JP5019804B2 - 発泡充填用組成物、発泡充填部材および充填用発泡体 - Google Patents
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中空部材に発泡体を充填するには、通常、まず、中空部材の内壁面に、発泡体を形成するための発泡性材料を固定し、次いで、その固定された発泡性材料を発泡させる。
また、この空隙充填材を中空体の壁に設置するときにも、板状部を壁に沿って配置するとともに、中空体を重ね合わせて形成する際に、突状部を邪魔にならない位置に配置する必要があり、設置箇所が限定されるとともに、設置に手間がかかるという不具合がある。
また、本発明の発泡充填用組成物では、発泡充填用組成物100重量部に対して、前記発泡剤を5重量部以上含有することが好適である。
また、本発明の発泡充填用組成物では、前記スチレン・ブタジエンゴムは、前記スチレン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して、70重量部以下の割合で含まれていることが好適である。
また、本発明の発泡充填部材は、上記した発泡充填用組成物からなる樹脂層と、前記樹脂層が積層され、前記樹脂層を被充填部材に固定するための粘着層とを備えていることを特徴としている。
また、この発泡充填用組成物は、それ自体の組成により、良好な発泡と垂れの低減を確保している。そのため、簡易かつ自由な形状に成形することができ、また、簡易かつ自由に設置することができる。
さらには、本発明の発泡充填用組成物を発泡させることにより得られる本発明の充填用発泡体は、各種の部材の間や中空部材の内部空間を、隙間なく充填することができる。
本発明において、ポリマーは、特に制限されないが、例えば、熱可塑性エラストマーやゴムなどが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、特に制限されないが、例えば、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。好ましくは、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
スチレン系熱可塑性エラストマーは、B型粘度計により測定されるブルックフィールド粘度(BF粘度:25℃、77F)が、2000mPa・s以上、好ましくは、3000mPa・s以上、さらに好ましくは、4000mPa・s以上であり、また、20000mPa・s以下、好ましくは、10000mPa・s以下である。また、そのメルトフローレート(MFR:200℃、5kg荷重、JIS K 7210(1999年))が、5g/10min以下、好ましくは、1g/10min以下である。
また、上記したポリマーは、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできるが、必須成分として、スチレン系熱可塑性エラストマーを含有する。また、好ましくは、熱可塑性エラストマーおよびゴムを併用し、さらに好ましくは、スチレン系熱可塑性エラストマーとスチレン・ブタジエンゴムとを併用する。これらを併用すれば、熱可塑性エラストマーにより、良好な発泡性が確保されるとともに、ゴムにより、発泡途中の垂れを低減することができる。また、これらを併用する場合、両者の配合割合は、熱可塑性エラストマー100重量部に対して、ゴムが、例えば、70重量部以下、好ましくは、60重量部以下、さらに好ましくは、50重量部以下であり、また、10重量部以上、好ましくは、25重量部以上である。
本発明において、発泡剤は、特に制限されないが、例えば、無機系発泡剤や有機系発泡剤が挙げられる。無機系発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などが挙げられる。
これら発泡剤のうち、好ましくは、アゾ系化合物やスルホニルヒドラジド系化合物が挙げられる。アゾ系化合物やスルホニルヒドラジド系化合物を用いれば、発泡ガスが窒素ガスであるため、ポリマーに対する透過性が低く、高発泡を実現することができる。さらに好ましくは、アゾジカルボンアミドや4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)が挙げられる。これらを用いれば、変異原生がないため人体に対する有害性を低減することができるとともに、単位重量当たりのガス発生量を増大させることができる。
発泡剤の配合割合が発泡充填用組成物100重量部に対して5重量部以上であると、発泡倍率10倍以上を容易に達成することができる。また、発泡剤の配合量が上記範囲を超えても、配合割合に対応した発泡倍率が得られず、コストデメリットを生ずる場合がある。
また、架橋剤の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは、2〜15重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、1〜5重量部である。架橋剤の配合割合が上記範囲より少ないと、補強性が低下する場合があり、一方、上記範囲より多いと、接着性が低下し、コスト的に不利となる場合がある。
架橋促進剤の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは、2〜15重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、0.5〜10重量部、好ましくは、1〜5重量部である。
充填材としては、特に制限されないが、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、ケイ酸およびその塩類、マイカ、クレー、タルク、雲母粉、ベントナイト、シリカ、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シラスバルーン、アルミナ、アルミニウムシリケート、アルミニウム粉、カーボンブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。
これら粘着付与剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。これら粘着付与剤のうち、好ましくは、石油系樹脂が挙げられる。粘着付与剤の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、1〜20重量部、好ましくは、2〜15重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、1〜10重量部、好ましくは、2〜6重量部である。
これら軟化剤は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。これら軟化剤のうち、好ましくは、フタル酸系オイル、パラフィン系オイルが挙げられる。軟化剤の配合割合は、ポリマー100重量部に対して、例えば、10〜150重量部、好ましくは、30〜120重量部であり、また、発泡充填用組成物100重量部に対して、例えば、10〜50重量部、好ましくは、15〜25重量部である。
より具体的には、例えば、発泡剤、発泡促進剤、架橋剤、架橋促進剤をファイナルバッチ成分とし、それ以外の各成分をマスターバッチ成分として、まず、マスターバッチ成分を混練して、マスターバッチを調製し、次いで、得られたマスターバッチとファイナルバッチ成分とを混練して、発泡充填用組成物の混練物を得る。
なお、100℃における溶融粘度は、より具体的には、後述する実施例に示す方法により測定することができる。
発泡充填用組成物の発泡倍率が10倍未満であると、良好な発泡性が得られず、充填不足を生じる。
本発明の発泡充填部材は、上記した発泡充填用組成物からなる樹脂層と、樹脂層が積層され、樹脂層を被充填部材に固定するための粘着層とを備えている。
なお、樹脂層の厚みは、例えば、0.5〜20mm、好ましくは、1.0〜10mmである。
また、粘着層の厚みは、例えば、0.1〜3.0mm、好ましくは、0.3〜2.0mmである。
そして、このように得られた本発明の発泡充填部材は、各種の部材に対する、補強、制振、防音、防塵、断熱、緩衝、水密など、種々の充填効果を付与することができるので、各種の部材の間や中空部材の内部空間に充填する、例えば、補強材、防振材、防音材、防塵材、断熱材、緩衝材、止水材など、各種の産業製品の充填材として、好適に用いることができる。
図1において、ピラー1は、フロントピラー、サイドピラーまたはリヤピラーなどであって、断面視略矩形状をなす中空角筒形状に形成され、鉛直方向に配置されている。
そして、この方法では、まず、図1(a)に示すように、発泡充填部材5を、鉛直方向に配置されるピラー1の内壁面2に固定する。発泡充填部材5を内壁面2に固定するには、例えば、セパレータが貼着されている場合には、そのセパレータを発泡充填部材5の粘着層6の表面から剥離した後、その粘着層6をピラー1の内壁面2に貼着する。
その後、この方法では、ピラー1の内壁面2に、塗装工程において、防錆処理を施した後、図1(b)に示すように、例えば、その後の焼付塗装時の乾燥工程での加熱(例えば、110〜220℃)によって、樹脂層7を発泡および架橋させることにより、充填用発泡体8を形成し、その充填用発泡体8によってピラー1の内部空間を隙間なく充填する。
これによって、ピラー1は、充填用発泡体8によって、十分に補強が図られ、しかも、エンジンの振動や騒音、あるいは、風きり音などが車室内に伝達されることを、有効に防止することができる。
1)実施例および比較例
(発泡充填用組成物の調製)
表1に示す配合処方において、各成分を配合し、これをバンバリーミキサで混練することにより、実施例および比較例に示す発泡充填用組成物を混練物として調製した。
(発泡充填部材の調製)
上記により得られた混練物を、押出機により連続的に押し出して、厚み3mmの樹脂層を連続的に形成するとともに、ゴム系粘着剤(商品名サーマベータRSE−410、日東電工社製)を、押出機により連続的に押し出して、厚み1.0mmの粘着層を連続的に形成した後、これら樹脂層と粘着層と重ね合わせて、カレンダーロールにより連続的に圧着させることにより、厚み4mmの発泡充填部材を得た。
2)発泡倍率
各実施例および各比較例の発泡充填部材を、160℃で20分加熱することにより発泡させ、発泡倍率を求めた。その結果を表1に示す。なお、表1中の発泡倍率は、発泡倍率=発泡前密度/発砲後密度、から求めた。
3)垂れ性
シート形状に形成された各実施例および各比較例を、3mm(厚み)×25mm(幅)×50mm(長さ)に裁断して、サンプルを作製した。
1)測定装置(フローテスターCFT−500D(流動特性評価装置)島津製作所製)
シリンダ内部構造:ピストン面積1cm2、ダイ長さ10mm、ダイ穴直径1mm
2)測定条件
プレヒート:3分、試験圧力:1961330Pa(20kgf)、測定間隔:3mm(計算開始位置)〜7mm(計算終了位置)
3)測定方法
JIS K 7210(流れ試験)に準拠し、上記した測定装置および測定条件で、フローレートを測定した。なお、フローレートQは、次式(1)から求められる。その後、溶融粘度nを次式(2)から求めた。
Q:フローレート、t:測定時間(s)、X:測定時間tに対するピストンの移動量(mm)、A:ピストン面積(cm2)
n=(πD4P)/(128LQ)×10−3 (Pa・s)・・・(2)
n:溶融粘度、D:ダイ穴直径,P:試験圧力、L:ダイ長さ
2 内壁面
3 インナパネル
4 アウタパネル
5 発泡充填部材
6 粘着層
7 樹脂層
8 充填用発泡体
Claims (7)
- ポリマー、発泡剤および架橋剤を含有し、100℃の溶融粘度が7000Pa・s以上であり、発泡倍率が10倍以上であり、
前記ポリマーが、25質量%トルエン溶液状態においてB型粘度計により測定されるブルックフィールド粘度(BF粘度:25℃、77F)が3000mPa・s以上10000mPa・s以下であるスチレン系熱可塑性エラストマーを含有する
ことを特徴とする、発泡充填用組成物。 - 発泡充填用組成物100重量部に対して、前記発泡剤を5重量部以上含有することを特徴とする、請求項1に記載の発泡充填用組成物。
- 前記ポリマーが、さらに、スチレン・ブタジエンゴムを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の発泡充填用組成物。
- 前記スチレン・ブタジエンゴムは、前記スチレン系熱可塑性エラストマー100重量部に対して、70重量部以下の割合で含まれていることを特徴とする、請求項3に記載の発泡充填用組成物。
- 前記スチレン系熱可塑性エラストマーの重量平均分子量が、130000以上であることを特徴とする、請求項3または4に記載の発泡充填用組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の発泡充填用組成物からなる樹脂層と、
前記樹脂層が積層され、前記樹脂層を被充填部材に固定するための粘着層と
を備えていることを特徴とする、発泡充填部材。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の発泡充填用組成物を発泡させることによって得られることを特徴とする、充填用発泡体。
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