ油脂肪酸の2量体以上の縮合体またはその縮合体と多価アルコールとのエステルなども用いられるが、例示したもの以外のものであって差し支えない。また、2種以上を併用しても差し支えない。
前記(a−1)成分における水素添加とは、化合物内に存在する不飽和二重結合を飽和結合化したものであり、その方法には限定されない。水素添加ヒマシ油系ポリオールを使用する場合、ヒマシ油ポリオールを使用するよりも長期耐熱性が優れている。
水素添加ヒマシ油は商業的に容易に入手することができる。例えば、伊藤製油株式会社製のヒマシ硬化油A、ヒマシ硬化油B、川研ファインケミカル(株)製のK−3−ワックス、K−3−ワックス−500、日本油脂(株)製のカスターワックスなどが挙げられる。また、水素添加ヒマシ油誘導体も商業的に容易に入手することができる。例えば、伊藤製油株式会社製のURICPH−5001、PH−5002、PH−6000、URIC1815U、URIC1886U、豊国製油株式会社社製のHS−3G−500B、等が挙げられる。
前記(a−2)成分は1分子中にイソシアネート基を2つ以上含有する化合物であればよく、芳香族、鎖状脂肪族または環状脂肪族に属する任意のものが使用できる。具体的には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、粗製TDI、ポリメチレン・ポリフェニルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、これらの異性体、イソシアヌレート化物、カルボジイミド化物、ビューレット化物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、これらの1種または2種以上の混合物を使用に供してよい。
本発明で使用することができる(B)成分は分子内に2個以上の一級アミン基および/または二級アミン基を有する化合物の粉末である。(以下、一級アミン基および/または二級アミン基を有する化合物の粉末をポリアミン粉と呼ぶ。)具体例としては、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ジアミノビフェニル、2,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン等の芳香族ポリアミン化合物、1,12−ドデカンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン等の脂肪族ポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタール酸ジヒドラジド、1,3−ビス−(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインエイコサン二酸ジヒドラジド、ハイドロキノンジグリコール酸ジヒドラジド、レゾルシノールジグリコール酸ジヒドラジド、4,4′−エチリデンビスフェノールジグリコール酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、3,3’−(4−イソプロピル−2,5−ジオキソ−1,3−ジアゾリジン−1,3−ジイル)ジプロピオノヒドラジド等のヒドラジド化合物が挙げられるがこれに限定されない。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。保存性の観点から脂肪族ポリアミン化合物とヒドラジド化合物を使用することが好ましい。また、工程数の多段階化、加工賃の増加などを考慮しなければ、必要に応じて粒子表面が不活性化処理されているポリアミン化合物を用いても良い。これら不活性化処理されたアミンを用いることで、さらに保存安定性の向上した組成物となる。
(B)成分の平均粒径としては、100μm以下、好ましくは40μm以下、より好ましくは0.1〜20μmに調整する。100μmを越える中心粒径では、加熱硬化物の不均一性が大きく所望の物性が得られない傾向となる。粒子の調整の手法は特に限定されず、任意の化学的手法および機械的粉砕手法を用いることができる。
粉砕方法としてはジェットミル、遊星ボールミル、ハンマーミル等が知られる。化合物の融点が低い場合は、凍結粉砕が有効である。一方、平均粒径の確認方法としては、レーザー回折散乱式やマイクロソーティング制御方式の粒度・形状分布測定器、光学顕微鏡、電子顕微鏡等の画像解析がある。
本発明に使用することができる(C)成分は、1分子内に1以上のイソシアネート基を有する化合物を添加することができる。具体例としては、前記(a−2)成分であるイアネート化合物の他、フェニルイソシアネート、p−トルエンスルホニルイソシアネート、イソシアネートエチルメタクリレート、3−イソプロペニル−α,α′−ジメチルベンジルイソシアネート、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなど使用することができるがこれに限定されない。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。(C)成分を添加することで、粘度の調製ができる事と接着性が向上する効果がある。(以下、1分子内に1以上のイソシアネート基を有する化合物をイソシアネート化合物と呼ぶ。)(C)成分の添加量としては、(A)成分100重量部に対し(C)成分が0.1〜20重量部の範囲で添加される事が最も好ましい。
(A)成分、(B)成分、(C)成分の配合比率は特に限定されず、目的にあわせ任意の割合で使用できる。最も好ましくは(A)成分と(C)成分を合計したイソシアネート当量と(B)成分のアミン当量の比率が1:0.4〜1:3.0の範囲内に入る事であり、60〜100℃において10分以内に硬化するという速硬化性および硬化物における硬度の維持に優れる。
本発明の組成物には、さらに(D)成分として1分子内に1以上のエポキシ基および/または化1の様なチイラン基を有する化合物を添加してもよい。(以下、1分子内に1以上のエポキシ基またはチイラン基を有する化合物をそれぞれエポキシ化合物またはチイラン化合物と呼ぶ。)好ましくは、(A)成分のプレポリマーと分離することなく混合できると共に、室温にて液状の化合物である。単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いることもできる。
前記エポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体等の所謂エピ−ビス型液状エポキシ樹脂、脂肪族・芳香族アルコールとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、多塩基酸とエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエステル、及びその誘導体、水添ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環状エポキシ、及びその誘導体、5,5’−ジメチルヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、イソブチレンから誘導される置換型エポキシ、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの分子内にアルコキシシリル基を含む化合物、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)メタン、1,6−ジ(2,3−エピチオプロポキシ)ナフタレン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)メタン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)エタン、1,5−ペンタンジオールの2,3−エピチオシクロヘキシル)エーテル、1,6−ヘキサンジオールのジ(3,4−エピチオオクチル)エーテル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。市販されているこれらの製品としては例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のJER828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、カージュラE10P、YL7000、YL7007、大日本インキ工業株式会社製のエピクロン830、835LV、HP4032D、703、720、726、HP820、旭電化工業株式会社製のEP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR4023、EPR1309、EP49−20、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX411、EX314、EX201、EX212、EX252、EX111、EX146、EX721、デナレックスFCA−061L、FCA−061M、信越化学工業株式会社製KBM403、KBE402等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前記チイラン基を有する化合物の具体例としては、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)メタン、1,6−ジ(2,3−エピチオプロポキシ)ナフタレン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)メタン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)エタン、1,5−ペンタンジオールの2,3−エピチオシクロヘキシル)エーテル、1,6−ヘキサンジオールのジ(3,4−エピチオオクチル)エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(D)成分を添加することで粘度の低減や、接着力、耐久性などの特性が向上する。エポキシ化合物の配合割合は特に限定されず目的に応じ任意の割合で添加できるが、(A)成分と(C)成分の合計100質量部に対して、前記(D)成分を0.1〜100重量部の範囲で添加すると、硬化物の特性である柔軟性を損なわずに粘度の低減や接着力、耐久性の向上を図ることができる。
本発明の組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において、有機錫系触媒、ビスマス系触媒、チタン系触媒、アミン類等の湿気重合触媒、ジシアンアミド、アミン−エポキシアダクト、尿素型アダクト、固形イミダゾール等のエポキシ潜在性触媒、リン酸エステル、ホウ酸エステル等の保存性向上剤、顔料、染料などの着色剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カーボン等の無機充填剤およびその表面を有機酸やカップリング剤で表面処理された無機充填剤、難燃剤、アクリルゴムやシリコンゴム等の有機充填剤、可塑剤、分子中にアクリル基等の反応性官能基を含む反応性可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、カップリング剤、脱水剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により、より柔軟性、樹脂強度、接着強さ、難燃性、熱伝導性、作業性等に優れた組成物およびその硬化物が得られる。
本発明の構成成分を混合する順番は特に限定されないが、(A)成分と(B)成分を最初に混合した後に、その他の成分を混合することが組成物の保存性を高めるうえで好ましい。
本発明の組成物は加熱により速やかに硬化させることができるが、加熱をしなくとも空気中の湿分により硬化させることも可能である。このことは加熱ムラなどで加熱硬化が不充分な部位もその後の室内放置により湿気により硬化できることを意味し、結果的に接着剤の信頼性をより高めることができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[プレポリマー1]
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、(a−1)成分:水素添加ヒマシ油系ポリオール(URIC1815U 伊藤製油株式会社製)800.0gと(a−2)成分:ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(コスモネートPH 三井化学ポリウレタン株式会社製)161.0gを投入する。窒素雰囲気下40℃にて1時間、60℃にて5時間撹拌反応させ、粘度142000mPa・s(25℃)の(A)成分であるプレポリマー1を得た。
[プレポリマー2]
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、(a−1)成分:水素添加ヒマシ油系ポリオール(URIC1815U 伊藤製油株式会社製)800.0gと(a−2)成分:トリレンジイソシアネート(コスモネートT100 三井化学ポリウレタン株式会社製)115.0gを投入する。窒素雰囲気下40℃にて1時間、60℃にて5時間撹拌反応させ、粘度38000mPa・s(25℃)の(A)成分であるプレポリマー2を得た。
[プレポリマー3]
加熱温度調節装置を備えた容量3Lのプラネタリー撹拌装置に、(a−1)成分:水素添加ヒマシ油系ポリオール(URIC1815U 伊藤製油株式会社製)800.0gと(a−2)成分:トリレンジイソシアネート(コスモネートT80 三井化学ポリウレタン株式会社製)100.0gを投入する。窒素雰囲気下40℃にて1時間、60℃にて5時間撹拌反応させ、粘度60000mPa・s(25℃)の(A)成分であるプレポリマー3を得た。
[プレポリマー4]
加熱温度調節装置を備えた容量3Lのプラネタリー撹拌装置に、(a−1)成分:水素添加ヒマシ油系ポリオール(URIC1815U 伊藤製油株式会社製)800.0gと(a−2)成分:ヘキサメチレンジイソシアネート(タケネート700 三井化学ポリウレタン株式会社製)81.0gと錫系触媒(ネオスタンU−100 日東化成株式会社製)0.4gを投入し、窒素雰囲気下40℃にて1時間、60℃にて5時間撹拌反応させ、粘度35000mPa・s(25℃)の(A)成分であるプレポリマー4を得た。
[プレポリマー5](比較例)
加熱温度調節装置を備えた容量3Lのプラネタリー撹拌装置に、ポリエーテルジオール(P3000 株式会社ADEKA製)800.0gと(a−2)成分:トリレンジイソシアネート(コスモネートT100 三井化学ポリウレタン株式会社製)94.0gを投入し、窒素雰囲気下40℃にて1時間、60℃にて5時間撹拌反応させ、粘度5600mPa・s(25℃)のプレポリマー5を得た。
[プレポリマー6](比較例)
加熱温度調節装置を備えた容量3Lのプラネタリー撹拌装置に、ヒマシ油系ポリオール(URIC H−56 伊藤製油株式会社製)600.0gと(a−2)成分:トリレンジイソシアネート(コスモネートT100 三井化学ポリウレタン株式会社製)148.0gを投入し、窒素雰囲気下40℃にて1時間、60℃にて5時間撹拌反応させ、粘度7300mPa・s(25℃)のプレポリマー6を得た。
[ポリアミン粉1]
結晶塊状態の1,10−デカンジアミン(融点62℃)を破砕造粒整粒機で粗粉砕後、ジェットミルで粉砕することにより平均粒径5μm、最大粒径17μmのアミン微粉体であるポリアミン粉1を得た。粒径の測定にはレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(セイシン企業製 LMS−30)を用いた。
[ポリアミン粉2]
結晶塊状態の1,12−ドデカンジアミン(融点71℃)を破砕造粒整粒機で粉砕後、篩いで分級し、最大粒径70μmのアミン微粉体であるポリアミン粉2を得た。
[実施例1〜22]
実施例1〜22の組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A)成分:プレポリマー
・プレポリマー1
・プレポリマー2
・プレポリマー3
・プレポリマー4
(B)成分:ポリアミン粉
・ポリアミン粉1
・ポリアミン粉2
・1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(アミキュアVDH−J 味の素ファインケミカル株式会社)
(C)成分:イソシアネート化合物
・トリレンジイソシアネート(T−80 三井化学ポリウレタン株式会社)
・p−トルエンスルホニルイソシアネート(東京化成工業株式会社)
・γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(A−1310 モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン合同会社)
・ポリイソシアネート(TLA−100 旭化成ケミカルズ株式会社)
(D)成分:エポキシ化合物
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER807 ジャパンエポキシレジン株式会社)
・水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YX8000 ジャパンエポキシレジン株式会社)
・長鎖脂肪族系エポキシ樹脂(デナレックスFCA−061L ナガセケムテックス株式会社)
(D)成分:チイラン化合物
・エピスルフィド樹脂(YL7007 ジャパンエポキシレジン株式会社)
その他:添加剤
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403 信越化学工業株式会社)
・炭酸カルシウム粉(ソフトン1800 備北粉化工業株式会社)
・アルミナ粉(A−43M 昭和電工株式会社)
・可塑剤(GR−301 伊藤製油株式会社)
[比較例1〜2]
比較例1〜2の組成物を調製するために下記成分を準備した。
(A’)成分:(A)成分には入らないプレポリマー
・プレポリマー5
・プレポリマー6
(B)成分:ポリアミン粉
・ポリアミン粉1
(C)成分:イソシアネート化合物
・トリレンジイソシアネート(T−80 三井化学ポリウレタン株式会社)
(D)成分1:エポキシ化合物
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂(JER807 ジャパンエポキシレジン株式会社)
その他:添加剤
・3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403 信越化学工業株式会社)
・炭酸カルシウム粉(ソフトン1800 備北粉化工業株式会社)
実施例1〜22及び比較例1〜2の製造方法は次の通りである。前記(A)成分又は(A’)成分と(B)成分を秤量して、撹拌機により30分間撹拌する。(C)成分、(D)成分、その他の成分を秤量して撹拌機に添加した後、さらに30分間撹拌する。詳細な調製量は表1に従い、数値は全て質量部で表記する。撹拌においては真空脱泡しながら撹拌することが好ましい。
実施例1〜22、比較例1〜2の硬化性樹脂組成物に対して以下の試験を実施した。反応性、保存性、硬度の結果を表2に示す。
<反応性の確認>
カバーガラスの上に10mm×10mmのマスキングをして組成物をスキージして、マスキングを除くと塗膜厚0.3mmの組成物が形成される。80℃に設定したホットプレートに該カバーガラスを乗せる。組成物が硬化またはゴム状となり流動しなくなるまでの時間を10秒毎に観察し「ゲルタイム」(秒)とする。ただし、実施例3のみは150℃にて確認を行う。
<保存性の確認>
容量20mlのガラス瓶に各組成物を入れて蓋を閉めた状態で、25℃に設定した室内に静置する。組成物がゲル化して流動しなくなるまでの日数を10日毎に観察し「保存安定性」(日)とする。最長で40日保存性を確認し、40日以上保存性を確保した組成物には「40日以上」と表記する。
<硬度の測定>
組成物を厚み2mmになるように離型処理されたPETフィルムで挟みこんだ状態で、80℃にて10分加熱してシート状の硬化物を作成した。該シート状硬化物を直径20mmの円盤に打ち抜き、この円盤を気泡が入らないように3枚分重ねる。3枚を1つのテストピースとしてA硬度デュロメーターを用いて「硬度」(単位無し)を測定した。詳細についてはJISK6253に従う。
実施例19を用いて、以下の硬化条件を変えた時の「硬度」を測定した。すべての測定は25℃にて10分放置してすぐに測定を行う。以下の結果から加熱硬化単独、加熱硬化と湿気硬化の併用、湿気硬化単独のいずれの条件においても良好なゴム状硬化物を形成することがわかる。
60℃にて10分:55
80℃にて10分:60(前記の硬度測定)
60℃にて10分+25℃×55%RHにて3日:60
80℃にて30分:60
80℃にて30分+25℃×55%RHにて3日:60
25℃×55%RHにて7日:60
<引張せん断接着強さの測定>
25mm×100mm×1.6mmの鉄(SPCC)の試験片を使用する。組成物を一方の試験片に塗布して均一に延ばした後、幅方向に25mm、長さ方向に10mmで面一で重ね合わせて、もう一方の試験片を貼り合わせる。治具で固定した状態で80℃にて10分加熱してテストピースを作成した。室温に戻った後、接着した試験片を引張り試験器により引張り速度50mm/minにて測定し「引張せん断接着強さ」(MPa)とする。詳細についてはJISK6850に従う。
実施例20を用いて、鉄以外の材質からなる試験片を用いて引張せん断接着強さを測定した。材質の詳細と併せて、測定結果を表3に示す。この結果から分かる通り、一般的に難接着な材質についても破壊モードが凝集破壊なので、接着剤として有用な接着力を有していることが分かる。
<信頼性試験>
実施例1、実施例12〜19、実施例22、比較例1〜2の各組成物の硬化物に対して、耐熱試験又は耐湿試験を実施した。試験項目は上述の硬度と引張せん断接着強さの2種類の試験を行った。耐熱試験は130℃に設定した恒温炉を使用し、耐湿試験は85℃×85%RHに設定した恒温恒湿炉を使用し、硬化物を投入してから14日後に試験を実施する。試験を行う際は、硬化物やテストピースが室温に戻ってから試験を行う。耐熱試験の結果を表4に、耐湿試験の結果を表5にまとめた。表中の「NG」とは硬化物が脆くなり崩壊してしまうため、測定ができなくなった状態を表す。
表2の実施例1〜22と比較例1〜2のゲルタイムを比較すると同じ時間で硬化していることから反応性が同じレベルであり、同表の保存安定性を比較すると水素添加ヒマシ油の骨格を有する実施例1〜22ではアミン粉が表面処理されていなくても保存性が向上している。信頼性試験の耐熱試験と耐湿試験において、比較例1〜2は試験後に硬化物の劣化により測定が出来ない状態まで劣化しているが、実施例1〜22では測定が可能であると共に初期値とあまり変わらない値を示している。このことから、信頼性試験に於いても本発明の硬化性樹脂組成物が有効である。
本発明は、加熱および/または湿気により短時間で硬化し、広い温度範囲での弾性および耐熱性、耐湿性に優れた硬化型樹脂組成物を与える一液組成物に関するものであり、電気電子分野、輸送機器分野、一般接着等広い分野で接着剤、シール剤、コーティング剤、注型剤等に広く応用が可能なものである。

Claims (5)

  1. (A)成分および(B)成分を含む硬化性樹脂組成物。
    (A)成分:(a−1)成分と(a−2)成分を反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するプレポリマー
    (a−1)成分:水素添加ヒマシ油系ポリオール
    (a−2)成分:1分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物
    (B)成分:何も粉体表面に固着していない、1分子内に2以上の一級アミン基および/または二級アミン基を有する化合物の粉体
  2. (C)成分として1分子中に1以上のイソシアネート基を有する化合物を含む請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. (D)成分として1分子内に1以上のエポキシ基および/またはチイラン基を有する化合物を含む請求項1または2のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記(B)成分が脂肪族ポリアミン化合物および/またはヒドラジド化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を熱および/または湿気により硬化させる硬化方法と該硬化方法により得られた硬化物。
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