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JP4953583B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池に関し、特に、活物質層を含む負極を備えたリチウム二次電池に関する。
近年、高出力および高エネルギ密度を有する二次電池の1つとして、非水電解質を用いるとともに、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させることにより充放電を行うリチウム二次電池が利用されている。このリチウム二次電池は、充電時には正極からリチウムイオンが負極へと移動して吸蔵され、放電時には逆に負極から正極へとリチウムイオンが戻る構造となっている。そして、従来では、上記したリチウム二次電池の負極を構成する負極活物質層の材料として、たとえば、リチウムと合金化するシリコンが検討されている。
しかしながら、上記した従来のシリコンからなる負極活物質層では、充放電時にリチウムを吸蔵および放出する際に、負極活物質の体積が大きく膨張および収縮することにより、負極活物質層の集電体からの剥離が発生するという不都合があった。このため、リチウム二次電池の充放電サイクル特性が悪化するという不都合があった。
そこで、本出願人は、CVD法やスパッタリング法などを用いて、集電体上に微結晶シリコン層または非晶質シリコン層からなる負極活物質層を形成したリチウム二次電池を提案している(たとえば、特許文献1)。この特許文献1において提案されたリチウム二次電池では、充放電時に負極活物質層が膨張および収縮する際に、シリコン層からなる負極活物質層に亀裂が生じるので、その亀裂により負極活物質層が柱状に分離される。これにより、負極活物質層内に発生する応力が緩和されるので、負極活物質層が集電体から剥離するのが抑制される。
国際公開WO01/29912号公報
しかしながら、上記特許文献1において提案された従来のシリコン層からなる負極活物質層を含むリチウム二次電池では、サイクル初期から設計容量分の放電容量を得るのは困難であり、設計容量分の放電容量を得るためには、数サイクルの充放電を行う必要があるという不都合があった。すなわち、上記特許文献1において提案されたシリコン層からなる負極活物質層を含むリチウム二次電池では、充放電のサイクル初期から設計容量分の充放電容量を出すために、従来用いられる予備充電、低レートサイクルおよび高温エージングなどの手法を用いたとしても、充放電のサイクル初期から設計容量分の放電容量を得ることができないという不都合があった。この理由について、図7および図8を参照して説明する。特許文献1において提案された従来のリチウム二次電池では、図7に示すように、集電体11上に柱状に負極活物質層12が分離されるので、隣り合う負極活物質層12間に隙間12aが形成される。図7に示した状態から負極活物質層12を充電すると、図8に示すように、負極活物質層12が図8の矢印の方向に膨張するので、隣り合う負極活物質層12が密着する。これによって、隣り合う負極活物質層12の間に隙間12aをほとんど有しない状態となる。このため、電解質が隙間12aに浸透しにくくなるので、充放電のサイクル初期の放電容量が小さくなるものと考えられる。この場合、負極と電解質とを馴染ませて設計容量分の放電容量を得るために、製造工程で数サイクル分の充放電を行う必要が生じるため、製造工程に時間がかかるという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、充放電のサイクル初期から設計容量分の放電容量を得ることが可能なリチウム二次電池を提供することである。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記目的を達成するために、本願発明者が鋭意検討した結果、柱状に形成された負極活物質層を含む負極の表面に金属層を形成することにより、充放電のサイクル初期から設計容量分の放電容量を得ることが可能であることを見出した。
すなわち、この発明の一の局面によるリチウム二次電池は、正極と、リチウムと合金化するとともに、集電体上に負極活物質層の厚み方向に向かって柱状に形成された負極活物質層を含む負極と、電解質と、負極活物質層の表面上に形成された金属層とを備えており、集電体が、算術平均粗さRaが0.1μm以上1.0μm以下の凹凸形状の表面を有し、負極活物質層がシリコン層およびシリコンを主成分とするシリコン合金層からなるグループより選択される少なくとも一つの材料からなり、金属層が、リチウムと合金化せず、かつ、引張強度が200MPa以上である、ことを特徴としている。
この一の局面によるリチウム二次電池では、上記のように、リチウムと合金化するとともに、集電体上に負極活物質層の厚み方向に向かって柱状に形成された負極活物質層の表面に金属層を形成することによって、充電によって膨張しない金属層が負極活物質層の表面に形成されているので、負極活物質層の柱状部分の上部では、充電による膨張が抑制される。このため、隣り合う柱状に形成された負極活物質層間に隙間を形成することができるので、負極活物質層と電解質との接触面積が大きくなる。これにより、充放電のサイクル初期から設計容量分の放電容量を得ることができるので、製造工程において数サイクル分の充放電を行う必要がなくなる。その結果、製造工程を短縮することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池において、好ましくは、金属層は、Ni層からなるものである。このように構成すれば、Niは、リチウムと反応しないため、充電によって膨張することがなく、かつ、200MPa以上の引張強度を有しているため、負極活物質層の膨張を十分抑制することができるので、容易に、隣接する柱状の負極活物質層間に隙間を形成することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池において、好ましくは、金属層は、1nm以上200nm以下の膜厚に形成されている。金属層をこのような厚みに設定すれば、充電による負極活物質層の柱状部分の上部の膨張を十分に抑制することができるので、容易に、隣り合う柱状に形成された負極活物質層間に隙間を形成することができる。
この場合、好ましくは、金属層は、25nm以上100nm以下の膜厚に形成されている。金属層をこのような厚みに設定すれば、充電による負極活物質層の柱状部分の上部の膨張をより十分に抑制することができるので、より容易に、隣り合う柱状に形成された負極活物質層間に隙間を形成することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池において、好ましくは、金属層は、金属めっき層を含む。このように構成すれば、柱状に形成された負極活物質層の表面上に、容易に金属層を形成することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池において、集電体は、算術平均粗さRaが0.1μm以上1.0μm以下の凹凸形状の表面を有する。ここで、Raは、日本工業規格(JIS B0601−1994)に定められており、たとえば、表面粗さ計により測定することができる。このように構成すれば、集電体上に形成された負極活物質層の表面は、集電体の表面の凹凸形状を反映した凹凸形状になるとともに、その負極活物質層の凹状領域は、低密度領域になり易いので、その低密度領域に沿って亀裂が生じ易くなる。このため、負極活物質層は、亀裂により柱状に分離され易くなるので、充放電による負極活物質の膨張および収縮によって発生する活物質層内の応力を、負極活物質の分離によって生じた隙間によって緩和することができる。その結果、負極活物質層の集電体からの剥離などを抑制することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池において、好ましくは、負極活物質層は、非晶質層または微結晶層からなる。このように構成すれば、非晶質層または微結晶層では、充電による負極活物質層の膨張が放電によって可逆的に収縮され易くなるので、容易に負極活物質層を柱状に形成することができる。
上記一の局面によるリチウム二次電池において、好ましくは、負極活物質層は、非晶質シリコン層、微結晶シリコン層、シリコンを主成分とする非晶質シリコン合金層および微結晶シリコン合金層からなるグループより選択される少なくとも1つの材料からなる。このような材料により負極活物質層を構成すれば、充電による負極活物質層の膨張が放電によってより可逆的に収縮され易くなるので、より容易に負極活物質層を柱状に形成することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。
(実施例1)
[負極の作製]
25μmの厚みを有する耐熱性ジルコニウム銅箔の表面に、電解法を用いて耐熱性ジルコニウム銅箔の表面の算術平均粗さRaが、0.25μmの凹凸形状になるように銅を析出させた。このようにして表面を粗面化した耐熱性ジルコニウム銅箔を、負極集電体として用いた。この集電体の表面に、スパッタリング法を用いて、以下の表1に示す条件で非晶質シリコン層を堆積し、負極活物質層を形成した。
Figure 0004953583
上記表1を参照して、スパッタリング法による非晶質シリコン層の形成条件としては、直流パルス周波数、直流パルス幅および直流パルス電力を、それぞれ、100kHz、1856nsおよび2000Wに設定した。また、アルゴンガス流量、ガス圧力、形成時間および膜厚を、それぞれ、60sccm、2.0×10−1Pa〜2.5×10−1Pa、175分および6μmに設定した。なお、ガス流量の単位であるsccmは、standard cubic per minutesの略であり、標準状態での体積流量を示す。
次に、作製した負極活物質層の表面に、無電解めっき法を用いて25nmの厚みを有するNi層を形成することによって、実施例1によるリチウム二次電池の負極を作製した。
(実施例2)
[負極の作製]
負極活物質層の表面に形成したNi層の厚みが50nmであること以外は、上記した実施例1と同様の作製プロセスを用いて、実施例2によるリチウム二次電池の負極を作製した。
(実施例3)
[負極の作製]
負極活物質層の表面に形成したNi層の厚みが100nmであること以外は、上記した実施例1と同様の作製プロセスを用いて、実施例3によるリチウム二次電池の負極を作製した。
(比較例1)
[負極の作製]
負極活物質層の表面にNi層を形成しないこと以外は、上記した実施例1と同様の作製プロセスを用いて、比較例1によるリチウム二次電池の負極を作製した。
(実施例1、2、3および比較例1共通)
[正極の作製]
まず、LiCOとCoCOとを用いて、Li:Coの原子比が1:1になるように秤量して乳鉢で混合した。そして、その混合物を直径17mmのプレス金型で加圧成形した後、空気中において、800℃で24時間焼成することによって、LiCoOの焼成体を形成した。この後、LiCoOの焼成体の平均粒子径が20μmになるまで粉砕することによって、LiCoO粉末を形成した。次に、LiCoO粉末90重量部と、導電剤としての人工黒鉛粉末5重量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン5重量部を含む5質量%のN−メチルピロリドン水溶液とからなる正極合剤スラリーを形成した。そして、正極集電体としてのアルミニウム箔上に正極合剤スラリーを塗布した後、乾燥することによって、LiCoOからなる正極活物質層を形成した。最後に、正極集電体および正極活物質層を圧延した後、20mm角の正方形に切り出すことによって、実施例1、2、3および比較例1によるリチウム二次電池の正極を作製した。
[非水電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とを、3:7の体積比で混合した溶媒に、溶質としてのLiPFを1mol/l溶解し、非水電解液を作製した。
(実施例1、2および3共通)
[電池の作製]
図1は、本発明の実施例1、2および3によるリチウム二次電池を示した斜視図である。図2は、図1の100−100線に沿った断面図である。図2を参照して、負極集電体4、負極活物質層5およびNi層6からなる負極としては、上記のようにして作製した実施例1〜3の負極を用いた。また、正極集電体7および正極活物質層8からなる正極としては、上記のようにして作製した正極を用いた。また、非水電解液10としては、上記のようにして作製した非水電解液を用いた。
電池の作製プロセスとしては、アルミニウムラミネートからなる外装体1内に、負極集電体4、負極活物質層5およびNi層6からなる負極と、正極集電体7および正極活物質層8からなる正極とを、多孔質ポリエチレンからなるセパレータ9を挟んで対向するように配置した。また、負極集電体4に取り付けた負極タブ2を、外装体1の一方の封口部1aを介して外側に配置するとともに、正極集電体7に取り付けた正極タブ3を、外装体1の他方の封口部(図示せず)を介して外側に配置した。そして、外装体1内に非水電解液10を500μl注入した後、一方の封口部1aおよび他方の封口部を溶着することにより封口した。これにより、実施例1、2および3による電池を作製した。なお、実施例1、2および3による電池の設計容量は、6.9mAhである。
(比較例1)
[電池の作製]
負極活物質層の表面にNi層が形成されていない負極を用いたこと以外は、上記した実施例1、2および3と同様の作製プロセスを用いて比較例1による電池を作製した。なお、比較例1による電池の設計容量は、上記の実施例1、2および3と同じ6.9mAhである。
(実施例1、2、3および比較例1共通)
[充放電サイクル試験]
上記のようにして作製した実施例1、2、3および比較例1によるリチウム二次電池電池について、充放電サイクル試験を行った。充放電の条件は、25℃の温度条件下で、6.9mAの充電電流で4.2Vになるまで充電した後、6.9mAの放電電流で2.75Vになるまで放電した。これを1サイクルの充放電として、各サイクルでの放電容量を測定した。実施例1、2、3および比較例1の充放電サイクル試験結果を図3に示す。
図3に示すように、負極活物質層の表面にNi層が形成された実施例1、2および3は、負極活物質層の表面にNi層が形成されていない比較例1に比べて、充放電のサイクル初期から設計容量分の充放電容量が得られることが確認できた。具体的には、1サイクル目の放電容量は、実施例1(実線)、実施例2(二点鎖線)および実施例3(点線)では、設計容量と同じ約6.9mAhであったのに対して、比較例1(一点鎖線)では、設計容量よりも低い約6.5mAhであった。この理由について図4〜図6を参照して説明する。充電前の負極は、図4に示すように、負極集電体4上に負極活物質層5が柱状に形成されており、柱状に形成された負極活物質層5の表面上にNi層6が形成されている。この状態では、隣り合う柱状に形成された負極活物質層5間には隙間5aを有している。次に、負極を充電すると、図5に示すように、負極活物質層5はA方向およびB方向に膨張するため、隣り合う柱状に形成された負極活物質層5が密着する。このため、隙間5aが小さくなる。この場合、実施例1〜3では、負極活物質層5の表面上にNi層6が形成されているので、柱状に形成された負極活物質層5の上部は、充電によって膨張しないNi層6によって膨張が抑制される。これにより、隣り合う柱状に形成された負極活物質層5間の上部には、隙間5aを形成することができる。このため、実施例1、2および3は、比較例1に比べて、負極活物質層5と非水電解質との接触面積が大きくなるので、充放電のサイクル初期で放電容量が高くなるものと考えられる。また、図5に示す状態では、Ni層6によって負極活物質層5の上部は膨張が抑制されるため、負極活物質層5の上部にC方向およびD方向の応力が加わった状態となっている。この状態でさらに充電すると、負極活物質5内のC方向およびD方向に向かう応力によって、図6に示すように、Ni層6および負極活物質層5の表面に割れ部6aが形成される。この割れ部6aによって、Ni層6により生じていた負極活物質層5の上部の応力が緩和されるとともに、隙間5a(図5参照)は小さくなる。その一方、割れ部6aによって非水電解質と負極活物質層とが接触するので、設計容量分の放電容量を得ることができると考えられる。
また、実施例1、2および3を比較すると、図3に示すように、充放電のサイクル初期の放電容量の値はほとんど同じ値となることが確認できた。このことより、Ni層6の厚みが25nm以上100nm以下の範囲であれば、充電による柱状に形成された負極活物質層5の上部の膨張を十分に抑制することができるので、充放電のサイクル初期から設計容量分の放電容量を得られることが確認できた。
実施例1、2および3では、上記のように、リチウムと合金化するとともに、集電体4上に負極活物質層5の厚み方向に向かって柱状に形成された負極活物質層5の表面にNi層6を形成することによって、充電によって膨張しないNi層6が負極活物質層5の表面に形成されているので、負極活物質層5の柱状部分の上部では、充電による膨張が抑制される。このため、隣り合う柱状に形成された負極活物質層5間に隙間5aを形成することができるので、負極活物質層5と非水電解液10との接触面積が大きくなる。これにより、充放電のサイクル初期から設計容量分の放電容量を得ることができるので、製造工程において数サイクル分の充放電を行う必要がなくなる。その結果、製造工程を短縮することができる。
実施例1、2および3では、上記のように、Ni層6を、25nm以上100nm以下の膜厚に形成することによって、充電による負極活物質層5の柱状部分の上部の膨張をより十分に抑制することができるので、より容易に、隣り合う柱状に形成された負極活物質層5間に隙間5aを形成することができる。
実施例1、2および3では、上記のように、Ni層6を、金属めっき層を含むように構成することによって、柱状に形成された負極活物質層5の表面上に、容易にNi層6を形成することができる。
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施例の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施例1、2および3では、柱状に形成された負極活物質層の表面上に形成された金属層として、Ni層を用いたが、本発明はこれに限らず、リチウムと合金化せず、かつ、引張強度が200MPa以上あれば、Ni以外の金属層を用いてもよい。上記条件を満たすNi以外の金属としては、たとえば、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Ti、WおよびZrまたはこれらを2種類以上含む合金などが挙げられる。この合金としては、たとえば、Cu−Zr合金、Fe−Ni合金、Co−Ni合金、Ni−Mo合金、Zr−Ni合金、Fe−Zr合金、Ni−Ta合金、Cu−Ni合金、Fe−Ta合金およびNi−W合金などが挙げられる。
また、上記実施例1、2および3では、めっき法を用いて、負極活物質層の表面にNi層を形成したが、本発明はこれに限らず、めっき法以外の方法を用いて、負極活物質層の表面にNi層を形成するようにしてもよい。めっき法以外の方法としては、たとえば、CVD法、スパッタリング法、蒸着法および溶射法などが挙げられる。
また、上記実施例1、2および3では、非晶質シリコン層からなる負極活物質層を用いたが、本発明はこれに限らず、微結晶シリコン層、シリコンを主成分とする非晶質シリコン合金層およびシリコンを主成分とする微結晶シリコン合金層からなるグループより選択される少なくとも1つの材料からなる負極活物質層を用いてもよい。シリコンを主成分とする合金としては、たとえば、Si−Co合金、Si−Fe合金、Si−Zn合金およびSi−Zr合金などが挙げられる。なお、シリコンを主成分とする合金とは、シリコンを50原子%以上含む合金である。
また、上記実施例1、2および3では、スパッタリング法により非晶質シリコン層からなる負極活物質層を形成する際に、スパッタリング用の電力として直流パルス電力を供給するようにしたが、本発明はこれに限らず、直流電力や高周波電力を供給するようにしてもよい。
また、上記実施例1、2および3では、電解法により銅を析出させて負極集電体の表面を粗面化したが、本発明はこれに限らず、電解法以外の方法によって負極集電体の表面を粗面化してもよい。電解法以外で集電体の表面を粗面化する方法としては、たとえば、めっき法、エッチング法、および研磨法などが挙げられる。ここで、めっき法により集電体を粗面化する場合は、集電体の表面に凹凸を有する層を形成することにより、集電体の表面を粗面化する。この場合のめっき法としては、たとえば、電解めっき法および無電解めっき法が挙げられる。また、エッチング法としては、たとえば、物理的エッチングおよび化学的エッチングが挙げられる。また、研磨法としては、たとえば、サンドペーパーによる研磨およびブラスト法による研磨などが挙げられる。
また、上記実施例1、2および3では、ジルコニウム銅箔からなる負極集電体を用いたが、本発明はこれに限らず、導電性を有する材料であれば、ジルコニウム銅箔以外の材料からなる負極集電体を用いてもよい。ジルコニウム銅箔以外の導電性を有する材料としては、たとえば、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト、または、これらを2つ以上を組み合わせた合金などが挙げられる。特に、負極活物質層中に拡散し易い銅元素を含有する銅や銅合金などからなる負極集電体を用いるのが好ましい。
また、上記実施例1、2および3では、耐熱性のジルコニウム銅箔からなる負極集電体を用いたが、本発明はこれに限らず、焼鈍(温度:200℃、時間:1時間)後の引張強度が300MPa以上であれば、ジルコニウム銅箔以外の他の耐熱性銅合金からなる負極集電体を用いてもよい。ジルコニウム銅箔以外の他の耐熱性銅合金としては、たとえば、錫入り銅(錫:0.05質量%〜0.2質量%、燐:0.04質量%以下)、銀入り銅(銀:0.08質量%〜0.25質量%)、クロム銅(クロム:0.4質量%〜1.2質量%)、チタン銅(チタン:1.0質量%〜4.0質量%)、ベリリウム銅(ベリリウム:0.4質量%〜2.2質量%、コバルト、ニッケルおよび鉄:少量)、鉄入り銅(鉄:0.1質量%〜2.6質量%、燐:0.01質量%〜0.3質量%)、高力黄銅(銅:55.0質量%〜60.5質量%、アルミニウム:2.0質量%以下、マンガン:3.0質量%以下、鉄:1.5質量%以下)、錫入り黄銅(銅:80.0質量%〜95.0質量%、錫:1.5質量%〜3.5質量%、亜鉛:残り)、燐青銅(銅を主成分として、錫:3.5質量%〜9.0質量%、燐:0.03質量%〜0.35質量%含む)、アルミニウム青銅(銅:77.0質量%〜92.5質量%、アルミニウム:6.0質量%〜12.0質量%、鉄:1.5質量%〜6.0質量%、ニッケル:7.0質量%以下、マンガン:2.0質量%以下)、白銅(銅を主成分として、ニッケル:9.0質量%〜33.0質量%、鉄:0.4質量%〜2.3質量%、マンガン:0.2質量%〜2.5質量%、亜鉛:1.0質量%以下含む)、コルソン合金(銅に、ニッケル:3.0質量%、シリコン:0.65質量%、マグネシウム:0.15質量%)、および、Cr・Zr銅合金(クロム:0.2質量%、ジルコニウム:0.1質量%、亜鉛:0.2質量%含む)などが挙げられる。
また、上記実施例1、2および3では、スパッタリング法を用いて、非晶質シリコン層からなる負極活物質層を堆積するようにしたが、本発明はこれに限らず、スパッタリング法以外の方法を用いて、負極集電体上に負極活物質層を堆積するようにしてもよい。スパッタリング法以外の方法としては、たとえば、CVD法、蒸着法およびめっき法などが挙げられる。
また、上記実施例1、2および3では、非水電解質の溶質として、LiPFを用いたが、本発明はこれに限らず、LiPF以外の溶質を用いてもよい。LiPF以外の溶質としては、たとえば、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiC(CSO、LiAsF、LiClO、Li10Cl10およびLi12Cl12などが挙げられる。また、上記した溶質からなるグループより選択される2つ以上を組み合わせた混合物を溶質として用いてもよい。
また、上記実施例1、2および3では、環状カーボネートであるエチレンカーボネートと鎖状カーボネートであるジエチルカーボネートとの混合溶媒を含む非水電解質を用いたが、本発明はこれに限らず、リチウム二次電池の溶媒として使用可能であれば、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒以外の溶媒を含む非水電解質を用いてもよい。ただし、リチウム二次電池の溶媒としては、環状カーボネートまたは鎖状カーボネートが好ましい。また、リチウム二次電池の溶媒としては、2種類以上の溶媒を混合した混合溶媒がより好ましく、特に、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含む混合溶媒が好ましい。エチレンカーボネート以外の環状カーボネートとしては、たとえば、プロピレンカーボネートおよびビニレンカーボネートなどが挙げられる。また、ジメチルカーボネート以外の鎖状カーボネートとしては、たとえば、メチルエチルカーボネートおよびジエチルカーボネートなどが挙げられる。ただし、リチウム二次電池の溶媒としては、ビニレンカーボネートを20質量%以下の濃度で溶解させた溶媒がより好ましい。また、上記環状カーボネートとエーテル系溶媒とを混合した混合溶媒を用いてもよい。エーテル系溶媒としては、たとえば、1,2−ジメトキシエタンおよび1,2−ジエトキシエタンなどが挙げられる。
また、上記実施例1、2および3では、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒を含む非水電解液をリチウム二次電池の電解質として用いたが、本発明はこれに限らず、ゲル状ポリマー電解質および無機固体電解質を用いてもよい。ゲル状ポリマー電解質としては、たとえば、ポリエチレンオキシドおよびポリアクリロニトリルなどのポリマー電解質に電解液を含浸させたものが挙げられる。また、無機固体電解質としては、たとえば、LiIおよびLiNなどが挙げられる。
また、上記実施例1、2および3では、LiCoOからなる正極活物質層を用いたが、本発明はこれに限らず、リチウムを電気化学的に挿入および脱離する材料であれば、LiCoO以外の材料からなる正極活物質層を用いてもよい。LiCoO以外の材料としては、たとえば、LiNiO、LiMnO、LiMnO、LiCo0.5Ni0.5、LiNi0.7Co0.2Mn0.1などのリチウム含有遷移金属酸化物やMnOなどのリチウムを含有していない金属酸化物などが挙げられる。
また、上記実施例1、2および3では、柱状に形成した負極活物質層の表面上に、25nm以上100nm以下の厚みを有するNi層を形成したが、本発明はこれに限らず、1nm以上200nm以下の厚みを有するNi層を形成しても同様の効果を得ることができると考えられる。
また、上記実施例1、2および3では、負極集電体の表面を、算術平均粗さRaが0.25μmの凹凸形状の表面を有するように形成したが、本発明はこれに限らず、負極集電体の表面を、算術平均粗さRaが、0.1μm以上1.0μm以下の凹凸形状の表面を有するように形成しても同様の効果を得ることができると考えられる。
本発明の実施例1、2および3によるリチウム二次電池を示した斜視図である。 図1の100−100線に沿った断面図である。 本発明の実施例1、2、3および比較例1の充放電サイクル試験結果を示す図である。 本発明の実施例1、2および3による負極活物質層の断面図である。 本発明の実施例1、2および3による負極活物質層の充電後の断面図である。 本発明の実施例1、2および3による負極活物質層をさらに充電した後の断面図である。 従来の柱状に形成された負極活物質層を有する負極の断面図である。 従来の柱状に形成された負極活物質層を有する負極の充電後の断面図である。
符号の説明
4 負極集電体
5 負極活物質層
5a 隙間
6 Ni層(金属層)

Claims (7)

  1. 正極と、
    リチウムと合金化するとともに、集電体上に負極活物質層の厚み方向に向かって柱状に形成された負極活物質層を含む負極と、
    電解質と、
    前記負極活物質層の表面上に形成された金属層とを備えたリチウム二次電池において、
    前記集電体が、算術平均粗さRaが0.1μm以上1.0μm以下の凹凸形状の表面を有し、
    前記負極活物質層がシリコン層およびシリコンを主成分とするシリコン合金層からなるグループより選択される少なくとも一つの材料からなり、
    前記金属層が、リチウムと合金化せず、かつ、引張強度が200MPa以上であることを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 前記金属層が、Ni、Co、Cr、Cu、Fe、Mo、Ti、W、Zrまたはこれらを2種類以上含む合金からなる請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記金属層は、Ni層からなる、請求項1または2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記金属層は、1nm以上200nm以下の厚みを有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記金属層は、25nm以上100nm以下の厚みを有する、請求項4に記載のリチウム二次電池。
  6. 前記金属層は、金属めっき層を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  7. 前記負極活物質層は、非晶質層または微結晶層からなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
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