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JP4901116B2 - 表面処理金属板 - Google Patents

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Description

本発明は、表面処理金属板に関する。
鉄、鉄基合金、アルミニウム、アルミニウム基合金、銅、銅基合金等からなる金属板は、従来から、6価クロム酸塩等を用いたクロメートによる防錆処理が広く行われ、必要に応じて、更に高度の耐食性、耐指紋性、耐傷つき性、潤滑性等を付与すべく有機樹脂による被覆が行われたり、更にその後各種塗料が上塗りされたりしていた。
近年、環境問題の高まりを背景に、従来金属板に施されていたクロメート処理を省略する動きがある。クロメート処理層は、それ自身で高度の耐食性及び塗装密着性を有するものであるから、このクロメート処理を行わない場合には、これらの性能が著しく低下することが予想される。そのため、クロメート処理による下地処理を行わずに、有機樹脂による一段処理のみで良好な耐食性及び塗装密着性を有する防錆層を形成することが要求されることとなってきた。
特許文献1には、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリオレフィン樹脂、水分散性シリカ、並びに、シランカップリング剤及び/又はその加水分解縮合物を含む組成物を反応させて得られた水性樹脂組成物と、チオカルボニル基含有化合物と、リン酸イオンとを含有する防錆コーティング剤、それをコーティングする防錆処理方法、それがコーティングされている防錆処理金属材が開示されている。しかし、酸価が比較的大きいものを含む防錆コーティング剤を使用するものであり、得られる皮膜の耐アルカリ性に劣るという問題がある。
特許文献2には、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、特定の有機樹脂を複合化した樹脂を含有する有機複合皮膜を有する有機複合被覆鋼板が開示されている。しかし、架橋が不充分な皮膜が形成されるため、例えば、溶剤ラビング試験では大きな損傷を受けてしまうという問題がある。
特許文献3には、亜鉛系めっき鋼板の表面に、金属化合物、水溶性有機樹脂及び酸を含有する水性組成物を塗布して形成された皮膜層を有する表面処理亜鉛系めっき鋼板が開示されている。しかし、水溶性樹脂中のカルボキシル基の量が比較的多いため、耐アルカリ性に乏しいという問題がある。
特許文献4には、金属板の少なくとも片面に、エポキシ樹脂及びグリコールウリル樹脂により形成した有機皮膜を有する表面処理金属板が開示されている。しかし、形成されている有機皮膜が防錆剤を含有しないものであり、耐食性が不充分であるという問題がある。
特許文献5には、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板の表面に、(a)水分散性樹脂及び/又は水溶性樹脂と、(b)シランカップリング剤と、(c)リン酸及び/又はヘキサフルオロ金属酸とを含有する表面処理組成物により形成された表面処理皮膜を有する表面処理鋼板が開示されている。しかし、リン酸等の酸性成分を多く含むものであり、耐アルカリ性が不充分であるという問題がある。
特開2001−164182号公報 特開2001−199003号公報 特開2001−214283号公報 特開2003−49281号公報 特開2003−105555号公報
本発明は、上記現状に鑑み、従来のノンクロメート型の被覆では困難であった耐食性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐傷つき性及び密着性のすべてを満足させる皮膜を有する有機被覆処理金属板を提供することを目的とするものである。
本発明は、金属板の表面に、架橋樹脂マトリックス(A)50〜90質量%及び無機防錆剤(B)10〜50質量%を含んでなる皮膜が形成されている表面処理金属板であって、上記架橋樹脂マトリックス(A)は、水性樹脂と架橋剤との反応により形成され、アルカリ金属で中和されていないカルボン酸の酸価が0〜30、水酸基価が5〜50であることを特徴とする表面処理金属板である。
上記金属板の表面に形成されている皮膜は、更に、有機防錆剤(C)0.1〜10質量%を含んでなるものであることが好ましい。
上記金属板の表面に形成されている皮膜は、更に、潤滑剤(D)0.1〜20質量%を含んでなるものであることが好ましい。
上記水性樹脂は、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり、上記架橋剤は、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、そのブロック体、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラン化合物、架橋性ジルコニウム化合物及びチタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記水性樹脂は、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物であり、中和率が30〜90%であることが好ましい。
上記無機防錆剤(B)は、シリカ粒子と、リン酸化合物、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有するものであることが好ましい。
上記無機防錆剤(B)が、シリカ粒子と、リン酸化合物、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有するものである場合、皮膜中において、シリカ粒子の含有量が9.95〜49.95質量%、リン酸化合物の含有量が0.05〜2.5質量%であることが好ましい。
上記無機防錆剤(B)が、シリカ粒子と、リン酸化合物、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有するものである場合、皮膜中において、シリカ粒子の含有量が9〜49質量%、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物の合計含有量が1〜15質量%であることが好ましい。
上記無機防錆剤(B)は、シリカ粒子及びリン酸化合物と、ニオブ化合物及び/又はジルコニウム化合物とを含有するものであることが好ましい。
上記無機防錆剤(B)は、シリカ粒子及びリン酸化合物と、ニオブ化合物及び/又はジルコニウム化合物とを含有するものである場合、皮膜中において、シリカ粒子の含有量が8.95〜48.95質量%、リン酸化合物の含有量が0.05〜2.5質量%、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物の合計含有量が1〜15質量%であることが好ましい。
上記無機防錆剤(B)は、酸化ニオブ及び/又は酸化ジルコニウムを含有するものであることが好ましい。
上記有機防錆剤(C)は、グアニジノ基含有化合物、ビグアニジノ基含有化合物及びチオカルボニル基含有化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記潤滑剤(D)は、ポリオレフィンワックス又はその誘導体、及びシリコーン又はその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の表面処理金属板は、耐食性、皮膜密着性、上塗り塗装密着性、耐薬品性、耐傷つき性等に優れたものであり、家電製品、事務機器、建材、自動車等の用途に好適に用いることができるものである。
上記表面処理金属板は、金属板の表面に、水性樹脂と架橋剤との反応により形成され、特定範囲の酸価及び水酸基価を有する架橋樹脂マトリックス(A)及び無機防錆剤(B)を含んでなる皮膜を有するものである。即ち、本発明は、特定の架橋樹脂マトリックス(A)と無機防錆剤(B)とを含んでなる皮膜を有するものであるため、耐食性、皮膜密着性、上塗り塗装密着性、耐薬品性に優れたものである。
水性樹脂をベースにしたコーティング剤の場合、樹脂の親水性官能基としてカルボキシル
基が特に好適であるが、これは皮膜が形成された後に、アルカリ成分により中和され親水化してしまうものである。一方、カルボキシル基以外の親水性基を持たず、その量も極度に少なくした場合には、アルカリに対する溶解は抑制されるものの、極性官能基がほとんど存在しないため、基材との密着性や上塗り塗料との密着性が劣ったものとなる場合がある。本発明は、基材及び上塗り塗料との密着性を確保し、かつ耐アルカリ性に優れた皮膜を得るためには、必要最少量のカルボキシル基のほかに、適当量の水酸基を樹脂に導入することが有効であることが見出したものである。水酸基を導入することによって、密着性を確保しつつ、アルカリに対する溶解性を抑制できる理由は、水酸基が水素結合性又は他の反応性官能基との反応性を有するものであるが、アルカリ成分に対してはカルボキシル基のように溶解性をもたないものであるためであると推察される。
耐溶剤性を確保するには、一般には使用される溶剤の溶解性パラメーター(SP)との差異が大きい樹脂を選べばよい。しかし、SPの低い灯油のようなものからSPの高いエタノールのようなものまで広範囲に対応するには、SPよりも架橋により不溶化させる方が効果的である。溶剤に対する樹脂皮膜単独の溶解性を抑えるには樹脂の架橋度が高いほど効果があるが、基材及び上塗り塗料の密着性については架橋度が高くなるとともに低下する傾向がある。架橋度が高くなると密着性が低下する理由は、架橋反応により生じる歪や極性官能基が架橋反応に使われ消失するため等であると推察される。
従って、本発明では、適当な範囲の量のカルボキシル基と水酸基とを持つ架橋樹脂マトリックス(A)及び無機防錆剤(B)からなる皮膜を金属板の表面に形成することによって、優れた基材との密着性及び上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性、耐溶剤性を確保し、また、優れた耐食性を得ることもできるのである。
上記架橋樹脂マトリックス(A)は、水性樹脂と架橋剤との反応により形成されるものである。上記反応(水性樹脂と架橋剤との架橋反応)は、金属板の表面上に皮膜を形成する際に行われてもよいし、また、皮膜形成前に反応の一部を行い、皮膜形成時に反応を完結させてもよい。
上記水性樹脂としては特に限定されないが、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記水性ポリエステル樹脂は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類と無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、無水ハイミック酸等の多塩基酸とを脱水縮合させ、アンモニアや有機アミン等で中和し、水分散化させる等して得ることができる。
上記水性ポリウレタン樹脂は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類とヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物とを反応させ、更にジアミン等で鎖延長し、水分散化させる等して得ることができる。
上記水性エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を界面活性剤で強制乳化し、水分散化させて得る方法や上記エポキシ樹脂と高酸価アクリル樹脂とを反応させた後、アンモニアや有機アミン等で中和し、水分散化させる等して得ることができる。
上記水性アクリル樹脂は、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステル類、ヒドロキシアルキルエステル類、アミド類及びスチレン等の不飽和単量体を水中で界面活性剤共存下に重合開始剤を用いてラジカル重合する等して得ることができる。
上記水性ポリオレフィン樹脂は、エチレンとメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸とを高圧下でラジカル重合したのち、アルカリ金属水酸化物(例えば、KOH、NaOH、LiOH等の金属化合物)、アンモニア、アミン等で中和し、水分散化させる等して得ることができる。
上記水性樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、上記水性樹脂の少なくとも1種の存在下で、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種によって変性することによって得られる水性複合樹脂を1種又は2種以上用いてもよい。
上記水性樹脂は、上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物であることが好ましい。ここで、上記水性樹脂が、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物であるとは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に含有されるカルボキシル基の一部が、KOH、NaOH、LiOH等の金属化合物により供給されるアルカリ金属によって中和されたものであることを意味するものである。
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物は、中和率が下限30%、上限90%であることが好ましい。中和率が下限30%、上限90%とは、エチレン−不飽和カルボン酸共重合体に含有されるカルボキシル基の30〜90%が中和されていることを意味するものである。30%未満であると、得られた皮膜の基材に対する密着性が充分でなく、90%を超えると、皮膜と上塗り塗料との密着性を損なうおそれがある。上記下限は、40%であることがより好ましく、上記上限は、80%であることがより好ましい。
上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体は、エチレンとメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸とを加圧下でラジカル重合させて得られるコポリマーである。
上記水性樹脂は、上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体をアミン(例えば、トリエチルアミン、エタノールアミン等の水溶性アミン等)、アンモニア等で中和したものであってもよい。上記アミンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記水性樹脂は、上記エチレン−不飽和カルボン酸共重合体の中和においてアルカリ金属とともにアンモニア、アミンを併用してもよい。
上記架橋剤は、反応性官能基を複数個有するものであれば特に限定されないが、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、そのブロック化物(上記ポリイソシアネート化合物のブロック化物)、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラン化合物、架橋性ジルコニウム化合物及びチタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらを用いて架橋樹脂マトリックス(A)を得ることによって、耐溶剤性を確保することができる。
上記アミノ樹脂としては特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、グリコールウリル樹脂等を挙げることができる。上記ポリイソシアネート化合物としては特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等を挙げることができる。また、そのブロック化物は、上記ポリイソシアネート化合物のブロック化物である。
上記エポキシ化合物は、オキシラン環を複数個有する化合物であれば特に限定されず、例えば、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ソルビタンポリグルシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンレングリコールジグリシジルエーテル、2,2−ビス−(4’−グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等を挙げることができる。
上記カルボジイミド化合物としては、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成した後、更にイソシアネート基との反応性を有する官能基を持つ親水性セグメントを付加した化合物等を挙げることができる。
上記シラン化合物は、反応性官能基を複数個有するシラン化合物であれば特に限定されず、例えば、ビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
上記架橋性ジルコニウム化合物としては、カルボキシル基や水酸基と反応しうる官能基を複数個有するジルコニウム含有化合物であれば特に限定されないが、水又は、有機溶剤に可溶である化合物が好ましく、水溶性のジルコニウム化合物であることがより好ましい。このような化合物としては炭酸ジルコニルアンモニウムを挙げることができる。
上記チタン化合物としては、カルボキシル基や水酸基と反応しうる官能基を複数個有するチタン含有化合物であれば特に限定されないが、ジプロポキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、プロポキシ・トリス(ジエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンモノアンモニウム塩、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンジアンモニウム塩、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、オキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等を挙げることができる。上記架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋樹脂マトリックス(A)は、基材との密着性及び上塗り塗料との密着性の向上、耐食性の向上の点から、(1)上記水性ポリオレフィン樹脂と、架橋剤としてエポキシ化合物、シラン化合物及びチタン化合物を含んでなるもの、(2)上記水性ポリウレタン樹脂と、架橋剤としてシラン化合物及びアミノ樹脂を含んでなるもの、がより好ましい。
上記架橋樹脂マトリックス(A)は、アルカリ金属で中和されていないカルボン酸の酸価が下限0、上限30であり、かつ、水酸基価が下限5、上限50である。このような酸価及び水酸基価を有するものであることによって、基材、上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性に優れた皮膜を形成することができ、また、耐溶剤性にも優れたものを得ることができる。上記カルボン酸の酸価が30を超えると、耐アルカリ性が低下するおそれがある。上記カルボン酸の酸価の下限は、5であることがより好ましい。また、一方、上記水酸基価の下限が5未満であると、基材、上塗り塗料との密着性が低下するおそれがあり、50を超えると、耐水性や高SP溶剤に対する抵抗性が低下するおそれがある。
上記表面処理金属板における皮膜中において、上記架橋樹脂マトリックス(A)の含有量は、皮膜100質量%中に、下限50質量%、上限90質量%である。50質量%未満であると、基材、上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性が低下するおそれがある。90質量%を超えると、耐食性が低下するおそれがある。上記下限は、65質量%であることがより好ましく、上記上限は、85質量%であることがより好ましい。
上記表面処理金属板は、無機防錆剤(B)を含んでなる皮膜が形成されているものである。これにより、優れた耐食性を得ることができる。上記無機防錆剤(B)としては特に限定されず、従来公知の無機系の防錆剤を用いることができるが、シリカ粒子、リン酸化合物、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記シリカ粒子を含有させることによって、より耐食性を向上させることができる。
上記シリカ粒子としては特に限定されないが、皮膜が薄膜であることから、一次粒子径が5〜50nmのコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等のシリカ微粒子であることが好ましい。市販品としては、例えば、スノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスIPA−ST(日産化学工業)、アデライトAT−20N、AT−20A(旭電化工業)、アエロジル200(日本アエロジル)等を挙げることができる。
上記リン酸化合物を含有させた場合、金属素地表面にリン酸塩層を形成して不動態化させ防錆性を向上させる。
上記リン酸化合物としては、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類及びそれらの塩;アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びそれらの塩;フィチン酸等の有機リン酸類及びそれらの塩等を挙げることができる。
上記ニオブ化合物としては特に限定されず、従来公知のニオブ含有化合物を用いることができ、例えば、酸化ニオブ、ニオブ酸及びその塩、フルオロニオブ酸塩、フルオロオキソニオブ酸塩等を挙げることができる。なかでも、耐食性の向上の点から、酸化ニオブであることが好ましい。
上記ニオブ化合物は、酸化ニオブコロイド粒子であることがより好ましい。これにより、耐食性をより向上させることができる。水性媒体中に分散している酸化ニオブコロイド粒子を含有する水性被覆剤を金属板に塗布することによって、皮膜を形成することができる。上記酸化ニオブコロイド粒子は、平均粒子径が小さい方がより安定して緻密な酸化ニオブを含有する皮膜が形成されるため、被処理物に対して安定して防錆性を付与することができ、より好ましい。
水性被覆剤中の酸化ニオブコロイド粒子は、ニオブの酸化物が水中に微粒子状態で分散しているものをいい、例えば、厳密には酸化ニオブが形成されず、水酸化ニオブと酸化ニオブの中間状態でアモルファス状態になっているものであってもよい。
水性被覆剤中に添加する酸化ニオブ粒子としては、公知の方法によって製造された酸化ニオブゾルを使用することができる。上記酸化ニオブゾルとしては特に限定されず、例えば、特開平6−321543号公報、特開平8−143314号公報、特開平8−325018号公報等に記載された公知の方法によって製造されたもの等を挙げることができる。また、多木化学株式会社によって市販されている酸化ニオブゾルを使用することもできる。
上記公知の酸化ニオブゾルの製造方法は、例えば、酸化ニオブをフッ化水素酸に溶解し、アンモニア水に添加した後、ろ過、洗浄を行い、水酸化ニオブのスラリーを得た後、しゅう酸二水和物を添加し、次いで水を添加し、攪拌しながら還流条件下で反応を進行させ、均一な酸化ニオブコロイド粒子溶液を得る方法等である。反応の終結、つまり、均一な酸化ニオブコロイド粒子溶液が得られたかどうかはスラリー液の色で判断することが可能であり、青色を帯びると均一な状態であると判断することができる。
上記酸化ニオブコロイド粒子は、耐食性を特に向上させることができる点から、クエン酸又はその塩によって安定化された酸化ニオブゾル由来のものであることがより好ましい。この場合、クエン酸又はその塩によって安定化された酸化ニオブコロイド粒子を水性媒体中に分散させた酸化ニオブゾルを使用することができる。このような酸化ニオブゾルは、シュウ酸によって安定化された酸化ニオブゾル溶液に対して更にクエン酸を含有させて高度に安定化させたものである。このような酸化ニオブゾルを使用する場合、長期にわたり増粘、ゲル化、沈殿等を引き起こすことなく安定である。上記酸化ニオブゾルは、クエン酸又はその塩で高度に安定化された状態であって、上記酸化ニオブゾルの製造時に配合されるシュウ酸又はその塩の量は特に限定されない。このことにより、水性被覆剤に含まれる他の成分と混合した際にも酸化ニオブコロイド粒子の安定性が低下しない点で好ましい。
ここで、添加されるクエン酸又はその塩の量は、水性被覆剤中のNbに対してモル比で下限0.02、上限1.0の範囲内であることが好ましい。上記クエン酸又はその塩の添加量がモル比で0.02未満であると、他の成分を添加した時の安定性が不充分となり、1.0を超えると、もはや添加量に相応した安定化の効果が得られず、不経済である。
上記酸化ニオブコロイド粒子は、平均粒子径が1000nm以下であることが好ましい。上記平均粒子径は、2〜600nmであることがより好ましく、2〜100nmであることが更に好ましい。上記平均粒子径は小さい方が、より安定して緻密な酸化ニオブを含んでなる皮膜が形成されるため、被処理物に対して安定して防錆性を付与することができ、より好ましい。上記酸化ニオブコロイド粒子の平均粒子径は、動的散乱光による粒度分布測定装置、例えば、NICOMP Model−370型(PACIFIC SCIENTIFIC社製)等を用いて測定することができる。
上記表面処理金属板における皮膜が酸化ニオブを含んでなるものである場合、上記酸化ニオブの含有量は、皮膜100質量%中に、Nb換算で、下限1質量%、上限15質量%であることが好ましい。1質量%未満であると充分な防錆性が得られず、好ましくない。15質量%を超えても、効果の向上は見られず、経済的でないおそれがある。
上記ジルコニウム化合物としては特に限定されず、上記架橋性ジルコニウム化合物〔カルボキシル基や水酸基と反応しうる官能基を複数個有するジルコニウム含有化合物〕以外の従来公知のジルコニウム含有化合物を用いることができ、例えば、酸化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸及びその塩等を挙げることができる。
上記表面処理金属板における皮膜中において、上記無機防錆剤(B)の含有量は、皮膜100質量%中に、下限10質量%、上限50質量%である。10質量%未満であると、耐食性が低下するおそれがあり、50質量%を超えると、基材、上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性が低下するおそれがある。上記下限は、15質量%であることがより好ましく、上記上限は、40質量%であることがより好ましい。
上記表面処理金属板において、上記無機防錆剤(B)は、シリカ粒子と、リン酸化合物、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有するものであることが好ましい。これにより、より優れた耐食性を得ることができる。
上記無機防錆剤(B)がシリカ粒子と、リン酸化合物、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有するものであって、かつ、リン酸化合物を含有するものである場合、皮膜100質量%中において、上記シリカ粒子の含有量が、下限9.95質量%、上限49.95質量%であることが好ましい。上記下限は、14.95質量%であることがより好ましく、上記上限は、39.95質量%であることがより好ましい。また、上記リン酸化合物の含有量が、下限0.05質量%、上限2.5質量%であることが好ましい。上記下限は、0.1質量%であることがより好ましく、上記上限は、2質量%であることがより好ましい。上記シリカ粒子、上記リン酸化合物の含有量が下限未満であると、耐食性が低下するおそれがあり、上限を超えると、基材、上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性が低下するおそれがある。
上記無機防錆剤(B)がシリカ粒子と、リン酸化合物、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有するものであって、かつ、ニオブ化合物及び/又はジルコニウム化合物を含有するものである場合、皮膜100質量%中において、上記シリカ粒子の含有量が、下限9質量%、上限49質量%であることが好ましい。上記下限は、14質量%であることがより好ましく、上記上限は、39質量%であることがより好ましい。また、上記ニオブ化合物及び上記ジルコニウム化合物の合計含有量が、下限1質量%、上限15質量%であることが好ましい。上記下限は、1.5質量%であることがより好ましく、上記上限は、10質量%であることがより好ましい。上記シリカ粒子、上記ニオブ化合物及びジルコニウム化合物の含有量が下限未満であると、耐食性が低下するおそれがあり、上限を超えると、基材、上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性が低下するおそれがある。なお、上記ニオブ化合物及び上記ジルコニウム化合物の合計含有量は、皮膜中にニオブ化合物とジルコニウム化合物とが含まれる場合には、両方の合計含有量であり、ニオブ化合物を含み、ジルコニウム化合物を含まない場合には、ニオブ化合物の合計含有量であり、ジルコニウム化合物を含み、ニオブ化合物を含まない場合には、ジルコニウム化合物の合計含有量である。
上記表面処理金属板において、上記無機防錆剤(B)は、シリカ粒子及びリン酸化合物と、ニオブ化合物及び/又はジルコニウム化合物とを含有するものであることが好ましい。これにより、より優れた耐食性を得ることができる。
上記無機防錆剤(B)がシリカ粒子及びリン酸化合物と、ニオブ化合物及び/又はジルコニウム化合物とを含有するものである場合、皮膜100質量%中において、上記シリカ粒子の含有量が、下限8.95質量%、上限48.95質量%であることが好ましい。上記下限は、13.95質量%であることがより好ましく、上記上限は、38.95質量%であることがより好ましい。また、上記リン酸化合物の含有量が、下限0.05質量%、上限2.5質量%であることが好ましい。上記下限は、0.1質量%であることがより好ましく、上記上限は、2質量%であることがより好ましい。更に、上記ニオブ化合物及び上記ジルコニウム化合物の合計含有量が、下限1質量%、上限15質量%であることが好ましい。上記下限は、1.5質量%であることがより好ましく、上記上限は、10質量%であることがより好ましい。上記シリカ粒子、上記リン酸化合物、上記ニオブ化合物及び上記ジルコニウム化合物の合計含有量が下限未満であると、耐食性が低下するおそれがあり、上限を超えると、基材、上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性が低下するおそれがある。なお、上記ニオブ化合物及びジルコニウム化合物の合計含有量は、皮膜中にニオブ化合物とジルコニウム化合物とが含まれる場合には、両方の合計含有量であり、ニオブ化合物を含み、ジルコニウム化合物を含まない場合には、ニオブ化合物の合計含有量であり、ジルコニウム化合物を含み、ニオブ化合物を含まない場合には、ジルコニウム化合物の合計含有量である。
上記表面処理金属板において、上記無機防錆剤(B)は、酸化ニオブ及び/又は酸化ジルコニウムを含有するものであることが好ましい。これにより、特に優れた耐食性を得ることができる。
上記表面処理金属板において、金属板表面に形成されている皮膜は、上記架橋樹脂マトリックス(A)及び上記無機防錆剤(B)以外に、その他の成分を含有するものであってもよく、有機防錆剤(C)を含有するものであることが好ましい。これにより、耐食性をより向上させることができる。
上記有機防錆剤(C)としては特に限定されず、従来公知の有機系の防錆剤を用いることができるが、グアニジノ基含有化合物、ビグアニジノ基含有化合物及びチオカルボニル基含有化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。グアニジノ基含有化合物、ビグアニジノ基含有化合物及びチオカルボニル基含有化合物は、従来から耐食性を付与するために使用されてきたクロム化合物と同様、金属表面に吸着し易く、特に亜鉛鋼板等の白錆防止に有効である。
上記グアニジノ基含有化合物としては特に限定されず、例えば、グアニジン、アミノグアニジン、グアニル尿素、グアニルチオ尿素、1,3−ジ−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン及びそれらの塩等を挙げることができる。
上記ビグアニジノ基含有化合物としては特に限定されず、例えば、1−o−トリルビグアニド等を挙げることができる。
上記チオカルボニル基含有化合物としては特に限定されず、例えば、メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、エチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、1,3−ジブチルチオ尿素、フェニルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、1,3−ビス(ジメチルアミノプロピル)−2−チオ尿素、エチレンチオ尿素、プロピレンチオ尿素、チオペンタール、チオカルバジド、チオカルバゾン類、チオシアヌル酸類、チオヒダントイン、2−チオウラミル、3−チオウラゾール等のチオ尿素及びその誘導体;チオホルムアミド、チオアセトアミド、チオプロピオンアミド、チオベンズアミド、チオカルボスチリル、チオサッカリン等のチオアミド化合物及びその誘導体;チオホルムアルデヒド、チオアセトアルデヒド等のチオアルデヒド化合物;チオ酢酸、チオ安息香酸、ジチオ酢酸、メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸トリエチルアミン塊、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン塩、ピペコリルジチオカルバミン酸ピペコリン塩、o−エチルキサントゲン酸カリウム等のカルボチオ酸類及びその塩類;エチレントリジチオカルボネート等のチオ炭酸類;チオクマゾン、チオクモチアゾン、チオニンブルーJ、チオピロン、チオピリン、チオベンゾフェノン等のその他の化合物;等を挙げることができる。上記有機防錆剤(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記表面処理金属板における皮膜中において、上記有機防錆剤(C)の含有量は、皮膜100質量%中に、下限0.1質量%、上限10質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると耐食性の向上が見られないおそれがあり、10質量%を超えると、基材あるいは上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性、耐溶剤性が低下するおそれがある。上記下限は、0.2質量%であることがより好ましく、上記上限は、5質量%であることがより好ましい。
上記表面処理金属板において、金属板表面に形成されている皮膜は、上記架橋樹脂マトリックス(A)、上記無機防錆剤(B)以外に、その他の成分を含有するものであってもよく、潤滑剤(D)を含有するものであることが好ましい。これにより、上記表面処理金属板の表面の潤滑性を向上させることができ、耐傷つき性をより向上させることができる。
上記潤滑剤(D)としては特に限定されず、フッ素系、炭化水素系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石鹸系及び無機系等の従来公知の潤滑剤を用いることができるが、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、並びに、シリコーン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ポリオレフィンワックス及びその誘導体としては特に限定されず、パラフィン、マイクロクリスタリン、ポリエチレン等の炭化水素系のワックス、これらの誘導体等を挙げることができる。上記誘導体としては特に限定されず、例えば、カルボキシル化ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン等を挙げることができる。
上記ポリオレフィンワックス及びその誘導体の軟化点は50〜160℃がより好ましい。50℃未満では加工時に軟化溶融して潤滑剤としての優れた特性が発揮されない場合がある。また、160℃を超える軟化点のものは、硬い粒子が表面に存在することとなり潤滑特性を低下させるので充分な耐傷つき性が得られない場合がある。
上記ポリオレフィンワックス及びその誘導体は水性分散体になっていて、その粒子径は、0.1〜5μmがより好ましい。5μmを超えるものは潤滑剤の分布が不均一となったり、皮膜からの脱落が生じたりする可能性がある。また、0.1μm未満の場合は、耐傷つき性が不充分である場合がある。
上記シリコーン及びその誘導体としては特に限定されず、ジメチルポリシロキサン、そのポリエーテル変性体、アクリル変性体等のポリマーを挙げることができる。
上記シリコーン及びその誘導体としては、水溶性又は水分散性を有するか、あらかじめ水性分散体になっているものであることが好ましい。
上記表面処理金属板における皮膜中において、上記潤滑剤(D)の含有量は、皮膜100質量%中に、下限0.1質量%、上限20質量%であることが好ましい。0.1質量%未満であると耐傷つき性の向上効果が小さく、20質量%を超えると、上塗り塗料との密着性、耐アルカリ性、耐溶剤性が低下するおそれがある。上記下限は0.5質量%であることがより好ましく、上記上限は10質量%であることがより好ましい。
上記架橋樹脂マトリックス(A)、上記無機防錆剤(B)及び必要に応じて有機防錆剤(C)、潤滑剤(D)等の他の成分を含んでなる皮膜を形成するために使用する水性被覆剤は、これらの成分が配合されていればよく、その添加順序としては特に限定されないが、例えば、以下(1)、(2)のようにして製造される。
(1)上記水性樹脂の水分散体を撹拌しながら適宜昇温し、そこへ架橋剤を添加して反応させ、得られる樹脂に、無機防錆剤(B)及び必要に応じて有機防錆剤(C)及び/又は潤滑剤(D)を配合して水性組成物を調製し、更に、必要に応じて他の成分を配合する。
(2)上記水性樹脂の水分散体と無機防錆剤(B)とを撹拌しながら適宜昇温し、そこへ架橋剤を添加して反応させ、冷却後に、必要に応じて、有機防錆剤(C)、潤滑剤(D)等の他の成分を配合する。
また、上記水性樹脂の水分散体、架橋剤、無機防錆剤(B)を配合し、更に、必要に応じて、有機防錆剤(C)、潤滑剤(D)等の他の成分を配合して水性被覆剤を調製し、この水性被覆剤を金属表面に塗布した後に、水性樹脂と架橋剤とを反応させてもよい。
上記皮膜の形成に使用する水性被覆剤は、固形分濃度で1〜50質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。この固形分濃度が1質量%未満では、塗装作業性が低下し、50質量%を超えると水性被覆剤の浴安定性や塗装作業性が低下する。
上記皮膜の形成に使用する水性被覆剤には、更に他の添加剤が配合されていてもよい。例えば、顔料や界面活性剤を配合してもよい。上記顔料としては、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、炭酸カルシウム(CaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、アルミナ(Al)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe、Fe)等の無機顔料や、有機顔料等の各種着色顔料等を用いることができる。上記界面活性剤としては、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
上記皮膜の形成に使用する水性被覆剤には、造膜性を向上させ、より均一で平滑な皮膜を形成するために溶剤を用いてもよい。溶剤としては、塗料に一般的に用いられるものであれば、特に限定されず、例えば、レベリングの点から、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系の親水性溶剤等を挙げることができる。
本発明において適用可能な下地金属板としては、例えば、鉄、鉄基合金、アルミニウム、アルミニウム基合金、銅、銅基合金等を挙げることができる。任意に金属板上にめっきしためっき金属板を使用することもでき、めっき金属板としては、亜鉛めっき金属板、亜鉛−ニッケルめっき金属板、亜鉛−鉄めっき金属板、亜鉛−クロムめっき金属板、亜鉛−アルミニウムめっき金属板、亜鉛−チタンめっき金属板、亜鉛−マグネシウムめっき金属板、亜鉛−マンガンめっき金属板等の亜鉛系の電気めっき、溶融めっき、蒸着めっき鋼板、アルミニウム又はアルミニウム合金めっき金属板、鉛又は鉛合金めっき金属板、錫又は錫合金めっき金属板、更にはこれらのめっき層に少量の異種金属元素又は不純物としてコバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、マンガン、鉄、マグネシウム、鉛、アンチモン、錫、銅、カドミウム、ヒ素等を含有したもの、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機物を分散させたものが含まれる。更には、以上のめっきと他の種類のめっき、例えば、鉄めっき、鉄−リンめっき等と組み合わせた複層めっきにも適用可能である。めっき方法は特に限定されるものではなく、公知の電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法、分散めっき法、真空めっき法等いずれの方法でもよい。また、これらの金属板には、下地処理前に、湯洗、アルカリ脱脂等の通常の処理を行うことができる。
上記皮膜の形成に使用する水性被覆剤の被覆方法は、水性被覆剤を金属表面に塗布して皮膜を形成するものである。コーティング方法は特に限定されず、一般に使用されるロールコート、エアスプレー、エアレススプレー、浸漬等を適宜採用することができる。皮膜の硬化性を高めるために、あらかじめ被塗物を加熱しておくか、コーティング後に被塗物を熱乾燥させることが好ましい。被塗物の加熱温度は50〜250℃、好ましくは70〜220℃である。加熱温度が50℃未満では、水分の蒸発速度が遅く充分な成膜性が得られないため、耐溶剤性や耐アルカリ性が低下する。一方、250℃を超えると樹脂の熱分解が生じて耐溶剤性や耐アルカリ性が低下し、また黄変等外観が悪くなる。コーティング後に熱乾燥させる場合の乾燥時間は1秒〜5分が好ましい。
金属板の表面に形成される皮膜の皮膜量は、乾燥皮膜として0.1g/m以上であることが好ましい。0.1g/m未満であると耐食性や耐アルカリ性が低下することがある。一方、皮膜量が多すぎると、塗装下地処理としては不経済であり塗装にも不都合であるばかりでなく、導電性が悪くなり溶接作業性が低下するので、より好ましくは0.1〜5g/m、更に好ましくは0.5〜2g/mである。
また、上記水性被覆剤を金属板の表面に塗布して皮膜を形成した後、上記皮膜の上に上塗り塗料を塗布して塗膜を形成して使用することもできる。上記上塗り塗料としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、フタル酸樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂等からなる塗料等が挙げられる。また、この上塗り塗料は、チタンホワイト、カーボンブラック等の着色顔料、タルク等の体質顔料、アルミニウム粉、銅粉等の金属顔料、鉛丹、硫酸鉛等の防錆顔料等を含有していてもよい。更に、分散剤、乾燥剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、安定剤、皮張り防止剤、かび防止剤、防腐剤、凍結防止剤等を含有していてもよい。
上塗り塗料の塗膜の膜厚は、防錆金属製品の用途、使用する上塗り塗料の種類等によって適宜決定され、特に制限されない。通常、5〜300μm程度、より好ましくは10〜200μm程度である。上塗り塗料の塗膜の形成は、上記水性被覆剤により形成された皮膜の上に上塗り塗料を塗布し、加熱して乾燥、硬化させて行うことができる。乾燥温度及び時間は、塗布される上塗り塗料の種類、塗膜の膜厚等に応じて適宜調整されることになるが、通常、乾燥温度としては、50〜250℃が好ましく、乾燥時間としては、5分〜1時間が好ましい。上塗り塗料の塗布方法としては、塗料形態に応じて、従来公知の方法により行うことができる。
上記水性被覆剤を金属板の表面に塗布して皮膜を形成することによって得られる上記表面処理金属板は、耐食性、耐アルカリ性、耐溶剤性、皮膜密着性、耐傷つき性に優れたものである。また、更に上塗り塗料を塗布して塗膜を形成するものは、鋼板に形成された皮膜と上塗り塗膜とが良好な塗装密着性を有するものである。
本発明の表面処理金属板は、金属板の表面に、水性樹脂と架橋剤との反応により形成され、アルカリ金属で中和されていないカルボン酸の酸価が0〜30、水酸基価が5〜50である架橋樹脂マトリックス(A)50〜90質量%及び無機防錆剤(B)10〜50質量%を含んでなる皮膜が形成されているものである。これにより、優れた耐食性、耐アルカリ性、耐溶剤性、基材との密着性、上塗り塗料との密着性を有するものである。
本発明の表面処理金属板は、上述した構成よりなるので、金属板との密着性、上塗り塗料の塗装後における塗膜密着性に優れたものである。また、耐食性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐傷つき性にも優れたものである。
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
製造例1 水性ポリエステル樹脂の製造
無水フタル酸、イソフタル酸及びアジピン酸にネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン及びカージュラE10(ジャパンエポキシレジン社製)を加熱、反応させて得られるポリエステル樹脂をジメチルエタノールアミンで中和し水分散化して調製した。
製造例2 水性ポリウレタン樹脂
ビスフェノールA型ジオール、ネオペンチルグリコール及びイソフタル酸から得られるポリエステルジオール、2,2ジメチロールプロピオン酸及びイソホロンジイソシアネートを反応させた後、トリエチルアミンで中和し水分散化して調製した。
製造例3 水性エポキシ樹脂
アクリル酸、メタクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸ブチルを過酸化物でラジカル共重合して得られるアクリル樹脂を用いてビスフェノールA型エポキシ樹脂を変性した後、ジメチルエタノールアミンで中和し水分散化して調製した。
製造例4 エチレン−不飴和カルボン酸共重合樹脂の製造
エチレン−メタクリル酸共重合樹脂(三井・デュポンポリケミカル社製ニュクレルN2060)を水酸化ナトリウムで中和(全カルボキシル基に対して60当量%)し水分散化して調製した。
製造例5 水性被覆剤の調製
表1で示した配合量で、製造例1〜4で得られた樹脂、架橋剤を配合し、更に表2〜5に示した成分を添加することによって水性被覆剤を調製した。
実施例1〜18、比較例1〜8 表面処理金属板の作成
試験板の作成
1mm厚の電気亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量:20g/m)及び溶融亜鉛めっき鋼板(亜鉛付着量:60g/m)を60℃のアルカリ脱脂剤(サーフクリーナー155、日本ペイント社製)2%水溶液を用いて30秒間スプレー処理して脱脂した。次に、得られた水性被覆剤をバーコーターで、乾燥皮膜量1g/mになるように塗布し、雰囲気温度500℃の熱風乾燥炉を用いて所定の到達板温まで焼き付けて試験板を作成した。
評価方法
耐食性、耐溶剤性(エタノール、ケロシン)、耐アルカリ性、皮膜密着性、及び、塗装密着性を評価した。その結果を表2〜5に示した。評価は下記の方法で行った。
耐食性
試験板のエッジ、裏面をテープシールし、SST(JIS−Z−2371)試験を行った。120時間後の白錆発生状況を観察し、白錆発生面積%で評価した。
耐溶剤性
試験板をラビングテスターに設置後、エタノールを含浸させた脱脂綿を0.5kgf/cmの荷重で10回(往復)、及び、ケロシン含浸させた脱脂綿を0.5kgf/cmの荷重で50回(往復)擦った後の皮膜状態を下記の評価基準で評価した。
4:擦り面に全く跡が付かない
3:擦り面にわずかに跡が付く
2:擦り面に白い跡が付く
1:擦り面に皮膜がなくなる
耐アルカリ性
試験板を55℃のアルカリ脱脂剤(サーフクリーナー53、日本ペイント社製)2%水溶液(pH12.5)に攪拌しながら30分間浸漬した後の皮膜状態を観察し、皮膜残存面積%で評価した。
皮膜密着性
試験板をエリクセンテスターにて8mm押し出し加工したのち、押し出し部にセロハンテープ(ニチバン製)を貼り、強制剥離した。試験板をメチルバイオレット染色液に浸漬し、皮膜状態を観察し、皮膜の残存率に応じて評点10(剥離なし)〜1(完全剥離)を与えた。
塗装密着性
試験板表面にメラミンアルキッド塗料(スーパーラック100、日本ペイント社製)をバーコーターで乾燥膜厚20μmとなるように塗布し、120℃で25分間焼き付けて塗板を作製した。一昼夜放置後沸騰水中に30分間浸漬し、取り出して1日放置してから、1mm間隔の碁盤目カット疵を入れ、更にエリクセン7mm押し出しを行い、その押し出し部にセロハンテープ(ニチバン製)を貼り、強制剥離した後の塗膜状態を観察し、塗膜の残存率に応じて評点10(剥離なし)〜1(完全剥離)を与えた。
Figure 0004901116
Figure 0004901116
Figure 0004901116
Figure 0004901116
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実施例19〜36 表面処理金属板の作成
試験板の作成
更に、潤滑剤を使用して表6〜9に示した成分を添加することによって調製した水性被覆剤を用いたこと以外は、実施例1と同様にして試験板を作成した。
上述の耐食性、耐溶剤性(エタノール、ケロシン)、耐アルカリ性、皮膜密着性、及び、塗装密着性の評価に加えて、下記の方法に基づき耐傷つき性を評価した。結果を表6〜9に示した。比較例3、4及び7、8についても耐傷つき性を評価した。
耐傷つき性
試験板をラビングテスターに設置後、直径10mmのステンレス球を、荷重0.5kgf、1回(往復)/secの条件で5回(往復)ラビングした後の試験板表面の傷つき具合を下記の評価基準で評価した。
4:試験板表面に全く傷跡がない。
3:試験板表面にかすかに傷跡が残る。
2:試験板表面に傷跡が残る。
1:試験板表面に金属光沢の傷跡が残る。
Figure 0004901116
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実施例の表面処理金属板は、耐食性、耐アルカリ性、耐溶剤性、密着性のすべてに優れるものであった。一方、架橋樹脂マトリックス(A)の量が多い場合(比較例1、5)、架橋樹脂マトリックス(A)の量が少ない場合(比較例2、6)、水酸基価が大きい場合(比較例3、7)、酸価が大きい場合(比較例4、8)は、これらすべての性能が優れるものは得られなかった。更に、潤滑剤を添加することにより、良好な耐傷つき性を得ることができた。
本発明の表面処理金属板は、家電製品、事務機器、建材、自動車等の用途に好適に用いることができるものである。

Claims (15)

  1. 金属板の表面に、架橋樹脂マトリックス(A)及び無機防錆剤(B)を含んでなる水性被覆剤を塗布し、乾燥させることにより架橋樹脂マトリックス(A)50〜90質量%及び無機防錆剤(B)10〜50質量%を含んでなる皮膜が形成されている表面処理金属板であって、
    前記架橋樹脂マトリックス(A)は、水性樹脂と架橋剤との反応により形成され、アルカリ金属で中和されていないカルボン酸の酸価が0〜30、水酸基価が5〜50であり、
    前記水性樹脂がエチレン−不飽和カルボン酸共重合体のアルカリ金属中和物であり、中和率が30〜90%の水性ポリオレフィン樹脂であることを特徴とする表面処理金属板。
  2. 前記架橋剤が、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、そのブロック体、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、シラン化合物、架橋性ジルコニウム化合物及びチタン化合物からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の表面処理金属板。
  3. 前記酸価が10〜20、前記水酸基価が8〜43である請求項1又は2記載の表面処理金属板。
  4. 金属板の表面に形成されている皮膜は、更に、有機防錆剤(C)0.1〜10質量%を含んでなるものである請求項1、2又は3記載の表面処理金属板。
  5. 金属板の表面に形成されている皮膜は、更に、潤滑剤(D)0.1〜20質量%を含んでなるものである請求項1、2、3又は4記載の表面処理金属板。
  6. 前記水性樹脂が更に、水性ポリエステル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性エポキシ樹脂、水性アクリル樹脂及び水性ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1、2、3、4又は5記載の表面処理金属板。
  7. 無機防錆剤(B)は、シリカ粒子と、リン酸化合物、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有するものである請求項1、2、3、4、5又は6記載の表面処理金属板。
  8. 皮膜中において、シリカ粒子の含有量が9.95〜49.95質量%、リン酸化合物の含有量が0.05〜2.5質量%である請求項7記載の表面処理金属板。
  9. 皮膜中において、シリカ粒子の含有量が9〜49質量%、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物の合計含有量が1〜15質量%である請求項7記載の表面処理金属板。
  10. 無機防錆剤(B)は、シリカ粒子及びリン酸化合物と、ニオブ化合物及び/又はジルコニウム化合物とを含有するものである請求項1、2、3、4、5又は6記載の表面処理金属板。
  11. 皮膜中において、シリカ粒子の含有量が8.95〜48.95質量%、リン酸化合物の含有量が0.05〜2.5質量%、ニオブ化合物及びジルコニウム化合物の合計含有量が1〜15質量%である請求項10記載の表面処理金属板。
  12. 無機防錆剤(B)は、酸化ニオブ及び/又は酸化ジルコニウムを含有するものである請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は11記載の表面処理金属板。
  13. 酸化ニオブが、酸化ニオブコロイド粒子である請求項12記載の表面処理金属板。
  14. 有機防錆剤(C)は、グアニジノ基含有化合物、ビグアニジノ基含有化合物及びチオカルボニル基含有化合物からなる群より選択される少なくとも1種である請求項4、5、6、7、8、9、10、11、12又は13記載の表面処理金属板。
  15. 潤滑剤(D)は、ポリオレフィンワックス及びその誘導体、並びに、シリコーン及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項5、6、7、8、9、10、11、12、13又は14記載の表面処理金属板。
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