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JP4930426B2 - 端末装置 - Google Patents

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JP4930426B2
JP4930426B2 JP2008077344A JP2008077344A JP4930426B2 JP 4930426 B2 JP4930426 B2 JP 4930426B2 JP 2008077344 A JP2008077344 A JP 2008077344A JP 2008077344 A JP2008077344 A JP 2008077344A JP 4930426 B2 JP4930426 B2 JP 4930426B2
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Description

本発明は、たとえば卓上電話やPC等の端末装置に関し、特に、卓上や壁に設置して、表示を見たり操作したりするために操作性を向上させた端末装置に関する。
たとえば卓上電話やPC等の端末装置は、本体と、この本体を傾斜可能に保持する台座とを備えた構成となっていた(たとえば、特許文献1参照)。
特開2002−190854号公報
上記従来例によれば使用者は装置本体を所望の傾斜に角度調節をすることができ、非常に使い勝手のよいものであった。しかしながら、たとえば第三者が装置本体を持ち上げたときにもその傾斜が簡単に変更されてしまう可能性があった。するとその変更は使用者に違和感を与えてしまう。そこで本発明は、装置本体を所望の傾斜に簡単に設定できると共に所望の傾斜位置に固定することができる端末装置を提供することを目的とする。
そしてこの目的を達成するために本発明の端末装置は、本体と、本体を傾斜可能に保持する台座と、本体側に設けられ本体を台座に対して複数の所定角度に傾斜して固定可能とするフックと、台座側に設けられ複数の歯を有しフックと係合して本体を台座に対して複数の所定角度に傾斜して固定させる歯列と、フックを歯列の方向に押圧付勢する第一の付勢部材と、フックと歯列の係合状態を制御する第二の付勢部材と、第二の付勢部材を操作する操作手段と、フックが第二の付勢部材から係合状態の制御を受ける付勢係合部を具備し、本体の傾斜角度を固定する場合は、第二の付勢部材が付勢係合部を介して、第一の付勢部材の押圧付勢に付加して第二の付勢部材がフックを歯列の方向に押圧付勢し、本体の傾斜角度を可変にする場合は、操作手段により第二の付勢部材が付勢係合部を介して、第一の付勢部材の押圧付勢を打ち消すように第二の付勢部材がフックを付勢して、本体の傾斜を制御することを特徴とする。
本発明によれば、使用者は第二の付勢部材によるフックと歯列の係合状態の保持を解除して本体を傾斜させるだけで角度調節ができ、所望の角度に調節後に第二の付勢部材によるフックと歯列の係合状態を保持するので、本体を所望の傾斜に簡単に設定することができる。
上記課題を解決するため、本発明の第一の発明は、本体と、本体を傾斜可能に保持する台座と、本体側に設けられ本体を台座に対して複数の所定角度に傾斜して固定可能とするフックと、台座側に設けられ複数の歯を有しフックと係合して本体を台座に対して複数の所定角度に傾斜して固定させる歯列と、フックを歯列の方向に押圧付勢する第一の付勢部材と、フックと歯列の係合状態を制御する第二の付勢部材と、第二の付勢部材を操作する操作手段と、フックが第二の付勢部材から係合状態の制御を受ける付勢係合部を具備し、本体の傾斜角度を固定する場合は、第二の付勢部材が付勢係合部を介して、第一の付勢部材の押圧付勢に付加して第二の付勢部材がフックを歯列の方向に押圧付勢し、本体の傾斜角度を可変にする場合は、操作手段により第二の付勢部材が付勢係合部を介して、第一の付勢部材の押圧付勢を打ち消すように第二の付勢部材がフックを付勢して、本体の傾斜を制御することを特徴とする端末装置である。
本発明によれば、使用者は第二の付勢部材によるフックと歯列の係合状態を解除して本体を傾斜させるだけで角度調節ができ、所望の角度に調節後に第二の付勢部材によるフックと歯列の係合状態を保持するので、本体を所望の傾斜に簡単に設定することができる。さらに、使用者は本体を片手で簡単に操作をすることができる。
本発明の第二の発明は、第一の発明の端末装置において、本体が台座に対して最小傾斜角度に戻る位置が初期位置である場合は、付勢係合部が第二の付勢部材から離れて係合状態の制御を受けない位置であることを特徴としたものである。本発明によれば、本体が初期位置にあるときには歯列やフックの機構は筐体に収納されているからすっきりした外観と、薄い本体の端末装置が得られる。
本発明の第三の発明は、第一の発明の端末装置において、本体が台座に対してほぼ水平に戻る位置が初期位置である場合は、付勢係合部が第二の付勢部材から離れて係合状態の制御を受けない位置であることを特徴としたものである。本発明によれば、本体が初期位置にあるときには歯列やフックの機構は筐体に収納されているからすっきりした外観と、薄い本体の端末装置が得られる。
本発明の第四の発明は、第一の発明の端末装置において、操作手段は第一操作位置と第二操作位置とを有し、第一操作位置に操作した場合は、第二の付勢部材の押圧付勢を打ち消すことにより、第一の付勢部材のみがフックを歯列の方向に押圧付勢し、本体を台座に対して傾斜して固定可能とし、第二操作位置に操作した場合は、第二の付勢部材が第一の付勢部材の押圧付勢を打ち消してフックを歯列から離隔させ、本体の固定を解除し、操作手段を操作しない場合は、第一の付勢部材の押圧付勢に付加して第二の付勢部材がフックを歯列の方向に押圧付勢し、本体の傾斜を固定することを特徴としたものである。本発明によれば、使用者は操作手段の操作位置の違いにより現在の本体の傾斜位置にかかわらず角度調節をしたり傾斜を固定したりすることができるので操作上の使い勝手のいい端末装置が得られる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における端末装置について、電話装置を例に図1から図10に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態1における電話装置の斜視図、図2は図1の本体基部の内部を説明する図、図3はフックにねじりコイルバネを装着した状態を説明する斜視図、図4はカムを説明する斜視図である。
図5は図1の台座の内部を説明する斜視図、図6は図5のZ方向矢視図、図7は図6の要部断面図であって、図7(A)は図6のA−A線断面図で歯列を説明する図であり、図7(B)は図6のB−B線断面図でカム制御溝を説明する図である。
図8は図1の分解斜視図であって、本体基部と台座との係合状態を説明する。図9は本体基部と台座との係合状態を説明する図、および図10は図9のC−C線断面図であって、フックの爪部とカムアーム部の係止部とが、本体基部の突出孔から突出した状態を説明する図である。なお、簡単のために図1は送受話器Hと装置本体10とを接続する配線を省略して表示した。また同様に、図8はねじりコイルバネ32を省略して表示している。
いる。
<全体構成>
図1において、電話装置1は、電話機能が内蔵された装置本体10と、装置本体10を支持する台座20と、台座20に対する装置本体10の傾斜角度を変更可能に支持するラチェット部30とを備えている。併せて、図1に座標軸を表示する。操作者が電話装置1を操作する場合に合わせて、X軸は左右を表し、Y軸は奥行き(操作者側を手前)を表す。Z軸は垂直方向を表し、紙面上方を上方向とする。X軸とY軸とのなす平面は台座20を載置する面であり、たとえば卓上のように水平面であるものとする。他方、X軸とZ軸のなす平面は垂直面であり、壁面あるいは「壁掛け」と、ことわって説明する。
X軸とZ軸との間に示す点線はY軸を基点とする傾斜角度である。装置本体10の傾斜角度に相当する。具体的には、装置本体10を上方向に傾斜させることは、傾斜角度を大きくすることである。逆に、装置本体10を下降させることは、傾斜角度を小さくすることである。装置本体10を水平にすることは、装置本体10を台座20と平行にすることを表し、Y軸とのなす角度(傾斜角度)はほぼゼロになることを意味する。
装置本体10は、略直方体に形成され、操作者に対向する前面に操作パネル部11を設け、箱状の他の面に電話機能を有する回路基板を収納する本体基部12を設ける。操作パネル部11の左側には送受話器Hが配置されている。操作パネル部11は、電話番号表示や、時計表示、通話時間表示など各種表示を行う表示部111と、数字キーや機能キーなどが配列された操作キー部112とが設けられている。表示部111としては、液晶表示パネルが使用できる。
<本体底面>
図2において、本体基部12の底面は、下方に向かって緩やかに膨出した形状に形成される。その底面の中央部には、垂直断面を略三角形状に形成して台座20方向へ膨出させた底部空間部121を形成する。底部空間部121は、底部側壁1221と本体弧状周面1223とを形成する。底部側壁1221に後述するフックを回動可能に支持する回動孔1222を設ける。本体弧状周面1223の底部にはフックおよび後述するカムを突出させる突出孔1224を設ける。
さらに、本体基部12の底面の左右2箇所には本体軸受部123を形成し、底部空間部121を左右から挟むように配置する。本体軸受部123は本体揺動孔1232を形成する。他方、台座20にも台座揺動孔2221を設けておき、本体揺動孔1232と台座揺動孔2221とを揺動軸124によって連結する。こうして、本体基部12は台座20に対して揺動可能(つまり、傾斜動作可能)に連結される。それ故に、本体弧状周面1223は揺動軸124を中心とする円筒周面の一部をなすように形成される。
揺動軸124は、本体基部12や台座20と同様に樹脂で成形する。また、揺動軸124を金属材料によって形成してもよい。摩耗や衝撃に強い構造にすることができる。あるいはまた、本体揺動孔1232または台座揺動孔2221のいずれか一方と揺動軸124とを一体に成形してもよい。他方の孔(一体成形しない方の本体揺動孔1232または台座揺動孔2221)へ、樹脂の弾性を利用して一体成形した揺動軸124を嵌め込んでもよい。部品点数を削減して安価に構成することができる。
<フック>
図3において、フック31は本体部分から略T字状に分岐した形状に形成されている。フック31の先端部は爪部311であって、爪部311は三角柱状に形成され後述する歯列224に係合する機能を有する。フック31の左右端部はフック軸312に形成されている。フック軸312は前述の底部空間部121に形成された回動孔1222に軸着される。フック31がフック軸312を中心として回動すると、フック31の本体部分が本体弧状周面1223に向かって接近し、あるいは離隔する。
その本体部分が本体弧状周面1223に接近する部分にフック当接部313が設けられている。フック当接部313は後述するカム33に当接する部分であって、カム33に当接したフック31が効果的な回動動作をするように、フック当接部313は、断面略三角形状に形成した。フック当接部313の形状は、フック31の回動動作に関するタイミング、動作範囲などを効果的にするために設計する。断面略三角形状に形成したことは、本実施の形態1の1例であって、断面略三角形状に限定して理解されるべきものでないことは言うまでもない。
また、それぞれのフック軸312には、ねじりコイルバネ32が設けられている。ねじりコイルバネ32は、一端が底部空間部121の所定位置(たとえば、本体弧状周面1223に設けられた孔へ、あるいは突出孔1224縁部へ)、他端がフック31の本体部分へそれぞれ架け渡される。ねじりコイルバネ32により、フック31は歯列224方向へ付勢され、突出孔1224から突出した爪部311は歯列224へ係合するように押圧付勢される。すなわち、ねじりコイルバネ32は付勢部材として機能する。ねじりコイルバネ32をフック軸312に配置したので、省スペース化を図ることができる。ねじりコイルバネ32の強さを適宜調整することによって、容易に付勢力を調整することができる。
<カム>
図4において、カム33は、四角柱状のカム当接部331とカム当接部331の両端部に設けた略L字状のカムアーム部332とを連結して略コ字状に形成した構造を有する。カムアーム部332の略L字状部分は台座20へ係止するためのカム係止部333を形成する。カム当接部331は本体弧状周面1223を摺動移動する。
本体弧状周面1223とカム当接部331との間には程良い摩擦を生じるようにそれぞれの表面を加工する(表面仕上げ)。その摺動の態様は、本体弧状周面1223をカム当接部331が自由に滑落しない程度の摩擦抵抗を持って摺動する。カム当接部331が本体弧状周面1223を摺動移動するとき、カム係止部333は突出孔1224に連続する開口部から台座20方向へ突出して移動する。なお、カム係止部333の突出孔として別途開口部を設けてもよい。
カム当接部331はまた、本体弧状周面1223を摺動移動するとき、フック当接部313に当接する機能を有する。当接するときの傾斜角度(摺動移動する位置とそのタイミング)はフック31の回動動作に影響が大きいので、前述のフック当接部313の断面略三角形状と併せて、フック31が効果的な回動動作をするように、カム当接部331の傾斜角度を形成する。
フック当接部313がカム当接部331に当接したとき、前述のねじりコイルバネ32によって、適切な押圧付勢を受けてフック31はカム33に当接し、フック31がカム33に乗り上げる。
以上に説明した底部空間部121に収容されたフック31、フック31の付勢部材、およびカム33は本体ラチェットユニットと総称する。
<台座>
図5と図6とにおいて、台座20は平板である台部21と、台部21の手前に設けられた台座支持部22と、が一体に形成されている。台座支持部22は、操作者奥の後部221と、左右の側部222、および前部223の箱状に囲まれた空間部に形成される。左右の側部222の手前部分には台座揺動孔2221が形成されている。台座揺動孔2221には本体揺動孔1232(図2参照)と共に揺動軸124(図2参照)を嵌装して、台座20に装置本体10を揺動自在に装着する。台座揺動孔2221の周囲は装置本体10の傾斜動作に対して十分な強度を確保した台座軸受けとして機能し、台座軸受部2222である。
図5と図7とにおいて、台座支持部22の後部221の内法(うちのり)面は、揺動軸124を中心とする円筒周面の一部をなすように形成された台座弧状周面2211である。こうして、台座20に対して揺動(傾斜動作)をする本体基部12(特に、本体弧状周面1223および本体ラチェットユニット)と、台座弧状周面2211とが互いに向き合って配置される。
台座弧状周面2211の左右の中央部に、台座弧状周面2211に沿って鋸歯状に形成された歯を複数形成した歯列224を設けている。従って、歯列224の先端部は台座弧状周面2211に沿って並んでいる。歯列224の鋸歯状の歯の形状は、本体基部12の傾斜角度が大きくなる軌跡を描くとき爪部311が鋸歯状の歯の斜面をなぞり、本体基部12が下降するとき爪部311が鋸歯状の歯の水平面をなぞるように、歯列224の歯の形状を配置する。図7に例示する本実施の形態1の歯列224の場合は、歯数7であり歯の水平面8であるから、水平状態と七段階の傾斜角度とに設定可能であることを表す。
なお、台座支持部22は全体の台座20の一部として、台座20と一体に樹脂成形される。他方、歯列224と後述するカム制御溝226とは、正確な仕上がり精度が必要であり、繰り返し摩擦を受けるから表面耐摩耗強度も求められる。そこで、歯列224とカム制御溝226とを耐摩耗強度に優れる材料で成型して台座弧状周面2211に嵌め合わせる構成にしてもよい。
さらに、歯列224の下方延長面は台座弧状周面2211に沿って連続した曲面2251に形成された凹部225の空間部が形成されている。曲面2251は歯列224の歯の頂点に接する包絡線の延長上に形成される。フック31が歯列224よりも下降した場合に、フック31の円滑な回動動作を確保するためである。また、凹部225の空間部は、装置本体10を水平にした場合の本体ラチェットユニットの収納空間を確保するための空間であり、実施の形態2に説明する壁掛け使用にも対応可能な収納空間を確保するためである。
図6と図7とにおいて、歯列224の左右両側に、カム制御溝226が並設されている。装置本体10が傾斜動作をするとき、カム係止部333は突出孔1224(開口部)から台座20方向へ突出して装置本体10と共に移動する。このとき、カム制御溝226はカム係止部333の案内溝として機能する。
この構成により歯列224を間に挟んだ両側にカム制御溝226が位置することになるので、カム制御溝226が、フック31と歯列224との係合動作や、フック31がカム33に乗り上げる動作におけるカム33の左右のバランスを良好に保つことができる。従って、カム33の係止動作を安定させることができる。
さらに、装置本体10を引き起こしたとき、カム33の移動上限を規制する上段係止部2261がカム制御溝226に形成される。カム係止部333が上段係止部2261に係合し、装置本体10を引き起こして傾斜角度を増しても、カム33は上段係止部2261に停止する。
他方、装置本体10を水平に戻したとき、カム33の移動下限を規制する下段係止部2262がカム制御溝226に形成される。カム係止部333が下段係止部2262に係合し、装置本体10を水平に戻し、あるいは壁掛け用に逆の傾斜角度にしても、カム33は下段係止部2262に停止する。上段係止部2261と下段係止部2262とはカム制御溝226の両端を閉塞することによりカム33の移動を規制する。すなわち、カム33は装置本体10の傾斜角度に応じて、装置本体10内部を移動する。
以上に説明した台座弧状周面2211、歯列224、およびカム制御溝226は台座ラチェットユニットと総称する。さらに、台座ラチェットユニットと前述の本体ラチェットユニットとを合わせてラチェット部30と総称する。
以上に詳しく説明したように、本発明によれば、歯列224やフック31などの機構は筐体(ラチェット部30)に収納されているから、傾斜角度を決める支柱や操作をするレバーなどが不要となる。このようにして、すっきりした外観と、薄い本体の電話端末装置が得られる。
<本体・台座の係合>
図8において、以上の説明における本体基部12、台座20、フック31、および、カム33それぞれの位置関係を説明する。まず、本体基部12の突出孔1224にカム33を装着する。次に、本体基部12の回動孔1222にフック31のフック軸312を軸着しねじりコイルバネ32を底部空間部121の所定位置へ架ける。こうして、準備した本体基部12は台座揺動孔2221と共に本体揺動孔1232へ揺動軸124を装着し、本体基部12は台座20に対して回動可能に軸着される。
図9は、本体基部12と台座20との係合状態を説明するために、底部空間部121の一部を破断して台座支持部22を見えるように表している。さらに図9のC−C線断面図によって本体基部12の準備した状態を説明する。
図10において、カム33は、本体基部12の底部空間部121に、カムアーム部332を下方に向けた状態で収納されている。カムアーム部332先端のカム係止部333は底部空間部121の突出孔1224から突出し、本体基部12を台座20と係合したとき、台座支持部22のカム制御溝226(図5参照)に係合する。
本体弧状周面1223とカム当接部331との間に程良い摩擦を有するから、本体基部12が傾斜角度の調整可能な傾斜範囲ではカム33は本体基部12の傾斜に伴って傾斜移動(台座20に対する相対移動)し、カム33は本体弧状周面1223を摺動しない。
他方、本体基部12が傾斜最上段を超える傾斜角度のとき、または傾斜最下段から初期位置の傾斜角度のときには、突出したカム係止部333がカム制御溝226の上段係止部2261、または下段係止部2262に係止する。従って、カム33は移動(台座20に対する相対移動)を停止し、本体基部12が傾斜移動をしてもカム33は本体弧状周面1223を摺動移動する。すなわち、カム33は装置本体10の傾斜角度に応じて装置本体10の内部を移動し、または停止する。
フック31は、フック軸312を底部空間部121の回動孔1222に挿通させ、ねじりコイルバネ32(図示せず)を、本体弧状周面1223に設けられた孔に係止した状態で取り付けられる。フック31はねじりコイルバネ32の押圧付勢により本体弧状周面1223の方向へ付勢される。フック31の爪部311はカム係止部333と同様に突出孔1224から突出した状態となる。本体基部12を台座20と係合したとき、突出した爪部311は台座弧状周面2211の歯列224の方向へ付勢され、歯列224に係合する。
<動作状態>
以上のように構成された本発明の実施の形態1における電話装置1の使用状態を、図に基づいて説明する。図11は、初期位置を示す断面図であり、図11(A)はフックの位置を示す図、図11(B)はカムの位置を示す図である。なお、A,Bで表す断面位置は図6と図7との関係と同じ位置を同順に表し、以下の断面図は同様である。
図12は、傾斜最下段を示す断面図であり、図12(A)はフックの位置を示す図、図12(B)はカムの位置を示す図である。図13は、傾斜最上段を示す断面図であり、図13(A)はフックの位置を示す図、図13(B)はカムの位置を示す図である。図14は、傾斜解除位置を示す断面図であり、図14(A)はフックの位置を示す図、図14(B)はカムの位置を示す図である。図15は、傾斜解除位置から初期位置へ戻る過程を説明する図である。
<初期位置>
電話装置1の使用状態について、最初は装置本体10を卓上に水平に置いたものとして初期位置とする。図11において、初期位置として本体基部12が水平であるときには、フック31の爪部311が歯列224に係合せず、爪部311は曲面2251の前縁に位置している。また、カム33のカム係止部333は下段係止部2262に係止した状態である。それ故に、カム33は下段係止部2262に係止した位置からさらに下降することはない(図15のF位置参照)。
操作者は、装置本体10(本体基部12)の表示部111側または左右側面を持ち、引き上げるようにして徐々に傾斜させる。本体基部12は揺動軸124を中心として傾斜(揺動)を始める。本体基部12の傾斜(揺動)に伴って、フック31はフック軸312が回動孔1222に軸着しているから、フック31は曲面2251に沿って爪部311を摺動させながら移動を始める(図15のF位置からD位置までの間のフック31の逆順動作を参照)。カム33は、前述のように、本体弧状周面1223とカム当接部331との間に程良い摩擦を有するから、本体基部12の傾斜(揺動)に伴って、カム制御溝226にカム係止部333を摺動させながら上昇移動を始める。
<傾斜最下段>
図11の動作を続けると図12に示す傾斜最下段に到達する。図12において、フック31の爪部311は歯列224の最初の歯(最下段の歯)に係合する。それ故に、傾斜最下段と略称し、そのときの傾斜角度は最小傾斜位置と略称する。フック31はねじりコイルバネ32によって歯列224方向に押圧付勢されているため、操作者が本体基部12を押し下げたり、引き上げを止めたりしたとしても、爪部311は歯列224との係合状態は維持される。その結果、装置本体10は初期位置の傾斜を維持する。
<位置調整>
図12から図13に至る中間位置は傾斜角度を自由に設定できる調整範囲である。操作者が、さらに本体基部12を引き上げると、フック31は本体基部12の傾斜と共に回動孔1222の上昇に伴って引き上げられる。フック31の爪部311は歯列224の鋸歯状の歯の斜面をなぞり、歯を乗り越えながら上昇する。カム33は、本体弧状周面1223との摩擦により、カム制御溝226にカム係止部333を摺動させながら上昇移動を始める。
操作者は、所望とする傾斜角度まで本体基部12を傾斜させると、引き上げを停止する。フック31の爪部311は歯列224の方向へねじりコイルバネ32により押圧付勢されているから、歯列224の鋸歯状の歯の頂点を乗り越えていた場合は、その位置の歯の水平面に係合する。歯列224の鋸歯状の歯の斜面途上にある場合、その歯の斜面を下降して下段の歯の水平面に到達して、爪部311は下段の歯に係合する。
<傾斜最上段>
このようにして、装置本体10の傾斜角度を増すと図13に示す傾斜最上段に到達する。図13において、フック31は歯列224の最上段の歯に係合する。それ故に、傾斜最上段と略称し、そのときの傾斜角度は最大傾斜位置と略称する。フック31に対する押圧付勢も前述と同様に機能する。カム33は、本体弧状周面1223との摩擦により、カム制御溝226にカム係止部333を摺動させながら上昇移動をし、カム係止部333は上段係止部2261付近まで移動をしている。
こうしてフック31が歯列224のうち所望の位置の歯に係合するので、操作パネル部11を最適な傾斜角度とすることができる。本体基部12の傾斜角度は、図12の傾斜最下段(最小傾斜位置)から図13の傾斜最上段(最大傾斜位置)まで、歯列224の設定歯数(すなわち分割段数)に応じて微調整することが可能となる。
<傾斜解除位置>
操作者が本体基部12の傾斜を解除したい場合や、水平位置に戻したい場合には、本体基部12を傾斜解除位置までさらに引き上げ、傾斜させる。傾斜解除位置の態様について図14および図15に基づいて説明する。本体基部12を傾斜解除位置まで引き上げたとき、カム33のカム係止部333はカム制御溝226のカム移動上限点である上段係止部2261に係止して、カム33は移動を停止している(図14(B)と図15(A)参照)。
他方、本体基部12を傾斜解除位置まで引き上げたとき、回動孔1222の引き上げ移動によりフック31は引き上げられる。このとき、停止したカム33のカム当接部331にフック31のフック当接部313が当接し、カム33にフック31が乗り上げる。フック33が乗り上げ動作をすると、ねじりコイルバネ32の押圧付勢に抗してフック33はフック軸312を中心に回動し(図15(B)矢印D参照)、爪部311は矢印D方向へ回動して歯列224から離れる。爪部311が歯列224から離れるので、これを傾斜解除位置と略称する。
以上のように、傾斜最上段を超えて操作パネル部11を傾斜させると傾斜解除位置に到達し、操作パネル部11の傾斜を解除することができる。そのため、操作者は装置本体10を上方向に傾斜させるだけで角度調節をすることができ、片手で簡単に操作をすることができる。
<傾斜解除過程−下降開始−>
以上の図14および図15(B)に説明した傾斜解除位置に到達すると、操作者は本体基部12を引き上げる操作を止めて、本体基部12の傾斜角度を減少させる。フック31はカム33の方向へ押圧付勢されているから、爪部311フック31はカム33へ乗り上げた状態を維持している。こうして、フック31の爪部311が歯列224から離れた位置を維持して下降する(図15(B)から図15(D)参照)。
カム33は、前述のように、本体弧状周面1223とカム当接部331との間に程良い摩擦を有するから、本体基部12の下降(傾斜角度の減少)に伴って、カム係止部333がカム制御溝226を摺動しながら下降する。こうして、フック31の爪部311が歯列224から離れたまま、本体基部12は遮られることなく下降を続ける。以上の本体基部12の下降を続ける過程は図15(B)から図15(D)に表される。
<傾斜解除過程−カムの停止−>
図15(D)において、前述の初期位置で説明したように、カム制御溝226は下段係止部2262が形成されているから、下降を続けたカム33はカム係止部333が下段係止部2262に係合して下降移動を停止する。
他方、本体基部12の下降に伴ってフック31は下降を続けるから、フック31は停止したカム33への乗り上げを解消して、カム33から離れる(下降する)方向に移動する(図15(D)参照)。このとき、爪部311は歯列224の最下段を通過している。前述のように、曲面2251は歯列224の歯の頂点に接する包絡線の延長上に形成されているから、フック31が歯列224からさらに下方へ移動しても歯列224に係合することはない。
<初期位置へ戻る>
フック31は矢印E方向へ回動し(図15(E)参照)、フック31の先端の爪部311は曲面2251の表面上を滑り移動する(図15(D)から図15(E)参照)。操作者は本体基部12の下降を続け、装置本体10がほぼ水平に戻ったとき下降操作を止める。フック31は下降移動(矢印E方向へ回動)を続け、カム33は停止を続け、図15(F)に表す初期位置に到達して下降移動を停止する。
<効果>
以上詳細に説明したように、本発明によれば、初期位置とは、下降の途中でフック31がカム33から離れ、歯列224の最下段の歯に係合可能な位置にフック31が戻ることによって、本体装置10が台座20に対して最小傾斜角度に戻る位置であることを表わす。本発明によれば、下降した本体装置10は最小傾斜角度に自動的に設定される。
また、フック31、フック31の付勢部材であるねじりコイルバネ32、およびカム33は底部空間部121に収容され、本体ラチェットユニットを構成する。さらに、台座弧状周面2211、歯列224、およびカム制御溝226は台座支持部22に収納され、台座ラチェットユニットを構成する。そして、本体ラチェットユニットと台座ラチェットユニットとでラチェット部30を構成する。それによって、角度を決める支柱や操作をするレバーなど備える必要がなくなるので、すっきりした外観と、薄くスリムな電話装置1とすることができる。
さらに、最上段を超えて傾斜をさせることで、装置本体10の傾斜を解除することができる。傾斜を解除する操作によって、装置本体10は台座20に対してほぼ水平位置に戻すことができる。ほぼ水平の初期位置に戻すと、傾斜角度を再び設定することができる。
本発明によれば、操作者は装置本体10を傾斜させるだけで角度調節をすることができる。角度調節の操作は、片手で簡単に操作をすることができる。操作者は、本体の一部を持ち上げる操作をすれば、傾斜角度調節と傾斜角度解消とを調節することができる。
<初期位置=最小傾斜位置の例>
以上の説明において、最小傾斜位置よりもさらに下降した水平位置に初期位置があるものとして、説明した。このとき、歯列224の歯数を増してさらに下方に歯列224を配置し、新たな歯列224とする。そして、カム制御溝226の下段係止部2262と、フック当接部、およびカム当接部331との相互位置を新たに調整した場合、最小傾斜位置を初期位置とすることも可能である。
たとえば、上記図15(D)において、カム33のカム係止部333が下段係止部2262に係合して下降移動を停止したとき、図15(E)におけるフック31のように停止したカム33への乗り上げを解消して、爪部311は歯列224の最下段に位置している構成とすることができる。こうして、最小傾斜位置を初期位置とすることができる。
本発明によれば、初期位置とは、下降の途中において歯列の最下段を超えて下降した位置でフックがカムから離れることによって、本体が台座に対してほぼ水平に戻る位置であることを特徴としたものである。
この構成によれば、傾斜を緩めて最小傾斜角度とすると、傾斜角度を最小傾斜位置に設定することができる。片手で簡単に操作をすることができ、操作者は、本体の一部を持ち上げる操作をすれば、傾斜角度調節と傾斜角度解消とを調節することができる。
これによって、下降した本体はほぼ水平の初期位置に戻すことができる。台座を壁面に取り付けて、壁掛け使用に好適な初期位置に設定することが可能になる。
<他の例>
図16はフックと付勢部材に関する他の例を説明する図であって、ねじりコイルバネ32に代えて板バネを付勢部材とした例である。図16(A)は他のフックの斜視図であって、弾性樹脂部材で形成されたフック31の一部を延伸させて、U字状に成形した板バネ314をフック31と一体に成形したものである。
図16(B)は他のフックの実装状態を説明する図であって、板バネ314の先端部を底部空間部121の開口縁部(たとえば、突出孔1224の縁部)に掛け渡した実装状態を表す。板バネ314のU字状部分が弾性樹脂部材の弾性機能を発揮し、フック31の爪部311を歯列224の方向へ押圧付勢することができる。板バネ314をフック31と一体に成形したことにより、部品点数を削減することができ、コストダウンを図ることができる。
なお以上の説明において、ラチェット部30は中央部に1箇所設けた例を説明した。しかし、この例に限らず、装置本体10の底面面積や重量に応じて複数のラチェット部30を設けてもよい。本体軸受部123、揺動軸124、および台座軸受部2222の強度と耐久性を増し、安定した傾斜動作を確保することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態2について説明する。先に実施の形態1として説明したように使用者は装置本体を所望の傾斜に簡単に角度調節をすることができるものであった。しかしながら、第三者が装置本体を持ち上げたときにも、その傾斜が簡単に変わってしまう可能性があった。知らないうちに傾斜が変えられると違和感を使用者に与えてしまうからである。
そこで、さらに装置本体を所望の傾斜位置に固定することができる端末装置について図17〜図25を用いて説明する。図17は本実施の形態2における装置本体10を傾斜位置に固定する機構を説明する図である。図18は補助レバー35を説明する図である。図19はロックレバー36の斜視図である。図20はロックレバー36を説明する図である。図21はフック31の斜視図である。図22はフック31を説明する図である。図23は図22のフック31の断面図である。図24はフックの実装状態を説明する図である。図25は初期位置での係合の解除を説明する図である。なお、図17から図23においては、図1から図10に示される同じ構成のものは、同符号を付して説明は省略する。
<所望の傾斜位置に固定するための機構の概要>
図17において、電話装置1は、実施の形態1の本体基部12に対して、ロックボタン34と、補助レバー35と、ロックレバー36と、そのロックレバー36との係合部315を持つフック31とを設けたものである。
ここでロックボタン34は操作手段である。またロックレバー36はフック31と歯列224の係合状態を制御する第二の付勢部材である。また係合部315はロックレバー36から係合状態の制御を受ける付勢係合部である。係合状態制御の詳細動作は後述する。
なお、図1および図2で説明した本体基部12、台座20、本体基部12の構成である底部空間部121、本体軸受部123、揺動軸124などは実施の形態2においても同じ構成である。それらは同符号を付して説明を省略する。
<ロックボタン>
K部詳細図において、ロックボタン34は略立方体上の形状のボタンである。ロックボタン34の外周壁部343に沿った形状の孔を本体基部12に設け、その孔に嵌入するようにロックボタン34を配置している。破線の部分は図17における本体基部12の背面13に突出する部分である。ロックボタン34はガイド342によって支持される。ロックボタン34を本体基部12の背面13から押したときには、ロックボタン34がガイド342によって支持されながら矢印a方向に移動するように形成している。
ロックボタン34は図17における装置本体10右上方に丁度指がかかるように配置される。そして使用者が傾斜位置を変えようと手をかけたときに背面13側から押せるようにしている。背面13に配置するのでデザイン性に優れ見栄えがよい。また装置本体10に手をかけたときに自然にボタンに指がかかるので使い勝手もよくなる。
さらにK部詳細図において、ロックボタン34は傾斜面341を有する。このときロックボタン34に接するガイド342の途中に一段の僅かな凸部344を設けておく。するとロックボタン34をa方向に押したときに半押し状態であることが感触としてわかるようにできる。これによりロックボタン34を一度に押し切らずに二段に押し分けることもできる。すなわち一段押した(半押し)位置を第一操作位置、二段押した位置を第二操作位置とする押し分けができる。ロックボタン34には、押していない場合も含め3つの機能を割り当て可能となり使い勝手が増す。
<補助レバー>
図18(A)において、補助レバー35は略直方体に形成されるレバーである。補助レバー35は、図17のK部詳細図におけるロックボタン34と当接する端点L側の傾斜面353を形成する。また補助レバー35は固定具355の固定軸356に嵌りスライドする長孔351を持つ。さらに補助レバー35は端点M側に突起部352を形成する。
補助レバー35は、本体基部12にその長辺が水平方向(X軸に平行)になるように取り付けられる。そして補助レバー35の背面354で本体基部12との隙間にバネ357が設置されている。バネ357は圧縮バネであり、一端が補助レバー35に、他端が本体基部12に装着される。バネ357より矢印c方向(ロックボタン34方向)に付勢された状態で、補助レバー35は固定具355により本体基部12に対して左右に動作可能に形成される。補助レバー35は固定具355の固定軸356に嵌り長孔351の範囲で左右に動作する。そして補助レバー35を本体基部12に取り付けたときの端点Lはロックボタン34に当接するように配置される。
<ロックレバー>
図19(A)はロックレバー36の斜視図である。図19(B)は図19(A)のロックレバー36を矢視N−Nから見た図である。ロックレバー36は厚みのある板状に形成されるレバーである。ロックレバー36は中央付近に回動軸362を備える。また、端点P側に補助レバー35の端点Mの突起部352と当接するための傾斜溝363を備える。端点Q側には係合軸361を備える。端点Qは係合軸361があることにより逆向きの略T字状の形状をなす。
ロックレバー36は、本体基部12に対して両端点が回動軸362を支点として回動自在になるように固定具364により固定される。そしてロックレバー36の端点Q寄りの背面365の本体基部12との隙間にはバネ366が設置されている。バネ366は圧縮バネであり、一端がロックレバー36に、他端が本体基部12に装着される。そのバネ366により端点Q側が矢印f方向に付勢された状態で、固定具364により本体基部12に動作可能に形成される。ロックレバー36は本体基部12に対してその長辺が垂直方向になるように取り付けられる。図20(A)は図19(A)のロックレバー36を端点P方向から見た図である。
図20(A)において、ロックレバー36の端点Pには傾斜溝363を備える。
<フック>
以上の係合部の関係に基づいて詳細に説明する。図21は本実施の形態のフックの斜視図である。実施の形態1のフック31にロックレバー36との係合部315を設けた点を特徴とする。フック31をフック軸312に対して爪部311と反対方向に延伸させて、ロックレバー36との係合部315を形成したものである。係合孔316はロックレバー36の係合軸361と係合するための孔である。また開口部317は係合孔316の一部を図のように開口して形成される。ねじりコイルバネ32は実施の形態1で説明したものと同様である。実施の形態2では第二の付勢部材(ロックレバー36)と区別するためねじりコイルバネ32を第一の付勢部材と称する。
図22はフック31を図21の矢視R−Rから見た正面図である。ロックレバー36との係合部315によって囲まれ開口部317によって形成される空間部分は、ロックレバー36の端点Qの係合軸361を係合することができる。この空間部分の幅が広くなっている箇所を通してロックレバー36の端点Qの係合軸361が外れたり軸着したりするため、フック31とロックレバー36との係合や係合の解除が簡単にできる。さらに、装置を製造・組み立てする工程においても係合のための余分な工数が取られないため生産性を上げることが可能になる。
図23(A)は、図22のS−S断面図である。係合部315は、ロックレバー36の端点Qの係合軸361を係合する係合孔316を有する。この係合孔316は実装状態において係合軸361が矢印i方向に向かうときは本図で係合孔316の内側左面(j面)が内側右面(k面)よりも先に接触し、矢印h方向に向かうときは本図で係合孔316の内側右面(k面)が内側左面(j面)より先に接触するように形成した構造である。この構造によりロックレバー36の端点Qの係合軸361が矢印i方向に動くときフック31にはフック軸312を支点として反時計回り(q方向)に付勢が働き、係合軸361が矢印e方向に動くときフック31にはフック軸312を支点として時計回り(p方向)に付勢が働くという作用が生じる。詳細動作は後述する。
図23(B)は、図22のT−T断面図である。係合部315の係合孔316は上記で説明したような構造であるが、T−T断面図においてはその本図で係合孔316の内側左面(j面)に開口部317を有する。この構造によりロックレバー36の端点Qの係合軸361がフック31の開口部317にあるときはフック31の回動により係合を解除して係合孔316位置から脱するという作用が生じる。この動作については、後で図25を用いて詳しく説明する。
<ロックボタンと補助レバーとロックレバーとの係合部の動作>
図18(B)、(C),(D)は、ロックボタン34と補助レバー35との当接による動作を詳細に説明する図である。図18(B)において、ロックボタン34はまだ押されていない状態である。この状態からロックボタン34を本体基部12の背面13から指で押すとその傾斜面341により矢印a方向に押された補助レバー35の傾斜面353は、当接部の傾斜が力を逃がす方向へ動く作用により矢印b方向に移動する。
図18(C)はロックボタン34を一段押した(半押しした)状態を示している。図18(B)の状態と比較して補助レバー35が少し矢印b方向に移動している。さらにロックボタン34を押すと図18(D)のように補助レバー35はさらに矢印b方向に移動する。
図18(C)または(D)の状態において、ロックボタン34から指を離すと補助レバー35のバネ357の作用により補助レバー35が矢印c方向に戻されると共に当接部の傾斜が力を逃がす方向へ動く作用によりロックボタン34も図18(B)の位置まで押し戻される。
図19(A)と図20(A)と図20(B)を参照して、ロックレバー36と補助レバー35の係合状態を説明する。ロックレバー36の傾斜溝363には補助レバー35の突起部352が当接する。図20(B)を参照してロックボタン34を指で押すと補助レバー35は矢印b方向に移動する。すると突起部352も矢印b方向に移動する。このとき突起部352はロックレバー36の傾斜溝363に沿って動くため傾斜溝上面367を押すことになる。押された傾斜溝上面367は、傾斜が力を逃がす方向へ動く作用により端点Pを回動軸362を支点として図20(A)の矢印d方向へ動かす。このとき図19(B)のように端点Qの係合軸361は矢印e方向へ動くことになる。
ロックボタン34から指を離すとロックレバー36のバネ366の作用によりロックレバー36の端点Pが矢印f方向に移動する。すると当接部の傾斜が力を逃がす方向へ動く作用により補助レバー35、ロックボタン34も押し戻される。
<ロックレバーとフックとの係合部の動作>
図24は本発明の実施の形態のフック31の実装状態を説明する図であって、フック31とロックレバー36とが係合した実装状態を表す。
ロックボタン34に触っていない場合、つまりロックボタン34を指で押していない場合はフック31とロックレバー36との係合位置は係合軸361が矢印i方向の終端にある。U部詳細図において、図23(A)と図24(A)との関係における係合軸361は係合孔316のr位置にある。そして係合部315の係合孔316の内側左面(j面)には矢印i方向の付勢が加わっている。この付勢が係合孔316の内側左面(j面)を押す。すなわちフック31はフック軸312を支点として反時計回り(q方向)に回動する付勢を得る。
するとフック31の爪部311は第一の付勢部材であるコイルバネ32により既に歯列方向へ付勢されているが、第二の付勢部材であるロックレバー36から伝わる付勢によりさらに歯列方向へ付勢される。
これにより本体を持ち上げたときにフック31の爪部311はその付勢方向と反対方向へ動くことができない。すなわち実施の形態1と異なり装置本体10を現在の所望の傾斜位置に固定することができる。
よって装置の使用者ではない第三者が装置本体10を持ち上げたりしても、その傾斜は簡単には変わらないので、使用者は先に述べたような違和感を抱くこともなくなり快適に使用することができる。また、装置内部の機構で実現できるため、デザイン的にもすっきりとしたものにできる。また、実施の形態1のフックへの追加的な付勢により係合を保持するようにするので設計変更も容易にできる。
また、ロックレバー36による係合の保持がなければフック31のねじりコイルバネ32には非常に強力なバネを備える必要があるが、本発明ではそのような強力なバネを必要としない。
なお、ロックボタン34から指を離した状態での係合軸361の位置を、爪部311が歯列224に当接しているときの係合孔316最上部の位置になるようにフック31を設計し、本体を持ち上げたときにだけフックへの追加的な付勢を働かせるようにして係合を保持するようにしてもよい。定常時に各部品にかかるテンションを下げ部品への負担を軽減できるからである。
ロックボタン34を指で押し下げた場合は先に説明したようにロックレバー36との係合位置は図24(B)の係合孔316のs位置にある。そして係合部315の係合孔316の内側右面(k面)には矢印h方向の付勢が加わっている。この付勢が係合孔316の内側右面(k面)を押す。すなわちフック31はフック軸312を支点として時計回り(p方向)に回動する付勢を得る。
フック31の爪部311は第一の付勢部材であるコイルバネ32により既に歯列方向へ付勢されているが、上記のようにロックレバー36から伝わる付勢により今度は歯列方向とは逆方向へ、コイルバネ32による付勢を打ち消すように付勢される。するとフック31の爪部311は歯列224から離れ、その係合を解除する。
これにより実施の形態1では本体基部12を傾斜解除位置まで引き上げなければ傾斜を解除できなかったが、本発明では現在の所望の位置から引き上げることなく下方向への傾斜角度の調整ができるようになる。よって装置の使用者ではない第三者が装置本体10を持ち上げたりしても、その傾斜は簡単には変わらず、他方、傾斜を変えたいときには、ロックボタン34を指で押し下げれば簡単に傾斜角度を変えられるため、快適に使用することができる。
ロックボタン34を指で一段だけ押した(半押しの)場合には、ロックレバー36との係合位置は図24(C)の係合孔316のt位置にあり、係合部315の係合孔316の内側のどの面にも付勢が加わらない状態になる。つまり、フック31の爪部311は第一の付勢部材であるコイルバネ32により歯列方向へ付勢されているのみとなる。
これにより実施の形態1と同じように動作する。すなわち、使用者が、本体基部12を引き上げると、フック31は本体基部12の傾斜と共に回動孔1222の上昇に伴って引き上げられる。するとコイルバネ32により付勢されているのみであるからフック31の爪部311は歯列224の鋸歯状の歯の斜面をなぞり、歯を乗り越えながら上昇する。使用者が、所望とする傾斜角度まで本体基部12を傾斜させ引き上げを停止するとフック31の爪部311は歯列224の方向へねじりコイルバネ32により押圧付勢されているから、歯列224の鋸歯状の歯の頂点を乗り越えていた場合は、その位置の歯の水平面に係合する。歯列224の鋸歯状の歯の斜面途上にある場合、その歯の斜面を下降して下段の歯の水平面に到達して、爪部311は下段の歯に係合する。こうしてフック31が歯列224のうち所望の位置の歯に係合するので、操作パネル部11を最適な傾斜角度とすることができる。
<初期位置>
次に本体基部12を初期位置に向けて降下させた場合について図25により説明する。本体基部12を傾斜解除位置まで引き上げるかロックボタン34を指で押して降下させると、フック31の爪部311は曲面2251に当接する。さらに降下を続けるとフック軸312は降下するが爪部311は既に曲面2251に当接しているため曲面2251からの反作用により矢印u方向に逃げる。このためフック31はフック軸312を支点として時計回りに回動する。するとロックレバー36の端点Qの係合軸361は、フック31のロックレバー36との係合部315の係合孔316の開口部317を抜ける。そしてロックレバー36はフック31から外れる。
ロックレバー36がフック31から外れることにより装置本体10を初期位置にした場合でも、フックが水平に近い状態まで回動できるため装置の厚みを薄くすることができ、使い勝手がよくなる。またデザイン性も優れたものとなる。特に壁掛けにて使用するときに機能性が増すようになる。
<その他>
なお、ロックレバー36の端点Qの係合軸361を片方向だけに備え、フック31の係合部315も係合軸361と同じ片方向だけに備え係合部を1箇所にしてもよい。この場合略L字状の端点Qと開口部317によって形成される略L字状の空間部分が係合または係合解除する。部品の幅を狭くすることができ装置の小型化を図ることができる。
なお、本実施の形態ではロックボタン34を指で押していない場合はロックレバー36の付勢によりフック31は歯列224方向へ付勢されるものとして説明したが、単にねじりコイルバネ32が付勢方向から押し返されないようにしておいてもよい。付勢方向から押し返されなければ本体を持ち上げたときに実施の形態1のようにはフック31の爪部311が歯列224をなぞりながら上昇することはできないからである。
また、なお、本実施の形態ではフック31をフック軸312に対して爪部311と反対方向にフック31を延伸させて、ロックレバー36との係合部を形成したものとして説明したが、フック31とフック軸312との間にロックレバー36との係合部315を形成してもよい。
フック31を延伸させないため装置の厚みを薄くすることができ、使い勝手がよくなる。またデザイン性も優れたものとなる。この場合支点となるフック軸312に対して作用点となる爪部311と力点となるロックレバー36との係合部が同じ側にあるので、フック31に対するロックレバー36からの付勢方向を上記に説明したものと逆にすることにより上記に説明したものと同等の効果が得られるからである。
また、なお、ロックボタン34の配置は本体基部12の背面から押すように配置するものとして説明したがその他の面に配置してもよい。ロックボタン34の配置によらずフック31に対するロックレバー36からの付勢が働けば同等の効果が得られるからである。このようにロックボタン34の配置には自由度があるためデザインと機能性に合わせて配置できる。
また、ロックボタン34は、それに接するガイド342の途中に抵抗物として一段の僅かな凸部を設けておくなどして二段に押せるように説明したが、二段の機構を持つボタンを構成品として用いてもよい。信頼性が増す。
また、ロックボタン34を構成品として持たずに補助レバー35を直接操作するようにしてもよい。たとえば補助レバー35を右方向に延長し本体基部12の右側面から突出するようにすれば補助レバー35を直接押し込むような操作に変更することができる。このようにすれば部品点数を減らして機構をより簡単にすることができるため信頼性が増す。
また、ロックレバー36は本体基部12との隙間に設置されたバネ366を持つように説明したが、このバネ366を構成品として持たないようにしてもよい。ロックレバー36の両端点はフック31および補助レバー35との係合により位置が決まるため、バネ366により付勢された状態で形成されるに等しいからである。
<効果>
以上詳細に説明したように、本発明によれば、装置本体10を現在の所望の傾斜位置に固定することができる。よって装置の使用者ではない第三者が装置本体10を持ち上げたりしても、その傾斜は簡単には変わらないので、使用者は先に述べたような違和感を抱くこともなくなり快適に使用することができる。他方、傾斜を変えたいときには、ロックボタン34を指で押せば簡単に傾斜角度を変えられるため、快適に使用することができる。
さらに本発明によれば、装置内部の機構で実現できるためデザイン的にもすっきりとしたものにできる。さらに本発明によれば、実施の形態1のフックへの追加的な付勢により係合を保持するようにするので設計変更も容易にできる。さらに本発明によれば、現在の所望の位置から引き上げることなく下方向への傾斜角度の調整ができるようになる。
本発明によれば、フック31、フック31のねじりコイルバネ32、およびカム33は底部空間部121に収容され、本体ラチェットユニットを構成する。さらに、台座弧状周面2211、歯列224、およびカム制御溝226は台座支持部22に収納され、台座ラチェットユニットを構成する。そして、本体ラチェットユニットと台座ラチェットユニットとでラチェット部30を構成する。それによって、角度を決める支柱など備える必要がなくなるので、すっきりした外観と、薄くスリムな電話装置1とすることができる。
さらに、最上段を超えて傾斜をさせることで、装置本体10の傾斜を解除することができる。傾斜を解除する操作によって、装置本体10は台座20に対してほぼ水平位置に戻すことができる。ほぼ水平の初期位置に戻すと、傾斜角度を再び設定することができる。
本発明によれば、使用者は装置本体10を傾斜させるだけで角度調節をすることができる。角度調節の操作は、片手で簡単に操作をすることができる。使用者は、本体の一部を持ち上げる操作をすれば、傾斜角度調節と傾斜角度解消とを調節することができる。
本発明は、操作パネル部を簡単に所望とする傾斜に設定でき所望の角度に調節後に係合状態を保持するので、卓上や壁に設置して、表示を見たり操作したりするために操作性を向上させた端末装置に好適である。
なお、本発明の実施の形態の説明には、電話装置を例にして説明した。しかし、本発明は電話装置に限定して理解されるものではなく、卓上や壁に設置して人が視認し操作するために操作性を向上させた端末装置に本発明の内容を広く利用することができるものであることは、重ねて説明をするまでもない。
本発明の実施の形態1における電話装置の斜視図 図1の本体基部の内部を説明する図 フックにねじりコイルバネを装着した状態を説明する斜視図 カムを説明する斜視図 図1の台座の内部を説明する斜視図 図5のZ方向矢視図 図6の要部断面図 図1の分解斜視図 本体基部と台座との係合状態を説明する図 図9のC−C線断面図 初期位置を示す断面図 傾斜最下段を示す断面図 傾斜最上段を示す断面図 傾斜解除位置を示す断面図 傾斜解除位置から初期位置へ戻る過程を説明する図 フックと付勢部材に関する他の例を説明する図 本実施の形態2における装置本体を傾斜位置に固定する機構を説明する図 補助レバーを説明する図 ロックレバーの斜視図 ロックレバーを説明する図 フックの斜視図 フックを説明する図 図22のフックの断面図 フックの実装状態を説明する図 初期位置での係合の解除を説明する図
符号の説明
1,50 電話装置
10 装置本体
11 操作パネル部
111 表示部
112 操作キー部
12 本体基部
121 底部空間部
1211 底部側壁
1222 回動孔
1223 本体弧状周面
1224 突出孔
123 本体軸受部
1232 本体揺動孔
124 揺動軸
125 装置側係合部
13 背面
20 台座
21 台部
211 係合孔
22 台座支持部
221 後部
2211 台座円弧状周面
222 側部
2221 台座揺動孔
2222 台座軸受部
223 前部
224 歯列
225 凹部
2251 曲面
226 カム制御溝
2261 上段係止部
2262 下段係止部
30 ラチェット部
31 フック
311 爪部
312 フック軸
313 フック当接部
314 板バネ
315 係合部
316 係合孔
317 開口部
32 ねじりコイルバネ
33 カム
331 カム当接部
332 カムアーム部
333 カム係止部
34 ロックボタン
341 傾斜面
342 ガイド
343 外周壁部
344 凸部
35 補助レバー
351 長孔
352 突起部
353 傾斜面
354 背面
355 固定具
356 固定軸
357 バネ
36 ロックレバー
361 係合軸
362 回動軸
363 傾斜溝
364 固定具
365 背面
366 バネ
367 傾斜溝上面
H 送受話器

Claims (7)

  1. 本体と、
    前記本体を傾斜可能に保持する台座と、
    前記本体側に設けられ前記本体を前記台座に対して複数の所定角度に傾斜して固定可能とするフックと、
    前記台座側に設けられ複数の歯を有し前記フックと係合して前記本体を前記台座に対して複数の所定角度に傾斜して固定させる歯列と、
    前記フックを前記歯列の方向に押圧付勢する第一の付勢部材と、
    前記フックと前記歯列の係合状態を制御する第二の付勢部材と、
    前記第二の付勢部材を操作する操作手段と、
    前記フックが前記第二の付勢部材から前記係合状態の制御を受ける付勢係合部とを具備し、
    前記本体の傾斜角度を固定する場合は、前記第二の付勢部材が前記付勢係合部を介して、前記第一の付勢部材の押圧付勢に付加して前記第二の付勢部材が前記フックを前記歯列の方向に押圧付勢し、前記本体の傾斜角度を可変にする場合は、前記操作手段により前記第二の付勢部材が前記付勢係合部を介して、前記第一の付勢部材の押圧付勢を打ち消すように前記第二の付勢部材が前記フックを付勢して、前記本体の傾斜を制御することを特徴とする端末装置。
  2. 前記本体が前記台座に対して最小傾斜角度に戻る位置が初期位置である場合は、前記付勢係合部が前記第二の付勢部材から離れて前記係合状態の制御を受けない位置であることを特徴とする請求項1記載の端末装置。
  3. 前記本体が前記台座に対してほぼ水平に戻る位置が初期位置である場合は、前記付勢係合部が前記第二の付勢部材から離れて前記係合状態の制御を受けない位置であることを特徴とする請求項1記載の端末装置。
  4. 前記操作手段は第一操作位置と第二操作位置とを有し、
    前記第一操作位置に操作した場合は、前記第二の付勢部材の押圧付勢を打ち消すことにより、前記第一の付勢部材のみが前記フックを前記歯列の方向に押圧付勢し、前記本体を前記台座に対して傾斜して固定可能とし、前記第二操作位置に操作した場合は、前記第二の付勢部材が前記第一の付勢部材の押圧付勢を打ち消して前記フックを前記歯列から離隔させ、前記本体の固定を解除し、前記操作手段を操作しない場合は、前記第一の付勢部材の押圧付勢に付加して前記第二の付勢部材が前記フックを前記歯列の方向に押圧付勢し、前記本体の傾斜を固定することを特徴とする請求項1記載の端末装置。
  5. 前記操作手段は前記本体のみに設けられたことを特徴とする請求項1記載の端末装置。
  6. 前記操作手段は押し込み可能であることを特徴とする請求項5記載の端末装置。
  7. 前記本体は、操作パネル部を備えた前面と、前記前面の裏側である背面とを有し、
    前記操作手段は前記本体の背面のみに設けられたことを特徴とする請求項5または6記載の端末装置。
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