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JP5257271B2 - 光電変換装置および光電変換装置の駆動方法、並びに放射線撮像装置および放射線撮像装置の駆動方法 - Google Patents

光電変換装置および光電変換装置の駆動方法、並びに放射線撮像装置および放射線撮像装置の駆動方法 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換装置および光電変換装置の駆動方法、並びに放射線撮像装置および放射線撮像装置の駆動方法に関する。放射線撮像装置は、α線、β線、γ線、X線に代表される放射線を波長変換体で光電変換装置の感度域に波長変換して放射線に基づく情報を読み取る放射線読取装置である。
光電変換装置や放射線撮像装置においては、光電変換部で光電変換された入力情報に基づく電荷を外部容量へ転送し、当該外部容量にて信号電圧に変換することが行なわれる。このように、光電変換部自身の容量から外部容量へ電荷を転送して信号電圧に変換することで、S/Nを比較的大きくとることができる。
ところで、画素を複数個並べて配置する構成を採る場合、画素から信号が読み出される信号線が画素の数に応じて配線長が長くなるために寄生容量が形成されることがある。例えば、200μm×200μmの大きさの画素を縦2000個×横2000個配置し、X線フィルム相当の大きさ、例えば40cm×40cmの大きさのエリアセンサを作製した場合を考える。
X線フィルム相当の大きさのエリアセンサの場合、電荷転送するトランジスタのゲート電極とソース領域の重なりで容量が形成される。この重なりは画素数に応じるため重なり容量Cgsは、1箇所について約0.05pFであるとしても、1本の信号線には0.05pF×2000個=100pFという容量が形成されることになる。
光電変換部自身の容量(センサ容量)Csは約1pF程度であるため、画素に発生した信号電圧をV1とすると信号線の出力電圧V0は
V0={Cs/(Cs+Cgs×1000)}×V1
となり、出力電圧は約1/100になってしまう。すなわち、大面積のエリアセンサを構成する場合には出力電圧は大幅にダウンすることになる。
また、このような状況下において、動画読取りを行なうためには、さらに1秒あたり30枚以上の画像読取りを行なうことができる感度と動作の高速性が要求される。特に、医療におけるX線診断を含む非破壊検査などでは照射するX線の線量を出来るだけ少なくしたいという要求もあり、信号電荷量を100〜400倍に増加できるような、即ちさらなる高感度化が要望されている。
これに対して、従来、光電変換部で発生した信号電荷をゲートで受ける電界効果トランジスタを有し、当該電界効果トランジスタによって信号電荷に応じた信号電圧を信号線に読み出すソースフォロワ回路を画素ごとに設ける構成が採られている(例えば、特許文献1参照)。このソースフォロワ回路によれば、信号線に形成される容量が大きな場合でも高速の信号読み出しが可能になる。
ただし、ソースフォロア回路は、そのオフセット電位のバラツキが、固定パターンノイズとして現れるという問題がある。特に、半導体層を非晶質シリコンや多結晶シリコンで構成したソースフォロア回路では、そのオフセット電位のバラツキは1V程度と非常に大きなものになる。
図13に、ソースフォロア回路を含む従来の画素回路を示す。従来例に係る単位画素100は、光電変換素子101、リセットトランジスタ102、読出用トランジスタ103および行選択トランジスタ104を有する構成となっている。
光電変換素子101は、アノードが蓄積ノードNに接続されており、入射光に応じた信号電荷を発生する。蓄積ノードNには容量成分105が存在し、光電変換素子101で発生した信号電荷は蓄積ノードNに蓄積される。リセットトランジスタ102は、蓄積ノードNと参照電位Vrefとの間に接続され、リセット信号Vrstに応答して蓄積ノードNをリセットする。
読出用トランジスタ103は、ゲートが蓄積ノードNに、ドレインが電源VDDにそれぞれ接続され、光電変換素子101で発生した信号電荷をゲートで受け、当該信号電荷に応じた信号電圧を出力する。行選択トランジスタ104は、読出用トランジスタ103のソースと信号線110との間に接続され、行走査信号Vreadに応答して、読出用トランジスタ103から出力される信号を信号線110に出力する。
信号線110の一端には定電流源120が接続されている。ここで、読出用トランジスタ103とそのソースに対して行選択トランジスタ104および信号線110を介して接続された定電流源120とによってソースフォロワ回路が形成されている。読出用トランジスタ103によって信号線110に読み出された信号は、アンプ130を介して出力される。
上記構成の画素回路では、ソースフォロワ回路を構成する読出用トランジスタ103のソース電位は、ゲート入力電位よりも当該読出用トランジスタ103の閾値電圧Vth分だけ低下する。これにより、ソースフォロワ回路が持つ閾値電圧分のオフセット値、即ち読出用トランジスタ103の閾値電圧Vthのバラツキが固定パターンノイズとして現れる。
そのため、特許文献1記載の従来技術では、X線の非照射時の各画素の出力データをオフセット値としてメモリに記憶しておき、当該オフセット値をX線照射時の出力データから差し引くことで、ソースフォロア回路のオフセット値のバラツキを補正するようにしている。
特開平11−307756号公報(特に、段落0038−0039等参照)
しかしながら、特許文献1記載の従来技術では、全画素領域に亘る画素ごとのオフセット値を常にメモリに記憶して使う必要があるために大容量のメモリが必要になり、当該メモリを含む信号処理ICのコストアップにつながるという問題点がある。
また、これらのオフセット値は、放射線撮像装置の使用温度や、前回の放射線照射による信号値、長期間に亘って使用した場合の経時劣化などの影響を受けるため、毎回同じ値をとる訳ではない。したがって、毎回撮像を行う度にオフセット値を読み出して使用することが必要となり、信号処理の処理速度の低下を招くために、高速撮像(撮影)などを行う場合には障害となる。
そこで、本発明は、全画素領域に亘る画素ごとのオフセット値をメモリに記憶しなくても、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧分のオフセット値のバラツキを補正可能な光電変換装置およびその駆動方法、並びに放射線撮像装置およびその駆動方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、
光電変換素子と、
前記光電変換素子で光電変換された信号電荷をゲートで受けて、当該信号電荷に応じた電気信号を読み出すソースフォロワ型の読出用トランジスタと
を有する単位画素が行列状に配置されてなる光電変換装置において、
前記読出用トランジスタのゲートに与える基準電位をVref、当該読出用トランジスタの閾値電圧をVthとするときに、前記読出用トランジスタによる信号読出しに先立って、前記読出用トランジスタのゲート電位をVref+Vthにリセットする。
また、入射した放射線により感光されて信号電荷を発生する放射線検出器を光電変換素子に代えて用いることによって放射線撮像装置を構成できる。
上記構成の光電変換装置または放射線撮像装置において、単位画素ごとに設けられた補正回路によるリセット動作により、信号の読出しに先立って、読出用トランジスタのゲート電位をVref+Vthにリセットする。すると、補正回路によるリセット動作後、読出用トランジスタの閾値電圧Vth分のオフセット値がのった状態で、読出用トランジスタのゲートが接続された蓄積ノードに信号電荷が蓄積される。これにより、信号の読出しの際に、ゲート入力電位に含まれる閾値電圧Vth分のオフセット値が読出用トランジスタの閾値電圧Vthと相殺される。その結果、信号読出し時の出力電位には、読出用トランジスタの閾値電圧Vth分のオフセット値が含まれないために、当該オフセット値のバラツキに起因する固定パターンノイズの発生を抑えることができる。
本発明によれば、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧Vth分のオフセット値のバラツキを補正する補正回路を単位画素ごとに設けることで、全画素領域に亘る画素ごとのオフセット値をメモリに記憶しなくても、オフセット値のバラツキを補正できる。
本発明が適用される光電変換装置のシステム構成の概略を示すシステム構成図である。 光電変換装置と波長変換体の組合せからなる放射線撮像装置を示す概略構成図である。 実施例1に係る単位画素の回路構成を示す回路図である。 実施例1に係る単位画素の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。 実施例2に係る単位画素の回路構成を示す回路図である。 実施例2に係る単位画素の回路動作の説明に供するタイミングチャートである。 間接変換型放射線検出器の構造の一例を示す断面図である。 直接変換型放射線検出器の構造の一例を示す断面図である。 トランジスタ部分の構造をトップゲート構造とした場合の直接変換型放射線検出器の構造を示す断面図である。 変形例1に係る画素アレイ部の構成を示す構成図である。 変形例2に係る画素アレイ部の構成を示す構成図である。 変形例3に係る画素アレイ部の構成を示す構成図である。 ソースフォロア回路を含む従来の画素回路を示す回路図である。
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.本発明が適用される光電変換装置
2.本発明(実施形態)の特徴部分
2−1.実施例1(リセット動作が1段階の例)
2−2.実施例2(リセット動作が2段階の例)
2−3.放射線検出器
2−4.放射線撮像装置
3.変形例
<1.本発明が適用される光電変換装置>
(システム構成)
図1は、本発明が適用される光電変換装置のシステム構成の概略を示すシステム構成図である。
本適用例に係る光電変換装置10は、ガラス基板等の絶縁性基板(以下、単に「基板」と記述する場合もある)11上に形成された画素アレイ部12と、当該画素アレイ部12と同じ基板11上に集積された周辺回路部とを有する構成となっている。本例では、周辺回路部として、例えば、行走査部(垂直駆動部)13、水平選択部14、列走査部(水平駆動部)15およびシステム制御部16が設けられている。
画素アレイ部12には、入射光の光量に応じた電荷量の光電荷を発生して内部に蓄積する光電変換部(光電変換素子)を有する単位画素(以下、単に「画素」と記述する場合もある)が行列状に2次元配置されている。単位画素の具体的な構成については後述する。
画素アレイ部12にはさらに、行列状の画素配列に対して画素行ごとに画素駆動線17が行方向(画素行の画素の配列方向)に沿って配線され、画素列ごとに垂直信号線18が列方向(画素列の画素の配列方向)に沿って配線されている。画素駆動線17は、画素から信号を読み出す駆動を行う駆動信号を伝送する。図1では、画素駆動線17について1本の配線として示しているが、1本に限られるものではない。画素駆動線17の一端は、行走査部13の各行に対応した出力端に接続されている。
行走査部13は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、画素アレイ部12の各画素を、例えば行単位で駆動する画素駆動部である。行走査部13によって選択走査された画素行の各単位画素から出力される信号は、垂直信号線18の各々を通して水平選択部14に供給される。水平選択部14は、垂直信号線18ごとに設けられたアンプや水平選択スイッチ等によって構成されている。
列走査部15は、シフトレジスタやアドレスデコーダ等によって構成され、水平選択部14の各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動する。この列走査部15による選択走査により、垂直信号線18の各々を通して伝送される各画素の信号が順番に水平信号線19に出力され、当該水平信号線19を通して基板11の外部へ伝送される。
なお、水平選択部14、列走査部15および水平信号線19からなる回路部分については、ガラス基板等の絶縁性基板11上に形成された回路もしくは外部制御ICあるいはその両方を併用して構成される。
システム制御部16は、基板11の外部から与えられるクロックや、動作モードを指令するデータなどを受け取り、また、本光電変換装置10の内部情報などのデータを出力する。システム制御部16はさらに、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータを有し、当該タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号を基に行走査部13、水平選択部14および列走査部15などの周辺回路部の駆動制御を行う。
(放射線撮像装置)
上記構成の光電変換装置10は、α線、β線、γ線、X線に代表される放射線を当該光電変換装置10の感度域に波長変換する波長変換体との組合せにより、放射線に基づく情報を読み取る放射線撮像装置(放射線読取装置)を構成することができる。具体的には、図2に示すように、光電変換装置10の画素アレイ部12の受光側に蛍光体(例えば、シンチレータ)のような波長変換体20を設けることにより放射線撮像装置30を構成することができる。
<2.本発明(実施形態)の特徴部分>
上記構成の光電変換装置10または放射線撮像装置30において、本発明は、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧分のオフセット値のバラツキを補正可能な補正回路を単位画素ごとに有することを特徴としている。
このように、単位画素ごとに補正回路を有することで、従来技術のように、全画素領域(画素アレイ部12の全体)に亘る画素ごとのオフセット値をメモリに記憶しなくても、各画素内でオフセット値のバラツキを補正することが可能になる。したがって、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧分のオフセット値のバラツキのより精細な補正が可能になる。
また、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧分のオフセット値は、放射線撮像装置30の使用温度や、前回の放射線照射による残留信号値、長期間に亘って使用した場合の経時劣化などの影響により、撮像の度に毎回変わるオフセット値を、完全に排除することが可能となる。さらには、毎回の補正値の読み出しが不要になるために、心臓などの動的撮影などの高速撮影を可能とすることができる。その結果、人体に対する放射線の被爆量を減らすことが可能となる。
以下に、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧分のオフセット値のバラツキを補正可能な補正回路を有する単位画素の具体的な実施例について説明する。
[2−1.実施例1]
(画素回路)
図3は、実施例1に係る単位画素の回路構成を示す回路図である。図3に示すように、実施例1に係る単位画素40Aは、光電変換素子41、読出用トランジスタ42、行選択トランジスタ43および補正回路44Aを有する構成となっている。この単位画素40Aに対して、画素駆動線17として例えば3本の配線、具体的には行選択線171、第1,第2のリセット制御線172,173が画素行ごとに配線されている。
光電変換素子41は、例えばPIN(Positive Intrinsic Negative Diode)フォトダイオードであり、アノードが蓄積ノードN11に接続されており、入射光の光量に応じた電荷量の信号電荷を発生する。この光電変換素子41で発生した信号電荷は蓄積ノードN11に蓄積される。
読出用トランジスタ42は、ゲートが蓄積ノードN11に、ドレインが電源VDDにそれぞれ接続され、光電変換素子41で発生した信号電荷をゲートで受け、当該信号電荷に応じた電気信号、即ち信号電圧を出力するソースフォロワ型のトランジスタである。この読出用トランジスタ42は、例えば微結晶シリコンまたは多結晶シリコンを半導体層とする。
微結晶シリコンまたは多結晶シリコン(ポリシリコン)はアモルファスシリコンに比べて移動度μが高いため、読出用トランジスタ42による信号の高速読出しが可能になる。因みに、読出用トランジスタ42の半導体層が例えば低温ポリシリコンからなる場合、当該読出用トランジスタ42の閾値電圧Vthのバラツキは±0.5〜1V程度となることが知られている。
行選択トランジスタ43は、読出用トランジスタ42のソースと垂直信号線18との間に接続され、行選択線171を介して行走査部13から与えられる行走査信号Vreadに応答して、読出用トランジスタ42から出力される信号を垂直信号線18に出力する。
すなわち、行選択トランジスタ43は、単位画素40Aを選択(活性化)状態にする。この行選択トランジスタ43は、読出用トランジスタ42のソースと垂直信号線18との間ではなく、ドレインと電源VDDとの間に接続されても単位画素40Aの選択を行うことができる。
垂直信号線18の一端には定電流源50が接続されている。ここで、読出用トランジスタ42とそのソースに対して行選択トランジスタ43および垂直信号線18を介して接続された定電流源50とによってソースフォロワ回路が形成されている。読出用トランジスタ42によって垂直信号線18に読み出された信号は、水平選択部14内のアンプ141に供給される。
補正回路44Aは、スイッチ素子である3つのリセットトランジスタ441,442,443および1つのキャパシタ444によって構成されている。この補正回路44Aは、信号の読出しに先立って、蓄積ノードN11の電位を基準電位Vrefに読出用トランジスタ42の閾値電圧Vthを加算した電位Vref+Vthにリセットする作用を為す。
リセットトランジスタ441は、蓄積ノードN11と基準電位端子445との間に接続され、第1のリセット制御線172を介して行走査部13から与えられるリセット信号Vrst1に応答してオン/オフ動作を行う。リセット端子445には基準電位Vrefが与えられる。
リセットトランジスタ442は、一方の電極が読出用トランジスタ42のソースに接続され、第1のリセット制御線172を介して行走査部13から与えられるリセット信号Vrst1に応答してオン/オフ動作を行う。すなわち、リセットトランジスタ442は、リセットトランジスタ441と同期してオン/オフ動作を行う。
リセットトランジスタ443は、一方の電極がリセットトランジスタ442の他方の電極に、他方の電極が基準電位端子445にそれぞれ接続され、第2のリセット制御線173を介して行走査部13から与えられるリセット信号Vrst2に応答してオン/オフ動作を行う。キャパシタ444は、蓄積ノードN11とリセットトランジスタ442,443の共通接続ノードN12との間に接続されている。
ここでは、読出用トランジスタ42、行選択トランジスタ43およびリセットトランジスタ441〜443として、例えばNチャネル型の電界効果トランジスタを用いている。ただし、ここで例示した読出用トランジスタ42、行選択トランジスタ43およびリセットトランジスタ441〜443の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
(回路動作)
次に、上記構成の実施例1に係る単位画素40Aの回路動作について、図4のタイミングチャートを用いて説明する。図4のタイミングチャートには、行走査信号Vread、リセット信号Vrest1,Vrest2、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinおよびアンプ141の出力電位Voutの各波形を示している。
時刻t11で行走査信号Vreadがアクティブ(本例では、高レベル)状態になる。すると、行選択トランジスタ43がオン状態となり、当該選択トランジスタ43を含む画素40Aが属する画素行の各画素が選択された状態となる。
時刻t11で同時に、リセット信号Vrst1がアクティブ(本例では、高レベル)状態になることで、リセットトランジスタ441,442が共にオン状態となる。リセットトランジスタ441がオン状態になることで、蓄積ノードN11の電位が基準電位Vrefにリセットされ、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinが基準電位Vrefになる。
このとき、読出用トランジスタ42のソース電位は、ゲート入力電位Vinから読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth分だけ低い電位、即ちVref−Vthになる。また、リセットトランジスタ442がオン状態にあることから、共通接続ノードN12の電位もVref−Vthになる。その結果、キャパシタ444の両端間電圧が閾値電圧Vthになる。
次に、時刻t12でリセット信号Vrst1が非アクティブ状態になり、同時にリセット信号Vrst2がアクティブ(本例では、高レベル)状態になる。これにより、リセットトランジスタ443がオン状態となり、共通接続ノードN12の電位が基準電位Vrefになる。その結果、蓄積ノードN11の電位は、電位Vrefからキャパシタ444の両端間電圧VthだけシフトされてVref+Vthになる。
以上の一連の動作を行う時刻t11から時刻t12までの期間が、蓄積ノードN11の電位をリセットするリセット期間となる。このリセット動作により、蓄積ノードN11の電位はVref+Vthになる。すなわち、蓄積ノードN11の電位はVref+Vthにリセットされる。その後、時刻t13で行走査信号Vreadが非アクティブ状態になる。
時刻t12でリセット動作が終了すると、光電変換素子41で光電変換された信号電荷の蓄積ノードN11への蓄積が開始される。これにより、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinは、基準電位Vref+Vthから蓄積ノードN11の蓄積電荷量に応じて上昇する。
すなわち、リセットトランジスタ441〜443によるリセット動作により、読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth分のオフセット値がのった状態で、蓄積ノードN11に対する信号電荷の蓄積が始まる。その結果、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinは、閾値電圧Vth分のオフセット値を含む電位となる。
そして、一定の蓄積期間が経過した時刻t14で行走査信号Vreadが再びアクティブ状態になることで、行選択トランジスタ43がオン状態となり、当該選択トランジスタ43を含む画素40Aが属する画素行の各画素が選択された状態となる。なお、時刻t12から時刻t14までの期間が蓄積期間(光電変換期間)となる。
画素選択が行われることで、読出用トランジスタ42による蓄積電圧の読出しが開始される。このとき、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinに含まれるオフセット値、即ち閾値電圧Vthは、読出用トランジスタ42の閾値電圧Vthと相殺される。これにより、出力電位Voutは、リセット期間(t11−t12)では読出用トランジスタ42の閾値電圧Vthのバラツキの影響を受けるのに対して、読出し期間(t14−t15)では閾値電圧Vthのバラツキの影響を受けない。
上述したように、画素40Aごとに有する補正回路44Aによるリセット動作により、信号の読出しに先立って、蓄積ノードN11の電位、即ちゲート入力電位VinをVref+Vthにリセット(設定)することで、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、補正回路44Aによるリセット動作後、読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth分のオフセット値がのった状態で蓄積ノードN11に信号電荷が蓄積される。これにより、信号の読出しの際に、ゲート入力電位Vinに含まれる閾値電圧Vth分のオフセット値が読出用トランジスタ42の閾値電圧Vthと相殺される。
その結果、信号読出し時の出力電位Voutには、読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth分のオフセット値が含まれないために、当該オフセット値のバラツキに起因する固定パターンノイズの発生を抑えることができる。換言すれば、補正回路44Aによるリセット動作により、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧Vth分のオフセット値のバラツキを補正できる。
[2−2.実施例2]
(画素回路)
図5は、実施例2に係る単位画素の回路構成を示す回路図である。図5において、図3と同等部分(対応する部分)には同一符号を付して示し、重複説明は省略する。
実施例2に係る単位画素40Bは、光電変換素子41、読出用トランジスタ42および行選択トランジスタ43に加えて画素ごとに有する補正回路44Bの構成を、実施例1に係る補正回路44Aと異にしており、それ以外は基本的に同じである。この補正回路44Bを有する単位画素40Bに対して、画素駆動線17として例えば5本の配線、具体的には行選択線171、第1〜第4のリセット制御線172〜175が画素行ごとに配線されている。
補正回路44Bは、5つのリセットトランジスタ441,442,443,446,447および2つのキャパシタ444,448によって構成されている。リセットトランジスタ441は、蓄積ノードN11と基準電位端子(ノード)445との間に接続され、第1のリセット制御線172を介して行走査部13から与えられるリセット信号Vrst1に応答してオン/オフ動作を行う。リセット端子445には基準電位Vrefが与えられる。
リセットトランジスタ442は、一方の電極が読出用トランジスタ42のソースに接続され、第1のリセット制御線172を介して行走査部13から与えられるリセット信号Vrst1に応答してオン/オフ動作を行う。すなわち、リセットトランジスタ442は、リセットトランジスタ441と同期してオン/オフ動作を行う。
リセットトランジスタ443は、一方の電極がリセットトランジスタ442の他方の電極に、他方の電極が基準電位端子445にそれぞれ接続され、第2のリセット制御線173を介して行走査部13から与えられるリセット信号Vrst2に応答してオン/オフ動作を行う。
リセットトランジスタ446は、一方の電極が読出用トランジスタ42のソースに接続され、第3のリセット制御線174を介して行走査部13から与えられるリセット信号Vrst3に応答してオン/オフ動作を行う。
リセットトランジスタ447は、一方の電極がリセットトランジスタ446の他方の電極に、他方の電極が基準電位端子445にそれぞれ接続され、第4のリセット制御線175を介して行走査部13から与えられるリセット信号Vrst4に応答してオン/オフ動作を行う。
キャパシタ444は、蓄積ノードN11とリセットトランジスタ442,443の共通接続ノードN12との間に接続されている。キャパシタ448は、蓄積ノードN11とリセットトランジスタ446,447の共通接続ノードN13との間に接続されている。
ここでは、読出用トランジスタ42、行選択トランジスタ43およびリセットトランジスタ441〜443,446,447として、例えばNチャネル型の電界効果トランジスタを用いている。ただし、ここで例示した読出用トランジスタ42、行選択トランジスタ43およびリセットトランジスタ441〜443,446,447の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
(回路動作)
次に、上記構成の実施例2に係る単位画素40Bの回路動作について、図6のタイミングチャートを用いて説明する。図6のタイミングチャートには、行走査信号Vread、リセット信号Vrest1,Vrest2,Vrest3,Vrest4、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinおよびアンプ141の出力電位Voutの各波形を示している。
時刻t21で行走査信号Vreadがアクティブ(本例では、高レベル)状態になる。すると、行選択トランジスタ43がオン状態となり、当該選択トランジスタ43を含む画素40Bが属する画素行の各画素が選択された状態となる。
時刻t21で同時に、リセット信号Vrst1,Vrst3が共にアクティブ(本例では、高レベル)状態になることで、リセットトランジスタ441,442,446が共にオン状態となる。リセットトランジスタ441がオン状態になることで、蓄積ノードN11の電位が基準電位Vrefにリセットされ、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinが基準電位Vrefになる。
このとき、読出用トランジスタ42のソース電位は、ゲート入力電位Vinから読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth分だけ低い電位、即ちVref−Vthになる。また、リセットトランジスタ442,446が共にオン状態にあることから、共通接続ノードN12,N13の電位もVref−Vthになる。
その結果、キャパシタ444,448の両端間電圧が閾値電圧Vthになる。このときの閾値電圧Vthは、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinが基準電位Vrefのときの動作条件における当該読出用トランジスタ42の閾値電圧である。
次に、時刻t22でリセット信号Vrst1が非アクティブ状態になり、同時にリセット信号Vrst2がアクティブ(本例では、高レベル)状態になる。これにより、リセットトランジスタ443がオン状態となり、共通接続ノードN12の電位が基準電位Vrefになる。その結果、蓄積ノードN11の電位は、電位Vrefからキャパシタ444の両端間電圧VthだけシフトされてVref+Vthになる。
このとき、読出用トランジスタ42は、ゲート入力電位VinがVref+Vthでの動作状態となる。この動作条件で読出用トランジスタ42の閾値電圧Vthにバラツキがなければ、読出用トランジスタ42のソース電位は基準電位Vref(=(Vref+Vth)−Vth)となる。
一方、ゲート入力電位VinがVref+Vthでの動作条件で読出用トランジスタ42の閾値電圧Vthにバラツキがあり、そのときの閾値電圧をVth´(=Vth±α)とすると、読出用トランジスタ42のソース電位はVref±αとなる。このとき、リセット信号Vrst3がアクティブ状態にあり、リセットトランジスタ446がオン状態のままであるために、キャパシタ448の両端間電圧がVth±αとなる。
次に、時刻t23でリセット信号Vrst2,Vrst3が共に非アクティブ状態になり、同時にリセット信号Vrst4がアクティブ(本例では、高レベル)状態になる。これにより、リセットトランジスタ447がオン状態になり、共通接続ノードN13の電位が基準電位Vrefになる。その結果、蓄積ノードN11の電位は、電位Vrefからキャパシタ444の両端間電圧Vth±αだけシフトされてVref+Vth±αになる。
以上の一連の動作を行う時刻t21から時刻t23までの期間が、蓄積ノードN11の電位をリセットするリセット期間となる。このリセット動作により、蓄積ノードN11の電位はVref+Vth±αになる。すなわち、蓄積ノードN11の電位はVref+Vth±αにリセットされる。その後、時刻t24で行走査信号Vreadが非アクティブ状態になる。
時刻t23でリセット動作が終了すると、光電変換素子41で光電変換された信号電荷の蓄積ノードN11への蓄積が開始される。これにより、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinは、基準電位Vref+Vth±αから蓄積ノードN11の蓄積電荷量に応じて上昇する。
すなわち、リセットトランジスタ441〜443,446,447によるリセット動作により、読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth±α分のオフセット値がのった状態で、蓄積ノードN11に対する信号電荷の蓄積が始まる。その結果、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinは、閾値電圧Vth±α分のオフセット値を含む電位となる。
そして、一定の蓄積期間が経過した時刻t25で行走査信号Vreadが再びアクティブ状態になることで、行選択トランジスタ43がオン状態となり、当該選択トランジスタ43を含む画素40Bが属する画素行の各画素が選択された状態となる。なお、時刻t23から時刻t25までの期間が蓄積期間(光電変換期間)となる。
画素選択が行われることで、読出用トランジスタ42による蓄積電圧の読出しが開始される。このとき、読出用トランジスタ42のゲート入力電位Vinに含まれるオフセット値、即ち閾値電圧Vth±αは、読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth±αと相殺される。これにより、出力電位Voutは、リセット期間(t21−t23)では読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth±αのバラツキの影響を受けるのに対して、読出し期間(t25−t26)では閾値電圧Vth±αのバラツキの影響を受けない。
上述したように、画素40Bごとに有する補正回路44Bによるリセット動作により、信号の読出しに先立って、蓄積ノードN11の電位をVref+Vth±αにリセットすることで、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、リセット動作後読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth±α分のオフセット値がのった状態で蓄積ノードN11に対して信号電荷が蓄積されるため、信号の読出しの際にゲート入力電位Vinに含まれるオフセット値が読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth±αと相殺される。
その結果、信号読出し時の出力電位Voutには、読出用トランジスタ42の閾値電圧Vth±α分のオフセット値が含まれないために、当該オフセット値のバラツキに起因する固定パターンノイズの発生を抑えることができる。換言すれば、補正回路44Bによるリセット動作により、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧Vth±α分のオフセット値のバラツキを補正できる。
特に、実施例2に係る補正回路44Bによれば、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧分のオフセット値のバラツキ補正が2段階で行われるために、実施例1に係る補正回路44Aの場合に比べてさらに精密な補正を行うことができる。
なお、ここでは、ソースフォロア回路のオフセット値のバラツキ補正を2段階で行う場合を例に挙げたが、回路素子数を増やすことによって3段階以上のバラツキ補正が可能な補正回路の実現も可能である。
また、実施例1,2では、補正回路44A,44Bによるオフセット値のバラツキ補正のためのリセット動作を画素行単位で行い場合を例に挙げたが、複数の画素行間で同時に行うようにすれば、リセット動作に要する時間を短縮できる利点がある。
[2−3.放射線検出器]
以上では、光電変換装置10の場合を前提として説明したが、放射線撮像装置30の場合には、入射した放射線により感光されて信号電荷を発生する放射線検出器(放射線感光器)が光電変換素子41に代えて用いられることになる。放射線検出器は、間接変換型放射線検出器と直接変換型放射線検出器に大別される。以下に、放射線検出器の具体的な構成例について説明する。
(間接変換型放射線検出器)
図7は、間接変換型放射線検出器の構造の一例を示す断面図である。ここでは、隣接する2画素分の素子構造を、読出用トランジスタ42やキャパシタ444を含む回路部分と共に示している。
図7において、ガラス基板等の絶縁性基板61上に、Ti、Al、Mo、W、Cr等からなるゲート電極62およびキャパシタ電極63が形成されている。これら電極62,63の上にはSiNx、SiO2等からなるゲート絶縁膜64が形成され、その上部に微結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等からなる半導体層65およびキャパシタ電極66が形成されている。
半導体層65およびキャパシタ電極66の上には、SiNx、SiO2等からなる第1の層間絶縁膜67が形成されている。第1の層間絶縁膜67の上部には、読み出し用の信号線や、読出用トランジスタ42とキャパシタ444をコンタクトホールを介して接続する配線68がTi、Al、Mo、W、Cr等によって形成されている。これら配線68の上には、SiNx、SiO2、有機絶縁膜等からなる第2の層間絶縁膜69が形成されている。
そして、第2の層間絶縁膜69の上に間接変換型放射線検出器70Aが形成されることになる。具体的には、第2の層間絶縁膜69の上部に、コンタクトホールを介してPINフォトダイオード80の下部電極81がTi、Al、Mo、W、Cr等によって形成されている。下部電極81の上には、p型半導体層82、i型半導体層83、n型半導体層84が順に積層されることで、いわゆる、PINフォトダイオード80が形成される。
このPINフォトダイオード80の半導体層には、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコンなどが使用できる。また、これらのシリコンに、ゲルマニウムや炭素などの材料を導入して、分光感度を変えるようにしてもよい。また、PINフォトダイオード80としては、下部側をn型、上部側をp型にするような逆向きの構成でも構わない。
n型半導体層84の上には、当該PINフォトダイオード80に対して規定の電圧を印加するための上部電極85がITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電膜によって形成されている。さらに、上部電極85の上には当該上部電極85に電圧を供給する電源線86がTi、Al、Mo、W、Cr等によって形成されている。
PINフォトダイオード80の上部には、有機平坦化膜、スピンオングラス材料等からなる平坦化膜71が形成され、その上部にX線などの放射線を可視光に変換するいわゆるシンチレータと呼ばれる蛍光体72がCsI、NaI、CaF2等によって形成されている。
蛍光体72は、X線などの放射線をPINフォトダイオード80の感度域に波長変換する波長変換体である。蛍光体72の上部には、必要に応じて保護膜(図示せず)をアモルファスカーボン、Al等によって形成するようにしても良い。
上記構成の間接変換型放射線検出器70Aにおいて、PINフォトダイオード80の上部電極85には、下部電極81との間の電位差によりPINフォトダイオード80が逆バイアスになるような電圧差(例えば、3〜10V程度)を印加して使用する。場合によっては、順バイアス電圧を加えてリセット動作を行うなどして使用しても良い。
(直接変換型放射線検出器)
図8は、直接変換型放射線検出器の構造の一例を示す断面図である。図8において、図7と同等部分(対応する部分)には同一符号を付して示し、重複説明は省略する。ここでも、隣接する2画素分の素子構造を、読出用トランジスタ42やキャパシタ444を含む回路部分と共に示している。
直接変換型放射線検出器70Bは、ゲート電極62から下部電極81までの構成は間接変換型放射線検出器70Aと同じであり、その説明については省略する。直接変換型放射線検出器70Bは、下部電極81の上にX線を直接電荷に変換する、X線電荷変換膜87を、Se、PbI2、PbTe、HgTe、HgI2、ZnS、ZnTe、GaP、AlSb、CdZnTe、CdTe、CdSe、CdS等で形成された構成となっている。場合によっては、不要な電荷の注入を防ぐため、上下にn型層やp型層を形成してPIN構造にしても良い。
X線電荷変換膜87の上部には、当該X線電荷変換膜87に適切な電圧を印加するための上部電極85がTi、Al、Mo、W、Cr等によって形成される。一般的にX線電荷変換膜87は100μm〜1000μm程度の膜厚で形成される。したがって、上部電極85には、1kV程度の高電圧を印加する必要がある。
なお、上述した間接変換型放射線検出器70Aおよび直接変換型放射線検出器70Bでは、トランジスタ部分の構造をボトムゲート構造としたが、トップゲート構造であっても良い。
トランジスタ部分の構造をトップゲート構造とした場合の直接変換型放射線検出器70Bの構造を図9に示す。図9において、図8と同等部分には同一符号を付し、重複説明は省略する。ここでは、直接変換型放射線検出器70Bについて示すが、間接変換型放射線検出器70Aについても同様である。
トップゲート構造の場合、ガラス基板等の絶縁性基板61上に、微結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等からなる半導体層65が形成され、その上にSiNx、SiO2等からなるゲート絶縁膜64が形成されている。そして、ゲート絶縁膜64の上には、Ti、Al、Mo、W、Cr等からなるゲート電極62が形成されている。
なお、これまでの例では、トランジスタ部分の詳細な説明を省いたが、リーク電流を低減するためにチャネル部分とソース・ドレイン間にLDD(Lightly Doped Drain)を形成することは有効である。
[2−4.放射線撮像装置]
上記構成の放射線検出器70(間接変換型放射線検出器70A/直接変換型放射線検出器70B)を、図3、図5の光電変換素子41に代えて用いることで、放射線に基づく情報を読み取る放射線撮像装置(図2の放射線撮像装置30)を構成することができる。この放射線撮像装置30によれば、α線、β線、γ線、X線に代表される放射線を光電変換装置10の感度域に波長変換しつつ放射線に基づく情報を読み取ることができる。
この放射線撮像装置30において、ソースフォロア回路が持つ閾値電圧分のオフセット値は、放射線撮像装置30の使用温度や、前回の放射線照射による残留信号値、長期間に亘って使用した場合の経時劣化などの影響により、撮像の度に毎回変わる。このオフセット値を補正回路44(44A,44B)によって排除することが可能となる。また、毎回の補正値の読み出しが不要になることで、心臓などの動的撮影などの高速撮影が可能になるため、人体に対する放射線の被爆量を減らすことが可能となる。
<3.変形例>
上記実施形態では、画素を駆動する行走査部13を含む周辺回路部を、画素アレイ部12と同じ基板11上に設ける構成を採っているが、当該周辺回路部を基板11の外部に設ける構成を採ることも可能である。
ただし、例えば行走査部13を基板11上に設ける構成を採った方が、次の点で有利である。例えば、基板11の外部に設けた複数の駆動ICからタイミング制御を行う場合に発生する駆動IC間の同期バラツキが発生しなくなるため駆動IC間の同期制御系やその調整作業が不要になる。また、複数の駆動ICと基板11とを接続する作業が不要となるため、大幅なコストダウンが可能となる。
さらには、ハンディタイプの放射線撮像装置や、移動時の振動などによる断線の可能性が減り、信頼性を大幅に向上させることが可能となる。さらにまた、複数の駆動ICと基板11とをフレキシブルケーブルなどによって接続する場合に比べて、装置本体の小型化が可能となり、本体装置への組み込み自由度が大幅に向上するという利点をある。
また、上記実施形態では、画素アレイ部12の各単位画素40(40A,40B)を1つの行走査部13によって駆動するとしたが、その駆動部としては1つの行走査部13に限られるものではない。
例えば、図10に示すように、垂直信号線18を上下の垂直信号線18A,18Bに2分割するとともに、行走査部13を上下の行走査部13A,13Bに2分割し、これら行走査部13A,13Bによって並行して駆動する構成を採ることも可能である。
このように、垂直信号線18を1つの画素列に対して2本配線する構成によれば、2行分について同時に補正回路44によってリセットすることが可能になる。また、単位画素40からの信号の読出しも、垂直信号線18A,18Bを通して並行して行うことができるために、1つの行走査部13による駆動の場合に比べて信号の読出し速度を少なくとも2倍に高速化できる。
図10の変形例1に係る構成では、垂直信号線18を1つの画素列に対して2本配線するとしたが、2本に限られるものではない。例えば、図11に示すように、画素アレイ部12の上部側に2本の垂直信号線18A,18B、下部側に2本の垂直信号線18C,18Dの計4本配線する構成を採ることも可能である。
このように、垂直信号線18を1つの画素列に対して4本配線する構成によれば、リセット動作および信号の読出し動作を、2本配線する場合の倍に高速化できる。ここで、垂直信号線18を1つの画素列に対して2本または4本配線する例を示したが、3本または5本以上配線する構成を採ることも可能であり、リセット動作および信号の読出し動作のさらなる高速化を図ることができる。
さらには、信号読出し用の定電流源50(図3、図5参照)の駆動能力が許す限り、複数の画素行について同時に補正回路44によるリセット動作を行うことが望ましい。複数の画素行を同時にリセットすることにより、リセット動作にかかる時間が画素行単位で順番にリセットする場合よりも短縮され、その行数が増える程さらに短縮されるため、さらなる高速読出しが可能になる。
また、図12に示すように、一端側に信号読出し用の定電流源50が接続されている垂直信号線18の他端側に、定電流源50よりも駆動能力が大きい定電流源51を閾値補正リセット用に設けて、リセット動作時には当該定電流源51を使う構成を採ることも可能である。これによれば、信号読出し用の定電流源50を用いてリセット動作を行う場合よりも、より確実に閾値補正のためのリセット動作を行うことができる。
10…光電変換装置、11…絶縁性基板、12…画素アレイ部、13(13A,13B)…行走査部(垂直駆動部)、14…水平選択部、15…列走査部(水平駆動部)、16…システム制御部、20…波長変換体、30…放射線撮像装置、40(40A,40B)…単位画素、41…光電変換素子、42…読出用トランジスタ、43…行選択トランジスタ、44(44A,44B)…補正回路、50…定電流源、70…放射線検出器、70A…間接変換型放射線検出器、70B…直接変換型放射線検出器、80…PINフォトダイオード

Claims (10)

  1. 光電変換素子と、
    前記光電変換素子で光電変換された信号電荷をゲートで受けて、当該信号電荷に応じた電気信号を読み出すソースフォロワ型の読出用トランジスタと、
    前記読出用トランジスタのゲートとソースとの間に配置され、当該ソースとスイッチ素子を介して接続されたキャパシタと、
    前記読出用トランジスタのゲートに与える基準電位をVref、当該読出用トランジスタの閾値電圧をVthとするときに、前記読出用トランジスタによる信号読出しに先立って、前記スイッチ素子により前記キャパシタと前記ソースとの接続/非接続を制御して前記読出用トランジスタのゲート電位をVref+Vthにリセットする補正回路と
    を有する単位画素が行列状に配置されてなる光電変換装置。
  2. 前記読出用トランジスタは、微結晶シリコンまたは多結晶シリコンを半導体層とする請求項1記載の光電変換装置。
  3. 前記補正回路は、
    前記基準電位のノードと前記読出用トランジスタのゲートとの間に接続され、前記基準電位を前記読出用トランジスタのゲートに与える第1のトランジスタと、
    一方の電極が前記読出用トランジスタのソースに接続され、前記第1のトランジスタと同期してオン/オフ動作を行う第2のトランジスタと、
    一端が前記読出用トランジスタのゲートに、他端が前記第2のトランジスタの他方の電極にそれぞれ接続されたキャパシタと、
    前記基準電位のノードと前記第2のトランジスタの他方の電極との間に接続され、前記第1,第2のトランジスタのオフ後に前記基準電位を前記キャパシタの他端に与える第3のトランジスタとを少なくとも有する請求項1記載の光電変換装置。
  4. 前記補正回路は、前記読出用トランジスタのゲート電位をリセットする動作を複数回実行可能な回路構成となっている請求項3に記載の光電変換装置。
  5. 前記単位画素の駆動および前記補正回路の各トランジスタの駆動を行う駆動部は、前記単位画素と同じ基板上に形成されている請求項1記載の光電変換装置。
  6. 前記駆動部は、前記補正回路の各トランジスタの駆動を、前記単位画素の行列状配置の複数の画素行で同時に行う請求項5に記載の光電変換装置。
  7. 前記読出用トランジスタによって電気信号が読み出される信号線は、前記単位画素の行列状配置の1つの画素列に対して2本以上配線されている請求項6に記載の光電変換装置。
  8. 光電変換素子と、
    前記光電変換素子で光電変換された信号電荷をゲートで受けて、当該信号電荷に応じた電気信号を読み出すソースフォロワ型の読出用トランジスタと
    前記読出用トランジスタのゲートとソースとの間に配置され、当該ソースとスイッチ素子を介して接続されたキャパシタと
    を有する単位画素が行列状に配置されてなる光電変換装置の駆動に当たって、
    前記読出用トランジスタのゲートに与える基準電位をVref、当該読出用トランジスタの閾値電圧をVthとするときに、前記読出用トランジスタによる信号読出しに先立って、前記スイッチ素子により前記キャパシタと前記ソースとの接続/非接続を制御して前記読出用トランジスタのゲート電位をVref+Vthにリセットする光電変換装置の駆動方法。
  9. 入射した放射線により感光されて信号電荷を発生する放射線検出器と、
    前記放射線検出器で発生する信号電荷をゲートで受けて、当該信号電荷に応じた電気信号を読み出すソースフォロワ型の読出用トランジスタと、
    前記読出用トランジスタのゲートとソースとの間に配置され、当該ソースとスイッチ素子を介して接続されたキャパシタと、
    前記読出用トランジスタのゲートに与える基準電位をVref、当該読出用トランジスタの閾値電圧をVthとするときに、前記読出用トランジスタによる信号読出しに先立って、前記スイッチ素子により前記キャパシタと前記ソースとの接続/非接続を制御して前記読出用トランジスタのゲート電位をVref+Vthにリセットする補正回路と
    を有する単位画素が行列状に配置されてなる放射線撮像装置。
  10. 入射した放射線により感光されて信号電荷を発生する放射線検出器と、
    前記放射線検出器で発生する信号電荷をゲートで受けて、当該信号電荷に応じた電気信号を読み出すソースフォロワ型の読出用トランジスタと
    前記読出用トランジスタのゲートとソースとの間に配置され、当該ソースとスイッチ素子を介して接続されたキャパシタと
    を有する単位画素が行列状に配置されてなる放射線撮像装置の駆動に当たって、
    前記読出用トランジスタのゲートに与える基準電位をVref、当該読出用トランジスタの閾値電圧をVthとするときに、前記読出用トランジスタによる信号読出しに先立って、前記スイッチ素子により前記キャパシタと前記ソースとの接続/非接続を制御して前記読出用トランジスタのゲート電位をVref+Vthにリセットする放射線撮像装置の駆動方法。
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