JP4900650B2 - 生体情報用圧力センサ及び生体情報用圧力検出装置 - Google Patents
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Description
下記に出典を示す特許文献1には、このような荷重検出装置に関する発明が記載されている。この荷重検出装置は、振動発生部と振動発生部に隣接して設置された振動検出部とを備えた振動検出手段を、人体を支持する支持体に配設している。また、この荷重検出装置は、振動特性演算手段と、荷重演算手段とを備えている。振動特性演算手段は、振動発生部の振動により伝播する振動の振動特性を、振動検出部の出力信号から演算する。そして、荷重演算手段は、この振動特性演算手段の出力信号に基づいて、振動検出手段に印加される荷重を演算する。さらに、振動検出部の出力信号から支持体上の人体による振動成分を抽出する人体振動抽出部を備えて、例えば人体の心拍や呼吸による振動成分を抽出する。
特に、心拍などの信号は微小振動であるのでこのような出力の低下やS/N比の低下は検出精度を低下させる要因となる。
しかし、実際には支持体に支持される人体の姿勢などによって、面状の生体情報用圧力センサに想定された感度方向とは異なる方向への外力が加わると、検出したい荷重変動や振動による外力との間で応力が相殺される可能性がある。本特徴構成によれば、外力に対して感度を有する感応部が、その撓み易さに異方性を有して構成される。つまり、外力に対して、等方的に撓まないような剛性を有して構成される。
従って、想定された感度方向とは異なる方向への外力に対しては変形しにくく、想定された感度方向に対して変形し易いように支持体に配置することもできる。その結果、応力が相殺されることを防ぎ、人体による荷重変動や人体が発生する振動を精度良く検出することのできる生体情報用圧力センサを提供することができる。
さらに、圧電材料など加工性に富む材料を利用して感応部が構成される場合に、複数の感応部の出力信号を伝達する配線部が感応部と同一材料を用いて構成されるので、生産性が高い。この場合、配線部も感応部と同様に圧電効果を示すが、配線部は検出部に対して撓みにくく(高い剛性を有して)構成される。従って、配線部に加わる外力に対する耐性を有した精度のよい生体情報用圧力センサを得ることができる。
撓み易さが、直交方向に異なっていると、互いに感度を有する外力の方向が、最も離れたものとなる。その結果、互いに感度方向の異なる感応部による検出結果を総合的に利用する場合に、他の外力の干渉を受けにくくなる。
即ち、前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体の荷重が掛かる位置に配置され、前記感応部は、前記通常姿勢の場合に前記支持体を弾性変形させる前記人体の曲面に添う方向に撓み易く、この方向に直交する方向に撓み難い異方性を有して構成される点を特徴とする。
感応部1は、この溝4を有していることにより、図示長手方向に変形し易い。即ち、可撓性を有する感応部1はその撓み易さに異方性を有して構成されている。例えば、図4(a)に示すように異方性を有しない(等方性を有する)感応部1に外力F1が印加された場合、感応部1は同心円状に変形する。即ち、応力も等方的に発生する。しかし、図4(b)のように感応部1が異方性を有する場合には、同様の外力F1に対して長手方向に変形する。即ち、応力も一定の方向に集中して発生する。
図2及び図3に示すように、人体30が通常姿勢の場合に、人体30の荷重f1が掛かる位置に圧力センサ10が配置される。人体30による荷重f1が掛かる位置では、人体30と支持体40とが密着する。従って、この位置に圧力センサ10(感応部1)が配置されれば、支持体40と人体30との間に圧力センサ10がしっかりと挟み込まれ、人体30による振動が圧力センサ10に伝播し易い。
例示は省略するが、背面に圧力センサ10を配置して呼吸などの振動を検出する場合においても、同様の考え方を採用することができる。
図1に基づいて上述したように感応部1は、極性の異なる2層の圧電体3を積層することによって構成されている。ここで、第一圧電体3aと第二圧電体3bとは、異なる極性を有して構成される。この極性は、圧電体の配向の向きに依存する。この配向の向き、いわゆる圧電活性の向きは、ポーリング処理や分極処理と称される処理によって行われる。2層の圧電体3の極性を逆極性とすることによって、同一の外力に対して変形した場合に、より大きな出力を得ることが可能となる。
ここで、第一圧電体3aと第二圧電体3bとは、逆の配向を有しているため、中心電極2cを基準として、それぞれの電極2a、2bには同極性の電圧信号が現れる。その結果、感応部1の出力としては、各圧電体3の2倍の振幅を有するものとなる。
本例では、検出部10aは、6ケの感応部1を備えて構成される。感応部1の変形が互いに影響しないように、感応部1の周囲には、スリット5が設けられている。
検出部10aと配線部10bとは、同一の材料、即ち圧電体で一体化されて形成されている。それぞれの感応部1の第一電極2aからの配線20aは、第一電極2aと同一面を通って、端子部10cへ至る。つまり、図6(b)に示す上面側を通る。同様に第二電極2bからの配線20bは図6(b)に示す下面側を通り、中心電極2cからの配線20cは第一圧電体3aと第二圧電体3bとの接合部である中央部を通って、端子部10cへ至る。
図8は、素子(感応部1)の縦横寸法比と、感度との関係を示す実験結果のグラフである。グラフ中のSは、目標とする感度(例えば、出力電圧)である。発明者らは、図6や図7に示したような圧力センサ10において、感応部1の縦横寸法比と感度との関係を調べた。その結果、縦横寸法比が、3以上の場合に、目標感度を超えることが確かめられた。
人体30による外力が直接印加されない位置に配置された圧力センサ10Aは、逆に検出目的とは異なる外力のみを検出するものとなる。検出目的とは異なる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、複数の圧力センサ10による検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
このように構成すると、一つの感応部1Bだけが異なる感度特性を持つことになる。つまり、この一つ以外の感応部1Aが検出目的に対応した感度を持つような異方性を有している場合には、感応部1Bは逆に検出目的とは異なる方向に加わる外力を検出することができる感応部1となる。検出目的とは異なる方向に加わる外力とは、ノイズ性の外力である。従って、感度方向の異なる感応部1Aと感応部1Bとによる検出結果を総合的に利用すれば、より検出精度を向上することができる。
例えば、図3に示したように、人体30の大腿部裏側を通る血管31を介して、脈拍などの人体30が発生する振動を検出する場合、感応部1Aと感応部1Bとを、それぞれ脈拍(心拍)検出用センサとリファレンスセンサとすることができる。脈拍検出用センサ(感応部1A)と直交する形でリファレンスセンサ(感応部1B)を隣接して配置することにより、脈拍検出用センサとリファレンスセンサの出力には、上述したように支持体40自体の振動による、同じノイズ成分が含まれる。しかし、脈拍に起因する信号はリファレンスセンサからの出力には含まれないか、含まれても小さくなる。そのため双方を組み合わせることでノイズ成分を除去し、脈拍信号をより正確に抽出することが可能となる。その結果、微小振動である脈拍などを良好に検出することができる。
例えば、支持体40が車両のシートであり、乗車中の乗員の脈拍等を検出する場合、走行中の車両の振動によって、支持体40自体が振動する。このような環境においても、良好に脈拍などの人体に起因する微小振動を検出することができる。
また、上記説明においては、感応部1を図1に示すように2層の圧電体3aと3bとが積層された構成を用いた。しかし、これに限らず、例えば図11に示すように1層の圧電体3に電極2aと2bとを備えて感応部1Cを構成してもよい。
尚、圧電体は、2層に限らず、勿論1層で構成してもよい。また、図示は省略するが、図1や図11に示した感応部において、圧電体3は平坦に形成し、電極2(例えば、第一電極2aや第二電極2b)を波打たせることにより、断面に凹凸を形成してもよい。この場合、波打つ電極が本発明の基底部に相当する。
上記、実施形態においては、シートに着座する人体の脈拍を検出する場合を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。本発明は、ベッドや車椅子、シャワートイレなどにおいて、脈拍、呼吸などの微小振動、荷重変動による人体の動きなどを検出するために適用することができる。
2:電極
3:圧電体(圧電材料)
4:溝
10:圧力センサ(生体情報用圧力センサ)
Claims (6)
- 人体を支持する弾力性のある支持体に配置され、前記人体による荷重変動又は前記人体が発生する振動の一方又は双方による外力を検出する面状の生体情報用圧力センサであって、
圧電材料を用いて構成されるとともに前記外力に対して感度を有する感応部を備え、前記圧電材料の厚みを部分的に異ならせることにより、前記感応部は撓み易さに異方性を有して構成される生体情報用圧力センサ。 - 前記感応部を複数備えた検出部と、複数の前記感応部の出力信号を伝達する配線部とが同一材料を用いて形成され、前記配線部は前記検出部に対して撓みにくく構成される請求項1に記載の生体情報用圧力センサ。
- 前記感応部が複数備えられ、少なくとも一つの前記感応部は他の前記感応部とは異なる異方性を有する請求項1又は2に記載の生体情報用圧力センサ。
- 前記感応部の少なくとも一つは、他の前記感応部と直交する異方性を有する請求項3に記載の生体情報用圧力センサ。
- 請求項1又は2に記載の生体情報用圧力センサを備えた生体情報用圧力検出装置であって、
前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体の荷重が掛かる位置に配置され、前記感応部は、前記通常姿勢の場合に前記支持体を弾性変形させる前記人体の曲面に添う方向に撓み易く、この方向に直交する方向に撓みにくい異方性を有して構成される生体情報用圧力検出装置。 - 請求項1又は2に記載の生体情報用圧力センサを複数備えた生体情報用圧力検出装置であって、少なくとも一つの前記生体情報用圧力センサは、前記人体が通常姿勢の場合に前記人体による前記外力が直接印加されない位置に配置される生体情報用圧力検出装置。
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