JP5125813B2 - 電子制御液圧ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
この電子制御液圧ブレーキ装置は、
マスターシリンダなど制動操作ユニットからの液圧を、ホイールなどのブレーキ作動ユニットに導くブレーキ配管中に挿置した差圧制御弁と、
該差圧制御弁の上流側からブレーキ液を吸入して、このブレーキ液を差圧制御弁の下流側へ吐出するポンプとで上記のブレーキアクチュエータを構成し、
上記した差圧制御弁とポンプとの共働により、差圧制御弁の上流側および下流側間における差圧を制御して、ブレーキ作動ユニットによる制動力を決定し得るようにしたものである。
制動操作ユニットの出力液圧により得られるべき制動力および回生制動力の和値で目標制動力を賄い得ない場合、制動力不足分を、ブレーキアクチュエータによる(差圧制御弁とポンプとの共働による)上記の差圧制御(下流側液圧の増圧制御)によって補充し、
これにより、結果として目標減速度(目標制動力)を達成することができる。
従って、差圧制御弁の制御入力と差圧との関係を表した差圧制御弁特性は、小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域との境界において、制御入力変化に対する差圧変化割合が変化する変曲点を有する。
かかる制御のハンチングにより上流側液圧が上下変動を繰り返すこととなるが、かかる上流側液圧の上下変動は、制動操作ユニットにキックバックされ、当該ユニットを操作する運転者の足などに振動として伝わり、運転者に違和感を与えるという問題を生ずる。
もって、制動操作ユニットを操作する運転者の足などに振動が伝達されるという上記の違和感を解消し得るようにした電子制御液圧ブレーキ装置を提供することを目的とする。
先ず前提となる電子制御液圧ブレーキ装置を説明するに、これは、
制動操作ユニットからの液圧をブレーキ作動ユニットに導くブレーキ配管中に差圧制御弁を挿置し、
該差圧制御弁よりも前記制動操作ユニットに近い上流側ブレーキ配管部分からブレーキ液を吸入し、このブレーキ液を、前記差圧制御弁よりも前記ブレーキ作動ユニットに近い下流側ブレーキ配管部分に吐出するポンプを具え、
これら差圧制御弁とポンプとの共働により、前記上流側ブレーキ配管部分および下流側ブレーキ配管部分間の差圧を制御して、前記ブレーキ作動ユニットによる制動力を決定し得るようにしたものである。
前記差圧制御弁の制御入力変化に対する差圧変化割合が変化する変曲点付近での差圧制御中であるのを検知する変曲点近傍差圧制御検知手段と、
前記制動操作ユニットの制動操作量が低下しているのを検知する制動操作量低下検知手段と、
前記制動操作ユニットから前記上流側ブレーキ配管部分への上流側液圧の上昇を検知する上流側液圧上昇検知手段と、
これら3手段からの信号に応答し、前記変曲点付近での差圧制御中、前記制動操作量が低下しているのに、前記上流側液圧が上昇するハンチング開始時に、前記差圧制御を禁止する差圧制御禁止手段とを設けた構成に特徴づけられる。
差圧制御弁の制御入力変化に対する差圧変化割合が変化する変曲点付近での差圧制御中、制動操作ユニットの制動操作量が低下しているのに、制動操作ユニットから上流側ブレーキ配管部分への上流側液圧が上昇するハンチング開始時に、差圧制御弁とポンプとの共働による差圧制御を禁止するため、
この差圧制御が強行されて差圧制御弁の制御入力が変曲点を跨いでハンチングするのを回避することができ、このハンチングに伴う上流側液圧の繰り返し上下変動も回避することができる。
従って、上流側液圧の上下変動が、制動操作ユニットを操作する運転者の足などに振動としてキックバックされる違和感を解消することができる。
図1は、本発明のー実施例になる電子制御液圧ブレーキ装置のシステム図で、
本実施例においては、図示しなかったが交流同期モータを用いた回生ブレーキと併用して目標減速度(目標制動力)を達成するようブレーキ液圧を電子制御することで、回生エネルギーを効率的に回収するようにした「回生協調ブレーキ制御システム」に応用するのに有利な電子制御液圧ブレーキ装置として構成する。
該ブレーキペダル1の踏力がバキュームブースタ2により倍力され、倍力された力でマスターシリンダ3の図示せざるピストンカップが押し込まれることによりマスターシリンダ3は、ブレーキペダル1の踏力に応じたマスターシリンダ液圧Pmcを、X配管における一方のブレーキ配管4aおよび他方のブレーキ配管4bに出力するものとする。
従って、バキュームブースタ2およびマスターシリンダ3は、本発明における制動操作ユニットに相当する。
他方のブレーキ配管4bは、ブレーキ作動ユニットである左前輪ホイールシリンダ5FLおよび右後輪ホイールシリンダ5RR用のブレーキ液圧系を構成する。
このため、一方のブレーキ配管4aおよび他方のブレーキ配管4bはそれぞれ、以下のようなブレーキアクチュエータ6を介して、右前輪ホイールシリンダ5FRおよび左後輪ホイールシリンダ5RLと、左前輪ホイールシリンダ5FLおよび右後輪ホイールシリンダ5RRとに接続する。
差圧制御弁11a,11bはそれぞれ常開式の比例電磁弁とし、詳しくは後述するが、ソレノイドへの制御電流が大きくなるにつれて全開状態から開度を低下されるものとする。
増圧弁12FR,12RL,12FL,12RRはそれぞれ常開電磁弁とし、ソレノイドへの通電により閉じるものとする。
減圧弁13FR,13RL,13FL,13RRはそれぞれ常閉電磁弁とし、ソレノイドへの通電により開くものとする。
差圧制御弁11aの出力ポートから延在する配管17aは、配管18FRにより増圧弁12FRの入力ポートに接続すると共に、配管18RLにより増圧弁12RLの入力ポートに接続する。
増圧弁12FRの出力ポートは配管19FRにより右前輪ホイールシリンダ5FRに接続し、増圧弁12RLの出力ポートは配管19RLにより左後輪ホイールシリンダ5RLに接続する。
リザーバ14aの入力ポートは、配管22aを経て一方のマスターシリンダ液圧配管4aに通じさせる。
ポンプ15aの吐出ポートは、配管23aにより配管17aに接続し、配管23a中に逆止弁16aを挿置する。
なお逆止弁16aは、ポンプ15aの吐出ポートから配管17aへの液流を許容し、逆向きの液流を阻止する向きに配置する。
差圧制御弁11bの出力ポートから延在する配管17bは、配管18FLにより増圧弁12FLの入力ポートに接続すると共に、配管18RRにより増圧弁12RRの入力ポートに接続する。
増圧弁12FLの出力ポートは配管19FLにより左前輪ホイールシリンダ5FLに接続し、増圧弁12RRの出力ポートは配管19RRにより右後輪ホイールシリンダ5RRに接続する。
リザーバ14bの入力ポートは、配管22bを経て一方のマスターシリンダ液圧配管4bに通じさせる。
ポンプ15bの吐出ポートは、配管23bにより配管17bに接続し、配管23b中に逆止弁16bを挿置する。
なお逆止弁16bは、ポンプ15bの吐出ポートから配管17bへの液流を許容し、逆向きの液流を阻止する向きに配置する。
このブレーキコントローラ31は、目標減速度算出部32および回生協調ブレーキ制御部33により構成する。
目標減速度算出部32には、図1に示すごとくに設けてブレーキペダル1の踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcをそれぞれ検出するペダルストロークセンサ34および圧力センサ35からの信号を入力する。
目標減速度算出部32は、これらセンサ34,35で検出したブレーキペダル1の踏み込みストローク量Stおよびマスターシリンダ液圧Pmcから、運転者による制動操作力(ブレーキペダル踏力)Fを推定し、この制動操作力Fから運転者が希望している車両の目標減速度を算出し、この目標減速度を実現するための目標制動力Tboを求める。
制動操作初期においてはマスターシリンダ液圧Pmcの変化が小さくてペダルストローク量Stを重視して制動操作力Fを推定する必要があり、
制動操作後期においてはペダルストローク量Stの変化が小さくてマスターシリンダ液圧Pmcを重視して制動操作力Fを推定する必要があるためである。
回生協調ブレーキ制御部33は、これら入力情報をもとに可能最大回生制動力を求め、これと、マスターシリンダ液圧Pmcにより発生し得る制動力Tmcとで(Tmcが零の場合は、可能最大回生制動力のみで)目標制動力Tboを賄い得る場合、目標制動力Tboからマスターシリンダ液圧Pmcによる制動力Tmcを差し引いた差値を回生制動力指令値Tmgとしてハイブリッド車両へ指令する。
回生協調ブレーキ制御部33は、ポンプ15a,15bへのポンプON,OFF指令を「OFF」にすると共に、差圧制御弁11a,11bへの差圧制御弁制御電流Iを零にする。
マスターシリンダ液圧配管4a,4bからのマスターシリンダ液圧Pmcによる制動作用は共に同じであるため、ここでは、一方のマスターシリンダ液圧配管4aからのマスターシリンダ液圧Pmcによる制動作用についてのみ代表的に説明する。
よって、配管4aからのマスターシリンダ液圧Pmcは、差圧制御弁11aおよび配管17aを経て配管18FR,18RLに達する。
配管18FRへのマスターシリンダ液圧Pmcは、常開増圧弁12FRおよび配管19FRを通流し、ホイールシリンダ液圧Pwcとして右前輪ホイールシリンダ5FRに供給され、右前輪を制動することができる。
配管18RLへのマスターシリンダ液圧Pmcは、常開増圧弁12RLおよび配管19RLを通流し、ホイールシリンダ液圧Pwcとして左後輪ホイールシリンダ5RLに供給され、左後輪を制動することができる。
これにより、マスターシリンダ液圧Pmcが上記のごとく、そのままホイールシリンダ液圧Pwcとして右前輪ホイールシリンダ5FRおよび左後輪ホイールシリンダ5RLに供給された時の制動力Tmcを、制動操作力Fに対応した目標制動力(目標減速度)よりも小さくして、できるだけ回生制動力を用いるようにすることで、エネルギー回収効率を高める。
かかるアンチスキッドサイクルの繰り返しにより、右前輪および/または左後輪のスリップ率を理想スリップ率(路面との摩擦係数が最大となる15%程度のスリップ率)に保ち、制動距離が最短となるようにするアンチスキッド制御を遂行する。
更に回生協調ブレーキ制御部33は、図3にシーン1およびシーン2の場合につき例示するごとく、目標制動力Tboから、マスターシリンダ液圧Pmcによる制動力Tmc、および上記の回生制動力指令値Tmgを差し引いて得られる制動力不足分Tupを求め、
この制動力不足分Tupを、差圧制御弁11aおよびポンプ15aの共働による差圧制御、つまり、差圧制御弁11a,11bから対応するホイールシリンダに至る下流側ブレーキ配管部分の増圧制御により補足するため、ポンプ15a,15bへのポンプON,OFF指令を「ON」にすると共に、差圧制御弁11a,11bへの差圧制御弁制御電流Iを以下のように決定する。
図4に例示する差圧制御弁11a,11bの動作特性をもとに、目標差圧ΔPを発生させるのに必要な制御電流Iを検索し、これを指令値として差圧制御弁11a,11bに供給する。
ところで、制動操作中における目標減速度(目標制動力Tbo)の変化割合が小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域とで異なり、それにもかかわらずリニヤな制御が可能となるよう差圧制御弁11a,11bは、制御電流Iの変化に対する差圧ΔPの変化割合が図4に例示するごとく、小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域とで異なるよう構成されている。
従って、差圧制御弁11a,11bの制御電流Iと差圧ΔPとの関係を表した差圧制御弁特性は図4に示すごとく、小さな制動操作領域と、大きな制動操作領域との境界において、制御電流変化に対する差圧変化割合が変化する変曲点Zを有する。
マスターシリンダ液圧配管4aに係わるブレーキ液圧系の差圧制御作用、および、マスターシリンダ液圧配管4bに係わるブレーキ液圧系の差圧制御作用は共に同じであるため、
ここでは、一方のマスターシリンダ液圧配管4aに係わるブレーキ液圧系の差圧制御作用についてのみ代表的に説明する。
配管18FRへのブレーキ液は、常開増圧弁12FRおよび配管19FRを経て右前輪ホイールシリンダ5FRに供給され、これへのホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させることができ、
配管18RLへのブレーキ液は、常開増圧弁12RLおよび配管19RLを経て左後輪ホイールシリンダ5RLに供給され、これへのホイールシリンダ液圧Pwcを増圧させることができる。
従って、これらホイールシリンダ液圧Pwcをマスターシリンダ液圧Pmcに対し前記の目標差圧ΔPだけ上昇させることができる。
これにより右前輪および左後輪の制動力が、図3の制動力不足分Tpuだけ増大され、前記した回生協調ブレーキ制御と相まって、目標制動力Tbo(目標減速度)を実現することができる。
かかる制御電流Iの急低下は、差圧制御弁11a,11bを差圧減少用に開度増大させることから、差圧制御弁11a,11bの下流側(ホイールシリンダ側)から上流側(マスターシリンダ側)へブレーキ液を逆流させることとなり、結果として上流側液圧であるマスターシリンダ液圧Pmを図5の瞬時t1以後、図示のように上昇させる。
かかるマスターシリンダ液圧Pmcの上昇は、ブレーキペダルストローク量Stが低下中であるにもかかわらず、マスターシリンダ液圧Pmcから求めている目標減速度(目標制動力Tbo)を増大させ、これに伴う目標差圧ΔPの増大に呼応して差圧制御弁11a,11bの制御電流Iが、図5の瞬時t2以降におけるごとく閉弁用に増大される。
かかるマスターシリンダ液圧Pmcの低下は、このマスターシリンダ液圧Pmcから求めている目標減速度(目標制動力Tbo)を低下させ、これに伴う目標差圧ΔPの低下に呼応して差圧制御弁11a,11bの制御電流Iが、図5の瞬時t4以降におけるごとく開弁用に低下される。
かかるマスターシリンダ液圧Pmの上昇は、ブレーキペダルストローク量Stが低下中であるにもかかわらず、マスターシリンダ液圧Pmから求めている目標減速度(目標制動力Tbo)を増大させ、これに伴う目標差圧ΔPの増大に呼応して差圧制御弁11a,11bの制御電流Iが、図5の瞬時t6以降におけるごとく閉弁用に増大される。
かかるマスターシリンダ液圧Pmcの低下は、このマスターシリンダ液圧Pmcから求めている目標減速度(目標制動力Tbo)を低下させ、これに伴う目標差圧ΔPの低下に呼応して差圧制御弁11a,11bの制御電流Iが、図5の瞬時t8以降におけるごとく開弁用に低下される。
ところでマスターシリンダPmcの上下変動は、マスターシリンダ3を経てブレーキペダル1にキックバックされ、当該ブレーキペダル1を操作する運転者の足などに振動として伝わり、運転者に違和感を与えるという問題を生ずる。
図2のブレーキコントローラ31が、図6に示す制御プログラムを実行して以下のような差圧制御を遂行するようになす。
ステップS12においては、マスターシリンダ液圧Pmcおよびブレーキペダル踏み込みストローク量Stから車両の目標減速度を演算し、これを達成するのに必要な車両の目標制動力Tboを求める。
つまり、図3につき前述した制動力不足分Tupを補償するのに必要なホイールシリンダ液圧Pwcの増圧分、つまり、上流側液圧であるマスターシリンダ液圧Pmcと、下流側液圧であるホイールシリンダ液圧Pwcとの間における目標差圧ΔPを求め、
図4に例示する差圧制御弁11a,11bの動作特性をもとに、目標差圧ΔPを発生させるのに必要な制御電流Iを検索し、これを指令値として差圧制御弁11a,11bに供給する。
制動操作量低下検知手段に相当するステップS14においては、ブレーキペダルストローク量StとSt(前回値)とを対比し、St−St(前回値)<0か否かにより、ブレーキペダル1を戻し操作中か否かをチェックする。
ブレーキペダル1を戻し操作中でなければ、前記したハンチングの問題を生じないから制御をそのまま終了する。
差圧制御電流Iが変曲点Z付近の値まで低下していなかれば、前記したハンチングの問題を生じないから制御をそのまま終了する。
マスターシリンダ液圧Pmcが上昇中でなければ、未だ前記したハンチングを生ずるタイミングに至っていないから制御をそのまま終了する。
制御をステップS17に進めて、図1のブレーキアクチュエータ6を停止させ、図2のポンプON,OFF指令を「OFF」にする。
従ってステップS17は、本発明における差圧制御禁止手段に相当する。
図7に基づき説明すると、図示のようにブレーキペダルストローク量Stを低下させている間、瞬時t1に変曲点Z付近での差圧制御になったと判定し(ステップS15)、かかる変曲点Z近傍での差圧制御中、ブレーキペダルストローク量Stが低下しているのに(ステップS14)、マスターシリンダ液圧Pmcが上昇したと判定する(ステップS16)瞬時t2をもってハンチング開始タイミングと見なし、
この時以後、ブレーキアクチュエータ6を停止させて、ポンプON,OFF指令を「OFF」にする(ステップS17)。
ハンチング開始判定時t2以後も通常の差圧制御を強行すると、図5につき前述したごとく、また、図7に破線で示すように、差圧制御弁制御電流Iが変曲点を跨いでハンチングし、このハンチングに伴ってマスターシリンダ液圧Pmcが繰り返し上下変動し、この液圧変動が運転者に振動としてキックバックされる違和感を生ずる。
しかし本実施例によれば、ハンチング開始判定時t2以後、ブレーキアクチュエータ6を停止させて、ポンプ15a,15bをOFFさせるため、マスターシリンダ液圧Pmcの上下変動を生ずることがなく、この液圧変動が運転者に振動としてキックバックされる違和感を回避することができる。
制動操作量(ブレーキペダルストローク量St、マスターシリンダ液圧Pmc)、および、差圧制御弁11a,11bの制御電流Iと差圧ΔPとの関係を表した図4に示す差圧制御弁特性を用い、
制動操作量(ブレーキペダルストローク量St、マスターシリンダ液圧Pmc)から目標差圧ΔPを求め、この目標差圧ΔPを実現する差圧制御弁11a,11bの制御電流Iを図4に示す差圧制御弁特性から求め、この差圧制御電流Iが図4の変曲点Z付近にある時をもって、変曲点Z付近での差圧制御中であると判定するため、
通常の差圧制御に際して用いる信号や格納データのみから当該判定を行うことができてコスト的に大いに有利である。
通常の差圧制御に際して用いる信号や格納データのみから当該目標差圧ΔPを求めることができてコスト的に大いに有利である。
ステップS19では、ブレーキペダル1の再踏み込み速度が設定速度α以上であるか否かにより、運転者が本当に再制動を希望してブレーキペダル1を再踏み込みしたのか否かの再踏み込み判定を、誤判定なく高精度に行う。
再踏み込み判定がなされる前は、運転者が本当に再制動を希望してブレーキペダル1を再踏み込みしていなくて、上記の差圧制御を継続する必要があることから、制御をそのまま終了させる。
かように差圧制御弁11a,11bへの制御電流Iを最大値にする理由は、上記のハンチング防止用の差圧制御で上昇を抑制されていたホイールシリンダ液圧Pwcを速やかに通常制御値へ上昇させて、通常制御復帰応答を高めるためである。
ステップS21においては、車両の実減速度(負値)が目標減速度に達したか否かをチェックし、実減速度(負値)が目標減速度に達するまでは、制御をステップS20に戻してホイールシリンダ液圧Pwcを通常制御値へ向けて更に上昇させる。
よって、通常の差圧制御への復帰を、制動力段差がない時のタイミングで、滑らかに行うことができる。
2 バキュームブースタ(制動操作ユニット)
3 マスターシリンダ(制動操作ユニット)
4a 一方のマスターシリンダ液圧配管
4b 他方のマスターシリンダ液圧配管
5FL,5FR 左右前輪ホイールシリンダ
5RL,5RR 左右後輪ホイールシリンダ
6 ブレーキアクチュエータ
11a,11b 差圧制御弁
12FL,12FR 左右前輪ホイールシリンダ用増圧弁
12RL,12RR 左右後輪ホイールシリンダ用増圧弁
13FL,13FR 左右前輪ホイールシリンダ用減圧弁
13RL,13RR 左右後輪ホイールシリンダ用減圧弁
14a,14b リザーバ
15a,15b ポンプ
16a,16b 逆止弁
31 ブレーキコントローラ
32 目標減速度算出部
33 回生協調ブレーキ制御部
34 ペダルストロークセンサ
35 圧力センサ
36 車速センサ
Claims (8)
- 制動操作ユニットからの液圧をブレーキ作動ユニットに導くブレーキ配管中に差圧制御弁を挿置し、
該差圧制御弁よりも前記制動操作ユニットに近い上流側ブレーキ配管部分からブレーキ液を吸入し、このブレーキ液を、前記差圧制御弁よりも前記ブレーキ作動ユニットに近い下流側ブレーキ配管部分に吐出するポンプを具え、
これら差圧制御弁とポンプとの共働により、前記上流側ブレーキ配管部分および下流側ブレーキ配管部分間の差圧を制御して、前記ブレーキ作動ユニットによる制動力を決定し得るようにした電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記差圧制御弁の制御入力変化に対する差圧変化割合が変化する変曲点付近での差圧制御中であるのを検知する変曲点近傍差圧制御検知手段と、
前記制動操作ユニットの制動操作量が低下しているのを検知する制動操作量低下検知手段と、
前記制動操作ユニットから前記上流側ブレーキ配管部分への上流側液圧の上昇を検知する上流側液圧上昇検知手段と、
これら3手段からの信号に応答し、前記変曲点付近での差圧制御中、前記制動操作量が低下しているのに、前記上流側液圧が上昇するハンチング開始時に、前記差圧制御を禁止する差圧制御禁止手段とを具備してなることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項1に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記変曲点近傍差圧制御検知手段は、前記制動操作量、および、前記差圧制御弁の制御入力と差圧との関係を表した差圧制御弁特性から、前記変曲点付近での差圧制御中を検知するものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項2に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記変曲点近傍差圧制御検知手段は、前記制動操作量から前記差圧の目標値を求め、該目標差圧を実現する前記差圧制御弁の制御入力を前記差圧制御弁特性から求め、該差圧制御弁の制御入力が前記変曲点付近にあるとき、該変曲点付近での差圧制御中であると判定するものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項3に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記変曲点近傍差圧制御検知手段は、前記制動操作量対応の目標制動力から、前記上流側液圧により得られるべき制動力を差し引いて得られる制動力不足分を補うのに必要な下流側液圧上昇量を前記目標差圧とするものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 回生制動力との協調により、前記制動操作量対応の目標制動力を実現するようにした、請求項3に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記変曲点近傍差圧制御検知手段は、前記目標制動力から、前記上流側液圧により得られるべき制動力および前記回生制動力を差し引いて得られる制動力不足分を補うのに必要な下流側液圧上昇量を前記目標差圧とするものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記差圧制御禁止手段は、前記制動操作量が低下から増大に転じたことに呼応して前記差動圧制御の禁止を解除するとき、前記差圧制御弁を一時的に全閉して前記下流側液圧を急上昇させるものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項6に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記差圧制御禁止手段は、前記制動操作量の増大速度が設定値以上である時をもって前記制動操作量が低下から増大に転じたと判定し、前記差動圧制御の禁止を解除するものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。 - 請求項6または7に記載の電子制御液圧ブレーキ装置において、
前記差圧制御禁止手段は、前記差圧制御弁の一時的な全閉を、車両制動力が前記制動操作量対応の目標制動力に到達するまで継続し、以後は差圧制御弁を通常制御に復帰させるものであることを特徴とする電子制御液圧ブレーキ装置。
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