JP4947753B2 - メタクリル酸合成用触媒およびメタクリル酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はメタクリル酸合成用触媒の製造方法に関し、より詳しくはメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を合成する際に使用するメタクリル酸合成用触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクロレインを気相接触酸化してメタクリル酸を合成する触媒にはモリブデンおよびリンを含むヘテロポリ酸系触媒が有効であることが広く知られており、触媒の調製方法について数多くの提案がなされている。例えば、特開昭63−130143号公報には、モリブデン、リンを含む触媒スラリーを水分含有率が1%程度にまで乾燥させ、得られた固形物を再び水に分散させた後に乾燥処理を行い、続いて成形、焼成して触媒を調製する方法が開示されている。しかし、この方法で得られた触媒は工業触媒としてはメタクリル酸収率がいまだ不充分であり、工業触媒としての使用に際しては更なる収率の向上が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を高い収率で製造できるメタクリル酸合成用触媒の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、本発明者らは、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を合成する際に使用する触媒について、高い触媒活性およびメタクリル酸選択性を有する触媒を得ることができる新規調製法を完成させるに至った。
【0005】
すなわち本発明は、少なくともモリブデンおよびリンを含む水性スラリーから水を部分的に除去して水分含有率が3〜25重量%の乾燥物とし、この乾燥物を水に分散させて水性スラリーとし、この水性スラリーを乾燥したものを300〜500℃で焼成するメタクリル酸合成用触媒の製造方法である。触媒製造の際、乾燥物を分散させる水の質量は乾燥物の質量の1〜10倍が好ましい。また、メタクリル酸合成用触媒は次の式(1)の組成式で表される複合酸化物が好ましい。
MoaPbCucVdXeYfOg (1)
(式中、Mo、P、Cu、VおよびOはそれぞれモリブデン、リン、銅、バナジウムおよび酸素を表し、Xはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、Yは鉄、コバルト、ニッケル、ヒ素、アンチモンおよびビスマスからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表す。ただし、a、b、c、d、e、fおよびgは各元素の原子比を表し、a=12のとき、0.1≦b≦3、0.01≦c≦3、0.01≦d≦3、0.01≦e≦3、0≦f≦3であり、gは前記各成分の原子比を満足するのに必要な酸素の原子比である。)
【0006】
さらに本発明は、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を合成するメタクリル酸の製造方法において、前記のメタクリル酸合成用触媒を用いることを特徴とするメタクリル酸の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のメタクリル酸合成用触媒は少なくともモリブデンとリンを含有する複合酸化物である。触媒には、ヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩の構造が含まれていることが好ましい。
【0008】
また触媒は、モリブデンおよびリン以外にはアルカリ金属を含んでいることが好ましく、これ以外に銅、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、チタン、クロム、タングステン、マンガン、銀、ホウ素、ケイ素、アルミニウム、ガリウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、インジウム、イオウ、セレン、テルル、ランタン、セリウム等を適宜含んでいてもよい。特に次の式(1)の組成式で表される複合酸化物が好ましい。
MoaPbCucVdXeYfOg (1)
【0009】
式(1)中、Mo、P、Cu、VおよびOはそれぞれモリブデン、リン、銅、バナジウムおよび酸素を表し、Xはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、Yは鉄、コバルト、ニッケル、ヒ素、アンチモンおよびビスマスからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表す。
【0010】
また式(1)中、a、b、c、d、e、fおよびgは各元素の原子比を表している。a=12のとき、bは0.1≦b≦3、好ましくは0.5≦b≦3である。同様にcは0.01≦c≦3、好ましくは0.01≦c≦2である。同様にdは0.01≦d≦3、好ましくは0.01≦d≦2である。同様にeは0.01≦e≦3、好ましくは0.1≦e≦3である。同様にfは0≦f≦3であり、好ましくは0≦f≦2.5である。gは前記各成分の原子比を満足するのに必要な酸素の原子比である。
【0011】
本発明のメタクリル酸合成用触媒は、少なくともモリブデンおよびリンを含む水性スラリー(以下、一次スラリーという。)から水を部分的に除去して水分含有率が3〜25重量%の乾燥物(以下、一次乾燥物という。)とし、この一次乾燥物を水に分散させて水性スラリーとし、この水性スラリーを乾燥したものを300〜500℃で焼成して製造されたものである。
【0012】
一次スラリーは、触媒の各構成元素の原料(以下、触媒原料という。)を用いて、従来の共沈法、酸化物混合法等により調製する。一次スラリーの調製に用いる触媒原料は特に限定されず、各元素の硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、アンモニウム塩、酸化物、ハロゲン化物等を組み合わせて使用することができる。モリブデン原料としては、例えば、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブデン、モリブデン酸、塩化モリブデン等が使用できる。リン原料としては、例えば、リン酸、リン酸、五酸化リン、リン酸アンモニウム等が使用できる。なお、一次スラリーには必ずしも全ての触媒構成元素を含める必要はなく、少なくともモリブデンとリンを含んでいればよい。従って、この段階で加えなかった触媒原料はこれ以降の別の工程で添加すればよい。
【0013】
一次スラリーから水を部分的に除去して一次乾燥物とする方法は特に限定されず、例えば、蒸発、ろ過等の操作が挙げられる。なかでも蒸発操作が好ましい。蒸発操作には箱型乾燥機、噴霧乾燥機、ドラムドライヤー、スラリードライヤー等を用いることができる。
【0014】
得られる一次乾燥物の水分含有率は3〜25重量%とし、好ましくは5〜20重量%、特に好ましくは8〜17重量%とする。一次乾燥物の形態は特に限定されず、例えば、ペースト状、ケーク状、粉末状等が挙げられる。
【0015】
次に一次乾燥物を水に分散させて水性スラリーを得る。この際、触媒原料を追加することもできる。この際に用いる水の質量は特に限定されないが、一次乾燥物の質量の1〜10倍が好ましく、1〜7倍がより好ましく、1〜4倍が特に好ましい。
【0016】
一次スラリーからこの水性スラリーを得る操作(以下、乾燥・分散操作という。)は2度以上繰り返し行ってもよい。すなわち、このスラリーを一次スラリーとして取り扱い、水を部分的に除去して水分含有率が3〜25重量%の乾燥物とし、この乾燥物に水を加えて水性スラリーを得る操作を1回以上追加することができる。乾燥・分散操作は通常1〜10回であり、好ましくは1〜5回である。
【0017】
次に、1または2回以上の乾燥・分散操作により得られた水性スラリー(以下、二次スラリーという。)を乾燥して乾燥物(以下、二次乾燥物という。)を得る。乾燥に際しては箱型乾燥機、噴霧乾燥機、ドラムドライヤー、スラリードライヤー等を用いることができる。二次乾燥物の水分含有率は3%未満にする。
【0018】
二次乾燥物は300〜500℃で焼成する。成形触媒を製造する場合、二次乾燥物をそのまま焼成し、得られる焼成物を成形してもよいが、二次乾燥物を成形してから焼成を行う方が好ましい。成形方法は特に限定はなく、打錠成形、押出成形、造粒等の各種成形法を用いることができる。成形に際しては、成形物の比表面積、細孔容積および細孔分布を再現性よく制御する、機械的強度を高める等の目的で、例えば、硫酸バリウム、硝酸アンモニウム等の無機塩類、グラファイト等の滑剤、セルロース類、でんぷん、ポリビニルアルコール、ステアリン酸等の有機物、シリカゾル、アルミナゾル等の水酸化物ゾル、ウィスカー、ガラス繊維、炭素繊維等の無機質繊維等の添加剤や添加物を適宜添加してもよい。成形物の形状は特に限定されず、例えば、球状、円柱状、リング状、板状等が挙げられる。
【0019】
二次乾燥物またはその成形物は焼成して触媒とする。焼成の最適条件は用いる触媒原料、触媒組成、調製法によって異なるが、焼成温度は300〜500℃、好ましくは300〜450℃である。焼成は、通常、空気等の酸素含有ガス流通下および/または不活性ガス流通下で行う。焼成時間は通常0.5時間以上、好ましくは1〜40時間である。
【0020】
焼成により得られる触媒には、前述のようにヘテロポリ酸またはヘテロポリ酸塩の構造が含まれていることが好ましい。
【0021】
次に、このようにして得られた本発明の触媒を用いてメタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を製造する方法について説明する。
【0022】
気相接触酸化に用いる原料ガスのメタクロレイン濃度は広い範囲で変えることができるが、好ましくは1〜20容量%、特に好ましくは3〜10容量%である。原料のメタクロレインには、水、低級飽和アルデヒド等の実質的に反応に影響を与えない不純物が少量含まれている場合があるが、原料ガスにはこのようなメタクロレイン由来の不純物が含まれていてもよい。
【0023】
原料ガスには分子状酸素が含まれている必要があるが、原料ガス中の分子状酸素の量はメタクロレインの0.4〜4倍モルが好ましく、特に0.5〜3倍モルが好ましい。原料ガスの分子状酸素源には空気を用いるのが工業的に有利であるが、必要に応じて純酸素で富化した空気も使用できる。また原料ガスは、窒素、炭酸ガス等の不活性ガス、水蒸気等で希釈されていることが好ましい。
【0024】
気相接触酸化の反応圧力は常圧〜数気圧である。反応温度は、通常200〜450℃、好ましくは250〜400℃である。原料ガスと触媒の接触時間は通常1.5〜15秒、好ましくは2〜7秒である。
【0025】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例を用いて説明する。ただし、実施例および比較例中の「部」は重量部を意味する。反応試験分析はガスクロマトグラフィーにより行った。一次および二次乾燥物の水分含有率はケット水分計(島津製作所社製)を用いて測定した。また、原料であるメタクロレインの転化率、生成したメタクリル酸の選択率および収率は以下のように定義される。
メタクロレイン反応率(%)=(B/A)×100
メタクリル酸選択率(%)=(C/B)×100
メタクリル酸単流収率(%)=(C/A)×100
ここで、Aは供給したメタクロレインのモル数、Bは反応したメタクロレインのモル数、Cは生成したメタクリル酸のモル数である。
【0026】
[実施例1]
パラモリブデン酸アンモニウム100部を純水200部に溶解し、そこへメタバナジン酸アンモニウム2.8部、85重量%リン酸8.2部を純水30部に溶解した溶液、硝酸銅1.1部を純水30部に溶解した溶液および硝酸鉄3.8部を純水10部に溶解した溶液を順次加え、これを攪拌しながら90℃まで加熱し、液温を90℃に保ちつつ5時間加熱攪拌した後に、硝酸セシウム9.2部を純水100部に溶解した溶液をこれに加えて一次スラリーを得た。一次スラリーを加熱攪拌しながら蒸発乾固してペースト状の一次乾燥物を得た。一次乾燥物の水分含有率は11.7%であった。一次乾燥物100部を純水400部に分散して二次スラリーを得た。二次スラリーを過熱攪拌しながら再び蒸発乾固し、得られた固形物を130℃で16時間乾燥させて二次乾燥物を得た。二次乾燥物の水分含有率は1.5重量%であった。この二次乾燥物を粉砕した。こうして得られた粉体100部にグラファイト3.0部を添加し、続いて打錠成形機により、外径5mm、内径2mm、長さ5mmのリング状に成形した。得られた成形物を空気流通下に380℃で6時間焼成して触媒を得た。この触媒の酸素を除く元素の組成は、
Mo12P1.5V0.5Cu0.1Fe0.2Cs1
であった。
【0027】
この触媒を反応管に充填し、メタクロレイン5%、酸素10%、水蒸気30%、窒素55%(容量%)の混合ガスを反応温度290℃、接触時間3.6秒で通じたところ、メタクロレイン反応率84.1%、メタクリル酸選択率83.5%、メタクリル酸単流収率70.2%であった。
【0028】
[実施例2]
実施例1において、一次乾燥物を得る際の蒸発乾固の時間を短縮し、水分含有率が18.2重量%の一次乾燥物を得た以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造したところ、メタクロレイン反応率83.9%、メタクリル酸選択率83.4%、メタクリル酸単流収率70.0%であった。
【0029】
[実施例3]
実施例1において、一次乾燥物を得る際の蒸発乾固の時間を延長し、水分含有率が6.1重量%の一次乾燥物を得た以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造したところ、メタクロレイン反応率84.0%、メタクリル酸選択率83.0%、メタクリル酸単流収率69.7%であった。
【0030】
[実施例4]
実施例1において、一次乾燥物を得る際の蒸発乾固の時間を実施例2よりさらに短縮し、水分含有率が22.4重量%の一次乾燥物を得た以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造したところ、メタクロレイン反応率83.7%、メタクリル酸選択率83.2%、メタクリル酸単流収率69.6%であった。
【0031】
[実施例5]
実施例1において、一次乾燥物を得る際の蒸発乾固の時間を実施例3よりさらに延長し、水分含有率が3.8重量%の一次乾燥物を得た以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造したところ、メタクロレイン反応率83.9%、メタクリル酸選択率82.9%、メタクリル酸単流収率69.6%であった。
【0032】
[実施例6]
実施例1において、一次乾燥物を分散させる純水の量を400部から600部に変更した点以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造したところ、メタクロレイン反応率83.4%、メタクリル酸選択率83.2%、メタクリル酸単流収率69.4%であった。
【0033】
[実施例7]
実施例1において、一次乾燥物を分散させる純水の量を400部から900部に変更した点以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造したところ、メタクロレイン反応率83.3%、メタクリル酸選択率83.1%、メタクリル酸単流収率69.2%であった。
【0034】
[実施例8]
実施例1において、一次スラリーから二次スラリーを得る操作(乾燥・分散操作)を繰り返し2回行った点以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造したところ、メタクロレイン反応率84.2%、メタクリル酸選択率83.7%、メタクリル酸単流収率70.5%であった。なお、2回目の乾燥・再溶解操作における一次乾燥物の水分含有率は11.7重量%であった。
【0035】
[実施例9]
実施例1において、一次スラリーから二次スラリーを得る操作(乾燥・分散操作)を繰り返し3回行った点以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造したところ、メタクロレイン反応率84.4%、メタクリル酸選択率83.6%、メタクリル酸単流収率70.6%であった。なお、2回目および3回目の乾燥・再溶解操作における一次乾燥物の水分含有率は各々11.7重量%、11.7重量%であった。
【0036】
[比較例1]
実施例1において、一次乾燥物を純水に分散して乾燥する操作を省略、すなわち一次乾燥物を130℃で16時間乾燥したものを、成形し、焼成して触媒を得た以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン反応率82.4%、メタクリル酸選択率81.3%、メタクリル酸単流収率67.0%であり、実施例1に比べて得られる触媒の性能が低いことがわかった。
【0037】
[比較例2]
実施例1において、一次乾燥物を純水に分散する前に130℃で16時間乾燥した点以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン反応率82.7%、メタクリル酸選択率81.3%、メタクリル酸単流収率67.2%であった。なお、一次乾燥物を130℃で16時間乾燥したものの水分含有率は1.5重量%であり、実施例1に比べて得られる触媒の性能が低いことがわかった。
【0038】
[比較例3]
実施例1において、一次乾燥物を得る際の蒸発乾固の時間を実施例4よりさらに短縮し、水分含有率が30.5重量%の一次乾燥物を得た以外は実施例1と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン反応率82.9%、メタクリル酸選択率81.4%、メタクリル酸単流収率67.5%であり、実施例1に比べて得られる触媒の性能が低いことがわかった。
【0039】
[実施例10]
パラモリブデン酸アンモニウム100部、メタバナジン酸アンモニウム4.42部および硝酸セシウム9.20部を純水300部に加熱溶解した。これに85重量%リン酸8.71部を純水10部に溶解した溶液、ついで三酸化アンチモン5.50部を加え、攪拌しながら95℃に昇温した後、硝酸銅1.14部を純水10部に溶解した溶液を加えた。更にこの混合液を95℃で15分間攪拌して一次スラリーを得た。一次スラリーを加熱攪拌しながら蒸発乾固してペースト状の一次乾燥物を得た。一次乾燥物の水分含有率は13.1%であった。一次乾燥物100部を純水400部に分散して二次スラリーを得た。二次スラリーを加熱攪拌しながら再び蒸発乾固し、得られた固形物を130℃で16時間乾燥させて二次乾燥物を得た。二次乾燥物の水分含有率は1.5%であった。この二次乾燥物を実施例1と同様に成形および焼成して触媒を得た。この触媒の酸素を除く元素の組成は、
Mo12P1.6V0.8Cu0.1Sb0.8Cs1
であった。
【0040】
この触媒を用いて実施例1と同様に反応を行ったところ、メタクロレイン反応率84.5%、メタクリル酸選択率84.8%、メタクリル酸収率71.7%であった。
【0041】
[比較例4]
実施例10において、一次乾燥物を純水に分散して乾燥する操作を省略、すなわち一次乾燥物を130℃で16時間乾燥したものを、成形し、焼成して触媒を得た以外は実施例10と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン反応率82.8%、メタクリル酸選択率83.7%、メタクリル酸単流収率69.3%であり、実施例10に比べて得られる触媒の性能が低いことがわかった。
【0042】
[比較例5]
実施例10において、一次乾燥物を純水に分散する前に130℃で16時間乾燥した点以外は実施例10と同様に触媒を製造し、同様にしてメタクリル酸を製造した。その結果、メタクロレイン反応率83.0%、メタクリル酸選択率83.8%、メタクリル酸単流収率69.6%であった。なお、一次乾燥物を130℃で16時間乾燥したものの水分含有率は1.5重量%であり、実施例10に比べて得られる触媒の性能が低いことがわかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明のメタクリル酸合成用触媒の製造方法により製造される触媒を用いることにより、メタクロレインを分子状酸素により気相接触酸化してメタクリル酸を高い収率で製造できる。
Claims (3)
- 少なくともモリブデンおよびリンを含む水性スラリーから水を部分的に除去して水分含有率が3〜25重量%の乾燥物とし、この乾燥物を水に分散させて水性スラリーとし、この水性スラリーを乾燥したものを300〜500℃で焼成するメタクリル酸合成用触媒の製造方法。
- 乾燥物を分散させる水の質量が乾燥物の質量の1〜10倍であることを特徴とする請求項1記載のメタクリル酸合成用触媒の製造方法。
- メタクリル酸合成用触媒が式(1)の組成式で表される複合酸化物である請求項1または2記載のメタクリル酸合成用触媒の製造方法。
MoaPbCucVdXeYfOg (1)
(式中、Mo、P、Cu、VおよびOはそれぞれモリブデン、リン、銅、バナジウムおよび酸素を表し、Xはカリウム、ルビジウムおよびセシウムからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表し、Yは鉄、コバルト、ニッケル、ヒ素、アンチモンおよびビスマスからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を表す。ただし、a、b、c、d、e、fおよびgは各元素の原子比を表し、a=12のとき、0.1≦b≦3、0.01≦c≦3、0.01≦d≦3、0.01≦e≦3、0≦f≦3であり、gは前記各成分の原子比を満足するのに必要な酸素の原子比である。)
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