JP5086903B2 - 電気化学キャパシタ用電解液及びこれを用いた電気化学キャパシタ - Google Patents
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Description
また、脂肪族モノカルボン酸エステルを混合したキャパシタでは、多量の脂肪族モノカルボン酸エステルが封口ゴムからキャパシタ外に透過することがあるという問題がある。
また、pH緩衝剤により電解液のpH変化を抑制したキャパシタでは、多量の緩衝剤を含むため、緩衝剤自身の悪影響が大きく受け、かえってキャパシタの耐久性が低下するという問題がある。
で表されるスピロ型四級アンモニウムカチオン(a1)とアニオン(a2)からなる電解質(A)、一般式(2)
で表されるカルボン酸メチルエステル(B)、及び、カルボン酸メチルエステル(B)以外の非水溶媒(C)を含有する電気化学キャパシタ用電解液であって、(A)、(B)および(C)の合計重量に対して(B)を1〜11重量%含有することを特徴とする電気化学キャパシタ用電解液、及び、この電解液を用いることを特徴とする電気化学キャパシタに関する。
非水溶媒(C)は、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン及びガンマブチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒であることが好ましい。
スピロ型四級アンモニウムカチオン(a1)は、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムイオン、ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウムイオン、及び、スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオンであることが好ましい。
アニオン(a2)はBF4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、N(RfSO2)2 −、C(RfSO2)3 −、RfSO3 −(Rfは炭素数1〜12のフルオロアルキル基)、N(FSO2)2 −、F−、ClO4 −、AlF4 −、AlCl4 −、TaF6 −、NbF6 −、SiF6 −、CN−、CH3BF3 −及びF(HF)n −(nは1〜4の数を表す)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオンであることが好ましい。
一般式(1)で表される電解質(A)は、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム、テトラフルオロホウ酸ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウム、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質であることが好ましい。
非水溶媒(C)がプロピレンカーボネートであり、カルボン酸メチルエステル(B)がプロピオン酸メチルであることが好ましい。
非水溶媒(C)がプロピレンカーボネート及びジメチルカーボネートであり、カルボン酸メチルエステル(B)がプロピオン酸メチルであることが好ましい。
スピロ型四級アンモニウムカチオン(a1)において、m及びnは3〜7の整数であり、同じでも異なっていてもよい。m及びnは、好ましくは3〜6であり、より好ましくは4〜5である。8以上であると電導度が低下する。
N(RfSO2)2 −、C(RfSO2)3 −、RfSO3 −又はRfCO2 −で表されるアニオンに含まれるRfは、炭素数1〜12のフルオロアルキル基を表し、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びノナフルオロブチルなどが挙げられる。これらのうち、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル及びヘプタフルオロプロピルが好ましく、トリフルオロメチル及びペンタフルオロエチルがさらに好ましい。特に好ましくはトリフルオロメチルである。
これらのうち、電気化学的安定性の観点等から、BF4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、N(RfSO2)2 −、C(RfSO2)3 −、RfSO3 −(Rfは炭素数1〜12のフルオロアルキル基)、N(FSO2)2 −、F−、ClO4 −、AlF4 −、AlCl4 −、TaF6 −、NbF6 −、SiF6 −、CN−、CH3BF3 −及びF(HF)n −(nは1〜4の数を表す)で表されるアニオンが好ましく、BF4 −、PF6 −、N(FSO2)2 −、及び、CH3BF3 −で表されるアニオンがさらに好ましく、BF4 −及びPF6 −で表されるアニオンが特に好ましい。最も好ましくはBF4 −で表されるアニオンである。
酢酸メチル、プロピオン酸メチル、n−酪酸メチル、イソ酪酸メチル、n−吉草酸メチル、イソ吉草酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、3,3−ジメチルアクリル酸メチル、プロピオール酸メチル、クロトン酸メチル等。
これらのうち、電解質との溶解度の観点から酢酸メチル、プロピオン酸メチル、n−酪酸メチル、イソ酪酸メチル、n−吉草酸メチル及びイソ吉草酸メチルが好ましく、より好ましくは、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル及びイソ酪酸メチルであり、更に好ましくはプロピオン酸メチル、酪酸メチル及びイソ酪酸メチルであり、最も好ましくはプロピオン酸メチルである。
(B)の含有量が1重量%未満であると、含有量が少な過ぎ、十分な効果を発揮できない。
このカルボン酸メチルエステル(B)は、以下のように作用するものと推定される。電解液中の水分とカルボン酸メチルエステル(B)との反応速度が、他の非水溶媒(エステル等)と比較して極めて速いため、カルボン酸メチルエステル(B)が優先的に加水分解されるが、発生したカルボン酸は酸性度が低く、電極を腐食するほどの酸とはならない。したがって、カルボン酸メチルエステル(B)は、製造時から存在する水分や経時的に進入してくる水分を効率的にトラップする働きがあると考えられる。
非水溶媒(C)は、単独で用いても良いし、2種以上の混合物であっても良い。
・アミド:炭素数3〜6の鎖状アミド(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド及びヘキサメチルホスホリルアミド等)、並びに、炭素数4〜6の環状アミド(ピロリジノン、N−メチルピロリジノン及びN−ビニルピロリジノン等)。
・ニトリル:炭素数2〜6のニトリル(アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、3−エトキシプロピオニトリル及びアクリロニトリル等)。
・カーボネート:炭素数3〜5の鎖状カーボネート(ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等)、及び炭素数3〜4の環状カーボネート(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート及びビニレンカーボネート等)。
・スルホキシド:炭素数2〜6の鎖状スルホキシド(ジメチルスルホキシド及びジプロピルスルホキシド等)。
・スルホン:炭素数4〜6の環状スルホン(スルホラン、3−メチルスルホラン及び2,4−ジメチルスルホラン等)。
・ニトロ化合物:ニトロメタン及びニトロエタン等。
・他の環状化合物:N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノン及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等。
・環状エステル:ガンマブチロラクトン等。
非水溶媒(C)を単独で用いる場合は、高誘電率及び高沸点の観点からプロピレンカーボネートが最も好ましい。
ここで主溶媒とは、非水溶媒のうち、50〜99重量%、好ましくは70〜90重量%を含有することを意味する。50重量%より少ないと、電解質が析出する傾向があり、99重量%を超えると電導度が低下する傾向がある。副溶媒とは、混合物の非水溶媒のうち、1〜50重量%、好ましくは10〜30重量%を含有することを意味する。1重量%より少ないと、電導度が低下する傾向があり、50重量%を超えると電解質が析出する傾向がある。
さらに、非水溶媒(C)が2種の溶媒からなる混合物である場合のカルボン酸メチルエステル(B)との組み合わせは、酢酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、酢酸メチルとプロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、プロピオン酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピオン酸メチルとプロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、n−酪酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、n−酪酸メチルとプロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、イソ酪酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、イソ酪酸メチルとプロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、n−吉草酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、n−吉草酸メチルとプロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネート、イソ吉草酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、イソ吉草酸メチルとプロピレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの組み合わせが好ましい。粘度が低く、電気抵抗が低いことから、酢酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、プロピオン酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、n−酪酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、イソ酪酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートが更に好ましく、プロピオン酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、n−酪酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネート、イソ酪酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートがより好ましく、プロピオン酸メチルとプロピレンカーボネートとジメチルカーボネートとの組み合わせが最も好ましい。
電解液中の含水量はカールフィッシャー法(JIS K0113−1997、電量滴定方法)で測定することができる。
電解液中の水分を上記の範囲にする方法としては、あらかじめ十分に乾燥した電解質塩(A)と、あらかじめ十分に脱水した非水溶媒とを使用する方法等が挙げられる。
乾燥方法としては、減圧下加熱乾燥(例えば20Torr減圧下で150℃に加熱)して、含有されている微量の水を蒸発させて除去する方法等が挙げられる。
脱水方法としては、減圧下加熱脱水(例えば100Torrで加熱)して、含有されている微量の水を蒸発させて除去する方法、モレキュラーシーブ(ナカライテスク製、3A 1/16等)、活性アルミナ粉末などの除水剤を使用する方法等が挙げられる。
また、これらの他に、電解液を減圧下加熱脱水(例えば100Torr減圧下で100℃に加熱)して、含有されている微量の水を蒸発させて除去する方法、モレキュラーシーブ、活性アルミナ粉末などの除水剤を使用する方法等が挙げられる。これらの方法は、それぞれ単独で行ってもよいし、組み合わせて行ってもよい。これらのうち、(A)を減圧下加熱乾燥する方法、電解液にモレキュラーシーブを加える方法が好ましい。
添加剤としては、リン酸類及びその誘導体(リン酸、亜リン酸、リン酸エステル類、ホスホン酸類等)、ホウ酸類及びその誘導体(ホウ酸、酸化ホウ酸、ホウ酸エステル類、ホウ素と水酸基及び/又はカルボキシル基を有する化合物との錯体等)、硝酸塩(硝酸リチウム等)及びニトロ化合物(ニトロ安息香酸、ニトロフェノール、ニトロフェネトール、ニトロアセトフェノン、芳香族ニトロ化合物等)等があげられる。添加剤量は、導電性の観点から電解質(A)の10重量%以下が好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。
ピロリジン100部、炭酸カリウム97部をテフロン(登録商標)コーティングしたオートクレーブに仕込み、1,4−ジクロロブタン179部を加え、90℃で8時間反応を行った。この反応溶液に42重量%のホウフッ化水素酸水溶液294部を25℃で約30分かけて徐々に滴下した。滴下が終了して、泡の発生がおさまった後、20Torr、100℃で、溶媒を全量留去して、固体195部が得られた。この固体をエタノール、2−プロパノールを用いて晶析を2回行い、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムを電解質塩(A−1)(白色固体)として136部得た。電解質塩(A−1)を1H−NMR、19F−NMR、13C−NMR及びHPLC分析した結果、純度は99.99mol%であった。HPLC分析の測定条件は上記に記載したとおりである。以下の合成例についても同じである。
製造例1のホウフッ化水素酸水溶液を60重量%のヘキサフルオロリン酸水溶液342部に換えた以外は同様で、固体245部が得られた。この固体をエタノール、2−プロパノールを用いて晶析を2回行い、ヘキサフルオロリン酸スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムを電解質塩(A−2)(白色固体)として196部得た。電解質塩(A−2)を1H−NMR、19F−NMR、13C−NMR及びHPLCで分析した結果、純度は99.99mol%であった。HPLC分析の測定条件は上記に記載したとおりである。以下の合成例についても同じである。
ピロリジン100部、炭酸カリウム97部をテフロン(登録商標)コーティングしたオートクレーブに仕込み、1,5−ジクロロペンタン198部を加え、90℃で8時間反応を行った。この反応溶液に42重量%のホウフッ化水素酸水溶液294部を25℃で約30分かけて徐々に滴下した。滴下が終了して、泡の発生がおさまった後、20Torr、100℃で、溶媒を全量留去して、固体200部が得られた。この固体をエタノール、2−プロパノールを用いて晶析を2回行い、テトラフルオロホウ酸ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウムを電解質塩(A−3)(白色固体)として155部得た。電解質塩(A−3)を1H−NMR、19F−NMR、13C−NMR及びHPLCで分析した結果、純度は99.99mol%であった。HPLC分析の測定条件は上記に記載したとおりである。以下の合成例についても同じである。
製造例3のホウフッ化水素酸水溶液を60重量%のヘキサフルオロリン酸水溶液342部に換えた以外は同様で、固体260部が得られた。この固体をエタノール、2−プロパノールを用いて晶析を2回行い、ヘキサフルオロリン酸ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウムを電解質塩(A−4)(白色固体)として185部得た。電解質塩(A−4)を1H−NMR、19F−NMR、13C−NMR及びHPLCで分析した結果、純度は99.99mol%であった。HPLC分析の測定条件は上記に記載したとおりである。以下の合成例についても同じである。
ビペリジン100部、炭酸カリウム81部をテフロン(登録商標)コーティングしたオートクレーブに仕込み、1,5−ジクロロペンタン166部を加え、90℃で8時間反応を行った。この反応溶液に42重量%のホウフッ化水素酸水溶液246部を25℃で約30分かけて徐々に滴下した。滴下が終了して、泡の発生がおさまった後、20Torr、100℃で、溶媒を全量留去して、固体180部が得られた。この固体をエタノール、2−プロパノールを用いて晶析を2回行い、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウムを電解質塩(A−5)(白色固体)として132部得た。電解質塩(A−5)を1H−NMR、19F−NMR、13C−NMR及びHPLCで分析した結果、純度は99.99mol%であった。HPLC分析の測定条件は上記に記載したとおりである。以下の合成例についても同じである。
製造例5のホウフッ化水素酸水溶液を60重量%のヘキサフルオロリン酸水溶液286部に換えた以外は同様で、固体220部が得られた。この固体をエタノール、2−プロパノールを用いて晶析を2回行い、ヘキサフルオロリン酸スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウムを電解質塩(A−6)(白色固体)として171部得た。電解質塩(A−6)を1H−NMR、19F−NMR、13C−NMR及びHPLCで分析した結果、純度は99.99mol%であった。HPLC分析の測定条件は上記に記載したとおりである。以下の合成例についても同じである。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)14.7g、プロピオン酸メチル(B−1)8.2g、主溶媒としてプロピレンカーボネート(C−1)58.7g、副溶媒としてジメチルカーボネート(C−2)18.4gを溶解させ電解質(A)濃度0.8mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液1を得た。この電解液の水分は25ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)17.9g、酢酸メチル(B−2)7.8g、プロピレンカーボネート(C−1)74.3gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液2を得た。この電解液の水分は29ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)17.9g、プロピオン酸メチル(B−1)7.7g、プロピレンカーボネート(C−1)74.4gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液3を得た。この電解液の水分は23ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)18.0g、酪酸メチル(B−3)8.2g、プロピレンカーボネート(C−1)73.8gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液4を得た。この電解液の水分は26ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)18.0g、イソ酪酸メチル(B−4)8.1g、プロピレンカーボネート(C−1)73.9gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液5を得た。この電解液の水分は19ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)18.0g、吉草酸メチル(B−5)8.1g、プロピレンカーボネート(C−1)73.9gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液6を得た。この電解液の水分は27ppmであった。
製造例2で得られた電解質塩(A−2)34.4g、プロピオン酸メチル(B−1)11.0g、プロピレンカーボネート(C−1)54.6gを溶解させ電解質(A)濃度1.5mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液7を得た。この電解液の水分は22ppmであった。
製造例3で得られた電解質塩(A−3)19.6g、プロピオン酸メチル(B−1)7.8g、主溶媒としてプロピレンカーボネート(C−1)52.2g、副溶媒としてジメチルカーボネート(C−2)20.4gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液8を得た。この電解液の水分は28ppmであった。
製造例3で得られた電解質塩(A−3)28.5g、プロピオン酸メチル(B−1)6.7g、プロピレンカーボネート(C−1)64.8gを溶解させ電解質(A)濃度1.5mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液9を得た。この電解液の水分は30ppmであった。
製造例4で得られた電解質塩(A−4)28.1g、酢酸メチル(B−2)8.9g、スルホラン(C−3)63.1gを溶解させ電解質(A)濃度1.2mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液10を得た。この電解液の水分は29ppmであった。
製造例5で得られた電解質塩(A−5)20.8g、プロピオン酸メチル(B−1)7.7g、主溶媒としてプロピレンカーボネート(C−1)57.4g、副溶媒としてエチルメチルカーボネート(C−4)14.1gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液11を得た。この電解液の水分は21ppmであった。
製造例5で得られた電解質塩(A−5)23.8g、プロピオン酸メチル(B−1)1.2g、プロピレンカーボネート(C−1)75.0gを溶解させ電解質(A)濃度1.2mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液12を得た。この電解液の水分は25ppmであった。
製造例6で得られた電解質塩(A−6)31.8g、酪酸メチル(B−3)10.2g、ガンマブチルラクトン(C−5)58.0gを溶解させ電解質(A)濃度1.2mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して電解液13を得た。この電解液の水分は22ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)14.3gと主溶媒としてプロピレンカーボネート(C−1)69.4g、副溶媒としてジメチルカーボネート(C−2)16.3gを溶解させ、電解質(A)濃度0.8mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液1を得た。この電解液の水分は31ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)17.5gとプロピレンカーボネート(C−1)82.5gを溶解させ、電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液2を得た。この電解液の水分は25ppmであった。
製造例2で得られた電解質塩(A−2)33.2gとプロピレンカーボネート(C−1)66.8gを溶解させ、電解質(A)濃度1.5mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液3を得た。この電解液の水分は22ppmであった。
製造例3で得られた電解質塩(A−3)19.2gと主溶媒としてプロピレンカーボネート(C−1)58.6g、副溶媒としてジメチルカーボネート(C−2)22.2gを溶解させ、電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液4を得た。この電解液の水分は20ppmであった。
製造例3で得られた電解質塩(A−3)27.9gとプロピレンカーボネート(C−1)72.1gを溶解させ、電解質(A)濃度1.5mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液5を得た。この電解液の水分は27ppmであった。
製造例4で得られた電解質塩(A−4)27.2gとスルホラン(C−3)72.8gを溶解させ、電解質(A)濃度1.2mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液6を得た。この電解液の水分は24ppmであった。
製造例5で得られた電解質塩(A−5)20.4gと主溶媒としてプロピレンカーボネート(C−1)63.7g、副溶媒としてエチルメチルカーボネート(C−4)15.9gを溶解させ、電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液7を得た。この電解液の水分は26ppmであった。
製造例5で得られた電解質塩(A−5)23.7gとプロピレンカーボネート(C−1)76.3gを溶解させ、電解質(A)濃度1.2mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液8を得た。この電解液の水分は29ppmであった。
製造例6で得られた電解質塩(A−6)31.0gとガンマブチルラクトン(C−5)69.0gを溶解させ、電解質(A)濃度1.2mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液9を得た。この電解液の水分は32ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)18.2g、プロピオン酸メチル(B−1)12.4g、プロピレンカーボネート(C−1)69gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液10を得た。この電解液の水分は27ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)18.5g、プロピオン酸メチル(B−1)17.9g、プロピレンカーボネート(C−1)63.6gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液11を得た。この電解液の水分は21ppmであった。
製造例1で得られた電解質塩(A−1)20.3g、プロピオン酸メチル(B−1)50.1g、プロピレンカーボネート(C−1)29.6gを溶解させ電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液12を得た。この電解液の水分は29ppmであった。
テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(D)17.0g、プロピレンカーボネート(C−1)83gを溶解させ、電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液13を得た。この電解液の水分は24ppmであった。分極性電極の組成をアルカリ賦活活性炭:K2CO3:デンカブラック:PTFE=81:9:5:5とした。本比較例はpH緩衝剤により電解液のpH変化を抑制し、キャパシタ中の電解液の溶媒分解によるガス発生量を低減したもので、特開2006−261516(上記特許文献5)を参照した。
テトラフルオロホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(D)17.0g、プロピオン酸メチル(B−1)9.0g、プロピレンカーボネート(C−1)74.0gを溶解させ、電解質(A)濃度1.0mol/Lの電解液を調製した。この電解液100部に対してモレキュラーシーブ3部を加えて25℃で60時間放置して乾燥して比較電解液14を得た。この電解液の水分は28ppmであった。
本発明の電解液をHPLCに用いる移動相で500倍希釈し、この溶液を0.20μmの親水性フィルター(ADVANTEC社:DISMIC−13JP,PTFE non−sterile)で濾過し、濾液を測定用サンプルとした。
HPLCの測定条件は、以下のとおりであった。検量線は、分取HPLCによって分取した電解質(A)を使用して作成した。
機器:LC−10A(島津製作所)、カラム:Develosil C18−MG(4.6mmφ×25cm)(資生堂)、移動相:リン酸の濃度10mmol/l、過塩素酸ナトリウムの濃度100mmol/lの水溶液、流速:0.8ml/min、検出器:UV、注入量:20μl、カラム温度:40℃
装置:FID検出器を装備したガスクロマトグラフィー分析装置一式 GC−17A(島津製作所)、カラム:キャピラリーカラム DBWAX(LENGTH:30m、ID:0.53mm、FILM:1.5μm)(J&W Scientific)または同等品、流速:0.8ml/min、キャリアーガスHe流量:49kPa(0.50kgf/cm2)定圧、メイクアップガスN2流量:50mL/min、H2流量:59kPa(0.60kgf/cm2)定圧、Air流量:49kPa(0.50kgf/cm2)定圧、カラム流量:5.05mL/min(49kPaでの流量)、パージ流量:20mL/min、スプリット比:20、サンプル量:1.0μL、INJ温度:200℃、DET温度:230℃、カラム温度:60℃(昇温レート 5℃/min)
1H−NMRの測定条件 機器:AVANCE300(日本ブルカー株式会社)、溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド、周波数:300MHz
19F−NMRの測定条件 機器:AL−300(日本電子)、溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド、周波数:300MHz
13C−NMRの測定条件 機器:AL−300(日本電子)、溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド、周波数:300MHz
(1)キャパシタの膨れ
電気二重層キャパシタに60℃で2.7Vの電圧を3000時間印加した後の電気二重層キャパシタの高さ(H3000)と電圧印加前の高さ(H0)との差を以下の式で算出し、これをキャパシタの膨れとした。この変化量は、値が小さいほど、ガスの発生が小さく、経時的な性能劣化が小さく、良好な充放電特性を維持できることを意味する。
(L寸の変化)(mm)=H3000−H0
電気二重層キャパシタに60℃で2.7Vの電圧を3000時間印加した後の電気二重層キャパシタの1kHzでの等価直列抵抗(RE3000)と電圧印加前の1kHzでの等価直列抵抗(RE0)との比を以下の式で算出し、これを等価直列抵抗の変化率とした。なお、等価直列抵抗はインピーダンスアナライザ(ソーラトロン製SI1253、SI1286)を用いて25℃で測定した。この変化率は、値が小さいほど、経時的な性能劣化が小さく、良好な充放電特性を維持できることを意味する。
(等価直列抵抗変化率)(%)=[(RE3000)/(RE0)]×100
重量MAの電気二重層キャパシタに重量MBの電解液を含浸し、60℃で2.7Vの電圧を3000時間印加した後の電解液を含む電気二重層キャパシタの重量MCとした。印加前後の電解液の重量変化を以下の式で算出し、これを電解液の重量保持率とした。この保持率は、値が小さいほど封口ゴムからカルボン酸エステル(B)が透過していることを意味する。
(電解液の重量保持率)(%)=[(MC−MA)/(MB)]×100
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜13の電解液を使用した電気二重層キャパシタは、温度、電圧を継続的に印加した時、カルボン酸エステル(B)を添加していない比較例1〜9の電解液を使用した電気二重層キャパシタに比べて、60℃でのキャパシタの膨れが低く、等価直列抵抗変化率も抑制されていることと電解液の重量保持率もほとんどかわってないことが判った。キャパシタの膨れはガス発生が原因であり、等価直列抵抗変化率もガス発生が主因で増加するものと推定される。また、カルボン酸エステル(B)を多く含有する比較例10〜12の電解液を使用した電気二重層キャパシタは60℃でのキャパシタの膨れと等価直列抵抗変化率は抑制されるが、電解液の重量保持率は減少した。この理由は多量に含有するカルボン酸エステル(B)が封口ゴムを透過しキャパシタ外に漏れ出しているためである。電解質が四級アンモニウム塩である比較例14の電解液を使用した電気二重層キャパシタはスピロ塩を用いた電解液よりキャパシタの膨れと等価直列抵抗変化率が劣っている。分極性電極の組成を変更した比較例13は等価直列抵抗変化率が増加している。
すなわち、本発明の電解液は、キャパシタの膨れ、等価直列抵抗変化率及びキャパシタの重量変化を抑制し、電気二重層キャパシタの経時的な性能劣化を飛躍的に改善しうる高信頼性の電気二重層キャパシタを構成できることが明らかである。
Claims (10)
- カルボン酸メチルエステル(B)が、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、n−酪酸メチル、イソ酪酸メチル、n−吉草酸メチル及びイソ吉草酸メチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒である請求項1に記載の電解液。
- 非水溶媒(C)が、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン及びガンマブチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも一種の溶媒である請求項1又は2に記載の電解液。
- スピロ型四級アンモニウムカチオン(a1)がスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムイオン、ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウムイオン、及び、スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウムイオンからなる群より選ばれる少なくとも1種のカチオンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解液。
- アニオン(a2)がBF4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、N(RfSO2)2 −、C(RfSO2)3 −、RfSO3 −(Rfは炭素数1〜12のフルオロアルキル基)、N(FSO2)2 −、F−、ClO4 −、AlF4 −、AlCl4 −、TaF6 −、NbF6 −、SiF6 −、CN−、CH3BF3 −及びF(HF)n −(nは1〜4の数を表す)からなる群より選ばれる少なくとも1種のアニオンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解液。
- 一般式(1)で表される電解質(A)が、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム、テトラフルオロホウ酸ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウム、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解液。
- 非水溶媒(C)がプロピレンカーボネートであり、カルボン酸メチルエステル(B)がプロピオン酸メチルである請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解液。
- 非水溶媒(C)がプロピレンカーボネート及びジメチルカーボネートであり、カルボン酸メチルエステル(B)がプロピオン酸メチルである請求項1〜7のいずれか1項に記載の電解液。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電解液を用いることを特徴とする電気化学キャパシタ。
- 請求項1〜8のいずれか1項記載の電解液を用いることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
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