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JP4969193B2 - 分波器 - Google Patents

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Description

本発明は、送信用および受信用の弾性表面波素子を配線基板上に搭載した分波器に関する。
近年、移動体通信システムの発展に伴い、携帯電話、携帯型情報端末等の移動体通信機器が急速に普及し、これらの機器の小型・高性能化の要求から、これらに使用される部品についても小型化・高性能化が要求されている。
携帯電話においては、アナログとデジタルの2つの方式の無線通信システムが利用されており、使用する周波数も800〜1000MHz帯、1.5〜2.0GHz帯と多岐に亘っている。これらの移動体通信機器では、アンテナを通して送受信される信号の分岐・生成を行うRF部における部品として分波器が用いられる。
分波器の一例としては、圧電基板の一主面にIDT電極、入出力電極および接地電極が形成された弾性表面波素子が、セラミックスなどからなる配線基板上にIDT電極等が形成された面を下側にしてフリップチップ実装法により載置固定され、キャップを配線基板に被せて封止した構造の分波器が知られている(例えば特許文献1を参照。)。
一方、分波器を備える高周波モジュールの配線基板の下面には、高周波信号を安定させるとともに伝送線路構造を形成することを目的として、電位の基準面としての共通グランドが上面視で受信信号出力端子における配線基板の縁に沿った辺以外の辺と対向するように設けられることが開示されている(例えば特許文献2を参照。)。
ここで、分波器の重要な特性として、送信配線と受信配線とのアイソレーション特性がある。これは、送信周波数帯域において受信配線側に漏洩する信号強度、あるいは受信周波数帯域において送信配線側へ漏洩する信号強度として評価されるもので、これら漏洩信号の強度が所定の水準よりも小さくなければならず、一般には送信周波数帯域で要求される水準のほうが受信周波数帯域で要求される水準よりも厳しい。
アイソレーション特性を良好なものとするためには、弾性表面波素子の帯域外減衰量を十分に確保することが不可欠であり、特に要求水準の厳しい受信用弾性表面波素子の送信周波数帯域における減衰量の十分な確保が必要である。
この減衰量は、弾性表面波素子を構成する共振器の特性によって調整されるか、弾性表面波素子の接地電極と共通グランドとを接続する接地配線などのインダクタンス成分によって調整されることが一般に知られている。
WO2002/005424号公報 特開2005−223582号公報
しかしながら、小型化・高周波数化に伴って、上述の調整だけでは必ずしも充分なアイソレーション特性を得ることができない場合がある。
分波器の動作状態において、共通グランドは安定した電位状態を保つことができず、場所と時間によって電位の値が変動する。電位の変動はあるモード(配線基板の構造や弾性表面波素子の特性に依存する)の定在波を形成し、空間的な広がりを持つ。この共通グランドの電位の変動(広がり)が受信信号出力端子に及ぶと、受信信号出力端子の電位も変動することとなってしまう。受信信号出力端子の電位が変動するということはエネルギーが伝播しているということであるから、このことがアイソレーション特性の低下につながる結果となる。
このような共通グランドの電位の変動は、入力の信号と比較すると微弱なものであるが、分波器に要求される−50dB以下という減衰レベルでは、このような微弱な電位の変動が影響を及ぼしてしまうのである。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、アイソレーション特性の良好な分波器を提供することを目的とする。
本発明は、内部に送信信号入力配線、受信信号出力配線および接地配線が設けられた配線基板と、該配線基板の上面に搭載された送信用弾性表面波素子および受信用弾性表面波素子と、前記配線基板の下面に前記配線基板の縁に沿って設けられ、前記受信信号出力配線を介して前記受信用弾性表面波素子の出力電極に電気的に接続された受信信号出力端子と、前記配線基板の下面または内部に上面視で前記受信信号出力端子における前記配線基
板の前記縁に沿った辺以外の辺と対向するように設けられ、前記接地配線を介して前記送信用弾性表面波素子の接地電極および前記受信用弾性表面波素子の接地電極のそれぞれに電気的に接続された共通グランドとを具備しており、該共通グランドは、前記受信信号出力端子の前記配線基板の前記縁に沿った辺以外の辺と対向している異なる辺部同士が、前記配線基板の内部に設けられ、上面視で前記受信信号出力端子と前記受信信号出力配線との接続部よりも前記配線基板の前記縁側に配置された接続配線により、上面視で前記受信信号出力端子と前記受信信号出力配線との前記接続部よりも前記配線基板の前記縁側で、電気的に接続されていることを特徴とする分波器である。
ここで、前記共通グランドの前記異なる辺部同士が、前記配線基板の前記縁の近傍で前記接続配線により電気的に接続されているのが好ましい。さらに、上面視で前記受信信号出力端子を挟んで対向している前記共通グランドの前記異なる辺部同士が、前記配線基板の前記縁に沿って配置された前記接続配線により電気的に接続されているのが好ましい。
本発明によれば、上面視で受信信号出力端子における配線基板の縁に沿った辺以外の辺と対向するように設けられる共通グランドの電位の変動を抑制することができ、電位の変動によって生じる電位の波が受信信号出力端子へ伝播するのを抑制することができる。すなわち、アイソレーション特性の良好な分波器を得ることができる。
本発明の分波器の一実施形態を説明する。
図1は本発明の分波器の一実施形態を示す説明図であり、図2は図1に示す分波器の平面透視図である。
図1に示す本発明の分波器は、配線基板1の上面に送信用弾性表面波素子21および受信用弾性表面波素子22がフェイスダウン実装(フリップチップ実装)された構成になっている。
送信用弾性表面波素子21および受信用弾性表面波素子22は、例えばタンタル酸リチウム単結晶、ランガサイト型結晶構造を有するランタン−ガリウム−ニオブ系単結晶、四ホウ酸リチウム単結晶等で形成される圧電基板の表面に、銀、銅等でIDT電極、入力電極、出力電極および接地電極が形成された弾性表面波(SAW)素子である。なお、この実施形態では送信用弾性表面波素子21と受信用弾性表面波素子22とは別体に形成されているが、これらは一体に形成されていてもよい。また、フリップチップ実装に限られず例えばワイヤボンディングによる実装でもよく、送信用弾性表面波素子21および受信用弾性表面波素子22の実装方法については特に限定はない。
配線基板1は、例えばLTCC、アルミナ等の誘電体材料で形成された複数の絶縁層からなる絶縁基体と、この絶縁基体の表面(上面および下面)や内部に銀、銅、タングステン、モリブデン等で形成された各種配線(例えば整合回路やインダクタンス調整用配線)とを含んでいる。
具体的には、配線基板1の上面に、送信用弾性表面波素子21および受信用弾性表面波素子22の入力電極および出力電極(図示しない)に対応して入力パッドおよび出力パッド(図示しない)が形成されるとともに、それぞれの接地電極211、221に対応して接地パッド11、12が形成されている。そして、対応する入力電極と入力パッド、出力電極と出力パッド、接地電極と接地パッドは、それぞれ半田接続されている。
また、配線基板1の内部に、送信用弾性表面波素子21の入力電極(図示しない)へ送信信号を伝達する送信信号入力配線(図示しない)、受信用弾性表面波素子22の出力電極(図示しない)からの受信信号を伝達する受信信号出力配線13、それぞれの弾性表面波素子の接地電極211、221に接続される接地配線14が設けられている。
また、配線基板1の下面には、受信信号出力配線13を介して受信用弾性表面波素子22の出力電極に電気的に接続された受信信号出力端子15が設けられるとともに、接地配線14を介して送信用弾性表面波素子21および受信用弾性表面波素子22の接地電極のそれぞれに電気的に接続された共通グランド16が設けられている。
配線基板は最終的に外部回路基板に搭載されるもので、受信信号出力端子15は外部回路基板に形成された受信系回路に受信信号を送るための電極となる。この受信信号出力端子15は、配線基板1の縁に沿って設けられている。また、受信信号出力端子15と共通グランド16とはコ字状のスリットで分離されており、共通グランド16は上面視で受信信号出力端子15における配線基板1の縁に沿った辺以外の辺と対向するように設けられている。この構造は、受信信号出力端子15と受信信号出力端子15の両サイド(受信信号出力端子15を挟んで対向する位置)に位置する共通グランド16とで、ちょうどコプレーナ線路のような伝送線路形状を形成しているもので、外部回路基板の内部をちょうど配線基板1の周縁側に向かう方向に受信信号が送られる構造になっている。
ここで、分波器の動作状態において、共通グランド16の電位の変動が受信信号出力端子15に伝播してしまいアイソレーション特性が低下してしまうのを防止し、良好なものとするために、共通グランド16は、受信信号出力端子15の異なる辺と対向している異なる辺部同士が、配線基板1の内部に設けられ、上面視で受信信号出力端子15と受信信号出力配線13との接続部よりも配線基板1の縁側に配置された接続配線17により電気的に接続されていることが重要である。
図1および図2に示す形態においては、上面視で受信信号出力端子15を挟んで対向している共通グランド16の異なる辺部同士が、配線基板1の縁に沿って配置された接続配線17により電気的に接続されている。
受信信号出力配線13は導体層とビアホール導体とから構成されるが、受信信号出力端子15に直接接続される部分はビアホール導体で構成されることが多い。したがって、図2に示すように、この受信信号出力配線13に接触しないように、接続配線17は上面視で受信信号出力端子15と受信信号出力配線13との接続部よりも配線基板1の縁側に配置されている。また、共通グランド16の異なる辺部同士において、上面視で配線基板1の縁に近づくにしたがって大きく電位が異なるようになる場合があることから、上面視で受信信号出力端子15と受信信号出力配線13との接続部よりも配線基板1の縁側で、共通グランド16の異なる辺部同士が接続配線17により電気的に接続されている。これにより、電位の変動を抑制し、アイソレーションを良好なものとすることができる。上面視で受信信号出力配線13よりも内側で接続されていた場合、その効果は期待できない。特に、共通グランド16の異なる辺部同士が配線基板1の縁の近傍で接続配線17により電気的に接続されているのが、受信信号が送られる方向の最も出口側に位置することになるので好ましい。
接続配線17はビアホール導体171と接続導体層172とから構成されており、共通グランド16の一方の縁と他方の縁のそれぞれに直接接続される部分がビアホール導体171になっていて、それぞれのビアホール導体171が接続導体層172によって配線基板1の内部で接続されている。
なお、図1および図2に示す形態において、受信信号出力端子15の異なる辺と対向している共通グランド16の異なる辺部同士とは、上面視で受信信号出力端子15を挟んで対向している異なる辺部同士のことをいう。そして、上面視で受信信号出力端子15を挟んで対向している共通グランド16の異なる辺部同士が、配線基板1の縁に沿って配置された接続配線17により電気的に接続されている。
このように、上面視で受信信号出力端子15を挟んで対向している共通グランド16の異なる辺部同士が、受信信号出力配線13よりも周縁側で接続配線17により接続されていることで、受信信号用出力電極15近傍の空間のインピーダンスが変化する。これによって、共通グランド16の電位変動による電磁場の定在波モードが変化する。その結果、受信信号出力端子15には定在波の振幅の大きい箇所が現れないような調整を施した設計ができ、受信信号用出力電極へのエネルギーの漏洩を抑える事ができる。
ここで、受信フィルタ特性およびアイソレーション特性について、本発明の構造と従来の構造とで対比してみる。
図3は、本発明の構造(受信信号出力端子15を挟んで対向している共通グランド16の異なる辺部同士を接続配線17で接続した構造)について、受信フィルタ特性およびアイソレーション特性を測定した結果を示している。具体的には、誘電率4.5程度のLTCCからなる絶縁基体に、銅からなる配線導体(受信信号出力端子、共通グランド、受信信号入力配線など)を形成した図1に示す構造のもので、受信信号出力端子の幅は600μm、受信信号出力端子と共通グランドとの間隔(スリットの幅)は200μm、接続配線における接続導体層の高さは50μm、幅は200μmとし、接続配線の共通グランドとの接続位置は配線基板の周縁近傍としたものである。図3によれば、本発明の構造では受信フィルタの波形およびアイソレーション波形が送信信号の帯域1850〜1910MHzで−50dBを超える程度の減衰率を実現している。なお、ここでのアイソレーション波形とは、送信信号が受信信号出力端子15に漏洩する割合の周波数特性を示した波形のことを指す。このアイソレーション波形は受信フィルタ波形にある程度則した振舞いをし、受信フィルタ特性が良好になれば、アイソレーション特性もそれに応じて改善される。
一方、図4は接続配線のない従来構造について、受信フィルタ特性およびアイソレーション特性を測定した結果を示している。図4によれば、従来の構造では送信信号の帯域1850〜1910MHzで−45dB程度の減衰率となっている。すなわち、本発明の構造は、従来構造に比して平均すると10dB以上改善していることがわかる。
次に、接続配線17における接続導体層172の高さと幅について検討した結果について述べる。
図5は、図1に示すように受信信号出力端子15とともに共通グランド16が配線基板1の下面に設けられた場合において、接続配線17における接続導体層172の高さを変えたときの受信用弾性表面波素子22の受信フィルタ特性を示したグラフである。共通グランド16の上下方向から見て受信信号出力端子15によって隔てられた一方の縁と他方の縁とを接続配線17で接続しない場合(接続配線なしの場合)には−40dBに満たないレベルであるのに対して、接続配線17で接続した場合には5〜10dB程度の改善が見られる。そして、図5の結果より、接続導体層172と受信信号出力端子15との距離が近い方がより良好な受信フィルタ特性を示すことがわかる。同様に、アイソレーション特性も接続導体層172と受信信号出力端子15との距離が近い方がより良好になることがわかる。
図6は、受信信号出力端子15とともに共通グランド16が配線基板1の下面に設けられた場合において、接続配線17における接続導体層172の幅を変えたときの受信用弾性表面波素子22の受信フィルタ特性を示したグラフである。図6によれば、接続導体層172の幅が大きくなりすぎると、受信信号出力端子15や周囲の配線との電磁気的結合が大きくなり、受信フィルタ特性が低下していることがわかる。同様に、アイソレーション特性も接続導体層172の幅が大きくなりすぎると低下することがわかる。したがって、接続導体層172の幅は狭いほうが好ましく、この幅は200μm以下であるのが好ましい。
なお、図1に示す共通グランド16は配線基板1の下面に設けられているが、この共通グランド16は上面視で受信信号出力端子15における配線基板1の縁に沿った辺以外の辺と対向するように設けられていればよく、図7に示すように配線基板1の内部に設けられていてもよい。この場合、接続配線17は図7に示すようにビアホール導体171と接続導体層172とから構成されていてもよいが、共通グランド16と同一層に接続導体層172が形成された構造であってもよい。
また、受信信号出力端子15が上面視で配線基板1の角に位置する場合は、図8に示すように、受信信号出力端子15と共通グランド16とはL字状のスリットで分離され、共通グランド16の上面視で受信信号出力端子15の異なる辺と対向している異なる辺部同士とは、その異なる辺部の端が一致(交差)するようになっており、接続配線17は配線基板の角に沿って設けられる構造が採用される。
本発明の分波器の一実施形態の概略断面図である。 図1に示す分波器の平面透視図である。 本発明の分波器の受信フィルタ特性とアイソレーション特性を示したグラフである。 共通グランドを接続する接続配線がない従来構造の分波器の受信フィルタ特性とアイソレーション特性を示したグラフである。 図1に示す分波器における接続配線の高さを変更したときの受信フィルタ特性を示したグラフである。 図1に示す分波器における接続配線の幅を変更したときの受信フィルタ特性を示したグラフである。 本発明の分波器の他の実施形態の概略断面図である。 本発明の分波器のさらに他の実施形態の平面透視図である。
符号の説明
1・・・配線基板
11、12・・・接地パッド
13・・・受信信号出力配線
14・・・接地配線
15・・・受信信号出力端子
16・・・共通グランド
17・・・接続配線
171・・・ビアホール導体
172・・・接続導体層
21・・・送信用弾性表面波素子
22・・・受信用弾性表面波素子
211、221・・・接地電極

Claims (3)

  1. 内部に送信信号入力配線、受信信号出力配線および接地配線が設けられた配線基板と、該配線基板の上面に搭載された送信用弾性表面波素子および受信用弾性表面波素子と、
    前記配線基板の下面に前記配線基板の縁に沿って設けられ、前記受信信号出力配線を介して前記受信用弾性表面波素子の出力電極に電気的に接続された受信信号出力端子と、
    前記配線基板の下面または内部に上面視で前記受信信号出力端子における前記配線基板の前記縁に沿った辺以外の辺と対向するように設けられ、前記接地配線を介して前記送信用弾性表面波素子の接地電極および前記受信用弾性表面波素子の接地電極のそれぞれに電気的に接続された共通グランドとを具備しており、
    該共通グランドは、前記受信信号出力端子の前記配線基板の前記縁に沿った辺以外の辺と対向している異なる辺部同士が、前記配線基板の内部に設けられ、上面視で前記受信信号出力端子と前記受信信号出力配線との接続部よりも前記配線基板の前記縁側に配置された接続配線により、上面視で前記受信信号出力端子と前記受信信号出力配線との前記接続部よりも前記配線基板の前記縁側で、電気的に接続されていることを特徴とする分波器。
  2. 前記共通グランドの前記異なる辺部同士が、前記配線基板の前記縁の近傍で前記接続配線により電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の分波器。
  3. 上面視で前記受信信号出力端子を挟んで対向している前記共通グランドの前記異なる辺部同士が、前記配線基板の前記縁に沿って配置された前記接続配線により電気的に接続されていることを特徴とする請求項2に記載の分波器。
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