JP5146350B2 - 画像処理方法及び画像処理装置 - Google Patents
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Description
このような接触式の記録方法は、熱可逆記録媒体がフィルム、紙等のフレキシブルなものである場合には、プラテン等によって記録媒体を加熱源に均一に押し当てることにより、均一な画像記録及び画像消去を行うことができ、かつ従来の感熱紙用のプリンタの部品を転用することによって画像記録装置及び画像消去装置を安価に製造することができるという利点があった。
しかし、熱可逆記録媒体が、特許文献1及び特許文献2に記載されているようなRF−IDタグなどを内蔵している場合には、熱可逆記録媒体の厚みが厚くなりフレキシブル性が低下して加熱源を均一に押し当てるためには高い圧力が必要となる。また、熱可逆記録媒体の表面に凹凸が生じると、サーマルヘッド等を用いて画像記録及び画像消去することが困難になる。更に、RF−IDタグが非接触で離れたところから記憶情報の読み取り及び書き換えが行われるのに対して、熱可逆記録媒体についても離れた位置から画像を書き換えたいという要望が生じてきている。
そこで、熱可逆記録媒体の表面に凹凸が生じた場合や、離れたところから記録媒体に対して画像の記録及び消去を行う方法として、非接触方式のレーザを用いた記録方法が提案されている。
この記録装置は、モーターの作動による走査ミラー角度の変更によりレーザ光の照射方向を変え走査させて記録部にレーザ光照射することにより記録を行う。通常の記録装置では、レーザ光の照射パワー、及び走査速度の少なくともいずれかが一定になるように条件設定を行い、記録部領域で同じ温度になるようにレーザ光を照射することが理想である。
また、特許文献4では、レーザ描画の際に変角点の角度Rに応じて、照射エネルギーに対して、次式、|cos0.5R|k(0.3<k<4)を掛け合わせることでエネルギーを減らす工夫を行っている。これによりレーザで記録する際に線画の重なる部分に過剰なエネルギーが掛かることを防ぎ、熱可逆記録媒体の劣化を減少させることができる、あるいはエネルギーを下げ過ぎずにコントラストを維持することが可能となる。
また、特許文献5には、非接触型リライトサーマルラベルに収束されたレーザビームを照射して所定の描画を行うに際し、光走査装置を、レーザ光の発振を行うことなく連続駆動させ、レーザ光を発振した場合に想定されるレーザビームの軌跡(仮想レーザビーム)が実質上等速運動している場合のみに、レーザ光を発振させてレーザ光の走査を行い、描画する非接触型リライトサーマルラベルの記録方法が提案されている。
<1> 温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記熱可逆記録媒体を加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、
前記画像記録工程において、前記熱可逆記録媒体上でのレーザ光のビーム形状が非円形である場合に、該レーザ光を走査する方向に応じてP/V(ただし、Vはレーザ光の走査速度、Pはレーザ光の照射パワーを表す)を変更して画像記録を行うことを特徴とする画像処理方法である。
<2> レーザ光を走査する方向に応じてP/VにおけるVのみを変更して画像記録を行う前記<1>に記載の画像処理方法である。
<3> レーザ光を走査する方向に応じてP/VにおけるPのみを変更して画像記録を行う前記<1>に記載の画像処理方法である。
<4> 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層が第一の特定温度と該第一の特定温度よりも高温の第二の特定温度とで透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する前記<1>から<3>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<5> 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層が樹脂及び有機低分子物質を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<6> 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層がロイコ染料及び可逆性顕色剤を含有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<7> 画像記録工程及び画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、照射されるレーザ光の強度分布で、照射レーザ光の中心位置における光照射強度I1と、照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面での光照射強度I2とが、次式、0.40≦I1/I2≦2.00を満たす前記<1>から<6>のいずれかに記載の画像処理方法である。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の画像処理方法に用いられ、レーザ光出射手段と、該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置され、かつレーザ光の光照射強度を変化させる光照射強度調整手段とを少なくとも有することを特徴とする画像処理装置である。
<9> 光照射強度調整手段が、レンズ、フィルタ、マスク、ファイバーカップリング及びミラーの少なくともいずれかである前記<8>に記載の画像処理装置である。
前記画像記録工程において、前記熱可逆記録媒体上でのレーザ光のビーム形状が非円形である場合に、該レーザ光を走査する方向に応じてP/V(ただし、Vはレーザ光の走査速度、Pはレーザ光の照射パワーを表す)を変更して画像記録を行う。
本発明の画像処理方法においては、前記画像記録工程において、前記熱可逆記録媒体上でのレーザ光のビーム形状が非円形である場合に、該レーザ光を走査する方向に応じてP/V(ただし、Vはレーザ光の走査速度、Pはレーザ光の照射パワーを表す)を変更して画像記録を行うことにより、熱可逆記録媒体上の記録部に付与されるエネルギーが一定となり、画像を構成する描画線の方向により過剰なエネルギーが付与されるのを防止でき、画像を構成する全ての描画線について高濃度で均一な画像記録と均一な画像消去を行うことができ、画像記録及び画像消去の繰返しによるダメージを軽減して熱可逆記録媒体の劣化を防止できる。
本発明の画像処理装置においては、前記レーザ光出射手段が、レーザ光を出射する。前記光照射強度調整手段が、前記レーザ光出射手段から出射されたレーザ光の光照射強度を変化させる。その結果、前記熱可逆記録媒体に画像を記録すると、画像の繰返し記録及び消去による前記熱可逆記録媒体の劣化が効果的に抑制される。
本発明の画像処理方法は、画像記録工程及び画像消去工程の少なくともいずれかを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含んでなる。
本発明の前記画像処理方法においては、画像の記録及び画像の消去の両方を行う態様、画像の記録のみを行う態様、画像の消去のみを行う態様のいずれをも含む。
本発明の前記画像処理方法における前記画像記録工程は、温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより、前記熱可逆記録媒体に画像を記録する工程である。
本発明の前記画像処理方法における前記画像消去工程は、前記熱可逆記録媒体を加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する工程であり、熱源としてレーザ光を用いてもよく、レーザ光以外の熱源を用いてもよい。熱源の中でも、レーザ光を照射して加熱する場合、一本のレーザ光を走査して所定の面積全体に照射するのに時間を要することから、短時間で消去する場合には、赤外線ランプ、ヒートローラー、ホットスタンプ、ドライヤーなどを用いて加熱することにより消去するのが好ましい。また、物流ラインに用いる搬送用容器として発砲スチロール箱に前記熱可逆記録媒体を装備させた場合、該発泡スチロール箱自体が加熱されると溶融してしまうため、レーザ光を照射して前記熱可逆記録媒体のみを局所的に加熱することにより消去するのが好ましい。
なお、本発明の画像処理方法においては、通常、前記熱可逆記録媒体の再使用時に初めて画像の更新(前記画像消去工程)を行い、その後、前記画像記録工程により画像の記録を行うが、画像の記録及び消去の順序はこれに限られるものではなく、前記画像記録工程により画像を記録した後、前記画像消去工程により画像を消去してもよい。
前記レーザ光のビーム形状が非円形である場合(円形ではない場合)とは、図1Aに示すように、ビーム形状の長径aと短径bの比(長径a/短径b)が1.1以上であることを意味する。
そこで、本発明の画像処理方法では、前記画像記録工程において、熱可逆記録媒体上での照射レーザ光のビーム形状が円形ではない場合に、レーザ光の走査速度をV、レーザ光の照射パワーPとするときに、レーザ光を走査する方向に応じてP/Vを変更して画像記録を行う。この場合、ビーム径が長い方向へのレーザ光走査では、前記レーザ光の照射エネルギー密度P/Vを小さくして、ビーム径が短い方向にはP/Vを大きくすることが有効である。
P/Vの変更量としては、走査方向に対するビーム径の長さの逆数に比例して変化させることが好ましい。つまり、図1Bに示すように、レーザ光の走査方向のビーム径をRとすると、R/Vの時間熱可逆記録媒体にレーザ光を照射させることになり、エネルギーとしてはR*P/Vが加わることになり、熱可逆記録媒体上に均一なエネルギーを印加するには、走査方向に依存しないで(R*P/V)が一定となることが好ましい。(R*P/V)の変動量は、走査方向に因らず、15%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。
P/Vの変更は、レーザ光の走査速度(V)及び照射パワー(P)の少なくともいずれかを制御してもよい。
具体的には、ビーム径が長い方向の走査ではP/Vを小さくするために、レーザ光の走査速度(V)を上げるか、照射パワー(P)を下げるか、又はこれらを組み合わせることにより達成することができる。
また、前記レーザ光の走査速度の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10,000mm/s以下が好ましく、7,000mm/s以下がより好ましく、4,000mm/s以下が更に好ましい。前記走査速度が、10,000mm/sを超えると、均一な画像が記録し難くなることがある。
前記レーザ光のスポット径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.02mm以上が好ましく、0.1mm以上がより好ましく、0.2mm以上が更に好ましい。また、前記レーザ光のスポット径の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましく、1.0mm以下が更に好ましい。
前記スポット径は、発色させる線幅に比例しており、スポット径が小さいと、線幅が狭く、コントラストが小さくなり視認性が低下して、スポット径が大きくなると、線幅が太くなり、隣接する線が重なり、小さな文字の印字が不可能となる。
ここで、前記照射レーザ光の中心位置とは、各位置の光照射強度と、各位置座標の積の総和を、各位置の光照射強度の総和で割って得ることができる位置であり、以下の式で示すことができる。
Σ(ri×Ii)/ΣIi
ただし、riは各位置座標、Iiは各位置の光照射強度、ΣIiは全光照射強度を表す。
前記全照射エネルギーとは、熱可逆記録媒体上に照射されるレーザ光の全エネルギーを指す。
従来、レーザを用いて何らかのパターンを形成する場合には、熱可逆記録媒体上をレーザ光が走査される進行方向(以下、「進行方向」という)の直交断面の光分強度布はガウス分布となっており、光照射の中心部は周辺部に比して光照射強度が極端に強いものであった。このガウス分布のレーザ光を前記熱可逆記録媒体に照射すると、前記中心部では温度が上がりすぎて画像の記録と画像の消去とを繰り返すとその部分が劣化し、繰り返し回数が低下することとなり、また中心部の温度を劣化する温度まで上げないようにレーザ照射エネルギーを低下させると、画像のサイズが小さくなり、画像コントラストの低下や画像記録に時間がかかってしまうという問題があった。
そこで、本発明の前記画像処理方法では、前記画像記録工程において照射されるレーザ光の進行方向直交断面の光分強度布において、ガウス分布に比べて、前記中心部の光照射強度が前記周辺部の光照射強度に対して小さくなるようにすることにより、画像の記録及び消去の繰返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑制しながら画像のサイズを小さくすることなく、画像コントラストを維持したまま繰返し耐久性の向上を実現している。
前記光強度比I1/I2は、0.40以上とすることが好ましく、より好ましくは0.50以上、更に好ましくは0.60以上で、特に好ましくは、0.70以上となる。また、光強度比I1/I2は、2.00以下とすることが好ましく、より好ましくは1.90以下、更に好ましくは1.80以下で、特に好ましくは、1.70以下となる。
前記光強度比I1/I2が、2.00を超えると、中心位置の光強度が強くなり、熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わり、繰返し画像記録を行ったときに熱可逆記録媒体の劣化による消え残りが発生することがある。一方、前記光強度比I1/I2が、0.40を下回ると、周辺部に対して中心位置にエネルギーが加わらなくなり、画像を記録した時に線の中央部が発色せずに線が2本に割れることがあり、線の中央部を発色させるように照射エネルギーを上げると周辺部の光強度が強くなり過ぎて熱可逆記録媒体に過剰なエネルギーが加わり、繰返し記録及び消去を行ったときに線の周辺部に熱可逆記録媒体の劣化による消え残りが発生することがある。
更に、前記光強度比I1/I2が1.59より大きいと、中心位置の光照射強度が周辺部の光照射強度に対して強い光強度分布となることから、画像の記録及び消去の繰り返しによる前記熱可逆記録媒体の劣化を抑制しながら、照射パワーを調整することにより照射距離を変更しなくても描画線の太さを変えることができる。
図2Bはガウス分布を示し、このような中心位置の光照射強度が強い光強度分布では、I1/I2値は大きくなる(ガウス分布の時、光強度比I1/I2=2.3)。また、図2Cのような図2Bの光強度分布より中心位置の光照射強度が弱い光強度分布では、前記光強度比I1/I2は図2Bの光強度分布よりも小さくなる。図2Dのようなトップハット形状に近い光強度分布では、前記光強度比I1/I2は図2Cの光強度分布よりも更に小さくなる。図2Eのような中心位置の光照射強度が弱く、周辺部の光照射強度が強い光強度分布では、前記光強度比I1/I2は図2Dの光強度分布よりも更に小さくなる。よって、前記光強度比I1/I2は前記レーザ光の光照射強度分布の形状を表していることになる。
前記光強度比I1/I2が、1.59以下であると、トップハット形状あるいは中央部の光照射強度が周辺部の光照射強度に対して弱い強度分布となる。
前記光照射強度調整手段としては、レンズ、フィルタ、マスク、ミラー、ファイバーカップリングなどが好適に挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でもエネルギーロスが少ないレンズが好ましく、レンズとしては、カライドスコープ、インテグレータ、ビームホモジナイザー、非球面ビームシェイパー(強度変換レンズと位相補正レンズとの組合せ)、非球面素子レンズ、回折光学素子などを好適に使用することができ、特に、非球面素子レンズ、回折光学素子が好ましい。
フィルタ、マスクなどを用いる場合、前記レーザ光の中心部を物理的にカットすることにより光照射強度を調整することができる。また、ミラーを用いる場合、コンピュータと連動して機械的に形状が変えられるディフォーマブルミラー、反射率あるいは表面凹凸が部分的に異なるミラーなどを用いることにより光照射強度を調整することができる。
近赤外、可視光の発振波長を有するレーザの場合は、ファイバーカップリングすることによって、光照射強度の調整を容易に行うことができるので好ましい。近赤外、可視光の発振波長を有するレーザとしては、半導体レーザ、固体レーザ等が挙げられる。
なお、前記光照射強度調整手段による、光照射強度の調整方法については、後述する本発明の画像処理装置の説明において詳述する。
前記レーザ光を出射するレーザとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ(LD)などが挙げられる。
本発明においては、照射レーザの種類の問わず効果があり、上記CO2レーザ、半導体レーザ、YAGレーザ等のいずれに対しても効果を示すことができる。
前記スポット径が小さいと、画像の線幅が細くなり、コントラストが小さくなって視認性が低下する。また、スポット径が大きくなると、画像の線幅が太くなり、隣接する線が重なり、小さな文字の印字が不可能となる。
前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより画像を消去する画像消去工程において照射されるレーザ光の走査速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100mm/s以上が好ましく、200mm/s以上がより好ましく、300mm/s以上が更に好ましい。前記走査速度が、100mm/s未満であると、画像消去に時間がかかる。また、前記レーザ光の走査速度の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20,000mm/s以下が好ましく、15,000mm/s以下がより好ましく、10,000mm/s以下が更に好ましい。前記走査速度が、20,000mm/sを超えると、均一な画像消去がし難くなることがある。
前記熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより画像を消去する画像消去工程において照射されるレーザ光のスポット径としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましく、2.0mm以上が更に好ましい。また、前記レーザ光のスポット径の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、14.0mm以下が好ましく、10.0mm以下がより好ましく、7.0mm以下が更に好ましい。
前記スポット径が小さいと、画像消去に時間がかかる。また、スポット径が大きくなると、出力が不足して画像の消去不良が発生することがある。
前記画像記録及び画像消去メカニズムには、温度に依存して透明度が可逆的に変化する態様と、温度に依存して色調が可逆的に変化する態様とがある。
前記透明度が可逆的に変化する態様では、前記熱可逆記録媒体における前記有機低分子が、前記樹脂中に粒子状に分散されてなり、前記透明度が、透明状態と白濁状態とに熱により可逆的に変化する。
前記透明度の変化の視認は、下記現象に由来する。即ち、(1)透明状態の場合、樹脂母材中に分散された前記有機低分子物質の粒子と、前記樹脂母材とは隙間なく密着しており、また、前記粒子内部にも空隙が存在しないため、片側から入射した光は散乱することなく反対側に透過し、透明に見える。一方、(2)白濁状態の場合、前記有機低分子物質の粒子は、前記有機低分子物質の微細な結晶で形成されており、該結晶の界面又は前記粒子と前記樹脂母材との界面に隙間(空隙)が生じ、片側から入射した光は前記空隙と前記結晶との界面、あるいは前記空隙と前記樹脂との界面において屈折し散乱するため、白く見える。
前記記録層は、例えば、T0以下の常温では、白濁不透明状態(A)である。これを加熱していくと、温度T1から徐々に透明になり始め、温度T2〜T3に加熱すると透明(B)となり、この状態で再びT0以下の常温に戻しても透明(D)のままである。これは、温度T1付近から前記樹脂が軟化し始め、軟化が進むにつれて該樹脂が収縮し、該樹脂と前記有機低分子物質粒子との界面、あるいは前記粒子内の空隙を減少させるため、徐々に透明度が上がり、温度T2〜T3では、前記有機低分子物質が半溶融状態となり、残った空隙を、前記有機低分子物質が埋めることにより透明となり、種結晶が残ったまま冷却されると比較的高温で結晶化し、その際、前記樹脂がまだ軟化状態にあるため、結晶化に伴う粒子の堆積変化に前記樹脂が追随し、前記空隙が生じず、透明状態が維持されるためであると考えられる。
更にT4以上の温度に加熱すると、最大透明度と最大不透明度との中間の半透明状態(C)になる。次に、この温度を下げていくと、再び透明状態になることなく、最初の白濁不透明状態(A)に戻る。これは、温度T4以上で前記有機低分子物質が完全に溶融した後、過冷却状態となり、T0より少し高い温度で結晶化し、その際、前記樹脂が結晶化に伴う体積変化に追随することができず、空隙が発生するためであると考えられる。
ただし、図3Aに示す温度−透明度変化曲線は、前記樹脂、前記有機低分子物質等の種類を変えると、その種類に応じて、各状態の透明度に変化が生じることがある。
図3Bでは、1つの長鎖低分子粒子と、その周囲の高分子とを取り出し、加熱及び冷却に伴う空隙の発生及び消失変化を図示している。白濁状態(A)では、高分子と低分子粒子との間(又は粒子内部)に空隙が生じ、光散乱状態となっている。これを加熱し、前記高分子の軟化点(Ts)を超えると、空隙は減少して透明度が増加する。更に加熱し、前記低分子粒子の融点(Tm)近くになると、該低分子粒子の一部が溶融し、溶融した低分子粒子の体積膨張のため、空隙に前記低分子粒子が充満して空隙が消失し、透明状態(B)となる。ここから冷却すると、融点直下で前記低分子粒子は結晶化し、空隙は発生せず、室温でも透明状態(D)が維持される。
次に、前記低分子粒子の融点以上に加熱すると、溶融した低分子粒子と周囲の高分子との屈折率にズレが生じ、半透明状態(C)となる。ここから室温まで冷却すると前記低分子粒子は過冷却現象を生じ高分子の軟化点以下で結晶化し、このとき前記高分子はガラス状態となっているため、前記低分子粒子の結晶化に伴う体積減少に、周囲の高分子が追随できず、空隙が発生して元の白濁状態(A)に戻る。
以上より、前記有機低分子物質が結晶化する前に画像消去温度に加熱されても、前記有機低分子物質は溶融状態であるため、過冷却状態となり、前記樹脂が前記有機低分子物質の結晶化に伴う体積変化に追随できず、空隙が発生するため、白濁状態になると考えられる。
図4Aに、前記樹脂中に前記ロイコ染料及び前記顕色剤を含んでなる熱可逆記録層を有する熱可逆記録媒体について、その温度−発色濃度変化曲線の一例を示し、図4Bに、透明状態と発色状態とが熱により可逆的に変化する前記熱可逆記録媒体の発消色メカニズムを示す。
まず、初め消色状態(A)にある前記記録層を昇温していくと、溶融温度T1にて、前記ロイコ染料と前記顕色剤とが溶融混合し、発色が生じ溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると、発色状態のまま室温に下げることができ、発色状態が安定化されて固定された発色状態(C)となる。この発色状態が得られたかどうかは、溶融状態からの降温速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が生じ、初期と同じ消色状態(A)、あるいは急冷による発色状態(C)よりも相対的に濃度の低い状態となる。一方、発色状態(C)から再び昇温していくと、発色温度よりも低い温度T2にて消色が生じ(DからE)、この状態から降温すると、初期と同じ消色状態(A)に戻る。
溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は、前記ロイコ染料と前記顕色剤とが分子同士で接触反応し得る状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態では、前記ロイコ染料と前記顕色剤との溶融混合物(前記発色混合物)が結晶化して発色を保持した状態であり、この構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は、両者が相分離した状態である。この状態は、少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり、結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより前記ロイコ染料と前記顕色剤とが分離して安定化した状態であると考えられる。多くの場合、このように、両者が相分離して前記顕色剤が結晶化することにより、より完全な消色が生じる。
なお、図4Aに示す、溶融状態から徐冷による消色、及び発色状態からの昇温による消色はいずれもT2で凝集構造が変化し、相分離や前記顕色剤の結晶化が生じている。
以上より、前記顕色剤が融解して前記ロイコ染料と形成した前記発色混合物が結晶化する前に、画像消去温度に加熱されると、前記ロイコ染料と前記顕色剤との分離が妨げられ、結果として、発色状態を維持すると考えられる。
前記交点部が消去されているとは、例えば、マクベス濃度計(RD914)を用い、前記交点部を含む直線画像の画像濃度を連続的に測定し、前記熱可逆記録媒体の透明度が可逆的に変化する態様では、画像濃度が1.2以上、前記熱可逆記録媒体の色調が可逆的に変化する態様では、画像濃度が0.5以下であることを意味する。なお、前記熱可逆記録媒体の透明度が可逆的に変化する態様では、背面に黒色紙(O.D.値=2.0)を敷いて測定する。
また、前記熱可逆記録媒体をX線解析することにより、結晶化しているかどうかを確認することもできる。前記有機低分子物質が結晶化している場合、前記有機低分子物質の種類に応じて独自の結晶構造を示し、X線解析によりその結晶構造に対応する散乱ピークを検出することができる。該散乱ピーク位置については、前記有機低分子物質単独のX線解析を行うことにより、容易に確認することができる。また、X線解析装置によっては、温度を変化させながら測定することも可能であるので、前記有機低分子物質を加熱溶融させた後、該有機低分子物質の結晶化の過程を確認することができる。
本発明の前記画像処理方法に用いられる熱可逆記録媒体は、支持体と、該支持体上に熱可逆記録層とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、保護層、紫外線吸収層、酸素バリア層、中間層、アンダーコート層、バック層、光熱変換層、接着層、粘着層、着色層、空気層、光反射層等のその他の層を有してなる。これら各層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記熱可逆記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、酸化シリコン、酸化アルミニウム、SiO2、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、紙、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のフィルムなどが挙げられる。
前記無機材料及び前記有機材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、有機材料が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
また、前記支持体に、酸化チタン等の白色顔料などを添加することにより、白色にするのが好ましい。
前記支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm〜2,000μmが好ましく、50μm〜1,000μmがより好ましい。
前記熱可逆記録層(以下、単に「記録層」と称することがある)は、温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する材料を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する材料は、温度変化により、目に見える変化を可逆的に生じる現象を発現可能な材料であり、加熱温度及び加熱後の冷却速度の違いにより、相対的に発色した状態と消色した状態とに変化可能である。この場合、目に見える変化は、色の状態の変化と形状の変化とに分けられる。該色の状態の変化は、例えば、透過率、反射率、吸収波長、散乱度などの変化に起因し、前記熱可逆記録媒体は、実際には、これらの変化の組合せにより色の状態が変化する。
具体的には、第一の特定温度で透明状態となり、第二の特定温度で白濁状態となるもの(特開昭55−154198号公報参照)、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色するもの(特開平4−224996号公報、特開平4−247985号公報、特開平4−267190号公報等参照)、第一の特定温度で白濁状態となり、第二の特定温度で透明状態となるもの(特開平3−169590号公報参照)、第一の特定温度で黒、赤、青等に発色し、第二の特定温度で消色するもの(特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報等参照)などが挙げられる。
これらの中でも、樹脂母材と該樹脂母材中に分散させた高級脂肪酸等の有機低分子物質とからなる熱可逆記録媒体は、第二の特定温度及び第一の特定温度が比較的低く、低エネルギーでの消去記録が可能な点で有利である。また、発消色メカニズムが、樹脂の固化と有機低分子物質の結晶化とに依存する物理変化であるため、耐環境性に強い特性がある。
また、後述するロイコ染料と可逆性顕色剤とを用いた、第二の特定温度で発色し、第一の特定温度で消色する熱可逆記録媒体は、透明状態と発色状態とを可逆的に示し、発色状態では、黒、青、その他の色を示すため、高コントラストな画像を得ることができる。
このような有機低分子物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカノール;アルカンジオール;ハロゲンアルカノール又はハロゲンアルカンジオール;アルキルアミン;アルカン;アルケン;アルキン;ハロゲンアルカン;ハロゲンアルケン;ハロゲンアルキン;シクロアルカン;シクロアルケン;シクロアルキン;飽和又は不飽和モノ若しくはジカルボン酸及びこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;飽和又は不飽和ハロゲン脂肪酸及びこれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;アリールカルボン酸及びそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;ハロゲンアリルカルボン酸及びそれらのエステル、アミド又はアンモニウム塩;チオアルコール;チオカルボン酸及びそれらのエステル、アミン又はアンモニウム塩;チオアルコールのカルボン酸エステル;などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記有機低分子物質は、その分子中に、酸素、窒素、硫黄及びハロゲンから選択される少なくとも1種、例えば、−OH、−COOH、−CONH−、−COOR、−NH−、−NH2、−S−、−S−S−、−O−、ハロゲン原子等を含んでいるのが好ましい。
更に具体的には、これらの化合物としては、例えば、ラウリン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ノナデカン酸、アラギン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸メチル、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸オクタデシル、ラウリン酸オクタデシル、パルミチン酸テトラデシル、ベヘン酸ドデシル等の高級脂肪酸のエステルなどが挙げられる。これらの中でも、前記画像処理方法の第3の態様で用いられる有機低分子物質としては、高級脂肪酸が好ましく、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸等の炭素数16以上の高級脂肪酸がより好ましく、炭素数16〜24の高級脂肪酸が更に好ましい。
このような樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体等の塩化ビニル系共重合体;ポリ塩化ビニリデン;塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系共重合体;ポリエステル;ポリアミド;ポリアクリレート又はポリメタクリレート若しくはアクリレート−メタクリレート共重合体;シリコーン樹脂;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂の比率が、2:1よりも小さいと、前記有機低分子物質を前記樹脂母材中に保持した膜を形成することが困難となることがあり、1:16よりも大きくなると、前記有機低分子物質の量が少ないため、前記記録層の不透明化が困難になることがある。
前記記録層の作製用溶剤としては、特に制限はなく、前記樹脂母材及び前記有機低分子物質の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノール、トルエン、ベンゼンなどが挙げられる。なお、前記分散液を使用した場合はもちろん、前記溶液を使用した場合も、得られる記録層中では前記有機低分子物質は微粒子として析出し、分散状態で存在する。
前記(1)ロイコ染料を発色させる顕色能を有する構造としては、フェノールが特に好ましい。
前記(2)分子間の凝集力を制御する構造としては、炭素数8以上の長鎖炭化水素基が好ましく、該炭素数は11以上がより好ましく、また炭素数の上限としては、40以下が好ましく、30以下がより好ましい。
前記R1、前記R2、及び前記R3の炭素数の和としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限としては、8以上が好ましく、11以上がより好ましく、上限としては、40以下が好ましく、35以下がより好ましい。
前記炭素数の和が、8未満であると、発色の安定性や消色性が低下することがある。
前記脂肪族炭化水素基は、直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよく、不飽和結合を有していてもよいが、直鎖であるのが好ましい。また、前記炭化水素基に結合する置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等が挙げられる。
X及びYは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、N原子又はO原子を含む2価の基を表し、具体例としては、酸素原子、アミド基、尿素基、ジアシルヒドラジン基、シュウ酸ジアミド基、アシル尿素基等が挙げられる。これらの中でも、アミド基、尿素基が好ましい。
nは、0〜1の整数を示す。
前記可逆性顕色剤が、0.1未満である場合、及び20を超える場合には、発色状態の濃度が低下することがある。
また、前記消色促進剤を添加する場合、その添加量は、前記可逆性顕色剤100質量部に対して0.1質量部〜300質量部が好ましく、3質量部〜100質量部がより好ましい。
なお、前記ロイコ染料と前記可逆性顕色剤とは、マイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
前記バインダー樹脂としては、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱、紫外線、電子線等によって硬化可能な樹脂が好ましく、イソシアネート系化合物等を架橋剤として用いた熱硬化性樹脂が特に好適である。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、水酸基、カルボキシル基等の架橋剤と反応する基を有する樹脂、又は水酸基、カルボキシル基等を有するモノマーとそれ以外のモノマーとを共重合させた樹脂、などが挙げられる。
このような熱硬化性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂が特に好ましい。
前記架橋促進剤としては、例えば、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン等の3級アミン類、有機スズ化合物等の金属化合物などが挙げられる。
前記熱架橋した場合の前記熱硬化性樹脂のゲル分率としては、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上が更に好ましい。前記ゲル分率が30%未満であると、架橋状態が十分でなく耐久性に劣ることがある。
なお、これらにおいて、前記支持体を用いることなく、シート状の熱可逆記録媒体として成形することもできる。また、前記記録層用塗布液は分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散させてもよいし、各々単独で溶媒中に分散させて混ぜ合わせてもよく、加熱溶解した後、急冷又は徐冷することによって材料を析出させてもよい。
なお、前記可逆性顕色剤は、前記記録層中では粒子状に分散して存在している。
前記記録層の塗工方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、ロール状で連続して、又はシート状に裁断した前記支持体を搬送し、該支持体上に、例えば、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等の公知の方法を用いて行うことができる。
前記記録層用塗布液の乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、室温〜140℃の温度で、10秒間〜10分間程度、などが挙げられる。
前記記録層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、1μm〜20μmが好ましく、3μm〜15μmがより好ましい。前記記録層の厚みが、1μm未満であると、発色濃度が低くなるため画像のコントラストが低くなることがあり、20μmを超えると、層内での熱分布が大きくなり、発色温度に達せず発色しない部分が発生し、所望の発色濃度を得ることができなくなることがある。
前記保護層は、前記記録層を保護する目的で、該記録層上に設けられるのが好ましい。
前記保護層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複数層に形成してもよいが、露出している層の最表面に設けるのが好ましい。
前記保護層は、バインダー樹脂を少なくとも含み、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記UV硬化性樹脂は、硬化後非常に硬い膜を形成することができ、表面の物理的な接触によるダメージやレーザ加熱による媒体変形を抑止することができるため繰り返し耐久性に優れた熱可逆記録媒体を得ることができる。
また、前記熱硬化性樹脂は、前記UV硬化性樹脂にはやや劣るものの、同様に表面を硬くすることができ、繰り返し耐久性に優れた熱可逆記録媒体を得ることができる。
前記光重合開始剤及び前記光重合促進剤の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記保護層の樹脂成分の全質量に対し、0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%がより好ましい。
前記光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、カリウムランプ、水銀キセノンランプ、フラッシュランプなどが挙げられる。
前記光源から出射される光の波長としては、特に制限はなく、前記記録層に含まれる光重合開始剤及び光重合促進剤の紫外線吸収波長に応じて適宜選択することができる。
前記紫外線の照射条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記樹脂を架橋するために必要な照射エネルギーに応じてランプ出力、搬送速度等を適宜決定すればよい。
これらの添加量としては、前記保護層の樹脂成分全質量に対して、0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜40質量%がより好ましい。
前記添加量は、わずかでも効果を発現することはできるが、0.01質量%未満であると、添加による効果が得られ難くなることがあり、50質量%を超えると、下層との接着性に問題が生じる場合がある。
また、前記保護層中には、有機紫外線吸収剤を含有していてもよく、その含有量としては、前記保護層の樹脂成分全質量に対して、0.5質量%〜10質量%が好ましい。
また、静電気対策として、導電性フィラーを用いるのが好ましく、該導電性フィラーとしては、針状のものを用いるのがより好ましい。
前記導電性フィラーとしては、アンチモンドープ酸化スズで表面が被覆されている酸化チタンが特に好適に挙げられる。
前記無機フィラーの粒径としては、例えば、0.01μm〜10.0μmが好ましく、0.05μm〜8.0μmがより好ましい。
前記無機フィラーの添加量としては、前記保護層のバインダー樹脂1質量部に対し、0.001質量部〜2質量部が好ましく、0.005質量部〜1質量部がより好ましい。
前記保護層の強度を向上させるためには、充分な塗膜強度が得られる点で、前記熱硬化性樹脂の水酸基価が、10mgKOH/g以上が好ましく、30mgKOH/g以上がより好ましく、40mgKOH/g以上が更に好ましい。充分な塗膜強度を付与することにより、繰返し消去及び記録を行っても、前記熱可逆記録媒体の劣化を抑えることができる。前記硬化剤としては、例えば、前記記録層で用いられた硬化剤と同様なものを好適に使用することができる。
更に、紫外線吸収構造を有するポリマー(以下、「紫外線吸収ポリマー」と称することがある)を用いてもよい。
ここで、前記紫外線吸収構造を有するポリマーとは、紫外線吸収構造(例えば、紫外線吸収性基)を分子中に有するポリマーを意味する。
前記紫外線吸収構造としては、例えば、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などが挙げられる。これらの中でも、耐光性が良好な点で、ベゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造が特に好ましい。
前記紫外線吸収構造を有するポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとスチレンからなる共重合体、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルとメタクリル酸メチルとからなる共重合体、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとメタクリル酸メチルとメタクリル酸t−ブチルとからなる共重合体、2,2,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノンとメタクリル酸2−ヒドロキシプロピルとスチレンとメタクリル酸メチルとメタクリル酸プロピルとからなる共重合体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜10μmがより好ましく、1.5μm〜6μmが更に好ましい。前記厚みが、0.1μm未満であると、前記熱可逆記録媒体の保護層としての機能を充分に発揮することができず、熱による繰返し履歴により、すぐに劣化し、繰返し使用することができなくなることがあり、20μmを超えると、前記保護層の下層にある記録層に充分な熱を伝えることができなくなり、熱による画像の記録と消去とが充分にできなくなることがある。
本発明においては、前記記録層中のロイコ染料の紫外線による着色及び光劣化による消え残りを防止する目的で、支持体と反対側に位置する熱可逆記録層の支持体とは反対側に紫外線吸収層を設けることが好ましく、これによって前記記録媒体の耐光性が改善できる。特に紫外線吸収層が390nm以下の紫外線を吸収するように、紫外線吸収剤・厚みを適宜選択することで、耐光性は大きく改善される。
前記紫外線吸収層は、少なくともバインダー樹脂と紫外線吸収剤を含有し、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記記録層のバインダー樹脂や熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の樹脂成分を用いることができる。該樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、飽和ポリエステル、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリアミドなどが挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、有機系及び無機系化合物のいずれでも用いることができる。
また、紫外線吸収構造を持つポリマー(以下、「紫外線吸収ポリマー」と称することもある)を用いることが好ましい。
ここで、前記紫外線吸収構造を持つポリマーとは、紫外線吸収構造(例えば、紫外線吸収性基)を分子中に有するポリマーを意味する。該紫外線吸収構造としては、例えば、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などが挙げられ、これらの中でも、ロイコ染料の光劣化の原因である340〜400nmの紫外線を吸収することからベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造が特に好ましい。
前記紫外線吸収層の厚みは、0.1μm〜30μmが好ましく、0.5μm〜20μmがより好ましい。前記紫外線吸収層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、紫外線吸収層の塗工方法、紫外線吸収層の乾燥・硬化方法等は、前記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
本発明においては、熱可逆記録層に酸素が進入することを防ぐことにより、前記熱可逆記録層中のロイコ染料の光劣化を防止する目的で、熱可逆記録層における支持体を有する側と反対側の位置、及び支持体と熱可逆記録層の間の位置の少なくともいずれかに酸素バリア層を設けることが好ましく、両位置に酸素バリア層を設けることが特に好ましい。また、前記熱可逆記録層中のロイコ染料の光劣化を防止するために、前記紫外線吸収層と酸素バリア層を、熱可逆記録層における支持体を有する側と反対側の面上に設けてもよく、更に紫外線吸収層上に酸素バリア層を設けてもよく、酸素バリア層上に紫外線吸収層を設けてもよい。
前記酸素バリア層は、前記記録層の下側又は支持体の裏面など、前記酸素バリア層で記録層を挟み込むように設けることもできる。これにより、記録層への酸素侵入をより効果的に防ぐことができ、ロイコ染料の光劣化をより少なくすることができる。
前記酸素バリア層の形成方法としては、特に制限はなく、通常の溶融押出し法、コーティング法及びラミネート法等を挙げることができる。
前記酸素バリア層の厚さは、樹脂又は高分子フィルムの酸素透過性によって異なるが、0.1μm〜100μmが好ましい。これより薄いと酸素バリアが不完全であり、厚いと透明性が低下するので好ましくない。
前記中間層は、前記記録層と前記保護層との接着性向上、前記保護層の塗布による前記記録層の変質防止、前記保護層中の添加剤の前記記録層への移行の防止、などを目的として、両者の間に設けられるのが好ましい。この場合、発色画像の保存性を改善することができる。
前記中間層は、バインダー樹脂を少なくとも含み、更に必要に応じて、フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂などが挙げられる。
なお、前記有機系及び無機系紫外線吸収剤は、前記記録層に含有させてもよい。
また、紫外線吸収ポリマーを用いてもよく、架橋剤により硬化してもよい。これらは前記保護層で用いるものと同様のものを好適に使用することができる。
前記中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、中間層の塗工方法、中間層の乾燥方法、硬化方法等は、前記記録層の作製において説明した公知の方法を用いることができる。
印加した熱を有効に利用し高感度化するため、又は前記支持体と前記記録層との接着性の改善や前記支持体への前記記録層材料の浸透防止を目的として、前記記録層と前記支持体との間に、アンダー層を設けてもよい。
前記アンダー層は、中空粒子を少なくとも含有してなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記中空粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、熱可塑性樹脂などが好適に挙げられる。
前記中空粒子は、適宜製造したものであってもよいし、市販品であってもよい。
前記中空粒子の前記アンダー層における添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、10質量%〜80質量%が好ましい。
また、前記アンダー層には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク等の無機フィラー及び各種有機フィラーの少なくともいずれかを含有させることができる。
なお、前記アンダー層には、その他、滑剤、界面活性剤、分散剤などを含有させることもできる。
前記アンダー層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜50μmが好ましく、2μm〜30μmがより好ましく、12μm〜24μmが更に好ましい。
前記熱可逆記録媒体のカールや帯電防止、搬送性の向上のために、前記支持体の前記記録層を設ける面と反対側に、バック層を設けてもよい。
前記バック層は、バインダー樹脂を少なくとも含み、更に必要に応じて、フィラー、導電性フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
前記紫外線硬化樹脂、前記熱硬化性樹脂については、前記記録層、前記保護層、及び前記中間層で用いられるものと同様なものを好適に用いることができる。また、前記フィラー、前記導電性フィラー、前記滑剤についても同様である。
前記光熱変換層は、レーザ光を吸収し発熱する機能を有する層であり、レーザ光を吸収し発熱する役割を有する光熱変換材料を少なくとも含有してなる。
前記光熱変換材料は、無機系材料と有機系材料とに大別できる。
前記無機系材料としては、例えば、カーボンブラックやGe、Bi、In、Te、Se、Cr等の金属又は半金属及びそれを含む合金が挙げられ、これらは、真空蒸着法や粒子状の材料を樹脂等で接着して層状に形成される。
前記有機系材料としては、吸収すべき光波長に応じて各種の染料を適宜用いることができるが、光源として半導体レーザを用いる場合には、700nm〜1,500nm付近に吸収ピークを有する近赤外吸収色素が用いられる。具体的には、シアニン色素、キノン系色素、インドナフトールのキノリン誘導体、フェニレンジアミン系ニッケル錯体、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素などが挙げられる。画像記録及び消去を繰り返すためには、耐熱性に優れた光熱変換材料を選択するのが好ましい。
前記近赤外吸収色素は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、前記記録層中に混ぜ込んでもよい。この場合、前記記録層は、前記光熱変換層を兼ねることとなる。
前記光熱変換層を設ける場合には、通常、前記光熱変換材料は、バインダー樹脂と併用して用いられる。該光熱変換層に用いられるバインダー樹脂としては、特に制限はなく、前記無機系材料及び有機系材料を保持できるものであれば、公知のものの中から適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが好ましく、前記記録層で用いられたバインダー樹脂と同様なものを好適に用いることができる。これらの中でも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱、紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、特にイソシアネート系化合物などを架橋剤として用いた熱架橋樹脂が好ましい。前記バインダー樹脂において、その水酸基価は100mgKOH/g〜300mgKOH/gであることが好ましい。
前記光熱変換層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.1μm〜20μmであることが好ましい。
前記支持体の記録層形成面の反対面に、接着層又は粘着層を設けることにより、前記熱可逆記録媒体を、熱可逆記録ラベルの態様で得ることができる。
前記接着層及び前記粘着層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて一般的に使われているものの中から適宜選択することができる。
このような接着層又は粘着層を設けた熱可逆記録ラベルは、ICカード、光カード等の厚手のカードにも好適である。
前記熱可逆記録媒体には、視認性を向上させる目的で、前記支持体と前記記録層との間に着色層を設けてもよい。
前記着色層は、着色剤及び樹脂バインダーを含有する溶液、又は分散液を対象面に塗布し乾燥する、あるいは単に、着色シートを貼り合せることにより形成することができる。
前記カラー印刷層における着色剤としては、従来のフルカラー印刷に使用されるカラーインク中に含まれる各種の染料及び顔料等が挙げられる。
前記樹脂バインダーとしては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂又は電子線硬化性樹脂などが挙げられる。
前記カラー印刷層の厚みとしては、特に制限はなく、印刷色濃度に対して適宜変更されるため、所望の印刷色濃度に合わせて選択することができる。
また、前記熱可逆記録媒体の熱可逆記録層と同一面の一部若しくは全面、又は反対面の一部分に、オフセット印刷、グラビア印刷などの印刷、又はインクジェットプリンタ、熱転写プリンタ、昇華型プリンタ等によって任意の絵柄などを形成した着色層を設けてもよく、更に前記着色層上の一部分又は全面に、硬化性樹脂を主成分とするOPニス層を設けてもよい。
前記絵柄としては、例えば、文字、模様、図柄、写真、赤外線で検知する情報などが挙げられる。
また、単純に構成する各層のいずれかに染料や顔料を添加して着色することもできる。
更に、前記熱可逆記録媒体には、セキュリティのためにホログラムを設けることもできる。また、意匠性付与のために、レリーフ状、インタリヨ状に凹凸を付けて人物像や社章、シンボルマーク等のデザインを設けることもできる。
前記熱可逆記録媒体は、その用途に応じて所望の形状に加工することができ、例えば、カード状、タグ状、ラベル状、シート状、ロール状などに加工される。
また、カード状に加工されたものについては、プリペイドカード、ポイントカード、更にはクレジットカード等へ応用することができる。
更に、カードサイズよりも小さなタグ状のサイズでは、値札等に利用することができ、カードサイズよりも大きなタグ状のサイズでは、工程管理や出荷指示書、チケット等に使用することができる。
ラベル状のものは、貼り付けることができるために、様々な大きさに加工され、繰返し使用する台車や容器、箱、コンテナ等に貼り付けて工程管理、物品管理等に使用することができる。また、カードサイズよりも大きなシートサイズでは、記録する範囲が広くなるため、一般文書や工程管理用の指示書等に使用することができる。
前記熱可逆記録部材は、可逆表示可能な前記熱可逆記録層(記録層)と情報記憶部とを、同一のカードやタグに設け(一体化させ)、該情報記憶部の記憶情報の一部を前記記録層に表示することにより、特別な装置がなくてもカードやタグを見るだけで情報を確認することができ、利便性に優れる。また、情報記憶部の内容を書き換えたときには、熱可逆記録部の表示を書き換えることで、前記熱可逆記録媒体を繰り返し何度も使用することができる。
なお、前記情報記憶部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、磁気記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリ、RF−IDタグなどが好適に挙げられる。工程管理、物品管理等に使用する場合には、RF−IDタグが特に好適に使用可能である。
なお、前記RF−IDタグは、ICチップと、該ICチップに接続したアンテナとから構成されている。
図5は、RF−IDタグの概略図の一例を示す。このRF−IDタグ85は、ICチップ81と、該ICチップ81に接続したアンテナ82とから構成されている。前記ICチップ81は、記憶部、電源調整部、送信部、及び受信部の4つに区分されており、それぞれが働きを分担して通信を行っている。通信はRF−IDタグ85と、リーダライタとのアンテナが電波により通信してデータのやり取りを行う。具体的には、RF−ID85のアンテナが、リーダライタからの電波を受信し共振作用により電磁誘導により起電力が発生する電磁誘導方式と放射電磁界により起動する電波方式との2種類がある。共に外部からの電磁界によりRF−IDタグ85内のICチップ81が起動し、チップ内の情報を信号化し、その後、RF−IDタグ85から信号を発信する。この情報をリーダライタ側のアンテナで受信してデータ処理装置で認識し、ソフト側でデータ処理を行う。
前記RF−IDタグと前記熱可逆記録媒体とを貼り合わせるためには、公知の接着剤又は粘着剤を使用することができる。
また、前記熱可逆記録媒体と前記RF−IDタグとをラミネート加工等で一体化してカード状やタグ状に加工してもよい。
納品された原材料が入っているコンテナが搬送される工程ラインには、搬送されながら表示部に可視画像を非接触で書き込む手段と、非接触で消去する手段とが備えられ、更に、電磁波の発信によりコンテナに備えられたRF−IDの情報の読み取り、書き換えを非接触で行うためのリーダライタが備えられている。また、更に、この工程ラインには、コンテナが搬送されながら非接触にて読み書きされるその個別情報を利用して、物流ライン上で自動的に分岐や計量、管理などを行う制御手段が備えられている。
このコンテナに添付されたRF−ID付き熱可逆記録媒体に対して、物品名と数量などの情報を該熱可逆記録媒体と該RF−IDタグとに記録し、検品が実施される。次工程では納入された原材料に加工指示が与えられ、前記熱可逆記録媒体と前記RF−IDタグとに情報が記録され、加工指示書となり加工工程へと進む。次いで、加工された商品には発注指示書として発注情報が前記熱可逆記録媒体と前記RF−IDタグとに記録され、商品出荷後に回収したコンテナから出荷情報を読み取り、再度納品用のコンテナとRF−ID付き熱可逆記録媒体として使用される。
このとき、レーザを用いた前記熱可逆記録媒体への非接触記録であるため、コンテナ等から前記熱可逆記録媒体を剥がすことなく情報の消去記録を行うことができ、更に前記RF−IDタグにも非接触で情報を記録することができるため、工程をリアルタイムで管理することができ、また前記RF−IDタグ内の情報を前記熱可逆記録媒体に同時に表示することが可能となる。
本発明の画像処理装置は、本発明の前記画像処理方法に用いられ、レーザ光出射手段と、光照射強度調整手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材を有してなる。
前記レーザ光は前記レーザ光出射手段であるレーザ発振器から出射される。前記レーザ光出射手段としては、レーザ光を照射可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CO2レーザ、YAGレーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ(LD)などの通常用いられるレーザが挙げられる。
前記レーザ発振器は、光強度が強く、指向性の高いレーザ光を得るために必要なものであり、例えば、レーザ媒質の両側にミラーを配置し、該レーザ媒質をポンピング(エネルギー供給)し、励起状態の原子数を増やし反転分布を形成させて誘導放出を起こさせる。そして、光軸方向の光のみが選択的に増幅されることにより、光の指向性が高まり出力ミラーからレーザ光が放出される。
前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視領域から赤外領域が好ましく、画像コントラストが向上する点で、近赤外領域から遠赤外領域がより好ましい。
前記可視領域では、前記熱可逆記録媒体の画像記録及び画像消去のために、レーザ光を吸収して発熱させるための添加剤が着色するため、コントラストが低下することがある。
また、前記YAGレーザ、及び前記ファイバーレーザは高出力であるため、画像の記録及び消去速度の高速化を量ることができるという利点がある。前記LDはレーザ自体が小さいため、装置の小型化、更には低価格化が可能であるという利点がある。
前記光照射強度調整手段は、前記レーザ光の光照射強度を変化させる機能を有する。
前記光照射強度調整手段の配置態様としては、前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の光路上に配置される限り特に制限はなく、前記レーザ光出射手段との距離等については、目的に応じて適宜選択することができるが、前記レーザ光出射手段と後述するガルバノミラーの間に配置することが好ましく、後述するビームエキスパンダと前記ガルバノミラーの間に配置することがより好ましい。
フィルタ、マスク等を用いる場合、前記レーザ光の中心部をカットすることにより光照射強度を調整することができる。また、ミラーを用いる場合、コンピュータと連動して機械的に形状が変えられるディフォーマブルミラー、反射率あるいは表面凹凸が部分的に異なるミラーなどを用いることにより光照射強度を調整することができる。
近赤外、可視光の発振波長を有するレーザの場合は、ファイバーカップリングすることによって、光照射強度の調整を容易に行うことができるので好ましい。近赤外、可視光の発振波長を有するレーザとしては、半導体レーザ、固体レーザ等が挙げられる。
なお、前記光照射強度調整手段による、光照射強度の調整方法については、後述する本発明の画像処理装置の説明において詳述する。
例えば、強度変換レンズと位相補正レンズとの組合せを用いる場合には、図6Aに示すように、前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の光路上に、2枚の非球面レンズを配設する。そして、1枚目の非球面レンズL1により、目的とする位置(距離l)にて、ガウス分布に対して、前記比I1/I2を小さくなる(図6Aでは、フラットトップ形状)ように調整して、強度変換する。その後、強度変換されたビーム(レーザ光)を平行伝搬させるために、2枚目の非球面レンズL2で位相の補正を行う。その結果、前記ガウス分布の光強度分布を変化させることができる。
また、図6Bに示すように、前記レーザ光出射手段から出射されるレーザ光の光路上に、強度変換レンズLのみを配設してもよい。この場合、ガウス分布した入射ビーム(レーザ光)について、強度の強い部分(内部)は、X1に示すように、ビームを拡散させ、逆に強度の弱い部分(外部)は、X2に示すように、ビームを収束させることにより、前記比I1/I2が小さくなる(図6Bでは、フラットトップ形状)ように変換することができる。
更に、前記光照射強度調整手段として、ファイバーカップリングした半導体レーザとレンズとの組合せによる、光照射強度の調整方法の一例について、以下に説明する。
ファイバーカップリングした半導体レーザでは、レーザ光がファイバー中を反射を繰り返しながら伝搬していくため、ファイバー端より出射するレーザ光の光強度分布は、前記ガウス分布とは異なり、前記ガウス分布と前記フラットトップ形状との中間に相当するような光強度分布となる。このような光強度分布を、前記フラットトップ形状となるように、ファイバー端に集光光学系として複数枚の凸レンズ及び/又は凹レンズを組み合わせたものを取り付ける。
この図7に示す画像処理装置は、出力40WのCO2レーザを有するレーザマーカー(サンクス株式会社製、LP−440)の光路中に、前記光照射強度調整手段として、例えばレーザ光の中心部をカットするマスク(不図示)を組み込み、レーザ光の進行方向直交断面における光強度分布を、前記周辺部の光照射強度に対し中心部の光照射強度が変化するように調整可能としている。
前記ビームエキスパンダ2は、複数のレンズを並設してなる光学部材であり、前記レーザ光出射手段であるレーザ発振器10と、後述するガルバノミラーの間に配置され、レーザ発振器から出射されるレーザ光を径方向に拡大してほぼ平行光としている。前記レーザ光の拡大率は1.5倍〜50倍の範囲が好ましく、その時のレーザ光のビーム径は3mm〜50mmが好ましい。
前記スキャンニングユニット5は、ガルバノメータ4と、該ガルバノメータに取り付けられたガルバノミラー4Aとで構成されている。そして、前記レーザ発振器10から出力されたレーザ光を、前記ガルバノメータ4に取り付けられたX軸方向とY軸方向との2枚のガルバノミラー4Aが高速回転走査することにより、熱可逆記録媒体7上に、画像の記録又は画像の消去を行うことができる。高速での光走査を可能にするには、ガルバノミラー走査が好ましい。前記ガルバノミラーのサイズは前記ビームエキスパンダで拡大された平行光のビーム径に依存し、3mm〜60mmの範囲が好ましく、6mm〜40mmの範囲がより好ましい。
前記平行光のビーム径を小さくし過ぎると、fθレンズで集光後のスポット径を小さくすることができなくなることがある。一方、前記平行光のビーム径を大きくし過ぎると、ガルバノミラーのサイズが大きくなり高速での光走査ができなくなることがある。
前記fθレンズ6は、前記ガルバノメータ4に取り付けられたガルバノミラー4Aによって等角速度で回転走査されたレーザ光を、前記熱可逆記録媒体7の平面上で等速度運動させるレンズである。
前記電源制御ユニットは、放電用電源(CO2レーザの場合)又はレーザ媒質を励起する光源の駆動電源(YAGレーザなど)、ガルバノメータの駆動電源、ペルチェ素子などの冷却用電源、画像処理装置全体の制御を司る制御部、などで構成されている。
前記プログラムユニットは、タッチパネル入力やキーボード入力により、画像の記録又は消去のために、レーザ光の強さ、レーザ走査の速度等の条件入力や、記録する文字等の作成及び編集を行うユニットである。
また、前記画像処理装置は、レーザ光の光照射強度を変化させる前記光照射強度調整手段を有しているので、画像の繰返し記録及び消去による前記熱可逆記録媒体の劣化を効果的に抑制することができる。
<熱可逆記録媒体の作製>
温度に依存して色調が可逆的(透明状態−発色状態)に変化する熱可逆記録媒体を、以下のようにして作製した。
支持体として、厚み125μmの白濁ポリエステルフィルム(帝人デュポン株式会社製、テトロンフィルムU2L98W)を用いた。
下記構造式(1)で表される可逆性顕色剤5質量部、下記構造式(2)及び(3)で表される2種類の消色促進剤をそれぞれ0.5質量部ずつ、アクリルポリオール50質量%溶液(水酸基価:200mgKOH/g)10質量部、及びメチルエチルケトン80質量部を、ボールミルを用いて平均粒径が約1μmになるまで粉砕分散した。
フタロシアニン系光熱変換材料(株式会社日本触媒製、IR−14)1質量%溶液を2.0質量部、アクリルポリオール40質量%溶液(水酸基価=200mgKOH/g)3.6質量部、及びメチルエチルケトン6.9質量部、架橋剤としてイソシアネート(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン社製)1.7質量部をよく攪拌し、光熱変換層塗布液を作製した。
得られた光熱変換層用塗布液を、前記第1の熱可逆記録層上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、加熱及び乾燥した後、60℃にて24時間キュアーを行って、厚さ4μmの光熱変換層を形成した。
前記第1の熱可逆記録層と同じ熱可逆記録層用組成物を、前記光熱変換層上に、ワイヤーバーを用いて塗布し、100℃にて2分間乾燥した後、60℃にて24時間キュアーを行って、厚み6μmの第2の熱可逆記録層を形成した。
アクリルポリオール樹脂50質量%溶液(三菱レーヨン株式会社製、LR327)3質量部、酸化亜鉛微粒子30質量%分散液(住友セメント株式会社製、ZS303)7質量部、イソシアネート(日本ポリウレタン株式会社製、コロネートHL)1.5質量部、及びメチルエチルケトン7質量部を加え、よく攪拌して中間層用塗布液を調製した。
次に、前記第2の熱可逆記録層上に、前記中間層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、60℃にて2時間加熱し、厚み2μmの中間層を形成した。
ペンタエリスルトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)3質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)3質量部、ジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステル(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPCA−120)3質量部、シリカ(水澤化学工業株式会社製、P−526)1質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール11質量部を加え、ボールミルにてよく攪拌して平均粒径が約3μmになるまで分散し、保護層用塗布液を調製した。
次に、前記中間層上に、前記保護層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで架橋させて、厚み4μmの保護層を形成した。
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、KAYARAD DPHA)7.5質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業株式会社製、アートレジンUN−3320HA)2.5質量部、針状導電性酸化チタン(石原産業株式会社製、FT−3000、長軸=5.15μm、短軸=0.27μm、構成:アンチモンドープ酸化スズ被覆の酸化チタン)2.5質量部、光重合開始剤(日本チバガイギー株式会社製、イルガキュア184)0.5質量部、及びイソプロピルアルコール13質量部を加え、ボールミルにてよく攪拌してバック層用塗布液を調製した。
次に、支持体における熱可逆記録層等が形成されていない側の面に、前記バック層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、90℃にて1分間加熱及び乾燥した後、80W/cmの紫外線ランプで架橋させて、厚み4μmのバック層を形成した。以上により、製造例1の熱可逆記録媒体を作製した。
<熱可逆記録媒体の作製>
温度に依存して透明度が可逆的(透明状態−白濁状態)に変化する熱可逆記録媒体を、以下のようにして作製した。
支持体として、厚み175μmの透明PETフィルム(東レ株式会社製、ルミラー175−T12)を用いた。
塩化ビニル系共重合体(日本ゼオン株式会社製、M110)26質量部を、メチルエチルケトン210質量部に溶解させた樹脂溶解液中に、下記構造式(5)で表される有機低分子物質3質量部、及びベヘン酸ドコシル7質量部を加え、ガラス瓶中に直径2mmのセラミックビーズを入れて、ペイントシェーカー(浅田鉄工株式会社製)を用い48時間分散し、均一な分散液を調製した。
次に、前記支持体上に、得られた熱可逆記録層用塗布液を塗布し、加熱及び乾燥した後、更に65℃環境下に24時間保存して樹脂を架橋させ、厚み10μmの熱可逆記録層を形成した。
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂の75質量%酢酸ブチル溶液10質量部(大日本インキ化学工業株式会社製、ユニディックC7−157)、及びイソプロピルアルコール10質量部よりなる保護層用塗布液を、ワイヤーバーで前記熱可逆記録層上に塗布し、加熱及び乾燥した後、80W/cmの高圧水銀灯で紫外線を照射して硬化させ、厚み3μmの保護層を形成した。以上により、製造例2の熱可逆記録媒体を作製した。
−熱可逆記録媒体の作製−
製造例1において、熱可逆記録媒体の作製の際に、光熱変換層を形成しなかった以外は、製造例1と同様にして、製造例3の熱可逆記録媒体を作製した。
−熱可逆記録媒体の作製−
製造例2において、熱可逆記録媒体の作製の際に、熱可逆記録層用塗布液に光熱変換材料を添加しなかった以外は、製造例2と同様にして、製造例4の熱可逆記録媒体を作製した。
−熱可逆記録媒体の作製−
製造例1において、支持体と第1の熱可逆記録層との間に第1の酸素バリア層、及び第2の熱可逆記録層と中間層との間に第2の酸素バリア層を形成した以外は、製造例1と同様にして、製造例5の熱可逆記録媒体を作製した。
−第1及び第2の酸素バリア層の形成−
ウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製、TM−567)5質量部、イソシアネート(東洋モートン株式会社製、CAT−RT−37)0.5質量部、及び酢酸エチル5質量部を加え、よく攪拌して酸素バリア層用塗布液を調製した。
次に、シリカ蒸着PETフィルム(三菱樹脂株式会社製、テックバリアHX、酸素透過度:0.5ml/m2/day/MPa)上に、上記酸素バリア層用塗布液をワイヤーバーにて塗布し、80℃にて1分間加熱及び乾燥した後、前記第2の熱可逆記録層上、及び支持体上に貼合せ、50℃にて24時間加熱し、厚み12μmの第1及び第2の酸素バリア層を形成した。
−熱可逆記録媒体の作製−
製造例1において、支持体の熱可逆記録層等が形成されていない側の面にRFIDを設置した以外は、製造例1と同様にして、製造例6の熱可逆記録媒体を作製した。
製造例1の熱可逆記録媒体を用いて、以下のようにして画像処理を行い、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
レーザとして、集光光学系fθレンズ(焦点距離:150mm)を装備した25Wのファイバーカップリング式高出力半導体レーザ装置(LIMO社製、LIMO025−F100−DL808、中心波長:808nm、光ファイバコア径:100μm、NA:0.11)を用い、ファイバーより出射されるレーザ光を平行光にするコリメータレンズ光軸を変更することでX軸方向に長く、Y軸方向に短い楕円形状のレーザ光を実現して、長軸aと短軸bの比a/bが1.17であり、レーザ出力10W(X軸方向、Y軸方向)、照射距離150mmに調整して、レーザ光をガルバノミラーによる光走査を行い、X軸方向に走査速度1,300mm/s、Y軸方向に走査速度1,100mm/sで製造例1の熱可逆記録媒体に対してX軸方向、及びY軸方向に線画像の記録を行った。
このとき、レーザ光における光強度分布を測定したところ、I1/I2値は、1.65であった。
続いて、前記レーザ装置を用い、レーザ出力20W、照射距離195mm、スポット径3mm、スキャンスピード1,000mm/sとなるように調整し、0.59mmの間隔で直線状にレーザ光を走査して画像を消去した。このとき、レーザ光における光強度分布において、I1/I2値は、1.70であった。
前記画像記録工程及び前記画像消去工程を繰り返して、最後に、消去工程を行い、“X”字の重なり部、及びそれ以外の直線部における熱可逆記録媒体の印字した消去部の反射濃度の画像評価を行った。反射濃度の測定は、グレースケール(Kodak社製)をスキャナー(キャノン社製、Canoscan4400)で取り込み、得られたデジタル階調値と反射濃度計(マクベス社製、RD−914)で測定した濃度値との間で相関を取り、消去した消去部を前記スキャナーで取り込んで得られたデジタル階調値を濃度値に変換して反射濃度値とした。
本発明において、消去部の濃度が、前記熱可逆記録層が樹脂及び有機低分子物質を含有する熱可逆記録媒体では、濃度が1.5以上、前記熱可逆記録層がロイコ染料及び可逆性顕色剤を含有する熱可逆記録媒体では、濃度が0.15以下である場合に、画像の消去が可能であるとした。なお、前記熱可逆記録層が樹脂及び有機低分子物質を含有する熱可逆記録媒体では、背面に黒色紙(O.D.値=1.7)を敷いて測定した。
前記画像記録工程及び前記画像消去工程を繰り返して、10回おきに消去部の濃度を測定して、消去が不可になる前の回数を表1に示す。
レーザ光のビーム形状、強度分布測定は、以下の手順で行った。
レーザとして半導体レーザ装置を用いた場合、まず、照射距離が熱可逆記録媒体に記録するときと同じ位置になるようにレーザビームアナライザー(Point Grey Research社製、Scorpion SCOR−0SCM)を設置し、レーザ出力が3×10−6となるように透過ミラー、フィルタを組合せたビームスプリッタ(OPHIR社製、BEAMSTAR−FX−BEAM SPLITTER)を用いて減光し、レーザビームアナライザーでレーザ光強度を測定した。次に、得られたレーザ光強度を三次元グラフ化してレーザ光の強度分布を得た。
また、レーザとしてCO2レーザ装置を用いた場合は、ハイパワー用レーザビームアナライザー(Spiricon社製、LPK−CO2−16)を用い、レーザ出力が0.05%となるようにZn−Seウエッジ(Spiricon社製、LBS−100−IR−W)及びCaF2フィルタ(Spiricon社製、LBS−100−IR−F)を用いて減光してレーザ光強度を測定した。
実施例1において、製造例1の熱可逆記録媒体の代わりに製造例2の熱可逆記録媒体を用いた以外は、実施例1と同様にして、線画像の画像記録及び画像消去を行い、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、X軸方向、及びY軸方向の走査速度1,200mm/sで、X軸方向の照射パワーを9.3W、Y軸方の照射パワーを11Wで製造例1の熱可逆記録媒体に対してX軸方向、及びY軸方向に線画像の画像記録及び画像消去を行い、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、X軸方向の走査速度1,250mm/s、Y軸方向の走査速度1,150mm/sで、X軸方向の照射パワーを9.8W、Y軸方の照射パワーを10.5Wで製造例1の熱可逆記録媒体に対してX軸方向、及びY軸方向に線画像の画像記録及び画像消去を行い、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1の画像記録工程において、焦点距離を160mm、レーザ出力11W(X軸方向、Y軸方向)に変更して、レーザ光の光強度分布において、I1/I2値が2.00になった。その他の条件は、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1の画像記録工程において、焦点距離を144mm、レーザ出力13W(X軸方向、Y軸方向)に変更して、レーザ光の光強度分布において、I1/I2値が0.40になった。その他の条件は、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例2の画像記録工程において、焦点距離を163mm、レーザ出力11W(X軸方向、Y軸方向)に変更して、レーザ光の光強度分布において、画像記録工程のI1/I2値が2.05になった。その他の条件は、実施例2と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例2の画像記録工程において、焦点距離を143mm、レーザ出力14W(X軸方向、Y軸方向)に変更して、レーザ光の光強度分布において、画像記録工程のI1/I2値が0.34になった。その他の条件は、実施例2と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
<画像記録工程>
出力40WのCO2レーザを備えたレーザマーカー(サンクス株式会社製、LP−440)を用い、レーザ光の光路中に非球面レンズを組み込み、光路と非球面レンズの光軸をずらして設置し、調整して、レーザ光の光強度分布においてI1/I2値が1.60、X軸方向に長く、Y軸方向に短い楕円形状で長軸aと短軸bの比(a/b)が1.19であった。
次いで、前記レーザマーカーを用い、照射距離198mm、レーザ出力11W(X軸方向、Y軸方向)、照射距離150mmに調整して、レーザ光をガルバノミラーによる光走査を行い、X軸方向に走査速度1,300mm/sで、Y軸方向に走査速度1,100mm/sで、製造例3の熱可逆記録媒体に対してX軸方向、及びY軸方向に線画像の記録を行った。
<画像消去工程>
続いて、前記レーザマーカーの光路中から、非球面レンズを取り外し、レーザ出力22W、照射距離155mm、スポット径2mm、スキャンスピード3,000mm/sとなるように調整した。そして、前記熱可逆記録媒体に記録された画像を消去した。
次に、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例9と同様にして、X軸方向、及びY軸方向の走査速度1,200mm/sで、X軸方向の照射パワーを10.2W、Y軸方の照射パワーを12Wで製造例3の熱可逆記録媒体に対してX軸方向、及びY軸方向に線画像の画像記録及び画像消去を行い、実施例9と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例9と同様にして、X軸方向の走査速度1,250mm/s、Y軸方向の走査速度1,150mm/sで、X軸方向の照射パワーを10.7W、Y軸方の照射パワーを11.5Wで製造例3の熱可逆記録媒体に対してX軸方向、及びY軸方向に線画像の画像記録及び画像消去を行い、実施例9と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例9において、製造例3の熱可逆記録媒体の代わりに製造例4の熱可逆記録媒体を用いた以外は、実施例9と同様にして、画像記録及び画像消去を行い、実施例8と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、X軸方向の走査速度1,300mm/s、Y軸方向の走査速度1,100mm/sで、X軸方向、及びY軸方向の照射パワーを12Wで製造例5の熱可逆記録媒体に対してX軸方向、及びY軸方向に線画像の画像記録及び画像消去を行い、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、X軸方向の走査速度1,300mm/s、Y軸方向の走査速度1,100mm/sで、X軸方向、及びY軸方向の照射パワーを10Wで製造例6の熱可逆記録媒体に対してX軸方向、及びY軸方向に線画像の画像記録及び画像消去を行い、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、X軸方向、及びY軸方向の走査速度をともに1,100mm/sで製造例1の熱可逆記録媒体に対して記録を行った以外は、実施例1と同様にして、画像記録及び画像消去を行い、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例2において、X軸方向、及びY軸方向の走査速度をともに1,100mm/sで製造例2の熱可逆記録媒体に対して記録を行った以外は、実施例2と同様にして、画像記録及び画像消去を行い、実施例2と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例9において、X軸方向、及びY軸方向の走査速度をともに1,100mm/sで製造例3の熱可逆記録媒体に対して記録を行った以外は、実施例9と同様にして、画像記録及び画像消去を行い、実施例1と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例12において、X軸方向、及びY軸方向の走査速度をともに1,100mm/sで製造例4の熱可逆記録媒体に対して記録を行った以外は、実施例12と同様にして、画像記録及び画像消去を行い、実施例12と同様にして、繰り返し耐久性を評価した。結果を表1に示す。
4 ガルバノメータ
4A ガルバノミラー
5 スキャニングユニット
6 fθレンズ
7 熱可逆記録媒体
10 レーザ発振器
11、12 描画線
81 ICチップ
82 アンテナ
85 RF−IDタグ
T 屈曲部
Claims (9)
- 温度に依存して透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する熱可逆記録媒体に対し、レーザ光を照射して加熱することにより前記熱可逆記録媒体に画像を記録する画像記録工程、及び、前記熱可逆記録媒体を加熱することにより該熱可逆記録媒体に記録された画像を消去する画像消去工程の少なくともいずれかを含み、
前記画像記録工程において、前記熱可逆記録媒体上でのレーザ光のビーム形状が非円形である場合に、該レーザ光を走査する方向に応じてP/V(ただし、Vはレーザ光の走査速度、Pはレーザ光の照射パワーを表す)を変更して画像記録を行うことを特徴とする画像処理方法。 - レーザ光を走査する方向に応じてP/VにおけるVのみを変更して画像記録を行う請求項1に記載の画像処理方法。
- レーザ光を走査する方向に応じてP/VにおけるPのみを変更して画像記録を行う請求項1に記載の画像処理方法。
- 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層が第一の特定温度と該第一の特定温度よりも高温の第二の特定温度とで透明度及び色調のいずれかが可逆的に変化する請求項1から3のいずれかに記載の画像処理方法。
- 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層が樹脂及び有機低分子物質を含有する請求項1から4のいずれかに記載の画像処理方法。
- 熱可逆記録媒体が、支持体上に少なくとも熱可逆記録層を有してなり、該熱可逆記録層がロイコ染料及び可逆性顕色剤を含有する請求項1から4のいずれかに記載の画像処理方法。
- 画像記録工程及び画像消去工程の少なくともいずれかにおいて、照射されるレーザ光の強度分布で、照射レーザ光の中心位置における光照射強度I1と、照射レーザ光の全照射エネルギーの80%面での光照射強度I2とが、次式、0.40≦I1/I2≦2.00を満たす請求項1から6のいずれかに記載の画像処理方法。
- 請求項1から7のいずれかに記載の画像処理方法に用いられ、レーザ光出射手段と、該レーザ光出射手段におけるレーザ光出射面に配置され、かつレーザ光の光照射強度を変化させる光照射強度調整手段とを少なくとも有することを特徴とする画像処理装置。
- 光照射強度調整手段が、レンズ、フィルタ、マスク、ファイバーカップリング及びミラーの少なくともいずれかである請求項8に記載の画像処理装置。
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