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JP5251433B2 - レジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法 - Google Patents

レジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法 Download PDF

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JP5251433B2 JP2008280651A JP2008280651A JP5251433B2 JP 5251433 B2 JP5251433 B2 JP 5251433B2 JP 2008280651 A JP2008280651 A JP 2008280651A JP 2008280651 A JP2008280651 A JP 2008280651A JP 5251433 B2 JP5251433 B2 JP 5251433B2
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Description

本発明は、レジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法に関する。更に詳しくは、パターン転写性(特に、反応性イオンエッチング(RIE)でのレジスト曲がり耐性)に優れた下層膜を形成可能なレジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法に関する。
半導体装置の製造プロセスは、シリコンウエハ上に複数の被加工膜を積層させ、この被加工膜を所望のパターンにパターニングする工程を多く備えている。そして、被加工膜のパターニングは、まず、一般にレジストと呼ばれる感光性物質を被加工膜上に堆積させてレジスト膜を形成し、このレジスト膜の所定の領域を露光する。次いで、レジスト膜の露光部または未露光部を現像処理して除去し、所定のパターンが形成されたレジストパターンを得る。その後、このレジストパターンをエッチングマスクとして用い、被加工膜をドライエッチングすることによって被加工膜をパターニングする。
このようなプロセスにおいては、レジスト膜に露光するための露光光源としてArFエキシマレーザー等の紫外光が用いられているが、最近では大規模集積回路(LSI)の微細化に対する要求が益々高まっており、必要とされる解像度が露光光(紫外光)の波長以下になってきている。このように、必要とされる解像度が露光光の波長以下であると、露光量裕度、フォーカス裕度等の露光プロセス裕度が不足することとなる。このような露光プロセス裕度の不足を補うためには、レジスト膜の膜厚を薄くして解像性を向上させることが有効であるが、膜厚を薄くすると、被加工膜のエッチングに必要なレジスト膜厚を確保することが困難になってしまう。
このようなことから、被加工膜とレジスト膜の間にレジスト下層膜(以下、単に「下層膜」と記す場合がある)を形成し、レジストパターンを一旦、下層膜に転写して下層膜パターンを形成した後、この下層膜パターンをエッチングマスクとして用いて被加工膜にパターンを転写するプロセスの検討が行われている。
このようなプロセスにおいて、下層膜としてはエッチング耐性を有する材料からなるものが好ましく、その材料としては、例えば、エッチング中のエネルギーを吸収し、エッチング耐性があることが知られているベンゼン環を含む樹脂、特に、熱硬化フェノールノボラックを含有する組成物や、アセナフチレン骨格を有する重合体を含有する組成物等が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、スチレン誘導体またはアリルベンゼン誘導体とノルトリシクレン誘導体との共重合体を含有する組成物なども提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2001−40293号公報 特開2000−143937号公報 特開2008−65303号公報
しかしながら、エッチングパターンの更なる微細化に伴い、レジスト下層膜のオーバーエッチングが大きな問題となっており、特許文献1〜3に記載されている組成物によって形成した下層膜であっても十分なエッチング耐性が得られず、エッチング耐性が更に向上された下層膜を形成可能な組成物の開発が求められている。
また、エッチングパターンの更なる微細化に伴い、下層膜パターンのアスペクト比(下層膜パターンの膜厚に対するパターン幅(線幅)の比)が高くなり、被加工基板のエッチング時に下層膜パターンが折れ曲がるという問題も生じていた。例えば、特許文献3に記載されている組成物は、下層膜パターンとして用いるには曲がり耐性が弱いため、被加工基板のエッチング時に下層膜パターンが折れ曲がってしまい、レジストパターンを忠実に被加工基板に転写することが困難であった。
本発明は、上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、パターン転写性(特に、RIEでのレジスト曲がり耐性)に優れた下層膜を形成可能なレジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
本発明により、以下のレジスト下層膜形成用組成物及びパターン形成方法が提供される。
[1] 2つ以上のフェノール性水酸基、及び、アルキルチエニル基を有する芳香族環を繰り返し構造単位として含むノボラック樹脂(A)と、有機溶剤(B)と、を含有するレジスト下層膜形成用組成物。
[2] 前記ノボラック樹脂は、分子中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物、及び、縮合剤の反応により得られた縮合反応物と、チエニル基を有するアルコールまたはアルデヒドとの反応により得られたものである前記[1]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[3] 前記分子中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物が、ジヒドロキシベンゼン誘導体、ジヒドロキシナフタレン誘導体、及び、ジヒドロキシアントラセン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である前記[2]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[4] 前記縮合剤がアルデヒドである前記[2]または[3]に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれかに記載のレジスト下層膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してレジスト下層膜を形成する(1)工程と、形成された前記レジスト下層膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する(2)工程と、形成された前記レジスト被膜に、選択的に放射線を照射して前記レジスト被膜を露光する(3)工程と、露光した前記レジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する(4)工程と、前記レジストパターンをマスクとして用い、前記レジスト下層膜及び前記被加工基板をドライエッチングして、前記被加工基板に所定のパターンを形成する(5)工程と、を備えるパターン形成方法。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、パターン転写性(特に、RIEでのレジスト曲がり耐性)に優れた下層膜を形成することができるという効果を奏するものである。
本発明のパターン形成方法は、パターン転写性(特に、RIEでのレジスト曲がり耐性)に優れるパターンを形成することができるという効果を奏するものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。即ち、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に属することが理解されるべきである。
[1]レジスト下層膜形成用組成物:
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、2つ以上のフェノール性水酸基、及び、アルキルチエニル基を有する芳香族環を繰り返し構造単位として含むノボラック樹脂(A)と、有機溶剤(B)と、を含有するものである。このようなレジスト下層膜形成用組成物は、パターン転写性(特に、反応性イオンエッチング(RIE)でのレジスト曲がり耐性)に優れた下層膜を形成することができる。即ち、エッチング耐性に優れ、特に、ドライエッチングプロセスにおいて、オーバーエッチングが少なく、下層膜パターンが折れ曲がり難い(曲がり耐性を有する)下層膜を形成することができ、レジストパターンを忠実に再現性よく被加工基板に転写することができる。従って、本発明のレジスト下層膜形成用組成物によれば、各種の放射線を用いるリソグラフィープロセスにおける微細加工、特に高集積回路素子の製造において歩留りの向上が期待できる。
[1−1]ノボラック樹脂(A):
ノボラック樹脂(A)の有するフェノール性水酸基は、2つ以上であり、2〜4個であることが好ましい。フェノール性水酸基の数が1つであると、曲がり耐性が十分に得られない。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、含有するノボラック樹脂(A)が、2つ以上のフェノール性水酸基、及び、アルキルチエニル基を有する芳香族環を繰り返し構造単位として含むため、これらのフェノール性水酸基とチエニル基とが相俟って、本発明の効果を奏するものである。ここで、本明細書において、アルキルチエニル基とは、下記一般式(1)で表される基である。
Figure 0005251433
(但し、上記一般式(1)中、Rは、置換されていてもよいアルキレンである。)
一般式(1)中のRは、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキレンであることが好ましく、置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキレンであることが更に好ましい。
ノボラック樹脂(A)は、分子中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物(以下、「化合物(α)」と記す場合がある)、及び、縮合剤の反応により得られた縮合反応物と、アルキルチエニル基を有するアルコールまたはアルデヒドとの反応により得られたものであることが好ましい。このようなノボラック樹脂(A)を含むと、得られる下層膜は、屈折率が向上する。そのため、上記下層膜を屈折率の高いレジスト被膜と組み合わせたときに、反射防止能が向上するという利点がある。
化合物(α)としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン誘導体、ジヒドロキシナフタレン誘導体、ジヒドロキシアントラセン誘導体、ジヒドロキシフルオレン誘導体、ジヒドロキシアセナフチレン誘導体などを挙げることができる。これらの中でも、膜硬化性と反射防止能が良好であるという観点から、ジヒドロキシベンゼン誘導体、ジヒドロキシナフタレン誘導体、及び、ジヒドロキシアントラセン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
ジヒドロキシベンゼン誘導体としては、例えば、ピロガロール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、4,6−ビス(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)−1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA等の化合物;カテコール、レゾルシノール、1,4−ヒドロキノン等を挙げることができる。
ジヒドロキシナフタレン誘導体としては、例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等を挙げることができる。これらの中でも、曲がり耐性が良好であり、反射防止能に優れるという利点があるので、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンが好ましい。
ジヒドロキシアントラセン誘導体としては、例えば、1,2−ジヒドロキシアントラセン、1,3−ジヒドロキシアントラセン、1,4−ジヒドロキシアントラセン、1,5−ジヒドロキシアントラセン、1,6−ジヒドロキシアントラセン、1,7−ジヒドロキシアントラセン、1,8−ジヒドロキシアントラセン、1,9−ジヒドロキシアントラセン、1,10−ジヒドロキシアントラセン、2,3−ジヒドロキシアントラセン、2,4−ジヒドロキシアントラセン、2,5−ジヒドロキシアントラセン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、2,7−ジヒドロキシアントラセン、2,8−ジヒドロキシアントラセン、2,9−ジヒドロキシアントラセン、2,10−ジヒドロキシアントラセン、9,10−ジヒドロキシアントラセン等を挙げることができる。
縮合剤は、化合物(α)と縮合反応が可能なものである限り特に制限はないが、アルデヒド、ケトン、アルコールなどを挙げることができる。これらの中でも、縮合反応が速やかに進行するという利点があるため、アルデヒドであることが好ましい。
アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド等の飽和脂肪族アルデヒド類;アクロレイン、メタクロレイン等の不飽和脂肪族アルデヒド類;フルフラール等のヘテロ環式アルデヒド類;ベンズアルデヒド、ナフチルアルデヒド、アントラアルデヒド等の芳香族アルデヒド類等を挙げることができる。これらの中でも、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラールが好ましい。なお、アルデヒドは1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
縮合剤の使用量は、化合物(α)100質量部に対して、20〜2000質量部であることが好ましく、50〜1000質量部であることが更に好ましく、100〜500質量部であることが特に好ましい。上記使用量が20質量部未満であると、縮合反応が進行しないため、重合体が得られないおそれがある。一方、1000質量部超であると、縮合反応が急激に進行するため、縮合反応を制御できないおそれがある。
縮合反応物を得るためには、化合物(α)及び縮合剤以外に、その他の化合物(i)を用いて反応を行ってもよい。
その他の化合物(i)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−アセトキシスチレン、m−アセトキシスチレン、p−アセトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン等のスチレン誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、カプロン酸ビニル等のカルボン酸ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル化合物;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ビニル、ジメチルビニルメタクリロイルオキシメチルシラン等の不飽和基含有不飽和カルボン酸エステル化合物;2−クロロエチルビニルエーテル、クロロ酢酸ビニル、クロロ酢酸アリル等のハロゲン含有ビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール等の水酸基含有ビニル化合物;
(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド等のアミド基含有ビニル化合物;2−メタクロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクロイルオキシエチルマレイン酸等のカルボキシル基含有ビニル化合物;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、アセナフテン等の無置換芳香族炭化水素化合物;
トルエン、m−キシレン、p−キシレン、1−メチルナフタレン等のアルキル置換芳香族炭化水素化合物;安息香酸、1−ナフタレンカルボン酸、9−アントラセンカルボン酸等のカルボキシル基置換芳香族炭化水素化合物;アニリン等のアミノ基置換芳香族炭化水素化合物;クロロベンゼン、ブロモベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素化合物;
ブタジエン、ビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、4−ビニルシクロヘキセン、5−ビニルノルボルナ−2−エン、α−ピネン、β−ピネン、リモネン、5−ビニルノルボルナジエン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、9−ビニルアントラセン、9−ビニルカルバゾール等のビニル化合物等を挙げることができる。これらの中でも、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、5−ビニルノルボルナ−2−エン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンが好ましい。なお、その他の化合物(i)は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
その他の化合物(i)の使用量は、化合物(α)100質量部に対して、0.5〜300質量部であることが好ましく、1〜50質量部であることが更に好ましく、5〜30質量部であることが特に好ましい。上記使用量が0.5〜300質量部であると、エッチング耐性が向上するため、パターン転写性が向上する。
縮合反応物を得るための反応条件は、従来公知の条件を採用することができる。具体的には、酸触媒の存在下で、化合物(α)と縮合剤を、下記反応温度及び反応時間で反応させることができる。反応温度は、40〜200℃であることが好ましく、60〜150℃であることが更に好ましく、70〜100℃であることが特に好ましい。また、反応時間は、反応温度によって異なるが、30分〜72時間であることが好ましく、1〜24時間であることが更に好ましく、2〜10時間であることが特に好ましい。
酸触媒としては、例えば、硫酸、リン酸、過塩素酸等の鉱酸類;p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸類;蟻酸、シュウ酸等のカルボン酸類等を挙げることができる。酸触媒の使用量は、使用する酸触媒の種類によって異なるが、化合物(α)と縮合剤の合計量100質量部に対して、0.001〜30質量部であることが好ましく、0.01〜10質量部であることが更に好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。
チエニル基を有するアルコールとしては、チエニル基を有する炭素数1〜20のアルコールであることが好ましく、チエニル基を有する炭素数1〜10のアルコールであることが更に好ましい。具体的には、チオフェンメタノール、チオフェンエタノールなどを挙げることができる。
チエニル基を有するアルコールの使用量は、縮合反応物100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、30〜500質量部であることが更に好ましく、50〜200質量部であることが特に好ましい。上記使用量が10質量部未満であると、反射防止能が低下するおそれがある。一方、1000質量部超であると、パターン転写性が低下するおそれがある。上記使用量が10〜1000質量部であると、反射防止機能及びパターン転写性に優れた下層膜を形成することができる。
チエニル基を有するアルデヒドとしては、チエニル基を有する炭素数1〜20のアルデヒドであることが好ましく、チエニル基を有する炭素数1〜10のアルデヒドであることが更に好ましい。具体的には、2−チオフェンアルデヒド、3−チオフェンアルデヒド、5−クロロチオフェン−2−カルボキシアルデヒド、5−ブロモチオフェン−2−カルボキシアルデヒドなどを挙げることができる。
チエニル基を有するアルデヒドの使用量は、縮合反応物100質量部に対して、10〜1000質量部であることが好ましく、30〜500質量部であることが更に好ましく、50〜200質量部であることが特に好ましい。上記使用量が10質量部未満であると、下層膜を形成した際にその下層膜の屈折率が低下するため、反射防止能が低下するおそれがある。一方、1000質量部超であると、形成した下層膜のパターン転写性が低下するおそれがある。
縮合反応物と、チエニル基を有するアルコールまたはアルデヒドとを反応させる際には、その他の化合物(ii)を更に加えることもできる。その他の化合物(ii)としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、リンハロゲン化物、蓚酸、硫酸、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
縮合反応物と、チエニル基を有するアルコールまたはアルデヒドとの反応は、例えば、縮合反応物と、チエニル基を有するアルコールまたはアルデヒドと、その他の化合物(ii)と、を混合して混合物を得、得られた混合物を、20〜180℃(好ましくは、60〜120℃)で、1〜72時間(好ましくは、2〜24時間)反応させることによって行うことができる。
ノボラック樹脂(A)は、ゲルパーミエーションカラムクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(以下、「Mw」と記載する場合がる)は、1,000〜5,000であることが好ましく、1,500〜4,000であることが更に好ましく、1,500〜3,000であることが特に好ましい。上記重量平均分子量が1,000未満であると、形成されるレジスト下層膜のエッチング選択性が十分に得られないおそれがある。一方、5,000超であると、粘度が増大し、ビアへの埋め込み性が低下するため、微細かつアスペクト比の大きい基板にレジスト下層膜を形成することが困難になるおそれがある。
[1−2]有機溶剤(B):
有機溶剤(B)は、ノボラック樹脂(A)を溶解させることができるものであれば特に限定されるものではない。例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のトリエチレングリコールジアルキルエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸i−プロピル、乳酸n−ブチル、乳酸i−ブチル等の乳酸エステル類;蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸n−プロピル、蟻酸i−プロピル、蟻酸n−ブチル、蟻酸i−ブチル、蟻酸n−アミル、蟻酸i−アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸n−アミル、酢酸i−アミル、酢酸n−ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸i−プロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸i−プロピル、酪酸n−ブチル、酪酸i−ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;
ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができる。
これらの中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、酢酸n−ブチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンが好ましい。なお、有機溶剤(B)は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
有機溶剤(B)の含有量は、レジスト下層膜形成用組成物の固形分濃度が、5〜80質量%となる量であることが好ましく、5〜40質量%となる量であることが更に好ましく、10〜30質量%となる量であることが特に好ましい。上記レジスト下層膜形成用組成物の固形分濃度が5質量%未満であると、樹脂量が少ないため、十分な厚さの下層膜を形成することが困難になるおそれがある。一方、80質量%超であると、固形分が析出するため、製膜時に欠陥が生じるおそれがある。
[1−3]その他の成分:
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、所望の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、酸発生剤(C)、架橋剤(D)、及び添加剤(E)等のその他の成分を含有させることができる。
酸発生剤(C)は、露光または加熱により酸を発生する成分である。なお、本明細書中、露光により酸を発生する酸発生剤を「光酸発生剤」といい、加熱により酸を発生する酸発生剤を「熱酸発生剤」という。また、酸発生剤(C)として、光酸発生剤と熱酸発生剤とを併用することもできる。
光酸発生剤として、具体的には、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムナフタレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリフェニルスルホニウム10−カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニル・フェニル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムp−トルエンスルホネート、
シクロヘキシル・メチル・2−オキソシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジシクロヘキシルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、2−オキソシクロヘキシルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シアノ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ニトロ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メチル−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−ヒドロキシ−1−ナフチルジエチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、
1−(4−ヒドロキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−メトキシメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−エトキシメトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−(1−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−(2−メトキシエトキシ)ナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−メトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−エトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、
1−(4−i−プロポキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−t−ブトキシカルボニルオキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−(2−テトラヒドロフラニルオキシ)ナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)ナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−ベンジルオキシ)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(ナフチルアセトメチル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート等のオニウム塩系光酸発生剤類;
フェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−メトキシフェニルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1−ナフチルビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン含有化合物系光酸発生剤類;1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロリド、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンの1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸エステル又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸エステル等のジアゾケトン化合物系光酸発生剤類;4−トリスフェナシルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン等のスルホン化合物系光酸発生剤類;ベンゾイントシレート、ピロガロールのトリス(トリフルオロメタンスルホネート)、ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、トリフルオロメタンスルホニルビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボジイミド、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホネート、1,8−ナフタレンジカルボン酸イミドトリフルオロメタンスルホネート等のスルホン酸化合物系光酸発生剤類等を挙げることができる。
これらの中でも、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウム10−カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムナフタレンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムn−ドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム10−カンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムナフタレンスルホネート等が好ましい。なお、光酸発生剤は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
熱酸発生剤としては、具体的には、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、アルキルスルホネート類等を挙げることができる。なお、熱酸発生剤は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
酸発生剤(C)の含有量は、ノボラック樹脂(A)100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、1〜20質量部であることが更に好ましく、3〜10質量部であることが特に好ましい。レジスト下層膜形成用組成物が酸発生剤(C)を含有することによって、常温を含む比較的低温でノボラック樹脂(A)の分子鎖間に有効に架橋反応を生起させることができる。
架橋剤(D)は、レジスト下層膜形成用組成物を硬化させて得られる下層膜と、この下層膜の上に形成されるレジスト被膜との間のインターミキシングを防止し、更には下層膜のクラックの発生を防止する作用を有する成分である。このような架橋剤(D)としては、多核フェノール類や、種々の市販の硬化剤を使用することができる。また、これらは併用することもできる。
多核フェノール類としては、具体的には、4,4’−ビフェニルジオール、4,4’−メチレンビスフェノール、4,4’−エチリデンビスフェノール、ビスフェノールA等の2核フェノール類;4,4’,4”−メチリデントリスフェノール、4,4’−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール等の3核フェノール類;ノボラック等のポリフェノール類等を挙げることができる。これらの中でも、4,4’−(1−(4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル)フェニル)エチリデン)ビスフェノール、ノボラック等が好ましい。なお、多核フェノール類は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
市販の硬化剤として、具体的には、2,3−トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナート、3,4−トリレンジイソシアナート、3,5−トリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、1,4−シクロヘキサンジイソシアナート等のジイソシアナート類;以下商品名で、「エピコート812」、同815、同826、同828、同834、同836、同871、同1001、同1004、同1007、同1009、同1031(以上、油化シェルエポキシ社製)、「アラルダイト6600」、同6700、同6800、同502、同6071、同6084、同6097、同6099(以上、チバガイギー社製)、「DER331」、同332、同333、同661、同644、同667(以上、ダウケミカル社製)等のエポキシ化合物;
「サイメル300」、同301、同303、同350、同370、同771、同325、同327、同703、同712、同701、同272、同202、「マイコート506」、同508(以上、三井サイアナミッド社製)等のメラミン系硬化剤;「サイメル1123」、同1123−10、同1128、「マイコート102」、同105、同106、同130(以上、三井サイアナミッド社製)等のベンゾグアナミン系硬化剤;「サイメル1170」、同1172(以上、三井サイアナミッド社製)、「ニカラックN−2702」(三和ケミカル社製)等のグリコールウリル系硬化剤等を挙げることができる。これらの中でも、メラミン系硬化剤、グリコールウリル系硬化剤等が好ましい。なお、硬化剤は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
架橋剤(D)の含有量は、ノボラック樹脂(A)100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることが更に好ましい。
添加剤(E)は、レジスト下層膜形成用組成物に含有される成分のうち、酸発生剤(C)及び架橋剤(D)を除くものであり、下層膜とレジスト被膜との間のインターミキシングを防止し、レジスト下層膜形成用組成物の塗布性を向上させる等の作用を有する成分である。添加剤(E)としては、例えば、バインダー樹脂、放射線吸収剤、界面活性剤、保存安定剤、消泡剤、接着助剤等を挙げることができる。
バインダー樹脂としては、種々の熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を使用することができる。熱可塑性樹脂として、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−ヘプテン、ポリ−1−オクテン、ポリ−1−デセン、ポリ−1−ドデセン、ポリ−1−テトラデセン、ポリ−1−ヘキサデセン、ポリ−1−オクダデセン、ポリビニルシクロアルカン等のα−オレフィン系重合体類;ポリ−1,4−ペンタジエン、ポリ−1,4−ヘキサジエン、ポリ−1,5−ヘキサジエン等の非共役ジエン系重合体類;α,β−不飽和アルデヒド系重合体類;ポリ(メチルビニルケトン)、ポリ(芳香族ビニルケトン)、ポリ(環状ビニルケトン)等のα,β−不飽和ケトン系重合体類;(メタ)アクリル酸、α−クロロアクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物等のα,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の重合体類;ポリ(メタ)アクリル酸無水物、無水マレイン酸の共重合体等のα,β−不飽和カルボン酸無水物の重合体類;メチレンマロン酸ジエステル、イタコン酸ジエステル等の不飽和多塩基性カルボン酸エステルの重合体類;
ソルビン酸エステル、ムコン酸エステル等のジオレフィンカルボン酸エステルの重合体類;(メタ)アクリル酸チオエステル、α−クロロアクリル酸チオエステル等のα,β−不飽和カルボン酸チオエステルの重合体類;(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等の(メタ)アクリロニトリル又はその誘導体の重合体類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体の重合体類;スチリル金属化合物の重合体類;ビニルオキシ金属化合物の重合体類;ポリイミン類;ポリフェニレンオキシド、ポリ−1,3−ジオキソラン、ポリオキシラン、ポリテトラヒドロフラン、ポリテトラヒドロピラン等のポリエーテル類;ポリスルフィド類;ポリスルホンアミド類;ポリペプチド類;ナイロン66、ナイロン1〜ナイロン12等のポリアミド類;脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、脂環族ポリエステル、ポリ炭酸エステル等のポリエステル類;ポリ尿素類;ポリスルホン類;ポリアジン類;ポリアミン類;ポリ芳香族ケトン類;ポリイミド類;ポリベンゾイミダゾール類;ポリベンゾオキサゾール類;ポリベンゾチアゾール類;ポリアミノトリアゾール類;ポリオキサジアゾール類;ポリピラゾール類;ポリテトラゾール類;ポリキノキサリン類;ポリトリアジン類;ポリベンゾオキサジノン類;ポリキノリン類;ポリアントラゾリン類等を挙げることができる。
また、熱硬化性樹脂は、加熱により硬化して溶剤に不溶となり、下層膜と、その上に形成されるレジスト被膜との間のインターミキシングを防止する作用を有する成分である。熱硬化性樹脂として、具体的には、熱硬化性アクリル系樹脂類、フェノール樹脂類、尿素樹脂類、メラミン樹脂類、アミノ系樹脂類、芳香族炭化水素樹脂類、エポキシ樹脂類、アルキド樹脂類等を挙げることができる。これらの中でも、尿素樹脂類、メラミン樹脂類、芳香族炭化水素樹脂類等が好ましい。
なお、バインダー樹脂は、1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。バインダー樹脂の含有量は、ノボラック樹脂(A)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。
放射線吸収剤としては、例えば、油溶性染料、分散染料、塩基性染料、メチン系染料、ピラゾール系染料、イミダゾール系染料、ヒドロキシアゾ系染料等の染料類;ビクシン誘導体、ノルビクシン、スチルベン、4,4’−ジアミノスチルベン誘導体、クマリン誘導体、ピラゾリン誘導体等の蛍光増白剤類;ヒドロキシアゾ系染料、商品名「チヌビン234」、同1130(以上、チバガイギー社製)等の紫外線吸収剤類;アントラセン誘導体、アントラキノン誘導体等の芳香族化合物等がある。なお、放射線吸収剤は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。放射線吸収剤の含有量は、ノボラック樹脂(A)100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、ぬれ性、現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレン−n−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−n−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤や、以下商品名で、「KP341」(信越化学工業社製)、「ポリフローNo.75」、同No.95(以上、共栄社油脂化学工業社製)、
「エフトップEF101」、同EF204、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社製)、「メガファックF171」、同F172、同F173(以上、大日本インキ化学工業社製)、「フロラードFC430」、同FC431、同FC135、同FC93(以上、住友スリーエム社製)、「アサヒガードAG710」、「サーフロンS382」、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(以上、旭硝子社製)等がある。なお、界面活性剤は1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。界面活性剤の含有量は、ノボラック樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることが更に好ましい。
[2]パターン形成方法:
本発明のパターン形成方法は、本発明のレジスト下層膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してレジスト下層膜を形成する(1)工程と、形成されたレジスト下層膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する(2)工程と、形成されたレジスト被膜に、所定のマスクパターンが形成されたフォトマスクを介して選択的に放射線を照射してレジスト被膜を露光する(3)工程と、露光したレジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する(4)工程と、レジストパターンをマスクとして用い、レジスト下層膜及び被加工基板をドライエッチングして、被加工基板に所定のパターンを形成する(5)工程と、を備えるものである。
このような工程によって、パターン転写性(特に、RIEでのレジスト曲がり耐性)に優れるパターンを形成することができる。即ち、ドライエッチングプロセスにおいて、被加工基板にレジストパターンを再現性よく忠実に転写することができる。そのため、本発明のパターン形成方法は、多層レジストプロセスの中でも、90nmよりも微細な領域(ArF、液侵露光でのArF、F、EUV、ナノインプリント)における多層レジストプロセスを用いたパターン形成方法として特に好適に用いることができる。
[2−1](1)工程:
(1)工程は、本発明のレジスト下層膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してレジスト下層膜を形成する工程である。この工程によって、被加工基板上にレジスト下層膜が形成されたレジスト下層膜付き基板を得ることができる。
被加工基板としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、ポリシロキサン等の絶縁膜、以下、全て商品名で、「ブラックダイヤモンド」(AMAT社製)、「シルク」(ダウケミカル社製)、「LKD5109」(JSR社製)等の低誘電体絶縁膜で被覆したウェハ等の層間絶縁膜を使用することができる。また、この被加工基板としては、配線溝(トレンチ)、プラグ溝(ビア)等のパターン化された基板を用いることもできる。
被加工基板上にレジスト下層膜形成用組成物を塗布する方法については特に制限はなく、例えば、スピンコート法等を挙げることができる。
なお、レジスト下層膜形成用組成物を塗布して形成された塗膜を、露光及び/又は加熱することにより硬化させることによってレジスト下層膜を形成することができる。露光に用いる放射線としては、例えば、レジスト下層膜形成用組成物に酸発生剤(C)が更に含有されている場合には、この酸発生剤(C)の種類に応じて、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等から適宜選択することができる。レジスト下層膜形成用組成物が光酸発生剤を含有している場合には、常温でも塗膜を十分に硬化させることができる。
また、上記塗膜を加熱する際の温度は、90〜550℃であることが好ましく、90〜450℃であることが更に好ましく、90〜300℃であることが特に好ましい。レジスト下層膜形成用組成物が熱酸発生剤を含有している場合には、例えば、90〜150℃程度でも塗膜を十分に硬化させることができる。
上記塗膜を、露光及び/又は加熱する際には、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。ここで不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、キセノンガス、クリプトンガスを用いることができる。このように不活性ガス雰囲気下でレジスト下層膜を形成することによって、レジスト下層膜中の酸素含有量の増加を防止することができる。このようにすると、レジスト下層膜のエッチング耐性を更に向上させることができる。
レジスト下層膜の膜厚は、特に制限はないが、100〜20000nmであることが好ましい。
本発明のパターン形成方法は、本工程の後に、必要に応じて、レジスト下層膜上に中間層を更に形成する工程(以下、「(1−1)工程」と記す場合がある)を更に行ってもよい。この中間層は、レジストパターン形成において、下層膜及び/又はレジスト被膜が有する機能を補うものであり、また、下層膜及び/又はレジスト被膜が有していない機能を付与するために、必要とされる所定の機能を有するものである。例えば、中間層として反射防止膜を形成した場合には、下層膜の反射防止機能を補うことができる。
この中間層は、有機化合物や無機酸化物を用いて形成することができる。有機化合物としては、例えば、ブルワー・サイエンス(Brewer Science)社製の「DUV−42」、「DUV−44」、「ARC−28」、「ARC−29」等の商品名で市販されている材料や、ローム アンド ハース社製の「AR−3」、「AR−19」等の商品名で市販されている材料等を用いることができる。また、無機酸化物としては、例えば、JSR社製の「NFC SOG01」、「NFC SOG04」等の商品名で市販されている材料やCVD法により形成されるポリシロキサン、酸化チタン、酸化アルミナ、酸化タングステン等を用いることができる。
中間層を形成するための方法は、例えば、塗布法やCVD法等を挙げることができる。これらの中でも、塗布法が好ましい。塗布法を用いた場合、下層膜を形成した後に、連続して中間層を形成することができるという利点がある。
また、中間層の膜厚は、中間層に求められる機能に応じて適宜選択することができるが、例えば、一般的なリソグラフィープロセスにおいては、10〜3000nmであることが好ましく、20〜300nmであることが更に好ましい。中間層の膜厚が10nm未満であると、下層膜のエッチング処理の途中で中間層が削れ、消失してしまうおそれがある。一方、3000nm超であると、レジストパターンを中間層に転写する際に、加工変換差が大きくなるおそれがある。
[2−2](2)工程:
(2)工程は、形成されたレジスト下層膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する工程である。なお、上記した(1−1)工程を行って中間層を形成した場合には、中間層上にレジスト被膜を形成する。
レジスト組成物としては、例えば、光酸発生剤を含有するポジ型またはネガ型の化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂とキノンジアジド系感光剤とからなるポジ型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂と架橋剤とからなるネガ型レジスト組成物等を挙げることができる。
レジスト組成物の固形分濃度は、例えば、5〜50質量%であることが好ましい。また、レジスト組成物としては、孔径0.2μm程度のフィルターによってろ過したものを用いることが好ましい。なお、本発明のパターン形成方法は、レジスト組成物として市販のレジスト組成物をそのまま使用することもできる。
レジスト組成物を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法等の従来の方法を挙げることができる。なお、レジスト組成物の塗布量は、所定の膜厚のレジスト被膜が得られるように調整する。
レジスト被膜は、上記レジスト組成物の塗膜をプレベークすることによって塗膜中の溶剤(即ち、レジスト組成物に含有される溶剤)を揮発させて形成することができる。プレベークする際の温度は、使用するレジスト組成物の種類等に応じて適宜設定することができるが、30〜200℃であることが好ましく、50〜150℃であることが更に好ましい。
[2−3](3)工程:
(3)工程は、形成されたレジスト被膜に、選択的に放射線を照射してレジスト被膜を露光する工程である。選択的に放射線を照射する方法としては、例えば、所定のマスクパターンが形成されたフォトマスクを介して、レジスト被膜に放射線を照射する方法を挙げることができる。
照射される放射線は、レジスト組成物に使用されている酸発生剤の種類に応じて適宜選択することができるが、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等を挙げることができる。これらの中でも、遠紫外線が好ましく、特に、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、Fエキシマレーザー(波長157nm)、Krエキシマレーザー(波長147nm)、ArKrエキシマレーザー(波長134nm)、極紫外線(波長13nm等)が更に好ましい。
[2−4](4)工程:
(4)工程は、露光したレジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する工程である。
現像に用いる現像液は、使用されるレジスト組成物の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、ポジ型化学増幅型レジスト組成物やアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型レジスト組成物を使用する場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性水溶液を用いることができる。また、これらのアルカリ性水溶液は、水溶性有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類や、界面活性剤を適量添加したものであってもよい。
また、ネガ型化学増幅型レジスト組成物、アルカリ可溶性樹脂を含有するネガ型レジスト組成物を使用する場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第四級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類等のアルカリ類の水溶液等を用いることができる。
本工程においては、上記現像液で現像した後、洗浄し、乾燥することができる。また、解像度、パターンプロファイル、現像性等を向上させるため、レジスト被膜を現像する前(即ち、(3)工程と(4)工程の間)に、ポストベークを行うことが好ましい。このポストベークの温度は、使用されるレジスト組成物の種類等に応じて適宜調整されるが、50〜200℃であることが好ましく、80〜150℃であることが更に好ましい。
[2−5](5)工程:
(5)工程は、レジストパターンをマスクとして用い、レジスト下層膜及び被加工基板をドライエッチングして、被加工基板に所定のパターンを形成する工程である。なお、レジスト下層膜上に中間層を形成した場合には、レジスト下層膜及び被加工基板とともに中間層もドライエッチングする。
ドライエッチングには、従来公知のドライエッチング装置を用いることができる。そして、ドライエッチング時のソースガスは、被エッチ膜の元素組成によって適宜選択されるが、O、CO、CO等の酸素原子を含むガス、He、N、Ar等の不活性ガス、Cl、BCl等の塩素系ガス、H、NHのガス等を使用することができる。なお、これらのガスは混合して用いることもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。なお、実施例の記載における「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。
下記合成例で得られた重合体(a1)、(a2)、(A1)、及び(A2)の重量平均分子量(Mw)は、東ソー社製の「GPCカラム」(G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分とし、溶出溶剤としてテトラヒドロフランを用い、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフ(検出器「示差屈折計」)により測定した。
また、重合体(a1)、(a2)、(A1)、及び(A2)は、日本電子社製の型番「JNM−ECA−500型」を用い、測定溶媒としてDMSO−dを使用してH−NMR分析を行った。
(合成例1)
コンデンサー、温度計及び攪拌装置を備えた反応装置に、2,7−ジヒドロキシナフタレン100部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100部、及びパラホルムアルデヒド50部を仕込み、蓚酸2部を添加し、脱水しながら120℃に昇温、5時間反応させることにより重合体(縮合反応物)(a1)を得た。重合体(a1)は、H−NMR分析によって下記式(2)で表される構造を有することを確認した。また、重合体(a1)の重量平均分子量(Mw)は1500であった。
Figure 0005251433
(合成例2)
コンデンサー、温度計及び攪拌装置を備えた反応装置に、合成例1で得られた重合体(a1)125部、チオフェンメタノール25部、p−トルエンスルホン酸20部、及び、メチルイソブチルケトン150部を仕込み、100℃に昇温、4時間反応させることにより重合体(縮合反応物)(A1)を得た。重合体(A1)は、H−NMR分析によって下記式(3)で表される構造を有することを確認した。また、重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は2800であった。
Figure 0005251433
(合成例3)
2,6−ジヒドロキシナフタレンを用いた以外は、合成例1と同様の手法にて、重合体(縮合反応物)(a2)を得た。重合体(a2)は、H−NMR分析によって下記式(4)で表される構造を有することを確認した。また、重合体(a2)の重量平均分子量(Mw)は1500であった。
Figure 0005251433
(合成例4)
合成例3で得られた重合体(a2)を用いた以外は、合成例2と同様の手法にて、重合体(縮合反応物)(A2)を得た。重合体(A2)は、H−NMR分析によって下記式(5)で表される構造を有することを確認した。また、重合体(A2)の重量平均分子量(Mw)は2800であった。
Figure 0005251433
(実施例1)
重合体(A1)100部及び界面活性剤0.005部を、シクロヘキサノン(有機溶剤(B))450部に溶解した。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、レジスト下層膜形成用組成物を調製した。調製したレジスト下層膜形成用組成物について、以下の評価を行った。
(1)下層膜の形成:
直径8インチのシリコンウエハ上に、レジスト下層膜形成用組成物をスピンコート法により塗布した。その後、酸素濃度20容量%のホットプレート内にて、180℃で60秒間加熱した。引き続き、350℃で120秒間加熱して、膜厚0.3μmの下層膜を形成した。
(2)元素組成:
(1)下層膜の形成で形成した下層膜について、炭素・水素・窒素同時定量装置「JM10」(ジェイ・サイエンス・ラボ社製)を用いて、各元素の質量換算値を算出した。その後、膜中に含まれる各元素(炭素・水素・窒素)の原子数を、式:各元素の質量換算値(質量%)/各元素の質量(g)により算出した。次いで、式:膜中の原子数/膜中の全原子数により、下層膜中の元素(炭素・水素・窒素)組成(atom%)を算出した。表1中、「元素組成(atom%)」と示す。
(3)基板加工後のパターン形状(パターン転写性能):
(1)下層膜の形成で形成した下層膜上に、3層レジストプロセス用中間層形成組成物溶液(JSR社製の商品名「NFC SOG508」)をスピンコートし、200℃のホットプレート上で60秒間加熱した。引き続き、300℃のホットプレート上で60秒間加熱して、膜厚0.05μmの中間層被膜を形成した。その後、中間層被膜上に、ArF用レジスト組成物溶液(JSR社製の商品名「NFC AIM5056」)をスピンコートし、130℃のホットプレート上で90秒間プレベークして、膜厚0.2μmのレジスト被膜を形成した。
その後、ArFエキシマレーザー露光装置(NIKON社製、レンズ開口数:0.78、露光波長:193nm)を用い、所定のマスクパターンが形成されたフォトマスクを介して、最適露光時間だけレジスト被膜を露光した。その後、130℃のホットプレート上で90秒間ポストベークした。次に、2.38%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、25℃で1分間現像した。その後、水洗し、乾燥して、ArF用ポジ型レジストパターンが形成されたパターン形成レジスト膜を得た。このパターン形成レジスト膜をマスクとして用い、中間被膜にレジストパターンを転写した。次に、レジストパターンを転写した中間被膜をマスクとして用い、下層膜にレジストパターンを転写した。次に、レジストパターンを転写した下層膜をマスクとして用い、基板(直径8インチのシリコンウエハ)にレジストパターンを転写した。
このとき、レジストパターンが形成された下層膜を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、以下の基準にて評価した。なお、表1中、「パターン転写性能」と示す。
○:下層膜のパターンが立っている状態
×:下層膜のパターンが倒れたり、曲がったりしている状態
(4)エッチング耐性:
(1)下層膜の形成で形成した下層膜を、エッチング装置(神鋼精機社製の「EXAM」)を使用して、CF/Ar/O(CF:40mL/分、Ar:20mL/分、O:5mL/分;圧力:20Pa;RFパワー:200W;処理時間:40秒;温度:15℃)の条件でエッチング処理した。このときのエッチング処理前後の膜厚を測定して、エッチングレートを算出し、エッチング耐性を評価した。評価基準は以下の通りである。なお、表1中、「エッチングレート」と示す。
○:エッチングレートが150nm/分以下の場合
△:エッチングレートが150nm/分を超え、200nm/分未満の場合
×:エッチングレートが200nm/分以上の場合
(5)屈折係数:
シリコン基板上に、スピンコート法によりレジスト下層膜形成用組成物を塗布し、200℃で60秒間焼成して膜厚300nmの下層膜を得た。その後、分光エリプソメーター「VUV−VASE」(J.A.Woollam社製)を用いて、波長193nmにおける光学定数(屈折係数)を算出した(表1中、「屈折係数」と示す)。なお、屈折係数が1.40〜1.60の範囲内であると、ArF露光レジスト工程において、反射防止膜として十分な機能を有するものと判断することができる。
(6)消衰係数:
シリコン基板上に、スピンコート法によりレジスト下層膜形成用組成物を塗布し、200℃で60秒間焼成して膜厚300nmの下層膜を得た。その後、分光エリプソメーター「VUV−VASE」(J.A.Woollam社製)を用いて、波長193nmにおける光学定数(消衰係数)を算出した(表1中、「消衰係数」と示す)。なお、消衰係数が0.25〜0.40の範囲内であると、ArF露光レジスト工程において、反射防止膜として十分な機能を有するものと判断することができる。
本実施例のレジスト下層膜形成用組成物は、炭素が54atom%、水素が24atom%、酸素が21atom%であり、パターン転写性能の評価が「○」であり、エッチング耐性の評価が「○」であり、屈折係数が1.45であり、消衰係数が0.42であった。評価結果を表1に示す。
Figure 0005251433
(実施例2)
重合体(A2)を用いた以外は、実施例1と同じ手法にて、レジスト下層膜形成用組成物を調製した。調製したレジスト下層膜形成用組成物について、実施例1と同様にして各評価を行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
合成例1で得られた重合体(a1)100部及び界面活性剤0.005部を、シクロヘキサノン(有機溶剤(B))450部に溶解して溶液を得た。その後、この溶液を孔径0.1μmのメンブランフィルターでろ過することによりレジスト下層膜形成用組成物を調製した。調製したレジスト下層膜形成用組成物について、実施例1と同様にして各評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例1,2及び比較例1から明らかなように、実施例1,2のレジスト下層膜形成用組成物は、比較例1のレジスト下層膜形成用組成物に比べて、パターン転写性(特に、RIEでのレジスト曲がり耐性)に優れた下層膜を形成することができることが確認できた。
本発明のレジスト下層膜形成用組成物は、リソグラフィープロセスにおける微細加工、特に高集積回路素子の製造に好適な多層レジストプロセスに用いられる下層膜を形成するための材料として好適である。
本発明のパターン形成方法は、リソグラフィープロセスにおける微細加工、特に高集積回路素子の製造に好適な多層レジストプロセスにおけるパターン形成方法として好適である。

Claims (5)

  1. 2つ以上のフェノール性水酸基、及び、アルキルチエニル基を有する芳香族環を繰り返し構造単位として含むノボラック樹脂(A)と、
    有機溶剤(B)と、を含有するレジスト下層膜形成用組成物。
  2. 前記ノボラック樹脂は、分子中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物、及び、縮合剤の反応により得られた縮合反応物と、チエニル基を有するアルコールまたはアルデヒドとの反応により得られたものである請求項1に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
  3. 前記分子中にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物が、ジヒドロキシベンゼン誘導体、ジヒドロキシナフタレン誘導体、及び、ジヒドロキシアントラセン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項2に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
  4. 前記縮合剤がアルデヒドである請求項2または3に記載のレジスト下層膜形成用組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のレジスト下層膜形成用組成物を被加工基板上に塗布してレジスト下層膜を形成する(1)工程と、
    形成された前記レジスト下層膜上に、レジスト組成物を塗布してレジスト被膜を形成する(2)工程と、
    形成された前記レジスト被膜に、選択的に放射線を照射して前記レジスト被膜を露光する(3)工程と、
    露光した前記レジスト被膜を現像して、レジストパターンを形成する(4)工程と、
    前記レジストパターンをマスクとして用い、前記レジスト下層膜及び前記被加工基板をドライエッチングして、前記被加工基板に所定のパターンを形成する(5)工程と、を備えるパターン形成方法。
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