JP2015209438A - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、加熱により短時間で硬化し、且つ貯蔵安定性に優れた硬化型樹脂組成物提供することを目的とする。【解決手段】下記(A)成分と(B)成分を含有する硬化性樹脂組成物。(A)成分:ポリカーボネートポリオール(a−1)と1分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物(a−2)を反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(B)成分:常温で固体である1分子内に2以上の1級アミノ基または2級アミノ基を有する化合物【選択図】なし
Description
本発明は、硬化性樹脂組成物に関するものであり、加熱により短時間で硬化し、且つ貯蔵安定性に優れた硬化型樹脂組成物に関するものである。
従来より、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物と硬化剤として常温で固体のポリアミン化合物の粉末(以下、ポリアミン化合物の粉末をポリアミン粉と呼ぶ。)を含有する一液型加熱硬化樹脂組成物が知られている。ポリアミン化合物の融点以上の加熱により、ポリアミン化合物が融解し、該化合物中のアミノ基が速やかにイソシアネート基と反応するため、加熱硬化型組成物として有用であることが知られている。しかしながら、ポリアミン粉をそのままイソシアネート基を有する化合物に添加すると増粘やゲル化を伴い保存安定性が著しく低下してしまうため、実用的な一液化が困難であった。特に、100μm以下の微粉末状のポリアミン粉では比表面積が高くなるため、さらに組成物の保存性低下を招くことが知られている。
保存性を改善するため、種々の方法で表面を処理したポリアミン粉を分散または混合させる方法が知られている。特許文献1において段落0040に示されている実施例では、流動パラフィンで処理したポリアミン粉をイソシアネート基末端プレポリマーに添加すると保存性を維持することができると記述されている。一方、段落0043の比較例ではポリアミン粉を流動パラフィンにより表面処理を実施せずにポリアミン粉をイソシアネート基末端プレポリマーに添加すると保存性が著しく低下することが示されている。この様に保存性を維持するためにはポリアミン粉の表面処理は不可欠であることがわかる。
公知になっている他の表面処理方法としては、特許文献2の様な2μm以下の無機または有機微粉体を物理的に固着させて被覆する方法や、特許文献3の様なあらかじめ特定の割合のイソシアネート化合物で固形ポリアミン表面を反応表面処理させる方法や、特許文献4の様なパラトルエンスルホニルイソシアネートとオルソギ酸メチルエステルの反応物で固体ポリアミン表面をコーティングする方法が知られている。しかしながら、これらの手法は、工程の多段階化に伴う品質低下やコストアップを伴う。
また、ポリオール化合物とイソシアネート化合物をウレタン結合させて、末端にイソシアネート基を有する常温で液状のポリマーが知られている(以下、常温で液状の末端にイソシアネート基を有するポリマーをプレポリマーと呼ぶ。)。該ポリオール化合物は、ポリエステル骨格やポリエーテル骨格を有している事が多い。しかしながら、特許文献5の段落0004に示されている通り、これらの硬化物は信頼性試験(100℃の高温試験、85℃×85%RHの耐湿試験など)により硬化物が堅くなる傾向(柔軟性が低下する)が見られ、被着体からの剥離や硬化物にクラックが入る等の問題点が従来から知られていた。
従来は硬化剤の表面を処理することにより保存性を安定化させると共に、硬化性に優れた硬化性樹脂組成物が得られていた。しかしながら、ポリアミン粉の表面処理の製造工程が煩雑であり、品質安定化や加工賃の増加に問題を抱えていた。さらに、従来用いられているプレポリマーの多くはポリエステル骨格、ポリエーテル骨格を有し、その骨格を有する硬化物では柔軟性、耐熱性、耐湿性を同時に満足するものはなかった。
本発明者らは上記目的を達成するべく鋭意検討した結果、プレポリマーとして、ポリカーボネートポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られる末端にイソシアネート基を含有したプレポリマーを使用することにより、表面処理されていない粉末状の硬化剤でも保存安定性を有する硬化性樹脂組成物が得られ、加熱により容易に硬化し柔軟で耐熱性と耐湿性に優れる硬化物が得られることを見いだした。
本発明の要旨を次に説明する。本発明の実施態様は、(A)成分と(B)成分を含有する硬化性樹脂組成物である。
(A)成分:ポリカーボネートポリオール(a−1)と1分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物(a−2)を反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するプレポリマー
(B)成分:常温で固体である1分子内に2以上の1級アミノ基または2級アミノ基を有する化合物
(A)成分:ポリカーボネートポリオール(a−1)と1分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物(a−2)を反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するプレポリマー
(B)成分:常温で固体である1分子内に2以上の1級アミノ基または2級アミノ基を有する化合物
本発明の硬化性樹脂組成物は、加熱により速やかに硬化する同時に貯蔵安定性に優れる。また、本発明の硬化物は柔軟性、耐熱性、耐湿性に優れ、更にエンジニアプラスチックや金属に対して優れた接着力を有する。
本発明の詳細を次に説明する。
<(A)成分>
本発明で(A)成分として使用することができる末端にイソシアネート基を有するプレポリマーとは、(a−1)成分:ポリカーボネートポリオールと、(a−2)成分:1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物を反応させたプレポリマーであれば限定されない。
<(A)成分>
本発明で(A)成分として使用することができる末端にイソシアネート基を有するプレポリマーとは、(a−1)成分:ポリカーボネートポリオールと、(a−2)成分:1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物を反応させたプレポリマーであれば限定されない。
合成方法としては、(a−1)成分に対して、イソシアネート基/水酸基の当量比が1.2〜3.5となるように(a−2)成分を反応させることにより製造することができる。反応は、無溶媒かつ無触媒の条件化で通常20℃〜90℃で1〜24時間の条件で撹拌することによって行うことができるが、必要に応じて酢酸エチル、トルエン、キシレンなどの溶媒および、触媒が用いられる。触媒としては例えば、オレイン酸鉛、テトラブチルスズ、三塩化アンチモン、トリフェニルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジブチル錫ジラウレート、チタンアルコキシド等のチタン系触媒、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸コバルト、テトラ−n−ブチル−1,3−ジアセチルオキシジスタノキサン、トリエチルアミン、1,4−ジアザ[2,2,2]ビシクロオクタン、N−エチルモルホリンなどを挙げることができ、中でも活性が高いことから、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、オクテン酸亜鉛が好ましく用いられる。
前記(a−1)成分におけるポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されないが、1種類以上のアルキレンジオールと1種類以上のジアルキルカーボネート又はジアリールカーボネートとを反応させて得られる反応物などがあげられる。前記アルキレンジオールとしては、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等が挙げられる。また、前記ジアルキルカーボネートとしては、ジエチルカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート等が挙げられる。また、前記ジアリールカーボネートとは、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
前記(a−1)成分の好ましい数平均分子量は、400〜10,000の範囲であり、更に好ましくは500〜8,000の範囲であり、特に好ましくは、600〜5,000の範囲である。上記数平均分子量が400未満であると、柔軟性及び耐久性に劣る硬化物になるおそれがあり、一方、上記数平均分子量が10,000を超えると、粘度が高い硬化性樹脂組成物になってしまい作業性が劣るおそれがある。
前記(A)成分の好ましい粘度は、25℃で10〜5000Pa・sの範囲であり、好ましくは、30〜3000Pa・sの範囲であり、特に好ましくは、50〜2000Pa・sの範囲である。25℃で10Pa・s未満であると、柔軟性及び耐久性に劣る硬化物になるおそれがあり、25℃で5000Pa・sを超えると、粘度が高い硬化性樹脂組成物になってしまい作業性が劣るおそれがある。
ポリカーボネートポリオールの市販品としては、例えば旭化成ケミカルズ株式会社製DURANOLシリーズ(T6002、T6001、T5652、T5651、T5650J、T5650E、G4672、T4671、T4692、T4691、G3452、G3450J)、宇部興産株式会社製ETERNACOLLシリーズ(UH50、UH100、UH200、UH300、UHC50−200、UHC50−100、UC100、UM90)等が挙げられるがこれに限定されない。このうち、組成物の粘度を低くしやすいという面では室温で液状であるものが好ましい。
前記(a−2)成分は1分子中にイソシアネート基を2つ以上含有する化合物であればよく、(a−2)成分としては例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートなどがあげられる。加熱により短時間で硬化し、耐久性に優れる硬化物が得られるという観点から、芳香族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが挙げられる。
(a−2)成分の前記芳香族ポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ポリメチレン・ポリフェニルイソシアネート等が挙げられる。また、前記脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。また、前記脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)、イソホロンジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらの1種または2種以上の混合物を使用に供してよい。
<(B)成分>
本発明の(B)成分は、常温で固体である分子内に2個以上の1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物である。以下、1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物の粉末をポリアミン粉と呼ぶ。(B)成分の具体例としては、特に限定されないが、脂肪族ポリアミン化合物、芳香族ポリアミン化合物、ヒドラジド化合物等が挙げられる。貯蔵安定性の観点から脂肪族ポリアミン化合物又はヒドラジド化合物を使用することが好ましく、特に好ましくは、耐湿試験後のゴム物性の変化率が少ないという観点から脂肪族ポリアミン化合物があげられる。
本発明の(B)成分は、常温で固体である分子内に2個以上の1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物である。以下、1級アミノ基又は2級アミノ基を有する化合物の粉末をポリアミン粉と呼ぶ。(B)成分の具体例としては、特に限定されないが、脂肪族ポリアミン化合物、芳香族ポリアミン化合物、ヒドラジド化合物等が挙げられる。貯蔵安定性の観点から脂肪族ポリアミン化合物又はヒドラジド化合物を使用することが好ましく、特に好ましくは、耐湿試験後のゴム物性の変化率が少ないという観点から脂肪族ポリアミン化合物があげられる。
前記脂肪族ポリアミン化合物としては、1,12−ドデカンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン等が挙げられる。また、前記芳香族ポリアミン化合物としては4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2′−ジアミノビフェニル、2,4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン等が挙げられる。また、前記ヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、イソフタール酸ジヒドラジド、1,3−ビス−(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントインエイコサン二酸ジヒドラジド、ハイドロキノンジグリコール酸ジヒドラジド、レゾルシノールジグリコール酸ジヒドラジド、4,4′−エチリデンビスフェノールジグリコール酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボヒドラジド、3,3’−(4−イソプロピル−2,5−ジオキソ−1,3−ジアゾリジン−1,3−ジイル)ジプロピオノヒドラジド等が挙げられるが、これに限定されない。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。
また、(B)成分としては工程数の多段階化、加工賃の増加などを考慮しなければ、必要に応じて粒子表面が不活性化処理されているポリアミン化合物を用いても良い。これら不活性化処理されたアミンを用いることで、さらに貯蔵安定性が向上した硬化性樹脂組成物となる。
(B)成分の平均粒径は、100μm以下、好ましくは40μm以下、より好ましくは0.1〜20μmに調整する。100μmを越える中心粒径では、低温硬化性に劣り、且つ硬化物の所望の物性が得られないおそれがある。
前記(B)成分の融点は40℃以上であることが好ましく、より好ましくは45℃以上であり、特に好ましくは50℃以上である。融点が40℃未満である場合、貯蔵安定性に劣る硬化性樹脂組成物になってしまうおそれがある。なお、融点はDSC測定法により求められた値である。
なお、粒子の調整の手法は特に限定されず、任意の化学的手法および機械的粉砕手法を用いることができる。粉砕方法としてはジェットミル、遊星ボールミル、ハンマーミル等が知られる。化合物の融点が低い場合は、凍結粉砕が有効である。一方、平均粒径の確認方法としては、レーザー回折散乱式やマイクロソーティング制御方式の粒度・形状分布測定器、光学顕微鏡、電子顕微鏡等の画像解析がある。
(A)成分、(B)成分の配合比率は特に限定されず、目的にあわせ任意の割合で使用できる。最も好ましくは(A)成分のイソシアネート当量と(B)成分のアミン当量の比率が1:0.4〜1:3.0の範囲内に入る事であり、60〜140℃において10分以内に硬化するという速硬化性および硬化物の柔軟性に優れる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の特性を損なわない範囲において、1分子内に1以上のイソシアネート基を有する化合物であるイソシアネート化合物、エポキシ基を有する化合物、チイラン樹脂、有機錫系触媒、ビスマス系触媒、チタン系触媒等の湿気重合触媒、ジシアンアミド、アミン−エポキシアダクト、尿素型アダクト、固形イミダゾール等のエポキシ潜在性触媒、リン酸エステル、ホウ酸エステル等の保存性向上剤、顔料、染料などの着色剤、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カーボン等の無機充填剤およびその表面を有機酸やカップリング剤で表面処理された無機充填剤、難燃剤、アクリルゴムやシリコンゴム等の有機充填剤、可塑剤、分子中にアクリル基等の反応性官能基を含む反応性可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、カップリング剤、脱水剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤を適量配合しても良い。これらの添加により、より柔軟性、樹脂強度、接着強さ、難燃性、熱伝導性、作業性等に優れた硬化性樹脂組成物およびその硬化物が得られる。
前記1分子内に1以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば前記(a−2)成分であるイソシアネート化合物の他、フェニルイソシアネート、p−トルエンスルホニルイソシアネート、イソシアネートエチルメタクリレート、3−イソプロペニル−α,α′−ジメチルベンジルイソシアネート、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなど使用することができるがこれに限定されない。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。粘度の調製ができる事と接着性が向上する効果がある。1分子内に1以上のイソシアネート基を有する化合物の添加量としては、(A)成分100重量部に対し1分子内に1以上のイソシアネート基を有する化合物が0.1〜20重量部の範囲で添加される事が最も好ましい。
前記エポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンから誘導されるジグリシジルエーテル、及びその誘導体等の所謂エピ−ビス型液状エポキシ樹脂、脂肪族・芳香族アルコールとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、多塩基酸とエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエステル、及びその誘導体、水添ビスフェノールAとエピクロルヒドリンから誘導されるグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の脂肪族環状エポキシ、及びその誘導体、5,5’−ジメチルヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート、イソブチレンから誘導される置換型エポキシ、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの分子内にアルコキシシリル基を含む化合物、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)メタン、1,6−ジ(2,3−エピチオプロポキシ)ナフタレン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)メタン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)エタン、1,5−ペンタンジオールの2,3−エピチオシクロヘキシル)エーテル、1,6−ヘキサンジオールのジ(3,4−エピチオオクチル)エーテル等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。市販されているこれらの製品としては例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のJER828、1001、801、806、807、152、604、630、871、YX8000、YX8034、YX4000、カージュラE10P、YL7000、YL7007、大日本インキ工業株式会社製のエピクロン830、835LV、HP4032D、703、720、726、HP820、旭電化工業株式会社製のEP4100、EP4000、EP4080、EP4085、EP4088、EPU6、EPR4023、EPR1309、EP49−20、ナガセケムテックス株式会社製デナコールEX411、EX314、EX201、EX212、EX252、EX111、EX146、EX721、デナレックスFCA−061L、FCA−061M、信越化学工業株式会社製KBM403、KBE402等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
前記チイラン樹脂としては、例えば2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)メタン、1,6−ジ(2,3−エピチオプロポキシ)ナフタレン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)フェニル)エタン、2,2−ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、ビス(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)メタン、1,1,1−トリス−(4−(2,3−エピチオプロポキシ)シクロヘキシル)エタン、1,5−ペンタンジオールの2,3−エピチオシクロヘキシル)エーテル、1,6−ヘキサンジオールのジ(3,4−エピチオオクチル)エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の硬化性樹脂組成物にエポキシ基を有する化合物又はチイラン樹脂を添加することで粘度の低減や、接着力、耐久性などの特性が向上する。エポキシ化合物の配合割合は特に限定されず目的に応じ任意の割合で添加できるが、(A)成分100質量部に対して、エポキシ基を有する化合物又はチイラン樹脂を0.1〜100重量部の範囲で添加すると、硬化物の特性である柔軟性を損なわずに粘度の低減や接着力、耐久性の向上を図ることができる。
本発明の構成成分を混合する順番は特に限定されないが、(A)成分と(B)成分を最初に混合した後に、その他の成分を混合することが硬化性樹脂組成物の保存性を高めるうえで好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は加熱により速やかに硬化させることができるが、加熱をしなくとも空気中の湿分により硬化させることも可能である。このことは加熱ムラなどで加熱硬化が不充分な部位もその後の室内放置により湿気により硬化できることを意味し、結果的に接着剤の信頼性をより高めることができる。なお、加熱による本発明の硬化条件としては50〜200℃が好ましく、より好ましくは70〜150℃である。
本発明の硬化型樹脂組成物は、加熱により速やかに耐久性に優れた柔軟な硬化物が得られ、エンジニアリングプラスチックや鉄等に対して優れた接着力を有するので、接着、封止、注型、塗装、コーティング材、光学部品の成形等様々な用途に使用可能である。より具体的な用途としては、自動車・輸送機分野では、自動車用のスイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。また、フラットパネルディスプレイでは、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、発光ダイオード表示装置、フィールドエミッションディスプレイの接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。携帯電話、多機能携帯電話等の電子モバイル機器の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である記録分野では、ビデオディスク、CD、DVD、MD、ピックアップレンズ、ハードディスク周辺(スピンドルモータ用部材、磁気ヘッドアクチュエータ用部材など)、ブルーレイディスク等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。電子材料分野では、電子部品、電気回路、電気接点あるいは半導体素子等の封止材料、ダイボンド剤、導電性接着剤、異方性導電性接着剤、ビルドアップ基板を含む多層基板の層間接着剤、ソルダーレジスト等を挙げることができる。電池分野では、Li電池、マンガン電池、アルカリ電池、ニッケル系電池、燃料電池、シリコン系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機太陽電池等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺、光コネクタ周辺の光ファイバー材料、光受動部品、光回路部品、光電子集積回路周辺の等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部、撮影レンズ、プロジェクションテレビの投射レンズ等の接着、封止、注型、成形、コーティング材等に使用が可能である。その他には、モーター、継電器の組立等にも適している。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
・プレポリマー1
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、数平均分子量2000のポリカーボネートポリオール(デュラノールT5652 旭化成ケミカルズ株式会社製)400質量部とトリレンジイソシアネート(コロネートT−80 日本ポリウレタン工業株式会社製)69.6質量部を投入し、60℃にて8時間撹拌反応させ、粘度1350Pa・s(25℃)の(A)成分であるプレポリマー1を得た。
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、数平均分子量2000のポリカーボネートポリオール(デュラノールT5652 旭化成ケミカルズ株式会社製)400質量部とトリレンジイソシアネート(コロネートT−80 日本ポリウレタン工業株式会社製)69.6質量部を投入し、60℃にて8時間撹拌反応させ、粘度1350Pa・s(25℃)の(A)成分であるプレポリマー1を得た。
・プレポリマー2
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、数平均分子量800のポリカーボネートポリオール(デュラノール T−5650J 旭化成ケミカルズ株式会社製)400質量部とトリレンジイソシアネート(コロネートT−80 日本ポリウレタン工業株式会社製)172.3質量部を投入し、60℃にて8時間撹拌反応させ、粘度414Pa・s(25℃)のプレポリマー2を得た。
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、数平均分子量800のポリカーボネートポリオール(デュラノール T−5650J 旭化成ケミカルズ株式会社製)400質量部とトリレンジイソシアネート(コロネートT−80 日本ポリウレタン工業株式会社製)172.3質量部を投入し、60℃にて8時間撹拌反応させ、粘度414Pa・s(25℃)のプレポリマー2を得た。
・プレポリマー3
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、数平均分子量1000のポリカーボネートポリオール(デュラノールT5651 旭化成ケミカルズ株式会社製)400質量部と1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(タケネート600 三井化学株式会社製)153.8質量部を投入し、80℃にて10時間撹拌反応させ、粘度244Pa・s(25℃)プレポリマー3を得た。
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、数平均分子量1000のポリカーボネートポリオール(デュラノールT5651 旭化成ケミカルズ株式会社製)400質量部と1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン(タケネート600 三井化学株式会社製)153.8質量部を投入し、80℃にて10時間撹拌反応させ、粘度244Pa・s(25℃)プレポリマー3を得た。
・プレポリマー4(比較例)
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、数平均分子量1000のポリエーテルポリオール(P3000 株式会社ADEKA製)400質量部とトリレンジイソシアネート(コロネートT−80 日本ポリウレタン工業株式会社製)46.5質量部を投入する。窒素雰囲気下、60℃にて8時間撹拌反応させ粘度1.7Pa・s(25℃)プレポリマー4を得た。
加熱温度調節装置を備えた容量3リットルのプラネタリー撹拌装置に、数平均分子量1000のポリエーテルポリオール(P3000 株式会社ADEKA製)400質量部とトリレンジイソシアネート(コロネートT−80 日本ポリウレタン工業株式会社製)46.5質量部を投入する。窒素雰囲気下、60℃にて8時間撹拌反応させ粘度1.7Pa・s(25℃)プレポリマー4を得た。
・ポリアミン粉1
結晶塊状態の1,10−デカンジアミン(融点62℃)を破砕造粒整粒機で粗粉砕後、ジェットミルで粉砕することにより平均粒径5μm、最大粒径17μmのアミン微粉体であるポリアミン粉1を得た。粒径の測定にはレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(セイシン企業製 LMS−30)を用いた。
結晶塊状態の1,10−デカンジアミン(融点62℃)を破砕造粒整粒機で粗粉砕後、ジェットミルで粉砕することにより平均粒径5μm、最大粒径17μmのアミン微粉体であるポリアミン粉1を得た。粒径の測定にはレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(セイシン企業製 LMS−30)を用いた。
・ヒドラジド粉1
粉体状のマロン酸ジヒドラジド(MDH 株式会社日本ファインケム製)をジェットミルでさらに粉砕することにより平均粒径0.5μm、最大粒径5μmのヒドラジド微粉体であるヒドラジド粉1を得た。
粉体状のマロン酸ジヒドラジド(MDH 株式会社日本ファインケム製)をジェットミルでさらに粉砕することにより平均粒径0.5μm、最大粒径5μmのヒドラジド微粉体であるヒドラジド粉1を得た。
[実施例1〜8及び比較例1、2]
実施例1〜8及び比較例1、2の硬化性樹脂組成物を調製するために下記成分を準備した。
<(A)成分>
a1:プレポリマー1
a2:プレポリマー2
a3:プレポリマー3
実施例1〜8及び比較例1、2の硬化性樹脂組成物を調製するために下記成分を準備した。
<(A)成分>
a1:プレポリマー1
a2:プレポリマー2
a3:プレポリマー3
<(A)成分の比較>
a’1:プレポリマー4
a’1:プレポリマー4
<(B)成分>
b1:ポリアミン粉1
b2:平均粒径2μm、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(アミキュアVDH−J 味の素ファインケミカル株式会社)
b3:ヒドラジド粉1
b1:ポリアミン粉1
b2:平均粒径2μm、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(アミキュアVDH−J 味の素ファインケミカル株式会社)
b3:ヒドラジド粉1
<(B)成分の比較>
b’1:常温で液状である3,3’−ジメチルメチレンジ(シクロヘキシルアミン)(アンカミン2049、エー・シー・アイ・ジャパン・リミテッド製)
b’1:常温で液状である3,3’−ジメチルメチレンジ(シクロヘキシルアミン)(アンカミン2049、エー・シー・アイ・ジャパン・リミテッド製)
<その他成分>
・可塑剤1:セバシン酸ジ2−エチルヘキシル
・可塑剤2:エポキシ基を有するアクリル系ポリマー、製品名UG−4000
・シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−403 信越化学工業株式会社
・炭酸カルシウム粉:ソフトン1800 備北粉化工業株式会社
・モレキュラーシーブ(13Xパウダー ユニオン昭和株式会社)
・着色剤(ET3741B 大日精化工業株式会社)
・可塑剤1:セバシン酸ジ2−エチルヘキシル
・可塑剤2:エポキシ基を有するアクリル系ポリマー、製品名UG−4000
・シランカップリング剤:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−403 信越化学工業株式会社
・炭酸カルシウム粉:ソフトン1800 備北粉化工業株式会社
・モレキュラーシーブ(13Xパウダー ユニオン昭和株式会社)
・着色剤(ET3741B 大日精化工業株式会社)
実施例1〜8及び比較例1〜2の製造方法は次の通りである。前記(A)成分と(B)成分を秤量して、撹拌機により30分間撹拌する。その他の成分を秤量して撹拌機に添加した後、さらに30分真空脱泡しながら間撹拌する。詳細な調製量は表1に従い、数値は全て質量部で表記する。
実施例1〜8、比較例1〜2の硬化性樹脂組成物に対して以下の試験を実施した。低温硬化性、保存安定性ゴム物性の結果を表1に示す。
<低温硬化性の確認>
ガラス板の上に直径約5mm、厚み0.5mmとなるように組成物を塗布する。80℃に設定したホットプレートに該ガラス板を乗せる。硬化性樹脂組成物が硬化またはゴム状となり流動しなくなるまでの時間を10秒毎に観察し「ゲルタイム」(秒)とする。ただし、実施例7、8のみは140℃にて確認を行う。
ガラス板の上に直径約5mm、厚み0.5mmとなるように組成物を塗布する。80℃に設定したホットプレートに該ガラス板を乗せる。硬化性樹脂組成物が硬化またはゴム状となり流動しなくなるまでの時間を10秒毎に観察し「ゲルタイム」(秒)とする。ただし、実施例7、8のみは140℃にて確認を行う。
<保存安定性の確認>
容量20mlのガラス瓶に各硬化性樹脂組成物を入れて蓋を閉めた状態で、25℃に設定した室内に静置する。硬化性樹脂組成物がゲル化して流動しなくなるまでの日数を1日毎に観察し「保存安定性」(日)とする。最長で30日保存性を確認し、30日以上保存性を確保した硬化性樹脂組成物には「30日以上」と表記する。
容量20mlのガラス瓶に各硬化性樹脂組成物を入れて蓋を閉めた状態で、25℃に設定した室内に静置する。硬化性樹脂組成物がゲル化して流動しなくなるまでの日数を1日毎に観察し「保存安定性」(日)とする。最長で30日保存性を確認し、30日以上保存性を確保した硬化性樹脂組成物には「30日以上」と表記する。
<引張り強さ、伸び率および硬さの測定>
各硬化性樹脂組成物を厚み2mmになるように離型処理されたPETフィルムで挟みこんだ状態で、80℃にて30分加熱してシート状の硬化物を作成した。これらのサンプルをJIS3号ダンベルで打ち抜き、厚み2mmのゴムサンプルを作製した。
各ゴムサンプルをJIS−K 6251に準拠して、引張り強さ、伸び率を引張り速度500mm/minにて測定した。また、各ゴムサンプルをJIS−K 6253に準拠して、硬さ(JIS−A)を測定した。それらの結果を表1に示す。
各硬化性樹脂組成物を厚み2mmになるように離型処理されたPETフィルムで挟みこんだ状態で、80℃にて30分加熱してシート状の硬化物を作成した。これらのサンプルをJIS3号ダンベルで打ち抜き、厚み2mmのゴムサンプルを作製した。
各ゴムサンプルをJIS−K 6251に準拠して、引張り強さ、伸び率を引張り速度500mm/minにて測定した。また、各ゴムサンプルをJIS−K 6253に準拠して、硬さ(JIS−A)を測定した。それらの結果を表1に示す。
表1に示されるように、本発明の実施例1〜8は、低温短時間硬化し、且つゴム物性に優れることがわかる。また、本発明の実施例1〜8は、表面処理されていないアミン粉であっても、保存安定性が優れることがわかる。
一方で、本発明の(A)成分ではない末端にイソシアネート基を有するプレポリマーポリエーテルポリオールを用いた比較例1は、9日でゲル化したという結果より、保存安定性が悪いことがわかる。また、硬化物のゴム物性も本発明の実施例1〜8と比較すると、劣る傾向にあることがわかる。また、本発明の(B)ではない硬化剤を用いた比較例2は、硬化性樹脂組成物製造時にゲル化してしまったという結果より、保存安定性が悪いことがわかる。
<引っ張りせん断接着強さの測定>
鉄試験片(SPCC−SD鋼板、25mm×100mm×1.6mm)同士、および66ナイロン試験片(旭化成ケミカルズ株式会社製レオナ1300G、25mm×100mm×2.0mm)同士を以下の手順で接着する。実施例5、8及び比較例1の硬化性樹脂組成物を一方の試験片に塗布して均一に延ばした後、幅方向に25mm、長さ方向に10mmで面一で重ね合わせて、もう一方の試験片を貼り合わせる。治具で固定した状態で80℃にて10分加熱し、その後、室温で1時間放置し得られたテストピースと室温で10日間放置し得られたテストピースの2種類を作成した。準備したテストピースを引張り試験機により引張り速度50mm/minにて測定し、その結果を表3に示す。単位は[MPa]とする。試験の詳細についてはJISK6850に従う。
鉄試験片(SPCC−SD鋼板、25mm×100mm×1.6mm)同士、および66ナイロン試験片(旭化成ケミカルズ株式会社製レオナ1300G、25mm×100mm×2.0mm)同士を以下の手順で接着する。実施例5、8及び比較例1の硬化性樹脂組成物を一方の試験片に塗布して均一に延ばした後、幅方向に25mm、長さ方向に10mmで面一で重ね合わせて、もう一方の試験片を貼り合わせる。治具で固定した状態で80℃にて10分加熱し、その後、室温で1時間放置し得られたテストピースと室温で10日間放置し得られたテストピースの2種類を作成した。準備したテストピースを引張り試験機により引張り速度50mm/minにて測定し、その結果を表3に示す。単位は[MPa]とする。試験の詳細についてはJISK6850に従う。
<T型はく離接着強さの測定>
L字型に曲げた鉄試験片同士(SPCC−SD鋼板、25mm×150mm×0.5mm、ただし長さ100mmの地点でL字型に曲げたもの)を以下の手順で接着する。
実施例5、8及び比較例1の組成物を一方の試験片の長さ100mmの面に塗布して均一に延ばした後、もう一方の試験片をT字型になるように貼り合わせ、治具で固定した状態で、実施例5と比較例1に対しては80℃、実施例8に対しては140℃の温度に設定した加熱恒温炉にて10分間加熱して硬化させテストピースを作成した。室温で1時間、または10日間放置した後、室温にて接着した試験片を引張り試験器により引張り速度50mm/minにて測定し「T型剥離接着強さ」(N/25mm)とする。
試験の詳細についてはJISK6854−3に従う。
L字型に曲げた鉄試験片同士(SPCC−SD鋼板、25mm×150mm×0.5mm、ただし長さ100mmの地点でL字型に曲げたもの)を以下の手順で接着する。
実施例5、8及び比較例1の組成物を一方の試験片の長さ100mmの面に塗布して均一に延ばした後、もう一方の試験片をT字型になるように貼り合わせ、治具で固定した状態で、実施例5と比較例1に対しては80℃、実施例8に対しては140℃の温度に設定した加熱恒温炉にて10分間加熱して硬化させテストピースを作成した。室温で1時間、または10日間放置した後、室温にて接着した試験片を引張り試験器により引張り速度50mm/minにて測定し「T型剥離接着強さ」(N/25mm)とする。
試験の詳細についてはJISK6854−3に従う。
表2の結果より、本発明の実施例5、8は、比較例1と比べて引っ張りせん断接着強さが際だって優れることがわかる。
また、本発明の実施例5、8は、鉄又は66ナイロンどちらの材質においても優れた引っ張りせん断接着強さを有することがわかる。また、本発明の実施例5、8は、T型剥離接着強さも優れることがわかる。
また、本発明の実施例5、8は、「加熱後室温1時間後」よりも「加熱後10日間後」の方がいずれも引っ張りせん断接着強さが向上していることがわかる。
また、本発明の実施例5、8は、「加熱後室温1時間後」よりも「加熱後10日間後」の方がいずれも引っ張りせん断接着強さが向上していることがわかる。
<耐熱性試験>
各硬化性樹脂組成物を厚み2mmになるように離型処理されたPETフィルムで挟みこんだ状態で、80℃にて30分加熱してシート状の硬化物を作成した。これらのサンプルをJIS3号ダンベルで打ち抜き、厚み2mmのゴムサンプルを作製した。かかるゴムサンプルを使用し、耐熱試験を行った。耐熱試験では、120℃環境化に14日間を放置した。耐熱試験後前後のゴムサンプルの硬さ(JIS−A)を測定し、変化率[%]を算出した。変化率が低いほど、耐熱性に優れていることを意味する。評価結果を表3に示す。
各硬化性樹脂組成物を厚み2mmになるように離型処理されたPETフィルムで挟みこんだ状態で、80℃にて30分加熱してシート状の硬化物を作成した。これらのサンプルをJIS3号ダンベルで打ち抜き、厚み2mmのゴムサンプルを作製した。かかるゴムサンプルを使用し、耐熱試験を行った。耐熱試験では、120℃環境化に14日間を放置した。耐熱試験後前後のゴムサンプルの硬さ(JIS−A)を測定し、変化率[%]を算出した。変化率が低いほど、耐熱性に優れていることを意味する。評価結果を表3に示す。
<耐湿性試験>
各硬化性樹脂組成物を厚み2mmになるように離型処理されたPETフィルムで挟みこんだ状態で、80℃にて30分加熱してシート状の硬化物を作成した。これらのサンプルをJIS3号ダンベルで打ち抜き、厚み2mmのゴムサンプルを作製した。かかるゴムサンプルを使用し、耐湿試験を行った。耐湿試験では、85℃×85%環境化に14日間を放置した。耐湿試験後前後のゴムサンプルの硬さ(JIS−A)を測定し、変化率を算出した。変化率が低いほど、耐湿性に優れていることを意味する。評価結果を表3に示す。
各硬化性樹脂組成物を厚み2mmになるように離型処理されたPETフィルムで挟みこんだ状態で、80℃にて30分加熱してシート状の硬化物を作成した。これらのサンプルをJIS3号ダンベルで打ち抜き、厚み2mmのゴムサンプルを作製した。かかるゴムサンプルを使用し、耐湿試験を行った。耐湿試験では、85℃×85%環境化に14日間を放置した。耐湿試験後前後のゴムサンプルの硬さ(JIS−A)を測定し、変化率を算出した。変化率が低いほど、耐湿性に優れていることを意味する。評価結果を表3に示す。
表3の耐熱試験において、実施例1、3〜8は変化率が低いという結果から、耐熱性を有することがわかる。また、表2の耐湿試験において、実施例1、3〜8は変化率が低いという結果から、硬化物の劣化が少ないことがわかり、中でも実施例1、3〜6は、特に変化が少ないことから、耐湿性を有することがわかります。
本発明は、加熱により速やかに硬化する同時に貯蔵安定性に優れる。また、本発明の硬化物は柔軟性、耐熱性、耐湿性に優れ、更にエンジニアリングプラスチックや金属に対して優れた接着力を有する硬化性樹脂組成物であるので、電気電子分野、輸送機器分野、一般接着等広い分野で接着剤、シール剤、コーティング剤、注型剤等に広く応用が可能なものである。
Claims (8)
- 下記(A)成分と(B)成分を含有する硬化性樹脂組成物。
(A)成分:ポリカーボネートポリオール(a−1)と1分子内に2以上のイソシアネート基を有する化合物(a−2)を反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するプレポリマー
(B)成分:常温で固体である1分子内に1級アミノ基または2級アミノ基を有する化合物 - 前記(B)成分の融点が、40℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、表面に何も固着していない粉体であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、脂肪族ポリアミン化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(a−1)成分の数平均分子量が600以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記(a−2)成分が、芳香族ポリイソシアネート又は脂環式ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1〜5のいずれ1項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を熱又は湿気により硬化させることを特徴とする硬化方法
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を熱又は湿気により硬化させることにより得られることを特徴とする硬化物。
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