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JP4828303B2 - 光情報記録再生装置用対物レンズおよび光情報記録再生装置 - Google Patents

光情報記録再生装置用対物レンズおよび光情報記録再生装置 Download PDF

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JP4828303B2 JP2006142128A JP2006142128A JP4828303B2 JP 4828303 B2 JP4828303 B2 JP 4828303B2 JP 2006142128 A JP2006142128 A JP 2006142128A JP 2006142128 A JP2006142128 A JP 2006142128A JP 4828303 B2 JP4828303 B2 JP 4828303B2
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Description

この発明は、例えば、記録密度や保護層の厚みが異なる複数種類の光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置および該装置に搭載される対物レンズに関する。
光ディスクには、従来、CDやDVDといった記録密度や保護層の厚みが異なる複数の規格が存在する。また近年、情報記録のさらなる高容量化を実現すべく、DVDよりも一層記録密度の高い新規格の光ディスクが実用化されつつある。該新規格の光ディスクとしては、例えばHD DVDやBD(Blu−ray Disc)等がある。このような新規格の光ディスクは、DVDの保護層厚と同等もしくはそれ以下の保護層厚を有する。このように規格の異なる複数の光ディスクが存在するためユーザの利便性に鑑み、近年、光情報記録再生装置、より厳密には装置内に設けられる対物光学系は、上記の三種類の光ディスクに対して互換性を持つことが要求される。なお、本文において、光情報記録再生装置と記した場合には、情報の記録専用装置、情報の再生専用装置、情報の記録および再生兼用装置、の全てを含むものとする。また、互換性を持つとは、使用する光ディスクを切り替えたとしても部品を交換したりすることなく情報の記録または再生が保証されることをいう。
装置が規格の異なる複数の光ディスクに対して互換性を持つためには、まず、規格が異なる光ディスクの切り替え時に、保護層の厚みによって変化する球面収差を補正しつつ、情報の記録または再生に使用する光の開口数(NA)を変化させて記録密度の違いに対応した大きさのビームスポットを得る必要がある。一般にスポット径は波長が短いほど小さくできる。そこで従来、記録密度に応じて、光情報記録再生装置では、複数の波長のレーザー光が使用される。例えば、DVD使用時には、CD使用時に用いられる約790nmより短い約660nmの波長のレーザー光が用いられる。また、該新規格の光ディスク使用時には、その記録密度の高さからDVDに対する情報の記録または再生時に用いられる波長よりもさらに短波長の光(例えば408nmあたりのいわゆる青色レーザー光)が用いられる。
また、各々の光ディスクに対して、良好な状態で各光ディスクの記録面位置に収束させる一つの手段として、対物光学系を構成する一つまたは複数の光学素子(例えば対物レンズ)における任意の一面に輪帯状の微細な段差を有する輪帯構造を設け、該輪帯構造の作用によって、異なる波長の光を各々対応する光ディスクの記録面において良好に収束させる技術が実用化されている。
上記光学素子は、光源の個体差や温度変化等の環境変化によって、使用するレーザー光の波長が設計波長からずれることにより生じる球面収差も補正するような作用を持つことが好ましい。なお設計波長とは、各光ディスクに対する情報の記録または再生に最適とされる各レーザー光の波長を意味する。
上記のように、例えば、CD、DVD、HD DVDのように三種類の光ディスクに対して互換性を持つ対物レンズとしては、例えば以下の特許文献1に提案される。
特開2004−247025号公報
特許文献1は、記録密度の異なる3種類の光ディスクに対して互換性を持たせた光ピックアップ装置が開示されている。具体的には、光ピックアップ装置に搭載された対物レンズに、高密度な光ディスクに対する情報の記録または再生時には3次回折光が用いられ、DVDまたはCDに対する情報の記録または再生時には2次回折光が用いられるような輪帯構造を持たせている。このような対物レンズを搭載することにより、特に各光ディスクの記録面上で情報の記録または再生に好適なスポットを形成している。これにより、記録密度の異なる3種類の光ディスクに対して互換性を持つ光ピックアップ装置を提供している。
しかし、上記特許文献1に開示する光ピックアップ装置では、CDに対する情報の記録または再生時における光の利用効率が40%程度しか確保できず、しかも40%程度の不要次(この場合は1次)回折光が発生してしまう。そのため、フォーカスエラー信号の波形が崩れ、フォーカシング機能が低下する、あるいは、スポットが所望の値まで絞れないといった問題が生じてしまう。
本発明は上記の事情に鑑み、波長が異なる複数種類の光束を使用して規格の異なる三種類の光ディスクのいずれに対する情報の記録または再生を行った時であっても、各光ディスクの記録面上において球面収差を抑えて良好なスポットを形成するとともに、CDのように記録密度が相対的に低い光ディスク使用時において不要回折次数光が発生するような位相シフト構造を対物レンズに設けた場合であっても、フォーカシング機能の低下を抑え、かつスポットを所望の値まで絞ることができる、さらに、HD DVDのように記録密度の高い光ディスク使用時において高い効率を維持した光情報記録再生装置および該光情報記録再生装置用対物レンズを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の光情報記録再生装置用対物レンズは、記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の光束のいずれかを使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置に用いられる対物レンズであって、第一の波長をλ1(nm)、第二の波長をλ2(nm)、第三の波長をλ3(nm)とすると、
λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
であり、
アッベ数νdが以下の条件(1)、
40≦νd≦80・・・(1)
を満たす材料で作られており、少なくともいずれかの面に、同心状に複数に分割された屈折面で構成された位相シフト構造を有しており、位相シフト構造は、互いに隣り合う屈折面間において、入射光束に対して光路長差を付与する段差を有し、該段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD(nm)とすると、以下の条件(2)、
2N+1.00<|ΔOPD/λ1|<2N+1.30・・・(2)
ただし、Nは0以上の整数である
を満たすことを特徴とする。
請求項1に記載の光情報記録再生装置用対物レンズによれば、条件(1)を満たす対物レンズを、位相シフト構造の段差で付与される光路長差が条件(2)を満たすように構成することにより、規格の異なる三種類の光ディスクに対する高い互換性を持たせることができる。しかも特にCDのように記録密度が相対的に低い光ディスク使用時に発生する不要回折次数光の光量を小さくすることができるため、フォーカスエラー信号の波形の崩れを抑えることができる。
請求項1に記載の光情報記録再生装置に用いられる対物レンズによれば、上記位相シフト構造は、以下の条件(3)を満たすことが望ましい。
3.00<|ΔOPD/λ1|<3.30・・・(3)(請求項2)。
条件(2)、あるいは条件(2)をより具体化させた条件(3)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(4)を満たすことが望ましい(請求項3)。
1.50<|ΔOPD/λ3|<1.62・・・(4)
また、請求項1に記載の光情報記録再生装置に用いられる対物レンズによれば、位相シフト構造は、以下の条件(5)を満たすことが望ましい。
5.00<|ΔOPD/λ1|<5.30・・・(5)(請求項4)。
条件(2)、あるいは条件(2)をより具体化させた条件(5)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(6)を満たすことが望ましい(請求項5)。
2.50<|ΔOPD/λ3|<2.58・・・(6)
対物レンズのアッベ数が条件(1)を満たす、すなわち比較的大きい場合には、第一の波長の光に対して段差で付与する光路長差が条件(3)、あるいは条件(5)を満たすように構成することにより、第三の波長の光束使用時において、不要回折次数光に対して正規回折次数光の回折効率を高くできる。また、第二の波長の回折効率もより高くすることができる。なお、正規回折次数光とは、情報の記録または再生に用いられる回折次数の光を言う。
また、上記位相シフト構造を、さらに条件(4)も満たすように構成する、または条件(6)も満たすように構成することにより、第三の波長の光束で発生する不要回折次数光の光量を抑えて回折効率を向上させることができる。
請求項6に記載の光情報記録再生装置用対物レンズは、記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して、短波長側から順に第一から第三の波長を持つ三種類の光束を使い分けることにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置に用いられる対物レンズであって、第一の波長をλ1(nm)、第二の波長をλ2(nm)、第三の波長をλ3(nm)とすると、
λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
であり、
アッベ数νdが以下の条件(7)、
20≦νd<40・・・(7)
を満たし、少なくともいずれかの面に、同心状に複数に分割された屈折面で構成された位相シフト構造を有しており、位相シフト構造は、互いに隣り合う屈折面間において、入射光束に対して光路長差を付与する段差を有し、該段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD(nm)とすると、以下の条件(8)、
2N+0.70<|ΔOPD/λ1|<2N+1.25・・・(8)
ただし、Nは0以上の整数である
を満たすことを特徴とする。
請求項6に記載の光情報記録再生装置用対物レンズによれば、条件(7)を満たす対物レンズを、上記位相シフト構造の段差で付与される光路長差が条件(8)を満たすように構成することにより、規格の異なる三種類の光ディスクに対する高い互換性を持たせることができる。しかも特にCDのように記録密度が相対的に低い光ディスク使用時に発生する不要回折次数光の光量を小さくすることができるため、フォーカスエラー信号の波形の崩れを抑えることができる。
請求項6に記載の光情報記録再生装置に用いられる対物レンズによれば、位相シフト構造が、以下の条件(9)を満たすことが望ましい(請求項7)。
2.70<|ΔOPD/λ1|<3.25・・・(9)
条件(8)、あるいは条件(8)をより具体化させた条件(9)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(10)を満たすことが望ましい(請求項8)。
1.30<|ΔOPD/λ3|<1.47・・・(10)
また、請求項6に記載の光情報記録再生装置に用いられる対物レンズによれば、位相シフト構造が、以下の条件(11)を満たすことが望ましい(請求項9)。
4.70<|ΔOPD/λ1|<5.25・・・(11)
条件(8)、あるいは条件(8)をより具体化させた条件(11)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(12)を満たすことが望ましい(請求項10)。
2.27<|ΔOPD/λ3|<2.46・・・(12)
対物レンズのアッベ数が条件(7)を満たす、すなわち比較的小さい場合には、第一の波長の光に対して段差で付与する光路長差が条件(9)あるいは条件(11)を満たすように構成することにより、第三の波長の光束使用時において、不要回折次数光に対して正規回折次数光の回折効率を高くすることができる。
さらに、上記位相シフト構造を、条件(10)も満たすように構成する、または条件(12)も満たすように構成することにより、第三の波長の光束で発生する不要回折次数光の光量を抑えて回折効率を向上させることもできる。
また、別の観点から、請求項11に記載の光情報記録再生装置は、記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の光束のいずれかを使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置であって、第一の波長をλ1(nm)、第二の波長をλ2(nm)、第三の波長をλ3(nm)とすると、
λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
であり、
以下の条件(1)、
40≦νd≦80・・・(1)
ただし、νdは対物レンズのアッベ数を表す。
を満たす材料で作られている対物レンズを備え、第一の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第一の光ディスクの保護層厚をt1、第二の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第二の光ディスクの保護層厚をt2、第三の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第三の光ディスクの保護層厚をt3、とすると、
t1≒0.6mm
t2≒0.6mm
t3≒1.2mm
であり、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA1、第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA2、第三の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA3、とすると、
NA1>NA3かつNA2>NA3
であり、第一の波長、および、第二の波長の光束は略平行光束が、第三の波長の光束は発散光が対物レンズに入射し、対物レンズは、少なくともいずれかの面の、第三の波長の光束を第三の光ディスクの記録面上に収束させる第一の領域に、同心状に複数に分割された屈折面で構成され、かつ互いに隣り合う屈折面間において入射光束に対して光路長差を付与する段差を有する位相シフト構造を有しており、位相シフト構造は、第一の領域において、該段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD(nm)とすると、以下の条件(2)、
2N+1.00<|ΔOPD/λ1|<2N+1.30・・・(2)
ただし、Nは0以上の整数
を満たすことを特徴とする。
ここで、第一の光ディスクとは、上述した新規格の光ディスク、より詳しくはHD DVDが該当する。また、第二の光ディスクとは、例えばDVDが該当する。第三の光ディスクとは、例えばCDやCD−Rが該当する。
請求項12に記載の光情報記録再生装置は、第一の波長の光束に対して段差が付与する光路長差が、条件(3)を満たす、つまり略3波長分になるように位相シフト構造を設定している。該位相シフト構造を用いて、第一の光ディスク使用時と第二の光ディスク使用時に発生する各球面収差を補正した場合、第三の光ディスク使用時に発生する球面収差が十分に補正しきれず残存してしまう。そこで請求項8に記載の構成では、第三の光ディスク使用時に発生する球面収差に対しては対物レンズに入射する光束の発散度を異ならせることにより良好に補正している。
さらに、請求項12に記載の光情報記録再生装置によれば、第一の光ディスクに対する情報の記録または再生における、結像倍率をM1、焦点距離をf1、第二の光ディスクに対する情報の記録または再生における、結像倍率をM2、焦点距離をf2、第三の光ディスクに対する情報の記録または再生における、結像倍率をM3、焦点距離をf3とすると、以下の条件(13)から条件(15)、
−0.02<f1×M1<0.02・・・(13)
−0.02<f2×M2<0.02・・・(14)
−0.12<f3×M3<−0.04・・・(15)
を満たすように構成される。
なお、第一の領域は、上記の通り、第一から第三の波長の光束を、それぞれ第一から第三の光ディスクの記録面上に収束させるための領域で、対物レンズの光軸近傍に設けられる。
請求項12に記載の光情報記録再生装置によれば、上記の各条件(3)、(13)、(14)、(15)を満たすことにより、第三の波長の光束で発生する不要回折次数光の光量を抑えつつ、第一の波長の光束の光量を高く設定し、さらに、第一から第三の光ディスクに対する情報の記録または再生時においても球面収差を抑えて記録面上に良好なスポットを形成することができる。
請求項13に記載の光情報記録再生装置によれば、条件(2)、あるいは条件(2)をより具体化させた条件(3)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(4)を満たすことが望ましい。
1.50<|ΔOPD/λ3|<1.62・・・(4)
請求項14に記載の光情報記録再生装置は、記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の光束のいずれかを使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置であって、第一の波長をλ1(nm)、第二の波長をλ2(nm)、第三の波長をλ3(nm)とすると、
λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
であり、
以下の条件(7)、
20≦νd<40・・・(7)
を満たす材料で作られている対物レンズを備え、第一から第三の光ディスクの保護層厚が、
t1≒0.6mm
t2≒0.6mm
t3≒1.2mm
であり、第一から第三の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数が、
NA1>NA3かつNA2>NA3
であり、第一の波長、および、第二の波長の光束は略平行光束が、第三の波長の光束は発散光が対物レンズに入射し、対物レンズは、少なくともいずれかの面の、第三の波長の光束を第三の光ディスクの記録面上に収束させる第一の領域に、同心状に複数に分割された屈折面で構成され、かつ互いに隣り合う屈折面間において入射光束に対して光路長差を付与する段差を有する位相シフト構造を有しており、位相シフト構造は、第一の領域において、該段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD(nm)、とすると、以下の条件(8)、
2N+0.70<|ΔOPD/λ1|<2N+1.25・・・(8)
ただし、Nは0以上の整数である
を満たすことを特徴とする。
請求項15に記載の光情報記録再生装置によれば、さらに、以下の条件(13)、(14)および条件(16)、
−0.02<f1×M1<0.02・・・(13)
−0.02<f2×M2<0.02・・・(14)
−0.38<f3×M3<−0.30・・・(16)
を満たすとともに、以下の条件(9)、
2.70<|ΔOPD/λ1|<3.25・・・(9)
を満たす。
請求項15に記載の光情報記録再生装置は、第三の光ディスク使用時、上記の条件(16)を満たすように構成される。条件(16)の上限を超えると、オーバーな球面収差が残存してしまい好ましくない。また、条件(16)の下限を下回ると、アンダーな球面収差が発生してしまい好ましくない。
請求項16に記載の光情報記録再生装置によれば、条件(8)、あるいは条件(8)をより具体化させた条件(9)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(10)を満たすことが望ましい。
1.30<|ΔOPD/λ3|<1.47・・・(10)
また、別の観点から、請求項17に記載の光情報記録再生装置は、記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の略平行光束のいずれかを使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置であって、第一の波長をλ1(nm)、第二の波長をλ2(nm)、第三の波長をλ3(nm)とすると、
λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
であり、
以下の条件(1)、
40≦νd≦80・・・(1)
を満たす材料で作られている対物レンズを備え、第一から第三の光ディスクの保護層厚が、
t1≒0.6mm
t2≒0.6mm
t3≒1.2mm
であり、第一から第三の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数が、
NA1>NA3かつNA2>NA3
であり、対物レンズは、少なくともいずれかの面の、第三の波長の光束を第三の光ディスクの記録面上に収束させる第一の領域に、同心状に複数に分割された屈折面で構成され、かつ互いに隣り合う屈折面間において入射光束に対して光路長差を付与する段差を少なくとも二種類有する位相シフト構造を有しており、位相シフト構造は、第一の領域において、少なくとも一方の段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD1(nm)、とすると、以下の条件(17)
2N+1.00<|ΔOPD1/λ1|<2N+1.30・・・(17)
ただし、Nは0以上の整数
を満たすことを特徴とする。
有限系の光学系を利用した場合、トラッキングのために対物レンズを光軸方向と直交する方向(光ディスクの円周方向)に移動(トラッキング動作)させた時にコマ収差や非点収差といった軸外収差が発生してしまう。該軸外収差によって各光ディスクの記録面における良好なスポット形成が妨げられるおそれがある、つまり収差劣化の影響が大きくなる。そこで、請求項17に記載の光情報記録再生装置では、第三の波長の光束を第三の光ディスクの記録面上に収束する第一の領域において、第一の波長の光束に対して異なる光路長差を付与する少なくとも二種類の段差を設けることにより、第一から第三の波長の略平行光束を対物レンズに入射させている。これにより、トラッキング動作時の収差の発生量を小さくすることができる。
さらに請求項18に記載の光情報記録再生装置によれば、第一の領域の第一の段差は、以下の条件(18)を満たすことが望ましい。
3.00<|ΔOPD1/λ1|<3.30・・・(18)
請求項19に記載の光情報記録再生装置によれば、条件(17)、あるいは条件(17)をより具体化させた条件(18)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(19)を満たすことが望ましい。
1.50<|ΔOPD1/λ3|<1.62・・・(19)
また、請求項20に記載の光情報記録再生装置によれば、第一の領域の第一の段差は、以下の条件(20)を満たすことが望ましい。
5.00<|ΔOPD1/λ1|<5.30・・・(20)
請求項21に記載の光情報記録再生装置によれば、条件(17)、あるいは条件(17)をより具体化させた条件(20)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(21)を満たすことが望ましい。
2.50<|ΔOPD1/λ3|<2.58・・・(21)
第一の領域の第一の段差が、条件(18)または条件(20)を満たすことにより、第三の波長の光束で発生する不要回折次数光の光量を抑えつつ、第一の波長の光束の光量を高く設定することができる。なお、位相シフト構造は、条件(19)、条件(21)を満たすことによっても、第三の波長の光束に関する回折効率を向上させ、装置全体としての光利用効率を高めることができる。
請求項22に記載の光情報記録再生装置は、記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の略平行光束のいずれかを使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置であって、第一の波長をλ1(nm)、第二の波長をλ2(nm)、第三の波長をλ3(nm)とすると、
λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
であり、
以下の条件(7)、
20≦νd<40・・・(7)
を満たす材料で作られている対物レンズを備え、第一から第三の光ディスクの保護層厚が、
t1≒0.6mm
t2≒0.6mm
t3≒1.2mm
であり、第一から第三の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数が、
NA1>NA3かつNA2>NA3
であり、対物レンズは、少なくともいずれかの面の、第三の波長の光束を第三の光ディスクの記録面上に収束させる第一の領域に、同心状に複数に分割された屈折面で構成され、かつ互いに隣り合う屈折面間において入射光束に対して光路長差を付与する段差を少なくとも二種類有する位相シフト構造を有しており、位相シフト構造は、第一の領域において、少なくとも一方の段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD1(nm)とすると、以下の条件(22)
2N+0.70<|ΔOPD1/λ1|<2N+1.25・・・(22)
ただし、Nは0以上の整数である
を満たすことを特徴とする。
さらに請求項23に記載の光情報記録再生装置によれば、第一の領域の第一の段差は、以下の条件(23)を満たすことが望ましい。
2.70<|ΔOPD1/λ1|<3.25・・・(23)
請求項24に記載の光情報記録再生装置によれば、条件(22)、あるいは条件(22)をより具体化させた条件(23)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(24)を満たすことが望ましい。
1.30<|ΔOPD1/λ3|<1.47・・・(24)
また、請求項25に記載の光情報記録再生装置によれば、第一の領域の第一の段差は、以下の条件(25)を満たすことが望ましい。
4.70<|ΔOPD1/λ1|<5.25・・・(25)
請求項26に記載の光情報記録再生装置によれば、条件(22)、あるいは条件(22)をより具体化させた条件(25)を満たす位相シフト構造は、さらに以下の条件(26)を満たすことが望ましい。
2.27<|ΔOPD1/λ3|<2.46・・・(26)
第一の領域の第一の段差が、条件(23)または条件(25)を満たすことにより、第三の波長の光束で発生する不要回折次数光の光量を抑えつつ、第一の波長の光束の光量を高く設定することができる。さらに、第一から第三の光ディスクに対する情報の記録または再生時においても球面収差を抑えて記録面上に良好なスポットを形成することもできる。なお、位相シフト構造は、条件(24)、条件(26)を満たすことによっても、第三の波長の光束に関する回折効率を向上させ、装置全体としての光利用効率を高めることができる。
また請求項22に記載の光情報記録再生装置によれば、第一から第三の波長に対して、略平行光束を対物レンズに入射させることができる。そのため、トラッキング動作時の収差の発生量を小さくすることができる。
また、第一の領域における上記少なくとも一方の段差と異なる光路長差を付与する段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD2とすると、以下の条件(27)を満たすことが望ましい(請求項27)。
2N−0.20<|ΔOPD2/λ1|<2N+0.20・・・(27)
条件(27)を満たすことにより、第一の波長および第三の波長の光束を使用して光ディスクに対する情報の記録または再生を行う場合において高い回折効率を得ることができる。
さらに第二の段差が、以下の条件(28)、を満たすことが望ましい(請求項28)。
1.80<|ΔOPD2/λ1|<2.20・・・(28)
条件(28)を満たすことにより、いずれの光ディスク使用時であっても記録面上に収束する光束の光量を高くすることができる。
請求項29に記載の光情報記録再生装置によれば、位相シフト構造は、第一の領域の外側に、前記第一の波長の光束および前記第二の波長の光束をそれぞれ前記第一の光ディスクおよび前記第二の光ディスクの記録面上に収束し、かつ前記第三の波長の光束の収束には寄与しない第二の領域を有し、第二の領域における互いに隣り合う屈折面の境界において、入射光束に対して少なくとも一種類の光路長変化量を付与する段差を有し、該第二の領域の段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差の絶対値のうち少なくとも一種類が、第一の領域の段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差とは異なる。
また、請求項30に記載の光情報記録再生装置によれば、位相シフト構造は、第一の領域の外側に、前記第一の波長の光束および前記第二の波長の光束をそれぞれ前記第一の光ディスクおよび前記第二の光ディスクの記録面上に収束し、かつ前記第三の波長の光束の収束には寄与しない第二の領域を有し、第二の領域における互いに隣り合う屈折面の境界において、入射光束に対して少なくとも一種類の光路長変化量を付与する段差を有し、該第二の領域の段差が第一の波長の光束に対して付与する光路長差の絶対値のうち少なくとも一種類が、|ΔOPD2/λ1|とは異なる。
また、請求項31に記載の光情報記録再生装置用対物レンズによれば、以下の条件(29)が成立する場合、上記位相シフト構造は、第二の領域の外側に、第一の波長の光束のみ収束させ、第二および第三の波長の光束の収束には寄与しない第三の領域を設けることが望ましい。該第三の領域は、互いに隣り合う屈折面の境界において、入射光束に対して、少なくとも一種類の光路長差を有する段差を有し、該光路長差の絶対値が、第二の領域における少なくとも一種類の光路長差の絶対値と異なる。
f1×NA1>f2×NA2・・・(29)
また、請求項32に記載の光情報記録再生装置用対物レンズによれば、以下の条件(30)が成立する場合、上記位相シフト構造には、第二の領域の外側に、第二の波長の光束のみ収束させ、第一および第三の波長の光束の収束には寄与しない第三の領域を設けることが望ましい。該第三の領域は、互いに隣り合う屈折面の境界において、入射光束に対して、少なくとも一種類の光路長差を有する段差を有し、該光路長差の絶対値が、第二の領域における少なくとも一種類の光路長差の絶対値と異なる。
f1×NA1<f2×NA2・・・(30)
以上のように、本発明によれば、光情報記録再生装置における対物レンズの少なくとも一面に所定の位相シフト構造を形成することにより、第三の光ディスクを使用した場合であっても、回折効率を向上させて、球面収差のみならず不要回折次数光に起因するフォーカスエラー信号の劣化を抑えることができる。すなわち、フォーカシング機能を劣化させることなく、記録密度の異なる三種類の光ディスクの記録面上において良好なスポットを形成可能な光情報記録再生用対物レンズおよび該対物レンズを搭載する光情報記録再生装置が提供される。
以下、本発明の対物レンズについて二つ実施形態を説明する。各実施形態の対物レンズは、光情報記録再生装置に搭載され、保護層厚、記録密度等といった規格がそれぞれ異なる三種類の光ディスクについて互換性を有している。
以下では説明の便宜上、上記三種類の光ディスクのうち、記録密度が最も高い光ディスク(例えばHD DVDやBD等の新規格の光ディスク)を第一の光ディスクD1、第一の光ディスクD1に比べて相対的に記録密度が低い(例えばDVDやDVD−R等)を第二の光ディスクD2、記録密度が最も低い光ディスク(例えばCDやCD−R等)を第三の光ディスクD3、と記す。
各光ディスクD1〜D3の保護層厚をそれぞれt1〜t3とすると、本実施形態で想定する各保護層厚には、以下のような関係がある。
t1=0.6mm
t2=0.6mm
t3=1.2mm
また、各光ディスクD1〜D3のそれぞれに対して情報の記録または再生を行う場合、記録密度の違いに対応した大きさのビームスポットが得られるように、必要とされるNAの値を変化させる必要がある。ここで、各光ディスクD1〜D3に対する情報の記録または再生時に必要とされる最適な設計開口数を、それぞれNA1、NA2、NA3とすると、各NAには以下のような関係がある。
NA1>NA3かつNA2>NA3
つまり、記録密度の高い第一の光ディスクD1および第二の光ディスクD2に対する情報の記録または再生時には、より小径なスポットの形成が要求されるため、必要なNAが高くなる。これに対し、最も記録密度の低い第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時には、必要とされるNAは比較的小さい。なお、どの光ディスクも、情報の記録または再生時には、図示しないターンテーブル上に載置され回転駆動される。
上記のように記録密度が異なる各光ディスクD1〜D3を使用する場合、各記録密度に対応した大きさのビームスポットが得られるように、光情報記録再生装置内において、それぞれ異なる波長のレーザー光が用いられる。具体的には、第一の光ディスクD1に対して情報の記録または再生を行う際には、最も小径のビームスポットを第一の光ディスクD1の記録面上において形成するために、最も短波長(第一の波長)であるレーザー光(以下、第一のレーザー光という)を光源から照射する。また、第三の光ディスクD3に対して情報の記録または再生を行う際には、最も大きな径のビームスポットを第三の光ディスクD3の記録面上において形成するために、最も長波長(第三の波長)であるレーザー光(以下、第三のレーザー光という)を光源から照射する。そして第二の光ディスクD2に対して情報の記録または再生を行う際には、第二の光ディスクD2の記録面上において比較的小径のスポットを形成するために、第一のレーザー光よりは長波長であってかつ第三のレーザー光よりは短波長(第二の波長)であるレーザー光(以下、第二のレーザー光という)を光源から照射する。
図1は、第一実施形態の対物レンズ10を有する光情報記録再生装置100の概略構成を表す模式図である。光情報記録再生装置100は、第一のレーザー光を照射する光源1A、第二のレーザー光を照射する光源1B、第三のレーザー光を照射する光源1C、回折格子2A、2B、2C、カップリングレンズ3A、3B、3C、ビームスプリッタ41、42、ハーフミラー5A、5B、5C、受光部6A、6B、6Cを有する。なお、光情報記録再生装置100では、上記の各光ディスク使用時に必要とされるNAが各々異なることに対応する必要がある。そのため、光情報記録再生装置100では、図示しないが、第三のレーザー光の光束径を規定する開口制限素子が配設されていてもよい。
図1に示すように、各光源1A〜1Cから照射された第一〜第三の各レーザー光束は、各カップリングレンズ3A〜3C、ビームスプリッタ41、42を介して共通の光路に導かれ、対物レンズ10に入射する。対物レンズ10を透過した各光束は、情報の記録または再生の対象となる各光ディスクD1〜D3の記録面近傍に収束する。記録面で反射した各レーザー光は、ハーフミラー5A〜5Cで偏向され、受光部6A〜6Cにより検出される。
図2(A)〜図2(C)は、対物レンズ10および各光ディスクD1〜D3を各光ディスク使用時における各光源から各光ディスクまでの光路を、光ディスクごとに分けて示した図である。図2(A)〜(C)において、光情報記録再生装置100の基準軸AXは、図中一点鎖線で表示されている。図2(A)〜(C)に示す状態では、対物レンズの光軸は基準軸AXと一致しているが、トラッキング動作などにより対物レンズの光軸が基準軸AXから外れる状態もある。基準軸AXと光軸の関係は、後述する第二実施形態(図4参照)においても同様である。
対物レンズ10は、光源側から順に第一面11と第二面12を有する。対物レンズ10は、図2(A)〜(C)に示すように各面11、12とも非球面である両凸のプラスチック製単レンズである。非球面の形状は光軸からの高さがhとなる非球面上の座標点の該非球面の光軸上での接平面からの距離(サグ量)をX(h)、非球面の光軸上での曲率(1/r)をC、円錐係数をK、4次、6次、8次、10次、12次…の非球面係数をA2i(ただし、iは1以上の整数)として、以下の数1の式で表される。
Figure 0004828303
また各光ディスクD1〜D3は、それぞれ保護層21、記録面22を有する。なお、実際の光ディスクD1〜D3において、記録面22は、保護層21と図示しないレーベル層によって挟持されている。
光情報記録再生装置100のように、各光ディスクD1〜D3使用時には異なる波長のレーザー光を用いる場合、対物レンズの屈折率の変化や、各光ディスクD1〜D3の保護層21の厚さの違いに起因して、球面収差が変化する。各光ディスクD1〜D3に対する互換性を光情報記録再生装置100に持たせるためには、いずれの光ディスクを使用した場合に発生する球面収差も良好に補正する必要がある。そのため、対物レンズ10の少なくとも一方の面(本実施形態では第一面11)に、基準軸AXを中心とした同心状に複数に分割された屈折面と各屈折面の境界に形成される複数の微小な段差からなる位相シフト構造を設ける。該段差は、入射光束に対して、所定の光路長差を付与するように構成される。
図3は、第一面11に設けられた位相シフト構造の拡大図である。ここで、光路長差とは、図3に示すように、第(j−1)屈折面の形状を光軸から離れる方向に延長させた仮想上の延長面(A−A’面)の境界位置(hj)で屈折した場合に得られる像面までで評価した時の光路長と、第j屈折面の形状を光軸に向かう方向に延長させた仮想上の延長面(B−B’面)の境界位置(hj)で屈折した場合に得られる像面までで評価した時の光路長の差を意味する。
図3に示す位相シフト構造は、第一と第二のレーザー光で波長が異なることにより対物レンズ10の屈折レンズ部分で生じる球面収差をコントロールできるような特性を有する。加えて、該位相シフト構造の段差は、対物レンズ10のアッベ数に応じて、第一のレーザー光に対して付与する光路長差が所定の値になるように設計される。これにより、特に第三の光ディスクD3使用時におけるフォーカシング機能を低下することなく光ディスクD3に対する情報の記録または再生を行うことができる。
より具体的には、アッベ数νdが以下の条件(1)、
40≦νd≦80・・・(1)
を満たす対物レンズ10を使用する場合には、位相シフト構造は、該位相シフト構造を構成する段差によって第一のレーザー光に付与される光路長差ΔOPDが、以下の条件(2)を満たすように設計される。
2N+1.00<|ΔOPD/λ1|<2N+1.30・・・(2)
ただし、Nは0以上の整数である。以下に示す各条件において用いられるNも同様である。
条件(2)について、上限を超えると、第一レーザー光の光量が低下してしまい好ましくない。また下限を超えると、第三のレーザー光において不要回折次数光の光量が増大してしまいフォーカシング機能が低下するため好ましくない。
より具体的には、第一のレーザー光に対して光路長差を付与する上記段差が、以下の条件(3)あるいは条件(5)、
3.00<|ΔOPD/λ1|<3.30・・・(3)
5.00<|ΔOPD/λ1|<5.30・・・(5)
を満たすように設計される。
また、第三のレーザー光に関する正規回折次数光が不要回折次数光よりも高い回折効率を有するようにするため、条件(2)を満たす上記段差は、以下の条件(4)または条件(6)を満たすように設計される。より具体的には、条件(3)を満たす上記段差は条件(4)を満たすように設計することが望ましく、条件(5)を満たす段差は条件(6)を満たすように設計することが望ましい。なお位相シフト構造は、条件(3)と条件(4)を両方満たすことが好ましいが、少なくともいずれか一方を満たしていれば良い。条件(5)と条件(6)についても同様である。
1.50<|ΔOPD/λ3|<1.62・・・(4)
2.50<|ΔOPD/λ3|<2.58・・・(6)
通常、対物レンズ10は、光情報記録再生装置100の基準軸AX上に配設される。しかし、情報の記録または再生の過程において、トラッキングシフトによって、対物レンズ10の位置が基準軸AX上から外れることもある。この場合に、対物レンズ10に平行光束が入射していれば収差の発生はないが、発散光や収束光などの非平行光が入射している場合にはコマ収差や非点収差といった軸外の収差が発生してしまう。一般に、情報の記録または再生に高NAが要求される光ディスクほど、収差に対する許容範囲が狭い。従って、情報の記録または再生に高NAが要求される光ディスク使用時は、対物レンズ10がトラッキングシフト等した場合であっても、軸外光による諸収差の発生を抑えるために、対物レンズ10には略平行光束を入射させることが望まれる。
例えば、上記条件(3)ないし条件(6)を満たすように設計された位相シフト構造を持つ対物レンズ10は、以下の条件(13)および条件(14)を満たすように設計される。
−0.02<f1×M1<0.02・・・(13)
−0.02<f2×M2<0.02・・・(14)
ただし、M1、f1は、それぞれ第一の光ディスクD1使用時における対物レンズ10の結像倍率と焦点距離を、
M2、f2は、それぞれ第二の光ディスクD2使用時における対物レンズ10の結像倍率と焦点距離を、表す。
条件(13)および条件(14)を満たすように対物レンズ10を設計することにより、第一の光ディスクD1および第二の光ディスクD2使用時に、使用される光は略平行光束となる。よって、トラッキングシフト時におけるコマ収差や非点収差の発生量を無視できる程度まで良好に小さくすることができる。
なお、第一実施形態では、第一光源1Aと第二光源1Bを、各光源1A、1Bから照射されたレーザー光が各カップリングレンズ3A、3Bによって平行光束に変換されるような位置に配設することにより、対物レンズ10の結像倍率M1やM2を0にしている。すなわち第一実施形態の各カップリングレンズ3A、3Bは、第一のレーザー光および第二のレーザー光に対して、コリメートレンズとして機能する。
上記のように、収差に対する許容範囲が狭い各光ディスクD1、D2使用時の収差を有効に抑えるように対物レンズ10を設計すると、対物レンズ10自体の性能のみでは、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時に発生する球面収差を十分に抑えることができない。そこで、第三の光ディスクD3使用時に発生する球面収差は、図2(C)に示すように対物レンズ10に入射する光束を発散光にすることにより補正する。具体的には、第三の光ディスクD3使用時における対物レンズ10の結像倍率をM3、焦点距離をf3とすると、対物レンズ10は、以下の条件(15)を満たすように設計される。
−0.12<f3×M3<−0.04・・・(15)
条件(15)の上限を超えると、第三の光ディスクD3使用時において、オーバーな球面収差が残存してしまい好ましくない。また、条件(15)の下限を下回ると、第三の光ディスクD3使用時において、アンダーな球面収差が発生してしまい好ましくない。条件(15)を満たすように対物レンズ10を設計することにより、第三の光ディスクD3使用時に発生する球面収差を良好に抑えることができる。
ここで、段差で付与される光路長差が、上記条件(3)を満たす、具体的には第一のレーザー光で約3波長分になるように位相シフト構造を設計すると、第一の光ディスクD1と第三の光ディスクD3におけるディスク厚の違いなどによる球面収差を低減することができる。そのため、対物レンズ10に入射する第三のレーザー光の発散角は、段差で付与される光路長差が第一のレーザー光束で略2K波長分(Kは自然数、以下同じ。)の場合と比べて小さくすることが可能となる。
またアッベ数νdが以下の条件(7)、
20≦νd<40・・・(7)
を満たす対物レンズ10を使用する場合には、位相シフト構造は、該位相シフト構造を構成する段差によって第一のレーザー光に付与される光路長差ΔOPDが、以下の条件(8)を満たすように設計される。
2N+0.70<|ΔOPD/λ1|<2N+1.25・・・(8)
条件(8)について、上限を超えると、第三の波長の光束において不要回折次数光の光量が増大してしまい好ましくない。条件(8)の下限を超えると、第一の波長の光束の光量が低下してしまい、好ましくない。
より具体的には、第一のレーザー光に対して光路長差を付与する上記段差が、以下の条件(9)、あるいは条件(11)、
2.70<|ΔOPD/λ1|<3.25・・・(9)
4.70<|ΔOPD/λ1|<5.25・・・(11)
を満たすように設計される。
また、第三のレーザー光に関する正規回折次数光が不要回折次数光よりも高い回折効率を有するようにするため、条件(8)を満たす上記段差は、以下の条件(10)または条件(12)を満たすように設計される。より具体的には、条件(9)を満たす上記段差は条件(10)を満たすように設計することが望ましく、条件(11)を満たす段差は条件(12)を満たすように設計することが望ましい。なお位相シフト構造は、条件(9)と条件(10)を両方満たすことが好ましいが、少なくともいずれか一方を満たしていれば良い。条件(11)と条件(12)についても同様である。
1.30<|ΔOPD/λ3|<1.47・・・(10)
2.27<|ΔOPD/λ3|<2.46・・・(12)
上述したように、情報の記録または再生に高NAが要求される光ディスク使用時は、対物レンズ10には略平行光束を入射させることが望まれる。また、対物レンズ10は、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時に発生する球面収差も良好に補正する必要がある。従って、例えば、上記条件(9)や条件(10)を満たすように設計された位相シフト構造を持つ対物レンズ10は、上記の条件(13)、条件(14)、および以下の条件(16)を満たすように設計される。
−0.38<f3×M3<−0.30・・・(16)
以上、第一実施形態の光情報記録再生装置100は、アッベ数νdの値に応じて上記のような構成を採ることにより、図2(A)〜(C)にそれぞれ示すように、各光ディスクD1〜D3に対する情報の記録または再生時、使用する光ディスクに対応する光源から照射されたレーザー光は、各カップリングレンズ3A〜3Cと各ビームスプリッタ41、42と対物レンズ10を介して光ディスクの記録面近傍に収束し、情報の記録または再生に好適なスポットを形成する。また、第三の光ディスクD3使用時に不要回折次数光の発生を抑えてフォーカシング機能を良好に保つことができる。
次に第二の実施形態の光情報記録再生装置100について説明する。図4(A)〜図4(C)は、第二実施形態の光情報記録再生装置100に搭載される対物レンズ10および各光ディスクD1〜D3を各光ディスク使用時における光路ごとに分けて示した図である。図2と同様、光情報記録再生装置100の基準軸AXは、図中一点鎖線で表示されている。なお、第二実施形態において、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、ここでの詳細な説明は省く。
第二実施形態では、各光源1A〜1Cを、各光源1A〜1Cから照射されたレーザー光が各カップリングレンズ3A〜3Cによって平行光束に変換されるような位置に配設することにより、対物レンズ10の結像倍率を略0にしている。すなわち第二実施形態の各カップリングレンズ3A〜3Cは、第一〜第三の各レーザー光に対して、コリメートレンズとして機能する。
本実施形態の位相シフト構造は、第一から第三の各レーザー光で使用波長の違いによる球面収差をそれぞれ略0になるようにコントロールする回折作用を持つ。該回折作用は、対物レンズ10を透過した各レーザー光が、対応する光ディスクの記録面22上において、球面収差が良好に抑えられ、情報の記録または再生に好適なスポットを形成できるような回折作用、つまり三波長互換作用といえる。
以上のような位相シフト構造を持つ対物レンズ10は、例えば以下のように設計される。まず、第一から第三の各レーザー光束における回折効率が最大となる回折次数の比率が互いに異なる少なくとも二種類の光路差関数、例えば第一の光路差関数と第二の光路差関数を算出する。
なお、光路差関数は、対物レンズ10の回折レンズとしての機能を光軸からの高さhにおける光路長付加量の形で表現される。光路差関数をφ(h)とすると、該φ(h)は、以下の式によって表される。
Figure 0004828303

光路差関数φ(h)において、P2i(ただし、iは1以上の整数)はそれぞれ二次、四次、六次、…の係数である。mは使用するレーザー光の回折効率が最大となる回折次数を、λは使用するレーザー光の設計波長を、それぞれ表す。
次いで、算出された各光路差関数を重ね合わせることにより、上記位相シフト構造の形状を求める。このように、互いに異なる二つの光路差関数に基づき求められた位相シフト構造に形成される段差は、第一のレーザー光に対して光路長差の絶対値が異なる二種類の光路長変化をもたらす。つまり、第二実施形態の位相シフト構造の段差は、第一のレーザー光に対して異なる光路長差を付与する、第一の段差と第二の段差の二種類に分類される。なお、光路長差の絶対値が異なる、と記載したのは、対物レンズ10から各光ディスクに向かう方向の光路長差を正、逆方向を負と定義した場合、正負の符号の不一致を「光路長差が異なる」とは言わないことを明確にしたものである。
第二実施形態の位相シフト構造における第一の段差は、第一実施形態と同様に、対物レンズ10のアッベ数に応じて、第一のレーザー光に対して付与する光路長差が所定の値になるように設計される。
より具体的には、アッベ数νdが以下の条件(1)、
40≦νd≦80・・・(1)
を満たす対物レンズ10を使用する場合には、位相シフト構造は、第一の段差によって第一のレーザー光に付与される光路長差ΔOPD1が、以下の条件(17)を満たすように設計される。
2N+1.00<|ΔOPD1/λ1|<2N+1.30・・・(17)
より具体的には、第一のレーザー光に対して光路長差を付与する上記第一の段差が、以下の条件(18)、あるいは条件(20)、
3.00<|ΔOPD1/λ1|<3.30・・・(18)
5.00<|ΔOPD1/λ1|<5.30・・・(20)
を満たすように設計される。
また、第三のレーザー光に関する正規回折次数光が不要回折次数光よりも高い回折効率を有するようにするため、条件(17)を満たす上記段差は、以下の条件(19)または条件(21)を満たすように設計される。より具体的には、条件(18)を満たす上記段差は条件(19)を満たすように設計することが望ましく、条件(20)を満たす段差は条件(21)を満たすように設計することが望ましい。
1.50<|ΔOPD1/λ3|<1.62・・・(19)
2.50<|ΔOPD1/λ3|<2.58・・・(21)
条件(17)は、第一実施形態における条件(2)に対応する。条件(18)、(20)は、それぞれ第一実施形態における条件(3)、(5)に対応する。条件(19)、(21)は、それぞれ第一実施形態における条件(4)、(6)に対応する。従って、各条件(17)〜(21)は第一実施形態においてそれぞれ対応する条件の説明を参照し、ここでの説明を省略する。
また第二実施形態において、アッベ数νdが以下の条件(7)、
20≦νd<40・・・(7)
を満たす対物レンズ10を使用する場合には、位相シフト構造は、光路長差ΔOPD1が、以下の条件(22)を満たすように設計される。
2N+0.70<|ΔOPD1/λ1|<2N+1.25・・・(22)
より具体的には、第一のレーザー光に対して光路長差を付与する上記段差が、以下の条件(23)、あるいは条件(25)、
2.70<|ΔOPD1/λ1|<3.25・・・(23)
4.70<|ΔOPD1/λ1|<5.25・・・(25)
を満たすように設計される。
また、第三のレーザー光に関する正規回折次数光が不要回折次数光よりも高い回折効率を有するようにするため、条件(22)を満たす上記段差は、以下の条件(24)または条件(26)を満たすように設計される。より具体的には、条件(23)を満たす上記段差は条件(24)を満たすように設計することが望ましく、条件(25)を満たす段差は条件(26)を満たすように設計することが望ましい。
1.30<|ΔOPD1/λ3|<1.47・・・(24)
2.27<|ΔOPD1/λ3|<2.46・・・(26)
条件(22)は、第一実施形態における条件(8)に対応する。条件(23)、(25)は、それぞれ第一実施形態における条件(9)、(11)に対応する。条件(24)、(26)は、それぞれ第一実施形態における条件(10)、(12)に対応する。
図5から図8は、順に各条件(23)〜(26)を満たす場合の効果を説明するための、回折効率を表すグラフである。各グラフにおいて、太実線は第一のレーザー光を、太点線は第二のレーザー光を、細実線は第三のレーザー光の不要回折次数光を、細点線は第三のレーザー光の正規回折次数光を、それぞれ表す。詳しくは、各図5〜8は、横軸に各条件の値、縦軸に各光ディスクの記録面における各回折光の光量(単位:%)を示すグラフである。光量は、図5、図6にあっては3次の第一のレーザー光の光量を100%としたときの相対値であり、図7、8にあっては5次の第一のレーザー光の光量を100%としたときの相対値である。光量が高いと言うことは、各回折光の回折効率が高いことを意味する。なお、各図5〜8において、第一から第三の波長はそれぞれ、407nm、660nm、790nmである、また位相シフト構造を有する対物レンズの材料は、d線での屈折率が1.61、d線でのアッベ数が27である。
図5〜図8に示すように、各条件を満足するように位相シフト構造が設計されている場合、第一、第二の各レーザー光は、使用する各光ディスクD1、D2の記録密度の高さに対応して情報の記録または再生を行えるだけの十分に高い回折効率を有している。加えて、各条件を満足するように位相シフト構造が設計されている場合、第三のレーザー光は、常に正規回折次数光が不要回折次数光よりも高い効率を有し、かつ第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生に最低限必要とされる40%以上の光量を確保している。
上記のように、各条件(18)〜(21)、(23)〜(26)を満たすように構成すると、第一の段差により付与される光路長差が第一のレーザー光に対して、略(2K+1)波長分になる。そのため、第一の段差により、第三のレーザー光の正規回折次数光の光量は低くならざるを得ない。そこで、第二の段差は、特に第三のレーザー光の正規回折次数光の光量を高くすることが好ましい。詳しくは、第二実施形態の対物レンズ10に配設される位相シフト構造における第二の段差は、該第二の段差が第一のレーザー光に対して付与する光路長差ΔOPD2が以下の条件(27)、より具体的には条件(28)を満たすように設計される。
2N−0.20<|ΔOPD2/λ1|<2N+0.20・・・(27)
1.80<|ΔOPD2/λ1|<2.20・・・(28)
光路長差ΔOPD2が、条件(27)や条件(28)を満たすように位相シフト構造の第二の段差を設計することにより、第一のレーザー光や第二のレーザー光に関する回折効率を高く維持しつつも、第三の光ディスクD3使用時における記録面22上での光量を高くすることができる。
上記に示すような位相シフト構造を設計することにより、各光ディスクD1〜D3使用時に、対応する第一から第三のレーザー光を略平行光束に変換して用いたとしても、各光ディスクD1〜D3使用時に発生する球面収差を良好に抑えることができるとともに、トラッキング動作時に発生するコマ収差や非点収差を良好に抑えることができる。また、第三の光ディスクD3使用時に不要回折次数光の発生を抑えてフォーカシング機能を良好に保つことができる。
以上、実施形態を二つ説明した。各実施形態において、上述した段差を有する位相シフト構造は、必ずしも第一面11の全域に設ける必要はない。上述した位相シフト構造は、対物レンズ10の光軸を含む最も内側の領域であってかつ第三のレーザー光の収束に寄与する領域、つまり第一から第三のいずれのレーザー光の収束にも寄与する領域(以下、第一の領域という)に設けられていればよい。
また、第一および第二実施形態の対物レンズ10では、各光ディスクD1〜D3に対する情報の記録または再生に必要なNAを確保するための有効光束径の違いに応じて、第一の領域の外側に第一の領域とは異なる位相シフト構造を持つ第二の領域が、さらには第二の領域の外側に第一、第二の各領域とは異なる位相シフト構造を持つ第三の領域が設けられる場合もある。
第二の領域の位相シフト構造は、一般に第三の光ディスクD3使用時よりも高いNAが要求される第一、第二の光ディスクD1、D2使用時に用いられる第一および第二のレーザー光を、対応する光ディスクD1、D2の記録面22上に良好に収束させるための回折作用を持つ。
第二の領域の位相シフト構造は、第三のレーザー光の収束に寄与しないような段差を有する。つまり、第一のレーザー光を基準とした場合(言い換えれば第一のレーザー光が入射した場合)に、第二の領域の段差において付与される光路長差のうち少なくとも一種類の絶対値は、第一の領域に存在する段差において付与される光路長差の絶対値とは異なる。ここで、第一の領域に複数種類の段差が存在する場合は、第一のレーザー光に対して偶数に近い光路長差を付与する段差が、上記第一の領域に存在する段差に該当する。例えば第一の領域に上述したような二種類の段差が存在する場合、上記条件(27)や(28)を満足するような段差が、上記第一の領域に存在する段差に該当する。
また、第三の領域の位相シフト構造は、対物レンズ10の第一面11における第一のレーザー光の入射光束径と、第二のレーザー光の有効光束径が異なる場合に設けられる。
第三の領域が設けられるケースとしては、まず、第一の光ディスクD1使用時の焦点距離をf1、第二の光ディスクD2使用時の焦点距離をf2としたとき、以下の条件(29)、
f1×NA1>f2×NA2・・・(29)
が成立する場合、つまり、第一のレーザー光が入射する場合の対物レンズ10の入射面での有効光束径が、第二のレーザー光が入射する場合の対物レンズ10の入射面での有効光束径より大きい場合が挙げられる。この場合、第一のレーザー光が第一の光ディスクD1の記録面上において略無収差で良好に収束するような位相シフト構造を有する第三の領域が第一面11に形成される。
条件(29)が成立する場合に形成される第三の領域は、第二の領域とは異なり、第二のレーザー光の収束には寄与しない。つまり、条件(29)が成立するときに形成される第三の領域は、第二のレーザー光に対する開口制限機能を有する。そのため、該構造は、第一のレーザー光について互いに隣り合う屈折面の境界において付与される光路長差が、第二の領域における第一のレーザー光についての光路長差とは異なるように設計される。該設計時には、第三の領域は、第一のレーザー光に対する回折効率が最大となるようにブレーズ化される。
第三の領域が設けられるケースとしては、次に、以下の条件(30)、
f1×NA1<f2×NA2・・・(30)
が成立する場合、つまり、第二のレーザー光が入射する場合の対物レンズ10の入射面での有効光束径が、第一のレーザー光が入射する場合の対物レンズ10の入射面での有効光束径より大きい場合が挙げられる。この場合、第二のレーザー光が第二の光ディスクD2の記録面上において略無収差で良好に収束するような位相シフト構造を有する第三の領域が第一面11に形成される。条件(30)が成立する場合に形成される第三の領域は、第二の領域とは異なり、第一のレーザー光の収束には寄与しない。つまり、条件(30)が成立するときに形成される第三の領域は、第一のレーザー光に対する開口制限機能を有する。そのため、該位相シフト構造は、第二のレーザー光について互いに隣り合う屈折面の境界において付与される光路長差が、第二の領域における第二のレーザー光についての光路長差とは異なるように設計される。該設計時には、第三の領域は、第二のレーザー光に対する回折効率が最大となるようにブレーズ化される。
以上説明した第一実施形態の設計方法により設計された対物レンズ10を対物光学系として用いた光情報記録再生装置100の具体的な実施例を5例(実施例1〜実施例5)、対物レンズ10自体の具体的実施例を2例(実施例6、実施例7)示す。実施例1〜2の光情報記録再生装置100は、図1、図2(A)〜(C)に示される。また実施例3〜5の光情報記録再生装置は、図1、図4(A)〜(C)に示される。なお、各実施例に関して、第三の光ディスクD3使用時は、情報の記録または再生に好適な開口数を得るために図示しない開口制限素子を用いて光束径を規定している。そのため、図2(A)〜(C)、図4(A)〜(C)に示すように、第三の光ディスクD3使用時は、第一、第二の光ディスクD1、D2使用時に比べて有効光束径が小さくなる。
各実施例において使用される光ディスクは、保護層厚0.6mmの最も記録密度の高い第一の光ディスクD1、保護層厚0.6mmであり第一の光ディスクD1よりは記録密度の低い第二の光ディスクD2、保護層厚1.2mmの最も記録密度の低い第三の光ディスクD3を想定する。
実施例1の光情報記録再生装置100の対物レンズ10は、一種類の光路長差を与える段差のみで構成された位相シフト構造を第一面11に有している。実施例1の対物レンズ10の具体的な仕様は、表1に示されている。
Figure 0004828303
表1中、倍率の値が示すように、実施例1では、光ディスクD1〜D2使用時には、レーザー光は平行光束として、光ディスクD3使用時には、レーザー光は発散光束として、対物レンズ10に入射する。表1に示す対物レンズ10を備える光情報記録再生装置100の各光ディスクD1〜D3使用時における具体的数値構成は、表2〜表4に示される。
Figure 0004828303

Figure 0004828303

Figure 0004828303
表2〜表4中の備考に示すように、面番号0が各光源1A〜1C、面番号1、2が各回折格子2A〜2C、面番号3、4が各カップリングレンズ3A〜3C、表2〜表3の面番号5、6がビームスプリッタ41、表2〜3の面番号7、8および表4の面番号5,6がビームスプリッタ42、表2〜3の面番号9、10および表4の面番号7、8が対物レンズ10、表2〜3の面番号11、12および表4の面番号9、10が媒体である各光ディスクD1〜D3の保護層21および記録面22を示している。表2〜表4中、rはレンズ各面の曲率半径(単位:mm)、dは情報の記録または再生時におけるレンズ厚またはレンズ間隔(単位:mm)、n(Xnm)は波長Xnmでの屈折率である。以下に説明する各実施例で示す具体的数値構成の表でも同様である。
また、各カップリングレンズ3A〜3Cの第二面、および対物レンズ10の両面11、12は非球面である。第一の光ディスクD1、第二の光ディスクD2、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時における各非球面の形状を規定する円錐係数と非球面係数は、順に表5〜7に示される。なお各表における表記Eは、10を基数、Eの右の数字を指数とする累乗を表している。
Figure 0004828303

Figure 0004828303

Figure 0004828303
実施例1の対物レンズ10の第一面11に形成されることになる位相シフト構造を規定するための光路差関数における係数P2iは表8に示される。また、各レーザー光の回折効率が最大になる回折次数mは表9に示される。表9に示すように、回折次数mは使用するレーザー光によって異なる値が設定されている。
Figure 0004828303

Figure 0004828303
実施例1の対物レンズ10の第一面11に形成される位相シフト構造は具体的には表10に示される。表10は、実施例1の対物レンズ10の第一面11に形成される各輪帯の範囲と、第一のレーザー光が各輪帯を透過することにより与えられる光路長差を示した表である。各輪帯の範囲は、光軸からの高さhmin〜hmaxで表している。
Figure 0004828303
実施例1の光情報記録再生装置の対物レンズ10は、アッベ数νdが58で条件(1)を満たす。また表10に示すように、第一のレーザー光が各輪帯間の段差により付与される光路長差|ΔOPD/λ1|は、3.17(つまり、N=1)であり、条件(2)および条件(3)を満たす。また、第三のレーザー光が各輪帯間の段差により付与される光路長差|ΔOPD/λ3|は、1.56であり、条件(4)も満たす。
ここで、実施例1の光情報記録再生装置100において、第三の光ディスクに対する情報の記録または再生時にフォーカスエラー信号を検出するための光学系の具体的数値構成を表11に示す。
Figure 0004828303
表11中の備考に示すように、面番号11、12が光ディスクD3の保護層および記録面、面番号13、14が対物レンズ10、面番号15、16がビームスプリッタ42、面番号17、18がカップリングレンズ3C、面番号19、20が、ハーフミラー5C、面番号21が受光部6Cを示している。以下の各実施例で示すフォーカスエラー信号を検出するための光学系の具体的数値構成の表に関しても同様である。
図9は、実施例1の光情報記録再生装置100において、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時に受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号を示す。図9において、縦軸は検出されたフォーカスエラー信号を、横軸は対物レンズのデフォーカス量を示す。以下の各実施例で説明するフォーカスエラー信号を示す図についても同様である。図9に示すように、受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号は、崩れの小さい良好な波形を有している。つまり、実施例1の光情報記録再生装置100は、条件(3)や条件(4)を満たすことにより、フォーカスエラー信号の崩れを抑え、フォーカシング機能の低下を良好に防いでいる。
さらに、実施例1の光情報記録再生装置100は、表1から分かるように、f1×M1が0.000、f2×M2が0.000、f3×M3が−0.081であり、条件(13)から条件(15)を満たす。
図10(A)〜(C)は、実施例1の光情報記録再生装置100において、第一から第三の各レーザー光を使用した時に発生する球面収差を表す収差図である。図10(A)が第一のレーザー光使用時に発生する球面収差を、図10(B)が第二のレーザー光使用時に発生する球面収差を、図10(C)が第三のレーザー光使用時に発生する球面収差を、それぞれ表す。なお、以下の各実施例で示す収差図においても同様である。
図10(A)〜(C)に示すように、実施例1の対物レンズ10を搭載した光情報記録再生装置100は、各光ディスクD1〜D3のいずれに対する情報の記録または再生時であっても、球面収差を良好に補正し、記録面上には情報の記録または再生に好適なスポットを形成していることが分かる。以上が実施例1の光情報記録再生装置100の説明である。
実施例2の対物レンズ10に関する具体的数値構成や仕様は、実施例1と同一である。従って、上記表1〜表9を参照し、ここでの説明は省略する。
実施例2の対物レンズ10の第一面11に形成される位相シフト構造は、具体的には表12に示されている。表12は、実施例1の対物レンズ10の第一面11に形成される各輪帯の範囲と、第一のレーザー光が各輪帯を透過することにより与えられる光路長差を示した表である。
Figure 0004828303
実施例2の光情報記録再生装置の対物レンズ10は、アッベ数νdが58で条件(1)を満たす。また表12に示すように、第一のレーザー光が各輪帯間の段差により付与される光路長差|ΔOPD/λ1|は3.08(つまり、N=1)であり、条件(2)および条件(3)を満たす。また、第三のレーザー光が各輪帯間の段差により付与される光路長差|ΔOPD/λ3|は、1.52であり、条件(4)も満たす。
図11は、実施例2の対物レンズ10を有する光情報記録再生装置100において、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時に受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号を示す。ここで、フォーカスエラーを検出するための光学系は、実施例1と同様であるため表11を参照してここでの説明は省略する。図11に示すように、受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号は、崩れの小さい良好な波形を有している。つまり、実施例2の光情報記録再生装置100も、実施例1と同様に条件(3)や条件(4)を満たすことにより、フォーカスエラー信号の崩れを抑えることができ、フォーカシング機能の低下を防いでいる。以上が実施例2の光ピックアップ装置100の説明である。
実施例3の光情報記録再生装置100の対物レンズ10は、互いに異なる光路長差を与える二種類の段差で構成された位相シフト構造を第一面11に有している。実施例3の対物レンズ10の具体的な仕様は、表13に示されている。
Figure 0004828303
表13中、倍率の値が示すように、実施例3では、いずれの光ディスクD1〜D3使用時も、レーザー光は平行光束として対物レンズ10に入射する。表13に示す対物レンズ10を備える光情報記録再生装置100の各光ディスクD1〜D3使用時における具体的数値構成は、表14〜表16に示される。
Figure 0004828303

Figure 0004828303

Figure 0004828303
また、各カップリングレンズ3A〜3Cの第二面、および対物レンズ10の両面11、12は非球面である。第一の光ディスクD1、第二の光ディスクD2、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時における各非球面の形状を規定する円錐係数と非球面係数は、順に表17〜19に示される。
Figure 0004828303

Figure 0004828303

Figure 0004828303
上記の通り、実施例3の対物レンズ10は、互いに異なる光路長差を与える二種類の段差で構成された位相シフト構造を有する。該位相シフト構造は、第一と第二の二種類の光路差関数によって規定される。各光路差関数における係数P2iは表20に示される。また、各レーザー光の回折効率が最大になる回折次数mは表21に示される。表21に示すように、回折次数mは使用するレーザー光および光路差関数毎によって異なる値が設定されている。
Figure 0004828303

Figure 0004828303
実施例3の対物レンズ10の第一面11に形成される輪帯構造は具体的には表22に示される。表22は、実施例3の対物レンズ10の第一面11に形成される各輪帯の範囲と、第一のレーザー光が各輪帯を透過することにより与えられる光路長差を示した表である。各輪帯の範囲は、光軸からの高さhmin〜hmaxで表している。
Figure 0004828303
実施例3の光情報記録再生装置の対物レンズ10は、アッベ数νdが58で条件(1)を満たす。また表22に示すように、第一のレーザー光が第一の段差により付与される光路長差|ΔOPD1/λ1|は、3.21(つまり、N=1)であり、条件(17)および条件(18)を満たす。また、第三のレーザー光が第一の段差により付与される光路長差|ΔOPD1/λ3|は、1.58であり、条件(19)も満たす。
さらに、第一のレーザー光が第二の段差により付与される光路長差|ΔOPD2/λ1|は、1.94(つまり、N=1)であり、条件(27)および条件(28)を満たす。
ここで、実施例3の光情報記録再生装置100において、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時にフォーカスエラー信号を検出するための光学系の具体的数値構成を表23に示す。
Figure 0004828303
図12は、実施例3の光情報記録再生装置100において、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時に受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号を示す。図12に示すように、受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号は、崩れの小さい良好な波形を有している。つまり、実施例3の光情報記録再生装置100は、上記の各条件を満たすことにより、いずれの光ディスク使用時における回折効率も向上させている。また、特に第三の光ディスクD3使用時におけるフォーカスエラー信号の崩れを抑え、フォーカシング機能の低下を良好に防いでいる。
図13(A)〜(C)は、実施例3の光情報記録再生装置100において、第一から第三の各レーザー光を使用した時に発生する球面収差を表す収差図である。
図13(A)〜(C)に示すように、実施例3の対物レンズ10を搭載した光情報記録再生装置100は、各光ディスクD1〜D3のいずれに対する情報の記録または再生時であっても、球面収差を良好に補正し、記録面上には情報の記録または再生に好適なスポットを形成していることが分かる。以上が実施例3の光情報記録再生装置100の説明である。
実施例4の光情報記録再生装置100の対物レンズ10は、実施例3と同様に互いに異なる光路長差を与える二種類の段差で構成された位相シフト構造を第一面11に有している。実施例4の対物レンズ10の具体的な仕様は、表24に示されている。
Figure 0004828303
表24中、倍率の値が示すように、実施例4も実施例3と同様に、いずれの光ディスクD1〜D3使用時も、レーザー光は平行光束として対物レンズ10に入射する。表24に示す対物レンズ10を備える光情報記録再生装置100の各光ディスクD1〜D3使用時における具体的数値構成は、表25〜表27に示される。
Figure 0004828303

Figure 0004828303

Figure 0004828303
また、各カップリングレンズ3A〜3Cの第二面、および対物レンズ10の両面11、12は非球面である。各光ディスクD1〜D3使用時における各非球面の形状を規定する円錐係数と非球面係数は、順に表28〜30に示される。
Figure 0004828303

Figure 0004828303

Figure 0004828303
実施例4の対物レンズ10の第一面11に施される位相シフト構造は、第一と第二の二種類の光路差関数によって規定される。各光路差関数における係数P2iは表31に示される。また、各レーザー光の回折効率が最大になる回折次数mは表32に示される。
Figure 0004828303

Figure 0004828303
実施例4の対物レンズ10の第一面11に形成される位相シフト構造は具体的には表33に示される。表33は、実施例4の対物レンズ10の第一面11に形成される各輪帯の範囲と、第一のレーザー光が各輪帯を透過することにより与えられる光路長差を示した表である。各輪帯の範囲は、光軸からの高さhmin〜hmaxで表している。
Figure 0004828303
実施例4の光情報記録再生装置の対物レンズ10は、アッベ数νdが58で条件(1)を満たす。また表33に示すように、第一のレーザー光が第一の段差により付与される光路長差|ΔOPD1/λ1|は、5.21(つまり、N=2)であり、条件(17)および条件(20)を満たす。また、第三のレーザー光が第一の段差により付与される光路長差|ΔOPD1/λ3|は、2.56であり、条件(21)も満たす。
さらに、第一のレーザー光が第二の段差により付与される光路長差|ΔOPD2/λ1|は、2.00(つまり、N=1)であり、条件(27)および条件(28)を満たす。
ここで、実施例4の光情報記録再生装置100において、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時にフォーカスエラー信号を検出するための光学系の具体的数値構成を表34に示す。
Figure 0004828303
図14は、実施例4の光情報記録再生装置100において、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時に受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号を示す。図14に示すように、受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号は、崩れの小さい良好な波形を有している。つまり、実施例4の光情報記録再生装置100は、上記の各条件を満たすことにより、上述した実施例3の装置100と同様の効果を奏する。
図15(A)〜(C)は、実施例4の光情報記録再生装置100において、第一から第三の各レーザー光を使用した時に発生する球面収差を表す収差図である。図15(A)〜(C)に示すように、実施例4の対物レンズ10を搭載した光情報記録再生装置100は、各光ディスクD1〜D3のいずれに対する情報の記録または再生時であっても、球面収差を良好に補正し、記録面上には情報の記録または再生に好適なスポットを形成していることが分かる。以上が実施例4の光情報記録再生装置100の説明である。
実施例5は、第二実施形態の光情報記録再生装置100の具体的実施例である。実施例5の対物レンズ10の具体的な仕様は、表35に示されている。
Figure 0004828303
表35中、倍率の値が示すように、実施例5も実施例3や実施例4と同様に、いずれの光ディスクD1〜D3使用時も、レーザー光は平行光束として対物レンズ10に入射する。表35に示す対物レンズ10を備える光情報記録再生装置100の各光ディスクD1〜D3使用時における具体的数値構成は、表36〜表38に示される。
Figure 0004828303

Figure 0004828303

Figure 0004828303
なお、表35によれば、f1×NA1が1.950、f2×NA2が1.861となる。つまり、実施例5の光情報記録再生装置100は、条件(29)を満たす。そこで、実施例5の対物レンズ10の第一面11は、二種類の光路長変化量を付与する位相シフト構造を持つ第一領域と、第三のレーザー光に対する開口制限機能を有する位相シフト構造を持つ第二領域と、第二のレーザー光に対する開口制限機能を有する位相シフト構造を持つ第三領域が形成されている。第一面における各領域の範囲を光軸AXからの高さhで表すと、
第一領域…h≦1.590、
第二領域…1.590<h≦1.861、
第三領域…1.861<h≦1.950、となる。
各カップリングレンズ3A〜3Cの第二面、および対物レンズ10の両面11、12は非球面である。各光ディスクD1〜D3使用時における各非球面の形状を規定する円錐係数と非球面係数は、順に表39〜41に示される。なお、各表39〜41に示すように、対物レンズ10の第一面11の非球面形状は、第一から第三の各領域によって異なる。
Figure 0004828303

Figure 0004828303

Figure 0004828303
実施例5の対物レンズ10の第二面に施される位相シフト構造において、第一領域は、第一と第二の二種類の光路差関数によって規定される。第二領域と第三領域は、一種類の光路差関数によって規定される。各領域を規定する各光路差関数における係数P2iは表42に示される。また、各レーザー光の回折効率が最大になる回折次数mは表43に示される。
Figure 0004828303

Figure 0004828303
実施例5の対物レンズ10の第一面11に形成される位相シフト構造は具体的には表44に示される。表44は、実施例5の対物レンズ10の第一面11に形成される各輪帯の範囲と、第一のレーザー光が各輪帯を透過することにより与えられる光路長差を示した表である。各輪帯の範囲は、光軸からの高さhmin〜hmaxで表している。
Figure 0004828303
上記の通り、実施例5の対物レンズ10は、第一面11において領域毎に異なる位相シフト構造が形成されている。従って、表44に示すように、領域毎で第一のレーザー光が段差により付与される光路長差は異なる。
実施例5の光情報記録再生装置の対物レンズ10は、アッベ数νdが58で条件(1)を満たす。また表44に示すように、第一領域において、第一のレーザー光が第一の段差により付与される光路長差|ΔOPD1/λ1|は、3.21(つまり、N=1)であり、条件(17)および条件(18)を満たす。また第一領域において、第三のレーザー光が第一の段差により付与される光路長差|ΔOPD1/λ3|は、1.58であり、条件(19)も満たす。
さらに、第一のレーザー光が第二の段差により付与される光路長差|ΔOPD2/λ1|は、2.03(つまり、N=1)であり、条件(27)および条件(28)を満たす。
ここで、実施例5の光情報記録再生装置100において、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時にフォーカスエラー信号を検出するための光学系の具体的数値構成を表45に示す。
Figure 0004828303
図16は、実施例5の光情報記録再生装置100において、第三の光ディスクD3に対する情報の記録または再生時に受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号を示す。図16に示すように、受光部6Cで検出されるフォーカスエラー信号は、崩れの小さい良好な波形を有している。つまり、実施例5の光情報記録再生装置100は、上記の各条件を満たすことにより、上述した各実施例3、4の装置100と同様の効果を奏する。
図17(A)〜(C)は、実施例5の光情報記録再生装置100において、第一から第三の各レーザー光を使用した時に発生する球面収差を表す収差図である。図17(A)〜(C)に示すように、実施例5の対物レンズ10を搭載した光情報記録再生装置100は、各光ディスクD1〜D3のいずれに対して、平行光束を用いて情報の記録または再生を行っても、球面収差を良好に補正し、記録面上には情報の記録または再生に好適なスポットを形成していることが分かる。以上が実施例5の光情報記録再生装置100の説明である。
実施例6の対物レンズ10は、図1に示すような光情報記録再生装置100であって、特に実施例1の装置100に好適に使用される。実施例6の対物レンズ10は、一種類の光路長差を与える段差のみで構成された位相シフト構造を第一面11に有している。実施例6の対物レンズ10の具体的な仕様は、表46に示されている。また、該位相シフト構造において、各レーザー光の回折効率が最大になる回折次数mは、表47に示される。なお、表46より、実施例6の対物レンズ10は、条件(7)を満たす。
Figure 0004828303

Figure 0004828303
上記のように構成された実施例6の対物レンズ10は、第一のレーザー光が各輪帯間の段差により付与される光路長差|ΔOPD/λ1|は2.95(つまり、N=1)であり、条件(8)および条件(9)を満たす。また、第三のレーザー光が各輪帯間の段差により付与される光路長差|ΔOPD/λ3|は、1.37であり、条件(10)も満たす。
実施例7の対物レンズ10も、実施例6と同様に、図1に示すような光情報記録再生装置100であって、特に実施例1の装置100に好適に使用される。実施例7の対物レンズ10は、一種類の光路長差を与える段差のみで構成された位相シフト構造を第一面11に有している。実施例7の対物レンズ10の具体的な仕様は、表48に示されている。また、該位相シフト構造において、各レーザー光の回折効率が最大になる回折次数mは、表49に示される。なお、表48より、実施例7の対物レンズ10は、条件(7)を満たす。
Figure 0004828303

Figure 0004828303
上記のように構成された実施例7の対物レンズ10は、第一のレーザー光が各輪帯間の段差により付与される光路長差|ΔOPD/λ1|は5.17(つまり、N=2)であり、条件(8)および条件(11)を満たす。また、第三のレーザー光が各輪帯間の段差により付与される光路長差|ΔOPD/λ3|は、2.40であり、条件(12)も満たす。
次に、上記実施例1〜7の光情報記録再生装置100(対物レンズ10)と従来の対物レンズを持つ装置における、フォーカスエラー信号を比較する。比較例の対物レンズとしては、条件(3)の値が3.00となるように設定した位相シフト構造を想定する。表50に、各実施例1〜7における各光ディスクD1〜D3使用時の、各レーザー光の回折効率を示す。また、表51に比較例における各光ディスクD1〜D3使用時の、各レーザー光の回折効率を示す。また、図18に比較例におけるフォーカスエラー信号を示す。
Figure 0004828303

Figure 0004828303
表50において、第三の光ディスクD3使用時における正規回折次数光と不要回折次数光の次数は以下の通りである。すなわち、正規回折次数光、不要回折次数光の順に、実施例1〜3、実施例5は2次、1次、実施例4は3次、2次、実施例6は1次、2次、実施例7は2次、3次である。
表50、表51を比較すれば分かるように、比較例では第三の光ディスクD3使用時における正規回折次数光の回折効率が低く、不要回折次数光の回折効率が高い。そのため、図18に示すように、フォーカスエラー信号の波形に大きな崩れが生じ、フォーカシング機能が低下してしまう。
これに対し、各実施例1〜7では、表50に示すように第三の光ディスク利用時における正規回折次数光の回折効率が高く、不要回折次数光の回折効率が低い。さらに言えば、記録密度が高い光ディスクD1、D2に対しても良好に情報の記録または再生ができるよう、第一、第二のレーザー光の正規回折次数光も高い回折効率を確保している。つまり本発明に係る対物レンズあるいは該対物レンズを備える光情報記録再生装置によれば、フォーカスエラー信号の崩れを改善することができ、フォーカシング機能の低下を防ぐことができる。
以上が本発明の実施形態である。本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく以下に例示するように、様々な範囲で変形が可能である。
本発明に係る光情報記録再生装置用対物レンズは、各実施例の具体的数値構成に限定されるものではない。光情報記録再生装置の対物光学系を構成するレンズ等の光学素子の数は複数であっても良い。対物光学系が複数の光学素子から構成される場合、本発明に係る設計方法により設計される光学素子は、片側一面のみならず両面に位相シフト構造を設けることができる。
また、上記の各実施例で示したように、各光源1A〜1Cと光ディスクD1〜D3との間に配設されるカップリングレンズ3A〜3Cの焦点距離は、波長差による屈折率により異なる。ここで、本発明に係る光情報記録再生装置では、各光源1A〜1Cから照射されたレーザー光を共通のカップリングレンズを介して記録面に導く構成にしてもよい。該構成を採用する場合であって、第一のレーザー光を照射する光源1Aと第二のレーザー光を照射する光源1Bが同一基板上にある場合、つまり各光源がカップリングレンズから同距離にある場合、焦点距離の違いによって第一のレーザー光と第二のレーザー光の少なくとも一方は、収束光、もしくは発散光にならざるを得ない。この場合であっても、上記の条件(13)および条件(14)を満たすように結像倍率が極力小さくなるように対物レンズを配置すれば、上記各実施例と同様の効果を奏することができる。
本発明の第一実施形態の光情報記録再生装置の概略構成を表す模式図である。 本発明の第一実施形態の光情報記録再生装置を各光ディスク使用時における光路ごとに分けて示す図である。 本発明の第一および第二実施形態の対物レンズの、第一面に設けられた位相シフト構造の拡大図である。 本発明の第二実施形態の光情報記録再生装置を各光ディスク使用時における光路ごとに分けて示す図である。 条件(23)を満たす場合の効果を説明するための、回折効率を表すグラフである。 条件(24)を満たす場合の効果を説明するための、回折効率を表すグラフである。 条件(25)を満たす場合の効果を説明するための、回折効率を表すグラフである。 条件(26)を満たす場合の効果を説明するための、回折効率を表すグラフである。 実施例1の光情報記録再生装置の、第三のレーザー光を使用したときに検出されるフォーカスエラー信号を表す図である。 実施例1の光情報記録再生装置の、第一から第三の各レーザー光を使用した時に発生する球面収差を表す収差図である。 実施例2の光情報記録再生装置の、第三のレーザー光を使用したときに検出されるフォーカスエラー信号を表す図である。 実施例3の光情報記録再生装置の、第三のレーザー光を使用したときに検出されるフォーカスエラー信号を表す図である。 実施例3の光情報記録再生装置の、第一から第三の各レーザー光を使用した時に発生する球面収差を表す収差図である。 実施例4の光情報記録再生装置の、第三のレーザー光を使用したときに検出されるフォーカスエラー信号を表す図である。 実施例4の光情報記録再生装置の、第一から第三の各レーザー光を使用した時に発生する球面収差を表す収差図である。 実施例5の光情報記録再生装置の、第三のレーザー光を使用したときに検出されるフォーカスエラー信号を表す図である。 実施例5の光情報記録再生装置の、第一から第三の各レーザー光を使用した時に発生する球面収差を表す収差図である。 比較例の光情報記録再生装置の、第三のレーザー光を使用したときに検出されるフォーカスエラー信号を表す図である。
符号の説明
1A、1B、1C 光源
2A、2B、2C 回折格子
3A、3B、3C カップリングレンズ
41、42 ビームスプリッタ
5A、5B、5C ハーフミラー
6A、6B、6C 受光部
10 対物レンズ
D1〜D3 光ディスク
100 光情報記録再生装置

Claims (32)

  1. 記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の光束のいずれかを使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置に用いられる対物レンズであって、
    前記第一の波長をλ1(nm)、前記第二の波長をλ2(nm)、前記第三の波長をλ3(nm)とすると、
    λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
    であり、
    前記対物レンズは以下の条件(1)、
    40≦νd≦80・・・(1)
    ただし、νdは対物レンズの材料のアッベ数
    を満たす材料で作られており、
    少なくともいずれかの面に、同心状に複数に分割された屈折面で構成された位相シフト構造を有しており、
    前記位相シフト構造は、互いに隣り合う屈折面間において、入射光束に対して光路長差を付与する段差を有し、前記段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD(nm)、とすると、以下の条件(2)、
    2N+1.00<|ΔOPD/λ1|<2N+1.30・・・(2)
    ただし、Nは0以上の整数である
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  2. 請求項1に記載の光情報記録再生装置用対物レンズにおいて、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(3)、
    3.00<|ΔOPD/λ1|<3.30・・・(3)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  3. 請求項1または請求項2に記載の光情報記録再生装置用対物レンズにおいて、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(4)、
    1.50<|ΔOPD/λ3|<1.62・・・(4)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  4. 請求項1に記載の光情報記録再生装置用対物レンズにおいて、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(5)、
    5.00<|ΔOPD/λ1|<5.30・・・(5)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  5. 請求項1または請求項4に記載の光情報記録再生装置用対物レンズにおいて、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(6)、
    2.50<|ΔOPD/λ3|<2.58・・・(6)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  6. 記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の光束のいずれかを使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置に用いられる対物レンズであって、
    前記第一の波長をλ1(nm)、前記第二の波長をλ2(nm)、前記第三の波長をλ3(nm)とすると、
    λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
    であり、
    前記対物レンズは以下の条件(7)、
    20≦νd<40・・・(7)
    ただし、νdは対物レンズの材料のアッベ数
    を満たす材料で構成されており、
    少なくともいずれかの面に、同心状に複数に分割された屈折面で構成された位相シフト構造を有しており、
    前記位相シフト構造は、互いに隣り合う屈折面間において、入射光束に対して光路長差を付与する段差を有し、前記段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD(nm)とすると、以下の条件(8)、
    2N+0.70<|ΔOPD/λ1|<2N+1.25・・・(8)
    ただし、Nは0以上の整数である
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  7. 請求項6に記載の光情報記録再生装置用対物レンズにおいて、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(9)、
    2.70<|ΔOPD/λ1|<3.25・・・(9)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  8. 請求項6または請求項7に記載の光情報記録再生装置用対物レンズにおいて、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(10)、
    1.30<|ΔOPD/λ3|<1.47・・・(10)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  9. 請求項6に記載の光情報記録再生装置用対物レンズにおいて、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(11)、
    4.70<|ΔOPD/λ1|<5.25・・・(11)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  10. 請求項6または請求項9に記載の光情報記録再生装置用対物レンズにおいて、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(12)、
    2.27<|ΔOPD/λ3|<2.46・・・(12)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置用対物レンズ。
  11. 記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の光束のいずれかを使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置であって、
    前記第一の波長をλ1(nm)、前記第二の波長をλ2(nm)、前記第三の波長をλ3(nm)とすると、
    λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
    であり、
    以下の条件(1)、
    40≦νd≦80・・・(1)
    ただし、νdは対物レンズのアッベ数を表す
    を満たす材料で作られている対物レンズを備え、
    前記第一から第三の波長のうち最も短い第一の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第一の光ディスクの保護層厚をt1、前記第一の波長よりも長い第二の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第二の光ディスクの保護層厚をt2、前記第一から第三の波長のうち最も長い第三の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第三の光ディスクの保護層厚をt3、とすると、
    t1≒0.6mm
    t2≒0.6mm
    t3≒1.2mm
    であり、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA1、前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA2、前記第三の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA3、とすると、
    NA1>NA3かつNA2>NA3
    であり、
    前記第一の波長および前記第二の波長の光束は略平行光束が、前記第三の波長の光束は発散光が対物レンズに入射し、
    前記対物レンズは、少なくともいずれかの面の、前記第三の波長の光束を前記第三の光ディスクの記録面上に収束させる第一の領域に、同心状に複数に分割された屈折面で構成され、かつ互いに隣り合う屈折面間において入射光束に対して光路長差を付与する段差を有する位相シフト構造を有しており、
    前記位相シフト構造は、前記第一の領域において、前記段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD(nm)とすると、以下の条件(2)、
    2N+1.00<|ΔOPD/λ1|<2N+1.30・・・(2)
    ただし、Nは0以上の整数である
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  12. 請求項11に記載の光情報記録再生装置において、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生における、結像倍率をM1、焦点距離をf1、前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生における、結像倍率をM2、焦点距離をf2、前記第三の光ディスクに対する情報の記録または再生における、結像倍率をM3、焦点距離をf3とすると、以下の条件(13)から条件(15)、
    −0.02<f1×M1<0.02・・・(13)
    −0.02<f2×M2<0.02・・・(14)
    −0.12<f3×M3<−0.04・・・(15)
    を満たし、
    さらに、以下の条件(3)、
    3.00<|ΔOPD/λ1|<3.30・・・(3)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  13. 請求項11または請求項12に記載の光情報記録再生装置において、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(4)、
    1.50<|ΔOPD/λ3|<1.62・・・(4)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  14. 記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の光束のいずれかを使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置であって、
    前記第一の波長をλ1(nm)、前記第二の波長をλ2(nm)、前記第三の波長をλ3(nm)とすると、
    λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
    であり、
    以下の条件(7)、
    20≦νd<40・・・(7)
    ただし、νdは対物レンズのアッベ数を表す
    を満たす材料で作られている対物レンズを備え、
    前記第一の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第一の光ディスクの保護層厚をt1、前記第二の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第二の光ディスクの保護層厚をt2、前記第三の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第三の光ディスクの保護層厚をt3、とすると、
    t1≒0.6mm
    t2≒0.6mm
    t3≒1.2mm
    であり、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA1、前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA2、前記第三の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA3、とすると、
    NA1>NA3かつNA2>NA3
    であり、
    前記第一の波長の光束および前記第二の波長の光束は略平行光束が、前記第三の波長の光束は発散光が対物レンズに入射し、
    前記対物レンズは、少なくともいずれかの面の、前記第三の波長の光束を前記第三の光ディスクの記録面上に収束させる第一の領域に、同心状に複数に分割された屈折面で構成され、かつ互いに隣り合う屈折面間において入射光束に対して光路長差を付与する段差を有する位相シフト構造を有しており、
    前記位相シフト構造は、前記第一の領域において、前記段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD(nm)とすると、以下の条件(8)、
    2N+0.70<|ΔOPD/λ1|<2N+1.25・・・(8)
    ただし、Nは0以上の整数である
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  15. 請求項14に記載の光情報記録再生装置において、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生における、結像倍率をM1、焦点距離をf1、前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生における、結像倍率をM2、焦点距離をf2、前記第三の光ディスクに対する情報の記録または再生における、結像倍率をM3、焦点距離をf3とすると、以下の条件(13)、(14)および条件(16)、
    −0.02<f1×M1<0.02・・・(13)
    −0.02<f2×M2<0.02・・・(14)
    −0.38<f3×M3<−0.30・・・(16)
    を満たし、
    さらに、以下の条件(9)、
    2.70<|ΔOPD/λ1|<3.25・・・(9)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  16. 請求項14または請求項15に記載の光情報記録再生装置において、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(10)、
    1.30<|ΔOPD/λ3|<1.47・・・(10)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  17. 記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の略平行光束を使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置であって、
    前記第一の波長をλ1(nm)、前記第二の波長をλ2(nm)、前記第三の波長をλ3(nm)とすると、
    λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
    であり、
    以下の条件(1)、
    40≦νd≦80・・・(1)
    ただし、νdは対物レンズのアッベ数を表す
    を満たす材料で作られている対物レンズを備え、
    前記第一の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第一の光ディスクの保護層厚をt1、前記第二の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第二の光ディスクの保護層厚をt2、前記第三の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第三の光ディスクの保護層厚をt3、とすると、
    t1≒0.6mm
    t2≒0.6mm
    t3≒1.2mm
    であり、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA1、前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA2、前記第三の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA3、とすると、
    NA1>NA3かつNA2>NA3
    であり、
    前記対物レンズは、少なくともいずれかの面の、前記第三の波長の光束を第三の光ディスクの記録面上に収束させる第一の領域に、同心状に複数に分割された屈折面で構成され、かつ互いに隣り合う屈折面間において入射光束に対して光路長差を付与する段差を少なくとも二種類有する位相シフト構造を有しており、
    前記位相シフト構造は、前記第一の領域において、少なくとも一方の段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD1(nm)とすると、以下の条件(17)
    2N+1.00<|ΔOPD1/λ1|<2N+1.30・・・(17)
    ただし、Nは0以上の整数である
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  18. 請求項17に記載の光情報記録再生装置において、
    前記第一の領域において、前記位相シフト構造は、以下の条件(18)、
    3.00<|ΔOPD1/λ1|<3.30・・・(18)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  19. 請求項17または請求項18に記載の光情報記録再生装置において、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(19)、
    1.50<|ΔOPD1/λ3|<1.62・・・(19)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  20. 請求項17に記載の光情報記録再生装置において、
    前記第一の領域において、前記位相シフト構造は、以下の条件(20)、
    5.00<|ΔOPD1/λ1|<5.30・・・(20)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  21. 請求項17または請求項20に記載の光情報記録再生装置において、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(21)、
    2.50<|ΔOPD1/λ3|<2.58・・・(21)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  22. 記録密度の異なる少なくとも三種類の光ディスクに対して第一から第三の波長を持つ三種類の略平行光束を使うことにより、各光ディスクに対する情報の記録または再生を行う光情報記録再生装置であって、
    前記第一の波長をλ1(nm)、前記第二の波長をλ2(nm)、前記第三の波長をλ3(nm)とすると、
    λ1≒405nm、λ2≒660nm、λ3≒790nm
    であり、
    以下の条件(7)、
    20≦νd<40・・・(7)
    ただし、νdは対物レンズのアッベ数
    を満たす材料で作られている対物レンズを備え、
    前記第一の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第一の光ディスクの保護層厚をt1、前記第二の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第二の光ディスクの保護層厚をt2、前記第三の波長の光束を用いて情報の記録または再生が行われる第三の光ディスクの保護層厚をt3、とすると、
    t1≒0.6mm
    t2≒0.6mm
    t3≒1.2mm
    であり、
    前記第一の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA1、前記第二の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA2、前記第三の光ディスクに対する情報の記録または再生に必要な開口数をNA3、とすると、
    NA1>NA3かつNA2>NA3
    であり、
    前記対物レンズは、少なくともいずれかの面の、前記第三の波長の光束を第三の光ディスクの記録面上に収束させる第一の領域に、同心状に複数に分割された屈折面で構成され、かつ互いに隣り合う屈折面間において入射光束に対して光路長差を付与する段差を少なくとも二種類有する位相シフト構造を有しており、
    前記位相シフト構造は、前記第一の領域において、少なくとも一方の段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD1(nm)とすると、以下の条件(22)
    2N+0.70<|ΔOPD1/λ1|<2N+1.25・・・(22)
    ただし、Nは0以上の整数である
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  23. 請求項22に記載の光情報記録再生装置において、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(23)、
    2.70<|ΔOPD1/λ1|<3.25・・・(23)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  24. 請求項22または請求項23に記載の光情報記録再生装置において、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(24)、
    1.30<|ΔOPD1/λ3|<1.47・・・(24)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  25. 請求項22に記載の光情報記録再生装置において、
    前記前記位相シフト構造は、以下の条件(25)、
    4.70<|ΔOPD1/λ1|<5.25・・・(25)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  26. 請求項22または請求項25に記載の光情報記録再生装置において、
    前記位相シフト構造は、以下の条件(26)、
    2.27<|ΔOPD1/λ3|<2.46・・・(26)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  27. 請求項17から請求項26のいずれかに記載の光情報記録再生装置において、
    前記第一の領域における前記少なくとも一方の段差と異なる光路長差を付与する段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差をΔOPD2(nm)とすると、以下の条件(27)、
    2N−0.20<|ΔOPD2/λ1|<2N+0.20・・・(27)
    ただし、Nは0以上の整数である
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  28. 請求項27に記載の光情報記録再生装置において、
    さらに以下の条件(28)、
    1.80<|ΔOPD2/λ1|<2.20・・・(28)
    を満たすことを特徴とする光情報記録再生装置。
  29. 請求項11から請求項16のいずれかに記載の光情報記録再生装置において、
    前記位相シフト構造は、前記第一の領域の外側に、前記第一の波長の光束および前記第二の波長の光束をそれぞれ前記第一の光ディスクおよび前記第二の光ディスクの記録面上に収束し、かつ前記第三の波長の光束の収束には寄与しない第二の領域を有し、
    前記第二の領域は、互いに隣り合う屈折面の境界において、入射光束に対して少なくとも一種類の光路長差を付与する段差を有し、
    前記第二の領域の段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差の絶対値のうち少なくとも一種類は、前記第一の領域の段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差とは異なることを特徴とする光情報記録再生装置。
  30. 請求項27または請求項28に記載の光情報記録再生装置において、
    前記位相シフト構造は、前記第一の領域の外側に、前記第一の波長の光束および前記第二の波長の光束をそれぞれ前記第一の光ディスクおよび前記第二の光ディスクの記録面上に収束し、かつ前記第三の波長の光束の収束には寄与しない第二の領域を有し、
    前記第二の領域は、互いに隣り合う屈折面の境界において、入射光束に対して少なくとも一種類の光路長差を付与する段差を有し、
    前記第二の領域の段差が前記第一の波長の光束に対して付与する光路長差の絶対値のうち少なくとも一種類は、前記|ΔOPD2/λ1|とは異なることを特徴とする光情報記録再生装置。
  31. 請求項29または請求項30に記載の光情報記録再生装置において、
    以下の条件(29)、
    f1×NA1>f2×NA2・・・(29)
    を満たし、
    前記位相シフト構造は、前記第二の領域の外側に、前記第一の波長の光束のみを収束させ、前記第二および第三の波長の光束の収束には寄与しない第三の領域を有し、
    前記第三の領域は、互いに隣り合う屈折面の境界において、入射光束に対して少なくとも一種類の光路長差を付与する段差を有し、
    前記第三の領域の段差により付与される前記少なくとも一種類の光路長差の絶対値は、前記第二の領域の段差により付与される前記少なくとも一種類の光路長差の絶対値と異なることを特徴とする光情報記録再生装置。
  32. 請求項29または請求項30に記載の光情報記録再生装置において、
    以下の条件(30)、
    f1×NA1<f2×NA2・・・(30)
    を満たし、
    前記位相シフト構造は、前記第二の領域の外側に、前記第二の波長の光束のみを収束させ、前記第一および第三の波長の光束の収束には寄与しない第三の領域を有し、
    前記第三の領域は、互いに隣り合う屈折面の境界において、入射光束に対して少なくとも一種類の光路長差を付与する段差を有し、
    前記第三の領域の段差により付与される前記少なくとも一種類の光路長差の絶対値は、前記第二の領域の段差により付与される前記少なくとも一種類の光路長差の絶対値とは異なることを特徴とする光情報記録再生装置。
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