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JP5042299B2 - 電動機及び電動機の製造方法及び電気機器 - Google Patents

電動機及び電動機の製造方法及び電気機器 Download PDF

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JP5042299B2
JP5042299B2 JP2009283270A JP2009283270A JP5042299B2 JP 5042299 B2 JP5042299 B2 JP 5042299B2 JP 2009283270 A JP2009283270 A JP 2009283270A JP 2009283270 A JP2009283270 A JP 2009283270A JP 5042299 B2 JP5042299 B2 JP 5042299B2
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Description

この発明は、駆動回路を実装したプリント配線板を搭載し、転がり軸受を用いるとともに、インバータにて駆動される電動機に関する。また、その電動機の製造方法及びその電動機を搭載した空気調和機等の電気機器に関する。
従来、インバータを用いて電動機を運転する場合、トランジスタのスイッチングに伴って発生する電動機の騒音の低減を図る目的から、インバータのキャリア周波数を高く設定するようにしている。キャリア周波数を高く設定したり、あるいは電源電圧が高い場合には、軸を支持している転がり軸受の内輪と外輪との間に存在する電位差が大きくなり、軸受内のグリスが絶縁破壊を起こして大きな電流が流れる。この転がり軸受に流れる電流は、内輪、外輪両軌道並びに転動体(内外輪の間を転がる玉やころ)の転動面に電食と呼ばれる腐食を発生させて、転がり軸受の耐久性を悪化させるという課題があった。また、電食の発生により、電動機から大きな騒音が発生するなどの課題があった。これらの課題を解決する電動機が種々提案されている。
例えば、絶縁樹脂にてモールドされたブラシレスモータの固定子において、固定子鉄心は鉄心接続端子とブラケット接続端子を経由してブラケットと短絡する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、ダイレクトPWM(パルス幅変調)方式を採用したブラシレスDCモータにおいて、タップネジによって軸受ホルダのフランジ部、ステータコア、コアホルダ、鉄基板とを一括して固定することによって、鉄基板の鉄板部分及びステータコアをグランド電位に固定する構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2007−159302号公報 特表2001−128431号公報
しかしながら、上記特許文献1の電動機は、反ブラケット側のモールド樹脂で保持されるベアリングと巻線間等の静電容量は減少しないため、この静電容量にて電流が流れ軸受に電食を発生させるという課題があった。
また、上記特許文2の電動機は、タップネジを介して金属板が回路のグランドに短絡されているため、感電など特に高圧電源を有する場合には安全面で課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、軸受の異常磨耗の原因となる軸受を流れる電流を低減し、生産性、品質、安全を損なうことなく軸受の電食を抑制することができる電動機及び電動機の製造方法及び電気機器を提供する。
この発明に係る電動機は、
所定の形状に打ち抜かれた電磁鋼板を所定枚数積層して構成される固定子鉄心に、絶縁部を介して巻線が施された固定子組立と、固定子組立の軸方向端部に配置され、駆動回路が搭載されたプリント配線板と、を有し、固定子組立にプリント配線板を搭載し、モールド樹脂にてモールド成形して形成されるモールド固定子と、
軸に、回転子と、転がり軸受で構成される軸受とを嵌合した回転子組立と、
モールド固定子の軸方向端部に固定されるブラケットと、
プリント配線板近傍で、モールド固定子のプリント配線板側の軸方向端面のモールド樹脂の外表面に接して配置される金属板と、
金属板を固定子鉄心に電気的に接続する電気的接続部材と、を備えたものである。
この発明に係る電動機は、固定子鉄心と電気的に絶縁された金属板間とを電気的接続部材で電気的に接続するので、軸受を流れる電流を低減または抑制し、異常磨耗による異常音を防止する効果がある。
実施の形態1を示す図で、電動機100の断面図。 実施の形態1を示す図で、第1の軸受21aの部分縦断面図。 実施の形態1を示す図で、金属板70の平面図。 実施の形態1を示す図で、接続ピン61の断面図。 実施の形態1を示す図で、プリント配線板45の断面図。 実施の形態1を示す図で、プリント配線板45の平面図。 実施の形態1を示す図で、変形例のプリント配線板145の平面図。 実施の形態1を示す図で、駆動回路200のブロック図。 実施の形態1を示す図で、インバータIC49aの外観図。 実施の形態1を示す図で、電動機100における浮遊容量を介して流れる電流の経路を示す図。 実施の形態1を示す図で、電動機100の製造工程を示す図。 実施の形態2を示す図で、空気調和機300の構成図。 比較のために示す図で、従来の電動機400における浮遊容量を介して流れる電流の経路を示す図。
実施の形態1.
図1乃至図10は実施の形態1を示す図で、図1は電動機100の断面図、図2は第1の軸受21aの部分縦断面図、図3は金属板70の平面図、図4は接続ピン61の断面図、図5はプリント配線板45の断面図、図6はプリント配線板45の平面図、図7は変形例のプリント配線板145の平面図、図8は駆動回路200のブロック図、図9はインバータIC49aの外観図、図10は電動機100における浮遊容量を介して流れる電流の経路を示す図、図11は電動機100の製造工程を示す図である。
図1を参照しながら電動機100の構成を説明するが、先ず、電動機100の構成を説明する前に、電動機100の組立手順について述べる。
先ず、固定子鉄心41のティースに絶縁部43を施し、さらに集中巻線方式の巻線42を巻回して、固定子組立40を形成する。但し、巻線42は集中巻線方式に限定されない。分布巻でもよい。
固定子組立40に、リード線47が組み付けられた駆動回路200(図8参照)を備えたプリント配線板45を搭載する。
プリント配線板45は、モールド固定子10(固定子の一例)の反開口部側の軸方向端部に配置される。
固定子組立40の巻線42とプリント配線板45とが半田にて接続される。
次に、プリント配線板45の搭載が完了した固定子組立40を、モールド樹脂にてモールド成形して、モールド固定子10を形成する。
モールド固定子10は、軸方向の一方の端部が開口している(図1参照、ブラケット30側)。後述するが、このモールド固定子10の開口部から、回転子組立20が挿入される。
モールド固定子10の、軸方向の他方の端部(軸受支持部11側)は、図1に示す例では、軸23を通すことができる程度の孔が開けられている。そして、孔から突出する軸23にファン等の負荷が設けられる。
但し、モールド固定子10の、軸方向の他方の端部(軸受支持部11側)は、閉じていてもよい。その場合は、軸23が、モールド固定子10の、軸方向の一方の端部に組み付けられているブラケット30の孔から突出し、ファン等の負荷が設けられる。
モールド固定子10に、その開口部側(図1参照、ブラケット30側)から回転子組立20を挿入する。
回転子組立20は、少なくとも回転子20aと、第1の軸受21a(転がり軸受)、第2の軸受21b(転がり軸受)と、軸23とを備える。
モールド固定子10の軸方向一端部(図1のブラケット30側)から挿入された回転子組立20は、第1の軸受21a(転がり軸受で、一般的には圧入により軸23に固定される)が、モールド固定子10の反開口部側(軸受支持部11側)の軸方向端部の軸受支持部11に当接するまで押し込まれ、モールド固定子10の反開口部側の軸方向端部に形成された軸受支持部11で支持される。軸受支持部11は、モールド樹脂で形成される。
第2の軸受21bを支持する金属製のブラケット30を、モールド固定子10の開口部側端部(図1参照)に圧入してモールド固定子10の開口部を閉塞する。
ブラケット30は、その軸受支持部30aにより回転子組立20に取り付けられた第2の軸受21bを支持する。
駆動回路200を搭載したプリント配線板45近傍で、モールド固定子10のプリント配線板45側の軸方向端面のモールド樹脂50の外表面に接して配置されるドーナツ形状の金属板70(図3参照)と、モールド固定子10に設けられた貫通孔(図示せず)を貫通する、導電性の接続ピン61(電気的接続部材、図4参照)とを、固定子鉄心41と電気的に接続されるように取付けることで、電動機100が完成する。
固定子鉄心41と金属板70との間は、接続ピン61を介して電気的に接続される。
図1に示す電動機100は、少なくとも駆動回路200が搭載されたプリント配線板45が取り付けられたモールド固定子10と、回転子組立20と、モールド固定子10の軸方向一端部に取り付けられるブラケット30と、プリント配線板45近傍のモールド樹脂50の外表面に接して配置されるドーナツ形状の金属板70と、モールド固定子10に設けられた貫通孔を貫通し、固定子鉄心41と金属板70を電気的に接続する接続ピン61と、を備える。
電動機100は、例えば、回転子20aに永久磁石22を有し、インバータで駆動されるブラシレスDCモータである。
固定子組立40は、以下に示す構成である。
(1)厚さが0.1〜0.7mm程度の電磁鋼板が帯状に打ち抜かれ、かしめ、溶接、接着等で積層された帯状の固定子鉄心41を製作する。帯状の固定子鉄心41は、複数個のティース(図示せず)を備える。後述する集中巻の巻線42が施されている内側がティースである。
(2)ティースには、絶縁部43が施される。絶縁部43は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等の熱可塑性樹脂を用いて、固定子鉄心41と一体に又は別体で成形される。
(3)絶縁部43が施されたティースに集中巻の巻線42が巻回される。複数個の集中巻のコイルを接続して、三相のシングルY結線の巻線を形成する。但し、分布巻でもよい。
(4)三相のシングルY結線であるので、絶縁部43の結線側(モールド固定子10では、反開口部側、図1の上側)には、各相(U相、V相、W相)の巻線42が、巻線端子(図示せず)などを介して駆動回路200(図8)が搭載されたプリント配線板45に接続される。
モールド固定子10は、巻線42が完了した固定子組立40がモールド樹脂にてモールド成形されることで構成される。モールド樹脂には、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を使用する。
既に述べたように、回転子組立20は、少なくとも回転子20aと、第1の軸受21a(転がり軸受)、第2の軸受21b(転がり軸受)と、軸23とを備える。
回転子20aの永久磁石22は、熱可塑性樹脂に磁性材を混合して成形されたリング状の樹脂マグネットである。
但し、樹脂マグネットに限定されるものではなく、焼結磁石を用いることもできる。
また、永久磁石22は、フェライト、希土類(ネオジウム、サマリウムコバルト等)でもよい。
第1の軸受21a、第2の軸受21bは、転がり軸受である。図2に示すように、第1の軸受21a(転がり軸受)は、軸23に圧入される内輪21a−2と、軸受支持部11で支持される外輪21a−1と、内輪21a−2と外輪21a−1との間で転動する転動体21a−3とを備える。第2の軸受21bも、同様の構成である。
プリント配線板45は、モールド固定子10に設置される。プリント配線板45には、固定子組立40が備える巻線端子(図示せず)のほか、リード線固定部品63(図1参照)を介してリード線47(図1参照)が、半田付けにより電気的に接続される。
プリント配線板45には、電動機100(例えば、ブラシレスDCモータ)を駆動するインバータIC49a(図9参照)、回転子20aの磁極位置を検出するホールIC(位置検出素子、図示せず)等が実装され駆動回路200(図8参照)を構成する。
図3に示すように、ドーナツ形状の金属板70には、接続ピン61を貫通させるための貫通孔70aが設けられる。
また、金属板70の中心部には、モールド樹脂50の軸受支持部11が収まる大きさの穴70bが設けられている。金属板70の外形は、円形状が望ましいが、略円形状、またはそれ以外でもよい。金属板70の大きさは、プリント配線板45以上で、固定子組立40の巻線42を覆う程度が望ましい。
金属板70は、例えば、鉄、銅、アルミニウム等からなる。
図4に示すように、接続ピン61は、断面が略半円状の突起部61aを設けて金属板70に電気的に接続されている。突起部61aの金属板70に接する部分を、金属板接続部61a−1とする。突起部61aの断面形状は略半円状に限らず、四角の形状でもよい。
接続ピン61は、固定子組立40の絶縁部43に組み付けられて、接続ピン61の固定子鉄心接続部61bが固定子鉄心41に電気的に接続される。
接続ピン61は、固定子鉄心接続部61bが固定子鉄心41に電気的に接続されると共に、更に金属板接続部61a−1が金属板70と電気的に接続されているので、固定子鉄心41と金属板70間は電気的に接続されることになる。
ここで、接続ピン61は、プリント配線板45の配線パターン80、電子部品90、インバータIC49a(図5参照)、及び固定子組立40の巻線42(図1参照)などの導電部とモールド樹脂50を介して絶縁性能を確保している。
接続ピン61は、固定子鉄心41と金属板70との間にプリント配線板45が設けられる場合は、図6に示すように、プリント配線板45の外周部に設けられた切り欠き部45cの外側に配置する。
プリント配線板45の外周部に設けられた切り欠き部45cは、モールド樹脂50で覆われるので、接続ピン61とプリント配線板45とが接触することはない。
また、図7の変形例のプリント配線板145に示すように、プリント配線板145に設けられた第1の貫通孔145aを接続ピン61が、貫通するようにしてもよい。
このとき、プリント配線板145の第1の貫通孔145aは、モールド樹脂50で覆われるので、接続ピン61はプリント配線板145の第1の貫通孔145aと接触しない。
ここでは接続ピン61の例を示したが、モールド固定子10のプリント配線板145側の軸方向の端面の外側に金属板70を取り付け、タップネジ(図示せず)を用いて金属板70と固定子鉄心41間を接続してもよい。
また、固定子鉄心41にネジ加工を施したモールド固定子10のプリント配線板145側の軸方向の端面の外側に金属板70を取り付け、導電性のネジを用いて金属板70と固定子鉄心41間を接続してもよい。
図5のプリント配線板45の断面図に示すように、プリント配線板45は、電子部品90、インバータIC49aが電気的に接続された配線パターン80からなる。
ここでは、プリント配線板45として、片面基板を図示したが、両面に配線パターンを有する両面基板、内部に配線パターンを有する多層プリント配線板を用いてもよい。
電動機100は、PWM(Pulse Width Modulation)方式によるインバータで駆動される。駆動回路200は、位置検出回路110、波形生成回路120、プリドライバ回路130、パワー回路140から構成される(図8参照)。
位置検出回路110は、回転子20aの位置検出用マグネット25(図1参照)の磁極をホールIC53(図1参照)等にて検出する。
位置検出用マグネット25を用いない場合は、回転子20aの永久磁石22の磁極をホールIC53(図1参照)等にて検出する。
波形生成回路120は、回転子20aの回転速度を指令する速度指令信号、位置検出回路110からの位置検出信号に基づいて、インバータを駆動するためのPWM信号を生成し、プリドライバ回路130に出力する。
プリドライバ回路130は、パワー回路140のトランジスタ141(6個)を駆動するトランジスタ駆動信号を出力する。
パワー回路140は、直流電源入力部、インバータ出力部を備え、トランジスタ141とダイオード142とを並列接続し、更にこれらを直列接続したアームからなる。直流電源入力部の片側には電流検出回路(図示せず)を備え、電流検出信号を出力する。
電動機100は三相のため、3アームのインバータ出力部が夫々の巻線に接続されている。直流電源入力部には、商用電源の交流、例えば、100V、又は200V、又は230Vを整流して得られる141V、又は282V、又は325Vの直流電源+、−が接続される。
速度指令信号が駆動回路200に入力されると、波形生成回路120は位置検出信号に応じて三相の各巻線42への通電タイミングを設定するとともに速度指令信号の入力に応じたPWM信号を生成、出力する。
波形生成回路120が出力したPWM信号を入力したプリドライバ回路130はパワー回路140内のトランジスタ141を駆動する。
インバータ出力部は、トランジスタ141を駆動することで巻線42に電圧を印加し、巻線42に電流が流れ、トルクが発生して回転子組立20が回転する。速度指令信号に応じた電動機100の回転速度となる。電動機100の停止も速度指令信号にて行う。
図9に示すように、インバータIC49aは、図8のパワー回路140、波形生成回路120をパッケージ49a−1に内蔵し、これらの回路と接続されたリード49a−3がパッケージ49a−1の外部に突出し、内蔵した回路の熱を放熱するための放熱フィン49a−2を備える。
図13は比較のために示す図で、従来の電動機400における浮遊容量を介して流れる電流の経路を示す図である。図13に示す従来の電動機400における浮遊容量を介して流れる電流の経路では、プリント配線板45、第1の軸受21a、軸23、固定子鉄心41、巻線42、プリント配線板45の電流経路5bにて電流が流れる。
プリント配線板45と第1の軸受21aとの間、第1の軸受21aの外輪21a−1と内輪21a−2との間、軸23と固定子鉄心41との間、固定子鉄心41と巻線42との間は、夫々浮遊容量で結合されているため、第1の軸受21aの内輪21a−2と外輪21a−1との間に大きな電位差が生じ、第1の軸受21a内のグリスが絶縁破壊を起こして大きな電流が流れているので、内輪21a−2、外輪21a−1(図2参照)両軌道並びに転動体21a−3の転動面は腐食する。
図10は電動機100における浮遊容量を介して流れる電流の経路を示している。プリント配線板45の配線パターン80と巻線42との間、金属板70と接続ピン61との間、接続ピン61と固定子鉄心41との間、第1の軸受21aの内輪21−2と軸23との間は電気的に接続されている。
金属板70とプリント配線板45の配線パターン80などの導電部との間、金属板70と第1の軸受21aとの間、第1の軸受21aの外輪21a−1と内輪21a−2との間、軸23と固定子鉄心41との間、固定子鉄心41と巻線42との間は、夫々浮遊容量で結合されている。
金属板70とプリント配線板45との間には、空気に比べて誘電率が高いモールド樹脂50を介在しているのでこの間の浮遊容量も大きく、金属板70とプリント配線板45の配線パターン80などの導電部との間の浮遊容量に対し、金属板70と第1の軸受21aとの間、第1の軸受21aの外輪21a−1と内輪21a−2との間、軸23と固定子鉄心41との間における夫々の浮遊容量は非常に小さい。
電動機100の運転時は、接続ピン61にて固定子鉄心41と金属板70とを電気的に接続したことにより、プリント配線板45、金属板70、接続ピン61、固定子鉄心41、巻線42、プリント配線板45の電流経路5aで電流が流れる。金属板70に接続された固定子鉄心41の電位も安定する。第1の軸受21aの内輪21a−2と外輪21a−1との間の電位差は大幅に低減し、第1の軸受21a、軸23、固定子鉄心41、巻線42、プリント配線板45の経路で流れる電流は非常に小さい。
図11を参照しながら、電動機100の製造工程を説明する。電動機100の製造工程は、以下の通りである。回転子組立20と、モールド固定子10との順番はどちらが先でもよく、並行して製造してもよい。
(1)軸23に回転子20a、第1の軸受21a及び第2の軸受21bを取り付ける(ステップ1)。
(2)回転子20aの永久磁石22等を着磁して回転子組立20を組み立てる(ステップ2)。
(3)固定子鉄心41に樹脂を用いて絶縁部43を施す(ステップ3)。
(4)絶縁部43に集中巻の巻線42を施し固定子組立40を形成する(ステップ4)。併せて、電子部品90等をプリント配線板45に実装する。
(5)リード線47が組み付けられ、駆動回路200が搭載されたプリント配線板45を、固定子組立40の絶縁部43に配置する(ステップ5)。
(6)巻線42とプリント配線板45の配線パターン80とを半田にて接続する(ステップ6)。
(7)固定子組立40をモールド樹脂にてモールド成形してモールド固定子10とする(ステップ7)。
(8)モールド固定子10に、その開口部から回転子組立20を挿入し、第1の軸受21aがモールド固定子10の軸受支持部11に当接するまで回転子組立20を挿入する(ステップ8)。
(9)モールド固定子10にブラケット30を圧入する(ステップ9)。
(10)金属板70をモールド固定子10に取り付ける(ステップ10)。
(11)接続ピン61を、金属板70及びモールド固定子10に設けた貫通孔を貫通させ、固定子鉄心41に電気的に接続するよう取り付ける(ステップ11)。
以上のように、本実施の形態は、固定子鉄心41と金属板70とを接続ピン61にて接続することにより、第1の軸受21aを流れる電流を低減し、電食による第1の軸受21aの異常磨耗及び異常音の発生を防止するので、信頼性の高い電動機100を提供することができる。
特に、インバータを用いて電動機100を運転する場合の軸受を流れる電流の低減に特に有効である。
また、プリント配線板45に接続ピン61を貫通するための最小限の面積を有する第1の貫通孔145aを備える、もしくは接続ピン61を配置するためにプリント配線板の外周部に切り欠き部45cを設けるので、プリント配線板45の利用可能な面積を大きくできる。接続ピン61を配置する位置の制約が少なくなる。
また、駆動回路200は、PWM方式によるインバータ駆動であり、スイッチングに同期して第1の軸受21a,21bを流れる電流を抑制できる。
また、モールド固定子10と金属板70との接続に接続ピン61を用いたので、接続部材が少なく済み、容易に接続することができる。
また、固定子鉄心41と金属板70間をネジにて接続することにより、確実な接続により信頼性が向上するとともに、金属板70の着脱が容易にできリサイクル性も向上する。
また、図1に示す回転子20aは、永久磁石22(樹脂マグネット)を軸23に一体成形した構成であるが、軸23の外周部に積層した電磁鋼板を配置し、電磁鋼板の外周部にリング状磁石を取り付けた構成、または電磁鋼板の内部に磁石を埋め込んだ構成でもよい。
また、図8に示す駆動回路200のブロック図における位置検出回路110は、回転子20aの位置検出用マグネット25の磁極をホールIC53等にて検出する例を示したが、直流電源入力部またはインバータ出力部を流れる電流と、波形生成回路120における出力電圧等から、回転子20aの永久磁石22の位置を推定する方法でもよく、ホールIC53等のセンサを用いないセンサレス駆動を用いてもよい。
上述の製造工程によれば、電動機100の組立の最終工程にて接続ピン61を取付けることから、作業工程が容易であり電動機100のコストの増加が最小限に抑えられる。
ここでは、最終工程にて接続ピン61を取付けたが、固定子鉄心41に接続ピン61を取付けた後で、絶縁部43、巻線42、プリント配線板45等を組み付け、モールド樹脂成形を施しても同様の効果が得られる。
また、接続ピン61は、半円形部が無いストレート形状とし最終工程にて金属板70からの突出部を加圧して潰す方法、あるいは、ネジにて金属板70を介してモールド樹脂50に締め付ける方法でもよく、工程が簡単であるため、設備投資も少なく、低コストで製造できる。
実施の形態2.
図12は実施の形態2を示す図で、空気調和機300の構成図である。
空気調和機300(電気機器の一例)は、室内機310と、室内機310と接続される室外機320とを備える。室内機310には室内機用送風機(図示せず)、室外機320には室外機用送風機330を搭載している。
そして、室外機用送風機330及び室内機用送風機は、駆動源として上記実施の形態1の電動機100を備える。
上記実施の形態1の電動機100を、空気調和機300の主用部品である室外機用送風機330及び室内機用送風機に搭載することにより、空気調和機300の耐久性が向上する。
以上の実施の形態において、回転子20aに永久磁石22を備える電動機100を示したが、回転子20aに永久磁石22を備えない、例えば誘導電動機でもよい。
本発明の電動機の活用例として、換気扇、家電機器、工作機などの電気機器に搭載して利用することができる。
5a 電流経路、5b 電流経路、10 モールド固定子、11 軸受支持部、20 回転子組立、20a 回転子、21a 第1の軸受、21a−1 外輪、21a−2 内輪、21a−3 転動体、21b 第2の軸受、22 永久磁石、23 軸、25 位置検出用マグネット、30 ブラケット、30a 軸受支持部、40 固定子組立、41 固定子鉄心、42 巻線、43 絶縁部、45 プリント配線板、45c 切り欠き部、47 リード線、49a インバータIC、49a−1 パッケージ、49a−2 放熱フィン、49a−3 リード、50 モールド樹脂、53 ホールIC、61 接続ピン、61a 突起部、61a−1 金属板接続部、61b 固定子鉄心接続部、63 リード線固定部品、70 金属板、70a 貫通孔、70b 穴、80 配線パターン、90 電子部品、100 電動機、110 位置検出回路、120 波形生成回路、130 プリドライバ回路、140 パワー回路、141 トランジスタ、142 ダイオード、145 プリント配線板、145a 第1の貫通孔、200 駆動回路、300 空気調和機、310 室内機、320 室外機、330 室外機用送風機、400 電動機。

Claims (7)

  1. 軸に、回転子と、転がり軸受で構成される第1の軸受と、転がり軸受で構成される第2の軸受とを嵌合した回転子組立と、
    所定の形状に打ち抜かれた電磁鋼板を所定枚数積層して構成される固定子鉄心に、絶縁部を介して巻線が施された固定子組立と、前記固定子組立の軸方向端部に配置され、駆動回路が搭載されたプリント配線板と、を有し、前記固定子組立に前記プリント配線板を搭載し、モールド樹脂にてモールド成形して形成されるモールド固定子であって、軸方向一端部に開口部が形成され、軸方向他端部に前記第1の軸受を支持する軸受支持部が前記モールド樹脂の一部により形成されるモールド固定子
    前記モールド固定子の開口部を閉塞するように前記モールド固定子の軸方向端部に固定され、前記第2の軸受を支持するブラケットと、
    前記プリント配線板近傍で、前記モールド固定子の軸方向の前記モールド樹脂の外表面に接して配置される金属板と、
    前記金属板を前記固定子鉄心に電気的に接続する電気的接続部材と、を備えたことを特徴とする電動機。
  2. 前記金属板の中心部に、前記モールド固定子の軸受支持部が収まる大きさの穴が設けられたことを特徴とする請求項1記載の電動機。
  3. 前記電気的接続部材を、導電性の接続ピン又は導電性のネジで構成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動機。
  4. 前記電気的接続部材を、導電性のネジで構成し、前記固定子鉄心に、前記ネジを取付けるためのネジ加工を施したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動機。
  5. 前記駆動回路は、PWM(Pulse Width Modulation)方式によるインバータ駆動回路であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電動機。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の電動機を搭載したことを特徴とする電気機器。
  7. 請求項1記載の電動機の製造方法であって、
    前記軸に前記回転子、前記軸受を取り付け、前記回転子の永久磁石を着磁して前記回転子組立を形成すると共に、
    前記固定子鉄心に前記絶縁部を施し、前記絶縁部に前記巻線を施して前記固定子組立を形成し、前記固定子組立の前記絶縁部に、前記駆動回路が搭載された前記プリント配線板を取り付け、前記巻線を前記プリント配線板に半田を用いて接続し、前記固定子組立をモールド樹脂にてモールド成形してモールド固定子を形成し、
    前記モールド固定子に、前記回転子組立を挿入し、
    前記モールド固定子の軸方向端部に、前記ブラケットを圧入し、
    前記金属板を前記モールド固定子に取り付け、
    前記電気的接続部材を前記モールド固定子に取り付けることを特徴とする電動機の製造方法。
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