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JP5127426B2 - 電動車両の充電システム - Google Patents

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Description

この発明は、電動車両の充電システムに関し、より特定的には、電動車両に搭載された蓄電装置を電動車両の外部電源により充電するシステムに関する。
電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車などの、いわゆる電動車両は、二次電池やキャパシタなどからなる蓄電装置を搭載し、当該蓄電装置に蓄えられた電力によって電動機を介して駆動力を発生する。
このような電動車両に搭載された蓄電装置を、系統電源や太陽電池などの外部電源により充電する構成が提案されている。特に、ハイブリッド自動車では、搭載される内燃機関での発電コストに比較して外部電源のコストが低い場合には、蓄電装置を外部電源で充電することにより、全体としての走行コストを抑制できる。
ところで、蓄電装置を充電する際には、充電電流による抵抗性の発熱や蓄電装置のエントロピー変化による吸熱または発熱反応などの温度変化を生じる。このため、たとえば特開2002−354608号公報(特許文献1)には、蓄電装置であるバッテリの急速充電時にもバッテリを冷却可能とするために、車室内冷房システムを利用してバッテリ冷却液を冷却可能にすることによって、急速充電時にもバッテリを十分に冷却することができるバッテリ冷却装置が開示されている。
また、特開2000−228226号公報(特許文献2)には、電気自動車用ニッケル系電池の充電時に、外気送風によりバッテリを冷却させながら充電を行なう方式が記載されている。さらに、ニッケル系電池の満充電判定を正確化するために、電池温度と外気温の温度差が所定値以内となることを条件として充電を開始させることが記載されている。
特開2002−354608号公報 特開2000−228226号公報
特許文献1のバッテリ冷却装置によれば、急速充電時にバッテリを通過した冷却液がヒートポンプ式の冷媒循環回路に供給されることにより、充電によるバッテリの廃熱が、車室内冷房に利用される。しかしながら、このような外部電源によるバッテリ充電は、深夜電力時間帯に行なわれることが一般的であるため、この際に車室内を冷房しても、バッテリ冷却液の冷却に寄与するのみであり、必ずしもその利用効率は高いものとは言えない。すなわち、外部電源による蓄電装置の充電時に発生する廃熱について、より有効に回収するシステムが好ましい。
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、この発明の目的は、外部電源による蓄電装置の充電時において、蓄電装置で発生する廃熱の利用効率を高めることが可能な電動車両の充電システムを提供することである。
この発明による電動車両の充電システムは、電動車両と、外部電源と、ヒートポンプ機構と、導管とを備える。電動車両は、充放電可能に構成された第1の蓄電装置および該第1の蓄電装置を冷却するための冷却機構を搭載する。外部電源は、電動車両の車外に設定された、第1の蓄電装置を充電可能な電源である。ヒートポンプ機構は、電動車両の外部に設置され、凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクルを実行するための熱交換器を含む。導管は、外部電源による第1の蓄電装置の充電時に、冷却機構において蓄電装置と熱交換した冷媒を、電動車両からヒートポンプ機構内の凝縮工程を実行する熱交換器へ導くように構成される。
好ましくは、電動車両は、外部電源からの供給電力を第1の蓄電装置の充電電力に変換する電力変換装置を搭載する。
上記電動車両の充電システムによれば、電動車両に搭載された蓄電装置(第1の蓄電装置)の外部電源による充電時に、上記蓄電装置で発生した廃熱を冷媒を介してヒートポンプ機構に供給することができる。これにより、たとえば深夜電力を利用したヒートポンプ式給湯器で構成されるヒートポンプ機構によって、外部電源による充電時に発生した蓄電器項の廃熱を同時に利用してエネルギ回収効率を高めることができる。
好ましくは、充電システムは、外部電源による第1の蓄電装置の充電期間と、ヒートポンプ機構の作動期間とを自動的に同期させるための同期手段をさらに含む。さらに好ましくは、同期手段は、タイマーによる計時に基づいて、あるいは、ヒートポンプ機構および電動車両の作動状態に基づいて、充電期間および作動期間の少なくとも一方を設定する。
このように構成すると、蓄電装置の外部電源による充電期間とヒートポンプ機構との作動期間を自動的に同期させることにより、外部充電による蓄電装置の廃熱の利用効率を確実に高めることが可能となる。
好ましくは、充電システムは、送出機構をさらに備える。送出機構は、導管を介した冷却機構から熱交換器への冷媒の送出を、電力消費を伴って促進するように構成される。また、送出機構は、外部電源による第1の蓄電装置の充電期間の開始に応答して作動を開始するとともに、充電期間の終了に応答して停止される。あるいは、送出機構は、外部電源による第1の蓄電装置の充電期間であっても、ヒートポンプ機構の非作動時には停止される。
このように構成すると、電力消費を伴う送出機構を廃熱回収可能な期間に限って作動させることができるため、システムのエネルギ効率をさらに高めることができる。
また好ましくは、外部電源による第1の蓄電装置の充電期間は、深夜電力の供給時間帯に対応して設けられる。そして、充電システムは、電動車両の外部に設けられた、深夜電力によって充電される第2の蓄電装置をさらに備える。
このように構成すると、電動車両の外部、たとえば住居等の建物に対応して設けられた第2の蓄電装置を深夜電力で充電することにより、システム全体での低電力料金化ならびに排出CO2削減への寄与を図ることができる。
本発明による電動車両の充電システムによれば、外部電源による充電時に発生した蓄電装置での廃熱を同時に利用して、エネルギ利用効率を高めることができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰返さないものとする。
図1は、本発明の実施の形態に従う電動車両の充電システムの模式図である。
図1を参照して、この発明の実施の形態に従う充電システム100は、電動車両101と、車両充電装置102とからなる。電動車両101は、一例として、ハイブリッド自動車であり、電源ユニット130を搭載する。
電源ユニット130は、主として、電動車両101を駆動する電動機に電力を供給するためのものであり、充放電可能に構成された蓄電装置と付属電気機器とを含んで構成される。蓄電装置は、二次電池のみならず、燃料電池、キャパシタなどであってもよい。また、蓄電装置が二次電池である場合には、鉛蓄電池、リチウムイオン電池およびニッケル水素電池のいずれであっても、それらとは別の種類の電池であってもよい。また、付属電気機器は、AC/DCコンバータ(もしくはインバータ)やDC/DCコンバータなどである。これらの機器も、蓄電装置の充電に伴って、電力用半導体スイッチング素子の発熱等の温度変化を生じる。なお、電源ユニット130を搭載するものであれば、電動車両101は、電気自動車または燃料電池自動車などであってもよい。
なお、以下では、蓄電装置は二次電池(以下では、単に「バッテリ」とも称す)であり、複数のバッテリモジュールから構成されるバッテリパックを含むものとして説明する。
車両充電装置102は、充電ステーション103と、コネクタ部104と、導管106と、電力供給線108と、ヒートポンプ機構200とを含む。ヒートポンプ機構200は、代表的には、深夜電力によって沸かした湯を貯えるように構成された、ヒートポンプ式給湯器によって構成される。
コネクタ部104は、電動車両101と連結可能に構成されるとともに、電力供給線108を介して充電ステーション103と接続され、かつ、導管106を介してヒートポンプ機構200と接続される。そして、コネクタ部104は、電力供給線108を介して、外部電源115および電動車両101の間を電気的に接続するとともに、導管106を介して、電動車両101およびヒートポンプ機構200の間を熱媒体(空気)の授受可能に連結する。
導管106は、コネクタ部104を自在に取回しできるように可とう性を有するゴムチューブなどで構成される。導管106の一端がコネクタ部104に接続されるとともに、その他端は、ヒートポンプ機構200と接続される。このため、電動車両101を外部電源115によって充電する外部充電時には、冷媒として蓄電装置を冷却した後の空気(以下、単に「温風」とも称する)を熱媒体として、導管106を介して電動車両101からヒートポンプ機構200へ導くことが可能となる。
電力供給線108は、電動車両101に搭載された蓄電装置を、電動車両101の外部から充電するための電力線であり、その一端がコネクタ部104と接続されるとともに、その他端が外部電源115と電気的に接続される。外部電源115は、代表的には系統電源110からの電力を供給するが、太陽電池パネルなどの他の発電装置、あるいはこれら発電装置によって発電した電力を蓄えた蓄電機構等から電力を供給してもよい。また、導管106と同様に、電力供給線108についても可とう性を有するキャブタイヤケーブルなどで構成される。
充電ステーション103は、電動車両101の駐車スペースおよび建物170のいずれにも近接するように設置され、導管106および電力供給線108についての巻取機構やコネクタ部104の収納機構(いずれも図示せず)などを備える。さらに、充電ステーション103には、使用者に対するセキュリティ機構や課金機構などを備えてもよい。
図2は、電動車両101の外部充電時に排出される温風の流れを説明するための図である。
図2を参照して、外部充電時において、コネクタ部104は、電動車両101に形成されるコネクタ差込部105と連結される。コネクタ部104の電動車両101側の面には、導管106の一端である供給孔106aが形成される。そして、温風ダクト132は、供給孔106aと連通するように、コネクタ差込部105によって互いに合致される。
電源ユニット130内には、蓄電装置の代表例としてのバッテリ130aが配置される。周知のように、バッテリ130aは、充電時に発熱する温度変化要素である。
電源ユニット130には、バッテリ130aを冷却するための冷却機構131が設けられる。冷却機構131は、吸気孔138と、吸気ダクト139と、温風ダクト132,140と、吸引ファン142と、切替ダンパ144とを含む。
吸気ダクト139は、車室空間の空気(以下、単に「車室空気」とも称す)を取込んで送出するように設けられる。具体的には、吸気ダクト139は、電動車両101のリヤシート136の側部(乗員の背部や肩部と接触しない領域)に配置された吸気孔138と電源ユニット130との間に接続され、吸引ファン142により吸引された車室空気を冷却媒体(冷却風)として、電源ユニット130へ導く。あるいは、吸気孔138については、電動車両101の外気を導入するように構成してもよい。
冷却機構131は、吸気ダクト139を介して供給された冷却風400が、バッテリ130aの表面に接触しながら流れるように構成される。すなわち、バッテリ130aは、冷媒としての冷却風400との間で熱交換を生じるように配置され、充電に伴って発生した熱量が冷却風400に放散されることによって冷却される。この熱交換により、バッテリ130aからは温風410が排出される。すなわち、温風410は、外部充電時のバッテリ130aで発生した熱量(廃熱)により温められている。
また、電源ユニット130には、バッテリ130aからの温風410をラゲッジルーム等に排出するための温風ダクト140が設けられる。また、温風ダクト140は、温風ダクト132と近接する位置で、電源ユニット130と接続される。
切替ダンパ144は、温風410の排出経路を、温風ダクト132および140の間で選択可能に設けられる。
図3は、電動車両およびコネクタ部の連結構造を示す概略構成図である。
図3を参照して、コネクタ部104は、コネクタ制御部114と、コネクタ通信部116とをさらに含み、電動車両101は、電力変換部(CONV)146と、車両制御部134と、車両通信部148とをさらに含む。
また、コネクタ部104の電動車両101側の連結面には、上述した供給孔106aに加えて、電源電極120a,120bと、通信電極122とが形成される。電源電極120a,120bは、凹型のプラグ形状を有する導電体であり、それぞれ電力供給線108を構成するp側供給線108aおよびn側供給線108bと電気的に接続される。通信電極122についても、凹型のプラグ形状を有する導電体であり、コネクタ通信部116と電気的に接続される。
一方、電動車両101のコネクタ差込部105には、電源差込電極152a,152bと、送風口150と、通信差込電極154とが形成される。電源差込電極152a,152bは、凸型のプラグ形状を有する導電体であり、それぞれコネクタ部104の電源電極120a,120bと連結されて、電気的に接続される。そして、電源差込電極152a,152bは、リレー160,162を介して電力を電力変換部146と接続される。これによりリレー160,162の導通時には、コネクタ部104側から供給される外部電源115からの電力が電力変換部146へ与えられる。
送風口150は、その外面が供給孔106aの内面と密着するように構成される。送風口150からコネクタ部104へ送出された温風410は、通路106bを経て、導管106へ導かれる。
また、通信差込電極154は、凸型のプラグ形状を有する導電体であり、コネクタ部104の通信電極122と連結されて、電気的に接続される。そして、通信電極122および通信差込電極154を介して、コネクタ通信部116と車両通信部148との間で双方向通信が行なわれる。さらに、コネクタ制御部114と、ヒートポンプ機構200の動作を制御するヒートポンプ制御部220(図4)との間でも双方向通信が可能に構成されている。
コネクタ通信部116は、コネクタ制御部114からの送信データを受けると、当該送信データに応じた変調信号を車両通信部148へ送信する一方、車両通信部148から変調信号を受信すると、受信データに復調してコネクタ制御部114へ出力する。
コネクタ制御部114は、コネクタ部104とコネクタ差込部105との連結を検出するために、所定の状態通知をコネクタ通信部116を介して周期的に送出する。このデータは、コネクタ部104がコネクタ差込部105に連結された場合にのみ、車両制御部134へ伝送されるので、電動車両101側では、状態通知の受信の有無に基づいて、コネクタ部104とコネクタ差込部105との連結状態を判断できる。そして、コネクタ部104の連結後に、車両制御部134から充電準備の完了通知を受けると、コネクタ制御部114は、その情報をヒートポンプ制御部220(図4)へ伝送する。
電力変換部146は、電源差込電極152a,152bおよびリレー160,162を介して供給される外部電源115からの電力(交流電力)を、バッテリ充電のための直流電力に変換した後に、バッテリ130aに供給する。すなわち、電力変換部146は、「電力変換装置」を構成するが、その構成は特に限定されるものではなく、コンバータで構成してもよく、交直可逆変換が可能なインバータを逆変換動作させることで実現してもよい。
なお、電力変換部146を電源ユニット130の内部に配置し、冷却風400によって、バッテリ130aに加えて、電力変換部146をさらに冷却するようにしてもよい。切替ダンパ144は、車両制御部134からの切替指令に応答して動作する。車両通信部148は、車両制御部134からの送信データを受けると、当該送信データに応じた変調信号をコネクタ部104のコネクタ通信部116へ送信する一方、コネクタ通信部116から変調信号を受信すると、受信データに復調して車両制御部134へ出力する。
車両制御部134は、コネクタ制御部114からの状態通知を受信すると、コネクタ部104が連結状態にあると判断し、外部充電が開始可能な所定条件が成立しているか否かを判断する。そして、外部充電を開始する際には、リレー160,162を導通させるとともに、基本的には、切替ダンパ144に切替指令を発して、バッテリ130aからの温風410の経路を、温風ダクト132から導管106へ至る経路に選択する。
さらに、電力変換部146へ作動指令を与え、バッテリ130aの充電を開始する。また、バッテリ130aの温度検出値に基づいて、バッテリ130aの発熱時には、吸引ファン142を動作させて、冷却風400をバッテリ130aへ導く。このとき、外部充電時のバッテリ廃熱によって温められた温風410は、導管106からヒートポンプ機構200へ送られる。
また、車両制御部134は、コネクタ部104のコネクタ制御部114からの状態通知を受信できなくなると、コネクタ部104の連結状態が解除されたと判断して、外部充電を中止する。すなわち、リレー160,162を開放するとともに、電力変換部146の動作を停止させる。さらに、切替ダンパ144に切替通知を発して、バッテリ130aからの温風410の経路を、温風ダクト140へ切替える。
図4は、ヒートポンプ機構200の構成を説明するためのブロック図である。
図4を参照して、ヒートポンプ機構200は、建物170への給湯設備として機能するヒートポンプ式給湯器である。ヒートポンプ機構200は、ヒートポンプサイクル(以下、「熱サイクル」とも記す)を実行するヒートポンプ部201と、主に深夜電力によって熱サイクルを実行することで沸かされた温水を貯える貯湯槽250と、冷水/温水を循環させるためのポンプ252およびフィルタ254とを含む。
上記熱サイクルは、圧縮工程202と、凝縮工程204と、膨張行程206と、蒸発工程208とを含み、このヒートポンプ部201を循環する冷媒に対して、これらの工程を連続的に実行することで、蒸発工程208において吸熱された熱エネルギーが凝縮工程204において放出される。圧縮工程202では、図示しないコンプレッサ(圧縮機)が低圧状態の冷媒を圧縮して高温高圧状態にする。なお、このコンプレッサは、外部電源115からの電力またはガスなどの動力を受けて駆動する。
次に、凝縮工程204では、凝縮器(コンデンサ)である熱交換器204aを介して、この高温高圧状態の冷媒が水との間で熱交換される。この熱交換によって、高温高圧状態の冷媒が保有していた熱エネルギーは水へ移動し、冷媒は常温高圧状態に変化する。その後、膨張行程206では、この常温高圧状態の冷媒が減圧される。この減圧された冷媒は、蒸発工程208において、熱交換器208aを介して、周囲空気から熱エネルギーを吸収(吸熱)して、低圧状態に戻る。そして、圧縮工程202において、上記と同様の動作が実行される。
このような熱サイクルによって、蒸発工程208において吸熱された熱エネルギー(蒸発器の周囲空気から吸収された熱エネルギー)が、凝縮工程204(凝縮器)において水へ伝達される。この凝縮工程204において熱エネルギーが水へ伝達されることで、冷水が温水へ変化する。
上記熱サイクルを利用して生成された温水は、貯湯槽250に蓄えられる。なお、貯湯槽250と凝縮器との間で水(温水)を循環する経路が設けられており、ポンプ252およびフィルタ254がこの循環経路に設けられる。また、貯湯槽250には、建物170(水道など)から供給される冷水を受入れる経路、および生成された温水を建物170へ供給する経路が設けられている。
ヒートポンプ制御部220は、建物170内に設けられた設定器(図示せず)などからの設定に従って、ヒートポンプ機構200の運転を制御する。代表的には、ヒートポンプ制御部220は、相対的に電気代が安くなる深夜時間帯になればヒートポンプ機構200を運転したり、また建物170側で必要な給湯量などに応じてヒートポンプ機構200を運転したりする。
なお、ヒートポンプ制御部220、ならびに、車両制御部134およびコネクタ制御部114(図3)は、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの記憶部とを主体とする電子制御ユニットからなり、予めROMなどに格納されたプログラムをCPUがRAMに読出して実行することによって、所定の制御動作を実現する。
上述のように、外部電源115からの電力は、ヒートポンプ機構200の動作電力として供給され、さらに、電動車両101のバッテリ130aの充電に使用できるように充電ステーション103へも供給される。さらに、外部電源115に対しては、深夜電力時間帯に系統電源110(図1)からの深夜電力を蓄積するための蓄電装置500および、系統電源110からの供給電力を蓄電装置500の充電電力に変換するための電圧変換器510がさらに接続される。
図5は、本発明の実施の形態による電動車両の充電システムにおける外部充電時の廃熱回収機構を説明する概念図である。
図5を参照して、外部充電時において、発熱したバッテリ130aは、図2に示した、冷却機構131により、車室内あるいは外気から取り込まれた冷却風400によって冷却される。この結果、外部充電時にバッテリ130aからの廃熱により暖められた温風410が排出される。温風410は、導管106を介して、ヒートポンプ機構200中の蒸発工程のための熱交換器208aに供給される。
温風410が熱交換器208aを通過することにより、温風410に含まれる熱量が、熱サイクル中の蒸発工程208での熱源として回収される。そして、熱交換器208aとの間で熱交換を終えて、温度が低下した空気420は屋外へ排出される。
熱交換器208aには吸引ファン210が設けられている。外部電源115からの電力によって吸引ファン210を作動させることにより、導管106を介して、冷却機構131からヒートポンプ機構200への温風410の送出が促進される。すなわち、吸引ファン210は、「送出機構」に対応する。なお、コネクタ部104あるいは導管106の中途部分に、または熱交換器208aとの両方に吸引ファン210を設ける構成とすることも可能である。
このような構成とすることにより、外部充電時に電動車両101のバッテリ130aで生じた廃熱を、熱交換器208aでの熱源の一部として用いることによって回収することができる。特に、外部充電時に発生する廃熱を、ヒートポンプ機構(ヒートポンプ式給湯器)での給湯に同時に利用するので、エネルギ利用のタイムシフトの一貫としてその利用効率を高めることができる。
本実施の形態の電動車両の充電システムでは、電動車両101の外部充電期間と、ヒートポンプ機構200の作動期間とを同期させることが、利用効率向上に有効となる。したがって、このような同期動作のための制御構成について、図6のフローチャートを用いて説明する。
図6を参照して、電動車両101における外部充電動作は、車両制御部134によって制御され、ヒートポンプ機構200の動作は、ヒートポンプ制御部220によって制御される。図3にも示したように、コネクタ部104を介して、車両制御部134とヒートポンプ制御部220との間で双方向に情報の授受が可能である。すなわち、車両制御部134およびヒートポンプ制御部220が以下の制御処理を実行することにより、「同期手段」が実現される。
車両制御部134は、ステップS100により、タイマー計時等に基づいて、運転者の操作等により予め指定された、外部充電の開始時刻の到来を検知する。この開始時刻は、一般的には深夜電力時間帯に設けられる。
車両制御部134は、ステップS100によって外部充電開始時刻の到来が検知されるのに応答して、あるいは、後述するステップS215によってヒートポンプ機構200の作動開始が通知されるのに応答して、ステップS110により、外部充電の開始条件が整っているかどうかを判断する。
たとえば、車両制御部134は、ステップS110では、バッテリ130aの充電状態や、コネクタ部104の接続状況等を判定し、バッテリ130aが充電不要である場合や、コネクタ部104の接続等が不完全で外部充電の開始が不能である場合には、ステップS110をNO判定として、以下の処理を実行しない。すなわち、外部充電は実行されない。
一方、車両制御部134は、外部充電の開始条件が整っている場合(S110のYES判定時)には、ステップS115により、外部充電の開始をヒートポンプ制御部220に対して通知する。そして、ステップS120により、外部充電を開始する。
さらに、車両制御部134は、ステップS130により、リレー160,162を導通させることにより、外部電源115からの供給電力による充電経路を電動車両内に形成する。そして、電力変換部146によって外部電源115からの供給電力を、バッテリ充電電力に変換して、バッテリ130aを充電する。この際に、バッテリ130aの検出温度等に基づいて、冷却が必要な場合には吸引ファン142(図2)が作動される。
車両制御部134は、バッテリ130aの充電中には、ステップS125により、外部充電中であることをヒートポンプ制御部220に対して定期的に通知してもよい。
一方、ヒートポンプ制御部220は、ステップS200により、ステップS100と同様に、タイマー計時等に基づいて、建物170側で予め指定されたヒートポンプ機構200の作動開始時刻の到来を検知する。作動開始時刻についても、深夜電力時間帯に設けられる。
車両制御部134は、ステップS200によって作動開始時刻の到来が検知されるのに応答して、あるいは、ステップS115によって外部充電開始が通知されるのに応答して、ステップS210により、給湯開始条件が整っているかどうかを判断する。たとえば、貯湯槽250が満水である場合には、ステップS210はNO判定とされて、以下の処理は実行されない。
そして、ヒートポンプ制御部220は、給湯開始条件が整っているとき(S225でYES判定時)には、ステップS215により、ヒートポンプ機構200が作動開始したことを通知するとともに、ステップS220により、ヒートポンプ機構200の作動を開始する。なお、ヒートポンプ機構200の作動中には、ステップS225により、作動中であることを車両制御部134に対して定期的に通知してもよい。
車両制御部134は、ヒートポンプ制御部220から通知された情報に基づいて、ステップS140により、ヒートポンプ機構200が作動中であるかどうかを判定する。そして、その判定結果に基づいて、ステップS150,S160により、バッテリ130aからの温風の排出経路を選択する。
具体的には、車両制御部134は、ヒートポンプ機構200の作動中(S140のYES判定時)には、ステップS150により、温風410が温風ダクト132側に導かれるように切替ダンパ144を制御する。これにより、バッテリ廃熱により暖められた温風410は、温風ダクト132から導管106を経てヒートポンプ機構200へ供給されることになる。
一方、車両制御部134は、ヒートポンプ機構の非作動時(S140のNO判定時)には、ステップS160により、温風410が温風ダクト140側に導かれるように切替ダンパ144を制御する。これにより、バッテリ130aからの温風410は、ヒートポンプ機構200に供給されることなく車室外へ放出される。
なお、図3で説明したように、ステップS140による判定を省略して、外部充電時には、常に温風410が温風ダクト132側に導かれるように、切替ダンパ144を制御することも可能である。
さらに、車両制御部134は、ステップS170により、バッテリ130aの充電終了条件が成立しているかどうかを判定する。代表的には、バッテリ130aが満充電状態となったときにステップS170はYES判定とされ、それまでの期間NO判定とされる。あるいは、コネクタ部104が切り離されたときにも、ステップS170はYES判定とされる。
車両制御部134は、バッテリ130aの充電未完時(S170のNO判定時)には、ステップS130以降を繰返し実行して、外部電源115によるバッテリ130aの充電を継続する。
そして、車両制御部134は、バッテリ130aの充電が終了すると(S170のYES判定時)、ステップS180により、リレー160,162をオフして、外部電源からの電力経路を遮断して外部電源を終了する。そして、バッテリ冷却のための吸引ファン142を停止する。さらに、ステップS185により、外部充電の終了が、ヒートポンプ制御部220へ通知される。
一方、ヒートポンプ制御部220は、ステップS230では、車両制御部134から通知された情報に基づいて、外部充電中であるかどうかを判定する。そして、外部充電中(S230のYES判定時)には、ヒートポンプ制御部220は、ステップS240により、ヒートポンプ機構200の作動を継続させるとともに、バッテリ130aからの温風をヒートポンプ機構200に導くための吸引ファン210(図5)を作動させる。
一方、ヒートポンプ制御部220は、外部充電中でない場合(S230のNO判定時)には、ステップS250により、ヒートポンプ機構200の作動を継続する一方で、吸引ファン210については停止する。なお、吸引ファン210がコネクタ部104や導管106中に設けられている場合には、ヒートポンプ制御部220からコネクタ制御部114へ吸引ファン210の作動/停止指示が伝達される。
このようにステップS230〜S250によって、電動車両101が外部充電中であるかどうかに応じて、吸引ファン210の作動/停止が制御される。これにより、外部充電によるバッテリ廃熱が発生しない期間には、吸引ファン210を停止して、消費電力を削減することができる。
ヒートポンプ制御部220は、さらにステップS260では、給湯完了条件が成立しているかどうかを判定する。代表的には、貯湯槽250の貯湯量が所定量に達するまでの間は、ステップS260はNO判定とされる一方で、貯湯槽250の貯湯量が所定量に達すると、ステップS260はYES判定とされる。
ヒートポンプ制御部220は、給湯完了条件の未成立時(S260のNO判定時)には、ステップS230〜S260の処理を繰り返し実行することにより、外部充電によるバッテリ廃熱を利用した熱サイクルの実行を継続する。
これに対して、給湯完了時(S260のYES判定時)には、ヒートポンプ制御部220は、ステップS270により、ヒートポンプ機構200の動作を停止させる。そしてステップS275により、ヒートポンプ機構200の停止が車両制御部134に通知される。そして、車両制御部134において、ヒートポンプ制御部220からステップS225,S275により通知された情報は、ステップS140での判定に反映される。
さらに、ヒートポンプ制御部220は、ヒートポンプ機構200の停止に伴って、外部充電中であるか否かによらず、ステップS280により、吸引ファン210を停止させる。
このように、図6に示したフローチャートに従えば、電動車両101の外部充電期間と、ヒートポンプ機構200の作動期間とを自動的に同期させて、外部充電により電動車両101で発生したバッテリ廃熱を、ヒートポンプ機構(ヒートポンプ式給湯器)での給湯に同時に利用することによって回収できる、システム全体でのエネルギ利用効率を高めることができる。
なお、本実施の形態では、電力変換部146を電動車両101に搭載される構成例を示したが、外部電源115からの電力(交流電力)をバッテリ充電電力(直流電力)に変換する機構を車外に配置して、当該充電電力が電動車両101へ直接供給される構成としても、本発明を適用可能である。このような構成においても、バッテリ130aの外部充電時に発生した廃熱を、ヒートポンプ機構(ヒートポンプ式給湯器)での給湯に同時に利用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に従う電動車両の充電システムの模式図である。 図1に示した電動車両の外部充電時に排出される温風の流れを説明するための図である。 電動車両およびコネクタ部の連結構造を示す概略構成図である。 図1に示されたヒートポンプ機構の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態による電動車両の充電システムにおける外部充電時の廃熱回収機構を説明する概念図である。 本発明の実施の形態による電動車両の充電システムにおける外部充電期間とヒートポンプ機構の作動期間との同期動作の処理手順を説明するフローチャートである。
符号の説明
100 充電システム、101 電動車両、102 車両充電装置、103 充電ステーション、104 コネクタ部、105 コネクタ差込部、106a 供給孔、106 導管、106a 供給孔、108 電力供給線、108a p側供給線、108b n側供給線、110 系統電源、114 コネクタ制御部、115 外部電源、116 コネクタ通信部、120a,120b 電源電極、122 通信電極、130 電源ユニット、130a バッテリ、131 冷却機構、132 温風ダクト(ヒートポンプ側)、134 車両制御部、136 リヤシート、138 吸気孔、139 吸気ダクト(冷却風)、140 温風ダクト(トランクルーム等)、142 吸引ファン(冷却風)、144 切替ダンパ、146 電力変換部、148 車両通信部、150 送風口、152a,152b 電源差込電極、154 通信差込電極、160,162 リレー、170 建物、200 ヒートポンプ機構、201 ヒートポンプ部、202 圧縮工程、204 凝縮工程、204a 熱交換器(凝縮工程)、206 膨張行程、208 蒸発工程、208a 熱交換器(蒸発工程)、210 吸引ファン(温風)、220 ヒートポンプ制御部、250 貯湯槽、252 ポンプ、254 フィルタ、400 冷却風、410 温風、420 空気、500 蓄電装置(建物側)、510 電圧変換器。

Claims (11)

  1. 充放電可能に構成された第1の蓄電装置および該第1の蓄電装置を冷却するための冷却機構を搭載する電動車両と、
    前記第1の蓄電装置を充電するための前記電動車両の車外の外部電源と、
    前記電動車両の外部に設置され、凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクルを実行するための熱交換器を含むヒートポンプ機構と、
    前記外部電源による前記第1の蓄電装置の充電時に、前記冷却機構において前記第1の蓄電装置と熱交換した冷媒を、前記電動車両から前記ヒートポンプ機構内の前記蒸発工程を実行する熱交換器へ導くための導管とを備え、
    前記導管は、前記第1の蓄電装置を冷却した後の空気を、前記冷媒として前記熱交換器へ導くように構成される、電動車両の充電システム。
  2. 充放電可能に構成された第1の蓄電装置および該第1の蓄電装置を冷却するための冷却機構を搭載する電動車両と、
    前記第1の蓄電装置を充電するための前記電動車両の車外の外部電源と、
    前記電動車両の外部に設置され、凝縮工程および蒸発工程を含む熱サイクルを実行するための熱交換器を含むヒートポンプ機構と、
    前記外部電源による前記第1の蓄電装置の充電時に、前記冷却機構において前記第1の蓄電装置と熱交換した冷媒を、前記電動車両から前記ヒートポンプ機構内の前記蒸発工程を実行する熱交換器へ導くための導管と、
    前記外部電源によって前記第1の蓄電装置が充電される時期と、前記ヒートポンプ機構作動する時期とを自動的に同期させるための同期手段とを備える、電動車両の充電システム。
  3. 前記外部電源によって前記第1の蓄電装置充電される時期と、前記ヒートポンプ機構作動する時期とを自動的に同期させるための同期手段をさらに備える、請求項1に記載の電動車両の充電システム。
  4. 前記同期手段は、タイマーによる計時に基づいて、前記外部電源によって前記第1の蓄電装置が充電される時期および前記ヒートポンプ機構が作動する時期の少なくとも一方を設定する、請求項2または3に記載の電動車両の充電システム。
  5. 前記同期手段は、前記ヒートポンプ機構および前記電動車両の作動状態に基づいて、前記外部電源によって前記第1の蓄電装置が充電される時期および前記ヒートポンプ機構が作動する時期の少なくとも一方を設定する、請求項2または3に記載の電動車両の充電システム。
  6. 前記導管を介した前記冷却機構から前記熱交換器への前記冷媒の送出を、電力消費を伴って促進するように構成された送出機構をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動車両の充電システム。
  7. 前記送出機構は、前記外部電源による前記第1の蓄電装置の充電の開始に応答して作動を開始するとともに、前記充電の終了に応答して停止される、請求項記載の電動車両の充電システム。
  8. 前記送出機構は、前記外部電源によって前記第1の蓄電装置充電される時期であっても、前記ヒートポンプ機構の非作動時には停止される、請求項記載の電動車両の充電システム。
  9. 前記外部電源によって前記第1の蓄電装置充電される時期は、深夜電力の供給時間帯に対応して設けられ、
    前記充電システムは、
    前記電動車両の外部に設けられた、前記深夜電力によって充電される第2の蓄電装置をさらに備える、請求項1または2に記載の電動車両の充電システム。
  10. 前記電動車両は、前記外部電源からの供給電力を前記第1の蓄電装置の充電電力に変換する電力変換装置を搭載する、請求項1または2に記載の電動車両の充電システム。
  11. 前記同期手段は、前記外部電源によって前記第1の蓄電装置の充電を開始してから前記第1の蓄電装置が満充電状態となるまでの期間の少なくとも一部において、前記ヒートポンプ機構を作動させるか、または、前記ヒートポンプ機構が作動を開始してから貯湯槽の貯湯量が所定量に達するまでの期間の少なくとも一部において、前記外部電源によって前記第1の蓄電装置を充電させる、請求項2〜5のいずれか1項に記載の電動車両の充電システム。
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