JP5185323B2 - 炭素−炭素二重結合を含む炭化水素の脱ハロゲンに用いるアルミナの再生方法 - Google Patents
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Description
なお、アルコールを錯化剤とする三フッ化ホウ素錯体触媒を例に取り説明したが、塩化アルミニウムまたはその錯体触媒によりイソブテンやブタジエンラフィネートを重合する場合も塩素が残留することがあり、同様の問題がある。
しかしながら、たとえば前記米国特許明細書の記載に従って得た、末端ビニリデン構造を高い割合で含有し、かつフッ素として数十〜数百ppmの有機フッ素を不純物として含有しているブテンポリマーをアルミナと接触させると、処理の進行とともに副反応である次の式〔1〕に示す末端ビニリデン構造の異性化反応が顕著になり、結局長期運転の場合にはアルミナ処理により末端ビニリデン構造の含有率が低下することが判明した。
CH3(CH3)2C[CH2(CH3)2C]nCH2C(CH3)=CH2
→
CH3(CH3)2C[CH2(CH3)2C]nCH=C(CH3)2
・・・・・・〔1〕
別途製造したフッ素化合物を含まないブテンポリマーを同様にアルミナで処理する場合には、上記式〔1〕の異性化反応はさほど著しくないところから、この末端ビニリデン構造の含有率が低下する現象は、アルミナ自体が異性化反応促進効果を有するとして説明することはできない。
すなわち、上記残りの未反応C4留分は、一般にそのまま燃料として燃焼するか、または高密度ポリエチレンの密度調整のためのコモノマーとして有用な1−ブテンを分離除去した後に同じく燃料として使用するため、同様に未反応C4留分中に混入する残留フッ素濃度が問題になる。この場合にもやはり、アルミナ含有無機物による脱フッ素が有効かつ経済的であるが、アルミナ処理により前記式〔1〕と同様に1−ブテンの異性化が生じ得る。特に未反応C4留分を1−ブテンの供給源として供する場合には、1−ブテンから2−ブテンへの異性化を抑制することが重要な課題となる。
すなわち、アルミナに固定されたフッ素原子はアルミナ上で新たな強いルイス酸点を形成すると推測され、この新規に形成された強ルイス酸点が、脱フッ素のための接触処理に際して非共役炭素−炭素二重結合の異性化反応を促進すると考えられる。このような異性化能は、脱フッ素処理によって除去したフッ素、すなわちアルミナとの接触処理によりアルミナに固定されたフッ素の総量に応じて増大する。
しかしながら、上記公報に提案されているアルカリ金属またはアルカリ土類金属を添加する方法では、フッ素に代表されるハロゲンを除去する能力の点ではむしろ低下することが認められるため好ましくないのみならず、さらに重大な欠点が存在する。
このように、前記特公平6−28725号公報に提案されている、あらかじめアルカリ金属等を含浸させたアルミナの場合には、フッ素除去が不十分であるとともに、たとえ除去が可能であっても寿命が格段に短いという致命的な問題を有している。
本発明が目的とするアルミナの異性化能の抑制は、脱フッ素処理により新たに形成される強いルイス酸点を選択的に中和し、それにより異性化能を弱体化あるいは無害化することによるものである。
さらに他の課題は、脱フッ素処理により異性化能が増大してもなお脱フッ素能を有するアルミナについて、増大した異性化能を選択的に低下させ再度接触処理に用いる方法を提供することにある。
本発明者らは、有機塩基性物質を用いて新たに生成するルイス酸点を逐次選択的に中和等により無害化し、異性化能を実質的に無害化して異性化能の増大を防ぐことにより上記の課題を解決した。
さらに、本発明において、処理剤が組成式Al2O3で表わされる成分を含む無機固体処理剤である、微量のハロゲンを除去する方法に関する。
また、本発明において、無機固体処理剤がアルミナである、微量のハロゲンを除去する方法に関する。
また、本発明において、ハロゲン化合物がフッ素化合物である、微量のハロゲンを除去する方法に関する。
また本発明において、有機塩基性物質がアンモニアまたは有機アミン類である、微量のハロゲンを除去する方法に関する。
また本発明において、処理剤と有機化合物との接触温度が0℃以上350℃以下、好ましくは20℃以上300℃以下である、微量のハロゲンを除去する方法に関する。
また本発明において、微量のハロゲン化合物を含み、かつ1分子中に1個以上の非共役炭素−炭素二重結合を有する有機化合物を、アルミニウム原子を含有する処理剤に連続的に接触させてハロゲン除去を行うに際し、有機化合物中に、有機化合物の前記炭素−炭素二重結合の異性化を抑制するために十分な量の有機塩基性物質を連続的にまたは断続的に供給することを特徴とする前記微量のハロゲンを除去する方法に関するものである。
また、含ハロゲン触媒によりイソブテンを重合してなる末端ビニリデン含有率の高いブテンポリマーを、アルミニウム原子を含有する処理剤に連続的に接触させてハロゲン除去を行うに際し、ブテンポリマー中に、末端ビニリデン基の異性化を抑制するために十分な量の有機塩基性物質を連続的または断続的に供給することを特徴とする、微量のハロゲンを除去する方法に関するものである。
さらに本発明において、イソブテンが、50重量%未満の1−ブテン、50重量%未満の2−ブテン、100重量%未満のイソブテン、50重量%未満のブタン類、および10重量%未満のブタジエンからなるC4供給原料である、微量のハロゲンを除去する方法に関する。
さらに、処理後のブテンポリマー中の残留フッ素含有量が40ppm未満であるブテンポリマーを製造する方法に関する。
また、処理後のブテンポリマーの末端ビニリデン基の含有率が、処理前の含有率の70%以上を維持している、ブテンポリマーを製造する方法に関する。
本発明は、微量のハロゲン化合物を含むモノオレフィンを、アルミニウム原子を含む処理剤と連続的に接触させてハロゲン除去を行うに際し、モノオレフィン中に、モノオレフィンの炭素−炭素二重結合の異性化を抑制するために十分な量の有機塩基化合物を連続的または断続的に供給することを特徴とする微量のハロゲンを除去する方法に関するものである。
本発明は、微量のハロゲン化合物を含むモノオレフィンが、含ハロゲン系触媒による接触作用を受けたモノオレフィンである、微量のハロゲンを除去する方法に関する。
本発明は、含ハロゲン系触媒による接触作用を受けたモノオレフィンが、含ハロゲン系触媒を用いてC4供給原料からブテンポリマーを製造した残りの未反応C4留分である、微量のハロゲンを除去する方法に関する。
本発明は、処理剤が組成式Al2O3で表わされる成分を含む無機固体処理剤である、アルミニウムを含む処理剤の再生方法に関する。
本発明は、無機固体処理剤がアルミナである、アルミニウムを含む処理剤の再生方法に関する。
本発明において処理の対象とする有機化合物は、1分子あたり1個以上の異性化し得る非共役炭素−炭素二重結合を有し、かつアルミナに吸着し得る不純物として微量のハロゲン化合物、たとえばフッ素化合物、塩素化合物等を含有するものである。アルミナに対して不活性であれば、上記有機化合物は、分子中に酸素やリンなどのヘテロ原子や、芳香族環などの各種官能基を有することができる。
またその分子量も特に限定されず、低分子量側はC4オレフィン、たとえばブテン以上であり、高分子量側はダイマーなどのオリゴマー領域からポリマーまでを含むことができる。具体的には分子量数十万程度までの有機化合物を用いることができる。
上記有機化合物は、非共役炭素−炭素二重結合を有するが、芳香族環二重結合や共役二重結合も処理に影響を及ぼさない限り含むことができる。また、非共役炭素−炭素二重結合は、異性化し得るものである限り、1分子中に2個以上含まれていてもよい。
原料のオレフィン性化合物が液体であり、しかもその粘度が高い場合は、アルミナ等のアルミニウム原子を含む処理剤との接触効率を高めるため、不活性な溶媒で希釈することが好ましい。このような不活性な溶媒としては、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤が例として挙げられる。また粘度が適当な限り、後に述べるライトポリマーを用いることもできる。
フッ素化合物の場合には、無機フッ素化合物、有機フッ素化合物またはこれらの混合物があり、たとえば、フッ化水素、三フッ化ホウ素、四フッ化珪素などの無機フッ素化合物や、2−フルオロ−2,4,4−トリメチルペンタンなどの有機フッ素化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
またハロゲンが塩素である場合には,無機塩素化合物、有機塩素化合物またはこれらの混合物があり、たとえば、塩化水素、塩化アルミニウム等の無機塩素化合物や、2−クロロ−2,4,4−トリメチルペンタンなどの有機塩素化合物が挙げられる。
さらに高分子量のフッ化炭化水素、たとえばフッ素系触媒を用いてオレフィンを重合した際に副生する、分子量としてはモノマーまたはダイマー以上に相当するフッ化炭化水素などであってもよい。これらのハロゲン化合物、たとえばフッ素化合物の含有量は通常微量であり、また沸点等も上記有機化合物の沸点と近接しているために、蒸留等の通常の分離手段では分離除去が困難である。
さらに、上記C4留分を重合した後の未反応C4留分も、微量のフッ素化合物を含むものであるため本発明の処理の対象とすることができる。なお、この場合のフッ素も有機フッ素化合物と考えられる。
ブテンポリマーは、反応器を備えた重合帯域(反応帯域)において、イソブテンまたはそれを含むC4供給原料を連続的に重合することにより製造される。連続反応器としては、攪拌型反応器、ループ型反応器など、適切な除熱と攪拌を行うことができる任意の形式のものを採用することができる。重合帯域からは未反応成分、生成したブテンポリマーおよび触媒を含む反応液が流出する。
C4留分の代表的な組成は、不飽和成分として、約1〜40重量%、好ましくは約10〜40重量%の1−ブテン、約1〜40重量%の2−ブテン、約10〜80重量%、好ましくは約40〜70重量%のイソブテン、および約10重量%未満、好ましくは約0.5重量%以下のブタジエン、ならびに飽和成分として約10〜30重量%のブタン類からなるものである(C4留分の合計を100重量%とする)。この組成範囲である限り特に限定されるものではなく、クラッカーのほか前記のようにFCCからの分解生成物などに含有されるイソブテンを含むC4留分であってもよい。
そのほか、上記組成範囲にある限り、組成を適宜の手段により変更したものも使用することができる。具体的には、蒸留により組成を変更したり、イソブテンを追加してイソブテン濃度を増加させたり、軽度の重合によりイソブテンをオリゴマー化してイソブテン濃度を低減し、あるいは接触ヒドロ異性化等の反応により1−ブテン濃度を低減したもの、各種の物理的または化学的操作により組成を変化させたものなどを使用することができる。
C4留分は、イソブテンの含有率が大きいほど好ましい。しかしながら、たとえばブタジエンラフィネートにおいても、イソブテンの含有量は最大70重量%程度である。FCCなどからのC4留分では通常さらに低い。
用いる含フッ素系触媒としては、その使用により生成物中に微量のフッ素化合物が混入する限り特に限定されない。具体的には三フッ化ホウ素系触媒のほか、二価ニッケル化合物をハロゲン化ヒドロカルビルアルミニウムおよびトリフルオロ酢酸と接触させて得られる触媒、たとえば、ニッケル・ヘプタノエートとジクロロエチルアルミニウムおよびトリフルオロ酢酸との相互作用により形成されたもの等が例示される。なお、この二価ニッケル系の含フッ素系触媒は特開昭57−183726号公報に提案されている。
原料中の水分やイソブテン濃度の変動にすばやく対応して安定した性状のブテンポリマーを製造するためには、三フッ化ホウ素の量および錯化剤とのモル比を迅速に上記の変化に対応して調整することが有利であり、そのためにはこのように、水、アルコール類、ジアルキルエーテル類またはその混合物を、三フッ化ホウ素とは別個に反応系に供給する方法がより好ましい。
アルコール類としては、芳香族またはC1〜C20の脂肪族アルコールが例示され、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノールあるいはベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。上記C1〜C20の脂肪族アルコール類の炭素骨格は、分岐度に制限がなく、直鎖アルキル基、sec−、tert−等の分岐アルキル基または脂環式アルキル基、あるいは環を含むアルキル基でも差し支えない。これらのアルコールは、単独でまたは適宜の割合で混合して使用することができる。
なお、水、上記アルコール類およびジアルキルエーテル類等の錯化剤は、その一種以上を適宜の割合で混合して使用することもできる。
一般に連続式では供給原料の触媒との接触時間が重要であり、本発明による重合反応においては、接触時間として5分〜4時間の範囲であることが望ましい。接触時間が5分未満では十分なイソブテンの転化率が得られず、また、反応熱の除去に過大な設備が必要になる。一方、4時間を超えると経済的な損失も多く、また触媒と長時間接触するため、生成したブテンポリマーの異性化や転位反応等の副反応が促進される。したがって、いずれの場合も好ましくない。
次の工程においては、上記反応液について、常法に従い、適宜の失活剤、たとえば水、アルカリ水、アルコール等により触媒を失活させる。
触媒の失活後、必要に応じ中和および水洗を行って触媒残渣を除去し、適宜に蒸留を行うことにより未反応のC4成分を除去してブテンポリマーを得る。またこのようにして得たブテンポリマーは、さらに適宜に蒸留を行って軽質分(以下「ライトポリマー」ということがある)と重質分に分けることができる。
また、本発明の効果を阻害しない限り、アルミナに適宜にアルカリ金属、アルカリ土類金属またはその他の金属を、酸化物、水酸化物あるいはその他の形態で含浸しあるいはその他の方法により適宜担持させて変性したものを用いることもできる。しかしながら、通常は、特にこのような担持・変性は必要がなく、ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の含有量が0.5重量%以下のアルミナが用いられる。このように担時・変性を全くまたはほとんど行わないアルミナは安価であり、この点においても本発明は有利な方法である。
粘度が高い場合は、アルミナとの接触効率を高めるため、不活性な溶媒で希釈することが好ましい。このような不活性な溶媒としては、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素溶剤が例として挙げられるが、回収した前記ライトポリマーを溶媒として使用することもできる。
接触のための方法としては、回分式または連続式のいずれも可能である。連続式の場合は、固定床式、流動床式などの方法によることができる。流れの方向もアップフローおよびダウンフローのいずれも採用することができる。
また、連続的に接触させる場合に、有機塩基性物質を適宜に断続的に流体中に供給することもできる。断続的に有機塩基性物質を供給する場合には、有機化合物とアルミナとの接触処理が進行して、その結果アルミナの異性化能が増大し始める前または増大し始めた直後に有機塩基性物質の供給を開始することが好ましい。
この方法の1つとして、たとえば固定床形式で連続的に一定量の有機化合物の脱ハロゲン処理を行った後に、処理対象物の供給を停止して、別途に有機塩基性物質を系内へ供給してアルミナに接触させることにより、増大した異性化能を低下させてアルミナ処理剤を再生することができる。あるいはまた、回分式で一定量の有機化合物の脱ハロゲン処理を行った後、有機化合物を抜き出し、代わりに有機塩基性物質を投入してアルミナと接触させることにより、増大した異性化能を低下させてアルミナ処理剤を再生することもできる。
有機アミン類の例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、アニリン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチルペンタミンなどのアミン類、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミンなどのアミン類、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミンなどのオキシアミン類、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノールなどのヒドロキシルアミン類、あるいはピリジン、アミノピリジンなどのピリジン類などが例として挙げられ、また、β−アラニンなどのアミノ酸類でも有効であるが、特にこれらに制限されるものではない。好ましくは弱塩基として分類される塩基性物質である。
また、一般的に有機塩基性物質は、反応系内に過剰に存在しても脱ハロゲン処理自体には大きく影響しない。過剰である場合の不利益としては、脱ハロゲン処理の後に多量の有機塩基性物質の分離操作が必要であるため不経済になることなどが挙げられる。
さらに有機化合物中における非共役二重結合の異性化の程度は、有機化合物を各種の機器を用いて分析することにより容易に判明することが多い。
有機塩基性化合物の量がこの範囲より少ない場合には、十分異性化能を低減することができないので好ましくない。過剰に加える場合には、脱ハロゲン機能を阻害することは少ないが、前記のように過剰分の有機塩基性物質を回収するためのコストが増大する点で経済的に不利である。したがって、通常は、処理対象としてのオレフィン性化合物等の有機化合物中の残留ハロゲン原子1モルに対して200モル以下に制限することが適当である。
有機塩基化合物の量がこの範囲より少ない場合には、前記連続的に共存させる場合と同様の理由で好ましくない。また、過剰に加える場合には、脱ハロゲン機能を阻害することは少ないが、過剰分の有機塩基性物質を回収するためのコストが増大する点で経済的に不利である。したがって、通常は、アルミナ上に固定されたハロゲン原子1モルに対して200モル以下に制限することが適当である。
その外、本発明における有機塩基性化合物の量を決定する場合において、処理剤に固定化されるハロゲン量としては、供給原料のハロゲン含量に基づいて計算により除去すべきまたは除去した量を求めた結果を用いることができる。たとえば、100ppmのハロゲンを含む原料を連続的に供給して脱ハロゲン処理を行い、目標値として5ppmまで低減する場合には、その差の95ppmを固定化させるべきハロゲン原子の量として上記アミン等の供給量を計算することができる。また、アミン等を共存させることなく、すでに一定量のハロゲンを処理した場合も同様に、脱ハロゲン処理前後のハロゲン原子の含有量の差を固定化したハロゲン量として、上記供給すべきアミン等の量を計算することができる。なお、この計算の結果たとえ有機塩基性化合物の供給量が過剰になることがあっても、このような計算による限り、過剰であることによる弊害は実際上無視し得る程度である。
なお、この再生における温度等の条件は、適宜に選ぶことができる。温度はたとえば−100〜+400℃の範囲から選択することができる。脱ハロゲン処理を同時に行わず、有機塩基性物質の処理により増大した異性化能を低下させるための再生のみを行う場合には、脱ハロゲン処理の場合よりも温和な条件を選択することができる。
本発明の脱ハロゲン処理により、オレフィン性化合物等の有機化合物中の残留ハロゲン濃度がハロゲン原子換算で40ppm以下まで低減され、かつ非共役炭素−炭素二重結合の異性化率が40%未満、好ましくは30%未満、さらに好ましくは20%未満の低い値に保持されたオレフィン性化合物等の有機化合物が得られる。すなわち、末端ビニリデン構造の非共役二重結合を、脱ハロゲン処理前と比較し60%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上の割合で維持することができる。
このように実質的に残留ハロゲンとして、たとえばフッ素などが存在しないので、得られたオレフィン性化合物等の有機化合物またはその変性物を燃焼する場合においても、大気中へのハロゲン、たとえばフッ素の放出が少なく、したがって環境保全の面においても有用である。
(重合工程)
4リットルの循環式反応槽に、エチレンクラッカーからのC4留分のブタジエンラフィネートを毎時4リットルで供給し、イソブテンに対して0.15重量%の三フッ化ホウ素および0.14重量%のエタノールをそれぞれ別個に反応槽に供給した。反応温度−10℃で、連続的に重合を行った。ブタジエンラフィネートの組成を第1表に示す。分析はガスクロマトグラフィーにより行った(以下同様)。
上で得られた反応液を2%NaOH水溶液で処理して、触媒の失活および中和を行い、さらに脱イオン水で3回洗浄を行った後、乾燥して未反応C4成分を蒸留で回収した。回収した未反応C4成分を分析した結果、残留フッ素濃度は4.5ppmであった。その組成を第2表に示す。
次いで、底面に流体入口および上面に流体出口を設けた容量10リットルの円筒形容器に200℃で2時間減圧乾燥した活性アルミナ(PROCATALYSE社、商品名:PSG−D25)を粉砕して粒径2mmから3.5mmに分級したものを充填し、この円筒形容器の流体入口に、先に回収した未反応C4成分を供給するラインを取り付けた。アンモニアを未反応C4成分に対して4ppmとなるように予め混合しておき、脱フッ素原料とした。
脱フッ素処理温度を210℃、アンモニアを混合した未反応C4成分の流速を毎時100mlとし、脱フッ素処理開始後には、出口のガスを任意の時間ごとに1,000時間までサンプリングしてC4成分の1−ブテンおよび2−ブテンの濃度と残留フッ素濃度を測定した。
処理後の残留フッ素濃度、および末端ビニリデン含有率の経時変化を第3表に示す。
アンモニアを添加しない点以外は、全て実施例1と同様にして実験を行った。結果を第4表に示すが、明らかに1−ブテンが異性化して2−ブテンに変化している。
アルミナの代わりに乾燥窒素気流下において150℃であらかじめ加熱乾燥したシリカゲル(商品名:シルビード(Silbead)N、水澤化学工業(株)製)を円筒容器に充填し、処理温度を室温とした以外は、全て実施例1と同様の条件で実験を行った。
処理後のC4成分中の1−ブテンおよび2−ブテンの濃度は処理前と比べて変化しておらず、異性化は見られなかったが、残留フッ素濃度は処理の初期においても4.0ppmであり除去効果は得られなかった。
(重合工程)
4リットルの循環式反応槽に、エチレンクラッカーからのブタジエンラフィネート(第1表と同じ)を毎時4リットルで供給し、イソブテンに対して0.15重量%の三フッ化ホウ素および0.14重量%のエタノールをそれぞれ別個に反応槽に供給した。反応温度−10℃で、連続的に重合を行った。
(失活、水洗工程)
得られた反応液を2% NaOH水溶液で処理して、触媒の失活および中和を行い、さらに脱イオン水で3回洗浄を行った。洗浄後、乾燥して未反応C4成分およびライトポリマーを蒸留で留去することにより、数平均分子量1,300、末端ビニリデン基含有率91%、残留フッ素濃度76ppmのブテンポリマーを得た。
容量100ccの固定床容器に、200℃で2時間減圧乾燥した活性アルミナ(PROCATALYSE社、商品名:PSG−D25)を粉砕して粒径0.5mmから1.4mmに分級したものを充填した。
この充填容器に、先のブテンポリマー100重量部とトリエチルアミン400ppmを添加し、またイソパラフィン溶剤(商品名:日石アイソゾール300、日本石油化学(株)製)10重量部を添加して粘度調整したものを脱フッ素原料とした。
脱フッ素処理条件は、温度170℃、WHSV 1hr−1とした。脱フッ素処理の開始後、充填容器出口の処理液を任意の時間ごとに2,030時間までサンプリングを行い、ブテンポリマーの末端ビニリデン基含有率と残留フッ素濃度を測定した。なお、数平均分子量をGPC((株)島津製作所製)により、末端ビニリデン含有率をNMR(日本電子(株)製)により、また残留フッ素濃度をWickbold−比色法によりそれぞれ測定した。処理後の残留フッ素濃度、および末端ビニリデン基含有率の経時変化を第5表に示す。
中和、水洗後の蒸留において、未反応C4成分のみを留去した、ライトポリマーを含むブテンポリマーを脱フッ素原料(残留フッ素濃度188ppm)とし、トリエチルアミンの添加量を200ppmとした以外は、全て実施例2と同様の条件で実験を行った。結果を第6表に示す。
トリエチルアミンを添加せず、処理温度を110℃に下げ、その他は前記実施例2と同様に実験を行った。550時間までの結果を第7表に示すが、実施例1よりも温度を下げたにもかかわらず、ビニリデン構造の異性化が進行している。
(重合工程)
触媒および錯化剤としてイソブテンに対し0.82重量%の三フッ化ホウ素、0.89重量%のジエチルエーテルおよび0.02重量%のエタノールを使用した以外は、実施例1と同様に重合を行った。
(失活、水洗工程)
さらに実施例1と同様の失活、水洗工程を行って、数平均分子量1,462、末端ビニリデン基含有率88%、残留フッ素濃度7ppmのブテンポリマーを得た。
上記で得られたブテンポリマーを脱フッ素原料とし、ブテンポリマーに対して50ppmの濃度に相当する流量のアンモニアをアルミナ充填容器の入口手前で混合して、2MPaの加圧下で充填容器に供給した以外は、実施例1と同様に脱フッ素処理を行った。処理後の残留フッ素濃度、および末端ビニリデン含有率の経時変化を第8表に示す。
前記実施例2で得られた脱フッ素原料ブテンポリマー100mlに、乾燥窒素気流下において、150℃であらかじめ加熱乾燥したシリカゲル(商品名:シルビード(Silbead)N、水澤化学工業(株)製)27gを投入し、室温で1時間攪拌した。
処理後のブテンポリマーの末端ビニリデン基含有率は91%で異性化は見られなかったが、処理後の残留フッ素濃度は104ppmであり、ブテンポリマーのように分子量が大きい場合には、シリカゲルによる処理を行ってもフッ素を十分に除去することはできない。
Claims (2)
- ハロゲンを固定化することにより有機化合物の非共役炭素−炭素二重結合に対する異性化能が増大した組成式Al2O3で表わされる成分を含む無機固体処理剤を、アンモニアまたは有機アミン類に接触させ、該処理剤の前記異性化能を低下させることを特徴とする前記無機固体処理剤の再生方法。
- 前記組成式Al2O3で表わされる成分を含む無機固体処理剤がアルミナである請求項1に記載のアルミニウムを含む処理剤の再生方法。
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