JP5120382B2 - 双ベルト式鋳造機及び連続スラブ鋳造方法 - Google Patents
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Description
具体的には、双ベルト式鋳造機1は、エンドレスベルト2を備えて上下に対峙する一対の回転ベルト部3,3と、この一対の回転ベルト部3,3の間に形成されるキャビティー4と、回転ベルト部3の内部に設けられた図示しない冷却手段と、を備えている。下側の回転ベルト部3に係る下側エンドレスベルト2aは、薄い金属板からなり、離間して配置された駆動ローラ5aとサポートローラ6aとに掛け回されている。一方、上側の回転ベルト部3に係る上側エンドレスベルト2bは、薄い金属板からなり、離間して配置された駆動ローラ5bとサポートローラ6bとに掛け回されている。駆動ローラ5aを、時計回りに回転させるとともに、駆動ローラ5bを、反時計回りに回転させると、スラブSが鋳造方向の下流側に連続的に押し出されるようになる。
文献2.国際公開第2007/104156号パンフレット
この波打ち現象の原因の一つとして、上下に相対峙する一対の下側エンドレスベルト2aと、上側エンドレスベルト2b間におけるスラブ冷却の不均衡が考えられる。即ち、図17の(b)に示すように、インゴットSは、キャビティー4の上流側においては、インゴットSの上面及び下面ともそれぞれ下側エンドレスベルト2a及び上側エンドレスベルト2bと接触しているが、下流側に向かうにつれて凝固収縮が発生するため板厚が減少する。図17の(b)に示す従来例においては、キャビティー4の下流側において、インゴットSの上面と、上側エンドレスベルト2bとが距離Kbだけ離間している。これにより、インゴットSの下面と下側エンドレスベルト2aとの距離と、インゴットSの上面と上側エンドレスベルト2bとの距離とが不均衡となり、スラブ冷却の不均衡を招来する。
2 エンドレスベルト
2a 下側エンドレスベルト
2b 上側エンドレスベルト
3 回転ベルト部
4 キャビティー
5a 駆動ローラ
5b 駆動ローラ
6a サポートローラ
6b サポートローラ
7 インジェクター
10 冷却手段
11 昇降手段(距離調節手段)
12 水供給用ノズル
13 冷却タンク
14 水供給管
14b 水供給管
21 貫通孔
24 係合部
31 弾性部材
32 スライド棒
32b 凸部
62 シリンダ
63 ピストン
63a 中空部
64 ピストンロッド
81 Oリング
82 送りねじ
90 電磁石(距離調節手段)
L 離間部分
S スラブ(インゴット)
Q 筐体
第一実施形態に係る連続スラブ鋳造方法は、図1に示すように、下側エンドレスベルト2aの一部を下方(下側エンドレスベルト2aの内側方向)に移動させたことを特徴とする。図1は、第一実施形態に係る連続スラブ鋳造方法を示したキャビティーの下流側の拡大図である。なお、図面において、上下方向、鋳造方向上流側及び下流側は、図1の矢印にしたがう。
第二実施形態に係る連続スラブ鋳造方法は、図2に示すように、上側エンドレスベルト2bの一部を上方(上側エンドレスベルト2bの内側方向)に移動させた点で第一実施形態と相違する。図2は、第二実施形態に係る連続スラブ鋳造方法を示したキャビティーの下流側の拡大図であって、(a)は、通常時、(b)は、上昇時を示す。
次に、本発明の第三実施形態に係る双ベルト式鋳造機1の構成について詳細に説明する。図3は、第三実施形態に係る双ベルト式鋳造機を示した側面図である。図4は、第三実施形態に係る冷却手段を示した平面図である。図5は、第三実施形態に係る水供給用ノズルを示した斜視図である。図6は、第三実施形態に係る昇降手段を示した図であって、(a)は、上昇時、(b)は、下降時を示す。図7は、第三実施形態に係るスライド棒の一方の端部側を示した正面図である。図8は、第三実施形態に係るキャビティーの下流側において、エンドレスベルトの離間状態を示した側面図である。
より詳しくは、双ベルト式鋳造機1は、エンドレスベルト2を備えて上下に対峙する一対の回転ベルト部3,3と、この一対の回転ベルト部3,3の間に形成されるキャビティー4と、回転ベルト部3の内部に設けられた冷却手段10及び距離調節手段である昇降手段11とを主に備えている。
一方、上側の回転ベルト部3に係る上側エンドレスベルト2bは、薄い金属板からなり離間して配置された駆動ローラ5bとサポートローラ6bとに掛け回されている。駆動ローラ5aを、時計回りに回転させるとともに、駆動ローラ5bを、反時計回りに回転させると、スラブSが鋳造方向の下流側に連続的に押し出されるようになる。
ここで、複数の水供給用ノズル12の幅方向における並びを「列」とする。本実施形態では、複数の水供給用ノズル12からなる列を幅方向に互い違いに配置して、例えば17列(図4においては9列)配置している。複数の水供給用ノズル12からなるノズルの列を何列設けるかは、キャビティー4の長さに応じて適宜設定すればよい。
昇降手段11は、図6に示すように、スライド棒32のスライド移動によって水供給用ノズル12を下方(下側エンドレスベルト2aの内側方向)へ押し下げる。即ち、通常の状態では、図6の(a)に示すように、スライド棒32の凸部32bは、隣り合う水供給用ノズル12,12の間に配置されている。
本実施形態においては、上側の冷却手段10と下側の冷却手段10の冷却温度は、略同等に設定しており、インゴットSの凝固収縮によって、インゴットSの板厚が減少し、インゴットSの上面と上側エンドレスベルト2bの間に距離Kbの隙間が形成される。したがって、本実施形態においては、離間部分Lにおいて、下側エンドレスベルト2aのみを下降させればよい。ちなみに、インゴットSの板厚の減少率は、約1.5〜2.0%程度である。
インゴットSの上面と上側エンドレスベルト2bとが離間する離間部分Lは、本実施形態においては、インゴットSが凝固収縮により板厚が減少し始める開始位置L1から最も下流側に配置された水供給用ノズル12の終端L2までに設定する。
また、スラブSの歪みを解消することができるため、その歪みによる振動がメニスカス部分にまで伝播する可能性が低くなり、表面欠陥の発生を防止することができる。また、双ベルト式鋳造機1の下流側に設置されるスキンパス圧延機、巻き取り機等を好適に行うことができる。
次に、図9を用いて上側エンドレスベルトを昇降させる第四実施形態について説明する。図9は、第四実施形態に係るキャビティーの下流側において、エンドレスベルトの離間状態を示した側面図である。
第三実施形態においては、上側の冷却手段10と下側の冷却手段10の冷却温度は、略同等に設定したが、第四実施形態においては、上側の冷却手段10の冷却温度を下げる点で第三実施形態と相違する。このような場合には、図2に示すように、インゴットSの下面と下側エンドレスベルト2aの間に距離Kaで隙間が形成される。
図10は、昇降手段の第一変形例を示した側断面図であって、(a)は、ノズル上昇時、(b)は、ノズル下降時を示す。図11は、昇降手段の第一変形例を示した正面図である。
第一変形例に示す昇降手段40は、ピストン機構を備えたことを特徴とする。即ち、昇降手段40は、隣接する複数の水供給用ノズル12に亘って取り付けられる連結棒41と、この連結棒41の下方に設けられたシリンダ42と、このシリンダ42内を摺動するピストン43と、ピストン43と連結棒41とを連結するピストンロッド44とを備えている。昇降手段40は、シリンダ42の底面にスペースをあけて冷却タンクの上基板13aの上面に載置されている。
なお、第一圧縮室46及び第二圧縮室47に付与する圧力は、油圧、空気圧、水圧等の種別を問うものではない。また、昇降手段40は、図示しない制御装置に接続し、離間部分L(図8参照)に応じて適宜該当する連結棒41が昇降するように形成するのが好ましい。
図12は、昇降手段の第二変形例を示した側断面図であって、(a)は、ノズル上昇時、(b)は、ノズル下降時を示す。第二変形例に係る昇降手段50は、第二圧縮室47に伸縮部材51を設置した点で、第一変形例と相違する。即ち、伸縮部材51は、例えばコイルスプリングからなり、その上端がピストン43の下面に当接され、下端がシリンダ42の底部に当接されており、上方に向けて付勢して形成されている。伸縮部材51は、本実施形態においてはコイルスプリングを用いたが、他の伸縮部材を用いてもよい。昇降手段50は、伸縮部材51以外の構成は、第一変形例と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
図13は、昇降手段の第三変形例を示した側断面図であって、(a)は、ノズル上昇時、(b)は、ノズル下降時を示す。第三変形例に示す昇降手段60は、ピストン機構を冷却タンク13の内部に設置し、ピストンロッド64を介して冷却水を供給することを特徴とする。
また、ピストン63の内部には、鉛直方向に連続する中空部63aが形成されている。中空部63aの下部には、冷却タンク13から流入する冷却水を中空部63aに導く第一連通部63b及び第二連通部63cが形成されている。第一連通部63bは、シリンダ62の内周面とピストン63の外周面との間に形成された環状の空間であり、シリンダ62の内側面に沿って上下方向に延設されている。第一連通部63bは、ピストン63が上下に摺動したとしても、第一連通部63bの一部が孔62aと常に連通するように形成されている。第二連通部63cは、中空部63aと第一連通部63bとを連結する空間部分である。
図14は、昇降手段の第四変形例を示した側断面図であって、(a)は、ノズル上昇時、(b)は、ノズル下降時を示す。第四変形例に係る昇降手段70は、第二圧縮室67に伸縮部材69を設置した点で、第三変形例と相違する。即ち、伸縮部材69は、例えばコイルスプリングからなり、上端がピストン63の下面に当接され、下端がシリンダ62の底部に当接されており、上方に向けて付勢して形成されている。伸縮部材69は、本実施形態においてはコイルスプリングを用いたが、他の伸縮部材を用いてもよい。昇降手段70は、伸縮部材69以外の構成は、第三変形例と略同等であるため、詳細な説明は省略する。
次に、図15及び図16を用いて、距離調節手段に電磁力を用いた第五実施形態について説明する。
第三実施形態及び第四実施形態においては、距離調節手段として昇降手段11を用いて下側エンドレスベルト2a又は上側エンドレスベルト2bを昇降させたが、第五実施形態のように、電磁力を用いてもよい。
例えば、冷却手段の冷却媒体は本実施形態においては、液体(水)を用いたが、他の液体であってもよいし、気体等であってもよい。また、スライド棒のスライド移動においては、送りねじを用いたが、水供給用ノズルが横方向に移動するものあれば他の機構であっても構わない。
また、当然に、温度調節手段と、距離調節手段とを併用してスラブ冷却の不均衡の解消を図ってもよい。
しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、スラブの幅方向に配置された複数のノズルの一部を、他のノズルよりも相対的に昇降させてもよい。かかる構成によればスラブの幅方向において、下側のエンドレスベルトとスラブの下面の距離と、上側のエンドレスベルトとスラブの上面の距離との不均衡が生じていたとしても、下側のエンドレスベルトとスラブの下面の距離と、上側のエンドレスベルトとスラブの上面の距離とを調節することができるため、スラブ冷却の不均衡を解消することができる。
また、前記した第三変形例及び第四変形例の場合は、図13及び図14を参照するように、スラブの幅方向に配置された複数の昇降手段60,70のうち、これらの昇降手段60,70の一部を可動させることで、同様の効果を得ることができる。
Claims (10)
- エンドレスベルトを備え上下に対峙する一対の回転ベルト部と、この一対の前記回転ベルト部の間に形成されるキャビティーと、前記回転ベルト部の内部に設けられた冷却手段とを備え、前記キャビティー内に金属溶湯が供給されて連続的にスラブを鋳造する双ベルト式鋳造機であって、
上下に対峙する一対の前記回転ベルト部の少なくとも一方の内部に、前記スラブと前記エンドレスベルトとが離間する部分に応じて、前記エンドレスベルトを前記スラブから離間又は近接させる距離調節手段を備え、
前記冷却手段は、筐体内に設置されるとともに、前記エンドレスベルトを内側から支持する支持部を備えた複数のノズルを有し、
前記距離調節手段は、前記ノズルを昇降させる昇降手段を有し、
前記ノズルの前記支持部には、前記エンドレスベルトに開口して前記冷却媒体が流出される貫通孔が形成されていることを特徴とする双ベルト式鋳造機。 - 前記昇降手段は、前記ノズルの一端側に設けられたシリンダと、このシリンダ内を摺動するピストンと、このピストンと前記ノズルとを連結するピストンロッドとを備え、圧力を利用して前記ノズルを昇降させることを特徴とする請求項1に記載の双ベルト式鋳造機。
- 前記ピストンロッドは、その内部に中空部を備え、前記ノズルに前記冷却媒体を供給することを特徴とする請求項2に記載の双ベルト式鋳造機。
- 前記昇降手段は、複数の前記ノズルに亘って取り付けられる連結棒と、前記連結棒の近傍に設けられたシリンダと、このシリンダ内を摺動するピストンと、このピストンと前記連結棒とを連結するピストンロッドとを備え、圧力を利用して前記ノズルを昇降させることを特徴とする請求項1に記載の双ベルト式鋳造機。
- 前記昇降手段は、前記ノズルの内部に設置されこのノズルを前記エンドレスベルト側に付勢する弾性部材と、複数の前記ノズルの近傍に亘って配置されるスライド棒と、前記ノズルに形成された係合部とを有し、
前記スライド棒が前記ノズルに対して横方向に相対的にスライド移動することにより、前記スライド棒の長手方向に亘って所定の間隔で突出する凸部と、この凸部に対応する前記係合部とが係合して、前記ノズルが下降することを特徴とする請求項1に記載の双ベルト式鋳造機。 - 前記スライド棒は、送りねじによってスライド移動されることを特徴とする請求項5に記載の双ベルト式鋳造機。
- 前記筐体の外壁に前記スライド棒を通す挿通孔を設け、前記挿通孔と前記スライド棒との隙間にOリングを設けることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の双ベルト式鋳造機。
- 前記距離調節手段は、前記スラブの幅方向において、前記エンドレスベルトの一部を前記スラブから離間又は近接させることを特徴とする請求項1に記載の双ベルト式鋳造機。
- 一対のエンドレスベルトを上下に対峙させて形成されたキャビティー内に、金属溶湯を供給して連続的にスラブを鋳造する連続スラブ鋳造方法であって、
前記エンドレスベルトを内側から支持する支持部を備えるとともに前記エンドレスベルトに開口して冷却媒体が流出される貫通孔を備えた複数のノズルを、前記スラブと前記エンドレスベルトとが離間する部分に応じて昇降させることにより、一対の前記エンドレスベルトの少なくとも一方を前記スラブから離間又は近接させることを特徴とする連続スラブ鋳造方法。 - 鋳造中に有効キャビティー長を調節しながら前記スラブを鋳造することを特徴とする請求項9に記載の連続スラブ鋳造方法。
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