以下、本発明に係る各実施形態について図面を参照して以下に説明する。
「第1実施形態」
本発明に係る第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態のディスクブレーキを示す正面図である。図2は、第1実施形態のディスクブレーキを示す図1のY1−Y1断面図である。図3は、第1実施形態のディスクブレーキを示す図1のX1−X1断面図である。
図1および図2に示すように、第1実施形態のディスクブレーキ10は、図示略の車輪と一体回転するディスク11と、このディスク11を両側から挟むようにして二対(図2にて一対のみ図示)の摩擦パッド12が支持されるキャリパ(パッド支持部材,シリンダ部材)13と、キャリパ13が取り付けられる車両の非回転部を構成するナックル14とを有している。このディスクブレーキ10は、キャリパ13がナックル14に固定されるタイプのものであり、四輪自動車用となっている。
ナックル14は、アルミニウム合金や鋳鉄等の金属製であり、ディスク軸直交方向に広がるベース部21と、このベース部21のディスク半径方向外側の外縁部のディスク円周方向に離間した2箇所からそれぞれディスク半径方向外側に突出する取付突起部22aおよび取付突起部22bを有している。
ベース部21におけるディスク半径方向外側の取付突起部22a,22b間の中間外縁面23は、外側凸の円弧状をなしている。
また、ディスク円周方向一側の取付突起部22aは、先端側が、ディスク半径方向外側に凸の半円状をなす突出先端面26aとされ、基端側のディスク円周方向両側が、ベース部21および取付突起部22aの外側中間位置に中心を有する円弧状をなしてベース部21の外縁部および突出先端面26aに連続する基端面27aとされている。
また、ディスク円周方向他側の取付突起部22bは、先端側が、ディスク半径方向外側に凸の半円状をなす突出先端面26bとされ、基端側の取付突起部22aとは反対側が、ベース部21および取付突起部22bの外側中間位置に中心を有する円弧状をなしてベース部21の外縁部および取付突起部22bに連続する形状の基端面27bとなっている。他方、取付突起部22bの基端側の取付突起部22a側は、突出先端面26bから連続するように直線状をなして基端側ほど取付突起部22a側に位置するように直線状に傾斜する形状をなした後、ベース部21および取付突起部22bの外側中間位置に中心を有する円弧状をなしてベース部21の中間外縁面23に連続する基端傾斜面28bとされている。これにより、取付突起部22bは、取付突起部22aよりも、基端側がディスク円周方向において幅広となっている。
取付突起部22aには、図2および図3に示すように、ディスク11側にディスク軸直交方向に沿う面部31aが、ディスク11とは反対側にもディスク軸直交方向に沿う面部32aが形成されており、これら面部31aおよび面部32aのそれぞれの中央側同士を結ぶようにストレートな取付穴(第2取付穴)33aがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。
図3に示すように、取付突起部22bには、ディスク11側に面部31aと同一平面に配置されるように面部31bが形成され、ディスク11とは反対側にも面部32aと同一平面に配置されるように面部32bが形成されており、これら面部31bおよび面部32bのそれぞれの中央側同士を結ぶようにストレートなボルト挿入穴(第2取付穴)33bがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。取付穴33a,33bは同径となっている。
図2に示すように、キャリパ13は、ディスク11に対しその軸線方向における車両内側に配置されるインナ側キャリパ半割体37と、ディスク11に対しその軸線方向における車両外側に配置されるアウタ側キャリパ半割体38とを突き合わせて一体に連結して構成されている。これらインナ側キャリパ半割体37およびアウタ側キャリパ半割体38は、それぞれアルミニウム合金で一体成形されている。
インナ側キャリパ半割体37およびアウタ側キャリパ半割体38は、それぞれ、ディスク半径方向内側にシリンダ部40を有し、ディスク半径方向外側にシリンダ部40よりもディスク11の方向に向けて突出する連結突出部41を有している。図1にインナ側キャリパ半割体37を例示するように、インナ側キャリパ半割体37およびアウタ側キャリパ半割体38には、ディスク円周方向の中央部と両端部との三カ所に連結突出部41が形成されている。
そして、インナ側キャリパ半割体37およびアウタ側キャリパ半割体38は、ディスク円周方向に位置が合う連結突出部41,41同士を突き合わせた状態で、ディスク円周方向の中央および両端側がそれぞれタイボルト44により連結されている。インナ側キャリパ半割体37およびアウタ側キャリパ半割体38の突き合わせられた連結突出部41,41同士が、キャリパ13において、ディスク11の半径方向外方を跨ぐ位置に配置されるディスクパス部45を構成しており、ディスクパス部45もディスク円周方向の中央部と両端部との三カ所に形成されている。
インナ側キャリパ半割体37およびアウタ側キャリパ半割体38のそれぞれのシリンダ部40は、図2に示すように、ディスク11に対向するように配置されることになり、各シリンダ部40には、ボア48がディスク11側に開口するように穿設されている。インナ側キャリパ半割体37およびアウタ側キャリパ半割体38のディスク軸線方向に沿い、且つ同軸上に配置されるボア48,48は、互いに対をなす。そして、図1にインナ側キャリパ半割体37を示すように、インナ側キャリパ半割体37のシリンダ部40およびアウタ側キャリパ半割体38のシリンダ部40には、ディスク円周方向に離間してボア48,48の対が二対形成されている。図2に示すように、各ボア48には、開口側にシール周溝49が形成されており、各シール周溝49にはゴム製の角リングで形成されたピストンシール50が嵌合されている。また、各シリンダ部40のディスク11側の端面には、各ボア48を囲むようカバー溝51が形成されている。各シリンダ部40は、ディスク11とは反対側でボア48の底面を形成する底部54と、ボア48の外径側を形成する壁部55とを有している。
各ボア13には、それぞれ、底部58と円筒部59とを有する有底筒状のピストン60が底部58を奥側にして摺動可能に納められている。これにより、ピストン60は、互いにディスク軸線方向において同軸をなして対向配置される対のものが二対、ディスク円周方向に離間して設けられる。つまり、キャリパ13は、対向ピストン型の2ポット型となっている。各ピストン60の円筒部59の開口側の外周部にはカバー溝61が形成されており、カバー溝61には、その外側を囲むように配置されるカバー溝51との間にゴム製のカバー62が介装される。カバー62は、ボア48の開口側からボア48とピストン60との隙間へ異物等が侵入するのを防止する。
各ボア48には、図1に示すインナ側キャリパ半割体37のシリンダ底部54に形成された給液口65からブレーキ液が供給されるようになっており、このブレーキ液の供給に応じて二対のピストン60が同期して突出するようになる。この際に、図2に示すピストンシール50が、ボア48とピストン60との隙間をシールしてブレーキ液の漏出を防ぐ。なお、図1に示すように、インナ側キャリパ半割体37のシリンダ壁部55のディスク円周方向の端部には、エア抜き用のブリーダ66が取り付けられている。
図1にインナ側キャリパ半割体37を例示するように、インナ側キャリパ半割体37およびアウタ側キャリパ半割体38のそれぞれには、ディスク円周方向に離間して三カ所形成されたディスクパス部45の隣り合うもの同士の間それぞれにピン取付部69が形成されており、ディスク円周方向に位置が合う2箇所のピン取付部69の間には、ディスク軸線方向に沿うパッドピン70が橋架されている。これらのパッドピン70のそれぞれが、図2に一方のみを例示するように、ディスク11の軸線方向における両側に配置される一対の摩擦パッド12に挿通されることになり、摩擦パッド12をキャリパ13に対してディスク軸線方向に摺動可能に吊下支持する。これにより、キャリパ13には、二対の摩擦パッド12が支持されている。
各摩擦パッド12は、裏板74とこの裏板74に接合された摩擦材75とからなっており、裏板74においてパッドピン70に支持されるとともに、一対一で対応するピストン60によって押圧され、摩擦材75においてディスク11に接触する。
そして、インナ側キャリパ半割体37には、シリンダ部40の開口側かつディスク半径方向内側からディスク半径方向内方(ディスク中心方向)に延出して、車両への取付部分である車両側取付部80が一体に形成されている。この車両側取付部80は、シリンダ部40の開口側かつディスク半径方向内側からディスク半径方向内方に若干延出する延出部81と、この延出部81のディスク半径方向内側からディスク半径方向内方に延出する取付部82とを有しており、鏡面対称形状をなしている。取付部82は、延出部81よりもディスク11側に突出するように、延出部81よりもディスク軸線方向に厚く形成されている。
図1に示すように、取付部82のディスク半径方向内側の縁面85は、ディスク半径方向外側に凹の円弧状をなしている。また、図3に示すように、取付部82には、ディスク円周方向両端側の2箇所に他の部分よりもディスク軸線方向両側に突出するように厚肉とされた一対の取付ボス部86aおよび取付ボス部86bが形成されている。これにより、取付部82には、取付ボス部86a,86b間に、これらを結ぶように、これらよりもディスク軸線方向に若干薄い中間連結部87が形成されている。
ディスク円周方向一側の取付ボス部86aには、ディスク11側にディスク軸直交方向に沿う面部91aが、ディスク11とは反対側にもディスク軸直交方向に沿う面部92aが形成されており、これら面部91a,92aのそれぞれの中央側同士を結ぶように取付穴(第1取付穴)93aがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。取付穴93aは、ディスク11側つまりナックル14とは反対側がナックル14側に円形断面で凹むストレートな形状の凹部94aとされており、ナックル14側がこの凹部94aの中央をナックル14側に貫通する凹部94aよりも小径のストレートな形状の挿通穴部95aとされていて、段付き形状をなしている。
ディスク円周方向他側の取付ボス部86bは、取付ボス部86aと鏡面対称形状をなしている。取付ボス部86bには、ディスク11側に面部91aと同一平面に配置されるように面部91bが形成され、ディスク11とは反対側にも面部92aと同一平面に配置されるように面部92bが形成されており、これら面部91b,92bのそれぞれの中央側同士を結ぶように取付穴(第1取付穴)93bがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。取付穴93bも、ディスク11側つまりナックル14とは反対側がナックル14側に円形断面で凹む円形状のストレートな形状の凹部94bとされており、ナックル14側がこの凹部94bの中央をナックル14側に貫通する凹部94bよりも小径のストレートな形状の挿通穴部95bとされていて、段付き形状をなしている。
そして、第1実施形態においては、キャリパ13の取付部82におけるナックル14とは反対側つまりディスク11側にタイバー(補強部材)100が配置されている。このタイバー100は、取付部82を含むアルミニウム合金製のインナ側キャリパ半割体37および同じくアルミニウム合金製のナックル14とは異種の材料であって、取付部82およびナックル14よりもヤング率が高い金属材料製、具体的には鉄製(鋳鉄製または鋼製)の一体成形品となっている。
タイバー100は、図1に示すように、長手方向の中央部(後述するメネジ部109aとメネジ部109aとの間の中心)を通るディスク軸方向平面を中心として略鏡面対称形状をなしており、ディスク円周方向両端側の2箇所にアダプタ部101a,101bが形成され、これら一対のアダプタ部101a,101b間に、これらを結ぶようにタイバー部102が形成されている。タイバー部102は、直線状で同長さの一対の辺部103a,103bを湾曲状の中間部104で連結した、全体として鈍角で屈曲する鏡面対称形状をなすもので、キャリパ13の取付部82の円弧状の縁面85に沿って配置される。タイバー部102は、ディスク半径方向に略一定幅となっており、図3に示すようにディスク軸線方向に一定厚さとなっている。
ディスク円周方向一側のアダプタ部101aは、タイバー部102に対してディスク軸線方向においてディスク11とは反対側に若干突出するように厚肉とされ、しかも図1に示すようにタイバー部102の幅よりも大径の円形状に形成された取付座部107aと、図3に示すように取付座部107aの中央位置からディスク11とは反対側に軸線方向に沿って円柱状に突出する突起部108aとを有しており、取付座部107aおよび突起部108aの中央位置をディスク軸線方向に沿って貫通するようにメネジ部109aが形成されている。
取付座部107aには、突出側つまりディスク11とは反対側にディスク軸直交方向に沿う面部111aが形成されており、この面部111aの中央位置からディスク11とは反対側にディスク軸線方向に沿って上記した突起部108aが突出形成されている。ここで、突起部108aには外径側に外径側ほどディスク軸線方向に幅が狭くなる環状凸部112aが形成されており、この環状凸部112aは、その外周面がストレートな円筒面となっている。
突起部108aに環状凸部112aが形成されているディスク円周方向一側のアダプタ部101aに対して、ディスク円周方向他側のアダプタ部101bは、環状凸部が形成されていない以外、アダプタ部101aと鏡面対称の形状をなしている。アダプタ部101bは、タイバー部102に対してディスク軸線方向においてディスク11とは反対側に若干突出するように厚肉とされ、しかも図1に示すようにタイバー部102の幅よりも大径の円形状に形成された取付座部107bと、図3に示すように取付座部107bの中央位置からディスク11とは反対側に軸線方向に沿って円柱状に突出する突起部108bとを有しており、取付座部107bおよび突起部108bの中央位置をディスク軸線方向に沿って貫通するようにメネジ部109bが形成されている。
取付座部107bには、突出側つまりディスク11とは反対側に、面部111aと同一平面に配置される面部111bが形成されており、この面部111bの中央位置からディスク11とは反対側にディスク軸線方向に沿って上記した突起部108bが突出形成されている。
環状凸部112aが形成されているディスク円周方向一側のアダプタ部101aの突起部108aの外径は、ディスク円周方向他側のアダプタ部101bの突起部108bの外径よりも大径であり、キャリパ13の取付部82の凹部94aよりも締め代分大径となっている。一方、ディスク円周方向他側のアダプタ部101bの突起部108bの外径は、キャリパ13の取付部82の凹部94bよりも若干小径となっている。また、突起部108a,108bの中心間距離は、凹部94a,94bの中心間距離と等しくされている。
このようなタイバー100は、キャリパ13の車両側への組み付け前に、キャリパ13に保持されることになり、その際に、2つの突起部108a,108bにおいてキャリパ13の2つの取付穴93a,93bの凹部94a,94bに嵌合することになる。このとき、タイバー100は、一のアダプタ部101aの突起部108aが凹部94aに圧入されて密着嵌合することになり、他のアダプタ部101bの突起部108bが凹部94bに隙間嵌めで遊嵌嵌合されることになる。このように一方のアダプタ部101aの突起部108aが凹部94aに圧入されることで、タイバー100はキャリパ13の取付部82に保持されるようになっている。なお、このようにアダプタ部101aによりキャリパ13の取付部82に嵌合保持された状態で、タイバー100の取付座部107aの面部111aが、キャリパ13の取付部82の取付ボス部86aの面部91aに当接することになり、取付座部107bの面部111bが、取付ボス部86bの面部91bに当接することになる。また、この状態で、キャリパ13の取付部82の一方の取付穴93aとタイバー100の一方のメネジ部109aとが一致する、つまり同軸配置されることになり、キャリパ13の取付部82の他方の取付穴93bとタイバー100の他方のメネジ部109bとが一致する、つまり同軸配置されることになる。
車両へのキャリパ13の組み付け時には、上記のようにして、キャリパ13の取付部82に予めタイバー100を保持した状態で、キャリパ13の取付部82の取付ボス部86aのタイバー100とは反対側の面部92aをナックル14の取付突起部22aのディスク11側の面部31aに当接させるとともに、取付ボス部86bのタイバー100とは反対側の面部92bを、ナックル14の連結突出部22bのディスク11側の面部31bに当接させる。そして、取付部82の取付穴93aをナックル14の取付穴33aに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴33aに取付ボルト114aの軸部115aを挿通させ、この取付ボルト114aの軸部115aをキャリパ13の取付穴93aの挿通穴部95aに挿通させてタイバー100のアダプタ部101aのメネジ部109aに外周のオネジ116aにおいて螺合させる。同様に、取付部82の取付穴93bをナックル14の取付穴33bに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴33bに、取付ボルト114aと同種の取付ボルト114bの軸部115bを挿通させ、この取付ボルト114bの軸部115bをキャリパ13の取付穴93bの挿通穴部95bに挿通させてタイバー100のアダプタ部101bのメネジ部109bに外周のオネジ116bにおいて螺合させる。そして、取付ボルト114aの軸部115aより大径の頭部117aおよび取付ボルト114bの軸部115bより大径の頭部117bを締め付ける。
以上により、取付ボルト114aの頭部117aがナックル14の取付突起部22aの面部32aに密着し、取付突起部22aの面部31aがキャリパ13の取付部82の面部92aと密着し、キャリパ13の取付部82の面部91aがタイバー100の取付座部107aの面部111aに密着するとともに、取付ボルト114bの頭部117bがナックル14の取付突起部22bの面部32bに密着し、取付突起部22bの面部31bがキャリパ13の取付部82の面部92bと密着し、キャリパ13の取付部82の面部91bがタイバー100の取付座部107bの面部111bに密着する。
このようにして、タイバー100と2本の取付ボルト114a,114bとによってキャリパ13の取付部82とナックル14とが締結される。つまり、キャリパ13が車両に取り付けられる。
この状態で、タイバー100は、キャリパ13の取付部82に対して、ナックル14とは反対側に位置して、この取付部82に設けられ、具体的には取付部82に嵌合されている。この状態でタイバー100がナックル14の取付突起部22a,22bをディスク円周方向に結ぶようにして取付突起部22a,22bと一体となり、ナックル14を取付ボルト114a,114bとで補強する。
以上のようにして、車両のナックル14に固定されたキャリパ13の各ボア48に図1に示す給液口65からブレーキ液が供給されると、このブレーキ液の供給に応じて二対合計4つの図2に示すピストン60が同期してディスク11方向に突出して、二対合計四枚の摩擦パッド12をディスク11に押し付けて、制動力を発生させることになる。
ここで、上記した特許文献1では、ディスクブレーキのキャリパを2本の取付ボルトで車両側のナックルに取り付ける際に、2本の取付ボルト同士を結ぶように配置されるタイバーを2本の取付ボルトでナックルに共締めすることで、ナックル側の強度不足を補い、ブレーキ鳴き性能を向上するようになっている。このディスクブレーキにおいては、キャリパにメネジ部を形成して取付ボルトを螺合させることになるため、キャリパを例えばアルミニウム合金製とした場合に、取付ボルトの締付軸力を高くするためには取付部を大型化しなければならない。これに対し、上記した特許文献2では、ディスクブレーキのキャリパにおいて、メネジ部を有する別体のアダプタをキャリパに設け、このアダプタのメネジ部に取付ボルトを螺合させることで、車両への締結を行うようになっており、例えばアダプタをキャリパの素材よりも強度の高い素材で形成することで、取付ボルトの締付軸力を高くすることができる。しかしながら、上記したブレーキ鳴きに対する強度補強部材としてのタイバーに加えて、締付軸力に対する強度補強部材としてのアダプタを設けると、部品点数が増大してしまう。
これに対して、第1実施形態によれば、図3に示すように、メネジ部109a,109bを有し取付部82およびナックル14とは異種の材料で形成されるタイバー100を備え、タイバー100と、そのメネジ部109a,109bに螺合される取付ボルト114a,114bとにより、取付部82とナックル14とが締結されるため、タイバー100にアダプタの機能を持たせることができる。したがって、部品点数およびコストを低減できる。
また、第1実施形態によれば、キャリパ13の取付部82に設けられ、取付ボルト114aが螺合されるメネジ部109aおよび取付ボルト114bが螺合されるメネジ部109bを有し、キャリパ13の取付部82よりもヤング率の高い金属で形成されるタイバー100を備え、このタイバー100が、キャリパ13の取付穴93aとメネジ部109aとが一致し、かつ取付穴93bとメネジ部109bとが一致した状態でナックル14とは反対側に位置して取付部82に設けられるため、タイバー100にアダプタの機能を持たせることができる。したがって、部品点数およびコストを低減できる。
また、第1実施形態によれば、ナックル14とは反対側でキャリパ13の取付部82に嵌合し取付ボルト114aが螺合されるメネジ部109aを有するアダプタ部101aと、取付部82に嵌合し取付ボルト114bが螺合されるメネジ部109bを有するアダプタ部101bと、これらアダプタ部101a,101b同士を連結するタイバー部102とからなる、キャリパ13の取付部82よりもヤング率の高い金属製のタイバー100を備え、このタイバー100が、アダプタ部101a,101bによりキャリパ13の取付部82に嵌合保持されることになるため、タイバー100にアダプタの機能を持たせることができる。したがって、取り付けが容易となるとともに部品点数およびコストを低減することができる。しかも、タイバー100が、アダプタ部101aによりキャリパ13の取付部82に嵌合保持されるため、タイバー100を予めキャリパ13に取り付けておくことができ、キャリパ13のナックル14への取り付け作業が容易となる。
以上、第1実施形態の詳細について説明したが、第1実施形態の作用効果を以下に示す。
第1実施形態によれば、ナックル14とは反対側でキャリパ13の取付部82に嵌合し取付ボルト114aが螺合されるメネジ部109aを有するアダプタ部101aと、ナックル14とは反対側でキャリパ13の取付部82に嵌合し取付ボルト114bが螺合されるメネジ部109bを有するアダプタ部101bと、これらアダプタ部101a,101b同士を連結するタイバー部102とからなる、アルミニウム合金製のキャリパ13の取付部82およびナックル14よりもヤング率の高い鉄製のタイバー100を備え、このタイバー100が、アダプタ部101aによりキャリパ13の取付部82に嵌合保持されることになる。このため、ナックル14の取付穴33aおよびキャリパ13の取付部82の挿通穴部95aに挿通された取付ボルト114aのオネジ部116aをタイバー100のメネジ部109aに螺合させ、ナックル14の取付穴33bおよびキャリパ13の取付部82の挿通穴部95bに挿通された取付ボルト114bのオネジ部116bをタイバー100のメネジ部109bに螺合させることで、取付ボルト114a,114bおよびタイバー100でキャリパ13の取付部82とナックル14とを締結することができ、タイバー100にアダプタの機能を持たせることができる。したがって、取り付けが容易となるとともに部品点数およびコストを低減することができる。
また、タイバー100が、アダプタ部101aによりキャリパ13の取付部82に嵌合保持されるため、タイバー100を予めキャリパ13に取り付けておくことができ、キャリパ13のナックル14への取り付け作業が容易となる。
また、タイバー100が、アダプタ部101aによりキャリパ13の取付部82に嵌合され、アダプタ部101bによりキャリパ13の取付部82に嵌合されるとともに、これらがタイバー部102で連結されているため、取付ボルト114a,114bの螺合時に、アダプタ部101a,101bの共回りを防止できる。したがって、キャリパ13のナックル14への取り付け作業が容易となる。
また、タイバー100は、取付ボルト114a,114bによるキャリパ13とナックル14との締結前に、メネジ部109aと取付穴93aとを一致させ、かつメネジ部109bと取付穴93bとを一致させてキャリパ13に保持されるため、取付ボルト114aをナックル14側から取付穴93aの挿通穴部95aに挿入すればメネジ部109aに螺合させることができ、取付ボルト114bもナックル14側から取付穴93bの挿通穴部95bに挿入すればメネジ部109bに螺合させることができる。よって、取付ボルト114a,114bのタイバー100への螺合を容易に行うことができる。したがって、キャリパ13のナックル14への取り付け作業がさらに容易となる。
また、タイバー100がキャリパ13に嵌合で保持されるため、保持のための専用部品を設ける必要がなくなる。したがって、部品点数およびコストをさらに低減することができる。
また、キャリパ13の取付部82には、凹部94a,94bが形成され、タイバー100は、凹部94aに嵌合する突起部108aおよび凹部94bに嵌合する突起部108bを有し、突起部108aにメネジ部109aが、突起部108bにメネジ部109bが形成されているため、メネジ部109a,109bの長さを確保できる。したがって、取付ボルト114a,114bの締付軸力をさらに高くすることができる。
また、タイバー100には、2つのアダプタ部101a,101bに2つの突起部108a,108bが設けられ、一のアダプタ部101aの突起部108aが取付部82に圧入されることで密着嵌合して、タイバー100がキャリパ13の取付部82に保持されるため、タイバー100の取付部82への保持作業が容易となるとともに、保持のための専用の部品を必要としないため、部品点数の増加を抑制できる。
また、タイバー100は、2つのアダプタ部101a,101bのうち、一のアダプタ部101aの突起部108aが取付部82の凹部94aに圧入され、他のアダプタ部101bの突起部108bが取付部82の凹部94bに隙間嵌めされて、キャリパ13の取付部82に保持されるため、一方のみ圧入すれば良く、タイバー100の取付部82への保持作業がさらに容易となるとともに、突起部108a,108b間の公差を吸収できる。
以上の第1実施形態において、摩擦パッド12は、少なくとも一対あれば良い。また、ナックル14の取付穴33a,33bの数は、少なくとも2つあれば良く、これと同数となる、キャリパ13の取付部82の取付穴93a,93bの数、タイバー100のアダプタ部101a,101bの数およびタイバー100のメネジ部109a,109bの数も、それぞれ少なくとも2つあれば良い。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図4に基づいて、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図4は、第2実施形態のディスクブレーキの図1におけるX1−X1対応断面図である。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図4に示す第2実施形態においては、第1実施形態のタイバー100と若干相違するタイバー100Aが第1実施形態のキャリパ13の取付部82に取り付けられる。タイバー100Aの第1実施形態のタイバー100に対する相違点は、次の点である。
タイバー100Aは、ディスク円周方向一側のアダプタ部101aの突起部108aに加えて、ディスク円周方向逆側のアダプタ部101bの突起部108bにも外径側に外径側ほどディスク軸線方向に幅が狭くなる環状凸部112bが形成されており、突起部108aと突起部108bとが同径となっている。これにより、タイバー100Aは、鏡面対称形状をなしている。また、タイバー100Aは、これら突起部108aおよび突起部108bの外径が、キャリパ13の取付部82の凹部94a,94bの内径に対し若干小径となっている。そして、2つの突起部108a,108bの中心間距離が、2箇所の凹部94a,94bの中心間距離よりも短くされている。
その結果、タイバー100Aは、これら突起部108a,108bの環状凸部112a,環状凸部112b同士の内側対向面、つまり近接側対向面で凹部94a,94bの近接側の壁面を両側から挟持するようにして取付部82に嵌合して、取付部82に保持される。なお、タイバー100Aは、取付部82に保持された状態で、メネジ部109aの中心が取付穴93aの中心と一致するように、メネジ部109aを突起部108aの中心に対して突起部108bとは反対側に若干ずらしており、メネジ部109bの中心が取付穴93bの中心と一致するように、メネジ部109bを突起部108bの中心に対して突起部108aとは反対側に若干ずらしている。
このような第2実施形態によれば、第1実施形態とほぼ同様のタイバー100Aをキャリパ13の取付部82に取り付けるため、第1実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。また、第1実施形態とは相違するタイバー100Aの取付部82への保持についても、タイバー100Aの2つのアダプタ部101a,101bに2つの突起部108a,108bが設けられ、これら突起部108a,108b同士の内側対向面、つまり近接側対向面で凹部94a,94bの近接側の壁面を両側から挟持するようにして取付部82に嵌合して、タイバー100Aが取付部82に保持されることになる。このため、第1実施形態と同様に、タイバー100Aの取付部82への保持作業が容易となる。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態を主に図5〜図7に基づいて、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図5は、第3実施形態のディスクブレーキの図1におけるX1−X1対応断面図である。図6は、第3実施形態のディスクブレーキのタイバーの部分拡大断面図である。図7は、第3実施形態のディスクブレーキのタイバーの変形例の部分拡大断面図である。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図5に示す第3実施形態においては、第1実施形態のタイバー100と若干相違するタイバー100Bが第1実施形態のキャリパ13の取付部82に取り付けられる。タイバー100Bの第1実施形態のタイバー100に対する相違点は、次の点である。
タイバー100Bは、ディスク円周方向一側のアダプタ部101aの突起部108aにも外径側に外径側ほどディスク軸線方向に幅が狭くなる環状凸部が形成されておらず、このアダプタ部101aの突起部108aとディスク円周方向他側のアダプタ部101bの突起部108bとが同径となっている。また、タイバー100Bは、突起部108aの先端側外径に、先端側に抜ける円環状の切欠部120aが形成されており、突起部108bの先端側外径にも、先端側に抜ける、切欠部120aと同径・同長さの円環状の切欠部120bが形成されている。これにより、タイバー100Bは、鏡面対称形状をなしている。そして、タイバー100Bは、突起部108aの先端側外周部を構成する切欠部120aに、ゴム製のOリング(弾性体)122aが嵌合状態で自らの弾性力より保持されており、突起部108bの先端側外周部を構成する切欠部120bにも、図6にも示すように、ゴム製の同種のOリング(弾性体)122bが嵌合状態で自らの弾性力より保持されている。
ここで、図5に示すように、突起部108aおよび突起部108bの外径は、キャリパ13の取付部82の凹部94a,94bよりも若干小径となっており、突起部108a,108bの切欠部120a,120bに保持されたOリング122a,122bの外径は、凹部94a,94bへの嵌合前は凹部94a,94bよりも若干大径となっている。なお、2つの突起部108a,108bの中心間距離は、2箇所の凹部94a,94bの中心間距離と等しくされている。
これにより、タイバー100Bの突起部108aを取付部82の凹部94aに、突起部108bを凹部94bにそれぞれ嵌合させると、Oリング122aが上記した径差により凹部94aの壁面に密着嵌合しつつ半径方向に押し潰されて、突起部108aと凹部94aとの間に介装されることになり、Oリング122bが上記した径差により凹部94bの壁面に密着嵌合しつつ半径方向に押し潰されて、突起部108bと凹部94bとの間に介装されることになり、その時に生じる弾性力および摩擦力で、取付部82にタイバー100Bが保持される。
このような第3実施形態によれば、第1実施形態とほぼ同様のタイバー100Bをキャリパ13の取付部82に取り付けるため、第1実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。また、第1実施形態とは相違するタイバー100Bの取付部82への保持についても、タイバー100Bの突起部108aに設けられるOリング122aが突起部108aと凹部94aとの間に介装され、突起部108bに設けられるOリング122bが突起部108bと凹部94bとの間に介装されることで、タイバー100Bが取付部82に保持されることになる。このため、第1実施形態と同様に、タイバー100Bの取付部82への保持作業が容易となるとともに、手作業でタイバー100Bをキャリパ13に保持でき、圧入設備等を使用しなくて済む。加えて、加工公差をOリング122a,122bの変形で吸収できる。
なお、突起部108a,108bの両方について以下のように変更しても良い。
ここでは、図7に突起部108b側を例示して突起部108b側についてのみ説明するが、タイバー100Bの突起部108bの先端側中間位置の外径側に、先端側に抜けない円環状のシール溝124bを形成する。そして、突起部108bの先端側外周部を構成するこのシール溝124bに、ゴム製のOリング122bを嵌合させて保持する。この場合も、突起部108bのシール溝124bに保持されたOリング122bの外径が、凹部94bの内径に対して若干大径となっている。このように構成すれば、上記と同様の効果を奏することができる上、シール溝124bであることからOリング122bの突起部108bからの脱落を防止することができるため、キャリパ13に対するタイバー100Bの保持がさらに確実になる。
「第4実施形態」
次に、第4実施形態を主に図8に基づいて、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図8は、第4実施形態のディスクブレーキの図1におけるX1−X1対応断面図である。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図8に示す第4実施形態においては、第1実施形態の取付部82と相違する取付部82Cが設けられており、アルミニウム合金製のインナ側キャリパ半割体37のダイキャスト成形時に、取付部82Cに鉄製(鋳鉄製または鋼製)の一体成形品であるタイバー(補強部材)100Cが鋳込まれている。
第4実施形態の取付部82Cは、鏡面対称形状をなしており、ディスク円周方向両端側の2箇所に他の部分よりもディスク軸線方向においてディスクとは反対側のみに若干突出するように一対の取付ボス部131aおよび取付ボス部131bが形成されている。これにより、取付部82Cには、取付ボス部131a,131b間に、これらを結ぶように、これらよりもディスク軸線方向に若干薄い中間連結部132が形成されている。また、取付ボス部131aの取付ボス部131bとは反対側には、ディスク軸線方向に若干薄い端部形成部133aが形成されており、取付ボス部131bの取付ボス部131aとは反対側にも、ディスク軸線方向に若干薄い端部形成部133bが形成されている。
ディスク円周方向一側の取付ボス部131aには、ディスク11とは反対側にディスク軸直交方向に沿う面部135aが形成されており、ディスク円周方向他側の取付ボス部131bにも、面部135aと同一平面に配置されるように面部135bが形成されている。
第4実施形態のタイバー100Cは、鏡面対称形状をなしており、取付部82Cにおけるナックル14とは反対側、つまりディスク11側に偏って鋳込まれている。タイバー100Cは、ディスク円周方向両端側の2箇所に対称形状のアダプタ部136a,136bが形成されており、これら一対のアダプタ部136a,136b間に、これらを結ぶようにタイバー部137が形成されている。
ディスク円周方向一側のアダプタ部136aは、タイバー部137に対してディスク軸線方向においてディスク11とは反対側に若干突出しこれよりも大きくディスク11側に突出するように厚肉とされ、図示は略すがタイバー部137のディスク半径方向の幅よりも大径の円形状に形成されている。そして、このアダプタ部136aは、そのディスク11側の端部が取付部82Cよりもディスク11側に突出する一方、ディスク11とは反対側の端部が取付部82C内に配置されている。なお、アダプタ部136aは、取付部82Cの取付ボス部131aと中心を一致させている。
そして、取付部82Cの取付ボス部131aの面部135aの中央位置から取付穴(第1取付穴)142aがアダプタ部136aの位置までディスク軸線方向に沿って形成されており、アダプタ部136aには、その中央位置をディスク軸線方向に沿って貫通するようにメネジ部143aが、取付穴142aと連続して形成されている。これら取付穴142aおよびメネジ部143aは、タイバー100Cが取付部82Cに鋳込まれた状態で形成される。
ディスク円周方向他側のアダプタ部136bも、同様に、タイバー部137に対してディスク軸線方向においてディスク11とは反対側に若干突出しこれよりも大きくディスク11側に突出するように厚肉とされ、図示は略すがタイバー部137のディスク半径方向の幅よりも大径の円形状に形成されている。そして、このアダプタ部136bも、そのディスク11側の端部が取付部82Cよりもディスク11側に突出する一方、ディスク11とは反対側の端部が取付部82C内に配置されている。なお、アダプタ部136bは、取付部82Cの取付ボス部131bと中心を一致させている。
そして、取付部82Cの取付ボス部131bの面部135bの中央位置から取付穴(第1取付穴)142bがアダプタ部136bの位置までディスク軸線方向に沿って形成されており、アダプタ部136bには、その中央位置をディスク軸線方向に沿って貫通するようにメネジ部143bが、取付穴142bと連続して形成されている。これら取付穴142bおよびメネジ部143bも、タイバー100Cが取付部82Cに鋳込まれた状態で形成される。
車両へのキャリパ13の組み付け時には、取付部82Cに鋳込みによりタイバー100Cが保持されたキャリパ13をナックル14に対して、取付ボス部131aのタイバー100Cとは反対側の面部135aをナックル14の取付突起部22aの面部31aに当接させるとともに、取付ボス部131bのタイバー100Cとは反対側の面部135bをナックル14の連結突出部22bの面部31bに当接させる。そして、取付部82Cの取付穴142aをナックル14の取付穴33aに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴33aに取付ボルト114aの軸部115aを挿通させ、この取付ボルト114aの軸部115aをキャリパ13の取付穴142aに挿通させてタイバー100Cのアダプタ部136aのメネジ部143aに外周のオネジ116aにおいて螺合させる。同様に、取付部82Cの取付穴142bをナックル14の取付穴33bに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴33bに、取付ボルト114bの軸部115bを挿通させ、この取付ボルト114bの軸部115bをキャリパ13の取付穴142bに挿通させてタイバー100Cのアダプタ部136bのメネジ部143bに外周のオネジ116bにおいて螺合させる。そして、取付ボルト114aの頭部117aおよび取付ボルト114bの頭部117bを締め付ける。
以上により、取付ボルト114aの頭部117aがナックル14の取付突起部22aの面部32aに密着し、取付突起部22aの面部31aがキャリパ13の取付部82Cの面部135aに密着するとともに、取付ボルト114bの頭部117bがナックル14の取付突起部22bの面部32bに密着し、取付突起部22bの面部31bがキャリパ13の取付部82Cの面部135bに密着する。このようにタイバー100Cと2本の取付ボルト114a,114bとによってキャリパ13の取付部82Cとナックル14とが締結される。つまり、キャリパ13が車両に取り付けられる。
この状態で、タイバー100Cは、キャリパ13の取付部82Cに対して、ナックル14とは反対側に位置して、この取付部82Cに設けられ、具体的には取付部82Cに一体的に鋳込まれている。また、この状態でタイバー100Cがナックル14の取付突起部22a,22bをディスク円周方向に結ぶようにして取付突起部22a,22bと一体となり、ナックル14を取付ボルト114a,114bとで補強する。
このような第4実施形態によれば、ナックル14とは反対側でキャリパ13の取付部82Cに鋳込まれ取付ボルト114aが螺合されるメネジ部143aを有するアダプタ部136aと、ナックル14とは反対側でキャリパ13の取付部82Cに鋳込まれ取付ボルト114bが螺合されるメネジ部143bを有するアダプタ部136bと、これらアダプタ部136a,136b同士を連結するタイバー部137とからなる、アルミニウム合金製の取付部82Cおよびナックル14よりもヤング率の高い鉄製のタイバー100Cを備え、このタイバー100Cが、キャリパ13の取付部82Cに鋳込まれて保持されることになる。このため、ナックル14の取付穴33aおよびキャリパ13の取付部82Cの取付穴142aに挿通された取付ボルト114aのオネジ部116aをタイバー100Cのメネジ部143aに螺合させ、ナックル14の取付穴33bおよびキャリパ13の取付部82Cの取付穴142bに挿通された取付ボルト114bのオネジ部116bをタイバー100Cのメネジ部143bに螺合させることで、取付ボルト114a,114bおよびタイバー100Cでキャリパ13の取付部82Cとナックル14とを締結することができ、タイバー100Cにアダプタの機能を持たせることができる。したがって、取り付けが容易となるとともに部品点数およびコストを低減することができる。
また、タイバー100Cが、キャリパ13の取付部82Cに鋳込まれて保持されるため、タイバー100Cをキャリパ13に取り付ける作業が不要となり、キャリパ13のナックル14への取り付け作業がさらに容易となる。
また、タイバー100Cは、取付ボルト114a,114bによるキャリパ13とナックル14との締結前に、メネジ部143aと取付穴142aとを一致させ、かつメネジ部143bと取付穴142bとを一致させてキャリパ13に保持されるため、取付ボルト114aをナックル14側から取付穴142aに挿入すればメネジ部143aに螺合させることができ、取付ボルト114bもナックル14側から取付穴142bに挿入すればメネジ部143bに螺合させることができる。よって、取付ボルト114a,114bのタイバー100Cへの螺合を容易に行うことができる。したがって、キャリパ13のナックル14への取り付け作業がさらに容易となる。
また、タイバー100Cがキャリパ13に鋳込まれて保持されるため、保持のための専用部品を設ける必要がなくなる。したがって、部品点数およびコストをさらに低減することができる。
以上の第4実施形態においても、ナックル14の取付穴33a,33bの数、およびこれと同数となる、キャリパ13の取付部82Cの取付穴142a,142bの数、タイバー100Cのアダプタ部136a,136bの数およびタイバー100Cのメネジ部143a,143bの数は、それぞれ少なくとも2つあれば良い。
「第5実施形態」
次に、第5実施形態を主に図9に基づいて、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図9は、第5実施形態のディスクブレーキの図1におけるX1−X1対応断面図である。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図9に示す第5実施形態において、アルミニウム合金製の一体成形品であるインナ側キャリパ半割体37に、第1実施形態の取付部82とは相違する取付部82Dが設けられている。
取付部82Dのディスク11とは反対側には、ディスク円周方向両端の2箇所に、ディスク軸線方向に直交する段差面部150a,150bが同一平面に配置されるように形成され、これら段差面部150a,150bのそれぞれの内側の2箇所に、これらよりもディスク11とは反対側に若干ずれてディスク軸線方向に直交する当接面部151a,151bが同一平面に配置されるように形成され、これら当接面部151a,151bの間に、これらよりもディスク11とは反対側に若干ずれてディスク軸線方向に直交する連結面部152が形成されている。
また、取付部82Dのディスク11側には、ディスク円周方向に長い保持凹部155がディスク11とは反対側に凹むように形成されており、その結果、この保持凹部155のディスク円周方向の両側にディスク軸線方向に沿ってディスク11側に突出する保持壁部156a,156bが形成されている。保持凹部155の底部の保持壁部156a,156b側には、当接面部151aのディスク11側でディスク軸線方向に直交する保持面部158aと、当接面部151bのディスク11側でディスク軸線方向に直交する保持面部158bとが、同一平面に配置されるように形成されている。さらに、保持凹部155の底部の保持面部158a,158bの間位置には、これらよりもディスク11とは反対側に若干ずれてディスク軸線方向に直交する逃面部159が形成されている。
そして、取付部82Dには、ディスク円周方向一側の当接面部151aと保持面部158aとをそれぞれの中間位置同士を結ぶように取付穴(第1取付穴)160aがディスク軸線方向に沿って貫通形成されており、ディスク円周方向他側の当接面部151bと保持面部158bとをそれぞれの中間位置同士を結ぶように取付穴(第1取付穴)160bがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。第5実施形態においても、取付部82Dは鏡面対称形状をなしている。
そして、第5実施形態においても、アルミニウム合金製の一体成形品であるインナ側キャリパ半割体37の取付部82Dに、鉄製(鋳鉄製または鋼製)の一体成形品であるタイバー(補強部材)100Dが保持される。
タイバー100Dは、鏡面対称形状をなしており、ディスク軸線方向に一定厚さの板状をなしている。タイバー100Dは、円周方向両端側の2箇所に対称形状にアダプタ部161a,161bが形成されており、ディスク円周方向一側のアダプタ部161aの中央位置にメネジ部162aが、ディスク円周方向他側のアダプタ部161bの中央位置にメネジ部162bが、それぞれディスク軸線方向に沿って貫通して形成されている。アダプタ部161a,161bはタイバー部163で連結されている。
ここで、タイバー100Dのディスク円周方向における長さは、取付部82Dの保持壁部156a,156b間の距離よりも、締め代分長くなっている。
このようなタイバー100Dは、キャリパ13の車両側への組み付け前に、キャリパ13の取付部82Dの保持凹部155内に保持されることになり、その際に、長手方向の両端部であるアダプタ部161a,161bが取付部82Dの保持壁部156a,156b間に締め代をもって嵌合することになる。これにより、タイバー100Dは、キャリパ13の取付部82Dに保持されるようになっている。
なお、このように取付部82Dに保持された状態で、タイバー100Dは、キャリパ13の取付部82Dの保持面部158a,158bに当接することになり、キャリパ13の取付部82Dの一方の取付穴160aとタイバー100Dの一方のメネジ部162aとが一致する、つまり同軸配置されることになり、キャリパ13の取付部82Dの他方の取付穴160bとタイバー100Dの他方のメネジ部162bとが一致する、つまり同軸配置されることになる。
車両へのキャリパ13の組み付け時には、上記のようにして、キャリパ13の取付部82Dに予めタイバー100Dを保持した状態で、キャリパ13の取付部82Dのタイバー100Dとは反対側の当接面部151aをナックル14の取付突起部22aの面部31aに当接させるとともに、当接面部151bを、ナックル14の連結突出部22bの面部31bに当接させる。そして、取付部82Dの取付穴160aをナックル14の取付穴33aに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴33aに取付ボルト114aの軸部115aを挿通させ、この取付ボルト114aの軸部115aをキャリパ13の取付穴160aに挿通させてタイバー100Dのアダプタ部161aのメネジ部162aに外周のオネジ116aにおいて螺合させる。同様に、取付部82Dの取付穴160bをナックル14の取付穴33bに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴33bに、取付ボルト114bの軸部115bを挿通させ、この取付ボルト114bの軸部115bをキャリパ13の取付穴160bに挿通させてタイバー100Dのアダプタ部161bのメネジ部162bに外周のオネジ116bにおいて螺合させる。そして、取付ボルト114aの頭部117aおよび取付ボルト114bの頭部117bを締め付ける。
以上により、取付ボルト114aの頭部117aがナックル14の取付突起部22aの面部32aに密着し、取付突起部22aの面部31aがキャリパ13の取付部82Dの当接面部151aと密着し、キャリパ13の取付部82Dの保持面部158aがタイバー100Dに密着するとともに、取付ボルト114bの頭部117bがナックル14の取付突起部22bの面部32bに密着し、取付突起部22bの面部31bがキャリパ13の取付部82Dの当接面部151bと密着し、キャリパ13の取付部82Dの保持面部158bがタイバー100Dに密着する。このようにタイバー100Dと2本の取付ボルト114a,114bとによってキャリパ13の取付部82Dとナックル14とが締結される。つまり、キャリパ13が車両に取り付けられる。
この状態で、タイバー100Dは、キャリパ13の取付部82Dに対して、ナックル14とは反対側に位置して、この取付部82Dに設けられ、具体的には取付部82Dに嵌合されている。この状態でタイバー100Dがナックル14の取付突起部22a,22bをディスク円周方向に結ぶようにして取付突起部22a,22bと一体となり、ナックル14を取付ボルト114a,114bとで補強する。
このような第5実施形態によれば、ナックル14とは反対側でキャリパ13の取付部82Dに嵌合し、取付ボルト114aが螺合されるメネジ部162aと取付ボルト114bが螺合されるメネジ部162bとを有する、アルミニウム合金製の取付部82Dおよびナックル14よりもヤング率の高い鉄製のタイバー100Dを備え、このタイバー100Dが、アダプタ部161a,161bによりキャリパ13の取付部82Dに嵌合保持されることになる。このため、ナックル14の取付穴33aおよびキャリパ13の取付部82Dの取付穴160aに挿通された取付ボルト114aのオネジ部116aをタイバー100Dのアダプタ部161aのメネジ部162aに螺合させ、ナックル14の取付穴33bおよびキャリパ13の取付部82Dの取付穴160bに挿通された取付ボルト114bのオネジ部116bをタイバー100Dのアダプタ部161bのメネジ部162bに螺合させることで、取付ボルト114a,114bおよびタイバー100Dでキャリパ13の取付部82Dとナックル14とを締結することができ、タイバー100Dにアダプタの機能を持たせることができる。したがって、取り付けが容易となるとともに部品点数およびコストを低減することができる。
また、タイバー100Dがアダプタ部161a,161bによりキャリパ13の取付部82Dに嵌合保持されるため、タイバー100Dを予めキャリパ13に取り付けておくことができ、キャリパ13のナックル14への取り付け作業が容易となる。
また、タイバー100Dは、取付ボルト114a,114bによるキャリパ13とナックル14との締結前に、アダプタ部161aのメネジ部162aと取付穴160aとを一致させ、かつアダプタ部161bのメネジ部162bと取付穴160bとを一致させてキャリパ13に保持されるため、取付ボルト114aをナックル14側から取付穴160aに挿入すればメネジ部162aに螺合させることができ、取付ボルト114bもナックル14側から取付穴160bに挿入すればメネジ部162bに螺合させることができる。よって、取付ボルト114a,114bのタイバー100Dへの螺合を容易に行うことができる。したがって、キャリパ13のナックル14への取り付け作業がさらに容易となる。
また、タイバー100Dがアダプタ部161a,161bによりキャリパ13に嵌合で保持されるため、保持のための専用部品を設ける必要がなくなる。したがって、部品点数およびコストをさらに低減することができる。
また、タイバー100Dは、長手方向の端部のアダプタ部161a,161bで取付部82Dの保持壁部156a,156b間に嵌合して保持されることになるため、タイバー100Dを突起部等のない単純な形状にでき、その製造コストを抑えることができる。
以上の第5実施形態においても、ナックル14の取付穴33a,33bの数、およびこれと同数となる、キャリパ13の取付部82Dの取付穴160a,160bの数、タイバー100Dのアダプタ部161a,161bの数およびタイバー100Dのメネジ部162a,162bの数は、それぞれ少なくとも2つあれば良い。
「第6実施形態」
次に、第6実施形態を主に図10に基づいて、第5実施形態との相違部分を中心に説明する。
図10は、第6実施形態のディスクブレーキの図1におけるX1−X1対応断面図である。なお、第5実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図10に示す第6実施形態においては、インナ側キャリパ半割体37が第5実施形態の取付部82Dとほぼ同様の取付部82Eを有している。取付部82Eの取付部82Dに対する相違点は、次の点である。
取付部82Eのディスク円周方向の中央位置に、ディスク軸線方向両側に突出する取付ボス部164が形成されている。この取付ボス部164には、ディスク11とは反対側に、連結面部152よりもディスク11とは反対側に若干ずれてディスク軸線方向に直交するボルト座面部165が形成されており、ディスク11側に、保持面部158a,158bと同一平面に配置されるように保持面部166が形成されている。そして、ボルト座面部165の中央位置と保持面部166の中央位置とを結ぶようにディスク軸線方向に沿うボルト挿通穴167が形成されている。
そして、第6実施形態においても、アルミニウム合金製の一体成形品であるインナ側キャリパ半割体37の取付部82Eに、鉄製(鋳鉄製または鋼製)の一体成形品であるタイバー(補強部材)100Eが保持される。
第6実施形態のタイバー100Eは、第5実施形態のタイバー100Dに対し若干相違しており、タイバー100Eのタイバー100Dに対する相違点は、次の点となっている。
タイバー100Eには、アダプタ部161a,161bを連結するタイバー部163のディスク円周方向の中央位置に、係合メネジ部168がディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。
ここで、タイバー100Eのディスク円周方向における長さは、取付部82Eの保持壁部156a,156b間の距離よりも短くなっており、タイバー100Eは取付部82Eの保持凹部155内に遊嵌される。
このようなタイバー100Eは、キャリパ13の車両側への組み付け前に、キャリパ13に保持されることになり、その際に、取付部82Eの保持凹部155内に配置されて保持面部158a,158bおよび保持面部166に当接させられる。そして、取付部82Eのボルト挿通穴167とタイバー100Eの係合メネジ部168との位置を合わせた状態で、取付部82E側からボルト挿通穴167に保持ボルト(係止部材,ネジ部材)170の軸部171を挿通させ、この保持ボルト170の軸部171をタイバー100Eの係合メネジ部168に外周のオネジ172において螺合させる。このとき、保持ボルト170の頭部173の締め付けは、タイバー100Eが取付部82Eから脱落せず、保持凹部155内で回転可能な範囲で行われる。なお、このように取付部82Eに保持された状態で、タイバー100Eが、キャリパ13の取付部82Eの保持面部158a,158b,166に当接することになり、キャリパ13の取付部82Eの一方の取付穴160aとタイバー100Eの一方のメネジ部162aとが一致可能であり、キャリパ13の取付部82Eの他方の取付穴160bとタイバー100Eの他方のメネジ部162bとについても一致可能になる。
車両へのキャリパ13の組み付け時には、上記のようにして、キャリパ13の取付部82Eに予めタイバー100Eを保持した状態で、キャリパ13の取付部82Eのタイバー100Eとは反対側の当接面部151aをナックル14の取付突起部22aの面部31aに当接させるとともに、当接面部151bを、ナックル14の連結突出部22bの面部31bに当接させる。そして、取付部82Eの取付穴160aをナックル14の取付穴33aに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴33aに取付ボルト114aの軸部115aを挿通させ、この取付ボルト114aの軸部115aをキャリパ13の取付穴160aに挿通させてタイバー100Eのアダプタ部161aのメネジ部162aに外周のオネジ116aにおいて螺合させる。このとき、必要によりタイバー100Eを回転させて取付穴160aにメネジ部162aの位置を合わせる。同様に、取付部82Eの取付穴160bをナックル14の取付穴33bに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴33bに、取付ボルト114bの軸部115bを挿通させ、この取付ボルト114bの軸部115bをキャリパ13の取付穴160bに挿通させてタイバー100Eのアダプタ部161bのメネジ部162bに外周のオネジ116bにおいて螺合させる。そして、取付ボルト114aの頭部117aおよび取付ボルト114bの頭部117bを締め付けるとともに、保持ボルト170の頭部173を締め付ける。
以上により、第5実施形態と同様に、タイバー100Eと2本の取付ボルト114a,114bとによってキャリパ13の取付部82Eとナックル14とが締結される。
このような第6実施形態によれば、第5実施形態とほぼ同様のタイバー100Eをキャリパ13の取付部82Eに取り付けるため、第5実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。また、第5実施形態とは相違するタイバー100Eの取付部82Eへの保持についても、保持ボルト170が必要になるものの、2つのアダプタ部161a,161bがともに隙間嵌めされた状態で、保持ボルト170を係合メネジ部168に螺合させることでタイバー100Eを取付部82Eに保持できるため、タイバー100Eの長さと保持壁部156a,156b間の長さの管理が容易となる。
また、保持ボルト170でタイバー100Eを取付部82Eに保持するため、取付部82Eにボルト挿通穴167を、タイバー100Eに係合メネジ部168を追加すれば済み、コスト増を抑制できる。
また、取付ボルト114a,114bに加えて保持ボルト170でタイバー100Eを取付部82Eに保持できるため、タイバー100Eの連結が三箇所となり、剛性が向上し、ブレーキ鳴き抑制効果がさらに向上する。
「第7実施形態」
次に、第7実施形態を主に図11〜図13に基づいて、第1実施形態との相違部分を中心に説明する。
図11は、第7実施形態のディスクブレーキを示す正面図である。図12は、第7実施形態のディスクブレーキを示す図11のY2−Y2断面図である。図13は、第7実施形態のディスクブレーキを示す図11のX2−X2断面図である。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第7実施形態においては、アルミニウム合金製の一体成形品であるインナ側キャリパ半割体37の取付部82Fではなく、アルミニウム合金製のナックル14Fに、鉄製(鋳鉄製または鋼製)の一体成形品である第1実施形態のタイバー100が保持される。
第7実施形態において、アルミニウム合金製のナックル14Fは、ベース部21のディスク半径方向外側の外縁部のディスク円周方向に離間した2箇所からそれぞれディスク半径方向外側に突出する取付突起部181aおよび取付突起部181bを有している。
ディスク円周方向一側の取付突起部181aには、図12および図13に示すように、ディスク11側にディスク軸直交方向に沿う面部182aが、ディスク11とは反対側にもディスク軸直交方向に沿う面部183aが形成されており、これら面部182a,183aのそれぞれの中央側同士を結ぶように取付穴(第2取付穴)184aがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。取付穴184aは、ディスク11側がディスク11とは反対側に凹む断面円形状のストレートな凹部185aとされており、ディスク11とは反対側がこの凹部185aの中央を貫通する凹部185aよりも小径のストレートな挿通穴部186aとされていて、段付き形状をなしている。
図13に示すように、ディスク円周方向他側の取付突起部181bには、ディスク11側に面部182aと同一平面に配置されるように面部182bが形成され、ディスク11とは反対側にも面部183aと同一平面に配置されるように面部183bが形成されており、これら面部182b,183bのそれぞれの中央側同士を結ぶように取付穴(第2取付穴)184bがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。取付穴184bも、取付穴184aと同形状をなしている。つまり、取付穴184bは、ディスク11側がディスク11とは反対側に凹む断面円形状のストレートな凹部185bとされており、ディスク11とは反対側がこの凹部185bの中央を貫通する凹部185bよりも小径の挿通穴部186bとされていて、段付き形状をなしている。
図12に示すように、キャリパ13のアルミニウム合金で一体成形されたインナ側キャリパ半割体37には、シリンダ部40の軸線方向中間位置からディスク半径方向内方(ディスク中心方向)に延出する車両への取付部分である取付部82Fが形成されている。
取付部82Fは鏡面対称形状をなしており、図13に示すように、取付部82Fには、ディスク円周方向両端側の2箇所に他の部分よりもディスク軸線方向両側に突出するように厚肉とされた一対の取付ボス部190aおよび取付ボス部190bが形成されている。これにより、取付部82Fには、取付ボス部190a,190b間に、これらを結ぶように、これらよりもディスク軸線方向に若干薄い中間連結部191が形成されている。
ディスク円周方向一側の取付ボス部190aには、ディスク11側にディスク軸直交方向に沿う面部193aが、ディスク11とは反対側にもディスク軸直交方向に沿う面部194aが形成されており、これら面部194a,194aのそれぞれの中央側同士を結ぶようにストレートな取付穴(第1取付穴)195aがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。
ディスク円周方向他側の取付ボス部190bには、ディスク11側に面部193aと同一平面に配置されるように面部193bが形成され、ディスク11とは反対側にも面部194aと同一平面に配置されるように面部194bが形成されており、これら面部193b,194bのそれぞれの中央側同士を結ぶようにストレートな取付穴(第1取付穴)195bがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。
そして、第7実施形態においては、ナックル14Fにおける取付部82Fとは反対側、つまりディスク11側に配置されて、鉄製(鋳鉄製または鋼製)の一体成形品である第1実施形態のタイバー(補強部材)100が設けられている。
タイバー100は、ディスク円周方向一側のアダプタ部101aの環状凸部112aが形成されている突起部108aの外径が、ディスク円周方向他側のアダプタ部101bの突起部108bの外径よりも大径であり、ナックル14Fの取付突起部181aの凹部185aよりも締め代分大径となっている。一方、アダプタ部101bの突起部108bの外径は、ナックル14Fの取付突起部181bの凹部185bよりも若干小径となっている。また、突起部108a,108bの中心間距離は、凹部185a,185bの中心間距離と等しくされている。
このようなタイバー100が、キャリパ13の車両側への組み付け前に、ナックル14Fに保持されることになり、その際に、2つの突起部108a,108bにおいてナックル14Fの2つの取付穴184a,184bの凹部185a,185bに嵌合することになる。このとき、タイバー100は、一のアダプタ部101aの突起部108aが凹部185aに圧入されて密着嵌合することになり、他のアダプタ部101bの突起部108bが凹部185bに隙間嵌めで遊嵌嵌合されることになる。このように一方のアダプタ部101aの突起部108aが凹部185aに圧入されることで、タイバー100はナックル14Fに保持されるようになっている。なお、このようにアダプタ部101aによりナックル14Fに嵌合保持された状態で、タイバー100の取付座部107aの面部111aが、ナックル14Fの取付突起部181aの面部182aに当接することになり、取付座部107bの面部111bが、取付突起部181bの面部182bに当接することになる。また、この状態で、ナックル14Fの取付突起部181aの取付穴184aとタイバー100の一方のメネジ部109aとが一致する、つまり同軸配置されることになり、ナックル14Fの取付突起部181bの取付穴184bとタイバー100の他方のメネジ部109bとが一致する、つまり同軸配置されることになる。
車両へのキャリパ13の組み付け時には、上記のようにして、ナックル14Fに予めタイバー100を保持した状態で、キャリパ13の取付部82Fの取付ボス部190aの面部193aをナックル14Fの取付突起部181aの面部183aに当接させるとともに、取付ボス部190bの面部193bをナックル14Fの取付突起部181bの面部183bに当接させる。そして、取付部82Fの取付穴195aをナックル14Fの取付穴184aに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴195aに取付ボルト114aの軸部115aを挿通させ、この取付ボルト114aの軸部115aをナックル14Fの取付穴184aの挿通穴部186aに挿通させてタイバー100のアダプタ部101aのメネジ部109aに外周のオネジ116aにおいて螺合させる。同様に、取付部82Fの取付穴195bをナックル14Fの取付穴184bに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴195bに取付ボルト114bの軸部115bを挿通させ、この取付ボルト114bの軸部115bをナックル14Fの取付穴184bの挿通穴部186bに挿通させてタイバー100のアダプタ部101bのメネジ部109bに外周のオネジ116bにおいて螺合させる。そして、取付ボルト114aの頭部117aおよび取付ボルト114bの頭部117bを締め付ける。
以上により、取付ボルト114aの頭部117aが、キャリパ13の取付部82Fの取付ボス部190aの面部194aに密着し、取付ボス部190aの面部193aがナックル14Fの取付突起部181aの面部183aと密着し、ナックル14Fの取付突起部181aの面部182aがタイバー100の取付座部107aの面部111aに密着するとともに、取付ボルト114bの頭部117bが、キャリパ13の取付部82Fの取付ボス部190bの面部194bに密着し、取付ボス部190bの面部193bがナックル14Fの取付突起部181bの面部183bと密着し、ナックル14Fの取付突起部181bの面部182bがタイバー100の取付座部107bの面部111bに密着する。このようにタイバー100と2本の取付ボルト114a,114bとによってキャリパ13の取付部82Fとナックル14Fとが締結される。つまり、キャリパ13が車両に取り付けられる。
この状態で、タイバー100は、ナックル14Fの取付突起部181a,181bに対して取付部82Fとは反対側に位置して、この取付突起部181a,181bに設けられ、具体的には取付突起部181a,181bに嵌合されている。この状態でタイバー100がナックル14Fの取付突起部22a,22bをディスク円周方向に結ぶようにして取付突起部181a,181bと一体となり、ナックル14Fを取付ボルト114a,114bとで補強する。
このような第7実施形態によれば、キャリパ13の取付部82Fとは反対側でナックル14Fに嵌合し取付ボルト114aが螺合されるメネジ部109aを有するアダプタ部101aと、キャリパ13の取付部82Fとは反対側でナックル14Fに嵌合し取付ボルト114bが螺合されるメネジ部109bを有するアダプタ部101bと、これらアダプタ部101a,101b同士を連結するタイバー部102とからなる、アルミニウム合金製のキャリパ13の取付部82Fおよびナックル14Fよりもヤング率の高い鉄製のタイバー100を備え、このタイバー100が、アダプタ部101aによりナックルFに嵌合保持されることになる。このため、キャリパ13の取付部82Fの取付穴195aおよびナックル14Fの取付穴184aの挿通穴部186aに挿通された取付ボルト114aのオネジ部116aをタイバー100のメネジ部109aに螺合させ、キャリパ13の取付部82Fの取付穴195bおよびナックル14Fの取付穴184bの挿通穴部186bに挿通された取付ボルト114bのオネジ部116bをタイバー100のメネジ部109bに螺合させることで、取付ボルト114a,114bおよびタイバー100でキャリパ13の取付部82Fとナックル14Fとを締結することができ、タイバー100にアダプタの機能を持たせることができる。したがって、取り付けが容易となるとともに部品点数およびコストを低減することができる。
また、タイバー100が、アダプタ部101aによりナックル14Fに嵌合保持されるため、タイバー100を予めナックル14Fに取り付けておくことができる。
また、タイバー100が、アダプタ部101aによりナックル14Fに嵌合され、アダプタ部101bによりナックル14Fに嵌合されるとともに、これらがタイバー部102で連結されているため、取付ボルト114a,114bの螺合時に、アダプタ部101a,101bの共回りを防止できる。したがって、キャリパ13のナックル14Fへの取り付け作業が容易となる。
また、タイバー100は、取付ボルト114a,114bによるキャリパ13とナックル14Fとの締結前に、メネジ部109aと取付穴184aとを一致させ、かつメネジ部109bと取付穴184bとを一致させてナックル14Fに保持されるため、取付ボルト114aを取付部82F側から取付穴184aの挿通穴部186aに挿入すればメネジ部109aに螺合させることができ、取付ボルト114bも取付部82F側から取付穴184bの挿通穴部186bに挿入すればメネジ部109bに螺合させることができる。よって、取付ボルト114a,114bのタイバー100への螺合を容易に行うことができる。したがって、キャリパ13のナックル14Fへの取り付け作業がさらに容易となる。
また、タイバー100がナックル14Fに嵌合で保持されるため、保持のための専用部品を設ける必要がなくなる。したがって、部品点数およびコストをさらに低減することができる。
また、ナックル14Fの取付突起部181a,181bには、凹部185a,185bが形成され、タイバー100は、凹部185aに嵌合する突起部108aおよび凹部185bに嵌合する突起部108bを有し、突起部108aにメネジ部109aが、突起部108bにメネジ部109bが形成されているため、メネジ部109a,109bの長さを確保できる。したがって、取付ボルト114a,114bの締付軸力をさらに高くすることができる。
また、タイバー100には、2つのアダプタ部101a,101bに2つの突起部108a,108bが設けられ、一のアダプタ部101aの突起部108aがナックル14Fの凹部185aに圧入されることで密着嵌合して、タイバー100がナックル14Fに保持されるため、タイバー100のナックル14Fへの保持作業が容易となるとともに、保持のための専用の部品を必要としないため、部品点数の増加を抑制できる。
また、タイバー100は、2つのアダプタ部101a,101bのうち、一のアダプタ部101aの突起部108aがナックル14Fの凹部185aに圧入され、他のアダプタ部101bの突起部108bがナックル14Fの凹部185bに隙間嵌めされて、ナックル14Fに保持されるため、一方のみ圧入すれば良く、タイバー100のナックル14Fへの保持作業がさらに容易となるとともに、突起部108a,108b間の公差を吸収できる。
以上の第7実施形態においても、キャリパ13の取付部82Fの取付穴195a,195bの数は少なくとも2つあれば良く、これと同数となる、ナックル14Fの取付穴184a,184bの数、タイバー100のアダプタ部101a,101bの数、タイバー100のメネジ部109a,109bの数は、それぞれ少なくとも2つあれば良い。
「第8実施形態」
次に、第8実施形態を主に図14に基づいて、第7実施形態との相違部分を中心に説明する。
図14は、第8実施形態のディスクブレーキを示す図11のX2−X2対応断面図である。なお、第7実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図14に示す第8実施形態においては、第7実施形態のナックル14Fに対し、図4に示す第2実施形態の、環状凸部112aを有する突起部108aと環状凸部112bを有する突起部108bとが同径となっているタイバー100Aを取り付ける。このため、これら突起部108aおよび突起部108bの外径は、ナックル14Fの凹部185a,185bの内径に対し若干小径となっており、2つの突起部108a,108bの中心間距離が、2箇所の凹部185a,185bの中心間距離よりも短くされている。
これにより、タイバー100Aは、これら突起部108a,108bの環状凸部112a,環状凸部112b同士の内側対向面、つまり近接側対向面で凹部185a,185bの近接側の壁面を両側から挟持するようにしてナックル14Fに嵌合してナックル14Fに保持される。
このような第8実施形態によれば、第7実施形態とほぼ同様のタイバー100Aをナックル14Fに取り付けるため、第7実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。また、第7実施形態とは相違するタイバー100Aの取付部82Fへの保持についても、タイバー100Aの2つのアダプタ部101a,101bに2つの突起部108a,108bが設けられ、これら突起部108a,108b同士の内側対向面、つまり近接側対向面で凹部185a,185bの近接側の壁面を両側から挟持するようにしてナックル14Fに嵌合して、タイバー100Aがナックル14Fに保持されることになる。このため、第7実施形態と同様に、タイバー100Aのナックル14Fへの保持作業が容易となる。
「第9実施形態」
次に、第9実施形態を主に図15に基づいて、第7実施形態との相違部分を中心に説明する。
図15は、第9実施形態のディスクブレーキを示す図11のX2−X2対応断面図である。なお、第7実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図15に示す第9実施形態においては、第7実施形態のナックル14Fに対し、図5に示す第3実施形態の、突起部108aの先端側外径に、先端側に抜ける円環状の切欠部120aが形成され、突起部108bの先端側外径にも、先端側に抜ける円環状の切欠部120bが形成されたタイバー100Bを取り付ける。このため、第3実施形態と同様、突起部108aの切欠部120aにOリング122aを、突起部108bの切欠部120bにOリング122bを設けており、突起部108aおよび突起部108bの外径を、ナックル14Fの凹部185a,185bの内径に対し若干小径としている。加えて、突起部108aの切欠部120aに保持されたOリング122aの外径に対し、凹部185aが若干小径となっていて、突起部108bの切欠部120bに保持されたOリング122bの外径に対し、凹部185bも若干小径となっている。また、2つの突起部108a,108bの中心間距離に対し、2箇所の凹部185a,185bの中心間距離を等しくしている。
そして、タイバー100Bの突起部108aをナックル14Fの凹部185aに、突起部108bを凹部185bにそれぞれ嵌合させると、Oリング122aが上記した径差により凹部185aの壁面に密着嵌合しつつ半径方向に押し潰されて、突起部108aと凹部185aとの間に介装されることになり、Oリング122bが上記した径差により凹部185bの壁面に密着嵌合しつつ半径方向に押し潰されて、突起部108bと凹部185bとの間に介装されることになり、その時に生じる弾性力および摩擦力で、ナックル14Fにタイバー100Bを保持する。
このような第9実施形態によれば、第7実施形態とほぼ同様のタイバー100Bをナックル14Fに取り付けるため、第7実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。
また、第7実施形態とは相違するタイバー100Bの取付部82Fへの保持についても、タイバー100Bの突起部108aに設けられるOリング122aが突起部108aと凹部185aとの間に介装され、突起部108bに設けられるOリング122bが突起部108bと凹部185bとの間に介装されることで、タイバー100Bがナックル14Fに保持されることになる。このため、第7実施形態と同様に、タイバー100Bのナックル14Fへの保持作業が容易となるとともに、手作業でタイバー100Bをナックル14Fに保持でき、圧入設備等を使用しなくて済む。
なお、第9実施形態のタイバー100Bにおいて、切欠部120a,120bにかえて、図7に示す先端側に抜けない円環状のシール溝124bを形成し、このシール溝124bにOリング122bを嵌合させても良い。
「第10実施形態」
次に、第10実施形態を主に図16に基づいて、第7実施形態との相違部分を中心に説明する。
図16は、第10実施形態のディスクブレーキを示す図11のX2−X2対応断面図である。なお、第7実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図16に示す第10実施形態においては、第7実施形態に対し、図8に示す第4実施形態の鏡面対称形状のタイバー100Cが、アルミニウム合金製のナックル14Gにそのダイキャスト成形時に鋳込まれている。
ナックル14Gには、そのディスク半径方向外側の外縁部にディスク円周方向に延在してディスク半径方向外側に突出する取付部200が形成されている。この取付部200は、鏡面対称形状をなしており、ディスク円周方向両端側の2箇所に他の部分よりもディスク軸線方向においてディスク11とは反対側のみに突出するように厚肉とされた一対の取付ボス部201aおよび取付ボス部201bが形成されている。これにより、取付部200には、取付ボス部201a,201b間に、これらを結ぶように、これらよりもディスク軸線方向に若干薄い中間連結部202が形成されている。また、取付ボス部201aの取付ボス部201bとは反対側には、ディスク軸線方向に若干薄い端部形成部203aが形成されており、取付ボス部201bの取付ボス部201aとは反対側にも、ディスク軸線方向に若干薄い端部形成部203bが形成されている。
ディスク円周方向一側の取付ボス部201aには、ディスク11とは反対側にディスク軸直交方向に沿う面部205aが形成されており、ディスク円周方向他側の取付ボス部201bにも、面部205aと同一平面に配置されるように面部205bが形成されている。
タイバー100Cは、取付部200におけるディスク11側に偏って鋳込まれており、そのアダプタ部136aのディスク11側の端部を取付部200よりもディスク11側に突出させる一方、ディスク11とは反対側の端部を取付部200内に配置し、アダプタ部136aの中心を取付部200の取付ボス部201aの中心と一致させた状態となっている。また、タイバー100Cは、そのアダプタ部136bのディスク11側の端部を取付部200よりもディスク11側に突出させる一方、ディスク11とは反対側の端部を取付部200内に配置し、アダプタ部136bの中心を取付部200の取付ボス部201bの中心と一致させた状態となっている。
そして、取付部200の取付ボス部201aの面部205aの中央位置から取付穴(第2取付穴)207aがアダプタ部136aの位置までディスク軸線方向に沿って形成されており、アダプタ部136aには、その中央位置をディスク軸線方向に沿って貫通するようにメネジ部143aが、取付穴207aと連続して形成されている。アダプタ部136aおよびメネジ部143aは、取付ボス部201aと中心を一致させている。これら取付穴207aおよびメネジ部143aは、タイバー100Cが取付部200に鋳込まれた状態で形成される。
また、取付部200の取付ボス部201bの面部205bの中央位置から取付穴(第2取付穴)207bがアダプタ部136bの位置までディスク軸線方向に沿って形成されており、アダプタ部136bには、その中央位置をディスク軸線方向に沿って貫通するようにメネジ部143bが、取付穴207bと連続して形成されている。アダプタ部136bおよびメネジ部143bも、取付ボス部201bと中心を一致させている。これら取付穴207bおよびメネジ部143bも、タイバー100Cが取付部200に鋳込まれた状態で形成される。
車両へのキャリパ13の組み付け時には、キャリパ13の取付部82Fの取付ボス部190aの面部193aを、タイバー100Cを鋳込んだナックル14Gの取付部200の取付ボス部201aの面部205aに当接させるとともに、キャリパ13の取付部82Fの取付ボス部190bの面部193bをナックル14Gの取付部200の取付ボス部201bの面部205bに当接させる。そして、取付部82Fの取付穴195aをナックル14Gの取付穴207aに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴195aに取付ボルト114aの軸部115aを挿通させ、この取付ボルト114aの軸部115aをナックル14Gの取付穴207aに挿通させてタイバー100Cのアダプタ部136aのメネジ部143aに外周のオネジ116aにおいて螺合させる。同様に、取付部82Fの取付穴195bをナックル14Gの取付穴207bに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴195bに、取付ボルト114bの軸部115bを挿通させ、この取付ボルト114bの軸部115bをナックル14Gの取付穴207bに挿通させてタイバー100Cのアダプタ部136bのメネジ部143bに外周のオネジ116bにおいて螺合させる。そして、取付ボルト114aの頭部117aおよび取付ボルト114bの頭部117bを締め付ける。
以上により、取付ボルト114aの頭部117aが取付部82Fの取付ボス部190aの面部194aに密着し、取付ボス部190aの面部193aがナックル14Gの取付部200の取付ボス部201aの面部205aに密着するとともに、取付ボルト114bの頭部117bが取付部82Fの取付ボス部190bの面部194bに密着し、取付ボス部190bの面部193bがナックル14Gの取付部200の取付ボス部201bの面部205bに密着する。このようにタイバー100Cと2本の取付ボルト114a,114bとによってキャリパ13の取付部82Fとナックル14Gとが締結される。つまり、キャリパ13が車両に取り付けられる。
この状態で、タイバー100Cは、ナックル14Gの取付部200に対して、取付部82Fとは反対側に位置して、この取付部200に設けられ、具体的には取付部200に一体的に鋳込まれている。また、この状態でタイバー100Cがナックル14Gの取付ボス部201a,201bをディスク円周方向に結ぶようにして取付部200と一体となり、ナックル14Gを取付ボルト114a,114bとで補強する。
このような第10実施形態によれば、ディスク11側でナックル14Gの取付部200に鋳込まれ取付ボルト114aが螺合されるメネジ部143aを有するアダプタ部136aと、ディスク11側でナックル14Gの取付部200に鋳込まれ取付ボルト114bが螺合されるメネジ部143bを有するアダプタ部136bと、これらアダプタ部136a,136b同士を連結するタイバー部137とからなる、アルミニウム合金製の取付部82Fおよびナックル14Gよりもヤング率の高い鉄製のタイバー100Cを備え、このタイバー100Cが、ナックル14Gの取付部200に鋳込まれて保持されることになる。このため、キャリパ13の取付部82Fの取付穴195aおよびナックル14Gの取付部200の取付穴207aに挿通された取付ボルト114aのオネジ部116aをタイバー100Cのメネジ部143aに螺合させ、キャリパ13の取付部82Fの取付穴195bおよびナックル14Gの取付部200の取付穴207bに挿通された取付ボルト114bのオネジ部116bをタイバー100Cのメネジ部143bに螺合させることで、取付ボルト114a,114bおよびタイバー100Cでキャリパ13Gの取付部82Fとナックル14Gとを締結することができ、タイバー100Cにアダプタの機能を持たせることができる。したがって、取り付けが容易となるとともに部品点数およびコストを低減することができる。
また、タイバー100Cが、ナックル14Gの取付部200に鋳込まれて保持されるため、タイバー100Cをナックル14Gに取り付ける作業が不要となり、キャリパ13のナックル14Gへの取り付け作業がさらに容易となる。
また、タイバー100Cは、取付ボルト114a,114bによるキャリパ13とナックル14Gとの締結前に、メネジ部143aと取付穴207aとを一致させ、かつメネジ部143bと取付穴207bとを一致させてナックル14Gに保持されるため、取付ボルト114aをキャリパ13側から取付穴207aに挿入すればメネジ部143aに螺合させることができ、取付ボルト114bもキャリパ13側から取付穴207bに挿入すればメネジ部143bに螺合させることができる。よって、取付ボルト114a,114bのタイバー100Cへの螺合を容易に行うことができる。したがって、キャリパ13のナックル14Gへの取り付け作業がさらに容易となる。
また、タイバー100Cがナックル14Gに鋳込まれて保持されるため、保持のための専用部品を設ける必要がなくなる。したがって、部品点数およびコストをさらに低減することができる。
以上の第10実施形態においても、キャリパ13の取付部82Fの取付穴195a,195bの数、およびこれと同数となる、ナックル14Gの取付穴207a,207bの数、タイバー100Cのアダプタ部136a,136bの数、タイバー100Cのメネジ部143a,143bの数は、それぞれ少なくとも2つあれば良い。
「第11実施形態」
次に、第11実施形態を主に図17に基づいて、第7実施形態との相違部分を中心に説明する。
図17は、第11実施形態のディスクブレーキを示す図11のX2−X2対応断面図である。なお、第7実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図17に示す第11実施形態においては、第7実施形態に対し、図9に示す第5実施形態の、ディスク軸線方向に一定厚さの板状をなし、アダプタ部161aにメネジ部162aが、アダプタ部161bにメネジ部162bが形成され、アダプタ部161a,161b同士をタイバー部163で連結した鏡面対称形状のタイバー100Dを用いている。
そして、図17に示すように、第11実施形態のアルミニウム合金製のナックル14Hには、そのディスク半径方向外側の外縁部にディスク円周方向に延在してディスク半径方向外側に突出する鏡面対称形状の取付部200Hが形成されている。
取付部200Hのディスク11とは反対側には、ディスク円周方向両端の2箇所に、ディスク軸線方向に直交する段差面部210a,210bが同一平面に配置されるように形成され、これら段差面部210a,210bのそれぞれの内側の2箇所に、これらよりもディスク11とは反対側に若干ずれてディスク軸線方向に直交する当接面部211a,211bが同一平面に配置されるように形成され、これら当接面部211a,211bの間に、これらよりもディスク11とは反対側に若干ずれてディスク軸線方向に直交する連結面部212が形成されている。
また、取付部200Hのディスク11側には、ディスク円周方向に長い保持凹部215がディスク11とは反対側に凹むように形成されており、その結果、この保持凹部215のディスク円周方向の両側にディスク軸線方向に沿ってディスク11側に突出する保持壁部216a,216bが形成されている。保持凹部215の底部の保持壁部216a,216b側には、当接面部211aのディスク11側でディスク軸線方向に直交する保持面部218aと、当接面部211bのディスク11側でディスク軸線方向に直交する保持面部218bとが、同一平面に配置されるように形成されている。さらに、保持凹部215の底部の保持面部218a,218bの間位置には、これらからディスク11とは反対側に若干ずれてディスク軸線方向に直交する逃面部219が形成されている。
そして、取付部200Hには、ディスク円周方向一側の当接面部211aと保持面部218aとをそれぞれの中間位置同士を結ぶように取付穴(第2取付穴)220aがディスク軸線方向に沿って貫通形成されており、ディスク円周方向他側の当接面部211bと保持面部218bとをそれぞれの中間位置同士を結ぶように取付穴(第2取付穴)220bがディスク軸線方向に沿って貫通形成されている。第11実施形態においても、取付部200Hは鏡面対称形状をなしている。
そして、第11実施形態においては、ナックル14Hの取付部200Hに、図9に示す第5実施形態の一定厚さの板状をなすタイバー100Dが保持される。ここで、タイバー100Dのディスク円周方向における長さは、取付部200Hの保持壁部216a,216b間の距離よりも、締め代分長くなっている。
このようなタイバー100Dは、キャリパ13の車両側への組み付け前に、ナックル14Hの取付部200Hの保持凹部215内に保持されることになり、その際に、長手方向の両端部であるアダプタ部161a,161bが取付部200Hの保持壁部216a,216b間に締め代をもって嵌合することになる。これにより、タイバー100Dは、ナックル14Hの取付部200Hに保持されるようになっている。なお、このように取付部200Hに保持された状態で、タイバー100Dが、ナックル14Hの取付部200Hの保持面部218a,218bに当接することになり、ナックル14Hの取付部200Hの一方の取付穴220aとタイバー100Dの一方のメネジ部162aとが一致することになり、ナックル14Hの取付部200Hの他方の取付穴220bとタイバー100Dの他方のメネジ部162bとが一致することになる。
車両へのキャリパ13の組み付け時には、上記のようにして、ナックル14Hの取付部200Hに予めタイバー100Dを保持した状態で、キャリパ13の取付部82Fのディスク11側の面部193aをナックル14Hの取付部200Hの当接面部211aに当接させるとともに、取付部82Fのディスク11側の面部193bをナックル14Hの取付部200Hの当接面部211bに当接させる。そして、取付部82Fの取付穴195aをナックル14Hの取付穴220aに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴195aに取付ボルト114aの軸部115aを挿通させ、この取付ボルト114aの軸部115aをナックル14Hの取付穴220aに挿通させてタイバー100Dのアダプタ部161aのメネジ部162aに外周のオネジ116aにおいて螺合させる。同様に、取付部82Fの取付穴195bをナックル14Hの取付穴220bに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴195bに、取付ボルト114bの軸部115bを挿通させ、この取付ボルト114bの軸部115bをナックル14Hの取付穴220bに挿通させてタイバー100Dのアダプタ部161bのメネジ部162bに外周のオネジ116bにおいて螺合させる。そして、取付ボルト114aの頭部117aおよび取付ボルト114bの頭部117bを締め付ける。
以上により、取付ボルト114aの頭部117aがキャリパ13の取付ボス部190aの面部194aに密着し、取付ボス部190aの面部193aがナックル14Hの当接面部211aと密着し、ナックル14Hの保持面部218aがタイバー100Dに密着するとともに、取付ボルト114bの頭部117bがキャリパ13の取付ボス部190bの面部194bに密着し、取付ボス部190bの面部193bがナックル14Hの取付部82Fの当接面部211bと密着し、ナックル14Hの保持面部218bがタイバー100Dに密着する。このようにタイバー100Dと2本の取付ボルト114a,114bとによってキャリパ13の取付部82Fとナックル14Hとが締結される。つまり、キャリパ13が車両に取り付けられる。
この状態で、タイバー100Dは、ナックル14Hの取付部200Hに対して、取付部82Fとは反対側に位置して、この取付部200Hに設けられ、具体的には取付部200Hに嵌合されている。この状態でタイバー100Dがナックル14Hをディスク円周方向に結ぶようにして取付部200Hと一体となり、ナックル14Hを取付ボルト114a,114bとで補強する。
このような第11実施形態によれば、キャリパ13とは反対側でナックル14Hの取付部200Hに嵌合し、取付ボルト114aが螺合されるメネジ部162aと取付ボルト114bが螺合されるメネジ部162bとを有する、アルミニウム合金製の取付部82Fおよびナックル14Hよりもヤング率の高い鉄製のタイバー100Dを備え、このタイバー100Dが、アダプタ部161a,161bによりナックル14Hの取付部200Hに嵌合保持されることになる。このため、キャリパ13の取付穴195aおよびナックル14Hの取付穴220aに挿通された取付ボルト114aのオネジ部116aをタイバー100Dのアダプタ部161aのメネジ部162aに螺合させ、キャリパ13の取付穴195bおよびナックル14Hの取付穴220bに挿通された取付ボルト114bのオネジ部116bをタイバー100Dのアダプタ部161bのメネジ部162bに螺合させることで、取付ボルト114a,114bおよびタイバー100Dでキャリパ13の取付部82Fとナックル14Hとを締結することができ、タイバー100Dにアダプタの機能を持たせることができる。したがって、取り付けが容易となるとともに部品点数およびコストを低減することができる。
また、タイバー100Dがアダプタ部161a,161bによりナックル14Hの取付部200Hに嵌合保持されるため、タイバー100Dを予めナックル14Hに取り付けておくことができる。
また、タイバー100Dは、取付ボルト114a,114bによるキャリパ13とナックル14Hとの締結前に、アダプタ部161aのメネジ部162aと取付穴220aとを一致させ、かつアダプタ部161bのメネジ部162bと取付穴220bとを一致させてナックル14Hに保持されるため、取付ボルト114aをキャリパ13側から取付穴220aに挿入すればメネジ部162aに螺合させることができ、取付ボルト114bもキャリパ13側から取付穴220bに挿入すればメネジ部162bに螺合させることができる。よって、取付ボルト114a,114bのタイバー100Dへの螺合を容易に行うことができる。したがって、キャリパ13のナックル14Hへの取り付け作業がさらに容易となる。
また、タイバー100Dがアダプタ部161a,161bによりナックル14Hに嵌合で保持されるため、保持のための専用部品を設ける必要がなくなる。したがって、部品点数およびコストをさらに低減することができる。
また、タイバー100Dは、長手方向の端部のアダプタ部161a,161bでナックル14Hの保持壁部156a,156b間に嵌合して保持されることになるため、タイバー100Dを突起部等のない単純な形状にでき、その製造コストを抑えることができる。
以上の第11実施形態においても、キャリパ13の取付穴195a,195bの数、およびこれと同数となる、ナックル14Hの取付部200Hの取付穴220a,220bの数、タイバー100Dのアダプタ部161a,161bの数およびタイバー100Dのメネジ部162a,162bの数は、それぞれ少なくとも2つあれば良い。
「第12実施形態」
次に、第12実施形態を主に図18に基づいて、第11実施形態との相違部分を中心に説明する。
図18は、第12実施形態のディスクブレーキを示す図11のX2−X2対応断面図である。なお、第11実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
図18に示す第12実施形態においては、ナックル14Iの取付部200Iが、第11実施形態の取付部200Hに対して、次の点で若干相違している。
取付部200Iのディスク円周方向の中央位置に、ディスク軸線方向両側に突出する取付ボス部222が形成されている。この取付ボス部222には、ディスク11とは反対側に、連結面部212よりもディスク11とは反対側に若干ずれてディスク軸線方向に直交するボルト座面部225が形成されており、ディスク11側に、保持面部218a,218bと同一平面に配置されるように保持面部226が形成されている。そして、ボルト座面部225の中央位置と保持面部226の中央位置とを結ぶようにディスク軸線方向に沿うボルト挿通穴227が形成されている。
そして、第12実施形態においては、アルミニウム合金製のナックル14Iの取付部200Iに、図10に示す第6実施形態のタイバー100Eが保持される。ここで、タイバー100Eのディスク円周方向における長さは、取付部200Iの保持壁部216a,216b間の距離よりも、短くなっており、タイバー100Eは保持凹部215内に遊嵌される。
また、キャリパ13の取付部82Iは、第11実施形態の取付部82Fとほぼ同様の形状をなしており、第11実施形態の取付部82Fに対して、保持ボルト170の取り付けのための逃溝228が中間連結部191の中央位置に形成されている。
このようなタイバー100Eは、キャリパ13の車両側への組み付け前に、ナックル14Iに保持されることになり、その際に、取付部200Iの保持凹部215内に配置されて保持面部218a,218bおよび保持面部226に当接させられる。そして、取付部200Iのボルト挿通穴227とタイバー100Eの係合メネジ部168との位置を合わせた状態で、取付部200I側からボルト挿通穴227に第6実施形態の保持ボルト170の軸部171を挿通させ、この保持ボルト170の軸部171をタイバー100Eの係合メネジ部168に外周のオネジ172において螺合させる。このとき、保持ボルト170の頭部173の締め付けは、タイバー100Eが取付部200Iから脱落せず、保持凹部155内で回転可能な範囲で行われる。なお、このように取付部200Iに保持された状態で、タイバー100Eが、取付部200Iの保持面部218a,218b,226に当接することになり、取付部200Iの一方の取付穴220aとタイバー100Eの一方のメネジ部162aとが一致可能であり、取付部200Iの他方の取付穴220bとタイバー100Eの他方のメネジ部162bとについても一致可能になる。
車両へのキャリパ13の組み付け時には、上記のようにして、ナックル14Iの取付部200Iに予めタイバー100Eを保持した状態で、保持ボルト170の頭部173を逃溝228で逃げながら、キャリパ13の取付部82Iのディスク11側の面部193aをナックル14Iの取付部200Iのタイバー100Eとは反対側の当接面部211aに当接させるとともに、取付部82Iのディスク11側の面部193bをナックル14Iの取付部200Iのタイバー100Eとは反対側の当接面部211bに当接させる。そして、取付部82Iの取付穴195aをナックル14Iの取付穴220aに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴195aに取付ボルト114aの軸部115aを挿通させ、この取付ボルト114aの軸部115aをナックル14Iの取付穴220aに挿通させてタイバー100Eのアダプタ部161aのメネジ部162aに外周のオネジ116aにおいて螺合させる。同様に、取付部82Iの取付穴195bをナックル14Iの取付穴220bに対し位置を合わせて、ディスク11とは反対側から取付穴195bに、取付ボルト114bの軸部115bを挿通させ、この取付ボルト114bの軸部115bをナックル14Iの取付穴220bに挿通させてタイバー100Eのアダプタ部161bのメネジ部162bに外周のオネジ116bにおいて螺合させる。そして、取付ボルト114aの頭部117aおよび取付ボルト114bの頭部117bを締め付けるとともに、保持ボルト170の頭部173を締め付ける。
以上により、第11実施形態と同様に、タイバー100Eと2本の取付ボルト114a,114bとによってキャリパ13の取付部82Iとナックル14Iとが締結される。
以上に述べた第12実施形態によれば、第11実施形態とほぼ同様のタイバー100Eをナックル14Iの取付部200Iに取り付けるため、第11実施形態とほぼ同様の効果を奏することができる。また、第11実施形態とは相違するタイバー100Eの取付部200Iへの保持についても、保持ボルト170が必要になるものの、2つのアダプタ部161a,161bがともに隙間嵌めされた状態で、保持ボルト170を係合メネジ部168に螺合させることでタイバー100Eを取付部200Iに保持できるため、タイバー100Eの長さと保持壁部156a,156b間の長さの管理が容易となる。
また、保持ボルト170でタイバー100Eを取付部200Iに保持できるため、取付部200Iにはボルト挿通穴227を、タイバー100Eにはタイバー部163に係合メネジ部168を追加すれば済み、コスト増を抑制できる。
また、取付ボルト114a,114bに加えて保持ボルト170でタイバー100Eを取付部200Iに保持できるため、タイバー100Eの連結が三箇所となり、剛性が向上し、ブレーキ鳴き抑制効果がさらに向上する。
なお、以上の各実施形態は、摩擦パッド12をキャリパ13に支持するものではなく、キャリパとは別のキャリアに摩擦パッドを支持する、いわゆるフローティング型のディスクブレーキにも適用可能で、この場合、キャリパのナックルへの取付部に適用された上記構成をキャリアのナックルへの取付部に適用すれば良い。
また、以上の各実施形態においては、キャリパを2つの半割体をタイボルトにより連結したもので説明しているが、インナ側とアウタ側とを一体で成形した、いわゆるモノブロック型のディスクブレーキに適用しても良い。
さらに、各実施形態においては、タイバーを長手方向の中央部を通るディスク軸方向平面を中心として略鏡面対称形状としたが、これに限ることなく、キャリパやナックル、キャリア等の形状に応じて非対称形状としても良い。