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JP4800959B2 - 糖尿病及び過食症を治療するためのglp−1ペプチド及び短時間作用型インスリンペプチドを含む、非経口投与用の可溶性医薬組成物 - Google Patents

糖尿病及び過食症を治療するためのglp−1ペプチド及び短時間作用型インスリンペプチドを含む、非経口投与用の可溶性医薬組成物 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は医薬組成物の分野に関する。より具体的には、本発明は医薬的に活性な2つの異なるペプチドを含む医薬組成物に関する。
発明の背景
糖尿病は、グルコースの利用能が部分的または完全に失われている代謝障害である。全人口の約5%が糖尿病を患っており、この病気は流行病にまで広がっている。1920年代にインスリンが導入されて以来、糖尿病の治療を改良するための努力が続けられている。糖尿病患者は数十年間にわたり長期治療を受けるので、安全であり、便利であり且つ生活の質を向上させるインスリン製剤が特に要望されている。
糖尿病の治療において、多種類のインスリン製剤、例えばレギュラーインスリン、イソフェンインスリン(NPHと呼ぶ)、インスリン亜鉛懸濁液(例えば、セミレンテ(登録商標)、レンテ(登録商標)及びウルトラレンテ(登録商標))及び二相性イソフェンインスリンが示唆され、使用されている。市販されているインスリン製剤の幾つかは作用が即効性であるという特徴を有し、他の製剤は比較的遅効性であるが作用時間は多少長い。即効性インスリン製剤は通常インスリン溶液であり、遅効性インスリン製剤は亜鉛塩及び/またはプロタミンを添加すると沈殿する結晶質及び/または非晶質形態のインスリンを含有する懸濁液であり得る。
通常、インスリン製剤は皮下注射により投与されている。患者にとって重要なことは、注射からの時間の関数としてのグルコース代謝に対するインスリンの作用であるインスリン製剤の作用プロファイルである。このプロファイル中、特に開始時間、最大値及び全作用時間が重要である。患者は異なる作用プロファイルを有する各種インスリン製剤を望んでおり、且つ必要としている。
ヒトインスリンは2つのポリペプチド鎖、すなわち21個のアミノ酸残基を含有する所謂A鎖及び30個のアミノ酸を含有する所謂B鎖から構成されている。A鎖及びB鎖は2つのシスチンジスルフィド架橋により相互接続している。他の多くの種に由来するインスリンは同様の構造を有しているが、同一位置に同一アミノ酸残基を含んでいないことがある。最近10年で、多数のヒトインスリンアナログが開発された。これらは特定の作用プロファイル、すなわち即効性または持続作用のために設計されている。
糖尿病の治療において非常に重要となると予想される別のペプチドは、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)である。ヒトGLP−1は、なかんずく遠位回腸、膵臓及び脳中のL細胞において合成される、プレプログルカゴンに由来する37アミノ酸残基ペプチドである。GLP−1は、グルコース代謝、胃腸分泌及び代謝において調節機能を有する重要な消化管ホルモンである。GLP−1は、グルコース依存的にインスリン分泌を刺激し、インスリン生合成を刺激し、β細胞レスキューを促進し、グルカゴン分泌、胃排出及び摂食を抑制する。このペプチドの断片及びアナログを指すために簡単なシステムを使用している。例えば、Gly−GLP−1(7−37)は、天然アミノ酸残基の8位(Ala)をGlyで置換することにより、GLP−1(7−37)から形式的に誘導されたGLP−1(7−37)のアナログを示す。また、Lys34(Nε−テトラデカノイル)−GLP−1(7−37)は、34位のLys残基のε−アミノ基がテトラデカノイル化されているGLP−1(7−37)を示す。国際特許出願公開第98/08871号パンフレット及び国際特許出願公開第99/43706号パンフレットは、親油性置換基を有するGLP−1アナログの安定な誘導体を開示している。これらのGLP−1アナログの安定な誘導体は、対応のGLP−1アナログに比して長い作用プロファイルを有している。
2型糖尿病患者は世界中で急速に増えつつあるので、より有効な薬物を簡単に投与することが非常に要望されている。血糖を非常に効果的に且つ安全に下げるためにGLP−1の複合効果が期待される。しかしながら、一部の患者でしか、主食と一緒の非常に少量のインスリンの効果が得られないことがあり得る。インスリンペプチド及びGLP−1ペプチドを含む配合製剤は、2つの薬物の比が一定で非常に効率的な治療であり、同一患者に投与するときの注射の量が少なくてすむであろう。食事と一緒には低量のインスリンしか与えられないが、製剤中のGLP−1対応物が残りの日中および夜間の糖をコントロールし、GLP−1は低血糖を誘発しないので、非常に安全な治療でもあり得る。
よって、1つの配合製剤で食事関連インスリン及びGLP−1ペプチドを含む安定な医薬組成物が強く要望されている。
発明の概要
本発明の1目的は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び任意に等張剤を含む非経口投与用の可溶性医薬組成物を提供することである。本発明の一つの実施形態では、前記医薬組成物または前記医薬組成物の復元溶液のpHは約7.0〜約9.0である。本発明の別の実施形態では、前記医薬組成物または前記医薬組成物の復元溶液のpHは約7.0〜約8.0である。
本発明の別の目的は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び任意に等張剤を含む可溶性医薬組成物を有効量非経口投与することを含む高血糖症の治療方法を提供することである。
定義
以下は、本明細書中で使用される用語の詳細な定義である。
本明細書中で使用される用語“有効量”は、治療なしと比較して患者の治療が有効であるのに十分な用量を意味する。
本明細書中で使用される用語“薬剤”は、医薬活性化合物を患者に投与するのに適した医薬組成物を意味する。
本明細書中で使用される用語“医薬組成物”は、活性化合物またはその塩と共に医薬用賦形剤、例えば緩衝剤、保存剤及び張性調節剤を含む製品を意味し、この医薬組成物は該医薬組成物をヒトに投与することにより病気または障害を治療または予防、或いはその重篤度を緩和するのに有用である。よって、医薬組成物は当業界で医薬調製物としても公知である。
本明細書中で使用される用語“可溶性医薬組成物”は、配合組成物中に実質的に可溶性のインスリン分泌性ペプチド及び配合組成物中に実質的に可溶性の食事関連インスリンペプチドを意味する。よって、予め溶解させた可溶性医薬組成物は実質的に可溶性であり、復元させようとする可溶性医薬組成物は処方復元液中に溶解させると実質的に可溶性である。復元させようとする医薬組成物のpHは室温において処方復元液中で復元することにより生ずる復元組成物について測定したpH値であると理解されたい。
本明細書中で使用される用語“医薬的に許容され得る”は、通常の医薬適用に適していること、すなわち患者等に副作用を生じさせないことを意味する。
本明細書中で使用される用語“緩衝剤”は、さもなければ化学反応のために生ずるであろう組成物のpHが経時的に変化する傾向を抑える医薬組成物中の化合物を指す。緩衝剤には、リン酸ナトリウム、TRIS、グリシン及びクエン酸ナトリウムのような化学物質が含まれる。
本明細書中で使用される用語“保存剤”は、微生物活性(増殖及び代謝)を防ぐまたは遅らすために医薬組成物に添加される化合物を指す。医薬的に許容され得る保存剤の例は、フェノール、m−クレゾール及びフェノールとm−クレゾールの混合物である。
本明細書中で使用される用語“等張剤”は、ヒト血漿の浸透圧力に近づくように医薬組成物の浸透圧を調節するのに役立つ医薬組成物中の化合物を指す。等張剤には、NaCl、グリセロール、マンニトール等が含まれる。
本明細書中で使用される用語“安定化剤”は、ペプチドを安定化させるため、すなわちペプチド含有医薬組成物の保存期間及び/または使用時間を延長させるために前記医薬組成物に添加される化学物質を指す。医薬組成物中に使用される安定化剤の例は、L−グリシン、L−ヒスチジン、アルギニン、ポリエチレングリコール及びカルボキシメチルセルロースである。
本明細書中で使用される用語“病気の治療”は、病気、状態または障害を有する患者の管理及びケアを意味する。治療の目的は病気、状態または障害と戦うことである。治療は、病気、状態または障害を解消またはコントロールするため及び病気、状態または障害に関連する症状または合併症を緩和するための活性化合物の投与を含む。
本明細書中で使用される用語“病気の予防”は、病気の発症前に発病するリスクのある人の管理及びケアとして定義される。予防の目的は、病気、状態または障害の発現と戦うことであり、症状または合併症の発現を防ぐまたは遅らすため、関連する病気、状態または障害の発現を防ぐまたは遅らすための活性化合物の投与を含む。
本明細書中で使用される用語“インスリンペプチド”は、ヒトインスリンまたは化学的に修飾されているヒトインスリン(例えば、そのアナログまたは誘導体)であるペプチドを意味する。
本明細書中で使用される用語“ヒトインスリン”は、構造及び特性が公知のヒトホルモンを意味する。ヒトインスリンは、システイン残基間のジスルフィド架橋により連結されている2本のポリペプチド鎖、すなわちA鎖及びB鎖を有する。A鎖は21アミノ酸ペプチドであり、B鎖は30アミノ酸ペプチドであり、2本の鎖は3個のジスルフィド架橋により連結されている。第1の架橋はA鎖の6位と11位のシステイン間、第2の架橋はA鎖の7位のシステインとB鎖の7位のシステイン間、第3の架橋はA鎖の20位のシステインとB鎖の19位のシステイン間にある。
ペプチドを言及して本明細書中で使用される用語“アナログ”は、ペプチドの1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基で置換されている及び/または1つ以上のアミノ酸残基がペプチドから欠失している及び/または1つ以上のアミノ酸残基がペプチドに付加されている修飾ペプチドを意味する。アミノ酸残基の付加または欠失はペプチドのN末端及び/またはペプチドのC末端で起こり得る。
親ペプチドに関連して本明細書中で使用される用語“誘導体”は、親タンパク質またはそのアナログ中に存在しない置換基が少なくとも1個ある化学的に修飾されている親タンパク質またはそのアナログ、すなわち共有的に修飾されている親タンパク質を意味する。典型的な修飾はアミド、炭水化物、アルキル基、アシル基、エステル、PEG化等である。ヒトインスリンの誘導体の例はスレオニンメチルエステルB30ヒトインスリン及びNεB29−テトラデカノイルデス(B30)ヒトインスリンである。
本明細書中で使用される用語“食事関連インスリンペプチド”は、糖尿病の標準モデルにおいて8時間未満の時間作用を有するインスリンペプチドを意味する。好ましくは、食事関連ヒトインスリンは約5時間未満の時間作用を有する。好ましくは、食事関連インスリンは0〜約4時間の時間作用を有する。好ましくは、食事関連インスリンはアクトラピッド(登録商標)、ノボログ(登録商標)及びヒュマログ(登録商標)の市販医薬組成物で見られるのと同程度の時間作用を有する。インスリンの時間作用に関連する用語“約”は±30分を意味する。
本明細書中で使用される用語“GLP−1化合物”は、GLP−1(7−37)(配列番号1)、そのインスリン分泌性アナログ及びそのインスリン分泌性誘導体を意味する。GLP−1アナログの非限定例はGLP−1(7−36)アミド、Arg34−GLP−1(7−37)、Gly−GLP−1(7−37)、Val−GLP−1(7−36)−アミド及びValAsp22−GLP−1(7−37)である。GLP−1誘導体の非限定例はデスアミノ−His,Arg26,Lys34(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)、デスアミノ−His,Arg26,Lys34(Nε−オクタノイル)−GLP−1(7−37)、Arg2634,Lys38(Nε−(ω−カルボキシペンタデカノイル))−GLP−1(7−38)、Arg2634,Lys36(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−36)及びArg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)である。
本明細書中で使用される用語“安定なGLP−1化合物”は、化学的に修飾されているGLP−1(7−37)、すなわち以下の方法により測定してヒトにおいて少なくとも10時間のインビボ血漿消失半減期を示すアナログまたは誘導体を意味する。ヒトにおけるペプチドの血漿消失半減期の測定方法は次の通りである。化合物を等張性緩衝液(pH7.4)、PBSまたは他の適当な緩衝剤中に溶解させる。用量を末梢に、好ましくは腹部及び上部大腿に注射する。活性化合物を測定するために血液サンプルを頻繁に、末端消失部分をカバーするのに十分な期間(例えば、投与前、投与から1、2、3、4、5、6、7、8、10、12、24(2日目)、36(2日目)、48(3日目)、60(3日目)、72(4日目)及び84(4日目)時間後)採取する。活性化合物の濃度はWilkenら, Diabetologia, 43(51):A143(2000)に記載されているように測定する。各被験者についての濃度−時間データから誘導薬物動態学的パラメーターを市販ソフトウェアWinNonlinバージョン2.1(米国ノースカロライナ州ケアリーに所在のPharsight)を用いて計算する。末端消失速度定数は濃度−時間曲線の末端対数−線形部分に対する対数−直線回帰により推定し、消失半減期を計算するために使用される。
本明細書中で使用される用語“ジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護GLP−1化合物”は、天然GLP−1アゴニストのGLP−1(7−37)に比して血漿ペプチダーゼのジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPP−IV)に対してより耐性であるGLP−1化合物を意味する。ジペプチジルアミノペプチダーゼIVによる分解に対するGLP−1化合物の耐性は以下の分解アッセイにより調べることができる。GLP−1化合物のアリコート(5ナノモル)を0.1M トリエチルアミン−HCl緩衝剤(pH7.4)(100μl)中で5mUの酵素活性に相当する1μlの精製ジペプチジルアミノペプチダーゼIVと一緒に37℃で10〜180分間インキュベートする。10%トリフルオロ酢酸(5μl)を添加して酵素反応を停止させ、ペプチド分解産物を分離し、HPLC分析により定量する。この分析を実施するための1方法は以下の通りである。混合物をSiegelら, Regul.Pept., 79:93-102(1999)及びMentleinら, Eur.J.Biochem., 214:829-35(1993)に従ってVydac C18広孔(30nmの孔、5μmの粒子)250×4.6mmカラムにかけ、0.1%トリフルオロ酢酸中アセトニトリルの直線段階勾配(3分間0%アセトニトリル、17分間0〜24%アセトニトリル、1分間24〜48%アセトニトリル)で1ml/分の流速で溶離させる。ペプチド及びその分解産物を220nm(ペプチド結合)または280nm(芳香族アミノ酸)での吸光度によりモニターし、このピーク面積を標準物質のピーク面積に対して積分することにより定量する。GLP−1化合物のジペプチジルアミノペプチダーゼIVによる加水分解速度をGLP−1化合物の10%未満しか加水分解されないインキュベーション時間で推定する。
ペプチドまたは化合物を言及して本明細書中で使用される用語“インスリン分泌性”は、高い血漿糖レベルに応答してインスリンの分泌を刺激する能力を意味する。インスリン分泌性ペプチド及び化合物はGLP−1受容体のアゴニストである。化合物のインスリン分泌性は当業界で公知のインビトロまたはインビボアッセイにより調べることができる。ペプチドのような化合物のインスリン分泌性を調べるためには以下のインビトロアッセイが使用され得る。インスリン分泌性化合物は、好ましくは5nM未満、より好ましくは500pM未満のEC50値を示す。
クローン化ヒトGLP−1受容体(BHK 467−12A)を発現する子ハムスター腎臓(BHK)細胞を100IU/mlのペニシリン、100μl/mlのストレプトマイシン、10%ウシ胎児血清及び1mg/mlのジェネテシンG−418(Life Technologies)を添加したDMEM培地において増殖させる。血漿膜は、緩衝剤(更に5mg/mlのロイペプチン(Sigma)、5mg/Lのペプスタチン(Sigma)、100mg/Lのバシトラシン(Sigma)及び16mg/Lのアプロチニン(カリフォルニア州ラホヤに所在のCalbiochem-Novabiochem)を含有する10mM トリス−HCl、30mM NaCl及び1mM ジチオトレイトール,pH7.4)中でホモジナイズすることにより作成する。ホモジネートを41%w/v スクロース層の上で遠心させた。2層間の白色帯を緩衝剤で希釈し、遠心した。血漿膜は使用するまで−80℃で保存した。
機能的受容体アッセイは、インスリン分泌性ペプチドまたはインスリン分泌性化合物による刺激に対する応答としてcAMPを測定することにより実施する。インキュベーションは、総容量が140mlの96ウェル微量測定プレートにおいて50mM トリス−HCl、1mM EGTA、1.5mM MgSO、1.7mM ATP、20mM GTP、2mM 3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)、0.01%w/v トゥイーン20,pH7.4の最終濃度で実施する。化合物を緩衝剤中に溶解し、希釈する。実験毎にGTPを新たに作成する。各ウェルに膜2.5μgを添加し、混合物を振とうしながら室温、暗所で90分間インキュベートする。0.5M HCl(25ml)を添加して反応を停止する。形成されたcAMPをシンチレーションプロキシミティアッセイ(RPA 542,英国アマシャム)により測定する。化合物について用量−応答曲線をプロットし、GraphPad Prismソフトウェアを用いてEC50値を算出する。
本明細書中で使用される用語“インスリン分泌性化合物のプロドラッグ”は、患者に投与後インスリン分泌性化合物に変換される化学的に修飾されている化合物を意味する。前記プロドラッグは通常インスリン分泌性化合物のアミノ酸延長形態またはエステルである。
本明細書中で使用される用語“エキセンディン−4化合物”は、エキセンディン−4(1−39)(配列番号2)、そのインスリン分泌性断片、そのインスリン分泌性アナログ及びそのインスリン分泌性誘導体と定義される。エキセンディン−4のインスリン分泌性断片は、全配列がエキセンディン−4(配列番号2)の配列中に見られ得、少なくとも1つの末端アミノ酸が欠失しているインスリン分泌性ペプチドである。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性断片の例はエキセンディン−4(1−38)及びエキセンディン−4(1−31)である。化合物のインスリン分泌性は当業界で公知のインビボまたはインビトロアッセイにより調べることができる。例えば、化合物を動物に投与し、インスリン濃度を経時的にモニターしてもよい。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性アナログは、前記アナログがインスリン分泌性であるかまたはインスリン分泌性化合物のプロドラッグである条件で、1つ以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基で置換されている及び/または1つ以上のアミノ酸残基が欠失している及び/または1つ以上のアミノ酸残基が付加されている分子を指す。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性アナログの例は、2位及び3位のアミノ酸残基がそれぞれセリン及びアスパラギン酸で置換されているSerAsp−エキセンディン−4(1−39)である(この特定アナログは当業界でエキセンディン−3としても公知)。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性誘導体及びそのアナログは、当業者がこれらのペプチドの誘導体であると見なすもの、すなわち前記誘導体がインスリン分泌性であるかまたはインスリン分泌性化合物のプロドラッグである条件で親ペプチド分子中に存在しない置換基を少なくとも1個有しているものである。置換基の例はアミド、炭水化物、アルキル基、エステル及び親油性置換基である。エキセンディン−4(1−39)のインスリン分泌性誘導体及びそのアナログの例はTyr31−エキセンディン−4(1−31)−アミドである。
本明細書中で使用される用語“安定なエキセンディン−4化合物”は化学的に修飾されたエキセンディン−4(1−39)、すなわち“安定なGLP−1化合物”の定義中で説明した方法により測定してヒトにおいて少なくとも10時間のインビボ血漿消失半減期を示すアナログまたは誘導体を意味する。
用語“ジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護エキセンディン−4化合物”は、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護GLP−1化合物の定義中で説明したアッセイにより測定してエキセンディン−4(配列番号2)よりも血漿ペプチダーゼのジペプチジルアミノペプチダーゼIV(DPP−IV)に対してより耐性であるエキセンディン−4化合物を意味する。
本明細書中で使用される用語“等電点”は、ペプチドのようなマクロ分子の全正味電荷がゼロであるpH値を意味する。ペプチドの場合、幾つかの帯電基が存在していてもよいが、等電点ではこれら全ての電荷の合計はゼロである。等電点を越えるpH値ではペプチドの全正味電荷は負であり、等電点以下のpH値ではペプチドの全正味電荷は正である。
医薬組成物に言及して本明細書中で使用される用語“復元された”は、活性医薬成分を含む固体材料に水を添加することにより形成される水性組成物を意味する。復元用医薬組成物は許容できる半減期を有する液体組成物を生成できない場合に適用される。復元された医薬組成物の例は、凍結乾燥組成物に水を添加すると生ずる溶液である。この溶液は多くの場合非経口投与用であり、よって固体材料を復元するために通常注射用蒸留水が使用される。
医薬組成物中のペプチドの濃度に関連して本明細書中で使用される用語“約”は±10%を意味する。よって、濃度“約5mg/mlのインスリン”は4.5mg/mlのインスリン〜5.5mg/mlのインスリンの濃度を意味する。
発明の説明
一つの側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び任意に等張剤を含む非経口投与用医薬組成物に関する。本発明の実施形態では、前記医薬組成物または前記医薬組成物の復元溶液のpHは7.0〜9.0である。本発明の実施形態では、前記医薬組成物または前記医薬組成物の復元溶液のpHは7.0〜8.0である。本発明の別の実施形態では、前記組成物は溶液である。本発明の別の実施形態では、前記医薬組成物は固体である。本発明の別の実施形態では、前記医薬組成物は水溶液(例えば、緩衝剤または注射用蒸留水)で復元される。
本発明の別の実施形態では、前記医薬組成物は注射または注入による投与に適している。本発明の別の実施形態では、前記医薬組成物は皮下投与に適している。本発明の別の実施形態では、前記医薬組成物は筋肉内投与に適している。本発明の別の実施形態では、前記医薬組成物は静脈内投与に適している。
更なる実施形態で、本発明は、食事関連インスリンペプチドが4時間未満の時間作用を有する医薬組成物に関する。別の側面において、本発明は、前記インスリンペプチドがヒトインスリン、ヒトインスリンのアナログ、ヒトインスリンの誘導体またはヒトインスリンアナログの誘導体である医薬組成物に関する。本発明の1実施形態では、前記インスリンペプチドはヒトインスリンである。
更なる側面において、本発明は、インスリンペプチドがヒトインスリンアナログである医薬組成物に関する。本発明の1実施形態では、前記ヒトインスリンアナログはAspB28−ヒトインスリンである。本発明の別の実施形態では、前記ヒトインスリンアナログはLysB28,ProB29−ヒトインスリンである。本発明の別の実施形態では、前記ヒトインスリンアナログはLysB3,GluB29−ヒトインスリンである。本発明の別の実施形態では、前記ヒトインスリンアナログはデス(B30)ヒトインスリンである。本発明の別の実施形態では、前記インスリンペプチドはヒトインスリンアナログの誘導体である。本発明の別の実施形態では、医薬組成物中の食事関連インスリンペプチドの濃度は約1.6〜約5.6mg/ml、約2.6〜約4.6mg/mlまたは約3.2〜約4.0mg/mlである。本発明の別の実施形態では、医薬組成物中の食事関連インスリンペプチドの濃度は約1〜約10mg/ml、約2.5〜約8.75mg/ml、約3.5〜約8.75mg/mlまたは約5〜約8.75mg/mlである。
本発明の別の実施形態では、医薬組成物は2つの異なるインスリンペプチドを含む。
別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチドがGLP−1(7−37)(配列番号1)、GLP−1(7−37)アナログ、GLP−1(7−37)の誘導体またはGLP−1(7−37)アナログの誘導体である医薬組成物に関する。本発明の別の実施形態では、GLP−1(7−37)アナログはArg34−GLP−1(7−37)、Gly−GLP−1(7−36)−アミド、Gly−GLP−1(7−37)、Val−GLP−1(7−36)−アミド、Val−GLP−1(7−37)、ValAsp22−GLP−1(7−36)−アミド、ValAsp22−GLP−1(7−37)、ValGlu22−GLP−1(7−36)−アミド、ValGlu22−GLP−1(7−37)、ValLys22−GLP−1(7−36)−アミド、ValLys22−GLP−1(7−37)、ValArg22−GLP−1(7−36)−アミド、ValArg22−GLP−1(7−37)、ValHis22−GLP−1(7−36)−アミド、ValHis22−GLP−1(7−37)、ValTrp19Glu22−GLP−1(7−37)、ValGlu22Val25−GLP−1(7−37)、ValTyr16Glu22−GLP−1(7−37)、ValTrp16Glu22−GLP−1(7−37)、ValLeu16Glu22−GLP−1(7−37)、ValTyr18Glu22−GLP−1(7−37)、ValGlu22His37−GLP−1(7−37)、ValGlu22Ile33−GLP−1(7−37)、ValTrp16Glu22Val25Ile33−GLP−1(7−37)、ValTrp16Glu22Ile33−GLP−1(7−37)、ValGlu22Val25Ile33−GLP−1(7−37)、ValTrp16Glu22Val25−GLP−1(7−37)、そのアナログ及びこれらの誘導体からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドは22位にGlu残基を有する。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドは8位にL−ヒスチジン残基を有する。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドは8位にVal残基を有する。本発明の別の実施形態では、GLP−1(7−37)アナログの誘導体はGLP−1(7−36)−アミドである。
別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチドがリシン残基、例えば1個のリシンを有し、前記リシンのε−アミノ基に親油性置換基が任意にスペーサーを介して結合しているGLP−1(7−37)の誘導体またはGLP−1(7−37)アナログの誘導体である医薬組成物に関する。本発明の1実施形態では、前記親油性置換基は8〜40個の炭素原子、好ましくは8〜24個、例えば12〜18個の炭素原子を有する。本発明の別の実施形態では、スペーサーが存在し、且つ該スペーサーがアミノ酸、例えばβ−Ala、L−Glu、アミノブチロイルから選択される。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドはジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護GLP−1化合物である。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドは血漿安定性のGLP−1化合物である。本発明の別の実施形態では、GLP−1(7−37)アナログの誘導体はArg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)である。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドは27〜43アミノ酸残基、好ましくは28〜38アミノ酸残基、更に好ましくは30〜34アミノ酸残基を有する。本発明の別の実施形態では、医薬組成物中のインスリン分泌性ペプチドの濃度は約1〜約25mg/ml、約2〜約15mg/ml、約5〜約12mg/mlまたは約8〜約11mg/mlである。本発明の別の実施形態では、医薬組成物中のインスリン分泌性ペプチドの濃度は約5〜約7.5mg/mlである。
別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチドがエキセンディン−4(配列番号2)、エキセンディン−4アナログ、エキセンディン−4の誘導体またはエキセンディン−4アナログの誘導体である医薬組成物に関する。本発明の1実施形態では、インスリン分泌性ペプチドはエキセンディン−4(配列番号2)である。本発明の別の実施形態では、エキセンディン−4アナログはエキセンディン−3またはZP−10(HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPSKKKKKK−NH,配列番号3)である。本発明の別の実施形態では、エキセンディン−4アナログの誘導体はアシル化エキセンディン−4アナログまたはペグ化エキセンディン−4アナログである。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドがリシン残基、例えば1個のリシンを有し、前記リシンのε−アミノ基に親油性置換基が任意にスペーサーを介して結合しているエキセンディン−4の誘導体またはエキセンディン−4アナログの誘導体である。本発明の別の実施形態では、前記親油性置換基は8〜40個の炭素原子、好ましくは8〜24個、例えば12〜18個の炭素原子を有している。本発明の別の実施形態では、スペーサーが存在し、且つ該スペーサーがアミノ酸、例えばβ−Ala、L−Glu、アミノブチロイルから選択される。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドはジペプチジルアミノペプチダーゼIV保護エキセンディン−4化合物である。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドは血漿安定性のエキセンディン−4化合物である。本発明の別の実施形態では、インスリン分泌性ペプチドは30〜48アミノ酸残基、33〜45アミノ酸残基、好ましくは35〜43アミノ酸残基、更に好ましくは37〜41アミノ酸残基を有する。本発明の別の実施形態では、医薬組成物中のインスリン分泌性ペプチドの濃度は約5μg/ml〜約10mg/ml、約5μg/ml〜約5mg/ml、約0.l〜約3mg/mlまたは約0.2〜約1mg/mlである。
別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチドの等電点が3.0〜7.0、4.0〜6.0、好ましくは4.2〜5.5、更に好ましくは4.3〜5.2である医薬組成物に関する。
一つの側面において、本発明は更に亜鉛を含む医薬組成物に関する。本発明の1実施形態では、亜鉛/インスリンペプチドのモル比は1/6〜1/2(モル/モル)、好ましくは3/12〜5/12(モル/モル)である。
別の側面において、本発明は、食事関連インスリンペプチドがヒトインスリンであり、インスリン分泌性ペプチドがArg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)である医薬組成物に関する。本発明の1実施形態では、Arg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)の濃度は約1〜約25mg/mlであり、ヒトインスリンの濃度は約3.2〜約4.0mg/mlである。本発明の別の実施形態では、Arg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)の濃度は約5〜約15mg/mlであり、ヒトインスリンの濃度は約3.2〜約4.0mg/mlである。
別の側面において、本発明は、インスリンペプチドがAspB28−ヒトインスリンであり、インスリン分泌性ペプチドがArg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)である医薬組成物に関する。本発明の1実施形態では、Arg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)の濃度は約1〜約25mg/mlであり、AspB28−ヒトインスリンの濃度は約3.2〜約4.0mg/mlである。本発明の別の実施形態では、Arg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)の濃度は約5〜約15mg/mlであり、AspB28−ヒトインスリンの濃度は約3.2〜約4.0mg/mlである。本発明の別の実施形態では、Arg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)の濃度は約1〜約25mg/mlであり、AspB28−ヒトインスリンの濃度は約3.4〜約3.8mg/mlである。本発明の別の実施形態では、Arg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)の濃度は約5〜約15mg/mlであり、AspB28−ヒトインスリンの濃度は約3.4〜約3.8mg/mlである。
別の側面において、本発明は、インスリンペプチドがLysB3,GluB29−ヒトインスリンであり、インスリン分泌性ペプチドがZP−10(HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPSKKKKKK−NH,配列番号3)である医薬組成物に関する。本発明の1実施形態では、LysB3,GluB29−ヒトインスリンの濃度は約3.2〜約4.0mg/mlである。本発明の別の実施形態では、ZP−10の濃度は約0.1〜約3mg/mlである。
本発明の別の実施形態では、保存剤はフェノール、m−クレゾールまたはその混合物である。
本発明の別の側面において、医薬組成物は緩衝剤を含む。本発明の1実施形態では、緩衝剤はリン酸塩、TRIS、HEPES、グリシン、N−グリシルグリシン、クエン酸塩またはその混合物である。
本発明の別の側面において、医薬組成物は等張剤を含む。1実施形態では、等張剤は塩ではない。別の実施形態では、等張剤はマンニトール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコールまたはその混合物から選択される。
別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤、安定化剤及び任意に等張剤を含む非経口投与用可溶性医薬組成物に関する。本発明の1実施形態では、安定化剤はL−ヒスチジン、イミダゾール及びL−アルギニンからなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、安定化剤はポリエチレングリコールである。
別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤、界面活性剤及び任意に等張剤を含む可溶性医薬組成物に関する。1実施形態では、界面活性剤はポロキサマーである。別の実施形態では、界面活性剤はポロキサマー188である。別の実施形態では、界面活性剤はポロキサマー407、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー237、ポロキサマー331及びポロキサマー338からなる群から選択される。別の実施形態では、界面活性剤はポリソルベート20(トゥイーン20)である。別の実施形態では、界面活性剤の濃度は約5〜約3000mg/Lである。別の実施形態では、界面活性剤の濃度は約10〜約500mg/Lである。別の実施形態では、界面活性剤の濃度は約20〜約300mg/Lである。別の実施形態では、界面活性剤の濃度は約50〜約200mg/Lである。別の実施形態では、医薬組成物は2つの異なる界面活性剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はポロキサマー188及びポリソルベート20(トゥイーン20)を含む。本発明の別の実施形態では、界面活性剤は洗剤、エトキシル化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリド、アセチル化モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188及びポロキサマー407)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体(例えば、アルキル化及びアルコキシル化誘導体(例:トゥイーン20またはトゥイーン80のようなトゥイーン))、モノグリセリドまたはそのエトキシル化誘導体、ジグリセリドまたはそのポリオキシエチレン誘導体、グリセロール、コール酸またはその誘導体、レシチン及びアルコール;リン脂質、グリセロリン脂質(レシチン、ケファリン、ホスファチジルセリン)、グリセロ糖脂質(ガラクトピラノシド)、スフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン)及びスフィンゴ糖脂質(セラミド、ガングリオシド);DSS(ドクサートナトリウム、CAS登録番号[577−11−7])、ドクサートカルシウム(CAS登録番号[128−49−4])、ドクサートカリウム(CAS登録番号[7491−09−0]);SDS(ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウム)、ジパルミトイルホスファチジン酸、カプリル酸ナトリウム、胆汁酸及びその塩、及びグリシンまたはタウリンコンジュゲート;ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N−ヘキサデシル−N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネート;アニオン性(アルキル−アリール−スルホネート)1価界面活性剤;パルミトイルリソホスファチジル−L−セリン;リソリン脂質(例えば、エタノールアミン、コリン、セリンまたはスレオニンの1−アシル−sn−グリセロ−3−ホスフェートエステル)、リソホスファチジル及びホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシ(アルキルエーテル)、アルコキシ(アルキルエーテル)誘導体(例えば、リソホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、並びにコリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、スレオニン、グリセロール、イノシトールである極性ヘッド基の修飾物、正帯電したDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リソホスファチジルセリン及びリソホスファチジルスレオニンのラウロイル及びミリストイル誘導体);双イオン性界面活性剤(例えば、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、3−コールアミド−1−プロピルジメチルアンモニオ−1−プロパンスルホネート、ドデシルホスホコリン、ミリストイルリソホスファチジルコリン、鶏卵リソレシチン);カチオン性界面活性剤(例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムのような第4級アンモニウム塩基);ノニオン性界面活性剤;ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(プルロニック/テトロニック、トリトンX−100、ドデシルβ−D−グルコピラノシド)またはポリマー界面活性剤(トゥイーン40、トゥイーン80、Brij−35);フシジン酸誘導体(例えば、タウロ−ジヒドロフシジン酸ナトリウム等);長鎖脂肪酸及びその塩C−C12(例えば、オレイン酸及びカプリル酸)、アシルカルニチン及び誘導体、リシン、アルギニンまたはヒスチジンのNα−アシル化誘導体、リシンまたはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リシン、アルギニンまたはヒスチジンと中性または酸性アミノ酸の組合せからなるジペプチドのNα−アシル化誘導体、中性アミノ酸と2つの帯電アミノ酸の組合せからなるトリペプチドのNα−アシル化誘導体;イミダゾリン誘導体類から選択される界面活性剤;またはその混合物から選択される。これらの特定界面活性剤の各々が本発明の代替実施形態を構成する。本発明の更なる実施形態では、界面活性剤はポリソルベート(例えば、ポリソルベート20)である。本発明の更なる実施形態では、医薬組成物は約1〜約500ppm、好ましくは約10〜約120ppmの濃度の界面活性剤を含む。
別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び任意に等張剤を含む医薬組成物を有効量非経口投与することを含む高血糖症の治療方法に関する。別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び任意に等張剤を含む医薬組成物を有効量非経口投与することを含む過食または過食症の治療方法に関する。別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び任意に等張剤を含む医薬組成物を有効量非経口投与することを含む2型糖尿病、グルコース許容値低下、1型糖尿病、肥満、高血圧、症候群X、異脂肪症、認識障害、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈心疾患及び他の冠動脈障害、卒中、炎症性腸症候群、消化不良及び胃潰瘍の治療または予防方法に関する。別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び任意に等張剤を含む医薬組成物を有効量非経口投与することを含む2型糖尿病の進行を遅らすまたは防ぐ方法に関する。別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び任意に等張剤を含む医薬組成物を有効量非経口投与することを含む摂食を抑える、β細胞アポトーシスを低下させる、β細胞及びβ細胞塊の機能を向上させる及び/またはβ細胞に対するグルコース感受性を回復させる方法に関する。本発明の医薬組成物を(例えば、ペンまたは注射器を用いて)注射により投与するときには、通常1日3回、好ましくは食事前に投与する。大量の注射は患者にとって不快であるので、各回の投与量が約500μl未満または約200μl未満であることが好ましい。本発明の医薬組成物をポンプによる投与するときには、通常1日あたり少なくとも10回以上連続的または非連続的に投与される。本発明の1実施形態では、治療方法は約30〜約600μl/日、例えば約60〜約360μl/日である有効量の医薬組成物の投与を含む。本発明の別の実施形態では、前記方法は皮下注射により投与するための医薬組成物を含む。本発明の別の実施形態では、前記方法はポンプにより投与するための医薬組成物を含む。本発明の別の実施形態では、前記方法は不連続量の医薬組成物をデリバリーするポンプによる投与を含む。本発明の別の実施形態では、前記方法は不連続量の医薬組成物をデリバリーするポンプによる投与を含み、前記医薬組成物の不連続投与はパルス間の期間より短い期間のパルス投与による。
別の側面において、本発明は、インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び任意に等張剤を含む非経口投与用医薬組成物を製造するためのインスリン分泌性ペプチド及び食事関連インスリンペプチドの使用に関する。本発明の1実施形態では、前記使用は皮下注射により投与するための医薬組成物を含む。本発明の別の実施形態では、前記使用はポンプにより投与するための医薬組成物を含む。本発明の別の実施形態では、前記使用は不連続量の医薬組成物をデリバリーするポンプによる投与を含む。本発明の別の実施形態では、前記使用は不連続量の医薬組成物をデリバリーするポンプによる投与を含み、前記医薬組成物の不連続投与はパルス間の期間より短い期間のパルス投与による。
別の側面において、本発明は、非経口投与により高血糖症を治療するためのインスリンペプチド、インスリン分泌性ペプチド、医薬的に許容され得る緩衝剤、医薬的に許容され得る保存剤、界面活性剤及び任意に等張剤を含む医薬組成物を製造するためのインスリンペプチド及びインスリン分泌性ペプチドの使用に関する。
混合物のインビボでのブタデーター
インスリンアスパート(insulin aspart)のTyr A14を125Iで標識して、インスリンアスパート(AspB28-ヒトインスリン)及びリラグルチド(Arg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37))の混合物をブタに皮下投与するために調製した。この研究計画は、注入部位からのインスリンアスパートの消失を外部ガンマー計数により調べると同時にリラグルチド(Liraglutide)血漿濃度の時間経過を最長72時間モニターすることであった。
アスパート組成物(基準):
600μMのアスパート(トレーサー付き)、300μMのZn(Ac),pH7.4、30mMのフェノール、1.6%のグリセロール。
混合アスパート:リラグルチド(1:1)組成物:
600μMのアスパート(トレーサー付き)、600μMのリラグルチド、300μMのZn(Ac),pH7.4、30mMのフェノール、1.6%のグリセロール。
混合アスパート:リラグルチド(1:5)組成物:
600μMのアスパート(トレーサー付き)、3000μMのリラグルチド、300μMのZn(Ac),pH7.4、30mMのフェノール、1.6%のグリセロール。
6匹の体重が80〜100kgの正常な健康ブタ(Dansk Landrace,LDY)を研究に含めた。各ブタの首の片側に100μlのインスリンアスパート組成物(基準)、反対側には100μlの混合アスパート/リラグルチド組成物を投与した。インスリンアスパート基準については6匹のブタで、1:1及び1:5混合物については3匹ずつのブタで、放射線標識したインスリンアスパートの消失経過を両注入部位で測定した。同時に、リラグルチド血漿濃度の時間経過をモニターするために血液サンプルを72時間にわたり血液サンプルを採取した。
標準偏差を含む平均消失曲線
平均消失曲線を図1に示す。1:5混合物を投与後皮下組織からのインスリンアスパートの消失対時間は基準及び1:1混合物のいずれよりも僅かに遅かった。注射後の残存放射能の75%、50%及び25%の平均(SD)時間を計算した。下表1を参照されたい。
Figure 0004800959
リラグルチドの薬物動態
血漿濃度時間データに基づいて薬物動態を算出した。1:5組成物からのリラグルチドはAUCを5倍上昇させ、このことからリラグルチドの相対バイオアベイラビリティーが変化しないことが確認されたので、AUCに基づいてリラグルチドの吸収は使用した混合物と無関係であるとの結論を得た。
上記PKパラメーターに基づいて、食事時(朝食、昼食及び夕食)に0.2ナノモル/kgのリラグルチドをアスパートと同時に投与することを示すシミュレーションを実施した。食事時に約0.2ナノモル/kgのリラグルチドを投与すると満足なリラグルチド血漿レベルが得られ、1:1が最も可能性があるアスパート:リラグルチド比であると示唆される。
図2及び3は、上記した混合物を皮下投与後のリラグルチドの血漿レベルを示している。
Figure 0004800959
2つの医薬組成物を本明細書の記載に従って製造した。両医薬組成物とも食事関連インスリンAspB28−ヒトインスリン(アスパート)及びインスリン分泌性ペプチドArg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)(リラグルチド)を含んでいた。両医薬組成物とも、アスパート濃度は0.6mMであり、リラグルチド濃度は1.2mMである。さらに、両組成物は10mMのNaCl、8mMのリン酸緩衝剤、14mg/mlのプロピレングリコール、40mMのフェノールを含んでいた。ポロキサマー188非含有の組成物(×)及びポロキサマー188(50ppm)含有の医薬組成物(白菱形)のそれぞれ8日間及び7日間の濁度測定値を示す(図4)。
2つの医薬組成物を本明細書の記載に従って製造した。両医薬組成物とも食事関連インスリンAspB28−ヒトインスリン(アスパート)及びインスリン分泌性ペプチドArg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)(リラグルチド)を含んでいた。両医薬組成物とも、アスパート濃度は0.6mMであり、リラグルチド濃度は1.2mMである。さらに、両組成物は0.35mMの5−[6−(5−シアノ−1H−[1,2,3]トリアゾル−4−イル)ナフタレン−2−イルオキシ]ペンタン酸、10mMのビシン緩衝剤、14mg/mlのプロピレングリコール、40mMのフェノールを含んでいた。ポロキサマー188非含有の医薬組成物(×)及びポロキサマー188(50ppm)含有の医薬組成物(白菱形)の濁度測定を13日間実施した(図5)。
Figure 0004800959
以下の医薬組成物を製造する。
F1:1.2mMのリラグルチド、14mg/mlのプロピレングリコール、40mMのフェノール、3 Zn/hex、0.6mMのアスパート、8mMのビシン、50ppmのポロキサマー188(pH7.7)。
F2:1.2mMのリラグルチド、14mg/mlのプロピレングリコール、40mMのフェノール、3 Zn/hex、0.6mMのアスパート、8mMのビシン(pH7.7)。
医薬組成物の物理的安定性を促進ストレス試験を用いて評価する。ストレス試験はローテーション試験として実施する。各組成物の5カートリッジ(ガラス容器)に空気(50μl)を加える。カートリッジを30回転/分の回数で毎日4時間回転させる。22日回転後試験を停止させる。毎日または必要に応じてカートリッジを精査する。組成物の濁度をHACH比濁計2100ANを用いて濁度測定することにより調べる。液体の濁度測定は“比濁計濁度単位”(NTU)で特定する。タンパク質の物理的不安定性は濁度測定値が高いことにより特徴づけられる。
実験では、F2組成物ではNTU測定値がF1組成物のNTUトレースに比して非常に急速に上昇することを示している。
チオフラビン(ThT)フィブリル化アッセイ:原理及び例
ペプチドの物理的安定性が低いとアミロイドフィブリルが形成される恐れがある。これはサンプル中で秩序ある糸様の高分子構造として見られ、最終的にはゲルが形成される。アミロイドフィブリル化は従来サンプルを肉眼で精査することにより調べられてきた。しかしながら、この種の測定は非常に主観的であり、観察者に依存する。従って、小分子インジケータープローブの使用が非常に有利である。チオフラビンT(ThT)はそのようなプローブであり、フィブリルと結合したとき明確な蛍光特徴を有する[Naikiら, Anal.Biochem.177, 244-249(1989);LeVine, Methods Enzymol., 309:274-284(1999)]。
フィブリル形成の時間経過は以下の式のシグモイド曲線により説明され得る[Nielsenら, Biochemistry, 40:6036-6046(2001)]:
Figure 0004800959
ここで、Fは時間tでのThT蛍光である。定数tは最大蛍光の50%に達するのに要する時間である。フィブリル形成を説明する2つの重要なパラメーターはt−2τにより算出される時間差及び見かけ速度定数kapp=1/τである。
フィブリル化の一般的な開始メカニズムとしてペプチドの部分的に折り畳まれた中間体の形成が示唆されている。中間体の幾つかが核となって鋳型が形成され、この鋳型に基づいて更に中間体が合体することがあり、フィブリル化が進行する。時間差は核の臨界的塊が構築される間隔に相当し、見かけ速度定数はフィブリル自体が形成される速度である。
サンプル作成
サンプルは各アッセイ前に新たに作成した。各サンプル組成物は説明文に記載されている。サンプルのpHは適当量の濃NaOH及びHClOを用いて所望値に調節した。チオフラビンTをHO中のストックト溶液からサンプルに1μMの最終濃度まで添加した。
200μlのサンプルアリコートを96ウェル微量測定プレート(Packard Opti−Plate(商標)96,白色ポリスチレン)に導入した。通常、(1つの試験条件に対応する)8個ずつの各サンプルをウェルの1カラムに入れた。このプレートをScotch Pad(Qiagen)でシールした。
インキュベーション及び蛍光測定
所与温度でのインキュベーション、振とう及びThT蛍光発光の測定はFluoroskan Ascent FL蛍光プレートリーダー(Thermo Labsystems)を用いて実施した。温度を37℃に調節した。提示した全てのデータにおいて軌道振動を1mmの振幅で960rpmに調節した。444nmフィルターを介する励起及び485nmフィルターを介する発光を用いて蛍光を測定した。
各ランは、プレートをアッセイ温度で10分間インキュベートすることにより開始した。プレートを通常45時間20分毎に測定した。各測定の間、プレートを振とうし、上記したように加熱した。
データ処理
更に処理し、曲線を描くために測定ポイントをマイクロソフト・エクセルフォーマットに保存し、GraphPad Prismを用いてフィッティングを実施した。フィブリルの非存在下でのThTからのバックグラウンド発光は無視できる程度であった。データポイントは通常8サンプルの平均であり、標準偏差誤差バーも示した。同一実験で得たデータのみ(すなわち、同一プレート上のサンプル)同一グラフに示し、実験間のフィブリル化の相対尺度を確保する。
データ組が式(1)に当てはめられ得る。しかしながら、この場合完全シグモイド曲線が測定中必ずしも得られないので、フィブリル化の程度を異なる時点での8つのサンプルの平均と標準偏差としてまとめたThT蛍光として表示する
水中にインスリンアスパート及びリラグルチドを1:2の混合比で含み、pH7.7に調節されている組成物は図6に示すように物理的に非常に不安定である。ThT蛍光信号は即座に上昇し、10時間アッセイ時間前にプラトーに達する。しかしながら、ポロキサマー188の添加はこの組成物を安定化させる。50ppm及び200ppmのポロキサマー188では、インスリンアスパート−リラグルチド混合組成物はThT蛍光をバックグラウンドレベル以上に上昇させない。よって、これらのサンプルは物理的に完全に安定であり、フィブリル化しない。
ポリソルベート20も水中で処方されたインスリンアスパート−リラグルチドの1:2混合物を安定化できる。図7参照。200ppmのポリソルベート20を存在させるとフィブリル化が完全に抑制される。
リン酸ナトリウム緩衝剤中でインスリンアスパート及びリラグルチドを1:2の混合比で処方したとき、サンプルは物理的に非常に不安定である。図8参照。50ppmまたは200ppmのポロキサマー188を存在させると、フィブリル化の開始までの時間差が長くなる。ポロキサマー188の非存在下ではフィブリル化が即座に生ずるが、50ppmまたは200ppmのポロキサマー188の存在下では15時間以上長い。最高濃度のポロキサマー188を有するサンプルは40時間のアッセイ時間後最低のThT信号を示す。
ポリソルベート20も、リン酸ナトリウム緩衝剤中で処方したインスリンアスパート−リラグルチドの1:2混合物を安定化させる。図9参照。100ppmのポリソルベート20を存在させると、ポリソルベート20なしのサンプルに比して時間差が5時間以上長くなる。200ppmのポリソルベート20を存在させると、サンプルのフィブリル化が完全に抑制される。
インスリンアスパート及びリラグルチドが1:5の比で混合されている組成物も物理的に非常に不安定である。これらの組成物は、100ppmのポロキサマー188または200ppmのポリソルベート20の存在により安定化される。これは、ポロキサマー188またはポリソルベート20の存在下でのフィブリル化開始までの時間差のポロキサマー188またはポリソルベート20なしの類似組成物に比した延長したことから観察される。
放射標識したインスリンアスパートの消失を示す平均消失曲線である。 混合物を皮下注射後のリラグルチドの血漿レベル(対数目盛)である。 混合物を皮下注射後のリラグルチドの血漿レベル(等分目盛)である。 アスパート及びリラグルチドを含有する2つの医薬組成物、すなわちポロキサマー188非含有医薬組成物(×)及びポロキサマー188(500ppm)含有医薬組成物(白菱形)の濁度測定値である。 アスパート及びリラグルチドを含有する2つの医薬組成物、すなわちポロキサマー188非含有医薬組成物(×)及びポロキサマー188(50ppm)含有医薬組成物(白菱形)の濁度測定値である。 全てのサンプルが0.6mMのインスリンアスパート、0.3mMのZn(Ac)、1.2mMのリラグルチド、14mg/mlのプロピレングリコール、40mMのフェノール、10mMのNaCl(pH7.7)を含有している。サンプルの2つにポロキサマー188が添加されている。 両方のサンプルが0.6mMのインスリンアスパート、0.3mMのZn(Ac)、1.2mMのリラグルチド、40mMのフェノール、14mg/mlのプロピレングリコール、10mMのNaCl(pH7.7)を含有している。1つのサンプルにポリソルベート20が添加されている。 全てのサンプルが0.6mMのインスリンアスパート、0.3mMのZn(Ac)、1.2mMのリラグルチド、8mMのリン酸ナトリウム(pH7.7)、40mMのフェノール、14mg/mlのプロピレングリコールを含有している。2つのサンプルにポロキサマー188が添加されている。 0.6mMのインスリンアスパート,0.3mMのZn(Ac)、1.2mMのリラグルチド、8mMのリン酸ナトリウム、40mMのフェノール、14mg/mlのプロピレングリコール(pH7.7)を含有している。サンプルの2つにポリソルベート20が添加されている。

Claims (9)

  1. インスリン分泌性ペプチド、食事関連インスリンペプチド、医薬的に許容され得る保存剤及び界面活性剤を含む、非経口投与用の可溶性医薬組成物であって、前記インスリン分泌性ペプチドがArg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)であり、前記食事関連インスリンペプチドがAspB28−ヒトインスリンであり、前記界面活性剤がポロキサマーまたはポリソルベート20である医薬組成物。
  2. 前記医薬組成物または前記医薬組成物の復元溶液のpHが、7.0〜9.0、または、7.0〜8.0である請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記食事関連インスリンペプチドの濃度が、1.6〜5.6mg/ml、2.6〜4.6mg/ml、3.2〜4.0mg/ml、1〜10mg/ml、2.5〜8.75mg/ml、3.5〜8.75mg/mlまたは5〜8.75mg/mlである請求項1または2に記載の医薬組成物。
  4. 前記インスリン分泌性ペプチドの濃度が、1〜25mg/ml、2〜15mg/ml、5〜12mg/ml、8〜11mg/ml、5μg/ml〜10mg/ml、5μg/ml〜5mg/ml、0.1〜3mg/mlまたは0.2〜1mg/mlである請求項1〜3の何れか1項に記載の医薬組成物。
  5. 亜鉛を含む請求項1〜4の何れか1項に記載の医薬組成物。
  6. 前記Arg34,Lys26(Nε−(γ−Glu(Nα−ヘキサデカノイル)))−GLP−1(7−37)の濃度が5〜15mg/mlであり、前記AspB28−ヒトインスリンの濃度が3.2〜4.0mg/mlまたは3.4〜3.8mg/mlである請求項1または2に記載の医薬組成物。
  7. 前記界面活性剤がポロキサマーである請求項1〜6の何れか1項に記載の医薬組成物。
  8. 前記界面活性剤がポロキサマー188であるか、ポロキサマー407、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー237、ポロキサマー331及びポロキサマー338からなる群から選択される請求項7に記載の医薬組成物。
  9. 前記界面活性剤の濃度が5〜3000mg/L、10〜500mg/L、20〜300mg/Lまたは50〜200mg/Lである請求項1〜の何れか1項に記載の医薬組成物。
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