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JP4905647B2 - 医療用具 - Google Patents

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JP4905647B2 JP2006037162A JP2006037162A JP4905647B2 JP 4905647 B2 JP4905647 B2 JP 4905647B2 JP 2006037162 A JP2006037162 A JP 2006037162A JP 2006037162 A JP2006037162 A JP 2006037162A JP 4905647 B2 JP4905647 B2 JP 4905647B2
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Description

本発明は、血管、消化管、尿管などの生体管腔内に挿入される管腔内挿入具に取り付けられて、所定値以上のトルクがかかった場合に管腔内挿入具へのトルクの伝達を阻止するトルク制御機構を備える医療用具及びその医療用具を取り付けた管腔内挿入具及び管腔内挿入具に関する。
血管、消化管、尿管などの生体管腔内における診断治療は、術者が手元から生体管腔へ可撓性の軸方向に細長い管腔内挿入具を挿入し、先端を生体管腔の深部に到達させることによりなされる。このような管腔内挿入具には、チューブ状のカテーテル、ガイドワイヤ、バルーンカテーテル等がある。
これら管腔内挿入具を使用する際に、術者は医療用具の手元側で軸方向を中心に回転させる場合がある。回転させる状況としては、例えば、屈曲した生体管腔内へ管腔内挿入具を挿入していく際や、先端の曲がった管腔内挿入具を挿入していく際、閉塞部に管腔内挿入具をねじ込んで通過させる際等がある。
管腔内挿入具を回転させる際に、管腔内挿入具の先端等に生体管腔の内壁や閉塞部が突き当たると、トルクが大きくなり、所定値以上のトルクがかかると管腔内挿入具が捩れ、座屈をおこしてしまう恐れがある。捩れ座屈が生じると、交換のため管腔内挿入具を生体管腔から抜いて、再度手技を行わなくてはならない。これは、患者の負担増大にもつながり得る。
上記問題点を解決するために、特許文献1では、管腔内挿入具が生体管腔内で捩れ座屈をしないように、管腔内挿入具の手元側に縮小径部を設けて、生体管腔内ではなく、手元側で優先的に座屈変形するようにし、さらに、捩れを目視確認できる構成にした管腔内挿入具が開示されている。
しかし、この管腔内挿入具では、捩れ座屈を生じた管腔内挿入具は、その交換が必要となる場合がある。また、捩れ座屈したか否かを目視にて判断する必要があり、管腔内挿入具に所定値以上のトルクが負荷されたことを術者が瞬時に感知することが困難である。瞬時に感知できないために、目視による判断が遅れて、座屈を生じた管腔内挿入具の交換が遅れ、手技の時間が長くかかる場合がある。
また、特許文献2では、回動部を内蔵したカテーテルを制御する医療機器にトルク制御手段を設ける点が開示されている。しかし、これは、回動部を回動させる駆動トルクの伝達を制御するものであって、術者が手技を行っている過程で瞬時に所定値以上のトルクが管腔内挿入具に負荷されたことを判断させるものではない。
特開2005−296078公報 特開平10−66696号公報
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、第1の目的として管腔内挿入具に座屈が生じることを防止することで、可能なかぎり管腔内挿入具の交換を不必要とするものである。第2の目的として、トルクが所定値以上になったことを術者が手元で瞬時に感知することができる医療用具及びその医療用具を取り付けた管腔内挿入具及び管腔内挿入具を提供するものである。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の医療用具は、本体は、管腔内挿入具側に位置する本体前端部と、管腔内挿入具側と反対側に位置する本体後端部とを有し、筒体は、本体前端部と当接可能な筒体前端部と、本体後端部と当接可能な筒体後端部とを有し、本体前端部と本体後端部の間で、本体前端部と本体後端部のいずれか一方と当接するように軸方向に移動可能に設けられ、トルク制御機構は、第1のトルク制御機構と第2のトルク制御機構とを有し、第1のトルク制御機構は、本体前端部と筒体前端部との当接部に設けられ、第2のトルク制御機構は、本体後端部と筒体後端部との当接部に設けられている。
これによれば、管腔内挿入具を生体管腔内に押し込む方向に動かしたい場合には、本体前端部と筒体前端部とを当接させて、本体前端部と筒体前端部との当接部に設けられた第1のトルク制御機構によりトルクを制御することができる。また、管腔内挿入具を生体管腔内から引き抜く方向に動かしたい場合には、筒体を移動させ、本体後端部と筒体後端部とを当接させて、本体後端部と筒体後端部との当接部に設けられた第2のトルク制御機構によりトルク制御することができる。このため、管腔内挿入具を生体管腔内へ押し込む作業時だけでなく、管腔内挿入具を生体管腔内から引き抜く作業時にもトルクの制御ができ、一連の手技においてトルク伝達のムラが生じることはほとんどない。
〔請求項の手段〕
請求項に記載の医療用具は、請求項1に記載の医療用具において、のトルク制御機構の係合が解除されるトルク、前記第のトルク制御機構の係合が解除されるトルクよりも大きくしたことを特徴とする。
これによれば、係合が解除されるトルクの大きさの違いにより、術者が感覚で進退方向のどちらでトルクが所定値以上となったのかを感知をすることができる。
また、特に、回転により進退する管腔内挿入具において、挿入する際に捩れが生じやすい手技であれば、例えば、第2のトルク制御機構の係合が解除されるトルクを、第1のトルク制御機構の係合が解除されるトルクよりも大きくすることにより、挿入作業においては、繊細な作業が行え、引き抜く作業においては、捩れを戻すために効率よくトルクを伝達して迅速な作業を行うことができる。また、引き抜く作業時に捩れが生じやすい場合には、その逆にしてもよい。
〔請求項の手段〕
請求項3に記載の医療用具は、請求項2に記載の医療用具において、前記第1のトルク制御機構は、前記本体前端部に設けられた第1の傾斜面を有する第1の本体側歯部と、前記筒体前端部に設けられ、前記第1の本体側歯部に噛み合い可能な傾斜面を有する第1の筒体側歯部とを備え、前記第2のトルク制御機構は、前記本体後端部に設けられ、前記第1の傾斜面より傾斜角度の大きな第2の傾斜面を有する第2の本体側歯部と、前記筒体後端部に設けられ、前記第2の本体側歯部に噛み合い可能な傾斜面を有する第2の筒体側歯部とを備えたことを特徴とする。
最良の形態1の医療用具は、一端側から生体管腔内に挿入されると共に他端側に操作部を有する細長い可撓性の管腔内挿入具に取り付けられる医療用具であって、操作部に連結されて管腔内挿入具に対し軸周りの回転方向に拘束される本体と、本体に接触を伴って係合し、本体と一体的に回転可能であると共に把持可能な筒体と、筒体を把持して筒体の軸方向に対し回転される際、トルクが所定値以上になると、本体と筒体との係合が回転方向に対し解除され、管腔内挿入具へのトルクの伝達を阻止するトルク制御機構とを備える。
筒体は、管腔内挿入具側に位置する筒体前端部と、管腔内挿入具側と反対側に位置する筒体後端部とを有し、トルク制御機構は、本体と筒体前端部との当接部、あるいは、本体と筒体後端部との当接部のいずれか一方に設けられている。
ここで、トルク制御機構は、本体に設けられた傾斜面を有する本体側歯部と、本体側歯部と噛合い係合可能な筒体に設けられた傾斜面を有する筒体側歯部とを備える。
また、本体側歯部及び筒体側歯部は、順方向に回転させる際に接触する傾斜面と、逆方向に回転させる際に接触する傾斜面とで、傾斜角度が異なる。
本体は、外周に少なくとも1つの本体側突起部を有し、筒体は、外周に本体側突起部とともに一連の突起部を形成する少なくとも1つの筒体側突起部を有する。
そして、この医療用具を取り付けた管腔内挿入具は、一端に設けられた金属体からなる先端部と、少なくとも一部分が金属素線を巻回あるいは撚合わせてなるコイル体からなるシャフト部とを備える。
最良の形態2の医療用具は、本体は、管腔内挿入具側に位置する本体前端部と、管腔内挿入具側と反対側に位置する本体後端部とを有し、筒体は、本体前端部と当接可能な筒体前端部と、本体後端部と当接可能な筒体後端部とを有し、本体前端部と本体後端部の間で、本体前端部と本体後端部のいずれか一方と当接するように軸方向に移動可能に設けられ、トルク制御機構は、第1のトルク制御機構と第2のトルク制御機構とを有し、第1のトルク制御機構は、本体前端部と筒体前端部との当接部に設けられ、第2のトルク制御機構は、本体後端部と筒体後端部との当接部に設けられている。
第1のトルク制御機構の係合が解除されるトルクと、第2のトルク制御機構の係合が解除されるトルクの大きさが異なる。
最良の形態3の管腔内挿入具は、一端側から生体管腔内に挿入される細長い可撓性の管腔内挿入具は、一端に設けられる先端部と、少なくとも一部分が金属素線を巻回あるいは撚合わせてなるコイル体からなるシャフト部と、他端に設けられて体外において回転可能な操作部と、操作部の回転をシャフト部に伝達する医療用具とを備え、医療用具は、本体と、本体に接触を伴って係合し、本体と一体的に回転する筒体と、筒体の軸方向に対し回転される際、トルクが所定値以上になると、本体と筒体との係合が回転方向に対し解除され、先端部と本体へのトルクの伝達を阻止するトルク制御機構とを有する。
ここで、医療用具は、本体が、管腔内挿入具の先端部側に位置する本体前端部と、管腔内挿入具の先端部側と反対側に位置する本体後端部とを有し、筒体が、本体前端部と本体後端部の間で、いずれか一方と当接するように軸方向に移動可能に設けられると共に、本体前端部と当接可能な筒体前端部と、本体後端部と当接可能な筒体後端部とを有し、トルク制御機構が、第1のトルク制御機構と第2のトルク制御機構とを有し、第1のトルク制御機構は、本体前端部と筒体前端部との当接部に設けられ、第2のトルク制御機構は、本体後端部と筒体後端部との当接部に設けられている。
トルク制御機構は、本体に設けられた傾斜面を有する本体側歯部と、本体側歯部と噛合い係合可能な筒体に設けられた傾斜面を有する筒体側歯部とを備える。
そして、本体側歯部及び筒体側歯部は、順方向に回転させる際に接触する傾斜面と、逆方向に回転させる際に接触する傾斜面とで、傾斜角度が異なる。また、第1のトルク制御機構の係合が解除されるトルクと、第2のトルク制御機構の係合が解除されるトルクの大きさが異なる。
実施例1の医療用具1の構成を、図1ないし図3を用いて説明する。
医療用具1は、狭窄部用カテーテル10(管腔内挿入具の一例)の他端(手元)側(図示右側)に取り付けられる。
狭窄部用カテーテル10は、少なくとも一部分が金属素線を巻回あるいは撚合わせてなるコイル体からなるシャフト部11と、シャフト部11の一端(図示左側)に設けられた金属体からなる先端部12と、シャフト部11の手元側に設けられた操作部13からなる(図1参照)。
シャフト部11は、ステンレスからなる細長い複数の金属素線を緊密に撚合わせてなる撚り線コイル体にて構成されている。金属素線の形成材料としては、ステンレスに限定されることなく、従来から使用され、可撓性を有する金属材料が適宜に用いられ得る。例えば、Ni−Ti合金等の超弾性合金が、単独で、あるいはステンレスと組み合わされ使用される。
また、撚り線コイル体を形成する金属素線の数は、シャフト部11に望まれる可撓性と剛性のバランス等に応じて適宜に決定される。例えば、直径が0.075〜0.20mmの素線を6〜16本程度(好ましくは8〜12本)を、ピッチが1.70〜1.90mmの範囲で撚合わせて形成される。本実施例では、直径0.18mmの8本の素線をピッチ1.78mmで撚合わせて形成されている。
尚、シャフト部11のコイル体は、撚り線コイル体に限定されることなく、1本あるいは複数の金属線を巻回してコイル体を形成してもよい。
シャフト部11の先端部分は、外周を研削等により先細りとなるようテーパ加工されている。
先端部12は、放射線不透過材料で形成された円筒状の金属体がシャフト部11の体腔内に挿入される側の先端部分に固着されて形成されている。放射線不透過性材料としては、例えば、金、白金、白金ロジウムなどが使用できる。本実施例では、白金にて形成されている。また、シャフト部11の外表面に金属素線の凹凸が現れている(図1(d)参照)のに対して、先端部12の外表面は図1(b)に示すように凹凸がなく滑らかに形成されている。
操作部13の手元端部には、医療用具1と連結させるための円筒接続部14が形成されている。円筒接続部14の手元端には外径が径大のフランジ部15が形成されており、そのフランジ部15の外周面には外周ネジ15aが形成されている。
この狭窄部用カテーテル10は、手元で軸周りに回転させることで、撚り線コイル体のピッチに応じて進退するものであり、ガイドワイヤ通過後の拡張デバイスなどが通過困難な狭窄部に対して、ねじ込んで通過させることにより、その後の手技に用いる拡張デバイスなどが通過させる通路を確保するものである。
一般的に、狭窄部用カテーテルは、例えば、全体の長さが750〜1530mm、シャフト部11の長さが350〜1100mm、外径0.50〜1.00mm、内径0.35〜0.66mm、先端部12の長さが0.5〜1.0mm、外径0.50〜1.00mm、内径0.30〜0.50mmの範囲で適宜に決定される。
尚、本実施例の狭窄部用カテーテル10は、全体の長さが1450mmである。また、シャフト部11の長さは1050mm、最大外径は0.71mm、最大内径は0.46mmであり、先端部12の長さは1.0mmであり、外径は0.62mm、内径は0.40mmである。狭窄部用カテーテル10の長さ、外径等は、本実施例に限定されず、使用目的に応じて適宜に決定される。
医療用具1は、狭窄部用カテーテル10に対し軸周り回転方向に拘束される本体2と、本体2に接触を伴って係合し、本体2と一体的に回転可能な筒体3と、筒体3を把持して軸方向を略中心に回転させる際、トルクが所定値以上になると、本体2と筒体3との係合が回転方向に解除され、狭窄部用カテーテル10へのトルクの伝達を阻止するトルク制御機構4とを備える。
以下、医療用具1の説明中での前端側(管腔内挿入具側)は図示左側であり、後端側(管腔内挿入具側と反対側)は図示右側とする。
本体2は、円筒状を呈しており、細長棒状の棒状部21と、棒状部21の前端側に棒状部21と一体的に棒状部21よりも径大に設けられると共に後端面が筒体3との当接部となる本体径大部22と、棒状部21の後端部に螺着されたストッパ23とからなる。尚、本体2の筒内部24にはガイドワイヤ等を挿通することが可能となっている。
棒状部21は、本体径大部22との境界部分に、本体径大部22の外径よりも小さく、後述する筒体3の前端部の内径よりもわずかに小さい中径部21aを有する{(図2(c)参照}。中径部21aよりも後端側では、棒状部21は中径部21aよりも小さい径で、軸方向にわたり略同一径である。
本体径大部22は前端側に外筒部25が設けられており、外筒部25の内周面には内周ネジ25aが形成されている。また、外筒部25の中央には、前端側へ突出した先端テーパ状の中央内筒部26が設けられている。中央内筒部26の前端は、外筒部25の前端よりも前端側へ突出している。外筒部25と中央内筒部26との間には円筒形状の円筒凹所27が形成される。
本体2と狭窄部用カテーテル10との連結は、外筒部25の内周ネジ25aとフランジ部15の外周ネジ15aとを螺合させて、円筒凹所27内に円筒接続部14を挿入すると共に、円筒接続部14の筒内部に中央内筒部26が挿入されることによってなされる(図1(e)参照)。
本体2は、本体径大部22の後端側において、筒体3の筒内部に遊挿されている。
筒体3は、管腔内挿入具側に位置する筒体前端部CFと、管腔内挿入具側と反対側に位置する筒体後端部CRとを有する円筒状を呈しており、筒体3の筒内部には本体2の本体径大部22より後端側が遊挿されている。
筒体前端部CFには、本体径大部22と略同じ外径に筒体係合部31が形成されており、筒体3の前端面は、本体径大部22の後端面に当接可能となっている。
筒体係合部31から筒体後端部CRに向けて、筒体係合部31よりも外径が小さく形成された絞り部32、絞り部32から徐々に外径が大きくなるテーパを有する手持ち部33が順に設けられている。
術者が筒体3を把持する場合には、絞り部32を指で摘まんで、手持ち部33を握って使用することができる。
筒体3の筒内部には、手持ち部33の内部に段部34を介して後端側に内径が径大の径大部35を有している。
筒体3は、スプリングSにより、本体径大部22側に付勢されており、筒体3の前端面が本体径大部22の後端面に当接している。
スプリングSは、本体2の棒状部21の外周に挿通されるとともに、筒体3の径大部35の内部に配されて、前端が筒体3の段部34に係止されている。そして、後端は、筒体3の内部で棒状部21の後端に螺着されたストッパ23により係止されている。尚、このストッパ23の軸方向への位置を変えることによりスプリングSの伸縮調節が可能である。
本実施例のトルク制御機構4は、本体2に設けられた傾斜面を有する本体側歯部42と、筒体3に設けられた傾斜面を有する筒体側歯部43とを有し、歯部同士の係脱によりなされる機構であり、本体2と筒体前端部CFとの当接部に設けられている。
具体的には、本体側歯部42は、本体径大部22の筒体3との対向面(後端面)に設けられ、筒体側歯部43は、筒体3の本体径大部22との対向面(前端面)に設けられることにより、本体2と筒体前端部CFとの当接部にトルク制御機構4が設けられている。
本体側歯部42及び筒体側歯部43の歯形状は、それぞれ、傾斜面44、45からなる三角形状をしている。順方向に回転させる際に歯部同士が接触する傾斜面44と、逆方向に回転させる際に歯部同士が接触する傾斜面45とで傾斜角度が異なる。傾斜面44は、回転軸に対して9〜45度の範囲で、好ましくは15度傾斜しており、傾斜面45は、9〜90度未満の範囲で、好ましくは30度傾斜している。本体側歯部42及び筒体側歯部43は、それぞれ円周上等間隔に8山形成されている。歯の高さは0.3〜1.5mm(好ましくは0.5mm)である。
スプリングSによる付勢力と、本体側歯部42及び筒体側歯部43の形状により、筒体3と本体2との間の回転方向の係合力が決定される。トルクがこの係合力よりも大きいときには、本体側歯部42と筒体側歯部43との噛合い係合が外れる。本実施例では、この係合力が狭窄部用カテーテル10の材料特性等により、狭窄部用カテーテル10が捩れ座屈を生じない程度の所定値に設定されており、筒体3を把持して軸方向を略中心に回転させる際、トルクが所定値以上になると、本体2と筒体3との噛合い係合を解除し、狭窄部用カテーテル10へのトルクの伝達を阻止する。
また、本体2は、本体径大部22の外周に、外方に突出すると共に軸方向に延びる本体側突起部28を有している。本体側突起部28は、本体径大部22の外周に90度間隔で4つ設けられている。そして、筒体3は、筒体係合部31の外周に、外方に突出すると共に軸方向に延びる筒体側突起部37を有している。筒体側突起部37は、筒体係合部31の外周に90度間隔で4つ設けられており、4つのうちの1つは、他の3つの筒体側突起部37よりも長く、絞り部32及び手持ち部33まで延長されている。筒体側突起部37と本体側突起部28とは、軸方向に並んで一連の突起部Pを形成している。
尚、本体2、ストッパ23、筒体3は、耐磨耗性が高いポリアセタールを用いて射出成型により形成されている。本体2、ストッパ23、筒体3の形成材料としては、ポリアセタールに限定されず、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等の樹脂により形成される。また、本体2、ストッパ23、筒体3の形成方法は、射出成型に限定されず、切削加工等により形成してもよい。
本実施例の医療用具1及びその医療用具1を取り付けた管腔内挿入具を用いて血管、消化管、尿管などの生体管腔内における診断治療、例えば、管腔内挿入具として狭窄部用カテーテル10を用いて、心臓血管内の狭窄部を拡張する手技を行うには、以下のような手順に従って、その手技が進められる。
まず、ガイドワイヤが心臓の血管内に形成された狭窄部に挿通される。それによって、狭窄部に挿通孔が形成される。このとき、ガイドワイヤは狭窄部の比較的柔らかい部分を通過する。
次に、狭窄部用カテーテル10の操作部13に医療用具1を固定する。
そして、ガイドワイヤの血管内への挿入側とは反対側の端部が狭窄部用カテーテル10および医療用具1の本体2の筒内部24に挿入される。狭窄部用カテーテル10がガイドワイヤに沿って血管内に挿入される。尚、この作業は、放射線透視下で実施される。
狭窄部用カテーテル10の先端に設けられた放射線不透過材料からなる金属体の先端部12の位置、つまり、狭窄部用カテーテル10の先端位置を確認しながら、狭窄部用カテーテル10の先端部12が血管内の狭窄部にまで挿入される。
そして、狭窄部用カテーテル10の先端部12が血管内の狭窄部に達したら、狭窄部用カテーテル10の手元側に固定した医療用具1の筒体3を把持して押しながら回転させることによって、筒体3から本体2に、本体側歯部42及び筒体側歯部43を介してトルクが伝達される。従って、この場合、筒体3と本体2と狭窄部用カテーテル10とは一体的に回転し、狭窄部用カテーテル10は、シャフト部11の撚り線コイル体のピッチに応じて生体管腔内へ押し込まれる方向へと進行し、狭窄部用カテーテル10の先端部12が狭窄部に形成された挿通孔内にねじ込まれる。
よって、先端部12とコイル体からなるシャフト部11の先端側とが、挿通孔を押し広げつつ、狭窄部内に挿入される。
その結果、狭窄部がシャフト部11の先端部分の外径と概ね同じ大きさまで拡張される。
そして、狭窄部用カテーテル10が血管内から引き抜かれた後、バルーンカテーテルがガイドワイヤに沿って血管内に挿入されて狭窄部のさらなる拡張作業とともにステントが狭窄部に配置され、狭窄部の拡張を維持する。
尚、筒体3と本体2と狭窄部用カテーテル10とは一体的に回転している場合には、筒体側突起部37と本体側突起部28とは軸方向に並んで一連の突起部Pを形成した状態で回転するので、術者は、無負荷(回転前)の突起部Pの位置を「0位置」として確認しておくことで、作業時に突起部Pが0位置に来る毎に1回転したことを認識することができる。これにより、回転数のカウントをすることができる。
そして、狭窄部用カテーテル10のコイル体からなるシャフト部11の撚り線コイル体のピッチを予め確認しておくことで、1回転による狭窄部用カテーテル10の移動距離が分かるため、回転数をカウントすることにより、病変長を測定することも可能となる。
この手技において、狭窄部用カテーテル10が血管内に挿入される際、あるいは、狭窄部に挿入される際に、狭窄部用カテーテル10の先端等が血管内壁や狭窄部に突き当たると、トルクが大きくなり、所定値以上のトルクが生じる場合がある。
この所定値以上のトルクが生じた場合は、医療用具1の本体2と筒体3の噛合い係合が解かれ、筒体3が本体2に対し、相対回転をすることになり、本体2へのトルクの伝達が阻止され、その結果、狭窄部用カテーテル10へのトルクの伝達が阻止される。
これによって、本体2と筒体3の噛合いが解かれる際の筒体側歯部43の山が本体側歯部42の山を越えることによる噛合い状態からの浮き上がりによる触覚的感覚や、複数個の山を越える際に生じる本体2に対する筒体3の相対回転による触覚的感覚によって、術者は瞬時に狭窄部用カテーテル10に所定値以上のトルクが生じたことを感知することができる。
さらに、筒体側歯部43の本体2に対する相対回転時の筒体側歯部43の山と谷が本体側歯部42の山と谷に対し、衝突しながら相対回転する際の音による聴覚的感覚により、術者は瞬時に狭窄部用カテーテル10に所定値以上のトルクが生じたことを感知することができる。
特に、一対の山を越える際の浮き上がりの僅かな触覚的感覚が術者に伝達されることにより、体内に大きな負荷が作用する前に術者に手技における注意を喚起することができる。
また、筒体3が本体2に対し相対回転をすると、筒体側突起部37が本体側突起部28に対し相対回転するため、筒体側突起部37と本体側突起部28とは軸方向に並ばなくなり、一連の突起部Pを形成しなくなり、これによっても、所定値以上のトルクが生じたことを感知することができる。
さらに、筒体側突起部37が本体側突起部28に対し相対回転して筒体側突起部37と本体側突起部28とは軸方向に並んでいないことを目で見て、トルクが所定値以上になったことを再確認することもできる。尚、筒体側突起部37と本体側突起部28とに色、マーク等の標識を設ければ、トルクが所定値以上になったことを、目視により再確認する際の効果を高めることができる。
以上のように、術者は瞬時に狭窄部用カテーテル10に所定値以上のトルクが生じたことを感知することにより、不要な負荷を体内に作用させることを未然に防止できる。
術者はこの感知の後、直ちに狭窄部用カテーテル10の所定値以上のトルクが生じた原因を解消するため、例えば、狭窄部用カテーテル10を血管内への挿入時とは逆方向に回転させながら体外方向へ引く。そして、所定値以上のトルクを生じた原因、例えば、狭窄部にとらえられた狭窄部用カテーテル10の先端部12を狭窄部から離し、再度手技を継続する。
ここで、本体2および筒体3の歯形状は、狭窄部用カテーテル10を体内に挿入する際の回転方向を順方向とすると、この順方向に回転させる際に接触する傾斜面44の傾斜角度が逆方向に回転させる際に接触する傾斜面45の傾斜角度より小さく形成されている。
すなわち、逆方向への回転の所定のトルク値が順方向への回転の所定のトルク値より大きく形成されている。
このため、逆方向の回転においては、本体側歯部42と筒体側歯部43とが噛合い係合し、逆方向、つまり、狭窄部用カテーテル10の捩れを戻す方向へ大きなトルクを伝達することができる。
この際、逆方向への回転は狭窄部用カテーテル10の捩れを戻す方向の回転のため、大きなトルクを作用させて迅速に回転させる方が効率のよい作業が行える。
すなわち、順方向においては、繊細な作業が行え、逆方向においては迅速な作業を行うことができる。
従って、従来のように所定値以上のトルクが生じることで座屈した狭窄部用カテーテル10を血管内から抜き取り、交換して、再度血管内に挿入しなおすことによる手技の遅延を回避することができる。
すなわち、狭窄部用カテーテル10に座屈を生じさせることなく、狭窄部用カテーテル10の交換が不要で手技を継続することができる。さらに、術者に所定以上のトルクが狭窄部用カテーテル10に生じたことを瞬時に感知させることができる。
特に、狭窄部用カテーテル10のように管腔内挿入具がコイル体を用いてなる場合は、その構造上、可撓性やトルク伝達性に富むが、狭窄部等においてコイル体の素線間表面の凹凸に狭窄部が入り込む可能性があり、管腔内挿入具に所定値以上のトルクが作用し、管腔内挿入具に座屈が生じる可能性がある。
本実施例の医療用具1を用いることにより、管腔内挿入具への所定値以上のトルクの伝達を防止し、管腔内挿入具に座屈を生じさせることなく、さらに、その原因を解消する手技を行うことで、管腔内挿入具がコイル体からなる場合であっても、そのコイル体からなることによる可撓性やトルク伝達性の良さを維持し、手技を継続することができる。
すなわち、座屈による管腔内挿入具の交換を不要にできる。さらに、術者が所定値以上のトルクが生じたことを瞬時に感知することで、術者はより安全に手技を行うことができる。
尚、本実施例では、本体2と筒体前端部CFとの当接は、本体径大部22の後端面と筒体3の前端面との当接によるものであったが、これに限らずその他の態様でもよい。例えば、本体2は、筒体前端部CFの前端面及び外周面と当接するものであってもよい。
また、本実施例では、筒体3は、スプリングSにより、前端側に付勢されており、筒体3の前端面が本体径大部22の後端面に当接しており、トルク制御機構4はその当接部に設けられたが、筒体3がスプリングSにより後端側に付勢されており、トルク制御機構4は管腔内挿入具側と反対側に位置する筒体後端部CRと本体2との当接部に設けられていてもよい。
実施例2の医療用具1の構成を、実施例1と異なる点を中心に、図4を用いて説明する。尚、以下の実施例では、上述した実施例1と同一符号は、同一機能物を示すものである。
本実施例の医療用具1において、本体2は、管腔内挿入具側に位置する本体前端部BFと、管腔内挿入具側と反対側に位置する本体後端部BRとを有する。
そして、筒体3は、本体前端部BFと当接可能な筒体前端部CFと、本体後端部BRと当接可能な筒体後端部CRを有する。
本体前端部BFには、棒状部21の前端側に棒状部21と一体的に本体径大部22が形成されている。
本体後端部BRには、棒状部21及び本体径大部22とは別体に設けられると共に、棒状部21の後端に嵌合された嵌込部材29が設けられている。
嵌込部材29は、後端に径が外方に拡大した鍔29aを有する略円筒状を呈しており、鍔29aの外径は、手持ち部33の外径と略同じであり、鍔29aの前端面は、筒体3の後端面と対向している。
本体径大部22の後端面と、嵌込部材29の鍔29aの前端面との間の間隔は、筒体3の軸方向長さよりも大きく、筒体3は、棒状部21をガイドとして、本体径大部22−嵌込部材29間を軸方向に移動可能となっている。
通常の状態では、筒体3はスプリングSにより本体径大部22側に付勢されて、筒体3の前端面が本体径大部22の後端面に当接し、このとき、筒体3の後端面と鍔29aの前端面とは当接しない。
また、スプリングSの付勢力に抗して、筒体3を後端側へ引っ張ると、筒体3の後端面は鍔29aの前端面と当接し、このとき、筒体3の前端面と本体径大部22の後端面とは当接しない。
そして、本実施例のトルク制御機構4は、第1のトルク制御機構4Aと第2のトルク制御機構4Bとを有する。
第1のトルク制御機構4Aは、本体前端部BFと筒体前端部CFとの当接部に設けられ、第2のトルク制御機構4Bは、本体後端部BRと筒体後端部CRとの当接部に設けられる。
具体的には、本体径大部22の筒体3との対向面(後端面)に本体側歯部42が設けられ、筒体3の本体径大部22との対向面(前端面)に筒体側歯部43が設けられることにより、本体前端部BFと筒体前端部CFとの当接部に第1のトルク制御機構4Aが設けられている。また、第2のトルク制御機構4Bは、鍔29aの前端面に本体側歯部46が設けられ、筒体後端部CRの後端面に筒体側歯部47が設けられることにより、本体後端部BRと筒体後端部CRとの当接部に第2のトルク制御機構4Bが設けられている。
本体側歯部42及び筒体側歯部43の歯形状は、実施例1に記載したとおりである。
本体側歯部46及び筒体側歯部47の歯形状は、それぞれ傾斜面48、49からなる三角形状をしている。順方向に回転させる際に歯部同士が接触する傾斜面48と、逆方向に回転させる際に歯部同士が接触する傾斜面49とで傾斜角度が異なる。
そして、本実施例では、第2のトルク制御機構4Bの係合が解除されるトルクは、第1のトルク制御機構4Aの係合が解除されるトルクよりも大きくなっている。すなわち、本体側歯部46及び筒体側歯部47は、本体側歯部42及び筒体側歯部43よりも、傾斜面48、49の傾斜角度や歯の高さが高くなっており、本体側歯部46と筒体側歯部47との噛合い係合を解除するのに必要なトルクが、本体側歯部42と筒体側歯部43との噛合い係合を解除するのに必要なトルクよりも大きくなっている。
本実施例の医療用具1及びその医療用具1を取り付けた狭窄部用カテーテル10を用いて、心臓血管内の狭窄部を拡張する手技を行う手順を、実施例1と異なる点を中心に以下に説明する。
実施例1に記載の手順と同様の手順で、狭窄部用カテーテル10の先端部12が血管内の狭窄部に到達させ、狭窄部用カテーテル10の手元側に固定した医療用具1の筒体3を把持して押しながら回転させると、通常の状態では、筒体3の前端面が本体径大部22の後端面に当接しているため、本体側歯部42及び筒体側歯部43を介して、筒体3から本体2に、トルクが伝達される。
従って、この場合、筒体3と本体2と狭窄部用カテーテル10とは一体的に回転し、狭窄部用カテーテル10は、シャフト部11の撚り線コイル体のピッチに応じて生体管腔内へ押し込まれる方向へと進行し、狭窄部用カテーテル10の先端部12が狭窄部に形成された挿通孔内にねじ込まれる。
この手技において、狭窄部用カテーテル10が血管内に挿入される際、あるいは、狭窄部に挿入される際に、狭窄部用カテーテル10の先端等が血管内壁や狭窄部に突き当たると、トルクが大きくなり、所定値以上のトルクが生じる場合がある。
この所定値以上のトルクが生じた場合は、第1のトルク制御機構4Aが機能し、本体側歯部42と筒体側歯部43との噛合い係合が解かれ、筒体3が本体2に対し、相対回転をすることになり、本体2へのトルクの伝達が阻止され、その結果、狭窄部用カテーテル10へのトルクの伝達が阻止される。
これによって、本体2と筒体3の噛合いが解かれる際の筒体側歯部43の山が本体側歯部42の山を越えることによる噛合い状態からの浮き上がりによる触覚的感覚や、複数個の山を越える際に生じる本体2に対する筒体3の相対回転による触覚的感覚や、筒体側歯部43の本体2に対する相対回転時の筒体側歯部43の山と谷が本体側歯部42の山と谷に対し衝突しながら相対回転する際の音による聴覚的感覚によって、術者は瞬時に狭窄部用カテーテル10に所定値以上のトルクが生じたことを感知することができる。
また、筒体3が本体2に対し相対回転をすると、筒体側突起部37が本体側突起部28に対し相対回転するため、筒体側突起部37と本体側突起部28とは軸方向に並ばなくなり、一連の突起部Pを形成しなくなり、これによっても、所定値以上のトルクが生じたことを感知することができる。
術者はこの感知の後、直ちに狭窄部用カテーテル10の所定値以上のトルクが生じた原因を解消するため、例えば、狭窄部用カテーテル10を血管内への挿入時とは逆方向に回転させながら体外方向へ引く。
この際、術者は、狭窄部用カテーテル10を体外方向に引くために、筒体3を把持して逆方向に回転させると同時に、医療用具1の筒体3を後端側に引張力を加えることがある。
この場合、術者がスプリングSの付勢力よりも大きな力で引張ると、筒体係合部31の前端面が本体径大部22の後端面から離れ、筒体3の後端面が鍔29aの前端面と当接し、本体側歯部46と筒体側歯部47とが噛合い係合する。すなわち、第2のトルク制御機構4Bが、狭窄部用カテーテル10に所定値以上のトルクが生じないようにトルクを制御する。
筒体3を後端側に引張る際には、狭窄部用カテーテル10を体外方向に引き筒体3を逆方向に回転させて狭窄部用カテーテル10の捩れを戻す作業が主となる。
そこで、本実施例では、本体側歯部46及び筒体側歯部47は、本体側歯部42及び筒体側歯部43よりも、傾斜面48、49の傾斜角度や歯の高さが高くなっており、本体側歯部46と筒体側歯部47との噛合い係合を解除するのに必要なトルクを、本体側歯部42と筒体側歯部43との噛合い係合を解除するのに必要なトルクよりも大きくすることにより、筒体3を把持して逆方向に回転させる際のトルク伝達がしやすく、狭窄部用カテーテル10の捩れを戻そうとする作業が効率よく行えるようになっている。
また、筒体3を引張りながらの作業では、スプリングSの付勢力に抗しながら作業をしなくてはならないため、スプリングSの付勢力が大きい場合には、小さなトルクで本体側歯部46と筒体側歯部47との噛合い係合が解除されてしまうと、使用しにくくなる可能性が懸念される。本実施例では、そのような場合であっても、本体側歯部46と筒体側歯部47との噛合い係合を解除するのに必要なトルクが、本体側歯部42と筒体側歯部43との噛合い係合を解除するのに必要なトルクよりも大きくなっているために、順方向に回転させる場合でも逆方向に回転させる場合でも筒体3を引張りながらの作業が行い易くなっている。
また、本体側歯部46及び筒体側歯部47も、本体側歯部42及び筒体側歯部43と同様に、順方向に回転させる際に接触する傾斜面48の傾斜角度が逆方向に回転させる際に接触する傾斜面49の傾斜角度より小さく形成されている。すなわち、逆方向への回転の所定のトルク値が順方向への回転の所定のトルク値より大きく形成されている。
これにより、筒体3を後端側に引張りながら作業する場合においても、逆回転方向、つまり、狭窄部用カテーテル10の捩れを戻す方向へより大きなトルクを伝達することができ、順方向においては、繊細な作業が行え、逆方向においては迅速な作業を行うことができる。
尚、術者が、後端側へ引張らずに作業をしている場合もしくはスプリングSの付勢力よりも小さい範囲で引張っている場合は、筒体係合部31の前端面が本体径大部22の後端面に当接し、本体側歯部42と筒体側歯部43とが係合して、第1のトルク制御機構4Aのトルクが所定値以上にならないように制御する。
以上のように、本実施例によれば、実施例1の効果に加え、狭窄部用カテーテル10を生体管腔内から引き抜く方向に動かしたい場合に、術者が筒体3を後端側へ引張り、筒体係合部31の前端面が本体径大部22の後端面から離れてしまった場合でも、筒体3の後端面が鍔29aの前端面と当接するため、本体側歯部46と筒体側歯部47とが噛合い係合しながら作業を行うことができる。
すなわち、狭窄部用カテーテル10を生体管腔内へ押し込む作業時だけでなく、狭窄部用カテーテル10を生体管腔内から引き抜く作業時にもトルクの制御ができ、一連の手技の中においてもトルクの伝達のムラが生じることはほとんどない。
実施例3(請求項9〜請求項13に対応)の管腔内挿入具10Aの構成を、図5を用いて説明する。本実施例の管腔内挿入具10Aは、一端に設けられる先端部12と、少なくとも一部分が金属素線を巻回あるいは撚合わせてなるコイル体からなるシャフト部11と、他端に設けられて体外において回転可能な操作部13と、操作部13の回転を、シャフト部11に伝達する医療用具1とを備える管腔内挿入具10Aである。
医療用具1は、本体2と、本体2に接触を伴って係合し、本体2と一体的に回転する筒体3と、筒体3の軸方向に対し回転される際、トルクが所定値以上になると、本体2と筒体3との係合が回転方向に対し解除され、先端部12と本体2へのトルクの伝達を阻止するトルク制御機構4とを有する。
本実施例の医療用具1は、本体2が、管腔内挿入具10Aの先端部側に位置する本体前端部BFと、管腔内挿入具10Aの先端部側と反対側に位置する本体後端部BRとを有し、筒体3が、本体前端部BFと本体後端部BRの間で、いずれか一方と当接するように軸方向に移動可能に設けられると共に、本体前端部BFと当接可能な筒体前端部CFと、本体後端部BRと当接可能な筒体後端部CRとを有し、トルク制御機構4が、第1のトルク制御機構4Aと第2のトルク制御機構4Bとを有し、第1のトルク制御機構4Aは、本体前端部BFと筒体前端部CFとの当接部に設けられ、第2のトルク制御機構4Bは、本体後端部BRと筒体後端部CRとの当接部に設けられているものであり、実施例2に記載の医療用具1と同様の構成である。
そして、筒体3の軸方向に対し回転される際、トルクが所定値以上になると、本体2と筒体3との係合が回転方向に対し解除され、先端部12と本体2へのトルクの伝達を阻止される。
実施例1及び実施例2の医療用具1は、管腔内挿入具10Aの操作部13に連結されて、術者に把持されるものであったが、本実施例の医療用具1は、図5に示すように、本実施例の医療用具1では、本体2がシャフト部11と連結されており、シャフト部11及び先端部12に対して回転方向に拘束され、筒体3が操作部13と連結されており、筒体3と操作部13とは一体的に回転するように設けられている。
この管腔内挿入具10Aは、先端部12及びシャフト部11が生体内管腔内に挿入され、医療用具1及び操作部13は体外に配置された状態で使用される。
この管腔内挿入具10Aを回転させるには、手で筒体3を把持して回してもよいし、操作部13を把持して回してもよい。また、操作部13にモータM等を接続し、モータM等により操作部13を回してもよい。
〔変形例〕
実施例1ないし3では、本体側歯部42及び筒体側歯部43は、歯の形状は、順方向に回転させる際に解除方向へ案内する傾斜面44と、逆方向に回転させる際に解除方向へ案内する傾斜面45とで傾斜角度が異なるものであったが、傾斜角度が等しい二等辺三角形状であってもよい。
また、歯の形状が、9〜45度の範囲で傾斜した傾斜面44と、9〜90度未満の範囲で傾斜した傾斜面45とからなる三角形形状であったが、一方の傾斜面の角度が90度である直角三角形形状であってもよい(図6(a)参照)。また、三角形の頂点を切り落とした形状であって、歯の幅が本体側歯部42と筒体側歯部43とで異なるものでもよい(図6(b)参照)。また、歯幅が小さい歯が前端側・後端側へ交互に突出して噛み合う形状であってもよい(図6(c)参照)。本体側歯部46及び筒体側歯部47についても、実施例のものに限らず、上記のような歯の形状であってもよい。
また、実施例2及び3では、第2のトルク制御機構4Bの係合が解除されるトルクは、第1のトルク制御機構4Aの係合が解除されるトルクよりも大きくなっているが、第1のトルク制御機構4Aの係合が解除されるトルクと第2のトルク制御機構4Bの係合が解除されるトルクとが同じであってもよい。
実施例1及び2では、本体2と狭窄部用カテーテル10との連結は、外筒部25の内周ネジ25aとフランジ部15の外周ネジ15aとを螺合させて、円筒凹所27内に円筒接続部14を挿入すると共に、円筒接続部14の筒内部に中央内筒部26が挿入されることによってなされるものであった。しかし、本体2と狭窄部用カテーテル10との連結は、その他様々な態様であってよく、例えば、チャック6によるものであってもよい。具体的には、チャック6は、本体径大部22の前端側に設けられるとともに、十字状のスリット61を隔てて4つの爪62が設けられた爪部63と、爪部63の外周に締め付けることによりスリット61を閉じる締め具64とを有し、爪部63にシャフト部11を掴ませ、締め具64をスライドさせてスリット61を閉じてシャフト部11を連結させる(図7参照)。
実施例1及び2では、管腔内挿入具として、狭窄部用カテーテル10を用いた例を説明したが、これ以外にも、管腔内挿入具は、チューブ状のカテーテル、ガイドワイヤ、バルーンカテーテル、アテレクトミーカテーテル等であってもよい。
実施例3では、医療用具1は実施例2に記載の医療用具1と同様の構成であるが、実施例1の医療用具1と同様の構成であってもよい。すなわち、トルク制御機構4が、本体2と筒体前端部CFとの当接部、あるいは、本体2と筒体後端部CRとの当接部のいずれか一方に設けられている構成であってもよい。
実施例1ないし3では、トルク制御機構4は、噛合い歯による機構であったが、噛合い歯機構に限らず、摩擦式のものや、磁力式の機構等を用いてもよい。
(a)は医療用具及び医療用具を取り付けた狭窄部用カテーテルの全体構成図であり、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は(a)のC−C断面図、(e)は医療用具と狭窄部用カテーテルの連結部の拡大部分断面図である(実施例1)。 (a)は医療用具の側面図であり、(b)は医療用具の前端側からみた平面図であり、(c)は医療用具の側部断面図である(実施例1)。 (a)トルクが所定値以内の場合、(b)はトルクが所定値以上の場合の説明図である(実施例1)。 (a)は医療用具の側面図であり、(b)は医療用具の側部断面図である(実施例2)。 管腔内挿入具の側面図である(実施例3)。 (a)、(b)、(c)は医療用具の要部拡大図である(変形例)。 (a)、(b)は管腔内挿入具を取り付けた医療用具の構成図であり、(c)は(b)の要部の横断面図である(変形例)。
1 医療用具
2 本体
28 本体側突起部
37 筒体側突起部
3 筒体
4 トルク制御機構
42 本体側歯部
43 筒体側歯部
44 傾斜面
45 傾斜面
46 本体側歯部
47 筒体側歯部
48 傾斜面
49 傾斜面
10 狭窄部用カテーテル(管腔内挿入具)
10A 管腔内挿入具
11 シャフト部
12 先端部
13 操作部
CF 筒体前端部
CR 筒体後端部
BF 本体前端部
BR 本体後端部
S スプリング
P 突起部

Claims (3)

  1. 一端側から生体管腔内に挿入されると共に他端側に操作部を有する細長い可撓性の管腔内挿入具に取り付けられる医療用具であって、
    前記操作部に連結されて前記管腔内挿入具に対し軸周りの回転方向に拘束される本体と、
    前記本体に接触を伴って係合し、前記本体と一体的に回転可能であると共に把持可能な筒体と、
    前記筒体を把持して前記筒体の軸方向に対し回転される際、トルクが所定値以上になると、前記本体と前記筒体との係合が回転方向に対し解除され、前記管腔内挿入具へのトルクの伝達を阻止するトルク制御機構とを備え、
    前記本体は、前記管腔内挿入具側に位置する本体前端部と、前記管腔内挿入具側と反対側に位置する本体後端部とを有し、
    前記筒体は、前記本体前端部と当接可能な筒体前端部と、前記本体後端部と当接可能な筒体後端部とを有し、前記本体前端部と前記本体後端部の間で、前記本体前端部と前記本体後端部のいずれか一方と当接するように軸方向に移動可能に設けられ、
    前記トルク制御機構は、第1のトルク制御機構と第2のトルク制御機構とを有し、
    前記第1のトルク制御機構は、前記本体前端部と前記筒体前端部との当接部に設けられ、
    前記第2のトルク制御機構は、前記本体後端部と前記筒体後端部との当接部に設けられていることを特徴とする医療用具。
  2. 請求項に記載の医療用具において、
    前記第のトルク制御機構の係合が解除されるトルク、前記第のトルク制御機構の係合が解除されるトルクよりも大きくしたことを特徴とする医療用具。
  3. 請求項2に記載の医療用具において、
    前記第1のトルク制御機構は、前記本体前端部に設けられた第1の傾斜面を有する第1の本体側歯部と、前記筒体前端部に設けられ、前記第1の本体側歯部に噛み合い可能な傾斜面を有する第1の筒体側歯部とを備え、
    前記第2のトルク制御機構は、前記本体後端部に設けられ、前記第1の傾斜面より傾斜角度の大きな第2の傾斜面を有する第2の本体側歯部と、前記筒体後端部に設けられ、前記第2の本体側歯部に噛み合い可能な傾斜面を有する第2の筒体側歯部とを備えたことを特徴とする医療用具。
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