JP4835228B2 - アルデヒドの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明では、オレフィン系不飽和炭化水素を金属−ホスファイト配位子錯体触媒の存在下、一酸化炭素および水素と反応させて、対応する直鎖状アルデヒドおよび分岐鎖状アルデヒドを含有するヒドロホルミル化反応生成液を得る。
置換されていてもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基などが挙げられる。式(1)で示される化合物の具体例としては、例えば、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、n−ブチルジエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホスファイト、トリ−n−プロピルホスファイト、トリ−n−オクチルホスファイト、トリ−n−ドデシルホスファイト等のトリアルキルホスファイト;トリフェニルホスファイト、トリナフチルホスファイト等のトリアリールホスファイト;ジメチルフェニルホスファイト、ジエチルフェニルホスファイト、エチルジフェニルホスファイト等のアルキルアリールホスファイトなどが挙げられる。また、例えば、特開平6-122642号公報に記載のビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)フェニルホスファイト、ビス(3,6,8−トリ−t−ブチル−2−ナフチル)(4−ビフェニル)フェニルホスファイトなどを用いても良い。これらの中で最も好ましいのはトリフェニルホスファイトである。
置換されていてもよい2価の炭化水素基としては、炭素鎖の中間に酸素、窒素、硫黄原子などを含んでいてもよいアルキレン基;炭素鎖の中間に酸素、窒素、硫黄原子などを含んでいてもよいシクロアルキレン基;フェニレン、ナフチレンなどの2価の芳香族基;2価の芳香環が直接、又は中間にアルキレン基や酸素、窒素、硫黄などの原子を介して結合した2価の芳香族基;2価の芳香族基とアルキレン基とが直接、又は中間に酸素、窒素、硫黄などの原子を介して結合したものなどが挙げられる。R5で示される置換されても良い1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基などが挙げられる。
また、下記一般式(3)
上記一般式(4)で表される化合物としては、例えば、4−エチル−2,6,7−トリオキサ−1−ホスファビシクロ−[2,2,2]−オクタン等の米国特許第4567306号公報記載の化合物などが挙げられる。
上記一般式(5)で表される化合物のうち、好ましいものとしては、例えば、下記一般式(6)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(8)で表される化合物の中で、例えば、特開平5-178779号公報に記載の化合物が好ましい。
上記一般式(9)で表される化合物としては、例えば、特開平8-259578号公報に記載のものが用いられる。
ここで、置換されていても良い1価の炭化水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基などが挙げられる。置換基を有していても良い2価の炭化水素基としては、芳香族、脂肪族又は脂環族のいずれであっても良い。
ヒドロホルミル化反応の圧力は通常0.0001MPaG以上、好ましくは0.01MPaG以上、より好ましくは0.2MPaG以上であり、通常50MPaG以下、好ましくは30MPaG以下、より好ましくは20MPaG以下である。反応圧力が低すぎると反応速度が遅くなるため十分に反応が進まず、反応圧力が高すぎると反応器などの機器の設計圧力が高くなり設備負担が増大する。また、ヒドロホルミル化反応の水素分圧は通常0.0001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上であり、通常20MPa以下、好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下である。水素分圧が低すぎると反応速度が低下してしまい、高すぎると副生物の生成が増える。一酸化炭素分圧は通常0.0001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.1MPa以上であり、通常20MPa以下、好ましくは10MPa以下、より好ましくは5MPa以下である。一酸化炭素分圧が低すぎると反応が進まず、また高すぎてもオレフィンの分圧が下がるため反応が進まなくなる。水素分圧/一酸化炭素分圧の比は通常0.1〜100、好ましくは0.1〜20、より好ましくは1〜10である。この比が小さすぎると反応が十分に進まなくなり、また高すぎても反応が十分に進まなかったり、副生物の生成が増えたりする。
ヒドロホルミル化反応は、通常原料オレフィンと反応で生成するアルデヒドに対して不活性な溶媒の存在下に行われる。ヒドロホルミル化反応で使用できる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ブタノール、オクタノール、ポリエチレングリコール等のアルコール類、トリグライム等のエーテル類、ジオクチルフタレート等のエステル類などが挙げられる。また、反応で生成するアルデヒドや、その三量体や四量体などのアルデヒド縮合物を用いることもできる。さらに、原料オレフィンと同炭素数を有するパラフィン類を用いることもできる。例えば、プロピレンのヒドロホルミル化であれば、トルエンやブチルアルデヒドまたは3量体や4量体などのアルデヒド縮合物との混合物を用いるのが好ましい。
本発明では、反応生成液は、触媒を含有せず、かつ、アルデヒドを含有するアルデヒド含有液(A)と、「アルデヒド及び/又はアルデヒドより軽沸点の化合物」を含有し、アルデヒド及びアルデヒドより軽沸点の化合物(以下、アルデヒド及びアルデヒドより軽沸点の化合物を併せて、軽沸点化合物類と略する)を合計で20重量%以上含有し、かつ、触媒を含有する触媒液(B)に分離される。分離の方法は、特に限定されないが、蒸留、蒸発、ガスストリッピング、ガス吸収、抽出等が挙げられるが、この中でも蒸留が好ましい。蒸留の場合、通常アルデヒド含有液(A)は、蒸留塔塔頂からの留出分を冷却することにより得られ、触媒液(B)は塔底から回収される。
触媒液(B)は、通常、生成したアルデヒド及び/又はアルデヒドより軽沸点の化合物、触媒、並びに通常、反応副生成物である高沸点の化合物を含むが、本発明においては、触媒液(B)中の、軽沸点化合物類の合計の濃度は、20重量%以上、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下、特に好ましくは75重量%以下である。軽沸点の化合物は高沸点の化合物に比べてホスファイト配位子の溶解度が大きいため、軽沸点化合物類の合計濃度が小さ過ぎるとホスファイト配位子が析出する。逆に軽沸点化合物類の合計濃度が大きすぎると、触媒液(B)はヒドロホルミル化反応に循環されるため、反応中に軽沸点の化合物の高沸点物質化が進む恐れがある。
(実施例1)
プロピレンを完全混合槽型の反応器に連続供給してブチルアルデヒドを生成するヒドロホルミル化反応を行った。内径400mm、高さ1500mmで攪拌翼を持つ完全混合槽型反応器へ、原料としてプロピレンを7.1kg/Hrで供給し、触媒液としてはブチルアルデヒド、酢酸ロジウムと後述の配位子Aとをあらかじめ調整して得た錯体触媒を含む液と、循環される触媒液(B)とを合わせて、36.7kg/Hrで供給した。反応器のジャケットに冷却水を流して、反応温度を70℃に調整した。圧力が0.98MpaGとなるように、H2/CO=1の合成ガスを反応器へ供給した。反応液中のロジウム濃度は162重量ppm、配位子/Rhのモル比は4、遊離の配位子濃度は0.44重量%であった。配位子は下記に示す配位子Aを使用した。反応器の攪拌動力は2kW/m3、H2分圧は.0.42MPa、CO分圧は0.14MPaであった。反応器の液面が一定になるように反応生成液を抜き出し、抜き出した反応生成液と反応器へ供給する合成ガスを向流接触させて未反応のプロピレンを回収した。プロピレンを除去した反応生成液を蒸留塔(内径151mm、高さ8600mm)に供給し、アルデヒド含有液(A):触媒液(B)=1:3.2 になるように分離した。蒸留塔の塔底温度72℃、塔頂圧力は0.067 MPa、還流比は1であった。蒸留塔には、不規則充填物が7500mmの充填長まで充填してあった。留出したアルデヒド含有液(A)は11.6kg/Hrであった。缶出した触媒液(B)から47g/Hrで触媒液の一部をパージし、残部を反応器へ循環した。缶出した触媒液(B)の温度は72℃で、反応器へ供給される際の温度は72℃であり、触媒液(B)は50℃以上に維持されていた。又、触媒液(B)中のブチルアルデヒド及びこれより軽沸点の化合物の濃度は、合計で50.6重量%であった。このとき、触媒液に配位子の析出は確認されなかった。
実施例1と同様にして得られた触媒液(B)とアルデヒド含有液(A)とを、該触媒液(B)に含まれる「アルデヒド及びこれより軽沸点の化合物」の濃度が下記表1に記載の濃度となるように混合し、エバポレーターに仕込んだ。このときの仕込液の量は400gで、その中に含まれる遊離配位子濃度と「アルデヒド及びこれより軽沸点の化合物」の濃度は、それぞれ0.45重量%、82.5重量%であった。エバポレーターを加熱し、アルデヒド含有液(A)を300[g]留出させることで、残液(触媒液(B))100gに含まれる「アルデヒド及びこれより軽沸点の化合物」の濃度が30重量%、遊離配位子濃度1.80重量%となるように調整した。その後、エバポレーターの残液の温度を50℃として、残液に析出物が存在するか確認したところ、配位子の析出は無かった。
実施例2において、仕込液中の「アルデヒド及びこれより軽沸点の化合物」の濃度、留出させたアルデヒド含有液(A)の量、残液の量、及び残液中の遊離配位子濃度を表1に示す値に変えた以外は、同様に実施した。結果を表2に示す。
実施例2において、残液の温度を表1に示す値に変えた以外は、同様に実施した。結果を表2に示す。
実施例2において、仕込液中の「アルデヒド及びこれより軽沸点の化合物」の濃度、及び残液中の「アルデヒド及びこれより軽沸点の化合物」の濃度を表1に示す値に変えた以外は、同様に実施した。結果を表2に示す。
実施例2において、仕込液中の「アルデヒド及びこれより軽沸点の化合物」の濃度、留出させたアルデヒド含有液(A)の量、残液量、及び残液中の遊離配位子濃度を表1に示す値に変えた以外は、同様に実施した。結果を表2に示す。
実施例3において、仕込液中の「アルデヒド及びこれより軽沸点の化合物」の濃度、留出させたアルデヒド含有液(A)の量、残液量、残液中の遊離配位子濃度、及び残液の温度を表1に示す値に変えた以外は、同様に実施した。結果を表2に示す。
Claims (2)
- 金属−ホスファイト配位子錯体触媒の存在下、オレフィン系不飽和化合物をヒドロホルミル化反応させて対応するアルデヒドを製造する方法において、ヒドロホルミル化反応で得られた反応生成液を、触媒を含有せず、かつ、アルデヒドを含有するアルデヒド含有液(A)と、アルデヒド及び/又はアルデヒドより軽沸点の化合物を含有し、アルデヒド及びアルデヒドより軽沸点の化合物の合計含有量が20重量%以上であり、かつ、触媒を含有する触媒液(B)とが、アルデヒド含有液(A):触媒液(B)=5:1〜1:5(重量比)となる割合で分離し、触媒液(B)を40℃以上に維持してヒドロホルミル化反応工程に循環させることを特徴とするアルデヒドの製造方法。
- 反応生成液の分離を、蒸留により行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
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