以下、本発明に係るリサイクル機械の実施の形態について、木材破砕機を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1ないし図6は本発明の第1の実施の形態を示し、1はリサイクル機械の代表例としての木材破砕機を示している。ここで、木材破砕機1は、例えば間伐作業によって発生する間伐材や抜根、剪定作業によって発生する剪定枝材、木造家屋の解体作業によって発生する廃木材等のリサイクル原料を細かく破砕し、肥料等として再利用可能な小片状の木材チップを生成するものである。そして、木材破砕機1は、図1及び図2に示すように、後述の走行体2、ホッパ8、フィーダ9、供給ローラ10、破砕装置15、排出コンベヤ23等により構成されている。
2は自走可能なクローラ式の走行体で、該走行体2は、トラックフレーム3と、該トラックフレーム3に設けられた駆動輪4および遊動輪5と、これら駆動輪4と遊動輪5とに巻回された左,右のクローラ(履帯)6,6等により構成されている。そして、走行体2は、後述の走行レバー26に対する操作に応じて前,後方向への直進走行、左,右方向への旋回走行等を行なうものである。
7は走行体2のトラックフレーム3に固定して設けられたベースフレームで、該ベースフレーム7は、トラックフレーム3上を前,後方向に延びている。そして、ベースフレーム7の長さ方向の一端側(後端側)から中間部には後述のホッパ8、フィーダ9等が配設され、ベースフレーム7の長さ方向の他端側(前端側)には、後述の破砕装置15等が配設される構成となっている。
8はベースフレーム7の後端側から中間部に亘って設けられたホッパで、該ホッパ8は、例えば間伐作業によって発生する間伐材や抜根等の破砕すべき木材(リサイクル原料)が投入されるものである。ここで、ホッパ8は、後述のフィーダ9を挟んで対面しつつベースフレーム7上に立設された左,右の側板8A,8Bからなり、油圧ショベル等(図示せず)を用いて左,右の側板8A,8B間に投入された間伐材、抜根等の木材を、フィーダ9上に案内するものである。
9はホッパ8の下側に位置してベースフレーム7の後端側から中間部に亘って設けられたフィーダで、該フィーダ9は、ホッパ8から後述の破砕装置15に向けて前,後方向に延びている。ここで、フィーダ9は、ベースフレーム7に沿って無限軌道を形成するチェーンベルトにより構成され、油圧モータ等の駆動源(図示せず)によって駆動されることにより、ホッパ8に投入された木材を破砕装置15に向けて図3中の矢示A方向に連続的に搬送するものである。
10はフィーダ9の前端部上側に位置して後述する破砕装置15の近傍に設けられた供給ローラで、該供給ローラ10は、図3中に二点鎖線で示すように、フィーダ9によって搬送されてくる木材Wを、当該フィーダ9との間に挟込んだ状態で破砕装置15に供給するものである。
そして、供給ローラ10は、連結軸11によってL字型に連結され基端側が後述する支持フレーム16に上,下方向に揺動可能に支持された左,右一対の揺動アーム12と、該揺動アーム12の自由端側に回転可能に設けられたローラ13とにより大略構成されている。ここで、ローラ13は、外周側に鋸歯状をなす複数の爪部材13Aが設けられ、油圧モータ等(図示せず)によってフィーダ9による木材Wの搬送方向(図3中の矢示A方向)と同じ方向に回転駆動される。
これにより、供給ローラ10は、図3に示す木材Wの破砕作業時には、フィーダ9によって搬送される木材Wの大きさに応じて上,下方向に揺動しつつ、ローラ13とフィーダ9との間に木材Wを挟込み、後述の破砕ロータ18に適度な力で押付ける構成となっている。また、供給ローラ10の周囲は、ローラカバー14によって覆われている。
15はベースフレーム7の前端側に設けられた破砕装置で、該破砕装置15は、フィーダ9と供給ローラ10とによって供給された木材W(リサイクル原料)を細かく破砕し、肥料等として再利用可能な小片状の木材チップを生成するものである。ここで、破砕装置15は、後述の支持フレーム16、破砕ロータ18、各破砕ビット19、固定刃20等により構成されている。
16は破砕装置15のベースをなす支持フレームで、該支持フレーム16は、ベースフレーム7の前端側に固定して設けられ、上述した供給ローラ10の揺動アーム12を支持すると共に、後述の破砕ロータ18を支持するものである。ここで、支持フレーム16は、図3等に示すように、左,右方向で一定の間隔をもって対面する一対の縦板16Aと、後述する破砕ロータ18の下側に配置され各縦板16A間を左,右方向に延びる下横板16Bと、後述する破砕ロータ18の上側に前,後方向に離間して配置され各縦板16A間を左,右方向に延びる前,後の上横板16C,16Dとにより構成され、強固な支持構造体をなしている。
17は支持フレーム16を構成する一対の縦板16A間に形成された破砕室で、該破砕室17内には、後述の破砕ロータ18、固定刃20等が収容される構成となっている。そして、破砕室17の後部側(フィーダ9側)は、破砕すべき木材Wの導入口17Aとなり、破砕室17の前部側は、後述の破砕ロータ18によって破砕された木材チップの排出口17Bとなっている。また、破砕室17の上側は、後述のロータカバー22によって覆われる構成となっている。
18は支持フレーム16に回転可能に支持された破砕ロータで、該破砕ロータ18は、破砕室17内に配置され、該破砕室17内に供給された木材Wを細かく破砕して小片状の木材チップを生成するものである。ここで、破砕ロータ18は、外周面に多数の破砕ビット(破砕歯)19,19,…が着脱可能に取付けられた円筒体からなり、破砕ロータ18の回転軸18Aの両端側は、支持フレーム16を構成する各縦板16Aに軸受等(図示せず)を介して回転可能に支持されている。
そして、破砕ロータ18は、後述の油圧モータ35によって回転されることにより、主として図3中の矢示B方向(正回転方向)に回転する。これにより、フィーダ9と供給ローラ10とによって破砕室17内に供給された木材Wを、高速回転する破砕ロータ18に設けられた各破砕ビット19によって細かく破砕し、小片状の木材チップを生成することができる。
20は供給ローラ10と破砕ロータ18との間に位置して破砕室17内に設けられた固定刃(アンビル)で、該固定刃20は、破砕ロータ18の各破砕ビット19と協働して木材チップをさらに細かく破砕するものである。ここで、固定刃20は、破砕ロータ18の軸方向に沿って延びる平板状をなし、支持フレーム16の各縦板16A間に取付けられることにより、破砕室17の導入口17A内に配置されている。
そして、固定刃20と破砕ロータ18の各破砕ビット19との間には微小な隙間が形成され、破砕ロータ18の各破砕ビット19によって破砕された木材チップを、破砕ロータ18の各破砕ビット19と固定刃20との間で剪断することにより、この木材チップをさらに細かく破砕することができる構成となっている。
21は破砕ロータの前側に位置して破砕室17の排出口17B内に配設されたスクリーン(分級板)で、該スクリーン21は、破砕ロータ18の外周面に沿って円弧状に湾曲し多数の小孔(図示せず)が穿設された板体により形成されている。そして、スクリーン21は、支持フレーム16を構成する下横板16Bと上横板16Cとの間に配置され、破砕ロータ18の軸方向に延びている。
そして、破砕ロータ18の破砕ビット19と固定刃20とによって破砕された木材チップは、スクリーン21に穿設された小孔を通過することにより破砕室17の外部に排出され、後述の排出コンベヤ23に導出される。従って、排出コンベヤ23に導出される木材チップの大きさは、スクリーン21に穿設された小孔の大きさに応じて設定され、スクリーン21を通過できない木材チップは、破砕ロータ18の破砕ビット19と固定刃20とによってさらに細かく破砕された後、排出コンベヤ23に導出される構成となっている。
22は破砕室17の上側に配設されたロータカバーで、該ロータカバー22は、破砕室17内に収容された破砕ロータ18を上方から覆うものである。ここで、ロータカバー22は、支持フレーム16の各上横板16C,16D間に配置され、破砕ロータ18に沿ってその軸方向に延びている。そして、ロータカバー22は、支持フレーム16の各上横板16C,16Dにボルト等を用いて着脱可能に取付けられている。
ここで、破砕ロータ18に取付けられた各破砕ビット19は、間伐材や抜根といった木材を破砕することにより徐々に摩耗するため、これら各破砕ビット19の点検、交換作業といったメンテナンス作業を定期的に行う必要がある。そして、このようなメンテナンス作業を行うときには、図4に示す如くロータカバー22を取外すことにより、支持フレーム16の各上横板16C,16D間に大きな空間が形成されるので、作業者は、上横板16C,16D間の空間を通じて破砕室17内で破砕ビット19の点検、交換作業等を容易に行うことができる構成となっている。
23は破砕装置15の下側から前,後方向に延びて設けられた排出コンベヤで、該排出コンベヤ23は、図1及び図2に示すように、破砕装置15の下側から斜め上向きに傾斜しつつ前,後方向に延びたコンベヤフレーム23Aと、該コンベヤフレーム23Aに沿って前,後方向に延びる無限軌道を形成するベルト23Bとにより大略構成されている。
そして、排出コンベヤ23は、破砕装置15によって破砕されスクリーン21を通じて破砕室17の外部に導出された木材チップを、ベルト23B上に積載して搬送し、この木材チップを木材破砕機1の外部に連続的に排出するものである。
24はフィーダ9の左側に位置してトラックフレーム3上に搭載されたパワーユニットで、該パワーユニット24は、図1に示すように、フィーダ9に沿って前,後方向に延びる建屋カバー25、該建屋カバー25内に収容された後述のエンジン32、油圧ポンプ33等により構成されている。また、パワーユニット24の前側には走行レバー26が配設され、該走行レバー26を操作することにより、木材破砕機1(走行体2)の走行を制御することができる構成となっている。
次に、本実施の形態による木材破砕機1に搭載された破砕ロータ18を駆動するロータ駆動用の油圧回路について、図5を参照しつつ説明する。
図中、31は破砕ロータ18を駆動するロータ駆動回路で、該ロータ駆動回路31は、後述の油圧ポンプ33、油圧モータ35、主管路36,37、バイパス管路45、方向制御弁46等により構成されている。
32は原動機としてのエンジンで、該エンジン32は、図1に示す建屋カバー25内に収容され、後述の油圧ポンプ33、チャージポンプ43等を駆動するものである。
33はエンジン32によって駆動される可変容量型の油圧ポンプで、該油圧ポンプ33は、タンク34と共に油圧源を構成し、後述の油圧モータ35に向けて圧油を吐出するものである。ここで、油圧ポンプ33は、例えば斜板等からなる容量可変部33Aを備えた可変容量型斜板式油圧ポンプによって構成され、この容量可変部33Aは、後述の傾転シリンダ38により、傾転量が零となる中立位置から傾転量が正または負となる方向に傾転されるものである。これにより、油圧ポンプ33は、容量可変部33Aの傾転に応じて圧油の吐出方向を変化させることにより、油圧モータ35を、回転停止と、正回転と、逆回転とに切換えることができる構成となっている。
35は破砕ロータ18を回転させる油圧モータで、該油圧モータ35は、破砕ロータ18の回転軸18Aに接続されている。そして、油圧モータ35は、油圧ポンプ33から吐出する圧油の方向に応じて回転方向を切換えることにより、破砕ロータ18を正回転または逆回転させるものである。
36,37は油圧ポンプ33と油圧モータ35との間を接続する一対の主管路で、油圧ポンプ33から吐出した圧油は、各主管路36,37を通じて油圧モータ35に供給される。そして、これら油圧ポンプ33、油圧モータ35、各主管路36,37は油圧閉回路(HST回路)を構成している。
38は傾転アクチュエータとしての傾転シリンダで、該傾転シリンダ38は、油圧ポンプ33に設けられた容量可変部33Aの傾転を制御するものである。ここで、傾転シリンダ38内にはピストン38Aが摺動可能に設けられ、該ピストン38Aによって2つの油室38B,38Cが画成されている。そして、ピストン38Aは油圧ポンプ33の容量可変部33Aに連結され、油室38B,38Cには、後述の正逆回転切換弁39を介してチャージポンプ43からの圧油が給排される構成となっている。
39は破砕ロータ18の回転方向を正,逆方向に切換える正逆回転切換弁で、該正逆回転切換弁39は、例えば電磁パイロット式の4ポート3位置切換弁によって構成されている。この正逆回転切換弁39の4つのポートのうち2つのポートは、傾転シリンダ38の油室38B,38Cに接続され、他の2つのポートは後述のチャージポンプ43、タンク34に接続されている。そして、正逆回転切換弁39は、2つの電磁パイロット部のいずれにも信号が入力されていないときには回転停止位置(a)を保持し、各電磁パイロット部のいずれかに信号が入力されることにより、回転停止位置(a)から正回転位置(b)または逆回転位置(c)に切換えられるものである。
ここで、正逆回転切換弁39が回転停止位置(a)を保持しているときには、傾転シリンダ38の油室38B,38Cがタンク34に連通し、これら油室38B,38C内がほぼ同圧となるので、ピストン38Aに連結された油圧ポンプ33の容量可変部33Aが中立位置を保持する。これにより、容量可変部33Aの傾転量が零となり、油圧ポンプ33から圧油が吐出しないので油圧モータ35、破砕ロータ18は停止した状態を保つ。
一方、正逆回転切換弁39を回転停止位置(a)から正回転位置(b)に切換えたときには、チャージポンプ43からの圧油が傾転シリンダ38の油室38B内に供給され、油室38Cがタンク34に連通する。これにより、傾転シリンダ38のピストン38Aが油室38C側へと変位し、例えば油圧ポンプ33の容量可変部33Aが正回転側に傾転される。この結果、例えば油圧ポンプ33から吐出した圧油が、主管路36から油圧モータ35に供給され、油圧モータ35は破砕ロータ18を正回転方向(図3中の矢示B方向)へと回転させる。
また、正逆回転切換弁39を回転停止位置(a)から逆回転位置(c)に切換えたときには、チャージポンプ43からの圧油が傾転シリンダ38の油室38C内に供給され、油室38Bがタンク34に連通する。これにより、傾転シリンダ38のピストン38Aが油室38B側へと変位し、例えば油圧ポンプ33の容量可変部33Aが逆回転側に傾転される。この結果、例えば油圧ポンプ33から吐出した圧油が、主管路37から油圧モータ35に供給され、油圧モータ35は破砕ロータ18を逆回転方向へと回転させる。
40は一対の主管路36,37間を接続するチャージ用接続管路で、該チャージ用接続管路40の途中には、一対のチャージ用チェック弁41A,41Bが互いに逆向きに設けられている。また、チャージ用チェック弁41Aにはオーバロードリリーフ弁42Aが並列に接続され、チャージ用チェック弁41Bにはオーバロードリリーフ弁42Bが並列に接続されている。
そして、これらチャージ用接続管路40、チャージ用チェック弁41A,41B、オーバロードリリーフ弁42A,42Bはブレーキ回路を構成し、このブレーキ回路は、油圧ポンプ33の容量可変部33Aを中立位置として油圧モータ35の回転を停止させるときに、破砕ロータ18の慣性に対して主管路36,37内に適度なブレーキ圧を発生させることにより、油圧モータ35の回転を緩やかに停止させるものである。
また、チャージ用接続管路40、チャージ用チェック弁41A,41Bはチャージ回路を構成し、このチャージ回路は、油圧ポンプ33から油圧モータ35に供給される圧油が漏れを生じたときに、主管路36,37のうち低圧側の主管路内に後述のチャージポンプ43から不足分の圧油を補給するものである。
43は油圧ポンプ33と共にエンジン32によって駆動されるチャージポンプないしパイロットポンプ(以下、チャージポンプという)で、該チャージポンプ43の吐出側は、チャージ用接続管路40のうちチャージ用チェック弁41A,41B間に接続されている。そして、チャージポンプ43は、上述のチャージ回路を通じて主管路36,37内に補給されるチャージ用の圧油を吐出するものである。
また、チャージポンプ43の吐出側は正逆回転切換弁39のポートにも接続されており、チャージポンプ43から吐出した圧油の一部は、正逆回転切換弁39を介して傾転シリンダ38に供給される。なお、主管路36,37内にチャージ用の圧油を補給する必要がない場合には、チャージポンプ43から吐出した圧油は、チャージリリーフ弁44を通じてタンク34に排出される。
45は油圧モータ35を挟んで一対の主管路36,37間を接続するバイパス管路で、該バイパス管路45は、油圧ポンプ33をバイパスして油圧モータ35、主管路36,37からなる閉回路を形成するためのものである。そして、このバイパス管路45の途中には、後述の方向制御弁46が設けられている。
46はバイパス管路45の途中に設けられた弁手段としての方向制御弁で、該方向制御弁46は、例えば油圧パイロット式の2ポート3位置切換弁によって構成されている。ここで、方向制御弁46は、バイパス管路45内の流量が所定の設定値(例えば、毎分7リットル)以下であるときには、弁ばね46A,46Aによって連通位置(a)に保持され、バイパス管路45内の流量が設定値を超えると、弁ばね46Aに抗して連通位置(a)から遮断位置(b),(c)へと切換るものである。
そして、方向制御弁46が連通位置(a)を保持しているときには、バイパス管路45が絞り46Bを通じて連通することにより、油圧ポンプ33を停止した状態で、油圧モータ35によって駆動される破砕ロータ18を手動で回転(正逆回転)させることができる。これにより、例えば破砕ロータ18に取付けられた各破砕ビット19の交換作業等を行うときに、作業者は破砕ロータ18を手動で正逆回転させながら破砕ビット19を容易に交換することができる構成となっている。
この場合、油圧ポンプ33を停止した状態で、方向制御弁46が連通位置(a)となって破砕ロータ18を手動で回転させたときには、絞り46Bを通じて連通した一対の主管路36,37間に差圧が生じる。このため、例えば破砕ロータ18を過剰に回転させてしまったとしても、バイパス管路45内の流量が所定の設定値(例えば、7リットル/min)を超えると、主管路36,37間に生じる差圧によって方向制御弁46が連通位置(a)から遮断位置(b)または(c)に切換わる。この結果、バイパス管路45を通じて高圧側の主管路から低圧側の主管路へと向かう圧油の流れが遮断され、過剰に回転する破砕ロータ18を減速させた後に停止させることができる構成となっている。
また、破砕ロータ18に対するメンテナンス作業が終了し、油圧ポンプ33を作動させたときには、バイパス管路45内の流量が設定値を超えることにより制御弁46が連通位置(a)から遮断位置(b)または(c)へと自動的に切換わる。これにより、方向制御弁46の切換え操作等を行うことなく、バイパス管路45を通じて高圧側の主管路から低圧側の主管路へと向かう圧油の流れを遮断することができ、破砕ロータ18は、油圧ポンプ33から吐出した圧油によって高速で回転する構成となっている。
本実施の形態による木材破砕機1は上述の如き構成を有するもので、以下、間伐作業によって発生する間伐材等の木材(リサイクル原料)を破砕して、小片状の木材チップを生成する破砕作業について説明する。
まず、木材破砕機1のホッパ8内に、油圧ショベル等(図示せず)を用いて間伐材等の木材を投入する。これにより、図3に示すように、木材Wはフィーダ9上に供給され、このフィーダ9によって破砕ロータ18に向けて矢示A方向に搬送される。
そして、フィーダ9によって破砕ロータ18の近傍部位まで搬送された木材Wは、供給ローラ10のローラ13によって上方から押え込まれ、これらローラ13とフィーダ9との間に挟込まれた状態で破砕ロータ18に導入される。
このとき、図5に示すロータ駆動回路31においては、例えば正逆回転切換弁39が正回転位置(b)に切換えられることにより、チャージポンプ43からの圧油が傾転シリンダ38の油室38B内に供給され、油圧ポンプ33の容量可変部33Aが正回転側に傾転される。これにより、油圧ポンプ33から吐出した圧油が、主管路36から油圧モータ35に供給され、油圧モータ35は破砕ロータ18を正回転方向(図3中の矢示B方向)に高速で回転させる。
これにより、供給ローラ10とフィーダ9とによって破砕ロータ18に導かれた木材Wは、高速で回転する破砕ロータ18に取付けられた各破砕ビット19によって破砕される。また、破砕された木材チップは、破砕ロータ18の各破砕ビット19と固定刃20との間で剪断されることにより、さらに細かく破砕される。
このようにして、破砕ロータ18等によって細かく破砕された木材チップは、破砕室17の排出口17Bに設けられたスクリーン21の小孔(図示せず)を通過して、排出コンベヤ23のベルト23B上に導出され、このベルト23Bによって木材破砕機1の外部に排出される。
ところで、木材破砕機1の破砕ロータ18に取付けられた各破砕ビット19は、破砕作業によって徐々に摩耗するため、この破砕ビット19の交換作業(破砕ロータ18のメンテナンス作業)を定期的に行う必要がある。そこで、この破砕ビット19の交換作業について、図6の流れ図を参照しつつ説明する。
まず、破砕ビット19の交換を行うときには、作業者が破砕ロータ18を手動で回転させるため、ステップ1で油圧ポンプ33を停止させ、ステップ2でエンジン32を停止させる。
このようにして、油圧ポンプ33を停止させた状態で、図4に示すように、作業者は、破砕ロータ18の上側に配置されたロータカバー22を取外し、破砕室17内で破砕ロータ18に取付けられた破砕ビット19を交換する。そして、破砕ビット19の交換作業を続ける場合には、ステップ3で破砕ロータ18を手動回転させてステップ4に進み、破砕ビット19の交換作業を終了する場合には、ステップ3で破砕ロータ18を停止させて作業を終了する。
ここで、油圧ポンプ33を停止させたときには、ロータ駆動回路31の方向制御弁46が連通位置(a)を保持するので、ステップ4において、方向制御弁46の絞り46Bを通じてバイパス管路45が連通し、油圧モータ35、主管路36,37、バイパス管路45からなる閉回路が形成される。この結果、作業者は、油圧モータ35に接続された破砕ロータ18を手動によって正逆回転させることができ、破砕ビット19の交換作業を容易に行うことができる。
そして、上述の如く作業者が破砕ロータ18を手動で回転させるときに、ステップ5では、バイパス管路45内の流量が、所定の設定値(例えば、7リットル/min)以下であるか否かを判断する。そして、バイパス管路45内の流量が所定の設定値以下であるときにはステップ3に戻り、バイパス管路45内の流量が所定の設定値を超えたときにはステップ6に進む。
ここで、バイパス管路45内の流量が設定値を超えると、方向制御弁46の絞り46Bを挟む前,後の差圧が弁ばね46Aの設定圧を超えることにより、方向制御弁46は、弁ばね46Aに抗して連通位置(a)から遮断位置(b)または(c)に切換えられる。これにより、ステップ6においてバイパス管路45が方向制御弁46によって遮断されるので、ステップ7において破砕ロータ18の回転が減速した後に停止する。
このように、破砕ビット19の交換作業を行うために、破砕ロータ18を手動回転させるときに、この破砕ロータ18を過剰に回転させてしまったとしても、バイパス管路45内の流量が設定値を超えると、主管路36,37間に生じる差圧によって方向制御弁46が連通位置(a)から遮断位置(b)または(c)に切換わる。この結果、バイパス管路45内の圧油の流れを遮断し、過剰に回転する破砕ロータ18を減速させた後に停止させることができるので、メンテナンス作業の安全性を高めることができる。
そして、ステップ7で破砕ロータ18の回転が停止した後にはステップ3に戻り、破砕ビット19の交換作業を続ける場合には、ステップ3で破砕ロータ18を手動回転させてステップ4に進み、破砕ビット19の交換作業を終了する場合には、ステップ3で破砕ロータ18を停止させて作業を終了する。
このようにして、破砕ロータ18に取付けられた各破砕ビット19の交換作業が終了した後には、破砕ロータ18によって木材Wの破砕作業を行うために、エンジン32によって油圧ポンプ33を作動させる。
このとき、油圧ポンプ33から吐出した圧油がバイパス管路45を流れることにより、バイパス管路45内の流量が設定値を超えると、方向制御弁46は、弁ばね46Aに抗して連通位置(a)から遮断位置(b)または(c)に自動的に切換わる。これにより、方向制御弁46の切換え操作等を行うことなく、バイパス管路46を通じて高圧側の主管路から低圧側の主管路へと向かう圧油の流れを遮断することができるので、油圧ポンプ33から吐出する圧油によって油圧モータ35を駆動し、破砕ロータ18を高速で回転させることができる。
かくして、本実施の形態によれば、油圧モータ35を挟んで一対の主管路36,37間を接続するバイパス管路45を設けると共に、該バイパス管路45の途中に油圧パイロット式の方向制御弁46を設ける構成としている。そして、方向制御弁46は、バイパス管路45内の流量が設定値(例えば、7リットル/min)以下であるときには、絞り46Bを通じてバイパス管路45を連通させ、バイパス管路45内の流量が設定値を超えたときには、主管路36,37間に生じる差圧により弁ばね46Aに抗して連通位置(a)から遮断位置(b)または(c)へと自動的に切換る構成となっている。
このため、例えば油圧ポンプ33を停止させることにより、バイパス管路45内の流量が設定値以下となったときには、油圧モータ35、一対の主管路36,37、バイパス管路45からなる閉回路を形成することができる。これにより、破砕ロータ18を手動で正逆回転させることができるので、破砕ビット19の交換等の破砕ロータ18に対するメンテナンスを行うときの作業性を高めることができる。
また、破砕ロータ18に対するメンテナンス作業が終了した後には、油圧ポンプ33を作動させることによりバイパス管路45内の流量が設定値を超えると、方向制御弁46は、連通位置(a)から遮断位置(b)または(c)に自動的に切換わる。これにより、バイパス管路45を通じて高圧側の主管路から低圧側の主管路へと向かう圧油の流れを遮断することができるので、油圧ポンプ33から吐出する圧油によって油圧モータ35を駆動し、破砕ロータ18を高速で回転させることができる。
このように、バイパス管路45内の流量が設定値以下であるときには、方向制御弁46がバイパス管路45を連通させることにより破砕ロータ18を手動で回転させることができるので、例えば手動式の開閉弁(コック)を開閉操作して破砕ロータを手動で回転させる場合に比較して、煩雑なコックの開閉操作を不要にできる。このため、破砕ロータ18に対するメンテナンスの作業性を一層高めることができるうえに、コックの閉め忘れに伴う不具合も回避することができる。
さらに、バイパス管路45の途中に設けた方向制御弁46によって破砕ロータ18を手動で回転させることができるので、例えば破砕ロータの正逆回転を切換えるためのコントロールバルブを備え、このコントロールバルブを中立位置としたときに破砕ロータを手動で回転させる構成に比較して、コントロールバルブを不要にできる。この結果、ロータ駆動回路31の回路構成を簡素化することができ、製造コストの低減にも寄与することができる。
次に、図7は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、油圧モータを挟んで一対の主管路36,37間を接続する2本のバイパス管路を設け、該各バイパス管路の途中にそれぞれ方向制御弁を設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は本実施の形態によるロータ駆動回路で、該ロータ駆動回路51は、上述した第1の実施の形態によるロータ駆動回路31に代えて本実施の形態に用いたものである。そして、ロータ駆動回路51は、油圧ポンプ33、油圧モータ35、主管路36,37、後述のバイパス管路52,53、方向制御弁54,56等により構成されている。
52,53は油圧モータ35を挟んで主管路36,37間を接続する2本のバイパス管路で、これら各バイパス管路52,53は、油圧ポンプ33をバイパスして油圧モータ35、主管路36,37からなる閉回路を形成するものである。そして、バイパス管路52の途中には後述の方向制御弁54とチェック弁55が設けられ、バイパス管路53の途中には後述の方向制御弁56とチェック弁57が設けられている。
54はバイパス管路52の途中に設けられた弁手段としての方向制御弁で、該方向制御弁54は、例えば油圧パイロット式の2ポート2位置切換弁によって構成されている。ここで、方向制御弁54は、バイパス管路52内の流量が設定値(例えば、7リットル/min)以下であるときには、弁ばね54Aによって連通位置(a)に保持され、バイパス管路52内の流量が設定値を超えると、弁ばね54Aに抗して連通位置(a)から遮断位置(b)へと切換るものである。
そして、方向制御弁54が連通位置(a)を保持しているときには、バイパス管路52が絞り54B、チェック弁55を通じて連通することにより、油圧ポンプ33を停止した状態で、破砕ロータ18を手動で回転させることができる。また、バイパス管路52内の流量が設定値を超えたときには、方向制御弁54が遮断位置(b)に切換ることにより、油圧ポンプ33から吐出した圧油によって油圧モータ35が駆動され、破砕ロータ18を高速で回転させることができる構成となっている。
56はバイパス管路53の途中に設けられた弁手段としての方向制御弁で、該方向制御弁56も、例えば油圧パイロット式の2ポート2位置切換弁によって構成されている。ここで、方向制御弁56は、バイパス管路53内の流量が設定値(例えば、7リットル/min)以下であるときには、弁ばね56Aによって連通位置(a)に保持され、バイパス管路53内の流量が設定値を超えると、弁ばね56Aに抗して連通位置(a)から遮断位置(b)へと切換るものである。
そして、方向制御弁56が連通位置(a)を保持しているときには、バイパス管路53が絞り56B、チェック弁57を通じて連通することにより、油圧ポンプ33を停止した状態で、破砕ロータ18を手動で回転させることができる。また、バイパス管路53内の流量が設定値を超えたときには、方向制御弁56が遮断位置(b)に切換ることにより、油圧ポンプ33から吐出した圧油によって油圧モータ35が駆動され、破砕ロータ18を高速で回転させることができる構成となっている。
本実施の形態によるロータ駆動回路51は上述の如き構成を有するもので、本実施の形態においても、油圧ポンプ33を停止したときに、バイパス管路52,53内の流量が設定値以下であるときには、方向制御弁54,56がそれぞれ連通位置(a)を保持することにより、破砕ロータ18を手動で回転させることができる。この結果、例えば破砕ロータ18に取付けられた各破砕ビット19の交換作業等を行うときに、作業者は破砕ロータ18を手動で正逆回転させながら破砕ビット19を容易に交換することができ、その作業性を高めることができる。
また、破砕ロータ18に対するメンテナンス作業が終了し、油圧ポンプ33を作動させたときには、バイパス管路52,53内の流量が設定値を超えることにより、方向制御弁54,56がそれぞれ連通位置(a)から遮断位置(b)へと自動的に切換わる。これにより、各方向制御弁54,56の切換え操作等を行うことなく、バイパス管路52,53を通じて高圧側の主管路から低圧側の主管路へと向かう圧油の流れを遮断することができ、破砕ロータ18を、油圧ポンプ33から吐出した圧油によって高速で回転させることができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、主管路36,37間を接続するバイパス管路45の途中に、油圧パイロット式の方向制御弁46を設けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図8に示す変形例のように、バイパス管路45の途中に、電磁パイロット式の2ポート2位置切換弁からなる方向制御弁61を設け、方向制御弁61の前,後には、バイパス管路45内の圧力が所定の設定流量に対応する圧力になったことを検出する圧力スイッチ62,63を設ける構成としてもよい。
この場合、方向制御弁61は、バイパス管路45内の流量が設定値以下であるときには、弁ばね61Aによって連通位置(a)を保持し、絞り61Bを通じてバイパス管路45を連通させることにより、油圧ポンプ33の停止時に破砕ロータ18を手動回転させることができる。一方、方向制御弁61の前,後に発生する圧力を圧力スイッチ62,63によって検出し、この検出信号をオア回路64を介して方向制御弁61の電磁パイロット部に出力する。そして、圧力スイッチ62,63のいずれかが、バイパス管路45内の流量が設定値を超えたことを示す検出信号を出力したときに、方向制御弁61が連通位置(a)から遮断位置(b)に切換わることにより、油圧ポンプ33からの圧油によって破砕ロータ18を回転させることができる。
また、上述した第1の実施の形態では、方向制御弁46が連通位置(a)を保持するときのバイパス管路45内の流量(設定値)を、7リットル/min以下に設定した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば方向制御弁46の連通位置(a)に設けた絞り46Bのオリフィス径を変更することにより、バイパス管路45を流れる流量を、例えば4リットル/min、10リットル/min等の適宜な設定値に変更することができる。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
また、上述した実施の形態では、リサイクル機械として、自走可能なクローラ式の走行体2を有する木材破砕機1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばトレーラ等によって牽引される非自走式の木材破砕機に適用してもよい。
さらに、上述した実施の形態では、リサイクル機械として木材を破砕する木材破砕機1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばコンクリート塊等の木材以外のリサイクル原料を破砕する他のリサイクル機械にも適用することができる。