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JP5132133B2 - インナーライナー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

インナーライナー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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Description

本発明は、インナーライナー用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関し、より詳しくは、操縦安定性と乗り心地をバランスよく向上した空気入りタイヤに関する。
従来、空気入りタイヤのインナーライナーは、タイヤの空気漏れを防止し空気圧を一定に保つために、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴム等の空気透過性の低いゴム成分を使用したゴム組成物が用いられている。
しかしながら、インナーライナーは、タイヤの運動性能、特に操縦安定性などの向上或いは乗り心地向上などの付加特性に対して直接的な寄与を目的に配置されるものではなく、また操縦安定性や乗り心地向上に関して言及された技術例も見られない。
下記特許文献1には、トレッド部のインナーライナー内腔面に、タイヤ周方向あるいは軸方向に沿って特定範囲の引張剛性を有する補強シートを配して乗り心地を損ねることなく操縦安定性を向上することが記載されているが、インナーライナーは空気保持性が重視され、走行時の引張や圧縮変形に対して実質的な抵抗力を示すことがなく操縦安定性の向上には何ら寄与しないとされている。
また、相反するタイヤ特性である操縦安定性と乗り心地性を両立させるには、トレッドやサイドウォールの高硬度化と高エネルギーロス化が有効であることが知られており、例えばサイドウォールに硬ゴムシート層と高ロスシート層を隣接して配することが提案され、硬ゴム化及び高ロス化にはゴム組成物のE’やtanδなど動的粘弾性が寄与することが記載されている(特許文献2)。
上記ゴム組成物のtanδなどをコントロールする技術は従来から多数開示され、例えば、下記特許文献3、4には、ジエン系ゴムにイソブチレン系ブロック共重合体と熱可塑性樹脂や粘着付与剤を配合し、tanδをコントロールすることで破壊強度を損なうことなくウェットグリップ性を向上させることが記載されているが、操縦安定性と乗り心地の両立については開示されていない。
特開2006−151328号公報 特開平11−151917号公報 特開2003−113286号公報 特開2003−113287号公報
本発明の目的は、以上のような実情に鑑み、従来、操縦安定性や乗り心地などのタイヤ特性には寄与しないとされていたインナーライナーに着目し、ゴム硬さとエネルギーロスが適正な範囲にある特定のゴム組成物からなるインナーライナーを備えることで、空気保持性や耐久性を維持しながら操縦安定性と乗り心地をバランスよく両立して向上することができる空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、トレッドやサイドウォールなど耐摩耗性や転がり抵抗などへの影響が大きい部位を対象とせず、インナーライナーゴムとして一定以上の硬さとエネルギーロスを持たせることで、タイヤ内面からの剛性と反発弾性を適正なものとし、空気保持性や耐久性、転がり抵抗などの他の特性を損なうことなく操縦安定性と乗り心地を両立し向上させることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴム40重量部以上、スチレン系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体3〜30重量部、及びジエン系ゴムとからなるポリマー成分100重量部に対して、硫黄を1重量部未満含有することを特徴とするインナーライナー用ゴム組成物である。
本発明においては、前記ブロック共重合体が、スチレン系重合体ブロック−イソブチレン系重合体ブロック−スチレン系重合体ブロックの構造を有するトリブロック共重合体であってもよい。
また、前記インナーライナー用ゴム組成物は、23℃で測定したJIS−A硬さが55〜70、かつ23℃で測定したJIS−反発弾性が10〜20%であることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤは、上記インナーライナー用ゴム組成物をタイヤのインナーライナーに用いたことを特徴とするものである。
本発明の空気入りタイヤによれば、タイヤ内面に配されたインナーライナーが一定以上の硬さとエネルギーロスを持つことで、タイヤ内面からの剛性と反発弾性(減衰性)を適正な範囲とし、空気入りタイヤの空気保持性や耐久性を損なうことなく操縦安定性と乗り心地をバランスよく両立し向上することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明にかかる空気入りタイヤ1の半断面図であり、乗用車用ラジアルタイヤに本発明が適用された例を示している。
空気入りタイヤ1は、一対のビード部4に夫々埋設されたビードコア5の周りにタイヤ内側から外側に折り返して係止されたポリエステルなどの有機繊維コードを用いた1枚のカーカスプライからなるカーカス6と、該カーカス6のクラウン部外周に位置するトレッド部2と、該カーカス6のサイド部に位置するサイドウォール部3と、前記トレッド部2の内側でカーカス6との間に配されたスチールコードを用いた2枚のベルトプライからなるベルト7と、該ベルト7の外周にタイヤ周方向にらせん状に巻回されたナイロンコードからなるキャッププライ8を備えている。
インナーライナー10は、タイヤ内周面のトレッド部2とサイドウォール部3及びビード部4を覆って配置され、タイヤ1がリムに組み込まれ内圧が充填された際、タイヤ1の空気圧を保持するものである。
本発明において、前記インナーライナー10に使用されるゴム組成物は、ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムとジエン系ゴムをゴム成分とし、このゴム成分にスチレン系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体(熱可塑性エラストマー)を加えたポリマー成分100重量部からなり、このポリマー成分100重量部に対して硫黄を1重量部未満含有するものである。
ゴム成分としては、ガス透過係数の小さいブチルゴム(IIR)及び/又はハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)40重量部以上を必須成分として配合される。
X−IIRのハロゲンXとしては、通常ゴム成分に使用されるハロゲンであれば特に限定されることはないが、一般的には塩素、臭素が挙げられる。
本発明にかかるインナーライナーにおいては、IIR単独では、ビード部やカーカスなどの隣接ゴムとインナーライナーゴムとの接着性が劣ったり、加硫速度が遅れるなどの欠点があるので、これらを改善する観点から、X−IIRの使用が好ましく、IIRとX−IIRとを任意の比率でブレンド使用することもできる。
これらのX−IIRは、市販品として、JSR(株)、エクソン社、バイエル社などの各種グレードのクロロブチルゴム、ブロモブチルゴムを使用することができる。
前記IIR及び/又はX−IIRは、ポリマー成分100重量部中に少なくとも40重量部以上含まれることが空気保持性の点から必要であり、好ましくは50重量部以上である。なお、IIR及び/又はX−IIRの含有量がゴム分の95重量%を超えると、隣接するゴムとの接着性及びゴム組成物の加工性が低下する傾向にある。
また、ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)およびスチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)等が挙げられ、これらの群から選ばれた少なくとも1種類が使用できる。特に、NRとSBR、IR、BRとのブレンドがIIRやX−IIRの接着性や加硫速度の改善に効果があり好ましい。
本発明にかかるインナーライナー用ゴム組成物は、前記ゴム成分にスチレン−イソブチレンブロック共重合体(SIBS)がブレンドされ使用される。該ブロック共重合体はゴム組成物の硬さを適度に上昇させ剛性を向上させる作用を発現すると共に、反発弾性の上昇を抑えゴムに減衰性を付与することで、タイヤの操縦安定性と乗り心地の向上に寄与するものとなる。
上記ブロック共重合体は、スチレン系重合体ブロック(A)とイソブチレン系重合体ブロック(B)からなるブロック共重合体である。
上記スチレン系重合体ブロック(A)は、スチレンを単量体とする重合体ブロックであり、スチレンを主体とするものであれば、本発明の効果を損なわない限り、スチレン以外の単量体成分を含有してもよい。スチレン以外の単量体成分の含有量は、該ブロック(A)中に占める割合として30重量%以下であることが好ましい。また、該スチレン以外の単量体成分としては、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、スチレン以外の芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、ピネンおよびその類縁体等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記イソブチレン系重合体ブロック(B)は、イソブチレンを単量体とする重合体ブロックであり、イソブチレンを主体とするものであれば、本発明の効果を損なわない限り、イソブチレン以外の単量体成分を含有してもよい。イソブチレン以外の単量体成分の含有量は、該ブロック(B)中に占める割合として30重量%以下であることが好ましい。また、該イソブチレン以外の単量体成分としては、イソブチレン以外の脂肪族オレフィン類、芳香族ビニル類、ジエン類、ビニルエーテル類などが挙げられ、特に限定されない。
上記ブロック共重合体の構造としては、直鎖状、分岐状、星状等の構造を持つブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体など、特に限定されないが、好ましくは、スチレン系重合体ブロック(A)−イソブチレン系重合体ブロック(B)の構造(A−B)を有するジブロック共重合体、及びスチレン系重合体ブロック(A)−イソブチレン系重合体ブロック(B)−スチレン系重合体ブロック(A)の構造(A−B−A)を有するトリブロック共重合体であり、特には、ジエン成分を含まない完全飽和型のスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体が好ましい。なお、該ブロック共重合体は、末端にアルケニル基などの各種置換基を有するものであってもよい。
前記スチレン系重合体ブロック(A)とイソブチレン系重合体ブロック(B)の割合は、特に制限はないが、物性と加工性のバランスから、(A)が2〜60重量%、(B)が98〜40重量%であり、さらに(A)が5〜40重量%、(B)が95〜60重量%であることが特に好ましい。
また、該ブロック共重合体のスチレン含量は特に限定されないが、20〜40重量%であることが好ましい。ここで、スチレン含量はHNMRスペクトルの積分比により算出される値である。また、該ブロック共重合体の数平均分子量も特に限定されないが、一般には1万〜30万程度のものが用いられる。
上記ブロック共重合体の数平均分子量は特に制限されないが、物性と加工性の面から3,000〜500,000であることが好ましい。分子量が3,000未満ではゴム組成物の硬さが十分得られず、500,000を超えると加工性が低下する。
また、上記ブロック共重合体の製造方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を用いることができるが、例えば、(株)カネカより市販されている市販品(SIBSTAR−072T、103Tなど)などが使用できる。
上記ブロック共重合体の配合量は、上記IIR及び/又はX−IIR、ジエン系ゴム及び該ブロック共重合体の合計ポリマー成分100重量部中に3〜30重量部の範囲で使用される。
ブロック共重合体の配合量が3重量部未満では、ゴム硬さの上昇及び反発弾性の低下が得られず、操縦安定性と乗り心地の両立がバランスせず、一方30重量部を超えると反発弾性が下がりすぎて発熱が大きくなりライナージョイントのはがれなど耐久性が低下する。
本発明にかかるインナーライナー用ゴム組成物は、架橋剤である硫黄の含有量が上記ポリマー成分100重量部に対し1重量部未満である。硫黄が1重量部以上になるとブロック共重合体との相乗作用が強く働き、ゴムの硬化が進みやすくなりインナーライナー割れを起こしやすくし耐久性が低下する。
そして、上記インナーライナー用ゴム組成物の加硫ゴム(160℃×25分加硫)は、JIS K6253に準じ23℃で測定されるスプリング式A形硬さが55〜70、かつJIS K6255に準じ23℃で測定される反発弾性が10〜20%であることが好ましい。硬さが55未満では剛性感が劣り操縦安定性が満足できず、70を超えると剛性感は得られるがライナージョイントで割れが生じやすくなり耐久性が低下する。また、反発弾性が10%未満ではゴムが発熱しやすくなってライナージョイントがはがれやすくなり、20%を超えると減衰効果が得られず乗り心地が向上しない。
本発明にかかるゴム組成物には、前記ゴム成分と上記スチレン−イソブチレン系ブロック共重合体、硫黄のほかに、通常インナーライナー用ゴム組成物に用いられる配合剤、例えば、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、クレー、タルク、酸化マグネシウムなどの補強剤、オイルなどの可塑剤、ステアリン酸、石油樹脂類、亜鉛華、硫黄以外の架橋剤、架橋助剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
前記カーボンブラックの種類としては、特に制限はなく、たとえば、HAF、ISAF、SAF、GPF、FEFなどが挙げられる。中でも、窒素吸着比表面積(NSA)が20〜80m/g、好ましくは25〜50m/gを有するGPF級カーボンブラックが望ましい。カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100重量部に対して、20〜60重量部であることが好ましい。カーボンブラックの配合量が20重量部未満では、補強効果が小さくなる傾向があり、60重量部を超えるとブロック共重合体のゴム硬さ上昇効果との相乗によりゴム硬さが上がりすぎライナー割れを生じやすくし、また混練時や圧延時の加工性が低下する傾向がある。
上記ゴム組成物は、通常のゴム用混練装置、例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混練りすることにより得られる。
前記ゴム組成物をインナーライナーに加工する方法は、特に制限されないが、通常はゴム圧延用の2〜4本のロールを備えたカレンダー装置により、所定厚みのシート状に圧延加工されるのが一般的であり、タイヤ内面に配され加硫成形される。
以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例および比較例に用いたゴム成分、配合剤は以下の各材料である。
[材料]
・ブロモブチルゴム:バイエル社製、ブロモブチル2030
・天然ゴム:タイ製、RSS#3
・スチレンブタジエンゴム(SBR):JSR(株)製、SBR1502
・スチレン−イソブチレン系ブロック共重合体(SIBS):(株)カネカ製、SIBSTAR−072T(スチレン含量=23重量%)
・カーボンブラックGPF:東海カーボン(株)製、シーストV
・アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製、JOMOプロセスX−140
・石油樹脂:冨士興産(株)製、フッコールレジン120
・ステアリン酸:花王(株)製、ルナックS−25
・加硫促進剤NS:三新化学工業(株)製、サンセラーNS−G
・加硫促進剤DM:三新化学工業(株)製、サンセラーDM−G
・硫黄:鶴見化学(株)製、粉末硫黄
・亜鉛華:堺化学工業(株)製、酸化亜鉛2種
表1に示すそれぞれの配合処方(重量部)に従い、硫黄、亜鉛華および加硫促進剤以外の配合剤とゴム成分とSIBSを常法によりバンバリーミキサーで混練りをしてマスターバッチを作成した。そののち、該マスターバッチに硫黄、亜鉛華、加硫促進剤を配合し、バンバリーミキサーにて再度混練りして、各未加硫ゴム組成物を得た。
得られた各ゴム組成物を160℃25分加硫にて各試料を調製し、硬さ(JIS K6253に準じるスプリング式A形、測定温度23℃)、反発弾性(JIS K6255に準じ、測定温度23℃)及び空気透過性を評価した。
次に、これらのゴム組成物を逆L型カレンダーにより圧延し、厚み0.5mmのインナーライナーを作製した。このインナーライナー用いたサイズ215/45R17の一般構造を有するラジアルタイヤを製造し、操縦安定性、乗り心地及び耐久性を評価した。それぞれの試験方法は下記の通りである。結果を表1に示す。
[空気透過性]
上記のゴム組成物を用いて、50Kgf/cmの圧力下で160℃、25分間のプレス加硫により厚さ1mmのゴムシートを作成し、JIS K7126に記載の差圧法(A法)に準拠し空気透過性比を測定した。比較例1を100とする指数表示で示し、値が小さいほど空気透過率が低く良好である。
[操縦安定性]
各ラジアルタイヤ4本をJIS規定の標準リムを用いて空気圧200kPaに調整し、「GOLF V」に装着し、出願人所有のタイヤテストコースの操縦安定性評価用Dry路面にて、2名乗車時の操縦安定性を3名のテストドライバーによって官能評価した。比較例1を基準に「±0」として、比較例1よりもやや良い(ドライバーには操縦安定性の有意差が分かるが、同乗者には分からないレベル)を「+1」、良い(同乗者にも分かるレベル)を「+2」、やや劣る(ドライバーには操縦安定性の有意差が分かるが、同乗者には分からないレベル)を「−1」、劣る(同乗者にも分かるレベル)を「−2」として表に示した。
[乗り心地]
各ラジアルタイヤ4本をJIS規定の標準リムを用いて空気圧200kPaに調整し、「GOLF V」に装着し、出願人所有のタイヤテストコースの乗り心地評価用Dry路面にて、2名乗車時の乗り心地を3名のテストドライバーによって官能評価した。比較例1を基準に「±0」として、比較例1よりもやや良い(ドライバーには操縦安定性の有意差が分かるが、同乗者には分からないレベル)を「+1」、良い(同乗者にも分かるレベル)を「+2」、やや劣る(ドライバーには操縦安定性の有意差が分かるが、同乗者には分からないレベル)を「−1」、劣る(同乗者にも分かるレベル)を「−2」として表に示した。
[耐久性]
FMVSS109に規定のタイヤ耐久性条件にて、各ラジアルタイヤのドラム走行試験を行い故障発生まで走行させた。故障発生までの走行距離を示す。なお、7000km走行時点で故障発生の無かった場合は、走行試験を終了し合格としてN.F(No.Failure)と示した。
Figure 0005132133
本発明にかかる実施例1、2のタイヤはSIBSの配合量の少ない比較例1に対して操縦安定性、乗り心地共が向上し、耐久性に優れ、空気透過性も良好に維持することができる。一方、SIBSの配合量の多すぎる比較例2は比較例1と操縦安定性、乗り心地は向上するが耐久性試験にて発熱により3,000km走行時点でライナージョイントのはがれの故障が発生し、またカーボンブラックを増量した比較例3はゴム硬さが上昇し耐久性試験4,500km走行時点でライナー割れを発生した。また、ゴム硬さの上昇を抑えるためオイルを増量した比較例4では、空気透過性が悪化し、乗り心地は向上するが操縦安定性が低下しアンバランスなタイヤ性能となった。硫黄量が1.2重量部と多く配合された比較例5は、耐久性試験において走行中にゴムの硬化が進み、5,500km走行時点でインナーライナー割れを発生した。
本発明のインナーライナー用ゴム組成物は各種用途、サイズの空気入りタイヤに使用することができ、中でも操縦安定性と乗り心地の両立要求の高い乗用車用タイヤに好適である。
実施形態の空気入りタイヤの半断面図である。
符号の説明
1……空気入りタイヤ
2……トレッド部
3……サイドウォール部
4……ビード部
5……ビードコア
6……カーカス
7……ベルト
8……キャッププライ
10……インナーライナー

Claims (3)

  1. ブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴム40重量部以上、スチレン系重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体3〜30重量部、及びジエン系ゴムとからなるポリマー成分100重量部に対して、カーボンブラックを20〜60重量部、硫黄を1重量部未満含有し、
    23℃で測定したJIS−A硬さが55〜70、かつ23℃で測定したJIS−反発弾性が10〜20%である
    ことを特徴とするインナーライナー用ゴム組成物。
  2. 前記ブロック共重合体が、スチレン系重合体ブロック−イソブチレン系重合体ブロック−スチレン系重合体ブロックの構造を有するトリブロック共重合体である
    ことを特徴とする請求項1に記載のインナーライナー用ゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載のインナーライナー用ゴム組成物をタイヤのインナーライナーに用いた
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
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