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JP2013222866A - 電気二重層キャパシタ用電解液およびこれを用いた電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ用電解液およびこれを用いた電気二重層キャパシタ Download PDF

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淑未 佐藤
Hideo Seike
英雄 清家
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Sanyo Chemical Industries Ltd
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Abstract

【課題】陰極側分極性電極の表面もしくは陰極側分極性電極に接続された引き出しリードの表面で発生する強アルカリ成分を消失させる能力を高めることができ、特に70℃以上の高温において封口体の封口性能の低下を防ぐことができ、かつ耐久性のある電気二重層キャパシタ電解液を提供することである。
【解決手段】非プロトン性溶媒(A)、4級アンモニウム塩(D)および4−メトキシ酪酸を含有し、4−メトキシ酪酸の含有量が、(A)および(D)の合計重量に対して0.001〜0.1重量%である電気二重層キャパシタ用電解液。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気二重層キャパシタ用電解液およびそれを用いた電気二重層キャパシタに関するものである。
従来、電気二重層キャパシタの電解質にはテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(以下、TEA・BFと記載)塩(例えば、特許文献1)が電解質として主に用いられており、エチルトリメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(以下、ETMA・BFと記載)塩(例えば、特許文献2)も検討されている。近年、長期間、低温から高温の範囲において、しかも大電流で使用されるハイブリッド電気自動車等の新しい用途が広がっており、このような分野においては、特に70℃以上の高温における長期の耐久性、信頼性を有する電気二重層キャパシタが要望されている。このためそれを構成する部材である電解液においても、化学的に安定で、長期使用が可能である電解液の開発が急務となっている。
特開昭63-173312 特表2008-508736
特許文献1または2に記載された4級アンモニウム塩を使用した場合、陰極側分極性電極の表面もしくは陰極側分極性電極に接続された引き出しリードの表面で発生する強アルカリ成分により、封口体の封口性能の低下が引き起こされるという問題があった。この問題は温度が高いほど顕著であり、特に70℃以上では封口性能の低下が著しい。一方、封口体の封口性能が低下しない電解液も知られているが、これらの電解液は耐久性が十分でなく、耐久試験後の等価直列抵抗変化率が大きかった。
本発明の課題は、陰極側分極性電極の表面もしくは陰極側分極性電極に接続された引き出しリードの表面で発生する強アルカリ成分を消失させる能力を高めることができ、特に70℃以上の高温において封口体の封口性能の低下を防ぐことができ、かつ耐久性のある電気二重層キャパシタ電解液を提供することである。
本発明者等は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、非プロトン性溶媒(A)、4級アンモニウム塩(D)および4−メトキシ酪酸を含有し、4−メトキシ酪酸の含有量が、(A)および(D)の合計重量に対して0.001〜0.1重量%である電気二重層キャパシタ用電解液、および該電気二重層キャパシタ用電解液を用いる電気二重層キャパシタである。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液を使用した電気二重層キャパシタは、70℃以上の高温において封口体の封口性能の低下を防ぐことができ、かつ耐久性がある。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の電解液を使用することにより、電圧印加時に陰極側分極性電極の表面もしくは陰極側分極性電極に接続された引き出しリードの表面で強アルカリ成分が発生する。強アルカリ成分と4−メトキシ酪酸は、電圧印加時、70℃以上でよく反応し、反応物は電解液に溶解する。そのため、固体析出による性能劣化を起こさず、特に70℃以上の高温において封口体の封口性能の低下を防ぐことができる。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、非プロトン性溶媒(A)、4級アンモニウム塩(D)、4−メトキシ酪酸を含有する。
4−メトキシ酪酸の含有量は、(A)および(D)の合計量の0.001〜0.1重量%であり、好ましくは0.01〜0.08重量%であり、さらに好ましくは0.03〜0.06重量%である。
0.001重量%未満では液漏れが発生し、0.1重量%を超える場合は電解液の耐久性が無くなる。
非プロトン性溶媒(A)の具体例としては、以下のものが挙げられる。これらのうち2種類以上を併用することも可能である。
・エーテル類:鎖状エーテル[炭素数2〜6(ジエチルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなど);炭素数7〜12(ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルなど)]、環状エーテル[炭素数2〜4(テトラヒドロフラン、3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンなど);炭素数5〜18(2−ブチルジオキサン、クラウンエーテルなど)]。
・アミド類:N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド、N−メチルピロリドンなど。
・鎖状エステル類:酢酸メチル、プロピオン酸メチルなど。
・ラクトン類:γ−ブチロラクトン(以下GBLと略記する)、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなど。
・ニトリル類:アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、アクリロニトリル、ベンゾニトリルなど。
・環状炭酸エステル類:プロピレンカーボネート(以下PCと略記する)、エチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、2、3−ブチレンカーボネートなど
・鎖状炭酸エステル類:ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなど。
・スルホン類:エチルプロピルスルホン、エチルイソプロピルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランなど。
・ニトロ類:ニトロメタン、ニトロエタンなど。
・ベンゼン類:トルエン、キシレン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼンなど。
・複素環式類:N−メチル−2−オキサゾリジノン、3,5−ジメチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルピロリジノンなど。
・ケトン類:アセトン、2,5ヘキサンジオン、シクロヘキサノンなど。
・リン酸エステル類:トリメチルリン酸、トリエチルリン酸、トリプロピルリン酸など。
これらのうち好ましくは、ラクトン類、環状炭酸エステル類、鎖状炭酸エステル類、鎖状エステル類、ニトリル類、及びスルホン類であり、特に好ましくはγ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、スルホラン、アセトニトリルであり、最も好ましくはγ−ブチロラクトンである。
4級アンモニウム塩(D)のカチオン(B)としては、鎖状アルキルアンモニウム、脂環式アンモニウム、芳香族アンモニウムおよび2種以上の混合カチオンが挙げられる。
鎖状アルキルアンモニウムとしては、テトラアルキルアンモニウムが挙げられ、具体例としては、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム(以下、ETMA)、ジエチルジメチルアンモニウム(以下、DEDMA)、トリエチルメチルアンモニウム(以下、TEMA)、テトラエチルアンモニウム(以下、TEA)、メチルトリ−n−プロピルアンモニウム、トリ−n−ブチルメチルアンモニウム、エチルトリ−n−ブチルアンモニウム、トリ−n−オクチルメチルアンモニウム、エチルトリ−n−オクチルアンモニウム、及びジエチルメチル−i−プロピルアンモニウムなどである。好ましいものはホフマン分解における立体障害の観点から、ETMA、DEDMA、TEMAである。
脂環式アンモニウムとしては、ピロリジニウム、ピペリジニウム、ヘキサメチレンイミニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム等が挙げられ、具体例としては、以下の通りである。
・ピロリジニウム
N,N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N,N−エチルピロリジニウム、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム、及びピペリジン−1−スピロ−1’ピロリジニウムなど。
・ピペリジニウム
N,N−ジメチルピペリジニウム、N−エチル−N−メチルピペリジニウム、N,N−ジエチルピペリジニウム、N−n−ブチル−N−メチルピペリジニウム、N−エチル−N−n−ブチルピペリジニウム、及びスピロ−(1,1’)−ビピペリジニウムなど。
・ヘキサメチレンイミニウム
N,N−ジメチルヘキサメチレンイミニウム、N−エチル−N−メチルヘキサメチレンイミニウム及びN,N−ジエチルヘキサメチレンイミニウムなど。
・モルホリニウム
N,N−ジメチルモルホリニウム、N−エチル−N−メチルモルホリニウム、N−ブチル−N−メチルモルホリニウム及びN−エチル−N−ブチルモルホリニウムなど。
・ピペラジニウム
N,N,N’,N’−テトラメチルピペラジニウム、N−エチル−N,N’,N’−トリメチルピペラジニウム、N,N’−ジエチル−N,N’−ジメチルピペラジニウム、N,N,N’−トリエチル−N’−メチルピペラジニウム及びN,N,N’,N’−テトラエチルピペラジニウムなど。
芳香族アンモニウムとしては、ピリジニウム、ピコリニウム、キノリニウム、ビピリジニウム等が挙げられ、具体例としては、以下の通りである。
・ピリジニウム
N−メチルピリジニウム、N−エチルピリジニウム、N−メチル−4−ジメチルアミノピリジニウム及びN−エチル−4−ジメチルアミノピリジニウムなど。・ピコリニウム
N−メチルピコリニウム及びN−エチルピコリニウムなど。
・キノリニウム
N−メチルキノリニウム及びN−エチルキノリニウムなど。
・ビピリジニウム
N−メチル−2,2’−ビピリジニウム及びN−エチル−2,2’−ビピリジニウムなど。
これらのうち、アルカリと反応しホフマン分解をすることからテトラアルキルアンモニウムが好ましい。ホフマン分解における立体障害の観点から、TEMA、DEDMA、ETMAがさらに好ましい。特に好ましくは、DEDMA、ETMAである。
4級アンモニウム塩(D)のアニオン(C)の具体例としては、I、BF 、PF 、AsF 、PCl 、BCl 、AsCl 、SbCl 、TaCl 、NbCl 、PBr 、BBr 、AsBr 、AlBr 、TaBr 、NbBr 、SbF 、AlF 、ClO 、AlCl 、TaF 、NbF 、F(HF) (当該式中、nは1以上4以下の数値を表す)、N(RfSO 、C(RfSO 、RfSO 、RfCO2 などが挙げられる。
N(RfSO 、C(RfSO 、RfSO 又はRfCO2 で表されるアニオンに含まれるRfは、炭素数1〜12のフルオロアルキル基を表し、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基及びノナフルオロブチル基などが挙げられる。これらのうち、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基及びヘプタフルオロプロピル基が好ましく、さらに好ましくはトリフルオロメチル基及びペンタフルオロエチル基、特に好ましくはトリフルオロメチル基である。
以上のアニオン(C)のうち、電気化学的安定性の観点等から、好ましくは、I、BF 、PF 又はN(RfSO で表されるアニオン、さらに好ましくはI、PF 又はBF で表される対アニオン、特に好ましくはBF で表されるアニオンである。
4級アンモニウム塩(D)の好ましいものとしては、鎖状アルキルアンモニウムのBF 塩である。好ましい具体例としてはETMA・BF、DEDMA・BF、TEMA・BFである。
本発明の電解液中の含水量は、電気化学的安定性の観点から、電解液の重量に基づいて300ppm以下が好ましく、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下である。この範囲であると、電気化学キャパシタの経時的な性能低下を抑制できる。
電解液中の含水量はカールフィッシャー法(JIS K0113−1997、電量滴定方
法)で測定することができる。
電解液中の水分を上記の範囲にする方法としては、あらかじめ十分に乾燥した電解質(A)と、あらかじめ十分に脱水した非水溶媒とを使用する方法等が挙げられる。乾燥方法としては、減圧下加熱乾燥(例えば2.7kPa減圧下、150℃で加熱)して、含有されている微量の水を蒸発させて除去する方法、再結晶等が挙げられる。
また、これらの他に、電解液を減圧下加熱脱水(例えば13.3kPa減圧下、100℃で加熱)して、含有されている微量の水を蒸発させて除去する方法、モレキュラーシーブ(ナカライテスク製、3A 1/16等)、活性アルミナ粉末などの除水剤を使用する方法等が挙げられる。これらの方法は、それぞれ単独で行ってもよいし、組み合わせて行ってもよい。
電気二重層キャパシタの基本構造としては、2つの分極性電極の間にセパレーターを挟み、電解液を含浸させたものである。分極性電極の主成分は、電解液に対して電気化学的に不活性で、かつ、適度な電気伝導度を有することから活性炭、グラファイト、ポリアセン系有機半導体などの炭素質物質が好ましく、上記のように、正極と負極の少なくとも一方は炭素質物質である。電荷が蓄積する電極界面が大きい点から、窒素吸着法によるBET法により求めた比表面積が10m2/g以上の多孔性炭素物質(例えば活性炭)がさらに
好ましい。多孔性炭素物質の比表面積は、目的とする単位面積あたりの静電容量(F/m2)と、高比表面積化に伴う嵩密度の低下を勘案して選択されるが、窒素吸着法によるBET法により求めた比表面積が30〜2,500m2/gのものが好ましく、体積あたりの静電容量が大きいことから、比表面積が300〜2,300m2/gの活性炭が特に好ましい。
本発明の電気二重層キャパシタの態様としては、コイン型、捲回型、角形のものがあげられる。本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、いずれの電気二重層キャパシタにも適用できる。
電気二重層キャパシタの封口体としては、イソプレンとイソブチレンを含むブチルゴムが一般的に用いられているが、なかでも加硫剤としてアルキルフェノールフォルマリン樹脂を添加したブチルゴムや、加硫剤として過酸化物を添加したブチルゴムが好ましい。
本発明の電解液は、公知の方法で調製することができ、電解液中の4級アンモニウム塩(D)の濃度は、0.5〜2.0mol/Lが好ましく、0.7〜1.7mol/Lがより好ましく、0.8〜1.5mol/Lが最も好ましい。(D)の濃度が0.5mol/L以上では、電解液の電導度が十分であり、また、2.0mol/L以下では、低温特性が良好であるとともに、経済性に優れる。
本発明の電解液は、電気二重層キャパシタ用として使用される。特に自動車用途の電気二重層キャパシタとして使用されるのが好ましい。70℃以上での封口ゴムの劣化を抑制できることから、より高い耐久性が要求されるエンジンルームでの使用も可能である。
また、各種電子機器のメモリーバックアップ用、各種電源バックアップ電源、太陽電池との組み合わせで使用される蓄電素子等の2次電池を代替する蓄電装置としてやモーター駆動用電源、電動工具等のパワーツール用電源、特に長期の耐久性、信頼性を必要とするハイブリッド自動車、電気自動車用電源等に適用できる。これらの用途においても、70℃以上でも漏液することなく使用でき、耐久性、信頼性の高いキャパシタを提供できる。
次に本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、特に記載のないかぎり、「部」は「重量部」を意味する。
以下の実施例において、H−NMR、19F−NMR、及び13C−NMRの測定は、下記の方法で行った。
1H−NMRの測定条件 機器:AVANCE300(日本ブルカー株式会社製)、溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド、周波数:300MHz。
19F−NMRの測定条件 機器:AL−300(日本電子製)、溶媒:重水素化ジメチル
スルホキシド、周波数:300MHz
13C−NMRの測定条件 機器:AL−300(日本電子製)、溶媒:重水素化ジメチル
スルホキシド、周波数:300MHz
また、銀イオン含量は、原子吸光分光光度計(株式会社島津製作所AA−6200)で、ヨウ素イオン含量は比濁法により定量した。
4級アンモニウム塩(D)の純度は、高速液体クロマトグラフイー(HPLC)により
得られるピーク面積により定量した。HPLCの測定条件は以下の通りである。
カラム:ポリマーコート型充填剤を充填したもの、移動相:リン酸緩衝液(pH2〜3)、流速:0.5ml/min、検出器:UV、温度:40℃である(例えば、機器:型名(LC−10A)、メーカー(島津製作所)、カラム:Develosil C30−UG(4.6mmφ×25cm)メーカー(野村化学)、移動相:リン酸の濃度10mmol/l、過塩素酸ナトリウムの濃度100mmol/lの水溶液、流速:0.8ml/min、検出器:UV(210nm)、注入量:20μl、カラム温度:40℃。
以下、本発明の製造例について記載する。DEDMA・BFおよびTEMA・BFについては、化合物の性質上、塩として取り扱うのが困難であったため、溶液として作製した。
<製造例1> <<ETMA・BF塩の製造>>
・ヨウ化物塩の合成
N,N−ジメチルエチルアミン(東京化成工業(株)製)110部、アセトン339部をガラスビーカーに仕込み均一に溶解させた。溶液を攪拌しながらヨウ化メチル234部をゆっくりと滴下した後、30℃で3時間攪拌を続けた。析出した白色固体を濾過し、80℃減圧にて乾燥を行い、エチルトリメチルアンモニウムヨウ化物322部を得た。
・AgBF溶液の作成
酸化銀174部、42重量%のホウフッ化水素酸水溶液314部を混合した溶液を100℃減圧脱水して得られた固体に、メタノール825部を加えて溶解しAgBFメタノール溶液を得た。
・BF塩の作成
AgBFメタノール溶液1117部を上記のエチルトリメチルアンモニウムヨウ化物322部及びメタノール353部の混合溶液に対してゆっくりと滴下しながら、混合した後、濾過し濾液を回収した。回収した濾液中にAgBF溶液あるいは混合溶液を少しずつ添加することで、溶液中の銀イオン含量を10ppm以下に、ヨウ素イオン含量を5ppm以下に微調整した後、濾過し濾液を回収した。
80℃減圧で濾液の脱溶媒を行い、白色結晶262部を得た。結晶中の銀イオンは10ppm以下、ヨウ化物イオン含量は5ppm以下であった。結晶にメタノール3000部を加えて60℃で溶解させた後、−10℃に冷却し12時間静置し再結晶を行った。析出した結晶を濾過し、80℃減圧乾燥を行い、白色結晶を124部得た。H−NMR、19F−NMR及び13C−NMRで分析した結果、この白色結晶はETMA・BF塩であった。H−NMRの積分値から、純度は99モル%であった。
<製造例2> <<DEDMA・BF塩/GBL溶液の製造>>
以下、市販のγ−ブチロラクトン(東京化成製)を120℃、10kPa減圧条件で蒸留し、水分と不純物を取り除いたものを、「精製γ−ブチロラクトン」と記載する。
還流コンデンサ付きステンレス製のオートクレーブにジエチルメチルアミン(東京化成工業(株)製)261部、ジメチル炭酸(東京化成社製)540部、及びメタノール(東京化成社製)720部を仕込み均一に溶解させた。次いで、130℃まで昇温した。圧力0.8MPaで80時間反応を行った。反応物の1H−NMR分析を行ったところ、ジエチルジメチルアンモニウムモノメチル炭酸塩(S−0)が生成していることがわった。得られた反応混合物1174部をフラスコにとり、撹拌下において純度42%のホウフッ化水素酸水溶液(和光純薬社製)582部を室温下約30分かけて徐々に滴下した。滴下に伴い炭酸ガスが発生した。この反応溶液の水分は17%であった。反応液に精製γ−ブチロラクトン648部を加え、単蒸留装置に移し、120℃、10kPaに減圧し、2時間でメタノールと水を除去した。フラスコ内には、黄褐色透明水溶液が1178部残った。この溶液にメタノール530部を加え、120℃、10kPaに減圧し、1時間でメタノールを留去することにより水分を除去した。この操作を3回繰り返した。この液をH−NMR分析したところ、主成分は、ジエチルジメチルアンモニウムテトラフルオロボレートであり、HPLC分析より、純度は98%であった。この溶液の水分量は0.1%であった。
この溶液にイソプロピルアルコールを933部加えた。この溶液のDEDMA・BF、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコールの含有量はそれぞれ25%、31%、44%であった。−5℃の冷蔵庫に10時間放置し、結晶を析出させ、結晶をろ過にて回収した。ろ過して得られた結晶にイソプロピルアルコール530部を加え、リスラリー洗浄を行い、再びろ過した。この操作を3回繰り返し、洗浄後の結晶(S−1)を得た。アニオンであるBFの加水分解によって発生するHF含量は、結晶(S−1)中で約40ppmであった。結晶(S−1)中にHFが多量に含まれていると次工程の加熱脱水において溶媒の分解が起こるが、このHF含量であれば問題ない。
結晶(S−1)144部を1000mlの容器に入れ、精製γ−ブチロラクトンを573部加えた。共沸により水分をさらに下げるため、イソプロピルアルコールを1%添加し、60℃で減圧下、水およびイソプロピルアルコールを留去し、718部のDEDMA・BF/GBL溶液を得た。収率は95%であり、HPLC分析より、純度は99.7%であった。水分は40ppmであった。H−NMR分析より、このDEDMA/GBL溶液には、GBLの開環物などの不純物は含まれていなかった。
結晶(S−1)のHF含量は、以下の方法で測定した。
結晶(S−1)2部を、精製γ−ブチロラクトン8部に均一溶解し、化学天秤を用いてフラスコに精秤した。これに0℃の冷水を加えて全体を100mlとした。この溶液に、指示薬としてブロモチモールブルーを加え、1/10規定の水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。溶液が青紫色に変化して5秒間持続する点を滴定の終点とした。結晶(S−1)のHF含量は次式にて算出した。
(S−1)=(0.002×A×F/S)×10/(C/100)
ここで、
(S−1):結晶(S−1)中のHF含量(ppm)
A:滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
F:水酸化ナトリウム水溶液のファクター
S:結晶(S−1)/GBL溶液の重量(g)
:結晶(S−1)/GBL溶液の濃度(wt%)
<製造例3> <<DEDMA・BF/PC溶液の製造>>
以下、市販のプロピレンカーボネート(東京化成製)を65℃、1.3kPa減圧条件で蒸留し、水分と不純物を取り除いたものを、「精製プロピレンカーボネート」と記載する。製造例2で得られた結晶(S−1)145部を500mlの容器に入れ、精製プロピレンカーボネート428部加え、60℃で減圧下、水、イソプロピルアルコールを留去し、573部のDEDMA・BF/PC溶液を得た。収率は95%であり、HPLC分析より、純度は99.7%であった。水分は40ppmであった。
<製造例4> <<トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEMA・BF)の製造>>
還流コンデンサ付きステンレス製のオートクレーブにトリエチルアミン(東京化成工業(株)製)389部、ジメチル炭酸(東京化成社製)450部、及びメタノール(東京化成社製)211部を仕込み均一に溶解させた。次いで、110℃まで昇温した。圧力0.8MPaで80時間反応を行った。反応物のH−NMR分析を行ったところ、トリエチルメチルアンモニウムモノメチル炭酸塩が生成していることがわった。得られた反応混合物1002部をフラスコにとり、撹拌下において純度42%のホウフッ化水素酸水溶液(和光純薬社製)735部を室温下約30分かけて徐々に滴下した。滴下に伴い炭酸ガスが発生した。この反応溶液の水分は17%であった。反応液にγ−ブチロラクトン904部を加え、単蒸留装置に移し、120℃、10kPaに減圧し、2時間でメタノールと水を除去した。フラスコ内には、黄褐色透明水溶液が1644部残った。この溶液にメタノール740部を加え、120℃、10kPaに減圧し、1時間でメタノールを留去することにより水分を除去した。この操作を3回繰り返した。この液を1H−NMR分析したところ、主成分は、トリメチルエチルアンモニウムテトラフルオロボレートであり、HPLC分析より、純度は98%であった。この溶液の水分量は0.1%であった。
この溶液にイソプロピルアルコールを1302部加えた。この溶液のTEMA・BF、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコールの含有量はそれぞれ25%、31%、44%であった。−5℃の冷蔵庫に10時間放置し、結晶を析出させ、結晶をろ過にて回収した。ろ過して得られた結晶にイソプロピルアルコール740部を加え、リスラリー洗浄を行い、再びろ過した。この操作を3回繰り返し、洗浄後の結晶(S−2)を得た。結晶(S−2)154部を1000mlの容器に入れ、γ−ブチロラクトンを423部加えた。共沸により水分をさらに下げるため、イソプロピルアルコールを再度1%添加し、60℃で減圧下、水およびイソプロピルアルコールを留去し、577部のTEMA・BF/GBL溶液を得た。収率は95%であり、HPLC分析より、純度は99.7%であった。水分は40ppmであった。H−NMR分析より、このTEMA/PC溶液には、プロピレンカーボネートの開環物などの不純物は含まれていなかった。
<製造例5> <<DEDMA・PFの製造>>
製造例2で得られたジエチルジメチルアンモニウムモノメチル炭酸塩(S−0)500部にヘキサフルオロりん酸カリウム(東京化成工業株式会社製)183部を0℃で約30分かけて徐々に滴下した。滴下に伴い炭酸ガスが発生した。泡の発生が収まった後、反応液をロータリーエバポレーターに移し、溶剤を全量除去した。フラスコ内には、黄褐色透明の液状221部が残った。この液をH−NMR分析したところ、主成分は、ジエチルジメチルアンモニウムヘキサフルオロホスホネート(以下、粗DEDMA.PFと略す)であった。
三角フラスコに、作成した粗DEDMA.PF100部をイソプロピルアルコール150部に溶解させた。−10℃の冷蔵庫に10時間放置し、晶析を行い、ろ過にて回収した。結晶を500mlの容器に入れ、125℃×1.3kPaで減圧下、水およびイソプロピルアルコールを留去し、DEDMA.PFを得た。収率は60%であり、HPLC分析より、純度は99.1%であった。
<製造例6> <<DEDMA.CSOの製造>>
製造例2で得られたジエチルジメチルアンモニウムモノメチル炭酸塩(S−0)500部にノナフルオロブタンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)361部を0℃で約30分かけて徐々に滴下した。滴下に伴い炭酸ガスが発生した。泡の発生が収まった後、反応液をロータリーエバポレーターに移し、溶剤を全量除去した。フラスコ内には、黄褐色透明の液状322部が残った。この液をH−NMR分析したところ、主成分は、ジエチルジメチルアンモニウムノナフルオロブタンスルホネート(以下、粗DEDMA.CSOと略す)であった。
三角フラスコに、作成した粗DEDMA.CSO100部をイソプロピルアルコール150部に溶解させた。−40℃の冷蔵庫に10時間放置し、結晶を析出させ、ろ過にて回収した。結晶を500mlの容器に入れ、125℃×1.3kPaで減圧下、水およびイソプロピルアルコールを留去し、DEDMA.PFを得た。収率は63%であり、HPLC分析より、純度は99.3%であった。
<製造例7> <<スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレート(以下、SBP・BFと略す)の製造>>
ピロリジン100部、炭酸カリウム97部をテフロン(登録商標)コーティングしたオートクレーブに仕込み、1,5−ジクロロペンタン198部を加え、90℃で8時間反応を行った。この反応溶液に42重量%のホウフッ化水素酸水溶液294部を25℃で約30分かけて滴下した。滴下が終了して、泡の発生が収まったあと、20Torr、100℃で溶媒を全量留去して、固体200部を得た。この固体をエタノール、イソプロピルアルコールを用いて晶析を2回行い、白色結晶を155部得た。H−NMR、19F−NMRおよび13C−NMRで分析した結果、白色結晶はSBP・BFであった。
<製造例8> <<テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEA・BF)の製造>>
・ヨウ化物塩の合成
トリエチルアミン(東京化成工業(株)製)102部、アセトン300部をガラスビーカーに仕込み均一に溶解させた。溶液を攪拌しながらヨウ化エチル171部をゆっくり滴下した後、30℃で3時間攪拌を続けた。析出した白色固体をろ過し80℃減圧にて乾燥を行い、テトラエチルアンモニウムヨウ化物を257部得た。
・AgBF溶液の作製
酸化銀116部、42重量%のホウフッ化水素酸水溶液209部を混合した溶液を100℃減圧脱水して得られた固体に、メタノール550部を加えて溶解しAgBFメタノール溶液を得た。
・BF塩の作製
上記のAgBF溶液745部をテトラエチルアンモニウムヨウ化物257部とメタノール232部の混合溶液に対して、ゆっくりと滴下、混合した後ろ過し、ろ液を回収した。ろ液中にAgBF溶液あるいはヨウ化物塩溶液を少しずつ添加することで、溶液中の銀イオン含量を10ppm以下に、ヨウ素イオン含量を5ppm以下に微調整した後、ろ過しろ液を回収した。80℃減圧でろ液の脱溶媒を行い、白色結晶を186部得た。結晶にメタノール300部を加えて30℃で溶解させた後、−5℃に冷却し12時間静置しして再結晶を行った。析出した結晶をろ過し、80℃減圧乾燥を行い、白色結晶を162部得た。H−NMR、19F−NMRおよび13C−NMRで分析した結果、この白色結晶はTEA・BFであった。H−NMRの積分値から、純度は99%であった。
<製造例9> <<1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EDMI・BF)の製造>>
攪拌装置、温度計、滴下ロート、還流冷却管、および窒素ガス導入剤を取り付けた反応フラスコにエチルアミン(70%水溶液)31部とアンモニア(28%水溶液)32部の混合液を仕込み、攪拌しながら均一に溶解した。温度を45℃以下に保ちながら滴下ロートからグリオキザール(40%水溶液)69部、アセトアルデヒド(30%水溶液)71部の混合液を滴下した。グリオキザールとアセトアルデヒドの混合液の敵かは5時間かけて行い、滴下終了後40℃で1時間反応させた。次に、温度80℃で、常圧から徐々に5.0kPaまで減圧し脱水を行い、続いて、温度105℃、圧力1.0kPaの条件で単蒸留により粗精製し1−エチル2−メチルイミダゾールを得た。還流コンデンサ付きステンレス製のオートクレーブに1−エチル−2−メチルイミダゾール100部、ジメチル炭酸135部、およびメタノール192部を仕込み均一に溶解させた。次いで、130℃まで昇温した。圧力0.8kPaで80時間反応を行った。反応物のH−NMR分析を行ったところ、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムモノメチル炭酸塩が生成していた。得られた反応混合物427部をフラスコに取り、攪拌下においてホウフッ化水素酸水溶液207部(純度42重量%)を室温下約30分かけて徐々に滴下した。滴下において炭酸ガスが発生した。泡の発生が収まった後、反応液をロータリーエバポレーターに移し溶剤を全量除去した。フラスコ内には、黄褐色透明の液体82部が残った。得られた黄褐色透明の液体をメタノール、イソプロピルアルコールを用いて晶析し、白色の固体を得た。この固体を1H−NMRで分析したところ、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートであった。H−NMRの積分値から、純度は99モル%であった。
実施例1
製造例1のETMA・BF塩13.7部と4−メトキシ酪酸(ナカライテスク製)0.05部を、精製γ−ブチロラクトン86.3部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液1を得た。
実施例2
製造例1のETMA・BF塩13.3部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製γ−ブチロラクトン43.3部および精製プロピレンカーボネート43.3部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液2を得た。
実施例3
製造例1のETMA・BF塩13.5部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製γ−ブチロラクトン58.0部および精製プロピレンカーボネート28.5部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液3を得た。
実施例4
製造例2のDEDMA・BF/GBL溶液58.8部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製γ−ブチロラクトン41.2部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液4を得た。
実施例5
製造例3のDEDMA・BF/PC溶液57.2部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製γ−ブチロラクトン42.8部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液5を得た。
実施例6
製造例2のDEDMA・BF/GBL溶液71.8部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製プロピレンカーボネート28.2部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液6を得た。
実施例7
製造例7のTEMA・BF塩/GBL溶液59.3部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製γ−ブチロラクトン40.7部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液7を得た。
実施例8
製造例3のTEMA・BF塩/GBL溶液57.7部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製プロピレンカーボネート42.3部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液8を得た。
実施例9
4−メトキシ酪酸0.05部の代わりに4−メトキシ酪酸0.1部を用いる以外は実施例4と同様にして、本発明の電解液9を得た。
実施例10
4−メトキシ酪酸0.05部の代わりに4−メトキシ酪酸0.001部を用いる以外は実施例4と同様にして、本発明の電解液10を得た。
実施例11
製造例1のETMA・BF塩12.9部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製プロピレンカーボネート87.1部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液11を得た。
以下、市販のスルホラン(住友精化製)を120℃、0.7kPa減圧条件で蒸留し、水分と不純物を取り除いたものを、「精製スルホラン」と記載する。
実施例12
製造例2のDEDMA・BF/GBL溶液14.9部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製スルホラン85.1部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液12を得た
実施例13
製造例7のSBP・BF塩17.7部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製プロピレンカーボネート82.3部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液13を得た。
実施例14
製造例5のDEDMA・PF塩19.2部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製γ−ブチロラクトン80.8部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液14を得た。
実施例15
製造例6のDEDMA・CSO塩30.7部と4−メトキシ酪酸0.05部を、精製γ−ブチロラクトン69.3部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、本発明の電解液15を得た。
比較例1
4−メトキシ酪酸0.05部を加えないこと以外は実施例1と同様にして、比較電解液1を得た。
比較例2
製造例1のETMA・BF塩12.9部と4−メトキシ酪酸0.0005部を、精製γ−ブチロラクトン87.1部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、比較電解液2を得た。
比較例3
製造例1のETMA・BF塩12.9部と4−メトキシ酪酸0.15部を、精製γ−ブチロラクトン87.1部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、比較電解液3を得た。
比較例4
4−メトキシ酪酸0.05部を加えないこと以外は実施例4と同様にして、比較電解液4を得た。
比較例5
4−メトキシ酪酸0.05部を加えないこと以外は実施例5と同様にして、比較電解液5を得た。
比較例6
4−メトキシ酪酸0.05部を加えないこと以外は実施例7と同様にして、比較電解液6を得た。
比較例7
4−メトキシ酪酸0.05部を加えないこと以外は実施例13と同様にして、比較電解液7を得た。
比較例8
製造例8のTEA・BF塩16.9部を、精製γ−ブチロラクトン83.1部に均一溶解して(電解質濃度0.9mol/L)、比較電解液8を得た。
比較例9
4−メトキシ酪酸0.05部を加えないこと以外は実施例11と同様にして、比較電解液9を得た。
比較例10
4−メトキシ酪酸0.05部を加えないこと以外は実施例12と同様にして、比較電解液10を得た。
比較例11
製造例9のEDMI・BF塩17.4部を、精製γ−ブチロラクトン82.6部に均一溶解して(電解質濃度1.0mol/L)、比較電解液11を得た。
比較例12
4−メトキシ酪酸0.05部を加えないこと以外は実施例14と同様にして、比較電解液12を得た。
比較例13
4−メトキシ酪酸0.05部を加えないこと以外は実施例15と同様にして、比較電解液13を得た。
本発明の電解液1〜15、及び比較用の電解液1〜13を使用して、捲回形の電気二重層キャパシタ(直径17mm、高さ40mm)を作製し、以下の方法で等価直列抵抗の変化率、封口体の封口ゴム面を観察した。これらの結果を表1に示した。
Figure 2013222866
(1)封口体の封口ゴム面
電気二重層キャパシタに85℃で2.8Vの電圧を3000時間印加した後の電気二重層キャパシタの封口体を構成する封口ゴム面の状態を確認した。
封口体の封口ゴム面の試験個数は8個である。
また、温度を85℃から30℃に変えて同様の実験を行った。
(2)等価直列抵抗の変化率
電気二重層キャパシタに85℃で2.8Vの電圧を3000時間印加した後の電気二重層キャパシタの1kHzでの等価直列抵抗(RE3000)と電圧印加前の1kHzでの等価直列抵抗(RE)との比を以下の式で算出し、これを等価直列抵抗の変化率とした。なお、等価直列抵抗はインピーダンスアナライザ(ソーラトロン製SI1253、SI1286)を用いて−30℃で測定した。この変化率の値が小さいほど、経時的な性能劣化が小さく、良好な充放電特性を維持できることを意味する。
(等価直列抵抗変化率)(%)=[(RE3000)/(RE)]×100
また、温度を85℃から30℃に変えて同様の実験を行った。
表1において、同じ溶媒、同じ種類の電解質を使用した実施例1と比較例1、2、実施例4〜6、9,10と比較例4〜5、実施例7と比較例6、実施例13と比較例7、実施例12と比較例10、実施例14と比較例12、実施例15と比較例13を比較すると、比較例の電気二重層キャパシタは封口ゴムの劣化による液漏れの異常が観測されたが、実施例では液漏れの異常が観測されなかった。また、等価直列抵抗の変化率については有意差はなかった。
4−メトキシ酪酸の含有量が0.1重量%を超える比較例3では、実施例1と比較すると電気二重層キャパシタの封口ゴムの劣化による液漏れの異常はなかったが、等価直列抵抗の変化率が大きかった。
すなわち、本発明の電解液を使用することにより、電気二重層キャパシタの封口体の封口性能に優れ、かつ等価直列抵抗の変化率が小さく、高信頼性の電気二重層キャパシタを構成できることが明らかである。
本発明の電解液を用いて作製した電気二重層キャパシタは、各種電子機器のメモリーバックアップ用、各種電源バックアップ電源、太陽電池との組み合わせで使用される蓄電素子等の2次電池を代替する蓄電装置としてやモーター駆動用電源、電動工具等のパワーツール用電源、特に長期の耐久性、信頼性を必要とするハイブリッド自動車、電気自動車用電源等に適用できる。

Claims (6)

  1. 非プロトン性溶媒(A)、4級アンモニウム塩(D)および4−メトキシ酪酸を含有し、4−メトキシ酪酸の含有量が、(A)および(D)の合計重量に対して0.001〜0.1重量%である電気二重層キャパシタ用電解液。
  2. 4級アンモニウム塩(D)のカチオン(B)が、鎖状アルキルアンモニウムである請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
  3. 4級アンモニウム塩(D)のカチオン(B)が、トリエチルメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1または2に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
  4. 4級アンモニウム塩(D)のアニオン(C)が、BF である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解液を用いてなる電気二重層キャパシタ。
  6. 自動車用途である請求項5に記載の電気二重層キャパシタ。
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