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JP5090025B2 - 複合粉末および複合材料ならびにそれらの製造方法、 - Google Patents

複合粉末および複合材料ならびにそれらの製造方法、 Download PDF

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JP5090025B2 JP2007063867A JP2007063867A JP5090025B2 JP 5090025 B2 JP5090025 B2 JP 5090025B2 JP 2007063867 A JP2007063867 A JP 2007063867A JP 2007063867 A JP2007063867 A JP 2007063867A JP 5090025 B2 JP5090025 B2 JP 5090025B2
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Description

本発明は、複合粉末および複合材料ならびにそれらの製造方法に関するものである。詳細には、炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末および炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合材料ならびにそれらの製造方法に関するものである。
炭化ケイ素は耐熱性、耐酸化性、化学的安定性が高いという優れた性質を有している。このような性質ゆえに、炭化ケイ素は、メカニカルシール、ベアリング、バーナーノズル等の高温にさらされる構造物の材料として利用されている。しかしながら炭化ケイ素自体は耐熱衝撃性に乏しいという性質もあり、そのため、炭化ケイ素を材料とした構造物の耐久性は高くない。また炭化ケイ素は快削性に乏しいため、炭化ケイ素を材料とした構造物の製造コストが高いという欠点が存在していた。
そのような炭化ケイ素の低耐熱衝撃性および低快削性という性質を改善するため、炭化ケイ素に種々の材料、例えば窒化ホウ素を複合させる研究が行われている(例えば特許文献1参照)。窒化ホウ素は耐熱衝撃性および快削性に優れており、そのため、窒化ホウ素と炭化ケイ素の複合材料の耐熱衝撃性および快削性は若干改善された。しかしながら、窒化ホウ素は強度が低く、かつヤング率が低いため、窒化ホウ素と炭化ケイ素の複合材料の強度が大幅に低下することが報告されている。さらに、前記複合材料は、炭化ケイ素粉末とミクロンサイズの窒化ホウ素とをボールミル法などにより機械的に混合して製造されているため、前記複合材料中に前記窒化ホウ素を均一に分散させることが困難であった。また、均一に分散させることが困難であるため、前記窒化ホウ素の凝集体が前記複合材料中で生じ、そのため、前記複合材料の強度が著しく低下することが報告されている。
前記窒化ホウ素と炭化ケイ素の複合材料における問題点を解決する製造方法が報告されている(例えば特許文献2参照)。この方法は、炭化ケイ素粉末、尿素粉末およびホウ酸粉末を混合し、この混合粉末を水素雰囲気中で還元処理し、この還元処理した粉末を不活性ガス雰囲気中で高温加熱処理し、この高温加熱処理した混合粉末を焼結する方法である。この方法では、炭化ケイ素粉末、尿素粉末およびホウ酸粉末を混合することにより、炭化ケイ素粉末の表面に窒化ホウ素源となる尿素とホウ酸を被覆させることを特徴としている。
しかしながら、この製造方法においては、前記複合材料中の窒化ホウ素の含有量が高い場合、炭化ケイ素粉末の表面に被覆される尿素とホウ酸の被覆の厚みがかなり厚くなり、その結果、得られる複合材料中の窒化ホウ素の粒径が大きくなるという欠点があった。また、この製造方法においては水素ガスを用いる必要があり、かつ、窒化ホウ素の生成過程においてアンモニアガスが発生する。このように、この製造方法は危険な工程を含み、その結果、工業化が困難であることも予想される。
特開平9−69575号公報 特開2000−264741号公報
そこで、本発明は、窒化ホウ素と炭化ケイ素の複合材料であって、より微細な窒化ホウ素が前記複合材料中に均一に分散している複合材料、およびそのような複合材料の原料である窒化ホウ素と炭化ケイ素の複合粉末の提供を目的とする。また、本発明は、前記複合材料および前記複合粉末のより安全な製造方法の提供も目的とする。
本発明は、炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末であって、
前記複合粉末が、下記式(I)を満たす複合粉末である。
62.1<X+0.101×Y (I)
前記式中、
Xは前記複合粉末の比表面積(m2/g)であり、
Yは、前記複合粉末を焼結した後に得られる複合材料のヤング率(GPa)である。
また、本発明は、炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合材料であって、
前記複合材料が、本発明の複合粉末を焼結して得られた複合材料であり、
前記複合材料が、下記式(II)を満たす複合材料である。
S>5.56Y−670 (II)
前記式中、
Y≦280、
Yは前記複合材料のヤング率(GPa)であり、
Sは前記複合材料の曲げ強度(MPa)である。
また本発明は、炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末の製造方法であって、
前記製造方法が、
シリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末を、前記ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させて第1の分散液を調製する工程と、
前記第1の分散液を乾燥させてシリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末を含む第1の混合物を得る工程と、
前記第1の混合物を800〜1400℃で加熱してホウケイ酸ガラスとカーボン粉末との第2の混合物を得る工程と、
前記第2の混合物を1500〜1700℃で窒素雰囲気中に加熱して前記複合粉末を得る工程を含むことを特徴とする。
また、本発明は、炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末の製造方法であって、
前記製造方法が、
シリカおよびホウ素化合物を、前記ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させて第2の分散液を調製する工程と、
前記第2の分散液を乾燥させてシリカとホウ素化合物を含む第3の混合物を得る工程と、
前記第3の混合物とカーボン粉末を乾式混合して第4の混合物を得る工程と、
前記第4の混合物を800〜1400℃で加熱してホウケイ酸ガラスとカーボン粉末との第5の混合物を得る工程と、
前記第5の混合物を1500〜1700℃で窒素雰囲気中に加熱して前記複合粉末を得る工程を含むことを特徴とする。
さらに本発明は、炭化ケイ素と窒化ホウ素とを含む複合材料の製造方法であって、前記製造方法が、複合粉末を焼結する工程を含み、前記複合粉末が、本発明の炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末の製造方法により得られた複合粉末であることを特徴とする。
本発明の複合粉末は、より微細な窒化ホウ素が前記複合材料中に均一に分散している、窒化ホウ素と炭化ケイ素の複合材料の原料として有用であるという利点がある。また、本発明の複合材料は、より微細な窒化ホウ素が前記複合材料中に均一に分散しているため、複合材料の強度が保たれ、かつ、耐熱衝撃性および快削性が改善するという利点がある。さらに本発明の複合粉末の製造方法は、特殊な気体雰囲気中で行う必要がなく、さらに方法中で気体発生が必須ではないので、より安全な方法である。
本発明において、窒化ホウ素と炭化ケイ素の複合粉末(以下、「SiC−BN複合粉末」と呼ぶ)は、窒化ホウ素と炭化ケイ素の複合材料の原料である。すなわち、前記SiC−BN複合粉末を焼結することにより、前記複合材料を得ることができる。
本発明において、窒化ホウ素と炭化ケイ素の複合材料(以下、「SiC/BN複合材料」と呼ぶ)は、前記SiC−BN複合粉末を焼結することにより得られる焼結体である。また、前記SiC/BN複合材料において、炭化ケイ素粒子から構成されるマトリックス中に、窒化ホウ素粒子が分散されている。例えば、前記窒化ホウ素粒子は、炭化ケイ素粒子の間隙に存在していてもよく、また、炭化ケイ素粒子の内部に存在した状態でもよい。
本発明は、前記のとおり、炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末であって、
前記複合粉末が、下記式(I)を満たす複合粉末である。
62.1<X+0.101×Y (I)
前記式中、
Xは前記複合粉末の比表面積(m2/g)であり、
Yは、前記複合粉末を焼結した後に得られる複合材料のヤング率(GPa)である。
前記式(I)は、好ましくは
66<X+0.101×Y (I−1)
であり、より好ましくは
70<X+0.101×Y (I−2)
であり、さらに好ましくは
80<X+0.101×Y (I−3)
である。なお、複合粉末が前記式(I)を満たすことは、SiC−BN複合粉末中に含有される窒化ホウ素の粒子が微細であることを意味する。SiC−BN複合粉末中に含有される窒化ホウ素の粒子が微細であることは、SiC−BN複合粉末を焼結して得られるSiC/BN複合材料の快削性が向上することを意味する。
前記SiC−BN複合粉末を焼結した後に得られるSiC/BN複合材料のヤング率は、一般的にSiC/BN複合材料中の炭化ケイ素と窒化ホウ素との組成比に強く依存することが知られている。すなわち、原料であるSiC−BN複合粉末中の窒化ホウ素の含有量が増加するほど、前記SiC/BN複合材料のヤング率は低下する傾向にある。このため、前記SiC/BN複合材料のヤング率を評価することで、前記SiC−BN複合粉末中の炭化ケイ素と窒化ホウ素の組成比を推測することができる。なお、SiCの密度が3.21g/cm3、BNの密度が2.29319g/cm3であることから考慮すれば、BNの重量比を用いてBNの体積比に算出することが可能である。
例えば、SiC−BN複合粉末100重量部に対して7.7重量部のAl23と2.2重量部のY23を焼結助剤として加えた焼結体(SiC/BN複合材料)のヤング率とSiCおよびBNの組成比との間には、下記式(III)の様な直線関係が成立する。
Z=50.7−0.122×Y (III)
前記式中、
ZはSiC/BN複合材料中のBNの重量比
YはSiC/BN複合材料のヤング率である。
式(III)とSiC−BN複合粉末の比表面積の関係をまとめると、式(I)のような関係が成立する。なお、本発明において、ヤング率は曲げ共振法(JIS R 1602)により測定される。
本発明のSiC−BN複合粉末に含まれるBN(窒化ホウ素)粒子は微細であるのが好ましい。従って、「X+0.101×Y」の上限値は限定されないが、例えば66であってもよく、好ましくは70であり、より好ましくは80である。
前記本発明のSiC−BN複合粉末において、前記窒化ホウ素は、乱層構造窒化ホウ素(t−BN)であるのが好ましい。
また、本発明は、前記のとおり、炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合材料であって、
前記複合材料が、本発明のSiC−BN複合粉末を焼結して得られた複合材料であり、
前記複合材料が、下記式(II)を満たす複合材料である。
S>5.56Y−670 (II)
前記式中、
Y≦280、
Yは前記複合材料のヤング率(GPa)であり、
Sは前記複合材料の曲げ強度(MPa)である。
前記式(II)は、好ましくは
S>4.9Y−481 (II−1)
であり、より好ましくは
S>4.3Y−327 (II−2)
であり、さらに好ましくは
S>3.7Y−173 (II−3)
である。
前記本発明のSiC/BN複合材料において、前記窒化ホウ素は、六方晶窒化ホウ素(h−BN)であるのが好ましい。
本発明のSiC−BN複合粉末において、窒化ホウ素は、炭化ケイ素マトリックス中で分散されている。なお、SiC−BN複合粉末における窒化ホウ素の分散状態を直接的に評価することは困難であるが、窒化ホウ素の分散状態が、最終的に得られるSiC/BN複合材料の曲げ強度に大きな影響を与えるため、前記SiC/BN複合材料の曲げ強度を評価することで、間接的にSiC−BN複合粉末における窒化ホウ素の分散状態を評価することができる。すなわち、窒化ホウ素の分散状態が均一に近づくほど、SiC/BN複合材料の曲げ強度が高くなる。一方、窒化ホウ素の分散状態が凝集に近づくほど、SiC/BN複合材料の曲げ強度は小さくなる。なお、本発明において、曲げ強度は、三点曲げ試験(JIS R 1601 ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法)によって測定される。
また、本発明のSiC−BN複合粉末において窒化ホウ素は均一に分散しているほうが好ましい。従って、SiC/BN複合材料の曲げ強度は高いほど好ましい。このため、SiC/BN複合材料の曲げ強度の上限値は限定されないが、例えば5.56Y−670(但しYは前記複合粉末を焼結した後に得られるSiC/BN複合材料のヤング率であり、280以下)であってもよく、好ましくは4.9Y−481(但しYは前記複合粉末を焼結した後に得られるSiC/BN複合材料のヤング率であり、280以下)であり、より好ましくは3.7Y−173(但しYは前記複合粉末を焼結した後に得られるSiC/BN複合材料のヤング率であり、280以下)である。
なお、本発明において、比表面積は、BET法を用いて測定される。本発明のSiC−BN複合粉末の比表面積は、前記SiC−BN複合粉末中の窒化ホウ素の含有量に応じ相違するが、前記SiC−BN複合粉末中の窒化ホウ素の含有量が20体積%である場合、前記SiC−BN複合粉末の比表面積は、例えば33m2/g以上150m2/g以下、好ましくは40m2/g以上130m2/g以下、より好ましくは60m2/g以上130m2/g以下である。また、前記SiC−BN複合粉末中の窒化ホウ素の含有量が30体積%である場合、前記SiC−BN複合粉末の比表面積は例えば39〜200m2/g、好ましくは73〜180m2/g、より好ましくは85〜180m2/gである。前記SiC−BN複合粉末中の窒化ホウ素の含有量が20体積%である場合、前記SiC−BN複合粉末の比表面積は33m2/g以上150m2/g以下であれば、SiC−BN複合粉末中に含有される窒化ホウ素の粒子が微細であることを意味し、そのことは、SiC−BN複合粉末を焼結して得られるSiC/BN複合材料の強度および快削性が向上することを意味するので好ましい。なお、本発明のSiC−BN複合粉末において窒化ホウ素は微細な粒子として含まれている。従って、本発明のSiC−BN複合粉末の比表面積は大きくなる傾向にある。これは、窒化ホウ素の粒子が微細になるほどその表面積が大きくなり、その結果、SiC−BN複合粉末の表面積も大きくなるからである。または、表面積が大きい窒化ホウ素の配合量が大きいと、SiC−BN複合粉末の表面積も大きくなるからである。
また、本発明のSiC/BN複合材料の比表面積は、前記SiC/BN複合材料中の窒化ホウ素の含有量に応じ相違するが、前記SiC/BN複合材料中の窒化ホウ素の含有量が10体積%である場合、前記SiC/BN複合材料の比表面積は、例えば27〜120m2/g、好ましくは39〜100m2/g、より好ましくは42〜100m2/gである。また、前記SiC/BN複合材料中の窒化ホウ素の含有量が25体積%である場合、前記SiC/BN複合材料の比表面積は、例えば35〜170m2/g、好ましくは65〜150m2/g、より好ましくは72〜150m2/gである。
また、本発明のSiC−BN複合粉末の曲げ強度は、前記SiC−BN複合粉末中の窒化ホウ素の含有量に応じ相違するが、前記SiC−BN複合粉末中の窒化ホウ素の含有量が10体積%である場合、前記SiC−BN複合粉末の曲げ強度は、例えば850MPa以上2000MPa以下であり、好ましくは905MPa以上1800MPa以下であり、より好ましくは930MPa以上1800MPa以下である。また、前記SiC−BN複合粉末中の窒化ホウ素の含有量が20体積%である場合、前記SiC−BN複合粉末の曲げ強度は、例えば800MPa以上2000MPa以下であり、好ましくは835MPa以上1800MPa以下であり、より好ましくは850MPa以上1800MPa以下である。
また、本発明のSiC/BN複合材料の曲げ強度は、前記SiC/BN複合材料中の窒化ホウ素の含有量に応じ相違するが、前記SiC/BN複合材料中の窒化ホウ素の含有量が30体積%である場合、前記SiC/BN複合材料の曲げ強度は、例えば580MPa以上2000MPa以下であり、好ましくは630MPa以上1800MPa以下であり、より好ましくは700MPa以上1800MPa以下である。
また、前記本発明のSiC/BN複合材料中に含有される窒化ホウ素の一次粒径は、例えば20〜2000nmであり、好ましくは20〜1000nmであり、より好ましくは20〜500nmである。本発明のSiC/BN複合材料中に含有される窒化ホウ素の一次粒径が20〜2000nmであると、SiC−BN複合粉末を焼結して得られるSiC/BN複合材料の強度および快削性が向上するので好ましい。
なお、本発明において、一次粒径は、透過型電子顕微鏡を用い、目的とする粒子を写真撮影し、寸法を測定する。
本発明のSiC−BN複合粉末における炭化ケイ素は、その一次粒径が例えば50〜300nm、好ましくは50〜200nm、より好ましくは50〜100nmである。本発明のSiC−BN複合粉末における炭化ケイ素は、一次粒径が50〜300nmであると、SiC−BN複合粉末の酸化を抑制でき、かつ、焼結して得られるSiC/BN複合材料の強度が向上するので好ましい。
本発明のSiC−BN複合粉末における炭化ケイ素と窒化ホウ素の混合比は、炭化ケイ素/窒化ホウ素(体積比)が例えば97/3〜60/40であり、好ましくは95/5〜70/30であり、より好ましくは90/10〜80/20である。前記炭化ケイ素/窒化ホウ素(体積比)が97/3〜60/40であると、SiC−BN複合粉末を焼結して得られるSiC/BN複合材料の強度が向上するので好ましい。
本発明のSiC/BN複合材料における炭化ケイ素と窒化ホウ素の混合比は、炭化ケイ素/窒化ホウ素(体積比)が例えば97/3〜60/40であり、好ましくは90/10〜60/40であり、より好ましくは80/20〜60/40である。前記炭化ケイ素/窒化ホウ素(体積比)が97/3〜60/40であると、SiC/BN複合材料の快削性が向上し、かつ強度が高くなるので好ましい。
本発明のSiC−BN複合粉末における炭化ケイ素と窒化ホウ素の混合比は、後述のように製造時に用いる材料の仕込み比を調整することにより制御することができる。
次に、本発明のSiC−BN複合粉末の製造方法の一例について説明する。
本発明は、炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末(SiC−BN複合粉末)の製造方法(以下、SiC−BN複合粉末の第1の製造方法と呼ぶ)であって、
前記製造方法が、
シリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末を、前記ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させて第1の分散液を調製する工程と、
前記第1の分散液を乾燥させてシリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末を含む第1の混合物を得る工程と、
前記第1の混合物を800〜1400℃で加熱してホウケイ酸ガラスとカーボン粉末との第2の混合物を得る工程と、
前記第2の混合物を1500〜1700℃で窒素雰囲気中に加熱して前記複合粉末を得る工程を含むことを特徴とする。
また、本発明は、炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末(SiC−BN複合粉末)の製造方法(以下、SiC−BN複合粉末の第2の製造方法と呼ぶ)であって、
前記製造方法が、
シリカおよびホウ素化合物を、前記ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させて第2の分散液を調製する工程と、
前記第2の分散液を乾燥させてシリカとホウ素化合物を含む第3の混合物を得る工程と、
前記第3の混合物とカーボン粉末を乾式混合して第4の混合物を得る工程と、
前記第4の混合物を800〜1400℃で加熱してホウケイ酸ガラスとカーボン粉末との第5の混合物を得る工程と、
前記第5の混合物を1500〜1700℃で窒素雰囲気中に加熱して前記複合粉末を得る工程を含むことを特徴とする。
前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法および第2の製造方法において、原料であるシリカの一次粒径は、例えば0.03〜1.5μmであり、好ましくは0.03〜1.2μmであり、より好ましくは0.03〜1μmである。前記シリカの一次粒径が0.03〜1.5μmであると、SiC−BN複合粉末を焼結して得られるSiC/BN複合材料が酸化されるのを抑制でき、かつ、均一なSiC−BN複合粉末を得ることができるので好ましい。
前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法および第2の製造方法において、前記ホウ素化合物としては、ホウ素が含有されていること以外は限定されないが、例えば、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸エトキシドなどが挙げられ、中でもホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸エトキシドが好ましい。
前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法および第2の製造方法において、前記カーボン粉末の一次粒径は、例えば30〜100μmであり、好ましくは30〜80μmであり、より好ましくは30〜50μmである。前記カーボン粉末の一次粒径が30〜100μmであると、前記第1の製造方法および第2の製造方法において得られるホウケイ酸ガラス粒子より粒径が小さくなる。その結果、ホウケイ酸ガラス粒子とカーボン粉末との第2の混合物、およびホウケイ酸ガラス粒子とカーボン粉末との第5の混合物を加熱して複合粉末を得る際、前記カーボン粉末がホウケイ酸ガラス粒子とよりよく接触し、反応が均一に進行するので好ましい。
前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法および第2の製造方法において、前記ホウ素化合物を可溶な溶媒としては、前記ホウ素化合物を溶解、分散(すなわちホウ素化合物の一部はそこへ溶解する)等する溶媒であれば限定されない。前記溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等)などが挙げられ、単独または混合して用いてもよい。前記溶媒としては、水、および水とアルコールの混合物が好ましい。前記水とアルコールの混合物の場合、水とアルコールの混合比は、アルコール:水(体積比)が例えば0〜50:100〜50である。
シリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末の配合比は、目的とするSiC−BN複合粉末の組成に応じて調整することができる。例えば、前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法においては、前記第1の分散液を調製する工程において、シリカおよびホウ素化合物が、シリカに含まれるケイ素原子:ホウ素化合物に含まれるホウ素原子の比が、例えば94.3:5.7〜56.6:43.4、好ましくは88.6:11.4〜56.5:43.5、より好ましくは88.6:11.4〜66.9:33.1になるように配合される。前記配合比を、シリカに含まれるケイ素原子:ホウ素化合物に含まれるホウ素原子の比が、例えば94.3:5.7〜56.6:43.4になるようなシリカおよびホウ素化合物の配合比に調整すると、SiC−BN複合粉末における前記炭化ケイ素/窒化ホウ素(体積比)を97/3〜60/40に制御することができるので好ましい。
また、例えば、前記SiC−BN複合粉末の第2の製造方法においては、前記第2の分散液を調製する工程および前記乾燥粉末とカーボン粉末とを混合して第1の混合物を得る工程において、シリカおよびホウ素化合物が、シリカに含まれるケイ素原子:ホウ素化合物に含まれるホウ素原子の比が、例えば94.3:5.7〜56.6:43.4、好ましくは88.6:11.4〜56.5:43.5、より好ましくは88.6:11.4〜66.9:33.1になるように配合される。前記配合比を、シリカに含まれるケイ素原子:ホウ素化合物に含まれるホウ素原子の比が、例えば94.3:5.7〜56.6:43.4になるようなシリカおよびホウ素化合物の配合比に調整すると、SiC−BN複合粉末における前記炭化ケイ素/窒化ホウ素(体積比)を97/3〜60/40に制御することができるので好ましい。
前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法において、シリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末を、ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させる工程は、例えば、シリカとホウ素化合物とカーボン粉末とを、ホウ素化合物を可溶な溶媒に加えて、例えばボールミルを用いた混合、超音波を用いた混合等することができる。
前記SiC−BN複合粉末の第2の製造方法において、シリカおよびホウ素化合物を、ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させる工程は、例えば、シリカとホウ素化合物とを、ホウ素化合物を可溶な溶媒に加えて、例えばボールミルを用いた混合、超音波を用いた混合等することができる。
前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法において、シリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末を、ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させる工程は、例えば10〜95℃、好ましくは20〜70℃、より好ましくは25〜50℃で行うことができる。
前記SiC−BN複合粉末の第2の製造方法において、シリカおよびホウ素化合物を、ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させる工程は、例えば10〜95℃、好ましくは20〜70℃、より好ましくは25〜50℃で行うことができる。
次に、前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法において、得られた分散液を乾燥させてシリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末を含む第1の混合物を得る。前記乾燥工程は、例えば5〜80℃、好ましくは20〜60℃、より好ましくは20〜50℃で行うことができる。
前記SiC−BN複合粉末の第2の製造方法において、得られた第2の分散液を乾燥させてシリカとホウ素化合物を含む第3の混合物を得る。前記乾燥工程は、例えば5〜80℃、好ましくは20〜60℃、より好ましくは20〜50℃で行うことができる。
前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法においては、前記シリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末の第1の混合物においては、前記シリカが前記ホウ素化合物により被覆されているのが好ましい。このように前記シリカが前記ホウ素化合物により被覆されていると、前記乾燥粉末を加熱して得られるホウケイ酸ガラスの粒子が微細になるため、好ましい。
前記SiC−BN複合粉末の第2の製造方法においては、前記シリカおよびホウ素化合物の第3の混合物においては、前記シリカが前記ホウ素化合物により被覆されているのが好ましい。このように前記シリカが前記ホウ素化合物により被覆されていると、前記乾燥粉末を加熱して得られるホウケイ酸ガラスの粒子が微細になるため、好ましい。
次に、前記SiC−BN複合粉末の第2の製造方法においては、シリカおよびホウ素化合物の第3の混合物と、カーボン粉末とを乾式混合して第4の混合物を得る。前記乾式混合は、ボールミルを用いた方法を用いて行うことができる。また、前記乾式混合は、例えば20〜30℃で行うことができる。
次に、前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法においては、第1の混合物を800〜1400℃、好ましくは900〜1350℃、より好ましくは900〜1300℃で加熱してホウケイ酸ガラスとカーボン粉末との第2の混合物を得る。前記加熱時間は特に限定されないが、例えば1分〜10時間、好ましくは1分〜5時間より好ましくは1分〜1時間である。前記ホウケイ酸ガラスには、ホウ素とケイ素の原子が均一に配列されているため、前記第1の製造方法において製造されるSiC−BN複合粉末は炭化ケイ素と窒化ホウ素が均一に複合されることが可能である。
また、前記SiC−BN複合粉末の第2の製造方法においては、第4の混合物を800〜1400℃、好ましくは900〜1350℃、より好ましくは900〜1300℃で加熱してホウケイ酸ガラスとカーボン粉末との第5の混合物を得る。前記加熱時間は特に限定されないが、例えば1分〜10時間、好ましくは1分〜5時間より好ましくは1分〜1時間である。前記ホウケイ酸ガラスには、ホウ素とケイ素の原子が均一に配列されているため、前記第2の製造方法において製造されるSiC−BN複合粉末は炭化ケイ素と窒化ホウ素が均一に複合されることが可能である。
次に、前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法においては、第2の混合物を窒素雰囲気下で、1500〜1700℃、好ましくは1500〜1650℃、より好ましくは1550〜1650℃で加熱してSiC−BN複合粉末を得る。前記第1の製造方法は、前記のように水素等の特殊は気体雰囲気を使用する必要がないので、安全な製造方法である。また、前記第1の製造方法で得られたSiC−BN複合粉末は、より微細なBNが前記複合材料中で分散された複合材料である。
また、前記SiC−BN複合粉末の第2の製造方法においては、第5の混合物を窒素雰囲気下で、1500〜1700℃、好ましくは1500〜1650℃、より好ましくは1550〜1650℃で加熱してSiC−BN複合粉末を得る。前記第2の製造方法は、前記のように水素等の特殊は気体雰囲気を使用する必要がないので、安全な製造方法である。また、前記第2の製造方法で得られたSiC−BN複合粉末は、より微細なBNが前記複合材料中で分散された複合材料である。
また、前記SiC−BN複合粉末の第1の製造方法は、例えば600〜700℃で、好ましくは600〜660℃で、より好ましくは640〜660℃で、露点−100〜−55℃、好ましくは−100〜−65℃、より好ましくは−100〜−80℃の乾燥空気中で加熱して過剰なカーボン粉末を除去する工程を含んでもよい。このような工程を含む場合、例えば1500〜1700℃で、好ましくは1500〜1650℃で、より好ましくは1550 〜1650℃で、窒素雰囲気下に加熱する工程をさらに含んでもよい。後者の加熱工程は、前者の工程によりSiC−BN複合粉末が酸化された場合、酸素含有量を調整するためである。
また、前記SiC−BN複合粉末の第2の製造方法は、例えば600〜700℃で、好ましくは600〜660℃で、より好ましくは640〜660℃で、露点−100〜−55℃、好ましくは−100〜−65℃、より好ましくは−100〜−80℃の乾燥空気中で加熱して過剰なカーボン粉末を除去する工程を含んでもよい。このような工程を含む場合、例えば1500〜1700℃で、好ましくは1500〜1650℃で、より好ましくは1550 〜1650℃で、窒素雰囲気下に加熱する工程をさらに含んでもよい。後者の加熱工程は、前者の工程によりSiC−BN複合粉末が酸化された場合、酸素含有量を調整するためである。
また、本発明は、炭化ケイ素と窒化ホウ素とを含む複合材料(SiC/BN複合材料)の製造方法であって、
前記製造方法が、複合粉末を焼結する工程を含み、
前記複合粉末が、本発明のSiC−BN複合粉末の第1または第2の製造方法により得られたSiC−BN複合粉末であることを特徴とする。前記複合粉末が、本発明のSiC−BN複合粉末の第1または第2の製造方法により得られたSiC−BN複合粉末であれば、前記SiC−BN複合粒子中では、SiCとBNが均一に複合化されているので、焼結して得られるSiC/BN複合材料中のBNが前記複合材料中に微細に分散される。その結果、前記SiC/BN複合材料の強度および快削性が向上するので好ましい。
前記SiC/BN複合材料の製造方法においては、前記焼結工程において、前記複合粉末に焼結助剤を添加するのが好ましい。前記焼結助剤としては、例えば、Y23、Al23、MgO、SiO2、B、Cが挙げられる。前記焼結助剤は1種類を単独用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。前記焼結助剤としては、Y23とAl23の混合物が好ましい。前記焼結助剤を添加すると、炭化ケイ素が柱状または板状に成長するため、通常用いられるホウ素−炭素系焼結助剤よりも強度と靱性の高い焼結体が得られ、かつ液相が低温で生成するため、常圧焼結も可能になるので好ましい。前記焼結助剤の添加量としては、前記複合粉末(100重量)に対し、例えば5.5〜31.9、好ましくは6.6〜28.6、より好ましくは7.4〜26.8である。焼結剤としてY23とAl23の混合物を用いる場合、Al23:Y23(重量比)が、例えば3〜9:2〜20、好ましくは4〜8:2〜18、より好ましくは4.5〜7.7:2.2〜16.7である。
前記SiC/BN複合材料の製造方法においては、前記焼結工程が、例えば1650〜2000℃、好ましくは1700〜2000℃、より好ましくは1750〜2000℃で行われる。
球状シリカ(135g、2.25モル、平均粒径0.3μm、アドマファインSO−E1、信越石英株式会社)、ホウ酸(40.03g、0.65モル、試薬特級、和光純薬株式会社)およびカーボン粉末(118.01g、9.83モル、平均粒径30nm、#30、三菱化学株式会社)と、水(300ml)とエタノール(300ml)とをボールミルを用いて混合した。得られた混合物(893g)を50℃で36時間乾燥して粉末(293g)を得た(図1中、[A]参照)。この乾燥粉末(90g)を窒素雰囲気中で800℃で5時間熱処理した。この加熱処理により、シリカとホウ酸からホウケイ酸ガラスが生成し、ホウケイ酸ガラスとカーボン粉末の混合物(78g)を得た(図1中、[B]参照)。前記ホウケイ酸ガラスとカーボン粉末の混合物を窒素雰囲気中で1550℃で10時間、続いて1650℃で1時間熱処理してSiC−BN複合粉末(29g)を得た。得られたSiC−BN複合粉末中、窒化ホウ素の含有量は20体積%であった。なお、熱処理後、過剰なカーボン粉末は、露点−70℃以下の乾燥空気中で、650℃で5時間熱処理を行い、脱炭素処理して除去した。さらに、脱炭素処理後に複合粉末が若干酸化されているため、1550℃5時間窒素雰囲気中で熱処理を行うことにより酸素含有量0.25重量%のSiC−BN複合粉末を得た。得られたSiC−BN複合粉末のTEMによる微細組織観察を図2(a)および(b)に、XRDプロファイルを図1[C]に示す。また、得られたSiC−BN複合粉末のBET法による比表面積を表1に示す。
(参考例1)
特開2000−264741号公報に記載の製造方法により、SiC−BN複合粉末(窒化ホウ素の含有量は20体積%)を得た。具体的には、β−SiC粉末(平均粒径270nm、100g ウルトラファイン イビデン株式会社)、ホウ酸粉末(44.44g、0.72モル、高純度化学研究所製)、および尿素粉末(129.34g、2.09モル、前記ホウ酸粉末の3倍のモル量、和光純薬工業社製)を加えて均一に混合した。この混合粉末とエタノール(分散溶媒)とをボールミルを用いて24時間湿式混合した。その後、得られた混合物に水を加え、次にエバポレーターを用い減圧下70℃で2時間乾燥して粉末を得た。前記乾燥粉末を水素雰囲気中、700℃で3時間加熱し(還元処理)、その後、水素雰囲気中で1100℃で8時間加熱し(還元処理)、さらに、窒素雰囲気中で1500℃で6時間加熱し、さらに真空中で1500℃で3時間過熱した。得られたSiC−BN複合粉末(117g)のBET法による比表面積を表1に示す。
実施例1で得たSiC−BN複合粉末(25g)と焼結助剤Al23(1.92g、7重量%)およびY23(0.55g、2重量%)とをボールミルを用いて混合し、ホットプレス装置(富士電波工業社製)を用いて焼結した。焼結条件は、圧力30MPa、窒素雰囲気中、1750℃、1時間である。得られたSiC/BN複合材料(27g)(窒化ホウ素の含有量は20体積%)のSEMによる微細組織観察を図3に示す。また、得られたSiC/BN複合材料の曲げ共振法によるヤング率、三点曲げ試験による曲げ強度を表1に示す。
(参考例2)
参考例1で得たSiC−BN複合粉末(25g)と焼結助剤Al23(1.92g、7重量%)およびY23(0.55g、2重量%)とエタノール(分散溶媒)とをボールミルを用いて72時間湿式混合した。その後、得られた混合物をエバポレーターを用い減圧下70℃で2時間乾燥して粉末を得た。前記乾燥粉末を黒鉛ダイズに充填して、ホットプレス装置(富士電波工業社製)を用いて焼結した。焼結条件は、圧力30MPa、アルゴン雰囲気中、1900℃、1時間である。得られたSiC/BN複合材料の曲げ共振法によるヤング率、三点曲げ試験による曲げ強度を表1に示す。
(実施例3)
球状シリカ、ホウ酸およびカーボン粉末の量を球状シリカ(120g、2.00モル、平均粒径0.3μm、アドマファインSO−E1、信越石英株式会社)、ホウ酸(60.99g、0.99モル、試薬特級、和光純薬株式会社)およびカーボン粉末(118.21g、9.85モル、平均粒径30nm、#30、三菱化学株式会社)とした以外は、実施例1と同様にして行い、SiC−BN複合粉末(104g)(窒化ホウ素の含有量は30体積%)を得た。得られたSiC−BN複合粉末のBET法による比表面積を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で得たSiC−BN複合粉末の代わりに、実施例3で得たSiC−BN複合粉末を用いた以外は、実施例2と同様にして行った。得られたSiC/BN複合材料の曲げ共振法によるヤング率、三点曲げ試験による曲げ強度を表1に示す。得られたSiC/BN複合材料(窒化ホウ素の含有量は30体積%)のSEMによる微細組織観察を図4に示す。
(参考例3)
β−SiC粉末、ホウ酸粉末および尿素粉末の量をβ−SiC粉末(平均粒径270nm、50g、1.25モル、ウルトラファイン イビデン株式会社)、ホウ酸粉末(38.09g、0.62モル、高純度化学研究所製)、および尿素粉末(110.86g、1.85モル、前記ホウ酸粉末の3倍のモル量、和光純薬工業社製)とした以外は、参考例1と同様にして行い、SiC−BN複合粉末(64g)(窒化ホウ素の含有量は30体積%)を得た。得られたSiC−BN複合粉末のBET法による比表面積を表1に示す。
(参考例4)
参考例1で得たSiC−BN複合粉末の代わりに参考例3で得たSiC−BN複合粉末(25g)を用いた以外は参考例2と同様にして行い、SiC/BN複合材料(27g)を得た。得られたSiC/BN複合材料の曲げ共振法によるヤング率、三点曲げ試験による曲げ強度を表1に示す。また、得られたSiC/BN複合材料(窒化ホウ素の含有量は30体積%)のSEMによる微細組織観察を図5に示す。
(参考例5)
β−SiC粉末(100g ウルトラファイン イビデン株式会社)にh−BN粉末(17.83g GPグレード 電気化学工業株式会社)と焼結助剤(Al23(9.06g、7重量%)およびY23(2.59g、2重量%))とエタノール(250ml)(分散溶媒)を加え、湿式でボールミルを用いた混合を24時間行った。混合後、エバポレーターを用い溶媒を除去し、得られた乾燥粉末を乾式でボールミルを用いた混合を行った。得られた混合粉末250gをホットプレス装置(富士電波工業株式会社製)を用いて焼結した。焼結条件は、プレス圧力30MPa、窒素雰囲気中、1750℃、1時間である。得られたSiC/BN複合材料(窒化ホウ素の含有量は20体積%)のSEMによる微細組織観察を図6に示す。また、得られたSiC/BN複合材料の曲げ共振法によるヤング率、三点曲げ試験による曲げ強度を表1に示す。
図1より、加熱により、シリカ、ホウ酸およびカーボン粉末の混合物のピーク(図1中[A]参照)中のホウ酸のピークは消失し、代わりにホウケイ酸ガラスの生成を示すd=4.0Åからのブロードなピークが確認できた(図1中[B]参照)。さらなる熱処理により、炭化ケイ素と窒化ホウ素のピークが確認できた(図1中[C]参照)。このことにより、本発明の実施例1においてSiC−BN複合粉末の生成を確認できた。
また、図2より、本発明のSiC−BN複合粉末は、微細なSiC粒子の周りにナノサイズのBNが析出したSiC−BN複合粉末であることが確認できた。
また図3により、本発明のSiC/BN複合材料は、著しく微細なSiC粒子とBN粒子とから構成されていることが確認できた。従来のSiC/BN複合材料が、SiC粒子と平均粒径9μmのBN粒子とから構成されている(図6参照)のに比べて、本発明のSiC/BN複合材料は、著しく微細なSiC粒子とBN粒子とから構成されている。
さらに表1により、本発明のSiC−BN複合粒子の比表面積が従来のSiC−BN複合粒子より著しく大きいことが確認できた。このことは本発明のSiC−BN複合粒子に含まれるBN粒子が著しく微細であることを意味する。また、本発明のSiC/BN複合材料の曲げ強度が従来のSiC/BN複合材料より高いことが確認できた。また、破壊源として作用するBN粒子が微細であり、しかもSiCマトリックス中に均一に分散しているため、本発明のSiC−BN複合粒子は高強度が維持されたと考えられる。さらに本製造方法を用いて製造したSiC/BN複合材料は、高強度である上、20体積%以上窒化ホウ素を含む複合材料である。このようなSiC/BN複合材料は、良好な機械加工性を示した(図7参照)。
本発明のSiC−BN複合粉末は、高強度のセラミックス生成に適用できる。
図1は、本発明の一例のSiC−BN複合粉末のXRDプロファイルである。[A]は、実施例1のシリカ、ホウ酸およびカーボン粉末のボールミルを用いた混合物の乾燥粉末、[B]は実施例1のホウケイ酸ガラスとカーボン粉末の混合物、[C]はSiC−BN複合粉末のXRDプロファイルである。 図2は、本発明の一例のSiC−BN複合粉末のTEMによる組織観察である。(a)は倍率が低倍率、(b)は倍率が高倍率のものである。 図3は、本発明の一例のSiC/BN複合材料のSEMによる組織観察である。 図4は、本発明の別の一例のSiC/BN複合材料のSEMによる組織観察である。 図5は、参考例のSiC/BN複合材料のSEMによる組織観察である。 図6は、別の参考例のSiC/BN複合材料のSEMによる組織観察である。 図7は、本発明の一例のSiC/BN複合材料(窒化ホウ素の含有量は22.5体積%)について、ドリル加工したものである。

Claims (9)

  1. 炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末の製造方法であって、
    前記製造方法が、
    シリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末を、前記ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させて第1の分散液を調製する工程と、
    前記第1の分散液を乾燥させてシリカ、ホウ素化合物およびカーボン粉末を含む第1の混合物を得る工程と、
    前記第1の混合物を800〜1400℃で加熱してホウケイ酸ガラスとカーボン粉末との第2の混合物を得る工程と、
    前記第2の混合物を1500〜1700℃で窒素雰囲気中に加熱して前記複合粉末を得る工程を含む製造方法。
  2. 前記第1の混合物において、前記シリカが前記ホウ素化合物により被覆されている請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記第1の分散液を調製する工程において、シリカおよびホウ素化合物が、シリカに含まれるケイ素原子:ホウ素化合物に含まれるホウ素原子=94.3:5.7〜56.6:43.4になるように配合される請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 炭化ケイ素と窒化ホウ素とが複合化されている複合粉末の製造方法であって、
    前記製造方法が、
    シリカおよびホウ素化合物を、前記ホウ素化合物を可溶な溶媒に分散させて第2の分散液を調製する工程と、
    前記第2の分散液を乾燥させてシリカとホウ素化合物を含む第3の混合物を得る工程と、
    前記第3の混合物とカーボン粉末を乾式混合して第4の混合物を得る工程と、
    前記第4の混合物を800〜1400℃で加熱してホウケイ酸ガラスとカーボン粉末との第5の混合物を得る工程と、
    前記第5の混合物を1500〜1700℃で窒素雰囲気中に加熱して前記複合粉末を得る工程を含む製造方法。
  5. 前記第3の混合物において、前記シリカが前記ホウ素化合物により被覆されている請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記第2の分散液を調製する工程において、シリカおよびホウ素化合物が、シリカに含まれるケイ素原子:ホウ素化合物に含まれるホウ素原子=94.3:5.7〜56.6:43.4になるように配合される請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 炭化ケイ素と窒化ホウ素とを含む複合材料の製造方法であって、
    前記製造方法が、複合粉末を焼結する工程を含み、
    前記複合粉末が、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法により得られた複合粉末である製造方法。
  8. 前記焼結工程において、前記複合粉末に焼結助剤を添加する請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記焼結工程が、1750〜2000℃で行われる請求項7または8に記載の製造方法。
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