JP5191083B2 - 長期のブルームが抑制された可塑性油脂組成物 - Google Patents
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そのため、チョコレート等の油脂性菓子や、バタークリーム、シュガークリーム、ディップクリーム等のクリーム状食品等の油脂を多く含有する食品に、この対称型トリグリセリドを多く配合することで、それらの食品の口溶けを極めてシャープなものにすることができる。
特に、2−オレオ−1,3−ステアリルグリセリド(以下、StOStグリセリドと言う)、2−オレオ−1,3−ジパルミトグリセリド(以下、POPグリセリドと言う)、2−オレオ−1,3−パルミトステアリルグリセリド(以下、POSグリセリドと言う)等の炭素数16〜18の脂肪酸からなるトリグリセリド(以下、SUS型トリグリセリドと言う)は、結晶性が高く、ブルームを起こしやすい。
ただし、上記S及びUは、それぞれ下記の脂肪酸を示す。
S:炭素数16〜18の飽和脂肪酸
U:炭素数16〜18のシス型モノエンの不飽和脂肪酸
本発明の油脂組成物は、油相中に、SUS型トリグリセリドを15〜80質量%(油相基準)、好ましくは20〜70質量%(油相基準)、より好ましくは20〜50質量%(油相基準)含有する。
油相中のSUS型トリグリセリドが、15質量%未満であると、シャープな口溶けを有する油脂組成物が得られず、80質量%を超えると、ブルーム発生防止が困難である。
これは、SUS型トリグリセリドの中でも、POPグリセリドが、最も結晶性が低く、且つ、融点が低いためと考えられる。
そのため、SUS型トリグリセリド中のPOPグリセリドの割合が40質量%未満であると、結晶化抑制作用が十分に発揮されず、油脂組成物及び該油脂組成物を使用した食品に比較的短期間にブルームが発生してしまうおそれがあり、また、口溶けがシャープなものでなくなるおそれもある。
尚、SUS型トリグリセリド中のPOPグリセリドの割合の上限は、好ましくは90質量%である。
両者の比率がこの範囲外であると、長期保管時のブルーム耐性が得られない。
また、上記ショ糖脂肪酸エステルのHLBは、2以下であることが好ましい。尚、上記ショ糖脂肪酸エステルのHLBの下限は、好ましくは0である。
また、本発明の油脂組成物において、上記ショ糖脂肪酸エステルの含有量は、油相基準で0.05〜0.5質量%であることが好ましい。
また、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、4以下であることが好ましい。尚、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBの下限は、好ましくは2である。
また、本発明の油脂組成物において、上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は、油相基準で0.05〜0.5質量%であることが好ましい。
0.1質量%未満であると、保管状況によっては長期保管時のブルーム耐性が得られないおそれがあり、1質量%を超えると油脂組成物の口溶けが悪化するおそれがある。
上記その他の乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、HLBが3を超えるショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、HLBが5を超えるポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等が挙げられる。
上記その他の乳化剤の配合量は好ましくは0〜1質量%、より好ましくは0〜0.2質量%である。
すなわち、本発明の油脂組成物における水相含量は、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10%未満である。
先ず、上記SUS型トリグリセリドを15〜80%(油相基準)含有し、且つ、HLBが3以下のショ糖脂肪酸エステルと、HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとを、1:9〜9:1の質量比率で含有する油相を溶解し、必要により水相を混合乳化する。そして、次に殺菌処理するのが望ましい。殺菌方法は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続式でも構わない。
本発明の油脂組成物は、製菓・製パン・冷菓・惣菜等の練込用、カレールウ用、フライ用、スプレー用、コーティング用、サンド用、トッピング用、クリーム状食品用、油脂性菓子用等に広く使用可能であるが、なかでも、口溶けが良好であること、高いブルーム耐性を有すること、及び長期保存が可能であることが必要とされる用途、例えば、ノーテンパーチョコ、チョコクリーム、チョコチップ、冷菓用チョコレート等の油脂性菓子用、あるいは、ディップクリーム、シュガークリーム、バタークリーム、焼き残りクリーム等のクリーム状食品練込用に、特に好適に使用することができる。
油脂性菓子における本発明の油脂組成物の使用量は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。
クリーム状食品における本発明の油脂組成物の使用量は、好ましくは5〜80質量%、より好ましくは30〜70質量%である。
以下に示す油脂及び乳化剤を用い下記〔表1〕に示す配合に従って調製した油相を、溶解、急冷練り合わせした後、25℃で24時間テンパリングし、油脂組成物(ショートニング)を得た。得られたショートニングのSUS型トリグリセリド含量、POPグリセリド含量、及びPOPグリセリド含量/SUS型トリグリセリド含量を〔表2〕に記した。
(油脂及び乳化剤)
パーム油:SUS型トリグリセリド含量=32質量%、POPグリセリド含量=28質量%、SUS型トリグリセリドに占めるPOPグリセリドの割合=87質量%
パーム中部油:SUS型トリグリセリド含量=73質量%、POPグリセリド含量=60質量%、SUS型トリグリセリドに占めるPOPグリセリドの割合=83質量%
カカオ脂:SUS型トリグリセリド含量=85質量%、POPグリセリド含量=17質量%、SUS型トリグリセリドに占めるPOPグリセリドの割合=21質量%
ショ糖脂肪酸エステル:HLB=1
ポリグリセリン脂肪酸エステル:HLB=4
実施例1〜7及び比較例1〜9それぞれで得られた油脂組成物について、製造直後に口溶け評価を行ない、且つ20℃にて保存試験を行った。口溶けは、下記評価基準に従って4段階で評価した。保存試験においては、0.5ヶ月後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後及び12ヶ月後に、油脂組成物の表面状態(ブルーム)について、下記評価基準に従って4段階で評価した。それらの結果を表3に示した。
(評価基準)
・口溶け
◎:極めて良好である。
○:良好である。
△:ワキシー感を感じ、やや悪い。
×:ワキシーであり、極めて悪い。
・ブルーム
◎:ブルームの発生が見られず、艶があり良好な表面状態である。
○:ブルームの発生は見られないが、やや艶がない表面状態である。
△:若干のブルームが発生し、ややざらついた表面状態である。
×:ブルームが発生し、白色化し、ざらついた表面状態である。
ショ糖脂肪酸エステルのみを使用した比較例2、3、8の油脂組成物は、1〜3ヶ月目にはブルームが発生してしまった。また、ブルーム発生を抑制するためにショ糖脂肪酸エステルの添加量を1.5質量%まで増やした比較例4の油脂組成物は、ブルーム耐性は向上するものの、口溶けが悪化してしまった。
ポリグリセリン脂肪酸エステルのみを使用した比較例5、6、9の油脂組成物は、ショ糖脂肪酸エステルのみを使用した油脂組成物に比べ、ブルーム耐性は向上したものの、3〜6ヶ月後にはブルームが発生してしまった。また、ブルーム発生を抑制するためにポリグリセリン脂肪酸エステルの添加量を1.5質量%まで増やした比較例7の油脂組成物は、ブルーム耐性は向上するものの、口溶けが悪化してしまった。
これに対し、実施例1〜7で得られた油脂組成物は、口溶けが良好で且つ12ヶ月後でもブルームの発生が見られなかった。特に、SUS型トリグリセリド中のPOPグリセリドが少ない実施例7の油脂組成物よりも、SUS型トリグリセリド中のPOPグリセリドの多い実施例1〜6の油脂組成物は、より良好なブルーム耐性を有していた。
Claims (3)
- 油相中に、SUS型トリグリセリドを15〜80質量%(油相基準)含有し、且つ、HLBが3以下のショ糖脂肪酸エステルと、HLBが5以下のポリグリセリン脂肪酸エステルとを、1:9〜9:1の質量比率(前者:後者)で、且つ、合計して0.2〜0.4質量%(油相基準)含有し、その他の乳化剤の合計量が0〜0.2質量%であることを特徴とする長期のブルームが抑制された可塑性油脂組成物。
ただし、上記S及びUは、それぞれ下記の脂肪酸を示す。
S:炭素数16〜18の飽和脂肪酸
U:炭素数16〜18のシス型モノエンの不飽和脂肪酸 - 上記SUS型トリグリセリド中の2−オレオ−1,3−ジパルミトグリセリドの割合が、40質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の油脂組成物。
- 上記2−オレオ−1,3−ジパルミトグリセリドが、パーム油及び/又はパーム分別油由来であることを特徴とする請求項1又は2記載の油脂組成物。
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