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JP4955317B2 - 立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造とその固定構造を用いた立ちはぜ折板屋根緑化構造体 - Google Patents

立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造とその固定構造を用いた立ちはぜ折板屋根緑化構造体 Download PDF

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Description

本発明は、山形部が所定ピッチで連続している構造を備えた折板屋根、特に、屋根板を連接したときの丸みを持つ突条が山形部の頂部を屋根勾配方向に走っている、いわゆる立ちはぜ折板屋根に対して緑化基盤材を安定して固定するための固定構造と、その固定構造を用いた立ちはぜ折板屋根緑化構造体に関する。
背景技術と問題点
発泡樹脂などで造られた緑化基盤材を屋根や屋上に固定し、その上に植栽マットなどを敷設して、屋上を緑化することが行われる。緑化基盤材は保水性と排水性を備えており、雨水あるいは給水を保水しておき、植裁マットの植物に対し生長に必要な水分を与える。このような緑化基盤材の一例が、特許文献1,2などに示される。屋上緑化に際し、緑化基盤材を屋根や屋上である支持基盤に安定的に固定することが必要となる。そのために、特許文献2に記載のように、緑化基盤材には縦横の双方向に一定ピッチで取り付け孔が形成され、一方、支持基盤側には、適宜の方法によりその取り付け孔のピッチに合うようにして固定的にボルトが立てられる。所要枚数の緑化基盤材を、その取り付け孔にボルトを貫通させながら屋根あるいは屋上に敷設し、ナットで締め付けて安定的に固定するようにした緑化基盤材の固定構造が多く採用されている。
緑化基盤材を設置する屋根や屋上の面が平坦面の場合には、緑化基盤材の取り付け孔のピッチにあわせて縦横双方向に固定的にボルトが立てることは容易であり、緑化基盤材の設置に格別の問題はない。
しかし、図1に示すような立ちはぜ折板屋根、すなわち、屋根勾配方向であるX方向に走る山形部1が軒先方向であるY方向に所定ピッチPaで連続しており、該山形部1の頂部2には屋根板3を連接したときの丸みを持つ突条(立ちはぜ)4が屋根勾配方向に走っている立ちはぜ折板屋根の上に緑化基盤材を安定的に固定することは、次の理由から容易でない。
理由の一つは、立ちはぜ折板屋根は、図1bに断面を示すように、左右の立ち上がり縁の上端部に互いに係合(はぜ継ぎ)する湾曲部3a,3bを形成した長尺状の屋根板3を、隣接する屋根板3,3の湾曲部同士を係合させながら、梁5の上に専用の取り付け具6を利用して固定するようにしており、前記のように山形部2の頂部には軒先方向に一定ピッチPaで屋根勾配方向に走る突条4は形成されるものの、緑化基盤材を固定するためのボルトなどは屋根面に存在しないからである。
その不都合を解消するために、特許文献3には、図13に示すように、ボルト7を立設した取り付け具8をネジ9を用いて突条(立ちはぜ)4に必要数だけ固定し、そのボルト7を利用して植裁層や植裁マット54を立ちはぜ折板屋根に固定することが記載されている。このような取り付け具8を用いることにより突条(立ちはぜ)4の任意の位置にボルトを立設することが可能となる。しかし、この取り付け具8はネジ9の先端を突条(立ちはぜ)4の下方部に当接して締め付け固定する形状であり、ネジ9の先端の突条(立ちはぜ)4に対する接地面積が小さいために、安定した固定態様が得られない。また、強くネジを締め付けると突条(立ちはぜ)4を傷つけることになる。
立ちはぜ折板屋根の上に緑化基盤材を固定する際に生じるもう一つの不都合は、緑化基盤材に形成される取り付け孔の縦横方向(前記XおよびY方向)のピッチP1,P2と、前記のようにして立設したボルト7のXおよびY方向のピッチを一致させることが困難なことである。特許文献3に記載の方法では、X方向のピッチについては、X方向のピッチを固定しようとする植裁基盤材に形成される取り付け孔のX方向のピッチP1に一致させるようにして取り付け具8を突条(立ちはぜ)4に取り付けることにより、一応は解消できる。しかし、一つの取り付け具8を取り付ける毎に、ピッチP1に相当する距離を計測することは容易でない。また、突条(立ちはぜ)4のY方向のピッチと緑化基盤材に形成される取り付け孔の横方向(Y方向)のピッチP2は通常不一致であり、そのままでは、特許文献3に記載のような取り付け具8を用いても、立ちはぜ折板屋根の上に緑化基盤材を安定的に取り付けることはできない。
また、一般に、屋上に設置することを目的とする緑化基盤材は軽量化が必要であり、多くの場合、強度としては圧縮強度さえ満足していれば問題がないため、通常、保水量と排水量に従って極力薄く設計されており、大きな曲げ強度は備えない。しかし、特許文献3に記載のような取り付け具8を用いて立ちはぜ折板屋根の上に緑化基盤材を固定する場合には、取り付け具8の面積だけで緑化基盤材を支持することとなるので、曲げ強度に不足が生じる恐れがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、緑化基盤材を固定するのに利用されるボルトなどの部材を立ちはぜである突条を利用して安定的に立設できるようにした立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造を提供することである。また、本発明の第2の目的は、緑化基盤材に形成される取り付け孔のX方向およびY方向のピッチP1,P2がどのようなものであっても、突条(立ちはぜ)を利用して立設したボルトを利用して、その緑化基盤材を立ちはぜ折板屋根の上に安定して取り付けることを可能とする立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造を提供することである。
特開2001−169665号公報 特開2004−24045号公報 特開2005−68800号公報
上記第1の目的を達成するための立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造は、屋根勾配方向であるX方向に走る山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチPaで連続しており、該山形部には屋根板を連接したときの突条が屋根勾配方向に走っている立ちはぜ折板屋根の上に緑化基盤材を固定する固定構造であって、前記突条を左右から挟み付ける一対のクランプ片からなるクランプを少なくとも突条の2箇所に固定し、該固定したクランプを利用してX方向に伸びる長尺状の第1の固定用治具を取り付け、該第1の固定用治具に対して緑化基盤材を固定することを特徴とする(請求項1)。
上記の固定構造では、立ちはぜ折板屋根に形成される立ちはぜである突条に固定するクランプとして、突条を左右から挟み付ける一対のクランプ片からなるものを用いる。一対のクランプ片で突条部分を挟持した状態とし、ネジ締めなどの手段により一対のクランプ片を締め付ける。それにより、左右一対のクランプ片が突条の両側を挟み付けた姿勢でクランプは突条部分に堅固に固定される。締め付け用のネジの先端が突条に当接することはないので、突条(立ちはぜ)が損傷を受けることもない。そのように堅固に固定されたクランプに対して、X方向に伸びる長尺状の第1の固定用治具を直接または後記するように第2の固定用治具を介し取り付け、該第1の固定用治具に対して緑化基盤材を固定するようにしているので、本発明による立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造では、安定した緑化基盤材の固定状態が得られる。
本発明において、緑化基盤材は従来の屋上緑化で用いられている緑化基盤材を任意に用いることができる。素材は軽量性と成形容易性の観点から発泡樹脂製が好ましいが、非発泡樹脂や発泡モルタルのような材料で造られていてもよい。緑化基盤材はその上に植裁シートのような緑化基材をそのまま収容する形態であってもよく、特許文献1に記載のように保水排水機能を備え、その上に、植裁シートのような緑化基材を載置する形態のものでもよい。また、緑化基盤材は一枚物でよく、複数枚の単位緑化基盤材を組み合わせて構成されるものであってもよい。
本発明の上記第2の目的を達成するための立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造は、上記の固定構造において、前記緑化基盤材は、その取り付け孔を前記X方向にピッチP1、前記Y方向にピッチP2で有しているものであり、前記第1の固定用治具は該緑化基盤材のX方向のピッチP1と同じピッチP1でボルトを立設した長尺状の固定用治具であり、前記ボルトを利用して緑化基盤材は第1の固定用治具に固定されていることを特徴とする(請求項2)。
上記の固定構造において、立ちはぜである突条の前記Y方向のピッチPaが緑化基盤材に形成される取り付け孔のY方向のピッチP2と等しいか、その整数倍がピッチP2となる場合には、緑化基盤材の取り付け孔のピッチP2に一致する箇所の突条に前記クランプを固定し、固定したクランプに第1の固定用治具を直接取り付けることにより、該第1の固定用治具を利用して緑化基盤材を安定的に取り付けることができる。
しかし、前記したように、立ちはぜである突条のY方向のピッチPaの整数倍が緑化基盤材の取り付け孔のY方向のピッチP2に一致しないのが通常であり、そのための対策として、本発明による立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造の他の態様では、一端に、前記突条に固定したクランプに自由度をもった状態で係合しうる係止孔を有し、他端は第1の固定用治具に固定できるようになっている第2の固定用治具をさらに用いる。そして、第2の固定用治具に固定した第1の固定用治具のボルトを利用して緑化基盤材を固定する(請求項3)。
このように、突条に固定したクランプに自由度をもった状態で係合しうる第2の固定用治具を用い、該第2の固定用治具に第1の固定用治具を固定することにより、立ちはぜである突条のY方向のピッチPaと異なる任意のピッチで第1の固定用治具を立ちはぜ折板屋根の上に固定することが可能となる。固定しようとする緑化基盤材の取り付け孔のY方向のピッチP2に一致させて第1の固定用治具を固定しておくことにより、緑化基盤材を当該第1の固定用治具を用いて確実に固定することができる。
他端側も第1の固定用治具との間で固定位置を調整できるような形状とされている第2の固定用治具を用いることもできる(請求項4)。この場合には、第1の固定用治具のピッチ合わせが一層容易となる。
本発明の立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造において、突条に取り付けたクランプや第2の固定用治具が緑化基盤材の敷設に障害となる場合がある。それを回避するために、本発明は、さらに、上記の緑化基盤材の固定構造であって、立ちはぜ折板屋根には嵩上げ材が配置されており、第1の固定用治具は該嵩上げ材の上に配置されており、第2の固定用治具は、嵩上げ材が配置されない箇所において、一端を前記突条に固定したクランプに固定し、他端を第1の固定用治具に固定していることを特徴とする立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造、をも開示する(請求項5)。
この固定構造では、嵩上げ材の上に配置されている第1の固定用治具を利用して緑化基盤材が固定されるので、突条に取り付けたクランプや第2の固定用治具が緑化基盤材の底面にぶつかるのを効果的に回避できる。さらに、第1の固定用治具の取り付け状態も安定するので、緑化基盤材の固定そのものも一層安定する。
前記の態様において、嵩上げ材は、突条(立ちはぜ)に固定されているクランプを避けた状態で突条(立ちはぜ)の上に乗ることができるものであればよく、クランプの部分を切り欠いた(開孔部とした)、広い面積を持つ平板状の板材などであってもよい。この場合、嵩上げ材としては、軽量化の目的から、発泡樹脂製のものを用いることが望ましい。具体的には、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン、発泡塩化ビニルなどが挙げられる。発泡樹脂製でなく、非発泡合成樹脂製、木材製のようなものであってもよい。
嵩上げ材として、ブリキなどの薄い鉄板を箱状に曲げ加工して得る上面がフラットな棒状をなすパネル材や樹脂製もしくは鋼製の角パイプやチャンネル材なども用いることができる。この場合、嵩上げ材は立ちはぜ折板屋根の屋根勾配方向に直交する方向に配置する。その際に、嵩上げ材同士は隙間をおいて配置することが望ましく、その隙間を利用して、前記第2の固定用治具を取り付ける。
本発明は、また、上記した立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造により固定された緑化基盤材の上に植物が植生されていることを特徴とする立ちはぜ折板屋根緑化構造体をも開示する(請求項6)。植物を植生する態様は、従来知られた屋上緑化の場合と同様であってよい。緑化基盤材の中に土壌を敷いて、そこで植物を育成してもよいが、作業性などを考慮すると、従来知られた植裁マットを緑化基盤材の上に敷設する植生態様がより好ましい。この場合、植生基盤材は保水性と必要以上の水を流下する排水性を備えた基盤材であることが望ましく(請求項7)、その際に、植裁マットと植生基盤材との間には、好ましくは通気空間が形成される。
また、植生基盤材の上面に不織布を敷き、そこに根止め機能を持たせることも好ましい態様である。これにより、植物の根が屋根板に達するのを防止することができ、屋根板の不要な損傷を防止することができる。このような根止め機能を備えたシートを緑化基盤材の下面に敷設することによっても、屋根の損傷を防ぐことができる。
本発明による立ちはぜ折板屋根緑化構造体の他の態様では、植裁マットの上にネットがかけられ、そのネットは第1の固定用治具に取り付けたボルトを利用して留め付けられる(請求項8)。植裁マットの上にネットをかけることにより、風などで植物や土壌が飛散するのを防止でき、また、薄い土壌による植裁で植物が安定して、固定されにくい場合であっても、安定した固定効果が得られる。さらに、ネットをボルトを利用して留め付けることにより、ネットの飛散防止とともに、立ちはぜ折板屋根緑化構造体全体の安定性も向上する。
なお、上記の説明では、軒先方向であるY方向と直交する方向をX方向を屋根勾配方向と表現しているが、本発明において屋根がX方向に勾配が付いていることは必須でなく、発明の本質からいって、屋根は立ちはぜ折板屋根であればよく、それが勾配のない水平屋根の場合であっても本発明の範囲に含まれる。
本発明によれば、緑化基盤材を固定するのに利用されるボルトなどの部材を立ちはぜである突条を利用して安定的に立設することができる。また、緑化基盤材に形成される取り付け孔のX方向およびY方向のピッチP1,P2がどのようなものであっても、突条(立ちはぜ)を利用して立設したボルトを用いて立ちはぜ折板屋根の上に安定して取り付けることができる。そのために、安定した構造の屋上緑化構造体を立ちはぜ折板屋根の上に構築することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。図1は立ちはぜ折板屋根の一例を示し、図2はその立ちはぜである突条に固定するクランプを示している。図3は立ちはぜ折板屋根の上に固定する緑化基盤材を平面図で示している。図4は本発明の固定構造で用いる第1の固定用治具を示し、図5は第2の固定用治具を示す。図6は本発明による緑化基盤材の固定構造の一形態を説明する図であり、図7〜図9は図6に示した固定構造で固定された緑化基盤材を利用して作った立ちはぜ折板屋根緑化構造体を示している。図10と図11は本発明による緑化基盤材の固定構造の他の形態を説明するための図である。
前記しかつ図1に示すように、立ちはぜ折板屋根Rは、屋根勾配方向であるX方向に走る山形部1が軒先方向であるY方向に所定ピッチPaで連続しており、該山形部1の頂部2には屋根板3を連接したときの丸みを持つ突条(立ちはぜ)4が屋根勾配方向に走っている。このような立ちはぜ折板屋根Rの上に緑化基盤材10(図3参照)を固定して、本発明による立ちはぜ折板屋根緑化構造体とする。
図2はそこで用いるクランプ60を示す。クランプ60は、一定の横幅を持つ左右一対のクランプ片61,61で構成される。各クランプ片61は、立ちはぜである突条4の下方領域を押さえ付ける挟持先端部62と、そこに続く膨出部63と、前記挟持先端部62の先端位置とほぼ同じ垂直位置にある垂直部64と、該垂直部64の上端に位置する水平部65とを有し、垂直部64には左右のクランプ片61、61を一体に締め付けるときに用いるボルトのためのボルト孔66が形成されている。また、水平部65にも他部材を一体に固定するときに用いるボルトのためのボルト孔67が形成されている。なお、ボルトナットを用いずにドリルビスを用いて固定する場合は、ボルト孔66,67を省略することができる。
前記膨出部63の内面側の形状は、好ましくは立ちはぜである突条4の外郭形状に一致した形状であり、その大きさは、左右のクランプ片61、61を締め付けたときに突条4をわずかに圧縮して変形させるような大きさとされる。しかし、膨出部63の内面側の形状は、左右のクランプ片61、61を締め付けたときに、その内周面が部分的に突条4に接触するような形状であっても差し支えない。
クランプ60の固定に際しては、左右のクランプ片61,61の膨出部63の間に突条4を挟み込んだ姿勢とし、双方の垂直部64に形成したボルト孔66にボトルを通してナットで締め付ける。一定の横幅を持つ挟持先端部62の先端と膨出部63の内面側とで突条4を両側から押さえ付けた状態で、クランプ60は突条4に固定されるので、クランプ60の固定状態はきわめて安定したものとなる。
そのようにして固定したクランプ60を利用して、緑化基盤材10を固定する。図示しないが、立ちはぜである突条4の必要箇所に複数個のクランプ60を固定し、固定したクランプ60の水平部65に形成したボルト孔67を利用してボルトを立設し、そのボルトに対して直接緑化基盤材10を固定することもできる。しかし、前記したように、緑化基盤材10には屋根勾配方向であるX方向と軒先方向であるY方向に所定ピッチ(P1,P2)で取り付け孔11が形成されているのが普通であり、そのピッチP1,P2に一致するようにして、各突条4に多数のクランプ60を固定していくことは、きわめて困難であり、またY方向に対しては不可能となることがある。
以下の実施の形態では、第1の固定用治具20(図4)を用いることによってX方向のピッチ合わせを容易にし、第2の固定用治具30(図5)を用いることによってY方向の任意のピッチ合わせを容易かつ可能としている。なお、突条4のY方向のピッチPaの整数倍が緑化基盤材10のY方向のピッチP2と一致する場合には、第2の固定用治具30の使用を省略することもできる。
この例において、立ちはぜ折板屋根Rに固定する緑化基盤材Aは、図3に示すように、実質的な正方形である単位緑化基盤材10を複数枚組み付けて構成される。単位緑化基盤材10は発泡樹脂の成形品であり、保水用空間12と植裁マット支持体13を有し、周壁部には互いに嵌合する接続用凹凸部14が形成されている。各偶部には孔11が形成されており、該孔11は、接続用凹凸部14を利用して隣接する単位緑化基盤材10、10を組み付けたときに、上下に連通する取り付け孔11となる。この例では、複数枚の単位緑化基盤材10を組み付けて緑化基盤材Aとしたときに、前記各取り付け孔11は、屋根勾配方向であるX方向ではピッチP1で配列しており、軒先方向であるY方向ではピッチP2で配列している。ピッチP1とピッチP2は同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、緑化基盤材Aは一枚物で作られていてもよいが、その場合でも、ピッチP1およびピッチP2で取り付け孔11が形成される。図3には前記した第1の固定用治具20も同時に示している。
第1の固定用治具20は、図4に示すように、長尺状の金属板21と、そこに固定的に立設した複数本のボルト22からなり、ボルト22の間隔(ピッチ)は、緑化基盤材Aに形成した取り付け孔11の屋根勾配方向であるX方向でのピッチP1と同じとされている。また、所要箇所には、後記するように、第2の固定用治具30の他端側とボルトナット25,26(図6)を用いて固定するときに用いる穴23が形成されている。なお、ボルトナット25,26を用いずにドリルビスを用いて固定する場合は、穴23を省略することができる。
第2の固定用治具30は、図5に示すように、長尺状の金属板31であり、その両端には長孔32が形成されている。なお、ボルトナットを用いずにドリルビスを用いて固定する場合は、長孔32を省略することができる。なお、固定構造の形態に応じて、図5aに示す単に平板状の第2の固定用治具30aと、図5bに示すに両端部の高さが違うようにされた第2の固定用治具30bが選択的に用いられる。また、施工現場の状況などに応じて、図5cに示すように長さのより短い第2の固定用治具30cを用いることもある。
施工に当たっては、図2に基づき説明したようにして、立ちはぜ折板屋根Rの一つの山形部1の立ちはぜ部である突条4に、前記した第1の固定用治具20に形成されている穴23のピッチで、クランプ60を固定する。前記山形部1に隣接する山形部1であって、緑化基盤材10のY方向のピッチP2にほぼ一致する箇所にある山形部1・・にも同様にしてクランプ60を固定する。
次ぎに、図6に示すように、嵩上げ材として、固定したクランプ60を避けることのできる開口41を備えた発泡樹脂製板40を、立ちはぜである突条4の上に敷設する。発泡樹脂製板40の厚さは、突条4に固定したクランプ60の高さを超える厚さとする。発泡樹脂製板40の平面視での形状や大きさは任意であり、複数枚の発泡樹脂製板40を寄せ集めて立ちはぜ折板屋根R上の必要とされる面積を覆うようにしてもよい。
敷き詰めた発泡樹脂製板40の上であって、前記突条4に固定したクランプ60の近傍に、所要本数の第1の固定用治具20をX方向に向けて仮配置する。次ぎに、図5aに示した平板状の第2の固定用治具30aの一端部を、そこに形成した長孔32と既に固定されているクランプ60の水平部65に形成したボルト孔67とに固定ボルト68を通してナット69を仮締めすることにより、クランプ60側に仮固定する。
また、仮固定した第2の固定用治具30aの他方の端部に形成した長孔32と、前記第1の固定用治具20に形成した穴23とにボルト25を通し、ナット26を仮締めすることにより、第2の固定用治具30aと第1の固定用治具20とを仮固定する。同じことを、同じ山形部1上の突条4に固定した他のクランプ60と第1と第2の固定用治具20,30との間でも行う。なお、図6では第2の固定用治具30aの下に第1の固定用治具20を配置しているが、第2の固定用治具30aの上に第1の固定用治具20を配置してもよい。
この状態では、第1の固定用治具20はX方向とY方向の双方向にわずかに移動することができるので、施工現場での設計仕様に合わせて、所定の位置に第1の固定用治具20を位置決めし、固定ボルト68側のナット69とボルト25側のナット26を締め込んで、第1の固定用治具20の位置を固定する。なお、前記固定ボルト68に係合する長孔32のみで所要の位置合わせができる場合には、第2の固定用治具30aの他端側の長孔32は円孔であってもよい。
この態様で、緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)の裏面側が、第2の固定用治具30および第1の固定用治具20に衝接するのを避けなければならないので、前記部材が位置することとなる緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)の裏面には、凹陥部19が形成される。
側方に位置する2本目の第1の固定用治具20に対しても、同じようにして位置決めと固定を行う。その際に、基準となる第1の固定用治具20と2本目の第1の固定用治具20との間隔は、緑化基盤材Aに形成した取り付け孔11の軒先方向であるY方向のピッチP2と同じになるように、2本目の第1の固定用治具20の位置決めを行う。この位置調整は、前記したように、第2の固定用治具30aが両端に係止孔として長孔32を有しており、そこでピッチの違いを吸収することができるので、可能となる。
必要本数の第1の固定用治具20を同様にして立ちはぜ折板屋根Rの山形部1(立ちはぜである突条4)に対して固定していくことにより、敷設した発泡樹脂製板40の上には、前記X方向にはピッチP1で、Y方向にはピッチP2で、所要本数のボルト22が固定的に立設した状態となる(図3も参照)。
立設したボルト22・・・を利用し、単位緑化基盤材10に形成した取り付け孔11にボルト22を貫通させながら、必要枚数の単位緑化基盤材10を発泡樹脂製板40の上に配置する。単位緑化基盤材10から飛び出ているボルト22にナット28をネジ込むことにより、単位緑化基盤材10は立ちはぜ折板屋根Rの上にしっかりと固定される。すべての単位緑化基盤材10に対してナット28による締め付けを行うことにより、図3に示すように、本発明による固定構造で固定された緑化基盤材Aが立ちはぜ折板屋根Rの上に完成する。
図7〜図9は、図6に示す固定構造を用いて固定された緑化基盤材Aを利用して作られた立ちはぜ折板屋根緑化構造体Bを示す。図7は立ちはぜ折板屋根Rの側方から見た図であり、図8は立ちはぜ折板屋根Rの軒先方向から見た図である。また、図9aは固定構造の部分が現れるようにした立ちはぜ折板屋根Rの軒先方向から見た図であり、図9bは、図9aに示す第1の固定用治具20と第2の固定用治具30との固定構造の部分のみを上から見て示している。なお、図7〜図9において、図6に示した部材と同じ部材には同じ符号を付し、固定構造についての説明は省略する。
図7に示すように、立ちはぜ折板屋根Rの軒先には前記Y方向に軒先見切り材50が取り付けられ、また、図8に示すように、その両側(図8には左側方のみが示される)には前記X方向に、すなわち山形部1に沿うようにして側縁見切り材51が取り付けられる。見切り材50,51で区画された領域に、前記のようにして嵩上げ材としての発泡樹脂製板40が敷設され、その上に、第1の固定用治具20と第2の固定用治具30を用いて単位緑化基盤材10・・・が固定されて、緑化基盤材Aとされている。
図9bに示すように、この例では、図5aおよびcに示した、長さの異なる第2の固定用治具30a、30cが用いられており、図で右側では、第1の固定用治具20を固定するのに長さの長い第2の固定用治具30aを、左側では、第1の固定用治具20を固定するのに長さの短い第2の固定用治具30c用いている。このように、立ちはぜ折板屋根Rの山形部1(立ちはぜである突条4)のピッチPaと緑化基盤材AのY方向のピッチP2との関係で、異なった長さの第2の固定用治具が用いられる場合がある。
図示の例において、立ちはぜ折板屋根緑化構造体Bを組み立てるに当たり、嵩上げ材としての発泡樹脂製板40と緑化基盤材Aとの間に根止めシート52を敷設して、植物の根により発泡樹脂製板40や立ちはぜ折板屋根Rが損傷するのを防止している。また、固定された緑化基盤材Aの上には土壌流出防止用の好ましくは根止め機能を備えた不織布53を敷き、その上に、従来知られた適宜の植裁マット54を配置している。図示しないが、植裁マット54の上面に土壌の吹き飛び防止ネットを設置することは望ましく、該ネットを緑化基盤材Aの固定に用いたボルト22で固定することにより、立ちはぜ折板屋根緑化構造体B全体の安定化を図ることもできる。
このようにして構築した立ちはぜ折板屋根緑化構造体Bの上から散水すると、水は植裁マット54を透過して緑化基盤材Aの保水用空間12に溜まり、その水は植裁マット54に植生した植物55の生育を助ける。また、雨水を含む余分な水は、緑化基盤材Aをオーバーフローして流下する。
図示しないが、各単位緑化基盤材10の中に植裁マット54の下面に接する形のスポンジのように水分吸い上げ材を置くようにしてもよく、この場合、保水用空間12の底部にある水を植裁マット54に向けて吸い上げることができる利点がある。
図10は本発明による固定構造の第2の形態を示している。ここでは、嵩上げ材として、発泡樹脂製板40ではなく、鋼製の角パイプ40Aを用いている。角パイプ40Aの高さは、立ちはぜ折板屋根Rの山形部1に固定されるクランプ60の高さよりも高く、該クランプ60を避けるようにして、必要本数の角パイプ40Aが前記Y方向に平行に所要の間隔をおいて配置されている。第2の固定用治具30には、図5bに示した両端で高さの違う第2の固定用治具30bを用いており、その一端をクランプ60に固定し、他端を第1の固定用治具20に固定している。配置した角パイプ40Aの上面を支持基盤として、第1の固定用治具20が仮配置され、以下、図6に示したものと同じようにして、仮配置した第1の固定用治具20をクランプ60に対して所定位置に固定する。なお、同じ機能を奏する部材には同じ符号を付しており、その説明は省略する。なお、図10では、第2の固定用治具30bの下に第1の固定用治具20を配置しているが、第2の固定用治具30bの上に第1の固定用治具20を配置してもよい。
図11は本発明による固定構造の第3の形態を示しており、ここでは、嵩上げ材を用いずに、クランプ60が固定されていない山形部1の突条(立ちはぜ)4を支持基盤として緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)が配置されている。ここでは、第2の固定用治具30に第2の固定用治具30aを用い、その一端をクランプ60に固定し、他端を第1の固定用治具20に固定している。この態様でも、緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)の裏面側が、クランプ60,第2の固定用治具30および第1の固定用治具20に衝接するのを避けなければならないので、前記部材が位置することとなる緑化基盤材A(単位緑化基盤材10)の裏面には凹陥部19が形成される。この形態でも、仮配置された第1の固定用治具20を山形部3に対して所定位置に固定する手順と方法は、図6に示したものと同じであり、同じ機能を奏する部材には同じ符号を付し、説明は省略する。なお、図11では第2の固定用治具30aの下に第1の固定用治具20を配置しているが、第2の固定用治具30aの上に第1の固定用治具20を配置してもよい。
図10に示す第2の形態および図11に示す第3の形態で固定されたそれぞれの緑化基盤材Aに対して、前記図7〜図9に示したと同様にして立ちはぜ折板屋根緑化構造体Bを構築できることはもちろんである。また、いずれの形態においても、第1の固定用治具20や嵩上げ材40,40Aを接着剤や両面粘着テープなどで一時的に仮固定しておくことは、事後の作業を円滑に行うのに望ましい。
上記したクランプ60を用いて、図7に示した軒先見切り材50を安定的に立ちはぜ折板屋根に対して取り付けることもできる。最初に、軒先見切り材50を取り付けようとする山形部1の位置に、軒先に平行に必要個数のクランプ60を、図2で説明したと同様にして固定する。すべての山形部1に固定してもよく、何本か間をおいて固定してもよい。
固定したクランプ60の前記水平部65の上に、図12に示すように、垂直板71と水平板72とからなるL型支持板70を、ボルト孔67を利用してボルトナットで固定する。その際に、好ましくは、L型支持板70の垂直板71の面と各クランプ片61,61の軒先見切り材50側の面が同一の面となるようにして固定する。必要な場合には、固定したL型支持板70の垂直板71に所要の大きさの受け板(不図示)をさらに固定する。このようにして立ちはぜである突条4に固定したL型支持板70(あるいは受け板)を背圧支持材として、軒先見切り材50を置いていくことにより、容易にかつ安定した姿勢で軒先見切り材50を立ちはぜ折板屋根の上に固定することができる。
なお、本発明による立ちはぜ折板屋根緑化構造体において、上記のようにして固定した軒先見切り材50あるいは側縁見切り材51(図7、8参照)と緑化基盤材Aとの間をシーリング剤により目地処理することは望ましく、それにより、土壌や水が流出するのを防止することができる。また、図示しないが、クランプ片61の挟持先端部62の先端を立ちはぜである突条4の下方の形状に沿う湾曲した形状とすることは望ましい。それにより、クランプ片61と突条4との接触面積をより大きくすることができ、クランプ60の固定状態をさらに安定させることができる。
立ちはぜ折板屋根の一例を示す斜視図(図1a)と屋根板を示す断面図(図1b)。 立ちはぜである突条に固定するクランプと該クランプが突条に固定された状態を説明するための図。 立ちはぜ折板屋根の上に固定する緑化基盤材の一例を示す平面図。 本発明の固定構造で用いる第1の固定用治具を示す図。 本発明の固定構造で用いる第2の固定用治具を示す図。 本発明による緑化基盤材の固定構造の一態様を説明する図。 図6に示した固定構造で固定された緑化基盤材を利用して作った立ちはぜ折板屋根緑化構造体の一例を立ちはぜ折板屋根の側方から見て示す図。 図7に示す立ちはぜ折板屋根緑化構造体を立ちはぜ折板屋根の軒先方向から見て示す図。 図9aは固定構造の部分が現れるようにした立ちはぜ折板屋根Rの軒先方向から見た図であり、図9bは図9aに示す第1の固定用治具と第2の固定用治具との固定構造の部分のみを上から見て示している。 本発明による緑化基盤材の固定構造の他の態様を説明する図。 本発明による緑化基盤材の固定構造のさらに他の態様を説明する図。 本発明によるクランプを用いて軒先見切り材を固定する状態を説明する図。 立ちはぜ折板屋根にボルトを固定するのに用いられる従来の固定具を説明するための図。
符号の説明
R…立ちはぜ折板屋根、A…緑化基盤材、B…立ちはぜ折板屋根緑化構造体、Pa…山形部のピッチ、X…屋根勾配方向、Y…軒先方向、1…山形部、2…山形部の頂部、3…屋根板、4…突条(立ちはぜ)、10…単位緑化基盤材、12…保水用空間、13…植裁マット支持体、14…接続用凹凸部、11…取り付け孔、19…緑化基盤材の裏面の裏面形成される凹陥部、P1…取り付け孔のX方向のピッチ、P2…取り付け孔のY方向のピッチ、20…第1の固定用治具、21…長尺状の金属板、22…ボルト、23…固定用穴、30…第2の固定用治具、31…長尺状の金属板、32…長孔、40…嵩上げ材としての発泡樹脂製板、41…開口、40A…嵩上げ材としての角パイプ、50軒先見切り材、51…側縁見切り材、52…根止めシート、53…不織布、54…植裁マット、55…植物、60…クランプ、61…左右一対のクランプ片、62…挟持先端部、63…膨出部、64…垂直部、65…水平部

Claims (6)

  1. 屋根勾配方向であるX方向に走る山形部が軒先方向であるY方向に所定ピッチPaで連続しており、該山形部には屋根板を連接したときの突条が屋根勾配方向に走っている立ちはぜ折板屋根の上に緑化基盤材を固定する固定構造であって、
    前記突条を左右から挟み付ける一対のクランプ片からなるクランプを少なくとも突条の2箇所に固定し、該固定したクランプを利用してX方向に伸びる長尺状の第1の固定用治具を取り付け、該第1の固定用治具に対して緑化基盤材を固定する構造であり、
    前記緑化基盤材は、取り付け孔を前記X方向にピッチP1、前記Y方向にピッチP2で有しているものであり、前記第1の固定用治具は該緑化基盤材のX方向のピッチP1と同じピッチP1でボルトを立設した長尺状の固定用治具であり、前記ボルトを利用して緑化基盤材は第1の固定用治具に固定されており、
    さらに、一端に、突条に固定したクランプに自由度をもった状態で係合しうる係止孔を有しており、他端は前記第1の固定用治具に固定できるようになっている第2の固定用治具が用いられており、前記緑化基盤材は該第2の固定用治具に固定された前記第1の固定用治具の前記ボルトを利用して固定されていることを特徴とする立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造。
  2. 第2の固定用治具の他端も第1の固定用治具との間で固定位置を調整できるような形状とされている第2の固定用治具を用いることを特徴とする請求項に記載の立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造。
  3. 立ちはぜ折板屋根には嵩上げ材が配置されており、第1の固定用治具は該嵩上げ材の上に配置されており、第2の固定用治具は、嵩上げ材が配置されない箇所において、一端を前記突条に固定したクランプに固定し、他端を第1の固定用治具に固定していることを特徴とする請求項またはに記載の立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造。
  4. 請求項1ないしのいずれかに記載の立ちはぜ折板屋根への緑化基盤材の固定構造により固定された緑化基盤材の上に植物が植生されていることを特徴とする立ちはぜ折板屋根緑化構造体。
  5. 緑化基盤材は保水排水基盤材であり、その上に直接または不織布を介して植裁マットが敷かれていることを特徴とする請求項に記載の立ちはぜ折板屋根緑化構造体。
  6. 植裁マットの上にネットがかけられており、該ネットは第1の固定用治具に取り付けたボルトを利用して留め付けられていることを特徴とする請求項に記載の立ちはぜ折板屋根緑化構造体。
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