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JP4969936B2 - 車両の駆動力配分制御装置 - Google Patents

車両の駆動力配分制御装置 Download PDF

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JP4969936B2 JP2006206643A JP2006206643A JP4969936B2 JP 4969936 B2 JP4969936 B2 JP 4969936B2 JP 2006206643 A JP2006206643 A JP 2006206643A JP 2006206643 A JP2006206643 A JP 2006206643A JP 4969936 B2 JP4969936 B2 JP 4969936B2
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Description

本発明は、異常状態が発生した際に前後軸間、及び、左右輪間の駆動力配分を適切に制御する車両の駆動力配分制御装置に関する。
近年、車両においては、走行状態や運転状態に応じて、前後軸間の伝達トルクや左右輪間の伝達トルクを積極的に制御し、操安性等を最適に制御する駆動力配分制御装置が開発され、実用化されている。このような駆動力配分制御装置では、車両に異常状態が生じた場合でも、制御性の悪化を防止するための制御が開発され、導入されている。
例えば、特開2004−106793号公報には、カップリング機構の締結力を制御して伝達トルクを可変し、駆動力を分配する車両の駆動力配分制御装置において、カップリング機構の締結力を制限するトルクリミッタを、車両の運転状態に応じた通常制御状態のリミッタ値から駆動力伝達系を保護するための特殊制御状態のリミッタ値に連続的に変化させ、特殊制御状態下におけるカップリング機構の締結力を、特殊制御状態のリミッタ値以下に制御する技術が開示されている。
特開2004−106793号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示される技術は、あくまでも前後駆動力配分を制御するセンタデファレンシャルのカップリング機構のみの場合の制御技術であり、他に、左右駆動力配分を積極的に制御する駆動力配分制御が加わった場合には、異常時においても、これら前後軸間の駆動力配分制御と左右輪間の駆動力配分制御とを適切に統合し可変して行う必要がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、センサからの入力信号故障、異径タイヤの装着、駆動系油温の異常上昇等の異常状態が発生した際においても、前後軸間と左右輪間の駆動力配分制御による操安性を可能な限り確保し、また、通常状態から異常状態へ、或いは、異常状態から通常状態への復帰においても車両挙動の急変等無く滑らかに移行してドライバに違和感を与えることのない車両の駆動力配分制御装置を提供することを目的としている。
本発明は、車両の異常状態を検出する異常状態検出手段と、左右輪間の駆動力配分を制御する左右駆動力配分制御手段と、前後軸間の駆動力配分を制御する前後駆動力配分制御手段と、上記異常状態を検出した際に、上記左右駆動力配分制御手段を左右輪間のトルク移動を無くす方向に制御させる一方、上記前後駆動力配分制御手段に対し、予め設定した時間、前後軸間のトルク伝達を行わせた後、該トルク伝達を無くす方向に制御させる異常時制御手段とを備え、上記異常時制御手段は、異常状態から通常状態に復帰した際には、上記前後駆動力配分制御手段の通常制御への復帰と上記左右駆動力配分制御手段の通常制御への復帰を異なるタイミングで行わせることを特徴としている。
本発明による車両の駆動力配分制御装置によれば、センサからの入力信号故障、異径タイヤの装着、駆動系油温の異常上昇等の異常状態が発生した際においても、前後軸間と左右輪間の駆動力配分制御による操安性を可能な限り確保し、また、通常状態から異常状態へ、或いは、異常状態から通常状態への復帰においても車両挙動の急変等無く滑らかに移行してドライバに違和感を与えることがないという効果を奏する。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図7は本発明の実施の一形態を示し、図1は車両全体の駆動系の概略構成を示す説明図、図2は駆動力配分制御部の機能ブロック図、図3はトルクリミッタ設定プログラムのフローチャート、図4は図3から続くフローチャート、図5は図4から続くフローチャート、図6は出力トルク設定プログラムのフローチャート、図7は駆動力配分制御の一例を示すタイムチャートである。
図1において、符号1は車両前部に配置されたエンジンを示し、このエンジン1による駆動力は、エンジン1後方の自動変速装置(トルクコンバータ等も含んで図示)2からトランスミッション出力軸2a、トランスファドライブギヤ3、トランスファドリブンギヤ4を経てセンタデファレンシャル装置5に伝達される。
センタデファレンシャル装置5に伝達された駆動力は、リヤドライブ軸6、プロペラシャフト7、ドライブピニオン軸部8を介して後輪終減速装置9に入力される一方、フロントドライブ軸10を介して前輪終減速装置11に入力される。
後輪終減速装置9に入力された駆動力は、後輪左ドライブ軸12rlを経て左後輪13rlに伝達される一方、後輪右ドライブ軸12rrを経て右後輪13rrに伝達される。また、前輪終減速装置11に入力された駆動力は、前輪左ドライブ軸12flを経て左前輪13flに伝達される一方、前輪右ドライブ軸12frを経て右前輪13frに伝達される。
センタデファレンシャル装置5は、リングギヤ14がトランスファドリブンギヤ4と一体に構成されており、このリングギヤ14がダブルプラネタリギヤ15と噛合されている。フロントドライブ軸10は後方に延出され、リングギヤ14の回転軸芯を挿通されており、フロントドライブ軸10に設けたサンギヤ16とダブルプラネタリギヤ15とが噛合されている。
ダブルプラネタリギヤ15を軸支するキャリア17は前方に延出され、フロントドライブ軸10とキャリア17との間に、湿式多板クラッチ(トランスファクラッチ)18が配設されている。
トランスファクラッチ18は、キャリア17の内面にアウタプレート18aが、フロントドライブ軸10にインナプレート18bが、それぞれ交互に重ねて構成され、図示しないピストンにより押圧自在に構成されている。
このピストンには、トランスファクラッチ駆動部41により駆動される図示しない電磁石が設けられており、駆動力配分制御部70からの制御信号でトランスファクラッチ駆動部41を通じて押圧力(トランスファトルク)を電子制御自在に構成されている。
後輪終減速装置9は、例えば、特開2005−54944号公報に開示されるように、差動機構部21と油圧モータ22とを備えて構成されている。
差動機構部21は、公知のプラネタリギヤ方式で構成されており、ドライブピニオン軸部8の後端に設けられたドライブピニオン8aは、デファレンシャルケース23の外周に設けたリングギヤ24と噛合されている。
デファレンシャルケース23の内側に設けられたリングギヤ25は、アウタピニオン26と噛合され、このアウタピニオン26と噛合するインナピニオン27が後輪左ドライブ軸12rlに設けられたサンギヤ28と噛合されている。アウタピニオン26とインナピニオン27を回転自在に軸支するキャリア29は、後輪右ドライブ軸12rrへと連結されている。
従って、ドライブピニオン8aから入力された駆動力は、サンギヤ28から後輪左ドライブ軸12rlへと伝達される一方、キャリア29から後輪右ドライブ軸12rrへと伝達される。
油圧モータ22は、ラジアルピストン式の油圧モータで構成されており、外周に向けて突出自在な複数のピストン(図示せず)を格納したシリンダブロック30は後輪左ドライブ軸12rlと連結され、内側にカム面が形成されたカムリング(図示せず)を備えたモータケース31(シリンダブロック30に対して正逆回転自在)は後輪右ドライブ軸12rrと連結されている。
そして、油圧モータ22は、油圧ポンプ、油圧バルブユニット等からなる油圧ポンプモータ駆動部42により作動され、必要なトルクが後輪左ドライブ軸12rlから後輪右ドライブ軸12rrへ、或いは、後輪右ドライブ軸12rrから後輪左ドライブ軸12rlへと移動される。この油圧ポンプモータ駆動部42を駆動させる制御信号は、後述の駆動力配分制御部70から出力される。
車両には、駆動力配分制御部70で後述の如く実行する前後駆動力配分制御、後輪左右駆動力配分制御に必要なパラメータを検出するための、各センサ類が設けられている。
すなわち、各車輪13fl,13fr,13rl,13rrの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが車輪速度センサ61fl,61fr,61rl,61rrにより検出され、ハンドル角θHがハンドル角センサ62により検出され、実際に車両に生じている横加速度(以下、実横加速度と略称)(dy/dt)が横加速度センサ63により検出され、実際に車両に生じているヨーレート(以下、実ヨーレートと略称)γがヨーレートセンサ64により検出され、実際に車両に生じている前後加速度(dx/dt)が前後加速度センサ65により検出され、アクセル開度θACCがアクセル開度センサ66により検出され、エンジン回転数NEがエンジン回転数センサ67により検出されて、駆動力配分制御部70に入力される。
また、車両には、制動時における車輪のロック状態を防止する公知のアンチロックブレーキシステム(ABS;Anti-lock Brake System)68が搭載されており、このABS68の作動状態の信号も駆動力配分制御部70に入力される。
更に、車両には、車両の異常状態を検出する異常状態検出手段としての、制御状態検出部69が設けられており、この制御状態検出部69からの信号も駆動力配分制御部70に入力される。
ここで、制御状態検出部69が異常状態として検出、或いは、判定するのは以下のような各状態の場合である。
・各種センサやスイッチ信号の異常
・異径タイヤ装着(直進走行時の車輪速度センサ61fl,61fr,61rl,61rrからの入力信号等で判定)
・駆動系油温の異常上昇
そして、駆動力配分制御部70は、上述の各入力信号に基づいて、センタデファレンシャル装置5におけるトランスファクラッチ18による前後駆動力配分制御をトランスファトルクとして演算し、トランスファクラッチ駆動部41に出力する。また、駆動力配分制御部70は、後輪終減速装置9における油圧モータ22による左右駆動力配分制御をトルク移動量として演算し、油圧ポンプモータ駆動部42に出力する。この際、駆動力配分制御部70は、制御状態検出部69が何らかの車両の異常を検出した場合、油圧モータ22によるトルク移動量を無くす方向に制御させる。その一方で、トランスファクラッチ18によるトランスファトルクを、前後等配分の方向に制御させ、予め設定した時間、この異常状態における制御を行った後は、トランスファトルクを下降させる。また、駆動力配分制御部70は、制御状態検出部69からの信号が異常状態から通常の状態に復帰した場合には、まず、トランスファクラッチ18の制御(前後駆動力配分制御)を通常の制御に戻した後、油圧モータ22の制御(左右駆動力配分制御)を通常の制御に戻すようになっている。すなわち、駆動力配分制御部70は、左右駆動力配分制御手段、前後駆動力配分制御手段、及び、異常時制御手段としての機能を有している。
すなわち、駆動力配分制御部70は、図2に示すように、車速演算部71、第1のトランスファトルク演算部72、第1の付加ヨーモーメント演算部73、第2の付加ヨーモーメント演算部74、第2のトランスファトルク演算部75、トランスファトルク演算部76、加減速時ゲイン演算部77、操舵速度感応ゲイン演算部78、標準/カウンタゲイン切替設定部79、後輪付加ヨーモーメント演算部80、左右駆動力配分付加トルク演算部81、出力トルク設定部82から主要に構成されている。
車速演算部71は、4輪の車輪速度センサ、すなわち、各車輪速度センサ61fl,61fr,61rl,61rrから各車輪13fl,13fr,13rl,13rrの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが入力される。そして、例えば、これらの平均を演算することにより車速V(=(ωfl+ωfr+ωrl+ωrr)/4)を演算し、第1のトランスファトルク演算部72、第2の付加ヨーモーメント演算部74に出力する。
第1のトランスファトルク演算部72は、横加速度センサ63から実横加速度(dy/dt)が、アクセル開度センサ66からアクセル開度θACCが、エンジン回転数センサ67からエンジン回転数NEが、車速演算部71から車速Vが入力される。そして、第1のトランスファトルク演算部72は、これら入力信号により、エンジンからの入力トルクに応じた締結トルクとしての入力トルク感応トランスファトルクTLSDIを演算し、第1の付加ヨーモーメント演算部73、トランスファトルク演算部76に出力する。
第1の付加ヨーモーメント演算部73は、第1のトランスファトルク演算部72から入力トルク感応トランスファトルクTLSDIが入力される。そして、例えば、以下の(1)式により、入力トルク感応トランスファトルクTLSDIを付加ヨーモーメント(入力トルク感応付加ヨーモーメントM1)に換算し、後輪付加ヨーモーメント演算部80に出力する。
M1=KLSDI・TLSDI …(1)
ここで、KLSDIは、予め実験、計算等により求めておいた換算係数である。尚、上述の(1)式のように演算することなく、予め設定しておいたマップ等を参照して入力トルク感応トランスファトルクTLSDIを入力トルク感応付加ヨーモーメントM1に換算するようにしても良い。
第2の付加ヨーモーメント演算部74は、ハンドル角センサ62からハンドル角θHが、横加速度センサ63から実横加速度(dy/dt)が、ヨーレートセンサ64から実ヨーレートγが、車速演算部71から車速Vが入力される。そして、第2の付加ヨーモーメント演算部74は、これら入力信号により、車両に付加するヨーモーメント(舵角/ヨーレート感応付加ヨーモーメントM2)を推定し、第2のトランスファトルク演算部75、後輪付加ヨーモーメント演算部80に出力する。
第2のトランスファトルク演算部75は、ハンドル角センサ62からハンドル角θHが入力され、第2の付加ヨーモーメント演算部74から舵角/ヨーレート感応付加ヨーモーメントM2が入力される。
そして、以下の(2)式、或いは、(3)式により舵角/ヨーレート感応トランスファトルクTLSDPを演算して、トランスファトルク演算部76に出力する。
・θH≧0の場合
TLSDP=−KLSDP・M2 …(2)
・θH<0の場合
TLSDP=KLSDP・M2 …(3)
ここで、KLSDPは換算係数である。
トランスファトルク演算部76は、第1のトランスファトルク演算部72から入力トルク感応トランスファトルクTLSDIが入力され、第2のトランスファトルク演算部75から舵角/ヨーレート感応トランスファトルクTLSDPが入力される。そして、以下の(4)式によりトランスファトルクTLSDを演算し、出力トルク設定部82に出力する。
TLSD=TLSDI+TLSDP …(4)
加減速時ゲイン演算部77は、前後加速度センサ65から前後加速度(dx/dt)が入力される。そして、予め設定しておいたマップを参照して、加減速時ゲインGgxを設定し、後輪付加ヨーモーメント演算部80に出力する。この加減速時ゲインGgxは、加速時には大きく設定され、減速時には小さく設定される。
操舵速度感応ゲイン演算部78は、ハンドル角センサ62からハンドル角θHが入力される。そして、予め設定しておいたマップを参照して、操舵速度感応ゲインGdhを設定し、後輪付加ヨーモーメント演算部80に出力する。この操舵速度感応ゲインGdhは、ハンドル角速度(dθH/dt)の絶対値が大きいほど大きく設定される。
標準/カウンタゲイン切替設定部79は、ハンドル角センサ62からハンドル角θHが入力され、ヨーレートセンサ64から実ヨーレートγが入力され、後輪付加ヨーモーメント演算部80から後輪付加ヨーモーメントMrが入力される。そして、カウンタステアを行うような特殊な場合に対応するために、ゲイン切替を行い、このゲイン(標準/カウンタゲインGc)を後輪付加ヨーモーメント演算部80に出力する。具体的には、θH>0、且つ、Mr>0、且つ、γ<0の場合とθH<0、且つ、Mr<0、且つ、γ>0の場合は、標準/カウンタゲインGcを標準の値(例えば、1.0)より大きな値(例えば、5.0)に設定し、上述以外の標準の場合は、標準/カウンタゲインGcを標準の値に設定しておく。
後輪付加ヨーモーメント演算部80は、第1の付加ヨーモーメント演算部73から入力トルク感応付加ヨーモーメントM1が入力され、第2の付加ヨーモーメント演算部74から舵角/ヨーレート感応付加ヨーモーメントM2が入力され、加減速時ゲイン演算部77から加減速時ゲインGgxが入力され、操舵速度感応ゲイン演算部78から操舵速度感応ゲインGdhが入力され、標準/カウンタゲイン切替設定部79から標準/カウンタゲインGcが入力される。
そして、以下の(5)式により、後輪終減速装置9で発生させる後輪付加ヨーモーメントMrを演算し、標準/カウンタゲイン切替設定部79、左右駆動力配分付加トルク演算部81に出力する。
Mr=Gc・(Ggx・M1+Gdh・M2) …(5)
左右駆動力配分付加トルク演算部81は、後輪付加ヨーモーメント演算部80から後輪付加ヨーモーメントMrが入力される。
そして、例えば、以下の(6)式により、油圧モータ22で発生させるトルク移動量TTVDを演算して、出力トルク設定部82に出力し、この出力トルク設定部82で後述の如く設定される、最終的な移動トルク(今回の移動トルク)TTVDnを油圧ポンプモータ駆動部42に出力する。
TTVD=Mr/(Rt・(Lbr/2)) …(6)
ここで、Lbrはリヤトレッドである。
出力トルク設定部82は、ABS68からABSの作動状態を示す信号が、制御状態検出部69から異常状態の検出信号が、トランスファトルク演算部76からトランスファトルクTLSDが、左右駆動力配分付加トルク演算部81からトルク移動量TTVDが入力される。
そして、後述するトルクリミッタ設定プログラムに従って、トランスファトルクTLSDの制限値(LSDリミット値)TLIMLSDを設定し、トルク移動量TTVDの制限値(TVDリミット値)TLIMTVDを設定する。この設定した制限値TLIMLSD,TLIMTVDを用い、後述する出力トルク設定プログラムに従って、入力されたトランスファトルクTLSD、及び、トルク移動量TTVDを基に最終的なトランスファトルク(今回のトランスファトルク)TLSDn、及び、最終的な移動トルク(今回の移動トルク)TTVDnを設定して、それぞれトランスファクラッチ駆動部41、油圧ポンプモータ駆動部42に出力する。
また、出力トルク設定部82は、ABS68が作動している場合には、ABS作動時用に予め設定しておいた小さな値(例えば、トランスファクラッチ18を略解放状態とするような値)を最終的なトランスファトルクTLSDnとして設定し、トランスファクラッチ駆動部41に出力する。
次に、出力トルク設定部82で実行されるトルクリミッタ設定プログラムについて、図3〜図5のフローチャートを基に説明する。なお、LSDリミット値TLIMLSDの初期値にはトランスファトルクTLSDの最大値である許容トルク最大値TMAXLSDが、TVDリミット値TLIMTVDの初期値には移動トルクTTVDの最大値である許容トルク最大値TMAXTVDが設定されている。
まず、ステップ(以下、「S」と略称)101で、制御状態判定フラグFsを読み込む。この制御状態判定フラグFsは、制御状態検出部69からの信号により設定されるものであり、制御状態検出部69により異常状態が検出された際にセット(Fs=1)され、異常状態以外(通常状態)ではクリア(Fs=0)された状態となるフラグである。
次に、S102に進むと、制御状態判定フラグFsがクリアされた状態か否か、すなわち、通常状態か否かの判定が行われ、異常状態の場合(Fs=1の場合)はS103〜S126の処理へ、通常状態の場合(Fs=0の場合)はS127〜S136の処理へ進む。
ここでは、まず、異常状態が検出されたときを先に説明する。
S102の判定の結果、Fs=1で異常状態と判定された場合は、S103に進み、第1のタイマT1をクリア(T1=0)し、S104に進んで、第2のタイマT2をインクリメント(T2=T2+1)して、S105に進む。ここで、第1のタイマT1は、異常状態ではクリアされたままのタイマで、通常状態においてインクリメントされるタイマとなっている。逆に、第2のタイマT2は、通常状態ではクリアされたままのタイマで、異常状態においてインクリメントされるタイマとなっている。
S105では、第2のタイマT2が1か否か、すなわち、異常状態になって初回か否かの判定が行われ、初回の場合(T2=1の場合)にはS106〜S113の処理へ、初回以外の場合(T2≠1の場合)にはS114〜S126の処理へ進む。
S105の判定の結果、異常状態になって初回と判定され、S106に進むと、前回設定された移動トルクTTVDn-1から定数ΔTVD2を減算した値(TTVDn-1−ΔTVD2)が0よりも小さいか否か判定され、0よりも小さい場合はS107に進んで、TVDリミット値TLIMTVDを0に設定する。逆に、0以上の場合はS108に進み、(TTVDn-1−ΔTVD2)をTVDリミット値TLIMTVDに設定する。
S107、或いは、S108でTVDリミット値TLIMTVDの設定を行った後は、S109に進み、付加されるトランスファトルクTLSDの最大値である許容トルク最大値TMAXLSDと前回設定されたトランスファトルクTLSDn-1に定数ΔLSD2を加算した値(TLSDn-1+ΔLSD2)とを比較する。
この比較の結果、許容トルク最大値TMAXLSDより(TLSDn-1+ΔLSD2)の方が小さければ、S110に進み、(TLSDn-1+ΔLSD2)をLSDリミット値TLIMLSDに設定する。逆に、(TLSDn-1+ΔLSD2)が許容トルク最大値TMAXLSD以上の場合は、S111に進み、許容トルク最大値TMAXLSDをLSDリミット値TLIMLSDに設定する。
S110、或いは、S111でLSDリミット値TLIMLSDの設定を行った後は、S112に進み、ABSが作動中か否か判定する。そして、ABS作動中の場合は、S113に進み、LSDリミット値TLIMLSDを、ABS作動時用に予め設定しておいた小さな値(例えば、トランスファクラッチ18を略解放状態とするような値)TLIMABSに設定し直してプログラムを抜ける。また、ABSが非作動の場合は、そのままプログラムを抜ける。
すなわち、TVDリミット値TLIMTVD、LSDリミット値TLIMLSDは、異常状態になった場合には、その初期値として、前回設定された移動トルクTTVDn-1、前回設定されたトランスファトルクTLSDn-1に設定し、この値を基準に設定を行っていくようになっている。
また、ABSが作動時には、LSDリミット値TLIMLSDを上述したように小さな値に設定することにより、前後軸間の不要なトルクの伝達を阻止し、車輪がロック状態になることを確実に防止するようになっている。
一方、前述のS105で、T2≠1であり、異常状態になって初回ではないと判定された場合は、S114に進み、第2のタイマT2によるカウント値が予め設定しておいた閾値Tc2よりも大きくなったか否か判定する。
このS114の判定の結果、第2のタイマT2によるカウント値が閾値Tc2に達していなければS115に進み、TVDリミット値TLIMTVDから定数ΔTVD2を減算した値(TLIMTVD−ΔTVD2)が0よりも小さいか否か判定され、0よりも小さい場合はS116に進んで、TVDリミット値TLIMTVDを0に設定する。逆に、0以上の場合はS117に進み、(TLIMTVD−ΔTVD2)をTVDリミット値TLIMTVDに設定する。
S116、或いは、S117でTVDリミット値TLIMTVDの設定を行った後は、S118に進み、許容トルク最大値TMAXLSDとLSDリミット値TLIMLSDに定数ΔLSD2を加算した値(TLIMLSD+ΔLSD2)とを比較する。
この比較の結果、許容トルク最大値TMAXLSDより(TLIMLSD+ΔLSD2)の方が小さければ、S119に進み、(TLIMLSD+ΔLSD2)をLSDリミット値TLIMLSDに設定する。逆に、(TLIMLSD+ΔLSD2)が許容トルク最大値TMAXLSD以上の場合は、S120に進み、許容トルク最大値TMAXLSDをLSDリミット値TLIMLSDに設定する。
S119、或いは、S120でLSDリミット値TLIMLSDの設定を行った後は、S112に進み、ABSが作動中か否か判定する。そして、ABS作動中の場合は、S113に進み、LSDリミット値TLIMLSDを、ABS作動時用に予め設定しておいた小さな値(例えば、トランスファクラッチ18を略解放状態とするような値)TLIMABSに設定し直してプログラムを抜ける。また、ABSが非作動の場合は、そのままプログラムを抜ける。
また、上述のS114で第2のタイマT2によるカウント値が予め設定しておいた閾値Tc2よりも大きくなった場合は、S121に進み、TVDリミット値TLIMTVDから定数ΔTVD2を減算した値(TLIMTVD−ΔTVD2)が0よりも小さいか否か判定され、0よりも小さい場合はS122に進んで、TVDリミット値TLIMTVDを0に設定する。逆に、0以上の場合はS123に進み、(TLIMTVD−ΔTVD2)をTVDリミット値TLIMTVDに設定する。
S122、或いは、S123でTVDリミット値TLIMTVDの設定を行った後は、S124に進み、0とLSDリミット値TLIMLSDから定数ΔLSD3を減算した値(TLIMLSD−ΔLSD3)とを比較する。
この比較の結果、0より(TLIMLSD−ΔLSD3)の方が小さければ、S125に進み、LSDリミット値TLIMLSDを0に設定する。逆に、(TLIMLSD−ΔLSD3)が0以上の場合は、S126に進み、(TLIMLSD−ΔLSD3)をLSDリミット値TLIMLSDに設定する。
S125、或いは、S126でLSDリミット値TLIMLSDの設定を行った後は、S112に進み、ABSが作動中か否か判定する。そして、ABS作動中の場合は、S113に進み、LSDリミット値TLIMLSDを、ABS作動時用に予め設定しておいた小さな値(例えば、トランスファクラッチ18を略解放状態とするような値)TLIMABSに設定し直してプログラムを抜ける。また、ABSが非作動の場合は、そのままプログラムを抜ける。
すなわち、LSDリミット値TLIMLSDは、予め設定した時間(T2>Tc2)となった場合には、下降させることにより、異常状態における駆動系(特に、後輪終減速装置9)の昇温を防止するようになっている。
一方、S102で通常状態(Fs=0)と判定されると、S127に進み、第2のタイマT2をクリア(T2=0)し、S128に進んで、第1のタイマT1をインクリメント(T1=T1+1)して、S129に進む。
S129では、第1のタイマT1によるカウント値が予め設定しておいた閾値Tc1よりも大きくなったか否か判定する。
このS129の判定の結果、第1のタイマT1によるカウント値が閾値Tc1に達していなければS130に進み、前回設定されたTVDリミット値TLIMTVDn-1をそのまま今回のTVDリミット値として設定し、S134に進む。
一方、S129の判定の結果、第1のタイマT1によるカウント値が閾値Tc1に達していればS131に進み、移動トルクTTVDの最大値である許容トルク最大値TMAXTVDとTVDリミット値TLIMTVDに定数ΔTVD1を加算した値(TLIMTVD+ΔTVD1)とを比較する。
この比較の結果、許容トルク最大値TMAXTVDより(TLIMTVD+ΔTVD1)の方が小さければ、S132に進み、(TLIMTVD+ΔTVD1)をTVDリミット値TLIMTVDに設定し、S134に進む。逆に、(TLIMTVD+ΔTVD1)が許容トルク最大値TMAXTVD以上の場合は、S133に進み、許容トルク最大値TMAXTVDをTVDリミット値TLIMTVDに設定して、S134に進む。
S134では、許容トルク最大値TMAXLSDとLSDリミット値TLIMLSDに定数ΔLSD1を加算した値(TLIMLSD+ΔLSD1)とを比較する。
この比較の結果、許容トルク最大値TMAXLSDより(TLIMLSD+ΔLSD1)の方が小さければ、S135に進み、(TLIMLSD+ΔLSD1)をLSDリミット値TLIMLSDに設定し、プログラムを抜ける。逆に、(TLIMLSD+ΔLSD1)が許容トルク最大値TMAXLSD以上の場合は、S136に進み、許容トルク最大値TMAXLSDをLSDリミット値TLIMLSDに設定して、プログラムを抜ける。
すなわち、通常状態に復帰してからは、まず、前後駆動力配分制御を通常の状態に復帰させ、その後(第1のタイマT1が閾値Tc1に達した後)、左右駆動力配分制御を通常の状態に復帰させるようになっている。これは、左右駆動力配分制御よりも車両挙動へ与える影響が小さい前後駆動力配分制御を通常制御に復帰させた後に、左右駆動力配分制御を復帰させることで、車両の急変動を抑制し、通常制御への復帰を滑らかにするためである。
尚、上述のトルクリミッタ設定プログラムで使用する各リミッタ値を上昇させる、或いは、下降させる定数は任意に設定できる。また、閾値Tc1は通常状態に復帰してからLSDリミット値TLIMLSDが許容トルク最大値TMAXLSDとなるのに十分な時間を設定しているが、これに限らず、LSDリミット値TLIMLSDがある程度増大した後に、TVDリミット値を徐々に増大させるようにしていれば、閾値Tc1はそれより短い時間を設定しても良い。
次に、出力トルク設定部82で実行される出力トルク設定プログラムを、図6のフローチャートで説明する。まず、S201で、制御状態判定フラグFsを読み込む。
次に、S202に進むと、制御状態判定フラグFsがクリアされた状態か否か、すなわち、通常状態か否かの判定が行われ、通常状態の場合(Fs=0の場合)はS202〜S208の処理へと進み、異常状態の場合(Fs=1の場合)はS209、S210の処理へと進む。
S202の判定の結果、通常状態と判定されてS203に進むと、左右駆動力配分付加トルク演算部81からのトルク移動量TTVDとTVDリミット値TLIMTVDとが比較され、トルク移動量TTVDがTVDリミット値TLIMTVD以上の場合は、S204に進み、TVDリミット値TLIMTVDを今回の移動トルクTTVDnとして設定する。
逆に、トルク移動量TTVDがTVDリミット値TLIMTVDより小さければ、S205に進み、トルク移動量TTVDを今回の移動トルクTTVDnとして設定する。
S204、或いは、S205で今回の移動トルクTTVDnを設定した後は、S206に進み、トランスファトルク演算部76からのトランスファトルクTLSDとLSDリミット値TLIMLSDとが比較され、トランスファトルクTLSDがLSDリミット値TLIMLSD以上の場合は、S207に進み、LSDリミット値TLIMLSDを今回のトランスファトルクTLSDnとして設定し、プログラムを抜ける。
逆に、トランスファトルクTLSDがLSDリミット値TLIMLSDより小さければ、S208に進み、トランスファトルクTLSDを今回のトランスファトルクTLSDnとして設定し、プログラムを抜ける。
一方、上述のS202で異常状態と判定してS209に進むと、TVDリミット値TLIMTVDを今回の移動トルクTTVDnとして設定し、S210に進んで、LSDリミット値TLIMLSDを今回のトランスファトルクTLSDnとして設定し、プログラムを抜ける。
すなわち、異常状態では、出力トルク設定部82からトランスファクラッチ駆動部41に出力される今回のトランスファトルクTLSDnは、LSDリミット値TLIMLSDであり、出力トルク設定部82から油圧ポンプモータ駆動部42に出力される今回の移動トルクTTVDnは、TVDリミット値TLIMTVDとなる。この際、左右駆動力配分に関しては、今回の移動トルクTTVDnをTVDリミット値TLIMTVD以下の値に設定するようにしても良い。
次に、出力トルク設定部82で設定される今回のトランスファトルクTLSDn、LSDリミット値TLIMLSD、今回の移動トルクTTVDn、TVDリミット値TLIMTVDの一例を図7のタイムチャートで説明する。
まず、時刻t1で、通常の状態から異常状態となると、図7(b)に示すように、TVDリミット値TLIMTVD(図中、破線で示す)は、前回の移動トルクTTVDn-1(図中、実線で示す)からΔTVD2を引いた値に設定される。
同様に、図7(c)に示すように、LSDリミット値TLIMLSD(図中、破線で示す)は、前回のトランスファトルクTLSDn-1にΔLSD2を加えた値に設定される。
その後、図7(b)に示すように、TVDリミット値TLIMTVDと今回の移動トルクTTVDnは、同じ値として設定され、時刻t3で0になるまで徐々に低下させられる。このため、通常状態から異常状態になったときの左右駆動力配分制御の変化による車両挙動の乱れが抑えられ、ドライバに対する違和感を生じることがない。尚、左右駆動力配分制御では、図7(b)の2点破線で示すように、今回の移動トルクTTVDnをTVDリミット値TLIMTVD以下になるように制御しても良い。
また、図7(c)に示すように、LSDリミット値TLIMLSDと今回のトランスファトルクTLSDnは、同じ値として設定され、時刻t2で許容トルク最大値TMAXLSDになるまで徐々に増加させられる。このため、通常状態から異常状態になったときの前後駆動力配分制御の変化による車両挙動の乱れが抑えられ、ドライバに対する違和感を生じることがない。
その後、図7(c)に示すように、時刻t4になると、第2のタイマT2がTc2を超えるため、LSDリミット値TLIMLSDと今回のトランスファトルクTLSDnは、時刻t5で、その値が0になるまで徐々に減少される。このため、前後駆動力配分制御では、異常状態における駆動系(特に、後輪終減速装置9)の昇温を確実に防止するようになっている。
その後、時刻t6で異常状態から通常状態へ復帰すると、図7(c)に示すように、まず、前後駆動力配分制御が通常状態へ復帰されることになる。すなわち、LSDリミット値TLIMLSDと今回のトランスファトルクTLSDnは、徐々に増加させられ、この図7(c)の場合では、時刻t7で、今回のトランスファトルクTLSDnがLSDリミット値TLIMLSDより小さな値となる。LSDリミット値TLIMLSDは、引き続き、許容トルク最大値TMAXLSDとなるまで徐々に増大される。そして、今回のトランスファトルクTLSDnは、LSDリミット値TLIMLSD以下の範囲で設定され出力される。
一方、左右駆動力配分制御は、図7(b)に示すように、前後駆動力配分制御が通常状態に復帰してから(第1のタイマT1が閾値Tc1に達してから)通常状態に復帰される。すなわち、時刻t9からTVDリミット値TLIMTVDと今回の移動トルクTTVDnが徐々に増加され、この図7(b)の場合では、時刻t10で、今回の移動トルクTTVDnがTVDリミット値TLIMTVDより小さな値となる。TVDリミット値TLIMTVDは、引き続き、許容トルク最大値TMAXTVDとなるまで徐々に増大される。そして、今回の移動トルクTTVDnは、TVDリミット値TLIMTVD以下の範囲で設定され出力される。
このように、まず、前後駆動力配分制御を通常の状態に復帰させ、その後、左右駆動力配分制御を通常の状態に復帰させるようになっているので、左右駆動力配分制御よりも車両挙動へ与える影響が小さい前後駆動力配分制御を通常制御に復帰させた後に、左右駆動力配分制御を復帰させることができ、車両の急変動を抑制し、通常制御への復帰を滑らかにすることができる。
また、前後駆動力配分制御と左右駆動力配分制御の通常状態への復帰も滑らかに行われるので、これら制御変化による車両挙動の乱れが抑えられ、ドライバに対する違和感を生じることがない。
次に、ABSが作動していた場合の例を説明する。
ABSが通常状態における時刻t21で作動されていたとすると、トランスファトルク演算部76により、予め設定しておいた小さな値(例えば、トランスファクラッチ18を略解放状態とするような値)が今回のトランスファトルクTLSDnとして設定され、出力トルク設定部82に出力される。
その後、時刻t1で通常状態から異常状態となると、LSDリミット値TLIMLSDは、演算の途中で図7(c)で説明した値をとるものの、最終的には予め設定しておいた小さな値(例えば、トランスファクラッチ18を略解放状態とするような値)TLIMABSに設定し直され、LSDリミット値TLIMLSDと今回のトランスファトルクTLSDnは、同じ値として設定される。
そして、時刻t22で、ABSの作動が解除されると、LSDリミット値TLIMLSDと今回のトランスファトルクTLSDnは、上述の図7(c)で説明した値に戻って設定される。
このように、ABSが作動時には、LSDリミット値TLIMLSDを上述したように小さな値に設定することにより、前後軸間の不要なトルクの伝達を阻止し、車輪がロック状態になることを確実に防止するようになっている。尚、左右駆動力配分制御では、ABS作動の変更は行われない。
以上のように本発明の実施の形態によれば、センサからの入力信号故障、異径タイヤの装着、駆動系油温の異常上昇等の異常状態が発生した際においても、前後軸間と左右輪間の駆動力配分制御による操安性を可能な限り確保することができる。
また、通常状態から異常状態へ、或いは、異常状態から通常状態への復帰においても車両挙動の急変等無く滑らかに移行してドライバに違和感を与えることも防止できる。
尚、本発明の実施の形態では、前後駆動力配分をセンタデファレンシャル装置4から前後輪へとトルク配分する例で説明しているが、これに限ることなく、例えば、センタデファレンシャル装置のない4輪駆動車に対しても適用できることは云うまでもない。
また、左右駆動力配分も油圧モータ22によるものに限るものではなく、例えば、ギヤ機構と油圧多板クラッチでトルク配分を可変する機構のものであっても適用できる。
車両全体の駆動系の概略構成を示す説明図 駆動力配分制御部の機能ブロック図 トルクリミッタ設定プログラムのフローチャート 図3から続くフローチャート 図4から続くフローチャート 出力トルク設定プログラムのフローチャート 駆動力配分制御の一例を示すタイムチャート
符号の説明
1 エンジン
5 センタデファレンシャル装置
9 後輪終減速装置
18 トランスファクラッチ
21 差動機構部
22 油圧モータ
41 トランスファクラッチ駆動部
42 油圧ポンプモータ駆動部
68 ABS
69 制御状態検出部(異常状態検出手段)
70 駆動力配分制御部(左右駆動力配分制御手段、前後駆動力配分制御手段、異常時制御手段)
76 トランスファトルク演算部
81 左右駆動力配分付加トルク演算部
82 出力トルク設定部

Claims (4)

  1. 車両の異常状態を検出する異常状態検出手段と、
    左右輪間の駆動力配分を制御する左右駆動力配分制御手段と、
    前後軸間の駆動力配分を制御する前後駆動力配分制御手段と、
    上記異常状態を検出した際に、上記左右駆動力配分制御手段を左右輪間のトルク移動を無くす方向に制御させる一方、上記前後駆動力配分制御手段に対し、予め設定した時間、前後軸間のトルク伝達を行わせた後、該トルク伝達を無くす方向に制御させる異常時制御手段とを備え、
    上記異常時制御手段は、異常状態から通常状態に復帰した際には、上記前後駆動力配分制御手段の通常制御への復帰と上記左右駆動力配分制御手段の通常制御への復帰を異なるタイミングで行わせることを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  2. 上記異常時制御手段は、異常状態から通常状態に復帰した際には、上記前後駆動力配分制御手段通常制御復帰させた後、上記左右駆動力配分制御手段通常制御復帰せることを特徴とする請求項1記載の車両の駆動力配分制御装置。
  3. 上記異常時制御手段は、異常状態になった際には、上記前後駆動力配分制御手段に対し、前後軸間のトルク伝達を前後等配分の方向に制御させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両の駆動力配分制御装置。
  4. 制動時における車輪のロック状態を防止するアンチロックブレーキシステムを有し、
    上記アンチロックブレーキシステムが作動した場合には、上記異常時制御手段は、異常状態になった際には、上記前後駆動力配分制御手段に対し、予め設定した前後軸間のトルク伝達を無くす方向の値で制御させることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の車両の駆動力配分制御装置。
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