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JP6082990B2 - 制動装置 - Google Patents

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JP6082990B2 JP2013072452A JP2013072452A JP6082990B2 JP 6082990 B2 JP6082990 B2 JP 6082990B2 JP 2013072452 A JP2013072452 A JP 2013072452A JP 2013072452 A JP2013072452 A JP 2013072452A JP 6082990 B2 JP6082990 B2 JP 6082990B2
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Description

本発明は、車両の制動装置に関するものである。
制動装置の一形式として、特許文献1に示されているものが知られている。特許文献1の図1に示されているように、制動装置は、いわゆるバイワイヤ方式のシステム構成である。すなわち、制動装置は、電磁式の切換弁30fl、30fr、30r、ストロークシミュレータ32fl、32fr、32r、およびアクチュエータ40fl、40fr、40rを含んで構成されており、左右前輪および後輪の液圧制動力をそれぞれ個別に調整することができる。
特開2001−169405号公報
一般的に、回生制動部および液圧制動部を備えている制動装置では、回生制動輪に回生制動力が付与されることにより、回生制動輪に付与されている制動力と非回生制動輪に付与されている制動力とのバランスが崩れて、車両の制動時において安定性が悪化することが考えられる。
これに対して、上述した特許文献1に記載の制動装置では、バイワイヤ方式のシステム構成において各輪に付与する液圧制動力を個別に制御することにより、車両の安定性を確保している。しかし、上述した特許文献1に記載の制動装置は高価なものである。
そこで、本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、車両の制動時における安定性を確保しつつ安価な制動装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、車両の前輪および後輪のうちいずれか一方に回生制動力を付与する回生制動部と、車両の前輪および後輪のうち回生制動部により回生制動力が付与される回生制動輪および回生制動輪ではない非回生制動輪に液圧制動力を付与する液圧制動部とを備えている制動装置において、液圧制動部は、第1マスタ室および第2マスタ室にブレーキ操作部材の操作に応じた基礎液圧を発生させるマスタシリンダと、回生制動輪に設けられている回生制動輪用ホイールシリンダと、非回生制動輪に設けられている非回生制動輪用ホイールシリンダと、第1マスタ室と回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する回生制動輪用ブレーキ液経路と、第2マスタ室と非回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する非回生制動輪用ブレーキ液経路と、回生制動輪用ブレーキ液経路のうち第1マスタ室と回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、第1マスタ室側の液圧と回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する回生制動輪用差圧弁と、非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち第2マスタ室と非回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、第2マスタ室側の液圧と非回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する非回生制動輪用差圧弁と、第1マスタ室に吸入口が接続され、回生制動輪用ブレーキ液経路のうち回生制動輪用ホイールシリンダと回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている回生制動輪用ポンプと、第2マスタ室に吸入口が接続され、非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち非回生制動輪用ホイールシリンダと非回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている非回生制動輪用ポンプと、を有して構成され、回生制動輪用差圧弁および非回生制動輪用差圧弁を制御するとともに回生制動輪用ポンプおよび非回生制動輪用ポンプを駆動することで、回生制動輪用差圧弁の前後の間に形成される回生制動輪差圧および非回生制動輪用差圧弁の前後の間に形成される非回生制動輪差圧を個別に制御する制御液圧制御手段を備え、制御液圧制御手段は、ブレーキ操作部材の操作量に応じた第1の要求制御液圧制動力と、回生制動部により回生制動輪に実際に付与された回生実行値と、の関係に応じて、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に分配をし、制御液圧制御手段は、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合にあって、非回生制動輪のホイールシリンダ圧が回生制動輪のホイールシリンダ圧より高い場合には、回生制動力を下げるとともに回生制動輪のホイールシリンダ圧を上げることである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1に記載の制動装置において、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力から、回生制動部により実際に付与された回生実行値を減算して導出する回生制動輪差圧分制動力導出手段と、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が正の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力として導出し、一方、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が負の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力から、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力の絶対値を減算して導出する非回生制動輪差圧分制動力導出手段と、を備えていることである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項2の制動装置において、回生制動輪差圧分制動力導出手段は、液圧制動部によりマスタシリンダ圧に応じて付与される第2の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力をさらに加算するとともに、非回生制動輪差圧分制動力導出手段は、第2の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力をさらに加算することである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の制動装置において、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力と等しい場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧が0となるように分配をすることである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の制動装置において、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力より小さく、かつ、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力より大きい場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧が負の値となるとともに、非回生制動輪差圧が、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力から回生制動輪差圧の絶対値を減算した値となるように分配をすることである。
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の制動装置において、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力と等しい場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧が0となるとともに、非回生制動輪差圧が第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力となるように分配をすることである。
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の制動装置において、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力より小さく、かつ、0以上である場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧が第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力となるとともに、非回生制動輪差圧が第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力となるように分配をすることである。
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、車両の前輪および後輪のうちいずれか一方に回生制動力を付与する回生制動部と、車両の前輪および後輪のうち回生制動部により回生制動力が付与される回生制動輪および回生制動輪ではない非回生制動輪に液圧制動力を付与する液圧制動部とを備えている制動装置において、液圧制動部は、第1マスタ室および第2マスタ室にブレーキ操作部材の操作に応じた基礎液圧を発生させるマスタシリンダと、回生制動輪に設けられている回生制動輪用ホイールシリンダと、非回生制動輪に設けられている非回生制動輪用ホイールシリンダと、第1マスタ室と回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する回生制動輪用ブレーキ液経路と、第2マスタ室と非回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する非回生制動輪用ブレーキ液経路と、回生制動輪用ブレーキ液経路のうち第1マスタ室と回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、第1マスタ室側の液圧と回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する回生制動輪用差圧弁と、非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち第2マスタ室と非回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、第2マスタ室側の液圧と非回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する非回生制動輪用差圧弁と、第1マスタ室に吸入口が接続され、回生制動輪用ブレーキ液経路のうち回生制動輪用ホイールシリンダと回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている回生制動輪用ポンプと、第2マスタ室に吸入口が接続され、非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち非回生制動輪用ホイールシリンダと非回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている非回生制動輪用ポンプと、を有して構成され、回生制動輪用差圧弁および非回生制動輪用差圧弁を制御するとともに回生制動輪用ポンプおよび非回生制動輪用ポンプを駆動することで、回生制動輪用差圧弁の前後の間に形成される回生制動輪差圧および非回生制動輪用差圧弁の前後の間に形成される非回生制動輪差圧を個別に制御する制御液圧制御手段を備え、制御液圧制御手段は、ブレーキ操作部材の操作量に応じた第1の要求制御液圧制動力と、回生制動部により回生制動輪に実際に付与された回生実行値と、の関係に応じて、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に分配をし、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力と等しい場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧が0となるように分配をし、マスタシリンダは、ピストンが初期位置から所定距離はなれた位置に到達しなければ基礎液圧が発生しないアイドルポートを備え、ピストンがアイドルポートを塞ぐまでの間において、マスタシリンダにより発生される基礎液圧が0である場合、回生制動輪には回生実行値が優先的に付与されるとともに、非回生制動輪には制動力が発生されず、制御液圧制御手段は、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合にあって、マスタシリンダの基礎液圧が発生しておらず、かつ非回生制動輪のホイールシリンダ圧が回生制動輪のホイールシリンダ圧と等しい場合には、非回生制動輪のホイールシリンダ圧を上げるとともに回生制動力を下げた後で回生制動輪のホイールシリンダ圧も上げることである。
請求項9に係る発明の構成上の特徴は、請求項8に記載の制動装置において、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力から、回生制動部により実際に付与された回生実行値を減算して導出する回生制動輪差圧分制動力導出手段と、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が正の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力として導出し、一方、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が負の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力から、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力の絶対値を減算して導出する非回生制動輪差圧分制動力導出手段と、を備えていることである。
請求項10に係る発明の構成上の特徴は、請求項9の制動装置において、回生制動輪差圧分制動力導出手段は、液圧制動部によりマスタシリンダ圧に応じて付与される第2の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力をさらに加算するとともに、非回生制動輪差圧分制動力導出手段は、第2の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力をさらに加算することである。
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、液圧制動部は、第1マスタ室および第2マスタ室にブレーキ操作部材の操作に応じた基礎液圧を発生させるマスタシリンダと、回生制動輪に設けられている回生制動輪用ホイールシリンダと、非回生制動輪に設けられている非回生制動輪用ホイールシリンダと、第1マスタ室と回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する回生制動輪用ブレーキ液経路と、第2マスタ室と非回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する非回生制動輪用ブレーキ液経路と、回生制動輪用ブレーキ液経路のうち第1マスタ室と回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、第1マスタ室側の液圧と回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する回生制動輪用差圧弁と、非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち第2マスタ室と非回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、第2マスタ室側の液圧と非回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する非回生制動輪用差圧弁と、第1マスタ室に吸入口が接続され、回生制動輪用ブレーキ液経路のうち回生制動輪用ホイールシリンダと回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている回生制動輪用ポンプと、第2マスタ室に吸入口が接続され、非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち非回生制動輪用ホイールシリンダと非回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている非回生制動輪用ポンプと、を有して構成されている。さらに、制御液圧制御手段は、ブレーキ操作部材の操作量に応じた第1の要求制御液圧制動力と、回生制動部により回生制動輪に実際に付与された回生実行値と、の関係に応じて、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に分配をする。これにより、回生効率を重視しながら前後制動力配分をできるだけ重視することで安定した制動を確保しつつ安価な制動装置を提供することができる。
また、制御液圧制御手段は、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合にあって、非回生制動輪のホイールシリンダ圧が回生制動輪のホイールシリンダ圧より高い場合には、回生制動力を下げるとともに回生制動輪のホイールシリンダ圧を上げる。これにより、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合においても、理想制動力配分に近づけることができ、車両の制動時の安定性を確保することができる。
また、上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1に記載の制動装置において、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力から、回生制動部により実際に付与された回生実行値を減算して導出する回生制動輪差圧分制動力導出手段と、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が正の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力として導出し、一方、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が負の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力から、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力の絶対値を減算して導出する非回生制動輪差圧分制動力導出手段と、を備えている。これにより、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項2の制動装置において、回生制動輪差圧分制動力導出手段は、液圧制動部によりマスタシリンダ圧に応じて付与される第2の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力をさらに加算するとともに、非回生制動輪差圧分制動力導出手段は、第2の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力をさらに加算する。これにより、第2の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力により適切に分配をすることができる。
また、上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の制動装置において、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力と等しい場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧が0となるように分配をする。これにより、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力と等しい場合、すなわち、制動力配分よりも回生効率を重視する場合であっても、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の制動装置において、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力より小さく、かつ、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力より大きい場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧が負の値となるとともに、非回生制動輪差圧が、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力から回生制動輪差圧の絶対値を減算した値となるように分配をする。これにより、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力より小さく、かつ、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力より大きい場合、すなわち、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力と等しい場合から、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力と等しい場合への移行中においても、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の制動装置において、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力と等しい場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧が0となるとともに、非回生制動輪差圧が第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力となるように分配をする。これにより、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力と等しい場合、非回生制動輪に付与される制動力と回生制動輪に付与される制動力との配分を理想制動力配分に近づけることができる。
また、上記のように構成した請求項7に係る発明においては、請求項1乃至請求項3のいずれか一項の制動装置において、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力より小さく、かつ、0以上である場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧が第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力となるとともに、非回生制動輪差圧が第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力となるように分配をする。これにより、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力より小さく、かつ、0以上である場合、例えば、回生実行値が0である場合であっても、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、上記のように構成した請求項8に係る発明においては、液圧制動部は、第1マスタ室および第2マスタ室にブレーキ操作部材の操作に応じた基礎液圧を発生させるマスタシリンダと、回生制動輪に設けられている回生制動輪用ホイールシリンダと、非回生制動輪に設けられている非回生制動輪用ホイールシリンダと、第1マスタ室と回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する回生制動輪用ブレーキ液経路と、第2マスタ室と非回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する非回生制動輪用ブレーキ液経路と、回生制動輪用ブレーキ液経路のうち第1マスタ室と回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、第1マスタ室側の液圧と回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する回生制動輪用差圧弁と、非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち第2マスタ室と非回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、第2マスタ室側の液圧と非回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する非回生制動輪用差圧弁と、第1マスタ室に吸入口が接続され、回生制動輪用ブレーキ液経路のうち回生制動輪用ホイールシリンダと回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている回生制動輪用ポンプと、第2マスタ室に吸入口が接続され、非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち非回生制動輪用ホイールシリンダと非回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている非回生制動輪用ポンプと、を有して構成されている。さらに、制御液圧制御手段は、ブレーキ操作部材の操作量に応じた第1の要求制御液圧制動力と、回生制動部により回生制動輪に実際に付与された回生実行値と、の関係に応じて、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に分配をする。これにより、回生効率を重視しながら前後制動力配分をできるだけ重視することで安定した制動を確保しつつ安価な制動装置を提供することができる。
また、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力と等しい場合には、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧が0となるように分配をする。これにより、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力と等しい場合、すなわち、制動力配分よりも回生効率を重視する場合であっても、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、マスタシリンダは、ピストンが初期位置から所定距離はなれた位置に到達しなければ基礎液圧が発生しないアイドルポートを備え、ピストンがアイドルポートを塞ぐまでの間において、マスタシリンダにより発生される基礎液圧が0である場合、回生制動輪には回生実行値が優先的に付与されるとともに、非回生制動輪には制動力が発生されない。これにより、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力と等しい場合、特に、マスタシリンダは、ピストンが初期位置から所定距離はなれた位置に到達しなければ基礎液圧が発生しないアイドルポートを備えた場合において、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、制御液圧制御手段は、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合にあって、マスタシリンダの基礎液圧が発生しておらず、かつ非回生制動輪のホイールシリンダ圧が回生制動輪のホイールシリンダ圧と等しい場合には、非回生制動輪のホイールシリンダ圧を上げるとともに回生制動力を下げた後で回生制動輪のホイールシリンダ圧も上げる。これにより、回生を重視するシステム構成において、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合においても、理想制動力配分に近づけることができ、車両の制動時の安定性を確保することができる。
また、上記のように構成した請求項9に係る発明においては、請求項8に記載の制動装置において、制御液圧制御手段は、回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力から、回生制動部により実際に付与された回生実行値を減算して導出する回生制動輪差圧分制動力導出手段と、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が正の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力として導出し、一方、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が負の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力から、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力の絶対値を減算して導出する非回生制動輪差圧分制動力導出手段と、を備えている。これにより、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、上記のように構成した請求項10に係る発明においては、請求項9の制動装置において、回生制動輪差圧分制動力導出手段は、液圧制動部によりマスタシリンダ圧に応じて付与される第2の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力をさらに加算するとともに、非回生制動輪差圧分制動力導出手段は、第2の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力をさらに加算する。これにより、第2の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力により適切に分配をすることができる。

本発明による制動装置の第1の実施形態を示す概要図である。 図1に示すブレーキECUで実行される制御第1実施例のフローチャートである。 図2に示すフローチャートに沿って実行される制動装置の作動を示すタイムチャートである。 図2に示すフローチャートに沿って実行される制動装置の作動を示すフロント・リアの制動力配分を示す図である。 ストロークと制御STとの関係を示す図である。 マスタシリンダ液圧と制御MCとの関係を示す図である。 回生指示値とストロークとの関係を示すマップである。 回生指示値と制御STとの関係を示すマップである。 図1に示すブレーキECUで実行される制御第2実施例のフローチャートである。 図9に示すフローチャートに沿って実行される制動装置の作動を示すフロント・リアの制動力配分を示す図である。 回生指示値と制御STとの関係を示すマップである。 図9に示すフローチャートに沿って実行される制動装置の作動を示すタイムチャートである。 本発明による制動装置の第2の実施形態を構成するマスタシリンダを模式的に示す拡大断面図である。 図13に示す第2の実施形態で実行されるフローチャートである。 図14に示すフローチャートに沿って実行される制動装置の作動を示すフロント・リアの制動力配分を示す図である。 回生指示値と制御STとの関係を示すマップである。 図14に示すフローチャートに沿って実行される制動装置の作動を示すタイムチャートである。 本発明による制動装置の第3の実施形態で実行されるフローチャートである。 図18に示すフローチャートに沿って実行される制動装置の作動を示すタイムチャートである。 本発明による制動装置の第4の実施形態で実行されるフローチャートである。 図20に示すフローチャートに沿って実行される制動装置の作動を示すタイムチャートである。 制御STと回生実行値との関係で制動力配分が決定されることを説明する図である。
1)第1の実施形態
以下、本発明に係る制動装置をハイブリッド車に適用した第1の実施形態を図面を参照して説明する。図1はその制動装置の構成を示す概要図である。
ハイブリッド車は、ハイブリッドシステムによって駆動輪例えば左右後輪Wrl,Wrrを駆動させる車両である。ハイブリッドシステムは、エンジン(図示省略)およびモータ41(車両駆動用モータ)の2種類の動力源を組み合わせて使用するパワートレーンである。本第1の実施形態の場合、エンジンおよびモータ41の少なくともいずれか一方で車輪を直接駆動する方式であるパラレルハイブリッドシステムである。なお、これ以外にシリアルハイブリッドシステムがあるが、これはモータ41によって車輪が駆動され、エンジンはモータ41への電力供給源として作用する。
このパラレルハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド車においては、駆動輪はエンジンからの駆動力およびモータ41からの駆動力が伝達されるようになっている。なお、本ハイブリッド車は後輪駆動車である。
モータ41は、その駆動力が差動装置42および車軸を介して伝達されて、駆動輪である左右後輪Wrl,Wrrを駆動させるものである。このモータ41は、エンジンの出力を補助し駆動力を高めるものであり、一方車両の制動時には発電を行いバッテリ44を充電するものである。すなわち、モータ41はインバータ43に電気的に接続され、インバータ43は直流電源としてのバッテリ44に電気的に接続されている。インバータ43は、モータ41から入力した交流電圧を直流電圧に変換してバッテリ44に供給したり、逆にバッテリ44からの直流電圧を交流電圧に変換してモータ41へ出力したりするものである。
本第1の実施形態においては、回生制動部Aは、モータ41、インバータ43、バッテリ44およびハイブリッドECU45(後述する)を含んで構成されている。この回生制動部Aは、ペダルストロークセンサ17(または液圧センサ15b1)によって検出されたブレーキ操作状態に基づいた回生制動力を車両の前輪Wfl,Wfrおよび後輪Wrl,Wrrのうちいずれか一方(本第1の実施形態では駆動源であるモータ41によって駆動される後輪Wrl,Wrr)に付与するものである。
車両の前輪Wfl,Wfrおよび後輪Wrl,Wrrのうち回生制動部Aにより回生制動力が付与されるものが回生制動輪であり、回生制動力が付与されないものすなわち回生制動輪ではない車輪が非回生制動輪である。本第1の実施形態では、後輪Wrl,Wrrが回生制動輪であり、前輪Wfl,Wfrが回生制動輪である。
ハイブリッドECU45は、インバータ43が互いに通信可能に接続されている。ハイブリッドECU45は、アクセル開度およびシフトポジション(図示しないシフトポジションセンサから入力したシフト位置信号から算出する)から必要なエンジン出力および電気モータトルクを導出し、その導出した電気モータトルク要求値に従って、インバータ43を通してモータ41を制御する。また、ハイブリッドECU45はバッテリ44が接続されており、バッテリ44の充電状態、充電電流などを監視している。
ブレーキECU16はハイブリッドECU45に互いに通信可能に接続されており、車両の全制動力が油圧ブレーキだけの車両と同等となるようにモータ41が行う回生ブレーキと油圧ブレーキの協調制御を行っている。具体的には、ブレーキECU16は運転者の制動要求すなわちブレーキ操作状態に対して、ハイブリッドECU45に全制動力のうち回生制動部の負担分である回生指示値を回生制動部の目標値すなわち目標回生制動力として出力する。ハイブリッドECU45は、入力した回生指示値(目標回生制動力)に基づいて車速やバッテリ充電状態等を考慮して実際に回生ブレーキとして作用させる回生実行値を導出しその回生実行値に相当する回生制動力を発生させるようにインバータ43を介してモータ41を制御するとともに、導出した回生実行値をブレーキECU16に出力している。
また、ハイブリッド車は、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに液圧制動力を直接付与して車両を制動させる液圧制動部Bを備えている。制動装置は、上述した回生制動部Aと液圧制動部Bとを備えている。
液圧制動部Bは、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrr、ブレーキ操作部材であるブレーキペダル11、真空式制動倍力装置12、マスタシリンダ13、リザーバタンク14、液圧自動発生装置であるブレーキアクチュエータ15、およびブレーキECU16を備えている。
各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrは、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの回転をそれぞれ規制するものであり、各キャリパCLfl,CLfr,CLrl,CLrrに設けられている。各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに基礎液圧および制御液圧の少なくともいずれかが供給されると、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrの各ピストン(図示省略)が摩擦部材である一対のブレーキパッド(図示省略)を押圧して各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrと一体回転する回転部材であるディスクロータDRfl,DRfr,DRrl,DRrrを両側から挟んでその回転を規制するようになっている。なお、本実施形態においては、ディスク式ブレーキを採用するようにしたが、ドラム式ブレーキを採用するようにしてもよい。
なお、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrのうち回生制動輪である後輪Wrl,Wrrに設けられているものWCrl,WCrrが回生制動輪用ホイールシリンダであり、非回生制動輪である前輪Wfl,Wfrに設けられているものWCfl,WCfrが非回生制動輪用ホイールシリンダである。
真空式制動倍力装置12は、エンジンの吸気負圧をダイヤフラムに作用させてブレーキペダル11の踏み込み操作により生じるブレーキ操作力を助勢して倍力(増大)する倍力装置である。
マスタシリンダ13は、ドライバによるブレーキペダル11の操作力を変換して基礎液圧を形成し、その基礎液圧によって車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに摩擦制動力(基礎液圧制動力)を発生させ得る装置である。本実施形態では、マスタシリンダ13は、真空式制動倍力装置12により倍力されたブレーキ操作力を基礎液圧に変換し、各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに供給する。このマスタシリンダ13は、ブレーキペダル11の操作に応じた基礎液圧を発生させる第1マスタ室13aおよび第2マスタ室13bを備えている。
マスタシリンダ13は、第1マスタ室13aと第2マスタ室13bとに同一の液圧が形成されるように構成されている。すなわち、第1マスタ室13aは、第1ピストン13cと第2ピストン13dとの間に形成され、第2マスタ室13bは、第2ピストン13dとマスタシリンダ13の底部との間に形成されている。第1ピストン13cと第2ピストン13dとの間には、第1スプリング13eが介装され、第2ピストン13dとマスタシリンダ13の底部との間には、第1スプリング13eが介装されている。
リザーバタンク14は、ブレーキ液を貯蔵してマスタシリンダ13にそのブレーキ液を補給するものである。
ブレーキアクチュエータ15は、マスタシリンダ13と各ホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrとの間に設けられて、ブレーキペダル11の操作の有無に関係なく自動的に形成した制御液圧をホイールシリンダWCfl,WCfr,WCrl,WCrrに付与し、対応する車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrに摩擦制動力(制御液圧制動力)を発生させ得る装置である。
図1を参照してブレーキアクチュエータ15の構成を詳述する。ブレーキアクチュエータ15は、独立して作動する液圧回路である複数のブレーキ液経路から構成されている。具体的には、ブレーキアクチュエータ15は、前後配管を構成する第1ブレーキ液経路15aと第2ブレーキ液経路15bとを有している。第1ブレーキ液経路15aは、マスタシリンダ13の第1マスタ室13aと左後輪Wrl,右後輪WrrのホイールシリンダWCrl,WCrrとをそれぞれ接続して、左後輪Wrl,右後輪Wrrの制動力制御に係わるブレーキ液経路である。第1ブレーキ液経路15aは、第1マスタ室13aと回生制動輪用ホイールシリンダWCrl,WCrrとを接続する回生制動輪用ブレーキ液経路である。
第2ブレーキ液経路15bは、マスタシリンダ13の第2マスタ室13bと左前輪Wfl,右前輪WfrのホイールシリンダWCfl,WCfrとをそれぞれ接続して、左前輪Wfl,右前輪Wfrの制動力制御に係わるブレーキ液経路である。第2ブレーキ液経路15bは、第2マスタ室13bと非回生制動輪用ホイールシリンダWCfl,WCfrとを接続する非回生制動輪用ブレーキ液経路である。
第1ブレーキ液経路15aには、差圧制御弁21、左後輪液圧制御部22、右後輪液圧制御部23、および第1減圧部24が設けられている。
差圧制御弁21は、第1ブレーキ液経路15aのうちマスタシリンダ13と回生制動輪用調圧部(左後輪液圧制御部22および右後輪液圧制御部23から構成されている)との間の部分に設けられ、マスタシリンダ13側の液圧と回生制動輪用調圧部側の液圧との差圧を調整する回生制動輪用差圧弁である。
すなわち、差圧制御弁21は、マスタシリンダ13と、左後輪液圧制御部22の上流部および右後輪液圧制御部23の上流部との間に介装されている常開リニア電磁弁(常開リニアソレノイド弁)である。この差圧制御弁21は、ブレーキECU16により連通状態(非差圧状態)と差圧状態を切り替え制御されるものである。差圧制御弁21は非通電して通常連通状態とされているが、通電して差圧状態(閉じる側)にすることによりホイールシリンダWCrl,WCrr側の液圧をマスタシリンダ13側の液圧よりも所定の制御差圧分高い圧力に保持することができる。この制御差圧はブレーキECU16により制御電流に応じて調圧されるようになっている。これにより、ポンプ24aによる加圧を前提に制御差圧に相当する制御液圧が形成されるようになっている。
左後輪液圧制御部22は、ホイールシリンダWCrlに供給する液圧を制御可能なものであり、2ポート2位置切換型の常開電磁開閉弁である増圧弁22aと2ポート2位置切換型の常閉電磁開閉弁である減圧弁22bとから構成されている。増圧弁22aは、差圧制御弁21とホイールシリンダWCrlとの間に介装されており、ブレーキECU16の指令にしたがって差圧制御弁21とホイールシリンダWCrlとを連通または遮断できるようになっている。減圧弁22bは、ホイールシリンダWCrlと調圧リザーバ24cとの間に介装されており、ブレーキECU16の指令にしたがってホイールシリンダWCrlと調圧リザーバ24cとを連通または遮断できるようになっている。これにより、ホイールシリンダWCrl内の液圧(ホイールシリンダ液圧)が増圧・保持・減圧され得るようになっている。
右後輪液圧制御部23は、ホイールシリンダWCrrに供給する液圧を制御可能なものであり、左後輪液圧制御部22と同様に増圧弁23aと減圧弁23bとから構成されている。増圧弁23aおよび減圧弁23bがブレーキECU16の指令により制御されて、ホイールシリンダWCrr内の液圧(ホイールシリンダ液圧)が増圧・保持・減圧され得るようになっている。
第1減圧部24は、ポンプ24a、ポンプ用モータ24b、調圧リザーバ24cを含んで構成されている。ポンプ24aは、第1マスタ室13aおよび調圧リザーバ24cに吸入口が接続され、第1ブレーキ経路15aのうち左右後輪液圧制御部22,23と差圧制御弁21との間の部分に吐出口が接続されている回生制動輪用ポンプである。このポンプ24aは、調圧リザーバ24c内のブレーキ液を汲み上げて、そのブレーキ液を差圧制御弁21と増圧弁22a,23aとの間に供給するようになっている。このポンプ24aは、ブレーキECU16の指令にしたがって駆動するポンプ用モータ24bによって駆動されるようになっている。ポンプ用モータ24bは電気モータである。
調圧リザーバ24cは、ホイールシリンダWCrl,WCrrから減圧弁22b、23bを介して抜いたブレーキ液を一旦溜めておく装置である。また、調圧リザーバ24cは、マスタシリンダ13と接続しており、調圧リザーバ24c内のブレーキ液が所定量以下である場合には、マスタシリンダ13からブレーキ液が供給される一方で、所定量より多い場合には、マスタシリンダ13からのブレーキ液の供給が停止されるようになっている。この調圧リザーバ24cが回生制動輪用リザーバである。
これにより、差圧制御弁21によって差圧状態が形成されるとともにポンプ24aが駆動されている場合(例えば、横滑り防止制御、トラクションコントロールなどの場合)、マスタシリンダ13から供給されているブレーキ液を調圧リザーバ24c経由で増圧弁22a,23aの上流に供給することができるようになっている。
第2ブレーキ液経路15bには、差圧制御弁31、左前輪液圧制御部32、右前輪液圧制御部33、および第2減圧部34が設けられている。
差圧制御弁31は、第2ブレーキ液経路15bのうちマスタシリンダ13と非回生制動輪用調圧部(左前輪液圧制御部32および右前輪液圧制御部33から構成されている)との間の部分に設けられ、マスタシリンダ13側の液圧と非回生制動輪用調圧部側の液圧との差圧を調整する非回生制動輪用差圧弁である。
すなわち、差圧制御弁31は、マスタシリンダ13と、左前輪液圧制御部32の上流部および右前輪液圧制御部33の上流部との間に介装されている常開リニア電磁弁である。この差圧制御弁31は、差圧制御弁21と同様に、ブレーキECU16によりホイールシリンダWCfl,WCfr側の液圧をマスタシリンダ13側の液圧に対してよりも所定の制御差圧分高い圧力に保持できるようになっている。
左前輪液圧制御部32および右前輪液圧制御部33は、ホイールシリンダWCfl,WCfrに供給する液圧をそれぞれ制御可能なものであり、左後輪液圧制御部22と同様に、それぞれ増圧弁32aと減圧弁32b、増圧弁33aと減圧弁33bから構成されている。増圧弁32aと減圧弁32b、増圧弁33aと減圧弁33bがブレーキECU16の指令によりそれぞれ制御されて、ホイールシリンダWCfl内およびホイールシリンダWCfr内の液圧(ホイールシリンダ液圧)がそれぞれ増圧・保持・減圧され得るようになっている。
第2減圧部34は、第1減圧部24と同様に、ポンプ34a、ポンプ用モータ24b(第1減圧部24と共用)、調圧リザーバ34cを含んで構成されている。ポンプ34aは、第2マスタ室13bおよび調圧リザーバ34cに吸入口が接続され、第2ブレーキ経路15bのうち左右前輪液圧制御部32,33と差圧制御弁31との間の部分に吐出口が接続されている非回生制動輪用ポンプである。このポンプ34aは、調圧リザーバ24cと同様な調圧リザーバ34c内のブレーキ液を汲み上げて、そのブレーキ液を差圧制御弁31と増圧弁32a,33aとの間に供給するようになっている。このポンプ34aは、ブレーキECU16の指令にしたがって駆動するポンプ用モータ24bによって駆動されるようになっている。
なお、ポンプ用モータ24bを共用して一つだけで二つのポンプ24a,34aを駆動するようにしているが、ポンプ用モータを二つ設けてそれぞれ個別にポンプ24a,34aを駆動するようにしてもよい。
このように構成されたブレーキアクチュエータ15は、通常ブレーキの際には全ての電磁弁が非励磁状態にされて、ブレーキペダル11の操作力に応じたブレーキ液圧、すなわち基礎液圧をホイールシリンダWC**にそれぞれ供給できるようになっている。なお、**は、各輪に対応する添え字であって、fl,fr,rl,rrのいずれかであり、左前、右前、左後、右後を示している。以下の説明及び図面において同じである。
また、ポンプ用モータ24bすなわちポンプ24a,34aを駆動するとともに差圧制御弁21,31を励磁すると、マスタシリンダ13からの基礎液圧に制御液圧を加えたブレーキ液圧をホイールシリンダWC**にそれぞれ供給できるようになっている。
さらに、ブレーキアクチュエータ15は、増圧弁22a,23a,32a,33a、および減圧弁22b,23b,32b,33bを制御することでホイールシリンダWC**の液圧を個別に調整できるようになっている。これにより、ブレーキECU16からの指示により、例えば、周知のアンチスキッド制御、前後制動力配分制御、ESC(Electronic Stability Control)である横滑り防止制御(具体的には、アンダステア抑制制御、オーバステア抑制制御)、トラクションコントロール、車間距離制御等を達成できるようになっている。
また、制動装置は、車輪速度センサSfl,Sfr,Srl,Srrを備えている。車輪速度センサSfl,Sfr,Srl,Srrは、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの付近にそれぞれ設けられており、各車輪Wfl,Wfr,Wrl,Wrrの回転に応じた周波数のパルス信号をブレーキECU16に出力している。
また、制動装置においては、ブレーキペダル11の近傍に、ペダルストロークセンサ17が設けられている。このペダルストロークセンサ17は、ブレーキペダル11の踏み込みによるブレーキ操作状態であるブレーキペダルストローク(操作量;以下ストロークという。)を検出するものである。このペダルストロークセンサ17はブレーキECU16に接続されており、検出信号がブレーキECU16に出力されるようになっている。
また、制動装置においては、第2ブレーキ液経路15bにマスタシリンダ液圧を検出する液圧センサ15b1が設けられている。この液圧センサ15b1はブレーキECU16に接続されており、検出信号がブレーキECU16に出力されるようになっている。なお、液圧センサ15b1は、第1ブレーキ液経路15aに設けるようにしてもよい。
ブレーキECU16は、差圧制御弁21および差圧制御弁31を制御するとともにポンプ24aおよびポンプ34aを駆動することで、差圧制御弁21の前後の間に形成される回生制動輪差圧および差圧制御弁31の前後の間に形成される非回生制動輪差圧を個別に制御する制御液圧制御手段である。
(制御第1実施例)
次に、上記のように構成した制動装置の作動の一例として回生より制動力前後配分を重視する例について図2に示すフローチャートを参照して説明する。ブレーキECU16は、図示しないイグニッションスイッチがオンされると、制動装置の制御プログラムの実行(所定の短時間周期に実行される)を開始する。ブレーキECU16は、ステップSS102において、ペダルストロークセンサ17からストロークを入力し、液圧センサ15b1からマスタシリンダ液圧を入力する。
ブレーキECU16は、ステップS104において、ストロークが所定値Aより大きいか否かを判定する。ストロークが所定値A以下である場合には、「NO」と判定し、プログラムを一旦終了する。ストロークが所定値Aより大きい場合には、「YES」と判定し、プログラムをステップS106以降に進めて、回生制動力を発生させる。所定値Aは、ブレーキペダル11の操作開始を車両振動などのノイズの影響なく判定するために設定される値である。
ブレーキECU16は、ステップS106において、下記数1により目標制動力を演算する。
(数1)
目標制動力=制御ST+マスタシリンダ液圧+制御MC
ここでは、目標制動力は車両の全制動力を油圧ブレーキだけで付与した場合である目標液圧に相当する。制御STはブレーキペダル11の操作量(ストローク)に応じた第1の制御液圧制動力(第1の要求制御液圧制動力)であり、制御MCはマスタシリンダ液圧に応じた第2の制御液圧制動力(第2の要求制御液圧制動力)である。図5に制御STとストロークとの関係を示し、図6に制御MCとマスタシリンダ液圧との関係を示している。いずれの関係も実験やシミュレータにより導出している。
ステップS106において、先にステップS102にて入力したストロークと図5に示すマップとから制御STを導出し、先にステップS102にて入力したマスタシリンダ液圧と図6に示すマップとから制御MCを導出する。そして、これら導出した制御STおよび制御MCとマスタシリンダ液圧とを数1に代入して目標制動力を演算する。
ブレーキECU16は、ステップS108において、運転者の制動要求すなわちブレーキ操作状態に対して、ハイブリッドECU45に全制動力のうち回生制動部Aの負担分である回生指示値(回生要求値)を回生制動部Aの目標値すなわち目標回生制動力として出力する。具体的には、回生指示値は、図7に示す回生指示値とストロークとの関係を示すマップと、先にステップS102にて入力したストロークとから導出される。なお、図7には、回生指示値を実線で示し、制御STを破線で示す。いずれも、ストロークに応じた値である。また、下記数2に示すように、制御STと回生指示値との差が差圧STである。なお、ここで、回生指示値でなく回生実行値である場合もある。
(数2)
差圧ST=制御ST−回生指示値
ハイブリッドECU45は、入力した回生指示値(目標回生制動力)に基づいて車速やバッテリ充電状態等を考慮して実際に回生ブレーキとして作用させる回生実行値を導出しその回生実行値に相当する回生制動力を発生させるようにインバータ43を介してモータ41を制御するとともに、導出した回生実行値をブレーキECU16に出力している。すなわち、ブレーキECU16は、ハイブリッドECU45から回生実行値(または回生指示値)を入力する。
次に、ブレーキECU16は、ステップS109において、ストロークが所定値Dより大きいか否かを判定する。所定値Dは、回生制動力の上限値に相当する値である(図3参照)。ブレーキECU16は、ストロークが所定値Dより大きい場合は、「YES」と判定し、プログラムをステップS112に進める。一方、ブレーキECU16は、ストロークが所定値D以下である場合は、「NO」と判定し、プログラムをステップS110に進める。
ブレーキECU16は、ステップS110において、前輪Wfl,Wfr(非回生制動輪)側の差圧制御弁31の前後の間に形成される差圧(非回生制動輪差圧)を発生させる。ここで、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧を導出する。先に回生制動輪差圧を導出する。回生制動輪差圧は下記数3により導出される。
(数3)
回生制動輪差圧=差圧ST×(1−α)+制御MC×(1−α)−回生実行値×α
=制御ST×(1−α)+制御MC×(1−α)−回生実行値
なお、上記数3の2番目の式は、1番目の式に上記数2を代入して導出する。
このように、回生制動輪差圧分に相当する制動力は、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(差圧ST×(1−α))と、第2の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御MC×(1−α))との和から、回生制動部Aにより実際に付与された回生実行値を減算して導出される(回生制動輪差圧分制動力導出手段)。
次に非回生制動輪差圧を導出する。上記数3により導出した回生制動輪差圧が正の値である場合には、非回生制動輪差圧は下記数4により導出される。
(数4)
非回生制動輪差圧=差圧ST×α+制御MC×α+回生実行値×α
=制御ST×α+制御MC×α
なお、上記数4の2番目の式は、1番目の式に上記数2を代入して導出する。
一方、上記数3により導出した回生制動輪差圧が負の値である場合には、非回生制動輪差圧は下記数5により導出される。
(数5)
非回生制動輪差圧
=差圧ST×α+制御MC×α+回生実行値×α−|回生制動輪差圧|
=制御ST×α+制御MC×α−|回生制動輪差圧|
なお、上記数5の2番目の式は、1番目の式に上記数2を代入して導出する。また、αは、制動力前後配分を設定する係数であり、αが0.5であるときには、制動力前後配分は1:1となる。
このように、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が正の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力は、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御ST×α)と第2の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御MC×α)とを加算して導出される。一方、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が負の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力は、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御ST×α)と第2の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御MC×α)との和から、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力の絶対値を減算して導出される(非回生制動輪差圧分制動力導出手段)。
本制御第1実施例において、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧を上記数3〜数5に基づいて導出する。この場合、回生指示値=制御ST×(1−α)と設定する。すなわち、回生指示値と制御STとの関係は、図8に示すようになる。よって、回生実行値が回生指示値通りであるとき、上記数2から差圧ST=制御ST×αとなる。上記数3から回生制動輪差圧=制御MC×(1−α)となり、上記数4から非回生制動輪差圧=制御ST×α+制御MC×αとなる。マスタシリンダ圧が比較的小さく、制御MCはほとんど0であるため、回生制動輪差圧=0となり、非回生制動輪差圧=制御ST×αとなる。よって、回生制動輪制動力は、回生制動力と回生制動輪分の基礎液圧制動力となり、非回生制動輪制動力は、制御ST×αの制御液圧制動力と非回生制動輪分の基礎液圧制動力となる。
なお、本制御第1実施例において、回生実行値が0であるとき、上記数2から差圧ST=制御STとなる。上記数3から回生制動輪差圧=制御ST×(1−α)+制御MC×(1−α)となり、上記数4から非回生制動輪差圧=制御ST×α+制御MC×αとなる。マスタシリンダ圧が比較的小さく、制御MCはほとんど0であるため、回生制動輪差圧=制御ST×(1−α)となり、非回生制動輪差圧=制御ST×αとなる。よって、回生制動輪制動力は、回生制動輪分の制御液圧制動力と回生制動輪分の基礎液圧制動力となり、非回生制動輪制動力は、制御ST×αの制御液圧制動力と回生制動輪分の基礎液圧制動力となる。
ブレーキECU16は、上述のように算出した非回生制動輪差圧に相当する差圧指示値(制御ST×α)にて差圧制御弁31を制御する。なお、ブレーキECU16は、上述した回生制動輪差圧に相当する差圧指示値(0)にて差圧制御弁21を制御する。
例えば、ブレーキECU16は、回生制動輪用ポンプ24aおよび非回生制動輪用ポンプ34aを作動させるとともに、差圧制御弁21に回生制動輪差圧を発生させないでかつ差圧制御弁31にのみ非回生制動輪差圧を発生させる。これにより、非回生制動輪側(ホイールシリンダWCfl,WCfr)のホイールシリンダ圧が上がるとともに回生制動輪側(ホイールシリンダWCrl,WCrr)のホイールシリンダ圧が下がる。
このとき、ブレーキECU16は、非回生制動輪用差圧弁31に対する差圧指示値を回生制動輪用差圧弁21に対する指示値よりも大きくすることにより、非回生制動輪のホイールシリンダ圧を下げている。
すなわち、回生制動輪用差圧弁21に対する差圧指示値が0であり、非回生制動輪用差圧弁31に対する差圧指示値が制御ST×α(0より大きい値である)であって、回生制動輪用ポンプ24aおよび非回生制動輪用ポンプ34aを作動させる場合を考える。このとき、第1ブレーキ経路15aにおいては、回生制動輪用差圧弁21の前後では差圧は発生していないので、後輪ホイールシリンダWCrl,WCrrのホイールシリンダ液圧は、第1マスタ室13aのマスタシリンダ液圧と同一液圧である。また、第2ブレーキ経路15bにおいては、非回生制動輪用差圧弁31の前後では制御液圧分の差圧(非回生制動輪差圧)は発生しているので、前輪ホイールシリンダWCfl,WCfrのホイールシリンダ液圧は、第2マスタ室13bのマスタシリンダ液圧(基礎液圧)に非回生制動輪差圧(制御ST×αの制御液圧)を上乗せした液圧となる。
また、第1マスタ室13aのマスタシリンダ液圧と第2マスタ室13bのマスタシリンダ液圧とは同一であるので、前輪ホイールシリンダWCfl,WCfrのホイールシリンダ液圧は、後輪ホイールシリンダWCrl,WCrrのホイールシリンダ液圧に非回生制動輪差圧(制御ST×α)を上乗せした液圧となる。
ブレーキECU16は、ステップS112において、回生指示値と回生実行値とが等しいか否かを判定する。回生指示値と回生実行値とが等しくない場合とは、回生実行値が回生指示値より小さい場合であって回生実行値と回生指示値との差分を後輪の制御液圧で補う場合であり、また、回生実行値が回生指示値と同一である場合であって回生制動力が回生制動力の上限(回生MAX制動力)未満である場合である。
ブレーキECU16は、回生指示値と回生実行値とが等しくない場合には、ステップS112にて「NO」と判定し、プログラムをステップS114に進める。例えば、回生実行値が回生指示値より小さい場合には、ブレーキECU16は、その差分に相当する差圧を、後輪WCrl,WCrr側の回生制動輪用差圧弁21に発生させる。
ブレーキECU16は、ステップS114において、上述したステップS110の処理と同様に、非回生制動輪差圧を上記数4または数5により導出するとともに、回生制動輪差圧を上記数3により導出する。具体的には、回生制動輪差圧=制御ST×(1−α)+制御MC×(1−α)−回生実行値となり、非回生制動輪差圧=制御ST×α+制御MC×αとなる。マスタシリンダ圧が比較的小さく、制御MCはほとんど0であるため、回生制動輪差圧=制御ST×(1−α)−回生実行値となり、非回生制動輪差圧=制御ST×αとなる。そして、ブレーキECU16は、上述のように算出した回生制動輪差圧に相当する差圧指示値にて差圧制御弁21を制御する。よって、回生制動輪制動力は、回生制動輪分の制御液圧制動力から回生実行値を減算し回生制動輪分の基礎液圧制動力を加算した値となり、非回生制動輪制動力は、制御ST×αの制御液圧制動力と非回生制動輪分の基礎液圧制動力となる。
ブレーキECU16は、ステップS116において、前輪Wfl,Wfr側の差圧制御弁31に形成される差圧を補正する。例えば、前述したように回生実行値が回生指示値より小さい場合であってその差分より回生制動輪差圧が小さい場合には、その差分を前輪Wfl,Wfr側ホイールシリンダWCfl,WCfrのホイールシリンダ液圧により補填するために、前輪Wfl,Wfr側の差圧制御弁31に形成される差圧(非回生制動輪差圧)を増大させる。
一方、ブレーキECU16は、回生指示値と回生実行値とが等しい場合には、ステップS112にて「YES」と判定し、プログラムをステップS118に進める。このとき、回生実行値が回生指示値より小さい場合に、前述したように発生させていた差分に相当する差圧は、後輪WCrl,WCrr側の回生制動輪用差圧弁21に発生させない。
ブレーキECU16は、ステップS118において、マスタシリンダ液圧が所定値Bより大きいか否かを判定する。なお、所定値Bは、ブレーキペダル11の踏み増し時において、マスタシリンダ圧が大きくなった場合など、マスタシリンダ圧を減少させることで目標のマスタシリンダ圧を発生させるために設定される値である。
ブレーキECU16は、マスタシリンダ液圧が所定値B以下である場合には、ステップS118にて「NO」と判定し、プログラムをステップS122に進め一旦終了する。一方、ブレーキECU16は、マスタシリンダ液圧が所定値Bより大きい場合には、ステップS118にて「YES」と判定し、プログラムをステップS120に進める。
ブレーキECU16は、ステップS120において、必要に応じて、非回生制動輪差圧の勾配を弱くしたり、非回生制動輪差圧と回生制動輪差圧の両方を大きくしたりしてもよい。
さらに、図3,4を参照して制動装置の作動について説明する。図3は、上段から、ストロークの時間変化、後輪の回生制動力の時間変化、前輪および後輪の各液圧制動力の時間変化を示している。図4は、前輪および後輪の制動力の配分を示している。
図3においては、時刻t0にて、ブレーキペダル11の踏み増し(踏込)が開始され、その後一定の速度で踏み増しされ、時刻t1にて、回生制動力が上限に達した場合、すなわちストロークが所定値Dに達した場合を示している。
回生制動力は、時刻t0から時刻t1までの間においては、ブレーキペダル11のストロークに応じて増大するが、回生制動力が上限に達した時点(時刻t1)以降においては、ストロークが増大しても回生制動力はその上限値しか付与できない。
時刻t0から時刻t1までの間においては、回生制動力が上限に達していないので、すなわちストロークが所定値Dに達していないので、ブレーキECU16は、ステップS106,108の処理の後、ステップS109にて「NO」と判定し、ステップS110の処理を実行する。よって、後輪側の差圧制御弁31には差圧(制御液圧)を付与させないので、後輪の液圧制動力(リア液圧制動力)は、マスタシリンダ液圧(リア基礎液圧)のみによる制動力(リア基礎液圧制動力)が形成されている。このリア基礎液圧制動力は、上述したステップS110において前輪側の差圧制御弁31に差圧を発生させたときに第2マスタ室13b(すなわち第1マスタ室13a)に形成されるマスタシリンダ液圧に相当する液圧制動力である。
一方、前輪側の差圧制御弁21には差圧(フロント制御液圧)を付与するので、前輪の液圧制動力(フロント液圧制動力)は、マスタシリンダ液圧(フロント基礎液圧)による制動力(フロント基礎液圧制動力)にフロント制御液圧による制動力(フロント制御液圧制動力)を上乗せした制動力である。なお、三段目の図において、フロント液圧制動力は一点破線で示し、リア液圧制動力は破線で示している。
フロント液圧制動力とリア液圧制動力との差は、差圧制御弁31により形成される差圧に相当する制動力と同一である。これは次の理由による。後輪ホイールシリンダWCrl,WCrrのホイールシリンダ液圧は、第1マスタ室13aのマスタシリンダ液圧ひいては第2マスタ室13bのマスタシリンダ液圧と同一である。さらに、前輪ホイールシリンダWCfl,WCfrのホイールシリンダ液圧は、第2マスタ室13bのマスタシリンダ液圧より差圧制御弁31により形成される差圧分(フロント差圧弁指示圧)だけ高い。
また、前輪側と後輪側の両差圧制御弁31,21に差圧を発生させない場合を二点破線で示している。この場合、本願発明のようにポンプ24a,34aによってマスタシリンダ液圧が積極的に減圧されないので、ブレーキペダル11のストロークに応じたマスタシリンダ液圧と同じホイールシリンダ液圧による液圧制動力が前輪および後輪に付与される。
時刻t1以降においては、回生制動力が上限に達するので、すなわちストロークが所定値Dに達するので、ブレーキECU16は、ステップS106,108の処理の後、ステップS109にて「YES」と判定する。すなわち、前輪側の差圧制御弁21により形成される差圧であるフロント制御液圧の勾配を小さくしたりまたはフロント制御液圧およびリア制御液圧の両方を変更したりする以外においては、基本的に、フロント制御液圧は、回生制動力の上限値に相当する差圧で固定されるので、フロント液圧制動力はフロント基礎液圧制動力の分だけ増大する。また、リア液圧制動力もフロント液圧制動力と同様にフロント基礎液圧制動力と同一であるリア基礎液圧制動力の分だけ増大する。
以上のことから、図3の三段目のグラフから明らかなように、フロント液圧制動力のみから形成されるフロント制動力は、リア回生制動力とリア液圧制動力とから形成されるリア制動力と同一である。よって、図4に示すように、フロント制動力とリア制動力との配分は理想制動力配分とほぼ一致する。理想制動力配分とは、フロント制動力とリア制動力と比が1:1の関係である。
従来技術である、前輪側と後輪側の両差圧制御弁31,21に差圧を発生させない場合には、前輪および後輪には、ブレーキペダル11のストロークに応じたマスタシリンダ液圧と同じホイールシリンダ液圧による液圧制動力が付与される。後輪には回生制動力がさらに付与されるので、図4に示すように、リア制動力の比率が高くなる。一方、本願発明によれば、フロント制動力とリア制動力との配分を理想制動力配分にすることができる。
上述した説明から明らかなように、本実施形態によれば、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)が、回生制動輪用差圧弁21および非回生制動輪用差圧弁31を制御するとともに回生制動輪用ポンプ24aおよび非回生制動輪用ポンプ34aを駆動することで、回生制動輪用差圧弁21の前後の間に形成される回生制動輪差圧および非回生制動輪用差圧弁31の前後の間に形成される非回生制動輪差圧を個別に制御する。また、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、ブレーキペダル11の操作量に応じた第1の要求制御液圧制動力と、回生制動部Aにより回生制動輪Wrl,Wrrに実際に付与された回生実行値と、の関係に応じて、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に分配をする。これにより、回生効率を重視しながら前後制動力配分をできるだけ重視することで安定した制動を確保しつつ安価な制動装置を提供することができる。
また、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))から、回生制動部Aにより実際に付与された回生実行値を減算して導出する回生制動輪差圧分制動力導出手段と、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が正の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御ST×α)として導出し、一方、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が負の値である場合には、非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御ST×α)から、回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力の絶対値を減算して導出する非回生制動輪差圧分制動力導出手段と、を備えている。これにより、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、ブレーキECU16(回生制動輪差圧分制動力導出手段)は、液圧制動部Bによりマスタシリンダ圧に応じて付与される第2の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御MC×(1−α))をさらに加算するとともに、ブレーキECU16(非回生制動輪差圧分制動力導出手段)は、第2の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御MC×α)をさらに加算する。これにより、第2の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力により適切に分配をすることができる。
また、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))と等しい場合には、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、回生制動輪差圧が0となるとともに、非回生制動輪差圧が第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御ST×α)となるように分配をする。これにより、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))と等しい場合、非回生制動輪に付与される制動力と回生制動輪に付与される制動力との配分を理想制動力配分に近づけることができる。
また、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))より小さく、かつ、0以上である場合には、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、回生制動輪差圧が第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))となるとともに、非回生制動輪差圧が第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))となるように分配をする。これにより、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))より小さく、かつ、0以上である場合、例えば、回生実行値が0である場合であっても、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、マスタシリンダ13は、第1マスタ室13aと第2マスタ室13bとに同一の液圧が形成されるように構成されており、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、回生制動輪用ポンプ24aおよび非回生制動輪用ポンプ34aを作動させるとともに、回生制動輪差圧を発生させないでかつ非回生制動輪差圧を発生させることにより、非回生制動輪側のホイールシリンダ圧が上がるとともに回生制動輪側のホイールシリンダ圧が下がる。これにより、マスタシリンダ液圧および回生制動輪側のホイールシリンダ圧を減圧することができ、ひいては車両の制動時の安定性を確保することができる。
また、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、マスタシリンダ13の基礎液圧に応じて、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧を設定する。これにより、マスタシリンダ13の基礎液圧に応じた適切な回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧を付与することができる。
また、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、非回生制動輪用差圧弁31に対する指示値を回生制動輪用差圧弁21に対する指示値よりも大きくすることにより、非回生制動輪のホイールシリンダ圧を下げる。これにより、簡単な制御により確実に非回生制動輪のホイールシリンダ圧を下げることができる。
また、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、非回生制動輪用差圧弁31に対する指示値と回生制動輪用差圧弁21に対する指示値との間に差を設けることにより、非回生制動輪に付与される制動力と回生制動輪に付与される制動力との配分を理想制動力配分にする。これにより、簡単な制御により確実に非回生制動輪に付与される制動力と回生制動輪に付与される制動力との配分を理想制動力配分にすることができる。
(制御第2実施例)
次に、上記のように構成した制動装置の作動の変形例(上述した制御第1実施例と比較して制動力前後配分より回生を少し重視する例)について図9に示すフローチャート、図10に示すフロント・リア制動力配分、図11に示す回生指示値と制御STとの関係を示す図、および図12に示すタイムチャートを参照して説明する。上述した制御第1実施例と同じ処理については同一符号を付してその説明を省略する。
本制御第2実施例において、図12に示す時刻t0から時刻t2までは回生指示値=制御STと設定し、時刻t0から時刻t2までは回生指示値=制御ST×βSTと設定する。すなわち、回生指示値と制御STとの関係は図11に示すとおりである。なお、βSTは、ストロークに応じて1から(1−α)まで変化する。
さらに、本制御第2実施例において、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧を上記数3〜数5に基づいて導出する。時刻t0〜時刻t2において、回生実行値が回生指示値通りであるとき、上記数2から差圧ST=0となる。上記数3から回生制動輪差圧=0(−制御ST×α<0)となり、上記数4から非回生制動輪差圧=制御ST×α+制御MC×α−制御ST×αとなる。マスタシリンダ圧が比較的小さく、制御MCはほとんど0であるため、非回生制動輪差圧=0となる。よって、回生制動輪制動力は、回生制動力と回生制動輪分の基礎液圧制動力となり、非回生制動輪制動力は、非回生制動輪分の基礎液圧制動力となる。
さらに、時刻t2〜時刻t1において、回生実行値が回生指示値通りであるとき、上記数2から差圧ST=制御ST−制御ST×βSTとなる。上記数3から回生制動輪差圧=制御ST×(1−α)−制御ST×βST+制御MC×(1−α)となり、上記数4から非回生制動輪差圧=制御ST×α+制御MC×α−|回生制動輪差圧|となる。マスタシリンダ圧が比較的小さく、制御MCはほとんど0であるため、回生制動輪差圧=0(制御ST×((1−α)−βST)<0)となり、非回生制動輪差圧=制御ST×α−|回生制動輪差圧|=差圧STとなる。よって、回生制動輪制動力は、回生制動力と回生制動輪分の基礎液圧制動力となり、非回生制動輪制動力は、制御ST×αの制御液圧制動力と非回生制動輪分の基礎液圧制動力となる。
本制御第2実施例においては、ブレーキECU16は、制御第1実施例のステップS108の処理とステップS109の処理との間に、ステップS150において、回生指示値が回生制動力の上限と等しいか否かを判定する。ブレーキECU16は、回生指示値と回生制動力の上限とが等しい場合には、ステップS150にて「YES」と判定し、プログラムをステップS118に進める。
一方、ブレーキペダル11の踏込が開始された時点以降に、ブレーキECU16は、回生指示値と回生制動力の上限とが等しくない場合には、ステップS150にて「NO」と判定し、プログラムをステップS109に進める。ブレーキECU16は、ステップS109において、ストロークが所定値Dより大きいか否かを判定する。ブレーキECU16は、ストロークが所定値Dより大きい場合は、プログラムをステップS112に進める。一方、ブレーキECU16は、ストロークが所定値D以下である場合は、プログラムをステップS152に進める。
ブレーキECU16は、ステップS152において、マスタシリンダ液圧が所定値Cより大きいか否かを判定する。なお、ステップS152において、ストロークが所定値Eより大きいか否かを判定するようにしてもよい。マスタシリンダ液圧に係る所定値Cは、ストロークに係る所定値Eに相当する値である。
ブレーキECU16は、マスタシリンダ液圧が所定値C以下である場合には、ステップS152にて「NO」と判定し、プログラムをステップS112に進める。これにより、ブレーキペダル11の踏込開始時点(図12にて時刻t0)からマスタシリンダ液圧が所定値Cに達する時点(時刻t2)までの間においては、前輪側(および後輪側)の差圧制御が実行されない(制御液圧制動力が付与されない)。よって、ブレーキペダル11のストロークに応じたマスタシリンダ液圧(基礎液圧)と同じホイールシリンダ液圧による液圧制動力(基礎液圧制動力)が前輪および後輪に付与される。
一方、ブレーキECU16は、マスタシリンダ液圧が所定値Cを超えた場合には、ステップS152にて「YES」と判定し、プログラムをステップS154に進める。ブレーキECU16は、ステップS154において、基本的には上述したステップS110と同一の処理を行う。すなわち、ブレーキECU16は、前輪Wfl,Wfr(非回生制動輪)側の差圧制御弁31の前後の間に形成される差圧(非回生制動輪差圧)を発生させる。具体的には、ブレーキECU16は、ポンプ24a,34aを駆動させるとともに、上述のように算出した非回生制動輪差圧に相当する差圧指示値にて差圧制御弁31を制御する。なお、ブレーキECU16は、上述した回生制動輪差圧に相当する差圧指示値にて差圧制御弁21を制御する。
これにより、第2マスタ室13bのブレーキ液がひいては第1マスタ室13aのブレーキ液がポンプ34aにより吸い込まれて差圧制御弁31と増圧弁32a,33aとの間に吐出されるので、所定値Cに達したマスタシリンダ液圧は減圧する。
ブレーキECU16は、ステップS154の処理後、プログラムをステップS112に進める。
さらに、図12,10を参照して制動装置の作動について説明する。図12は、上段から、ストロークの時間変化、後輪の回生制動力の時間変化、前輪および後輪の各液圧制動力の時間変化、車両制動力の時間変化を示している。図10は、前輪および後輪の制動力の配分を示している。
図12においては、時刻t0にて、ブレーキペダル11の踏み増し(踏込)が開始され、その後一定の速度で踏み増しされ、時刻t1にて、回生制動力が上限に達した場合を示している。
回生制動力は、時刻t0から時刻t1までの間においては、ブレーキペダル11のストロークに応じて増大するが、回生制動力が上限に達した時点(時刻t1)以降においては、ストロークが増大しても回生制動力はその上限値しか付与できない。
時刻t0から時刻t2(マスタシリンダ液圧が所定値Cを越えた時点である)までの間においては、マスタシリンダ液圧が所定値Cを未だ超えていないので、ブレーキECU16は、前輪側の差圧制御弁31および後輪側の差圧制御弁21に差圧を発生させない。よって、ブレーキペダル11のストロークに応じたマスタシリンダ液圧と同じホイールシリンダ液圧による液圧制動力が前輪および後輪に付与される。
時刻t2から時刻t1までの間においては、上述した制御第1実施例と同様に、前輪側の差圧制御弁21には差圧(フロント制御液圧)を付与するので、前輪の液圧制動力(フロント液圧制動力)は、マスタシリンダ液圧(フロント基礎液圧)による制動力(フロント基礎液圧制動力)にフロント制御液圧による制動力(フロント制御液圧制動力)を上乗せした制動力である。なお、三段目の図において、フロント液圧制動力は一点破線で示し、リア液圧制動力は破線で示している。
時刻t1以降においては、回生制動力が上限に達するので、すなわちストロークが所定値Dに達するので、基本的に、フロント制御液圧は、回生制動力の上限値に相当する差圧で固定されるため、フロント液圧制動力はフロント基礎液圧制動力の分だけ増大する。また、リア液圧制動力もフロント液圧制動力と同様にフロント基礎液圧制動力と同一であるリア基礎液圧制動力の分だけ増大する。
以上のことから、図12の三段目のグラフから明らかなように、制動力発生当初(時刻t0から時刻t2までの間)において、前輪側と後輪側の両差圧制御弁31,21に差圧を発生させないので、フロント液圧制動力のみから形成されるフロント制動力は、リア回生制動力とリア液圧制動力とから形成されるリア制動力より小さい。時刻t2以降においては、フロント液圧制動力のみから形成されるフロント制動力は、リア回生制動力とリア液圧制動力とから形成されるリア制動力と同一である。よって、図10に示すように、制動力発生当初はリア制動力の比率が高いが、時刻t2以降においてはフロント制動力とリア制動力との配分は理想制動力配分とほぼ一致する。このように時刻t0から時刻t1までにおいては、回生制動力が比較的上昇し、制動力前後配分は崩れている。
上述した説明から明らかなように、本実施例によれば、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、回生制動部Aにより回生制動力が付与されるとともにマスタシリンダ13により基礎液圧が付与され、その基礎液圧(マスタシリンダ液圧)が所定の閾値(所定値C)より大きくなった場合(ステップS152で「YES」)、上述した各制御を行う。これにより、制動初期において基礎液圧を確実に付与することができるので、制御液圧の応答性が不十分なときであっても、それをカバーすることができる。
また、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力(制御ST)と等しい場合には、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧が0となるように分配をする。これにより、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力(制御ST)と等しい場合、すなわち、制動力配分よりも回生効率を重視する場合であっても、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
また、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力(制御ST)より小さく、かつ、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))より大きい場合には、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、回生制動輪差圧が負の値となるとともに、非回生制動輪差圧が、第1の要求制御液圧制動力のうち非回生制動輪が分担する制動力(制御ST×α)から回生制動輪差圧の絶対値を減算した値となるように分配をする。これにより、回生実行値が、第1の要求制御液圧制動力(制御ST)より小さく、かつ、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))より大きい場合、すなわち、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力(制御ST)と等しい場合から、第1の要求制御液圧制動力のうち回生制動輪が分担する制動力(制御ST×(1−α))と等しい場合への移行中においても、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。
2)第2の実施形態
次に、本発明に係る制動装置をアイドルポートが形成されたマスタシリンダ113に適用した第2の実施形態を説明する。図13に示すように、マスタシリンダ113は、リザーバタンク14に接続するアイドルポート113cが形成されている。マスタシリンダ113は、第2ブレーキ液経路15bに接続するポート113fが形成されている。
アイドルポート113cは、マスタシリンダ113内のシリンダ穴113eを摺動可能に往復動するピストン113dの初期位置からブレーキペダル11の踏みまし方向に所定距離だけ離れた位置に形成されている。よって、ブレーキペダル11の踏込開始時点からアイドルポート113cがピストン113dによって閉塞される時点までにおいて、第2マスタ室13b内にマスタシリンダ液圧は発生しない。アイドルポート113cがピストン113dによって閉塞される時点以降において、第2マスタ室13b内にマスタシリンダ液圧が発生する。
このように構成した制動装置の作動について図14に示すフローチャート、図15に示すフロント・リア制動力配分、図16に示す回生指示値と制御STとの関係を示す図、および図17に示すタイムチャートを参照して説明する。上述した制御第1実施例と同じ処理については同一符号を付してその説明を省略する。
本第2の実施形態において、図17に示す時刻t0から時刻t1までは回生指示値=制御STと設定し、時刻t1から時刻t3までは回生指示値=制御STと設定する。すなわち、回生指示値と制御STとの関係は図16に示すとおりである。
さらに、本第2の実施形態において、回生制動輪差圧および非回生制動輪差圧を上記数3〜数5に基づいて導出する。時刻t0〜時刻t1において、回生実行値が回生指示値通りであるとき、上記数2から差圧ST=0となる。上記数3から回生制動輪差圧=0(−制御ST×α<0)となり、上記数4から非回生制動輪差圧=制御ST×α+制御MC×α−制御ST×αとなる。マスタシリンダ圧が比較的小さく、制御MCはほとんど0であるため、非回生制動輪差圧=0となる。よって、回生制動輪制動力は、回生制動力となり、非回生制動輪制動力は0となる。
さらに、時刻t1〜時刻t3において、回生実行値が回生指示値通りであるとき、上記数2から差圧ST=制御ST−制御ST(回生制動力の上限)となる。この場合、上述した制御第2実施例と同様に、回生制動輪差圧=0となり、非回生制動輪差圧=制御ST×α−|回生制動輪差圧|=差圧STとなる。よって、回生制動輪制動力は、回生制動力と回生制動輪分の基礎液圧制動力となり、非回生制動輪制動力は、制御ST×αの制御液圧制動力と非回生制動輪分の基礎液圧制動力となる。
本第2の実施形態においては、ブレーキECU16は、制御第1実施例のステップS109において、ストロークが所定値D以下である場合は、「NO」と判定し、プログラムをステップS112に進める。一方、ブレーキECU16は、ストロークが所定値Dより大きい場合は、「YES」と判定し、プログラムをステップS160に進める。
ブレーキECU16は、ステップS160において、ストロークが所定値Fより大きいか否かを判定する。所定値Fは、所定値Dより大きい値であって、第1の要求制御液圧制動力の上限制動力に相当する最小ストロークである(図16にてt3に相当するストロークである)。ブレーキECU16は、ストロークが所定値F以下である場合は、「NO」と判定し、プログラムをステップS110に進める。一方、ブレーキECU16は、ストロークが所定値Fより大きい場合は、「YES」と判定し、プログラムをステップS112に進める。
ブレーキECU16は、回生指示値と回生実行値とが等しい場合には、ステップS112にて「YES」と判定し、プログラムをステップS118に進める。一方、ブレーキECU16は、回生指示値と回生実行値とが等しくない場合には、ステップS112にて「NO」と判定し、プログラムをステップS116に進める。
ブレーキペダル11の踏込開始時点(図17にて時刻t0)からアイドルポート113cがピストン113dによって閉塞される時点(図17にて時刻t1)までにおいては、ストロークは所定値D以下であるため、ブレーキECU16は、ステップS109にて「NO」と判定し、プログラムをステップS112に進める。このとき、マスタシリンダ圧は付与されておらず、回生制動力のみが付与され、液圧制動力は付与されない。
アイドルポート113cがピストン113dによって閉塞される時点(図17にて時刻t1)以降において、回生制動力は上限に達し、ストロークは所定値Dより大きくかつ所定値F以下であるので、ブレーキECU16は、ステップS109,160にてそれぞれ「YES」、「NO」と判定し、プログラムをステップS110に進める。これにより、ブレーキECU16は、回生制動輪用ポンプ24aおよび非回生制動輪用ポンプ34aを作動させるとともに、差圧制御弁21に回生制動輪差圧を発生させないでかつ差圧制御弁31にのみ非回生制動輪差圧を発生させる。よって、非回生制動輪側(ホイールシリンダWCfl,WCfr)のホイールシリンダ圧が上がるとともに回生制動輪側(ホイールシリンダWCrl,WCrr)のホイールシリンダ圧が下がる。
時刻t1以降であって、ストロークが所定値Fより大きくなった時点(図17にて時刻t3)以降においては、ブレーキECU16は、ステップS160にて「YES」と判定し、基本的に、フロント制御液圧は、回生制動力の上限値に相当する差圧で固定されるので、フロント液圧制動力はフロント基礎液圧制動力の分だけ増大する。また、リア液圧制動力もフロント液圧制動力と同様にフロント基礎液圧制動力と同一であるリア基礎液圧制動力の分だけ増大する。
以上のことから、図17の三段目のグラフから明らかなように、回生制動力がその上限に達する時点(時刻t1;すなわちストロークが所定値Dに達する時点)までの間においては、フロント制動力は0であり、リア制動力は回生制動力となる。回生制動力がその上限に達する時点(時刻t1)からストロークが所定値Fに達する時点(時刻t3)までの間においては、フロント制動力は増大するが、リア制動力は回生制動力の上限値にリア基礎液圧制動力を加算した値でありほぼ回生制動力の上限値となる。ストロークが所定値Fに達する時点(時刻t3)以降においては、マスタシリンダ液圧が増大する。
なお、回生制動力が上限値を発生することができない場合(図15にて破線で示す)には、その不足分をフロント制御液圧制動力で補填するようにすればよい。
このように、時刻t0から時刻t1までは、回生制動力のみで制動することができ、回生力を可能な限り取得する制動力配分となり、回生制動力の上限に到達した後(時刻t1)以降は、制動力配分を理想配分とすることができる。
上述した説明から明らかなように、本実施形態によれば、マスタシリンダ113は、ピストン113dの初期位置から所定距離はなれた位置に到達しなければ基礎液圧が発生しないアイドルポート113cを備え、ピストン113dがアイドルポート113cを塞ぐまでの間において、マスタシリンダ113により発生される基礎液圧が0である場合、回生制動輪には回生実行値が優先的に付与されるとともに、非回生制動輪には制動力が発生されない。これにより、回生実行値が第1の要求制御液圧制動力(制御ST)と等しい場合、特に、マスタシリンダ113は、ピストン113dが初期位置から所定距離はなれた位置に到達しなければ基礎液圧が発生しないアイドルポートを備えた場合において、第1の要求制御液圧制動力を、回生制動輪差圧分に相当する制動力および非回生制動輪差圧分に相当する制動力に適切に分配をすることができる。また、回生を重視するシステム構成においても、理想制動力配分に近づけることができ、車両の制動時の安定性を確保することができる。
3)第3の実施形態
次に、上述した第1および第2の実施形態において、低速時における回生制動力を液圧制動力にすり替える制御について図18のフローチャートおよび図19のタイムチャートを参照して説明する。
ブレーキECU16は、ステップS202において、回生制動力を液圧制動力にすり替える必要があるか否かを判定する。例えば、車両の制動中において速度が所定速度以下である場合には、すり替える必要があると判定する。ブレーキECU16は、ステップS204において、その判定時にフロント液圧がリア液圧より大きいか否かを判定する。
ブレーキECU16は、回生制動力を液圧制動力にすり替える必要があり、かつ、その判定時(図19にて時刻t11)にフロント液圧がリア液圧より大きい場合には、ステップS206において、後輪(回生制動輪)側の差圧制御弁21に差圧を発生させる。これにより、回生制動力が減少する分だけリアのホイールシリンダ液圧を増圧させることでリア制動力を一定に保つことができる。このとき、リアの加圧勾配はフロントとリアの制動力配分が理想制動力配分となるように設定するのが好ましい。
また、このとき、後輪側に差圧を発生させるためにマスタシリンダ液圧が減圧するので、その減圧分を回生制動力の減少に応じて補填するため、ブレーキECU16は、ステップS208において、その分だけ前輪(非回生制動輪)側の差圧制御弁31に差圧を発生させて補正する。
上述した説明から明らかなように、本実施形態によれば、ブレーキECU16(制御液圧制御手段)は、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合にあって、非回生制動輪(前輪)のホイールシリンダ圧が回生制動輪(後輪)のホイールシリンダ圧より高い場合には、回生制動力を下げるとともに回生制動輪のホイールシリンダ圧を上げる。これにより、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合においても、理想制動力配分に近づけることができ、車両の制動時の安定性を確保することができる。
4)第4の実施形態
次に、上述した第2の実施形態において、低速時における回生制動力を液圧制動力にすり替える制御について図20のフローチャートおよび図21のタイムチャートを参照して説明する。
ブレーキECU16は、ステップS302において、回生制動力を液圧制動力にすり替える必要があるか否かを判定する。例えば、車両の制動中において速度が所定速度以下である場合には、すり替える必要があると判定する。ブレーキECU16は、ステップS304において、その判定時にフロント液圧とリア液圧とが等しいか否か、すなわち回生のみで制動しているか否かを判定する。
ブレーキECU16は、回生制動力を液圧制動力にすり替える必要があり、かつ、その判定時(図21にて時刻t21)にフロント液圧とリア液圧とが等しい場合には、ステップS306において、前輪(非回生制動輪)側の差圧制御弁31に差圧を発生させる。これにより、後輪側より先に前輪側を加圧することで、すり替え初期の段階にて理想制動力配分に近づけることができる。
ブレーキECU16は、ステップS308において、フロント液圧制動力が回生制動力と等しいか否かを判定する。ブレーキECU16は、フロント液圧制動力が回生制動力と等しいと判定した場合には(図21にて時刻t22)、ステップS310において、フロントとリアの増圧比率を計算し、ステップS312において、後輪(回生制動輪)側の差圧制御弁21に差圧を発生させる。これにより、フロントとリアの制動力配分が理想制動力配分となるようにすることができる。なお、急踏み時などは液量の少ないほうの液圧制動力を先にかけるようにしてもよい。この場合、応答性をアップさせることができる。
上述した説明から明らかなように、本実施形態によれば、ブレーキECU19(制御液圧制御手段)は、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合にあって、マスタシリンダ13の基礎液圧が発生しておらず、かつ非回生制動輪(前輪)のホイールシリンダ圧が回生制動輪(後輪)のホイールシリンダ圧と等しい場合には、非回生制動輪のホイールシリンダ圧を上げるとともに回生制動力を下げた後で回生制動輪のホイールシリンダ圧も上げる。これにより、回生を重視するシステム構成において、回生制動力を液圧制動力にすり替える場合においても、理想制動力配分に近づけることができ、車両の制動時の安定性を確保することができる。
また、上述した各実施形態から明らかなように、図22に示すように、制御STと回生実行値との関係で制動力配分が決定する。回生指示値が0から制御STまでの範囲内に設定される場合であって、回生実行値が0から制御ST×(1−α)までの範囲内である場合には、回生制動力は回生制動輪差圧のみで賄う。回生実行値が制御ST×(1−α)から制御STまでの範囲内である場合には、回生制動力は両輪差圧で賄う。回生制動輪差圧は0であるからである。回生実行値が制御STである場合には、両輪差圧は0である。
なお、上述した各実施形態においては、回生制動輪が後輪で、非回生制動輪が前輪であったが、この逆の場合でも本発明を適用することができる。
11…ブレーキペダル、12…真空式制動倍力装置、13,113…マスタシリンダ、13a…第1マスタ室、13b…第2マスタ室、113c…アイドルポート、113d…ピストン、14…リザーバタンク、15…ブレーキアクチュエータ、15a…第1ブレーキ液経路(回生制動輪用ブレーキ経路)、15b…第2ブレーキ液経路(非回生制動輪用ブレーキ経路)、16…ブレーキECU(制御液圧制御手段)、21…差圧制御弁(回生制動輪用差圧弁)、31…差圧制御弁(非回生制動輪用差圧弁)、22…左後輪液圧制御部、23…右後輪液圧制御部、24…第1減圧部、24a…ポンプ(回生制動輪用ポンプ)、24c…調圧リザーバ、32…左前輪液圧制御部(非回生制動輪用調圧部)、33…右前輪液圧制御部(非回生制動輪用調圧部)、34…第2減圧部、34a…ポンプ(非回生制動輪用ポンプ)、34c…調圧リザーバ、Wfl,Wfr,Wrl,Wrr…車輪、Sfl,Sfr,Srl,Srr…車輪速度センサ、WCfl,WCfr,WCrl,WCrr…ホイールシリンダ、WCfl,WCfr…非回生制動輪用ホイールシリンダ、WCrl,WCrr…回生制動輪用ホイールシリンダ。

Claims (10)

  1. 車両の前輪および後輪のうちいずれか一方に回生制動力を付与する回生制動部(A)と、前記車両の前輪および後輪のうち前記回生制動部により回生制動力が付与される回生制動輪および前記回生制動輪ではない非回生制動輪に液圧制動力を付与する液圧制動部(B)とを備えている制動装置において、
    前記液圧制動部は、
    第1マスタ室(13a)および第2マスタ室(13b)にブレーキ操作部材(11)の操作に応じた基礎液圧を発生させるマスタシリンダ(13)と、
    前記回生制動輪に設けられている回生制動輪用ホイールシリンダ(WCrl,WCrr)と、
    前記非回生制動輪に設けられている非回生制動輪用ホイールシリンダ(WCfl,WCfr)と、
    前記第1マスタ室と前記回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する回生制動輪用ブレーキ液経路(15a)と、
    前記第2マスタ室と前記非回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する非回生制動輪用ブレーキ液経路(15b)と、
    前記回生制動輪用ブレーキ液経路のうち前記第1マスタ室と前記回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、前記第1マスタ室側の液圧と前記回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する回生制動輪用差圧弁(21)と、
    前記非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち前記第2マスタ室と前記非回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、前記第2マスタ室側の液圧と前記非回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する非回生制動輪用差圧弁(31)と、
    前記第1マスタ室に吸入口が接続され、前記回生制動輪用ブレーキ液経路のうち前記回生制動輪用ホイールシリンダと前記回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている回生制動輪用ポンプ(24a)と、
    前記第2マスタ室に吸入口が接続され、前記非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち前記非回生制動輪用ホイールシリンダと前記非回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている非回生制動輪用ポンプ(34a)と、を有して構成され、
    前記回生制動輪用差圧弁および前記非回生制動輪用差圧弁を制御するとともに前記回生制動輪用ポンプおよび前記非回生制動輪用ポンプを駆動することで、前記回生制動輪用差圧弁の前後の間に形成される回生制動輪差圧および前記非回生制動輪用差圧弁の前後の間に形成される非回生制動輪差圧を個別に制御する制御液圧制御手段(16)を備え、
    前記制御液圧制御手段は、
    前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた第1の要求制御液圧制動力と、前記回生制動部により前記回生制動輪に実際に付与された回生実行値と、の関係に応じて、前記第1の要求制御液圧制動力を、前記回生制動輪差圧分に相当する制動力および前記非回生制動輪差圧分に相当する制動力に分配をし、
    前記制御液圧制御手段は、前記回生制動力を前記液圧制動力にすり替える場合にあって、前記非回生制動輪のホイールシリンダ圧が前記回生制動輪のホイールシリンダ圧より高い場合には、前記回生制動力を下げるとともに前記回生制動輪のホイールシリンダ圧を上げることを特徴とする制動装置。
  2. 前記制御液圧制御手段は、
    前記回生制動輪差圧分に相当する制動力を、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記回生制動輪が分担する制動力から、前記回生制動部により実際に付与された回生実行値を減算して導出する回生制動輪差圧分制動力導出手段と、
    前記回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が正の値である場合には、前記非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記非回生制動輪が分担する制動力として導出し、
    一方、前記回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が負の値である場合には、前記非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記非回生制動輪が分担する制動力から、前記回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力の絶対値を減算して導出する非回生制動輪差圧分制動力導出手段と、を備えていることを特徴とする請求項1の制動装置。
  3. 前記回生制動輪差圧分制動力導出手段は、前記液圧制動部によりマスタシリンダ圧に応じて付与される第2の要求制御液圧制動力のうち前記回生制動輪が分担する制動力をさらに加算するとともに、
    前記非回生制動輪差圧分制動力導出手段は、前記第2の要求制御液圧制動力のうち前記非回生制動輪が分担する制動力をさらに加算することを特徴とする請求項2の制動装置。
  4. 前記回生実行値が前記第1の要求制御液圧制動力と等しい場合には、前記制御液圧制御手段は、前記回生制動輪差圧および前記非回生制動輪差圧が0となるように前記分配をすることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項の制動装置。
  5. 前記回生実行値が、前記第1の要求制御液圧制動力より小さく、かつ、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記回生制動輪が分担する制動力より大きい場合には、前記制御液圧制御手段は、前記回生制動輪差圧が負の値となるとともに、前記非回生制動輪差圧が、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記非回生制動輪が分担する制動力から前記回生制動輪差圧の絶対値を減算した値となるように前記分配をすることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項の制動装置。
  6. 前記回生実行値が、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記回生制動輪が分担する制動力と等しい場合には、前記制御液圧制御手段は、前記回生制動輪差圧が0となるとともに、前記非回生制動輪差圧が前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記非回生制動輪が分担する制動力となるように前記分配をすることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項の制動装置。
  7. 前記回生実行値が、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記回生制動輪が分担する制動力より小さく、かつ、0以上である場合には、前記制御液圧制御手段は、前記回生制動輪差圧が前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記回生制動輪が分担する制動力となるとともに、前記非回生制動輪差圧が前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記非回生制動輪が分担する制動力となるように前記分配をすることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項の制動装置。
  8. 車両の前輪および後輪のうちいずれか一方に回生制動力を付与する回生制動部(A)と、前記車両の前輪および後輪のうち前記回生制動部により回生制動力が付与される回生制動輪および前記回生制動輪ではない非回生制動輪に液圧制動力を付与する液圧制動部(B)とを備えている制動装置において、
    前記液圧制動部は、
    第1マスタ室(13a)および第2マスタ室(13b)にブレーキ操作部材(11)の操作に応じた基礎液圧を発生させるマスタシリンダ(13)と、
    前記回生制動輪に設けられている回生制動輪用ホイールシリンダ(WCrl,WCrr)と、
    前記非回生制動輪に設けられている非回生制動輪用ホイールシリンダ(WCfl,WCfr)と、
    前記第1マスタ室と前記回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する回生制動輪用ブレーキ液経路(15a)と、
    前記第2マスタ室と前記非回生制動輪用ホイールシリンダとを接続する非回生制動輪用ブレーキ液経路(15b)と、
    前記回生制動輪用ブレーキ液経路のうち前記第1マスタ室と前記回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、前記第1マスタ室側の液圧と前記回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する回生制動輪用差圧弁(21)と、
    前記非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち前記第2マスタ室と前記非回生制動輪用ホイールシリンダとの間の部分に設けられ、前記第2マスタ室側の液圧と前記非回生制動輪用ホイールシリンダ側の液圧との差圧を調整する非回生制動輪用差圧弁(31)と、
    前記第1マスタ室に吸入口が接続され、前記回生制動輪用ブレーキ液経路のうち前記回生制動輪用ホイールシリンダと前記回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている回生制動輪用ポンプ(24a)と、
    前記第2マスタ室に吸入口が接続され、前記非回生制動輪用ブレーキ液経路のうち前記非回生制動輪用ホイールシリンダと前記非回生制動輪用差圧弁との間の部分に吐出口が接続されている非回生制動輪用ポンプ(34a)と、を有して構成され、
    前記回生制動輪用差圧弁および前記非回生制動輪用差圧弁を制御するとともに前記回生制動輪用ポンプおよび前記非回生制動輪用ポンプを駆動することで、前記回生制動輪用差圧弁の前後の間に形成される回生制動輪差圧および前記非回生制動輪用差圧弁の前後の間に形成される非回生制動輪差圧を個別に制御する制御液圧制御手段(16)を備え、
    前記制御液圧制御手段は、
    前記ブレーキ操作部材の操作量に応じた第1の要求制御液圧制動力と、前記回生制動部により前記回生制動輪に実際に付与された回生実行値と、の関係に応じて、前記第1の要求制御液圧制動力を、前記回生制動輪差圧分に相当する制動力および前記非回生制動輪差圧分に相当する制動力に分配をし、
    前記回生実行値が前記第1の要求制御液圧制動力と等しい場合には、前記制御液圧制御手段は、前記回生制動輪差圧および前記非回生制動輪差圧が0となるように前記分配をし、
    前記マスタシリンダは、ピストンが初期位置から所定距離はなれた位置に到達しなければ前記基礎液圧が発生しないアイドルポートを備え、
    前記ピストンが前記アイドルポートを塞ぐまでの間において、前記マスタシリンダにより発生される前記基礎液圧が0である場合、前記回生制動輪には前記回生実行値が優先的に付与されるとともに、前記非回生制動輪には制動力が発生されず、
    前記制御液圧制御手段は、前記回生制動力を液圧制動力にすり替える場合にあって、前記マスタシリンダの前記基礎液圧が発生しておらず、かつ前記非回生制動輪のホイールシリンダ圧が前記回生制動輪のホイールシリンダ圧と等しい場合には、前記非回生制動輪のホイールシリンダ圧を上げるとともに前記回生制動力を下げた後で前記回生制動輪のホイールシリンダ圧も上げることを特徴とする制動装置。
  9. 前記制御液圧制御手段は、
    前記回生制動輪差圧分に相当する制動力を、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記回生制動輪が分担する制動力から、前記回生制動部により実際に付与された回生実行値を減算して導出する回生制動輪差圧分制動力導出手段と、
    前記回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が正の値である場合には、前記非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記非回生制動輪が分担する制動力として導出し、
    一方、前記回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力が負の値である場合には、前記非回生制動輪差圧分に相当する制動力を、前記第1の要求制御液圧制動力のうち前記非回生制動輪が分担する制動力から、前記回生制動輪差圧分制動力導出手段によって導出された回生制動輪差圧分制動力の絶対値を減算して導出する非回生制動輪差圧分制動力導出手段と、を備えていることを特徴とする請求項8の制動装置。
  10. 前記回生制動輪差圧分制動力導出手段は、前記液圧制動部によりマスタシリンダ圧に応じて付与される第2の要求制御液圧制動力のうち前記回生制動輪が分担する制動力をさらに加算するとともに、
    前記非回生制動輪差圧分制動力導出手段は、前記第2の要求制御液圧制動力のうち前記非回生制動輪が分担する制動力をさらに加算することを特徴とする請求項9の制動装置。
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