近年、携帯電話機、PDA[Personal Digital Assistants]、デジタルカメラ等の電子機器に搭載されている液晶表示装置(LCD)の照明源(バックライトまたはフロントライト)として、耐久性、発光効率、占有面積等の点で優れている白色発光ダイオードが用いられるようになってきている。
この白色発光ダイオードを発光させるためには、比較的高い順方向電圧が必要である。また、照明源としては複数の白色発光ダイオードが用いられるところ、これらの輝度を均一にするために、それぞれが直列に接続されることが多い。そのため、このような照明源としての白色発光ダイオードの駆動には、携帯機器等に内蔵されている電池からの直流電圧よりも、高い直流電圧が必要となる。
また携帯機器への映像配信等に伴い、ディジタルチューナを搭載する携帯機器が普及しつつあるが、このような携帯機器の電圧源としては、30V〜40V程度が必要となる。このような場合も、携帯機器に内蔵されている電池からの直流電圧よりも、高い直流電圧が必要となる。
そこで、このような電池からの直流電圧よりも高い直流電圧を発生させる回路として、従来、昇圧型の電源回路が用いられている。かかる電源回路(LEDドライバ回路)の電気的構成について、図13を参照しながら説明する。
図13に示すように当該電源回路1は、リチウムイオン電池等の直流電源11、入力コンデンサ12、コイル13、ダイオード(整流素子)14、出力コンデンサ15、抵抗(出力電流設定抵抗)R1、及び、1つのパッケージにIC化されコイル13に対するエネルギーの蓄積/放出を切り換えて昇圧動作を行う、昇圧チョッパレギュレータIC2から構成されている。電源回路1は、例えば携帯電話機等の電子機器に搭載されているLCDの照明源である、4個の白色発光ダイオード(LED1〜LED4)を駆動する。
直流電源11の負極端子はグランドに接続され、正極端子は入力コンデンサ12を介してグランドに接続されるとともに、コイル13の一端に接続されている。そして、コイル13の他端はダイオード14のアノードに接続され、ダイオード14のカソードは出力コンデンサ15を介してグランドに接続されている。また、出力コンデンサ15と並列に、白色発光ダイオード(LED1〜LED4)と抵抗R1が接続されている。
また、昇圧チョッパレギュレータIC2は、外部接続用の端子として電源端子Vin、接地端子GND、スイッチ端子Vsw、フィードバック端子FB、コントロール端子(ON/OFF端子)CTRL、および出力電圧モニタ端子OVPを備えている。そして、電源端子Vinは直流電源1の正極端子に接続され、接地端子GNDはグランドに接続されている。これにより、昇圧チョッパレギュレータICは直流電源11から動作電力を得ている。なおこの動作電力の電圧は、定電圧回路20によって所定値に保持される。
また、スイッチ端子Vswはコイル13とダイオード14との接続点に接続され、出力電圧モニタ端子OVPはダイオード4のカソードに接続され、フィードバック端子FBは白色発光ダイオード(LED1〜LED4)と抵抗R1との接続点に接続されている。また、コントロール端子CTRLは、外部からON/OFFを切り替えるための信号が入力される。
次に、昇圧チョッパレギュレータIC2の内部構成について説明する。昇圧チョッパレギュレータIC2は、Nチャンネル型のFET(パワートランジスタ)21、ドライブ回路22、電流検出コンパレータ23、発振回路24、アンプ25、PWM[Pulse Width Modulation]コンパレータ26、エラーアンプ27、基準電圧源28、ソフトスタート回路29、ON/OFF回路(作動/停止回路)30、および過電圧保護回路31などを備えている。
FET21のドレインはスイッチ端子Vswに接続され、ゲートはドライブ回路に接続されている。そしてFET21のソースは、抵抗R2を介してグランドに接続されている。抵抗R2の両端は、電流検出コンパレータ23の2つの入力端子にそれぞれ接続されている。そして電流検出コンパレータ23の出力と発振回路24の出力とが、アンプ25で加算されて、PWMコンパレータ26の非反転入力端子に供給される。
またPWMコンパレータ26の出力と、発振回路24の出力とが、ドライブ回路22に供給される。またPWMコンパレータの反転入力端子には、エラーアンプ27の出力が供給される。なおエラーアンプ27の反転入力端子はフィードバック端子FBに接続されており、同じく非反転入力端子は、基準電圧Vrefを出力する基準電圧源28に接続されている。
また、ソフトスタート回路29、ON/OFF回路30、および過電圧保護回路31の出力はドライブ回路22にそれぞれ供給される。ソフトスタート回路29およびON/OFF回路30には、コントロール端子CTRLを介して輝度調整信号が供給される。そして、過電圧保護回路31には、出力電圧モニタ端子OVPを介して出力電圧Voが供給される。
次に、当該電源回路1の動作について説明する。ドライブ回路22がFET21をオン/オフすることにより、直流電源11からの入力電圧Viを昇圧した出力電圧Voを、出力コンデンサ15の両端に発生させる。即ち、ドライブ回路22がFET21のゲートに所定のゲート電圧を印加し、FET21がONの状態であるときには、直流電源11からの電流がコイル13に流れ、コイル13にエネルギーが蓄積される。そして、ドライブ回路22がFET21のゲートに所定のゲート電圧を印加せず、FET21がOFFの状態であるときには、蓄積されたエネルギーが放出されることによってコイル13に逆起電力が発生する。
コイル13に発生した逆起電力は直流電源11の入力電圧Viに加算され、ダイオード14を介して出力コンデンサ15を充電する。このような一連の動作を繰り返すことにより昇圧動作が行われ、出力コンデンサ15の両端に出力電圧Voが発生する。この出力電圧Voの発生によって白色発光ダイオード(LED1〜LED4)に出力電流Ioが流れ、白色発光ダイオード(LED1〜LED4)が発光する。
そして、この出力電流Ioの電流値に抵抗R1の抵抗値を乗じた値となるフィードバック電圧Vfbが、フィードバック端子FBを介してエラーアンプ27の反転入力端子に供給され、エラーアンプ27の非反転入力端子に供給される基準電圧Vrefと比較される。このため、エラーアンプ27の出力には、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差異に対応した電圧が現れ、この電圧がPWMコンパレータ26の反転入力端子に供給される。
また、PWMコンパレータ26の非反転入力端子には、FET21がON状態の時に抵抗R2を流れる電流に比例する信号と、発振回路24からの鋸歯状波信号とがアンプ25で加算され増幅された信号が入力される。これにより当該信号は、先述したエラーアンプ27の出力電圧レベルと比較される。その結果、エラーアンプ27からの出力電圧レベルがアンプ25からの信号レベルより高くなる期間では、PWMコンパレータのPWM出力はL(Low)レベルになり、逆にエラーアンプ27からの出力電圧レベルがアンプ25からの信号レベルより低くなる期間では、PWMコンパレータ26のPWM出力はH(High)レベルになる。
そして、ドライブ回路22はPWMコンパレータ26のPWM出力を受けて、そのPWM出力に応じたデューティでFET21のON/OFFを切り替える。即ち、ドライブ回路22は、PWMコンパレータ26のPWM出力がHレベルのときであって、発振回路24からのクロック信号の各サイクルの開始のときに、FET21に所定のゲート電圧を与えてFET21をONにする。一方、PWMコンパレータ26のPWM出力がLレベルになったときにFET21へのゲート電圧の供給を停止し、FET21をOFFにする。
このようなFET21のON/OFF制御がなされると、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとが等しくなるように、昇圧動作が行われることになる。即ち、出力電流Ioは、基準電圧Vrefを抵抗R1の抵抗値で除した値の電流に維持される。また、PWMコンパレータ26で比較される信号には、抵抗R2を流れる電流に応じた信号、即ち、FET21がONの時にコイル13を流れる電流に応じた信号が加算されていることから、コイル13に流れるピーク電流が制限されるようになっている。
またソフトスタート回路29は、ドライブ回路22の動作開始時に、ドライブ回路22の出力デューティを徐々に変化させることにより、出力電圧Voを緩やかに上昇させるものである。なお出力電圧Voを緩やかに上昇させなければ、出力コンデンサ15が充電されていない場合に、充電のための過大な充電電流が直流電源1から流れることになる。そのため直流電源1がリチウムイオン電池等の電池である場合、電池に負担がかかるとともに、電池電圧がこの過大な充電電流により低下し、電池が本来の終止電圧まで使用できなくなるという問題が発生する。
またON/OFF回路30は、CTRL端子にLレベルの外部信号が入力された時に全回路をOFF状態とする。かかるOFF状態の時には、回路における消費電流は微小(1nA程度)となる。
また過電圧保護回路31は、出力電圧Voが所定の閾値を超えたこと(出力電圧Voが過剰となったこと)を検知した場合に、ドライブ回路22の動作を停止させるための信号(停止信号)を、ドライブ回路22に出力する。ドライブ回路22は、この停止信号を受けると動作を停止し、ひいては、FET21はOFF状態に固定されて、一連の昇圧動作も停止されることになる。
これにより、当該閾値を超える過電圧が負荷である白色発光ダイオード(LED1〜LED4)や出力コンデンサ5に印加されることを防止している。なお安定化電源として使用される場合、アセンブリミスなどにより出力電圧が想定以上となって、パワートランジスタが破壊されるといったことが防止される。
ここで、過電圧保護回路31のより具体的な構成を図14に示す。本図に示すように、出力電圧モニタ端子OVPを介して入力される出力電圧Voは、抵抗R11と抵抗R22によって分圧される。そしてこの分圧された電圧と所定の基準電圧VREFとの差に応じた電圧が、ドライブ回路22に出力されることとなる。
実開昭62−161586号公報
実開昭58−186743号公報
本発明の実施形態について、実施例1から実施例6の各々の電源回路を例に挙げて、以下に説明する。
[実施例1]
本発明の実施例1に係る電源回路の構成図を、図1に示す。本図に示すように、当該電源回路(昇圧型のDC−DCコンバータ回路)1は、リチウムイオン電池等の直流電源11、入力コンデンサ12、コイル13、ダイオード(整流素子)14、出力コンデンサ15、抵抗(出力電流設定抵抗)R1、及び、1つのパッケージにIC化されコイル13に対するエネルギーの蓄積/放出を切り換えて昇圧動作を行う、昇圧チョッパレギュレータIC2から構成されている。電源回路1は、例えば携帯電話機等の電子機器に搭載されているLCDの照明源である、4個の白色発光ダイオード(LED1〜LED4)を駆動する。
直流電源11の負極端子はグランドに接続され、正極端子は入力コンデンサ12を介してグランドに接続されるとともに、コイル13の一端に接続されている。そして、コイル13の他端はダイオード14のアノードに接続され、ダイオード14のカソードは出力コンデンサ15を介してグランドに接続されている。また、出力コンデンサ15と並列に、白色発光ダイオード(LED1〜LED4)と抵抗R1が接続されている。
また、昇圧チョッパレギュレータIC2は、外部接続用の端子として電源端子Vin、接地端子GND、スイッチ端子Vsw、フィードバック端子FB、コントロール端子(ON/OFF端子)CTRL、出力電圧モニタ端子OVP、および警告信号出力端子ALARMを備えている。そして、電源端子Vinは直流電源1の正極端子に接続され、接地端子GNDはグランドに接続されている。これにより、昇圧チョッパレギュレータICは直流電源11から動作電力を得ている。なおこの動作電力の電圧は、定電圧回路20によって所定値に保持される。
また、スイッチ端子Vswはコイル13とダイオード14との接続点に接続され、出力電圧モニタ端子OVPはダイオード4のカソードに接続され、フィードバック端子FBは白色発光ダイオード(LED1〜LED4)と抵抗R1との接続点に接続されている。また、コントロール端子CTRLは、外部からON/OFFを切り替えるための信号が入力される。また警告信号出力端子ALARMは、後述するように、警告信号を外部に出力するための端子として使用される。
次に、昇圧チョッパレギュレータIC2の内部構成について説明する。昇圧チョッパレギュレータIC2は、Nチャンネル型のFET(パワートランジスタ)21、ドライブ回路22、電流検出コンパレータ23、発振回路24、アンプ25、PWM[Pulse Width Modulation]コンパレータ26、エラーアンプ27、基準電圧源28、ソフトスタート回路29、ON/OFF回路(作動/停止回路)30、過電圧保護回路31、およびドライブ停止回路32などを備えている。
FET21のドレインはスイッチ端子Vswに接続され、ゲートはドライブ回路に接続されている。そしてFET21のソースは、抵抗R2を介してグランドに接続されている。抵抗R2の両端は、電流検出コンパレータ23の2つの入力端子にそれぞれ接続されている。そして電流検出コンパレータ23の出力と発振回路24の出力とが、アンプ25で加算されて、PWMコンパレータ26の非反転入力端子に供給される。
またPWMコンパレータ26の出力と、発振回路24の出力とが、ドライブ回路22に供給される。またPWMコンパレータの反転入力端子には、エラーアンプ27の出力信号が供給される。なおエラーアンプ27の反転入力端子はフィードバック端子FBに接続されており、同じく非反転入力端子は、基準電圧Vrefを出力する基準電圧源28に接続されている。
また、ソフトスタート回路29、ON/OFF回路30、および過電圧保護回路31の出力はドライブ回路22にそれぞれ供給される。ソフトスタート回路29およびON/OFF回路30には、コントロール端子CTRLを介して輝度調整信号が供給される。そして、過電圧保護回路31には、出力電圧モニタ端子OVPを介して出力電圧Voが供給される。
次に、当該電源回路1の動作について説明する。ドライブ回路22がFET11をオン/オフすることにより、直流電源11からの入力電圧Viを昇圧した出力電圧Voを、出力コンデンサ15の両端に発生させる。即ち、ドライブ回路22がFET21のゲートに所定のゲート電圧を印加し、FET21がONの状態であるときには、直流電源11からの電流がコイル13に流れ、コイル13にエネルギーが蓄積される。そして、ドライブ回路22がFET21のゲートに所定のゲート電圧を印加せず、FET21がOFFの状態であるときには、蓄積されたエネルギーが放出されることによってコイル13に逆起電力が発生する。
コイル13に発生した逆起電力は直流電源11の入力電圧Viに加算され、ダイオード14を介して出力コンデンサ15を充電する。このような一連の動作を繰り返すことにより昇圧動作が行われ、出力コンデンサ15の両端に出力電圧Voが発生する。この出力電圧Voの発生によって白色発光ダイオード(LED1〜LED4)に出力電流Ioが流れ、白色発光ダイオード(LED1〜LED4)が発光する。
そして、この出力電流Ioの電流値に抵抗R1の抵抗値を乗じた値となるフィードバック電圧Vfbが、フィードバック端子FBを介してエラーアンプ27の反転入力端子に供給され、エラーアンプ27の非反転入力端子に供給される基準電圧Vrefと比較される。このため、エラーアンプ27の出力には、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとの差異に対応した電圧が現れ、この電圧がPWMコンパレータ26の反転入力端子に供給される。
また、PWMコンパレータ26の非反転入力端子には、FET21がON状態の時に抵抗R2を流れる電流に比例する信号と、発振回路24からの鋸歯状波信号とがアンプ25で加算され増幅された信号が入力される。これにより当該信号は、先述したエラーアンプ27の出力電圧レベルと比較される。その結果、エラーアンプ27からの出力電圧レベルがアンプ25からの信号レベルより高くなる期間では、PWMコンパレータのPWM出力はL(Low)レベルになり、逆にエラーアンプ27からの出力電圧レベルがアンプ25からの信号レベルより低くなる期間では、PWMコンパレータ26のPWM出力はH(High)レベルになる。
なおPWMコンパレータ26に入力される信号、およびPWMコンパレータ26から出力される信号(PWM出力)についてのタイミングチャートは、概ね図9に示す通りとなる。この図からも判るように、PWM出力は、反転入力端子に入力される信号が大きくなる程、デューティ比は小さくなり、逆に反転入力端子に入力される信号が小さくなる程、デューティ比は大きくなる。
そして、ドライブ回路22はPWMコンパレータ26のPWM出力を受けて、そのPWM出力に応じたデューティでFET21のON/OFFを切り替える。即ち、ドライブ回路22は、PWMコンパレータ26のPWM出力がHレベルのときであって、発振回路24からのクロック信号の各サイクルの開始のときに、FET21に所定のゲート電圧を与えてFET21をONにする。一方、PWMコンパレータ26のPWM出力がLレベルになったときにFET21へのゲート電圧の供給を停止し、FET21をOFFにする。
このようなFET21のON/OFF制御がなされると、フィードバック電圧Vfbと基準電圧Vrefとが等しくなるように、昇圧動作が行われることになる。即ち、出力電流Ioは、基準電圧Vrefを抵抗R1の抵抗値で除した値の電流に維持される。また、PWMコンパレータ26で比較される信号には、抵抗R2を流れる電流に応じた信号、即ち、FET21がONの時にコイル13を流れる電流に応じた信号が加算されていることから、コイル13に流れるピーク電流が制限されるようになっている。
またソフトスタート回路29は、ドライブ回路22の動作開始時に、ドライブ回路22の出力デューティを徐々に変化させることにより、出力電圧Voを緩やかに上昇させるものである。なお出力電圧Voを緩やかに上昇させなければ、出力コンデンサ15が充電されていない場合に、充電のための過大な充電電流が直流電源1から流れることになる。そのため直流電源1がリチウムイオン電池等の電池である場合、電池に負担がかかるとともに、電池電圧がこの過大な充電電流により低下し、電池が本来の終止電圧まで使用できなくなるという問題が発生する。
またON/OFF回路30は、CTRL端子にLレベルの外部信号が入力された時に全回路をOFF状態とする。かかるOFF状態の時には、回路における消費電流は微小(1nA程度)となる。
また過電圧保護回路31は、出力電圧Voが所定の閾値(以下、「電圧上限値」とする)を超えているか否か(つまり、出力電圧Voが過剰となっているか否か)を検出し、越えている場合にはHレベルの信号を、超えていない場合にはLレベルの信号を、ドライブ回路22およびドライブ停止回路32に出力する。なおこの信号におけるLレベルからHレベルへの立上りは、後述する「停止信号」に相当し、同じくHレベルからLレベルへの立下りは、後述する「復帰信号」に相当する。ドライブ回路22は、この停止信号を受けると動作を停止し、ひいては、FET21はOFF状態に固定されて、一連の昇圧動作も停止されることになる。
これにより、当該閾値を超える過電圧が負荷である白色発光ダイオード(LED1〜LED4)や出力コンデンサ5に印加されることを防止している。なお安定化電源として使用される場合、アセンブリミスなどにより出力電圧が想定以上となって、パワートランジスタが破壊されるといったことが防止される。
一方、過電圧保護回路31は、出力電圧Voが過剰となった状態から通常の状態に復帰したこと(つまり、出力電圧Voが、電圧上限値以下になったこと)を検出した場合に、ドライブ回路22の動作などを復帰させる復帰信号を、ドライブ回路22およびドライブ停止回路32に出力する。ドライブ回路22は、この復帰信号を受けることによって、通常の動作を再開させる。
ここで過電圧保護回路31のより具体的な構成について、図2を参照しながら以下に説明する。本図に示す通り過電圧保護回路31は、Pチャネル型FET(51、52)、Nチャネル型FET(53〜55)、基準電圧Vrを発生させる基準電圧源56、定電流源(57、58)、インバータ(59、60)および抵抗(R11、R12)が備えられている。
そして、FET51のソース、FET52のソース、およびFET55のドレインは、共通の電力供給ラインに接続されている。またFET51のゲートおよびFET52のゲートは、FET51のドレインに接続されている。またFET53のドレインはFET51のドレインに、同じくゲートは基準電圧源56の正極端子に、同じくソースは定電流源57の上流側に接続されている。またFET54のドレインはFET52のドレインに、同じくゲートは抵抗R11と抵抗R12の間に、同じくソースは定電流源57の上流側に接続されている。またFET55のゲートはFET52のドレインに、同じくソースは定電流源58の上流側に接続されている。また基準電圧源の負極端子および定電流源(57、58)の下流側は接地されている。
また抵抗R11の一端は出力電力モニタ端子OVPに、他端は抵抗R11の一端に接続されている。なお抵抗R12の他端は接地されている。またFET55のソースは、インバータ59とインバータ60を直列に介して、ドライブ回路22およびドライブ停止回路32に接続されている。またインバータ59とインバータ60との中間点には、警告信号出力端子ALARMが接続されている。
このような構成により過電圧保護回路31においては、出力電圧モニタ端子OVPに入力された電圧(出力電圧)が抵抗R11と抵抗R12により分圧され、FET54のゲートに入力される。これにより、当該分圧された電圧と基準電圧Vrとの比較結果に応じた電流(或いは電圧)、つまり先述した停止信号や復帰信号が、ドライブ回路22およびドライブ停止回路32に出力されることになる。
また当該電流(或いは電圧)は、警告信号出力端子ALARMにも伝送されるようになっている。これにより電源回路1は、出力電圧Voが過電圧状態となったことを、警告信号出力端子ALARMを介して外部に報知することが可能となっている。
またドライブ停止回路32は、過電圧保護回路31から停止信号を受取った場合には、PWMコンパレータ26の反転入力端子と、エラーアンプ27の出力側とを結ぶ配線をローレベルに固定する処理(ドライブ停止処理)を実行する。また同じく復帰信号を受取った場合には、ドライブ停止処理を中止する処理(復帰処理)を実行する。ここでドライブ停止回路32の詳細な構成、ならびに、ドライブ停止処理や復帰処理の内容について、図3を参照しながら以下に説明する。
図3に示すように、ドライブ停止回路32は、Pチャネル型のFET(41、47)、Nチャネル型のFET(42〜46)、およびコンデンサCを有している。そしてFET41とFET42のゲートは、過電圧保護回路31の出力側に接続されている。またFET41のソースには、例えば直流電源1から電源端子Vinを介した経路を通じて、電力が供給されるようになっている。
またFET41のドレインとFET43のドレイン、FET43のソースとFET44のドレイン、FET44のソースとFET45のドレイン、FET45のソースとFET46のドレイン、およびFET46のソースとFET42のドレインは、それぞれ接続されている。またFET43、FET44、FET45、およびFET46のゲートは、それぞれFET42のドレインに接続されている。
またFET47のゲートは、FET42のドレインに接続されており、同じくソースは、エラーアンプ27の出力端子に接続されており、同じくドレインは、接地されている。またコンデンサCの一方の電極は、FET42のドレインに接続されており、他方の電極は接地されている。
かかる構成により、ドライブ停止回路32に過電圧保護回路31より停止信号が入力されると、トランジスタ42がONとなり、トランジスタ41がOFFとなる。そのため、トランジスタ47がONとなり、PWMコンパレータ26の反転入力端子はLレベルに固定される。これにより、ドライブ停止処理が実現されることになる。なおドライブ停止回路32に用いられている各トランジスタ(41〜47)の動作速度は、出力電圧Voが過電圧状態となったときに即座にドライブ停止処理が実行されるよう、極力速いことが望ましい。
また、ドライブ停止回路32に過電圧保護回路31より復帰信号が入力されると、トランジスタ42がOFFとなり、トランジスタ41がONとなる。これにより、ドランジスタ41のドレインの電位は、電力が供給されているソース側の電位とほぼ同等になる。これにより、各ドランジスタ(43〜46)からなる定電流回路よりコンデンサCに定電流が出力され、コンデンサCは徐々に充電されていく。
そのため、コンデンサCの電位は徐々に増大することになる。そしてこの電位はトランジスタ47のゲートに与えられるから、トランジスタのソース−ドレイン間の導通状態(接続状態)は、ON(接続状態)から、徐々にOFF(非接続状態)へと近づくことになる。その結果、PWMコンパレータ26の反転入力端子は、所定の期間(ソフトスタート期間)において、Lレベルへの固定が徐々に解除される。これにより、PWMコンパレータ26から出力されるPWM信号のデューティ比は、ソフトスタート期間にわたって徐々に増大する。このようにして、復帰処理が実現されることになる。
ここで出力電圧Voが過電圧状態となった場合における過電圧保護回路31の出力、およびトランジスタ47のゲート電圧に関するタイミングチャートは、概ね図10に示す通りとなる。すなわち、過電圧保護回路31の出力が、LレベルからHレベルに変動した時(出力電圧Voが過剰となったとき)には、トランジスタ47のゲート電圧は直ちにHレベルからLレベルに変動する(図中のT1)。
そしてその後、過電圧保護回路31の出力がHレベルからLレベルに変動した時(出力電圧Voが過剰状態から通常の状態に復帰したとき)には、トランジスタ47のゲート電圧は、Lレベルから上昇し始める(図中のT2)。その後、トランジスタ47のゲート電圧は、ソフトスタート期間において徐々に上昇し、最終的には通常のHレベルに到達する(図中のT3)。
また、出力電圧Voが過電圧状態となった場合における出力電圧Voのグラフを、図11に示す。なお本図において、実線は本実施例のものを表し、破線は従来のものを表している。本実施例では上述したドライブ停止処理がなされることにより、従来のものに比べて、出力電圧Voのオーバーシュートが抑えられている。そのため本実施例の電源回路によれば、出力電圧Voのオーバーシュートを考慮して、FET21などの各回路部品の耐電圧特性を必要以上に高く設定しておくといった無駄を、極力回避することが可能となっている。
以上に説明した通り、電源回路1は、出力電圧Voが過電圧状態となった場合に、オンデューティであるPWM信号がドライブ回路22に入力されないようにする動作(ドライブ停止動作)を行う、ドライブ停止回路32を備えている。そのため、ドライブ回路22にPWM信号が入力されることにより、出力電圧Voのオーバーシュートが発生することを、極力抑えることが可能となっている。
またドライブ停止回路32は、過電圧保護回路31から信号(復帰信号)を受けることによって、出力電圧Voが過電圧状態から復帰したことを検知した場合に、復帰処理を実行する。そのためドライブ回路22に、通常の昇圧動作を再開させることが容易となっている。
またドライブ停止回路32は、復帰処理の実行にあたり、PWM信号のデューティ比を、ソフトスタート期間にわたって徐々に増大させるようになっている。そのため、復帰処理によって昇圧動作が再開されるにあたり、PWM信号のデューティ比を徐々に増大させることによって、電源回路1に過大な(急激な)入力電流が流れることを極力防ぐことが可能となっている。
[実施例2]
次に本発明の実施例2について説明する。なお本実施例は、ドライブ停止回路の構成およびこれに関連する事項を除いては、基本的に実施例1と同様であるため、重複した説明は省略する。
本実施例におけるドライブ停止回路32およびその周辺に係る構成図を、図4に示す。本図に示すように、ドライブ停止回路32は、Pチャネル型のFET(41、47)、Nチャネル型のFET(42〜46)、コンデンサ(C1、C2)、およびスイッチ(SW1、SW2)を有している。そしてFET41とFET42のゲートは、過電圧保護回路31の出力側に接続されている。またFET41のソースには、例えば直流電源1から電源端子Vinを介した経路を通じて、電力が供給されるようになっている。
またFET41のドレインとFET43のドレイン、FET43のソースとFET44のドレイン、FET44のソースとFET45のドレイン、FET45のソースとFET46のドレイン、およびFET46のソースとFET42のドレインは、それぞれ接続されている。またFET43、FET44、FET45、およびFET46のゲートは、それぞれFET42のドレインに接続されている。
またFET47のゲートは、FET42のドレインに接続されており、同じくソースは、エラーアンプ27の出力端子に接続されており、同じくドレインは、接地されている。またコンデンサC1の一方の電極は、スイッチSW1を介してFET42のドレインに接続されており、他方の電極は接地されている。またコンデンサC2の一方の電極は、スイッチSW2を介してFET42のドレインに接続されており、他方の電極は接地されている。
また電源回路1は、外部からスイッチSW1を制御するための信号が入力される信号入力端子EXT1と、外部からスイッチSW2を制御するための信号が入力される信号入力端子EXT2とを備えている。そしてスイッチSW1は、信号入力端子EXT1に入力された信号に応じて、コンデンサC1とFET42のドレインとの接続/非接続を切り替える。またスイッチSW2は、信号入力端子EXT2に入力された信号に応じて、コンデンサC2とFET42のドレインとの接続/非接続を切り替える。
以上に説明した構成により、本実施例のドライブ停止回路32においては、FET47のゲートと接地点との間における電気容量が調整可能となっている。より具体的には、スイッチSW1のみが閉じている場合は、当該電気容量はコンデンサC1のみの電気容量となり、スイッチSW2のみが閉じている場合は、当該電気容量はコンデンサC2のみの電気容量となり、双方のスイッチ(SW1、SW2)が閉じている場合は、当該電気容量は両コンデンサ(C1、C2)の電気容量の和となる。
FET47のゲートと接地点との間における電気容量が変動すると、容量素子が充放電されることによるFET47のゲート電圧の変化速度も、これに伴って変動することになる。その結果、本実施例の電源回路1では、信号入力端子(EXT1、EXT2)に与える信号を制御することにより、先述したソフトスタート期間を調整することが可能となっている。そのため、例えば電源回路1において、出力電圧Voのオーバーシュートが発生し易い傾向にある場合には、ソフトスタート期間を長めに設定しておくといったことが可能となっている。
[実施例3]
次に本発明の実施例3について説明する。なお本実施例は、スイッチを制御するための信号の取得経路などを除いては、基本的に実施例2と同様であるため、重複した説明は省略する。
本実施例におけるドライブ停止回路32およびその周辺に係る構成図を、図5に示す。本図に示すように、電源回路1は、入力電圧検知回路33を有している。入力電圧検知回路33は、電源端子Vinを介して、入力電圧(直流電源1とコイル3との間における電圧)Viが入力されるようになっている。
これにより入力電圧検知回路33は、入力電圧Viの大きさを常時検知する。そしてこの検知結果に基づいて、各スイッチ(SW1、SW2)を制御するための信号を生成し、各スイッチ(SW1、SW2)の開閉を制御する。より具体的には、例えば検知された入力電圧Viを所定の閾値と比較し、入力電圧Viが小さいほど、先述したソフトスタート期間が長くなるように、各スイッチ(SW1、SW2)を制御する。
ここで一般的に電源回路においては、入力電圧Viが小さいほど、出力電圧Voを生成するための昇圧動作における昇圧比が高くなり、ひいては、過電圧状態となった場合における出力電圧Voのオーバーシュートが生じ易くなる。しかし本実施例によれば、入力電圧Viが小さいほどソフトスタート期間が長くなる(つまり、ソフトスタート期間が、入力電圧に応じて調整される)ため、出力電圧Voのオーバーシュートを効率よく抑えることが可能となっている。
[実施例4]
次に本発明の実施例4について説明する。なお本実施例は、ドライブ停止回路の構成およびこれに関連する事項を除いては、基本的に実施例1と同様であるため、重複した説明は省略する。
本実施例におけるドライブ停止回路32およびその周辺に係る構成図を、図6に示す。本図に示すように、ドライブ停止回路32は、Pチャネル型のFET(41、47)、Nチャネル型のFET(42〜46)、コンデンサC、およびスイッチ(SW1、SW2)を有している。そしてFET41とFET42のゲートは、過電圧保護回路31の出力側に接続されている。またFET41のソースには、例えば直流電源1から電源端子Vinを介した経路を通じて、電力が供給されるようになっている。
またFET41のドレインとFET43のドレイン、FET43のソースとFET44のドレイン、FET44のソースとFET45のドレイン、FET45のソースとFET46のドレイン、およびFET46のソースとFET42のドレインは、それぞれ接続されている。またFET43、FET44、FET45、およびFET46のゲートは、それぞれFET42のドレインに接続されている。
またFET47のゲートは、FET42のドレインに接続されており、同じくソースは、エラーアンプ27の出力端子に接続されており、同じくドレインは、接地されている。またコンデンサCの一方の電極は、FET42のドレインに接続されており、他方の電極は接地されている。そしてFET43のドレインとソースは、互いにスイッチSW1を介して接続されている。またFET43のゲートとソースは、互いにスイッチSW2を介して接続されている。
また電源回路1は、外部からスイッチSW1とスイッチSW2を制御するための信号が入力される、信号入力端子EXTを備えている。そしてスイッチSW1およびスイッチSW2は、信号入力端子EXTに入力された信号に応じて、その開閉を切り替える。
以上に説明した構成により、本実施例のドライブ停止回路32においては、信号入力端子EXTに与える信号を制御することにより、各ドランジスタ(43〜46)からなる定電流回路の構成変更を通じて、コンデンサCに流れ込む定電流の大きさが調整可能となっている。これにより、先述したソフトスタート期間を調整することが可能となっている。そのため、例えば電源回路1において、出力電圧Voのオーバーシュートが発生し易い傾向にある場合には、ソフトスタート期間を長めに設定しておくといったことが可能となっている。
[実施例5]
次に本発明の実施例5について説明する。なお本実施例は、スイッチを制御するための信号の取得経路などを除いては、基本的に実施例4と同様であるため、重複した説明は省略する。
本実施例におけるドライブ停止回路32およびその周辺に係る構成図を、図7に示す。本図に示すように、電源回路1は、入力電圧検知回路33を有している。入力電圧検知回路33は、電源端子Vinを介して、入力電圧(直流電源1とコイル3との間における電圧)Viが入力されるようになっている。
これにより入力電圧検知回路33は、入力電圧Viの大きさを常時検知する。そしてこの検知結果に基づいて、各スイッチ(SW1、SW2)を制御するための信号を生成し、各スイッチ(SW1、SW2)の開閉を制御する。より具体的には、例えば検知された入力電圧Viを所定の閾値と比較し、入力電圧Viが小さいほど、先述したソフトスタート期間が長くなるように、各スイッチ(SW1、SW2)を制御する。
ここで一般的に電源回路においては、入力電圧Viが小さいほど、出力電圧Voを生成するための昇圧動作における昇圧比が高くなり、ひいては、過電圧状態となった場合における出力電圧Voのオーバーシュートが生じ易くなる。しかし本実施例によれば、入力電圧Viが小さいほどソフトスタート期間が長くなるため、出力電圧Voのオーバーシュートを効率よく抑えることが可能となっている。
[実施例6]
次に本発明の実施例6について説明する。なお本実施例は、遅延回路を設けた点およびこれに関連する事項を除いては、基本的に実施例1と同様であるため、重複した説明は省略する。
本実施例におけるドライブ停止回路32およびその周辺に係る構成図を、図8に示す。本図に示すように、電源回路1は、遅延回路34を有している。遅延回路34は、過電圧保護回路31からドライブ停止回路32に向かう信号伝達経路に設けられており、過電圧保護回路31からドライブ停止回路32への復帰信号の伝送を、所定の遅延時間だけ遅延させる。
より具体的には、遅延回路34は、過電圧保護回路31側から復帰信号が入力された時に、遅延時間の計時(カウント)を開始する。ここで遅延回路34は、発振回路24から発振している信号を受取るようになっており、この信号を用いて遅延時間の計時を実行する。このとき例えば、発振周期の所定回数分を遅延時間として設定しておくと良い。そして遅延回路34は、この遅延時間が経過した時に、ドライブ停止回路32に復帰信号を出力する。なお遅延回路34は、復帰信号(つまり、過電圧保護回路31が出力する、立下りの信号)の伝送のみを遅延させることとし、停止信号(立上りの信号)の伝送については遅延させないようになっている。
このような遅延処理がなされることにより、出力電圧Voが過電圧状態となった場合におけるトランジスタ47のゲート電圧は、図12のグラフに示す通りとなる。このように、トランジスタ47のゲート電圧は、過電圧保護回路31から復帰信号が出力された時(図中のT2)の後も、遅延時間の経過時(図中のTa)までは、ローレベルを維持する。遅延時間の経過時からは、先述したソフトスタート期間となるために当該ゲート電圧は徐々に上昇する。そして最終的には(図中のT3)、当該ゲート電圧はハイレベルの状態に移行する。
本実施例によれば、出力電圧Voが過電圧状態から復帰したときにおいて、復帰処理を実行させるタイミングを意図的に遅らせたい場合に、そのような処理が可能となる。また遅延時間の計時は、発振信号(PWM信号の生成に使われているもの)の生成に用いられている発振回路24が利用されるようになっているため、別途発振回路を設けるようなものに比べて、処理の効率化を図ることが可能となっている。
[まとめ]
以上の通り、本発明の実施形態について実施例1〜実施例6の各々を挙げて説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない限り、種々の改変を加えることが可能である。また各実施例における技術内容は、矛盾の無い限り、互いに組合わせることが可能である。また本発明に係る電源回路は、LED等に係る電源装置に適用される他、種々の電子機器における電源回路等として適用され得る。