JP4800569B2 - 燃料ガス製造装置及び燃料ガスの製造方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1においては、反応塔内において、液状有機物を超臨界水中又は亜臨界水中で水熱反応させて、水素を主成分とする燃料ガスを製造している。そして、水熱反応塔において、液状有機物から気液混合相を形成し、この気液混合相を冷却装置において、水素を主成分とする気相と、残りの反応液(液相)とに分離する。その後、上記気相中から硫化水素(H2S)を除去して、水素を主成分とする燃料ガスを製造している。
この特許文献1の燃料ガスの製造方法によれば、有機廃棄物を高いガス化効率で処理することができ、燃料ガスとして再利用することができる。
該反応塔から上記反応混合物が供給され、該反応混合物を冷却して、気液分離を開始させる冷却器と、
該冷却器から気液分離が行われた反応混合物が供給され、上方に気相分を形成すると共に下方に液相分を形成して、気液分離させる気液分離槽と、
該気液分離槽から供給される上記気相分に吸収用水を噴射させることにより、該吸収用水を該気相分と接触させ、該吸収用水に該気相分中の二酸化炭素、硫化水素及びアンモニアを吸収除去させる吸収塔と、
上記気液分離槽において分離した上記液相分を減圧して導入し、該液相分から二酸化炭素及び硫化水素を拡散除去し、アンモニアを水に含有してなる廃水を排出する1次拡散槽と、
上記吸収塔における上記二酸化炭素、硫化水素及びアンモニアの吸収除去を行った後の吸収用水である1次吸収除去水を減圧して導入し、該1次吸収除去水から二酸化炭素及び硫化水素を除去し、アンモニアを含有してなる2次吸収除去水を排出する2次拡散槽と、
該2次拡散槽から供給される上記2次吸収除去水からアンモニアを除去するアンモニア除去装置と、
該アンモニア除去装置から供給される上記アンモニアの除去を行った後の水を上記吸収用水として上記吸収塔に移送するためのポンプと、
上記吸収塔における上記気相分から二酸化炭素、硫化水素及びアンモニアを除去した後の燃料ガスを取り出すための燃料ガス取出ラインと、
上記1次拡散槽及び上記2次拡散槽においてそれぞれ分離した二酸化炭素、硫化水素を排気するためのオフガス排気ラインと、
上記ポンプによって上記吸収用水を上記吸収塔に移送するための循環ラインとを有することを特徴とする燃料ガス製造装置にある(請求項1)。
また、本発明の第2の側面は、上記燃料ガス製造装置を用い、有機廃棄物を超臨界水中又は亜臨界水中において反応させて得た反応混合物を冷却する冷却工程と、
気液分離槽において、上記冷却を行った反応混合物を、気相分と、硫化水素及びアンモニアを含有する液相分とに気液分離させる気液分離工程と、
吸収塔において、上記気相分を吸収用水と接触させることにより、上記気相分中に残留している硫化水素及びアンモニアを上記吸収用水に吸収除去させる吸収工程とを行って、上記気相分から燃料ガスを製造することを特徴とする燃料ガスの製造方法にある(請求項2)。
そして、上記吸収工程を行い、上記吸収塔において上記気相分を上記吸収用水と接触させることにより、気相分中に残留している硫化水素及びアンモニアを吸収用水に吸収除去させる。
それ故、本発明によれば、吸着剤等の触媒を使用することなく気相分から硫化水素及びアンモニアのほぼ全量を除去し、かつ反応混合物における気相分が有する温度及び圧力を利用して燃料ガスを効率的に製造することができる。
本発明において製造する燃料ガスは、水素又はメタンの少なくとも一方を含有する燃料ガスとすることができる。
また、上記有機廃棄物としては、下水汚泥等の汚泥物、生活廃水もしくは産業廃水等の廃水、食品残渣又は枯草等がある。
また、上記気液分離工程の気液分離槽において行う気液分離は、その温度を20〜50℃とすると共にその圧力を2〜50MPa・Gとして行うことができる。
また、上記吸収工程における吸収塔においては、上記気液分離槽から送られる気相分に対して、再加熱することなく上記吸収用水に硫化水素及びアンモニアを吸収除去させることができる。そして、吸収塔における気相分の温度及び圧力は、気液分離槽における気相分の温度及び圧力とほぼ同じとすることができる。また、吸収塔に供給する上記吸収用水の温度は20〜50℃とすることができる。
また、上記吸収工程における吸収塔においては、上記気相分を上記吸収水と接触させたときには、当該気相分中から二酸化炭素等の吸収除去を行うこともできる。
さらに、上記反応は、触媒の不存在下において行う場合には、温度が300℃以上(より好ましくは350℃以上)、圧力が10MPa・G以上(より好ましくは15MPa・G以上)である水中において行うことが好ましい。
この場合には、上記触媒としては、例えば、チタニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、これらの酸化物の混合物又はチタン−ジルコニア複合酸化物のうちの少なくとも一種を用いることができる。
また、上記反応を行う温度及び圧力の上限値は、温度が800℃以下、圧力が50MPa・G以下とすることができる。
一方で、上記亜臨界水中とは、上記水の臨界点未満であり、この臨界点に近い温度及び圧力を有する水中のことをいう。この亜臨界水中においては、気相と液相とが形成され、気相中における熱分解反応等、液相中における加水分解反応等を伴う水熱反応が行われる。
これにより、上記吸収塔において、上記吸収用水と上記気相分とを効果的に接触させることができ、吸収用水への硫化水素及びアンモニアの吸収効率を高めることができる。
これにより、上記吸収用水を繰り返し使用することができ、燃料ガスの製造効率を向上させることができる。
(実施例1)
図1に示すごとく、本例の燃料ガスFの製造方法においては、有機廃棄物Aを超臨界水中又は亜臨界水中において反応させて得た反応混合物Rを冷却する冷却工程と、気液分離槽4において、上記冷却を行った反応混合物Rを、水素及びメタン等を含有する気相分Gと、硫化水素及びアンモニア等を含有する液相分Lとに気液分離させる気液分離工程とを行う。
その後、上記製造方法においては、吸収塔5において、上記気相分Gを吸収用水Wと接触させることにより、気相分G中の二酸化炭素と、気相分G中に残留している硫化水素及びアンモニア等を上記吸収用水Wに吸収除去させる吸収工程を行い、上記気相分Gから水素及びメタンを含有する燃料ガスFを製造する。
以下に、これを詳説する。
上記反応塔2は、有機廃棄物Aを超臨界水中又は亜臨界水中において反応させて反応混合物Rを得るものである。本例の反応塔2は、長尺形状を有しており、長尺方向の一端から水及び有機廃棄物Aを供給し、長尺方向の他端に向けて反応を進行させるものである。また、本例では、有機廃棄物Aが水を含有しており、この水を含有した有機廃棄物Aを反応塔2に供給し、上記水が超臨界状態になるまで反応塔2内を昇温して、超臨界水反応を行う。なお、上記反応塔2へは、有機廃棄物Aを供給すると共に水を供給することもできる。
上記気液分離槽4は、上記冷却器3によって冷却され、気液分離が行われた反応混合物Rが供給(移送)されるものであり、この反応混合物Rを、当該気液分離槽4内の上方に気相分Gを形成すると共に下方に液相分Lを形成して、気液分離させるものである。
上記吸収塔5は、気液分離槽4から気相分Gが供給(移送)され、この気相分Gに上記吸収用水Wを噴射させることにより、吸収用水Wを気相分Gと接触させ、吸収用水Wに気相分G中の二酸化炭素、硫化水素及びアンモニア等を吸収除去させるものである。
なお、上記吸収用水Wとは、硫化水素及びアンモニアを吸収除去させるための水のことをいう。
上記1次拡散槽61は、上記気液分離槽4において分離した液相分Lを減圧して導入し、これから二酸化炭素及び硫化水素等を拡散除去し、アンモニア等を水に含有してなる廃水を排出するものである。また、上記2次拡散槽62は、上記吸収塔5における1次吸収除去水を減圧して導入し、これから二酸化炭素及び硫化水素等を除去し、アンモニア等を含有してなる2次吸収除去水を排出するものである。
また、気液分離槽4と上記吸収塔5とは、気液分離槽4において形成された気相分Gが流れる気相分移送ライン802によって接続されている。
また、気液分離槽4と上記1次拡散槽61とは、気液分離槽4において形成された液相分Lが流れる液相分移送ライン803によって接続されている。
また、吸収塔5と上記2次拡散槽62とは、上記1次吸収除去水が流れる1次吸収除去水移送ライン806によって接続されている。
また、燃料ガス取出ライン804から取り出される燃料ガスFは、製品ガスとして燃料ガス製造装置1の外部に取り出される。
また、上記1次拡散槽61には、この1次拡散槽61において分離された二酸化炭素、硫化水素等を排気するためのオフガス排気ライン808Aと、当該1次拡散槽61において分離された廃水が排出される廃水排出ライン809とが接続されている。
なお、上記各オフガス排気ライン808A、Bから排気される二酸化炭素及び硫化水素等は、オフガスとして燃料ガス製造装置1の外部に排気される。
すなわち、上記2次拡散槽62に接続された2次吸収除去水取出ライン807と、上記吸収塔5に接続された吸収用水供給ライン805とは、循環ライン810を介して接続されている。そして、この循環ライン810には、2次拡散槽62から送られる2次吸収除去水を冷却する冷却装置71と、2次吸収除去水からアンモニアを除去するアンモニア除去装置72と、このアンモニアの除去を行った後の水を上記吸収用水Wとして上記吸収塔5に移送するためのポンプ73とが配設されている。
図1に示すごとく、上記燃料ガスFの製造に当たっては、まず、上記反応工程として、上記反応塔2に水を含有する下水汚泥等を有機廃棄物Aとして供給し、上記水を超臨界状態にして超臨界水反応を行う。本例の超臨界水反応は、温度が200〜800℃、圧力が2〜50MPa、反応塔2内の液基準空間速度が0.5〜1000hr-1である条件下において行う。
そして、上記反応塔2においては、加水分解反応等が起こって、水中に有機廃棄物A中に含まれていた各成分がガス化された状態にある反応混合物Rが生成される。
一方で、気液分離槽4における液相分Lは、上記液相分移送ライン803を介して減圧され上記1次拡散槽61に移送される。そして、1次拡散槽61においては、液相分Lから拡散除去された二酸化炭素及び硫化水素等が上記オフガス排気ライン808Aから排気されると共に、残りの液相分Lが廃水として上記廃水排出ライン809から排出される。
その後、上記吸収除去を行った後の気相分Gは、吸収塔5に接続された燃料ガス取出ライン804から、水素、メタン、一酸化炭素及び窒素等を含有する燃料ガスF(製品ガス)として取り出される。
また、上記硫化水素及びアンモニアを吸収除去した1次吸収除去水は、上記1次吸収除去水移送ライン806を介して減圧され上記2次拡散槽62に送られる。そして、この2次拡散槽62においては、1次吸収除去水から拡散除去された二酸化炭素及び硫化水素等が上記オフガス排気ライン808Bから排気されると共に、残りの1次吸収除去水が2次吸収除去水として上記2次吸収除去水取出ライン807から上記冷却装置71に送られる。
そして、上記吸収塔5においては、上記気液分離槽4から送られる気相分Gに対して、温度及び圧力のエネルギーを与えることなく(再加熱することなく)、上記気液分離槽4から送られる気相分Gが有する温度及び圧力をそのまま利用して、上記吸収用水Wに二酸化炭素、硫化水素及びアンモニア等の不要な物質を吸収除去させることができる。また、上記吸収塔5においては、上記吸収用水Wとしての水を用いるだけで、上記気相分G中から上記不要な物質を除去することができる。
本例は、上記実施例1に示した燃料ガス製造装置1を用いた燃料ガスFの製造方法における優れた作用効果を確認するために、有機廃棄物Aの組成を仮定し、上記製造方法を実施したときに得られる燃料ガスFの組成をシミュレーションした例である。
すなわち、本例の有機廃棄物Aは、灰分;15wt%、C(炭素);43.6wt%、H(水素);6.8wt%、O(酸素);28.0wt%、N(窒素);5.9wt%、S(硫黄);0.7wt%を含有するものとした。
そして、上記反応塔2においては、温度;600℃、圧力;35MPa・Gの条件で上記超臨界水中における反応を行い、上記気液分離槽4においては、温度;50℃、圧力;15MPa・Gの条件で上記気液分離を行った。また、上記吸収塔5への吸収用水Wの噴射量は894.4kmol/hrとした。
このように、上記実施例1の燃料ガスFの製造方法を用いれば、上記気液分離を行った気相分Gから硫化水素及びアンモニアのほぼ全量を除去し、かつ、気相分Gが有する温度及び圧力を利用して、水素及びメタンを含有する燃料ガスFを効率的に製造できることがわかった。
2 反応塔
3 冷却器
4 気液分離槽
5 吸収塔
51 噴射ノズル
61 1次拡散槽
62 2次拡散槽
A 有機廃棄物
R 反応混合物
G 気相分
L 液相分
W 吸収用水
F 燃料ガス
Claims (3)
- 有機廃棄物を超臨界水中又は亜臨界水中において反応させて反応混合物を得る反応塔と、
該反応塔から上記反応混合物が供給され、該反応混合物を冷却して、気液分離を開始させる冷却器と、
該冷却器から気液分離が行われた反応混合物が供給され、上方に気相分を形成すると共に下方に液相分を形成して、気液分離させる気液分離槽と、
該気液分離槽から供給される上記気相分に吸収用水を噴射させることにより、該吸収用水を該気相分と接触させ、該吸収用水に該気相分中の二酸化炭素、硫化水素及びアンモニアを吸収除去させる吸収塔と、
上記気液分離槽において分離した上記液相分を減圧して導入し、該液相分から二酸化炭素及び硫化水素を拡散除去し、アンモニアを水に含有してなる廃水を排出する1次拡散槽と、
上記吸収塔における上記二酸化炭素、硫化水素及びアンモニアの吸収除去を行った後の吸収用水である1次吸収除去水を減圧して導入し、該1次吸収除去水から二酸化炭素及び硫化水素を除去し、アンモニアを含有してなる2次吸収除去水を排出する2次拡散槽と、
該2次拡散槽から供給される上記2次吸収除去水からアンモニアを除去するアンモニア除去装置と、
該アンモニア除去装置から供給される上記アンモニアの除去を行った後の水を上記吸収用水として上記吸収塔に移送するためのポンプと、
上記吸収塔における上記気相分から二酸化炭素、硫化水素及びアンモニアを除去した後の燃料ガスを取り出すための燃料ガス取出ラインと、
上記1次拡散槽及び上記2次拡散槽においてそれぞれ分離した二酸化炭素、硫化水素を排気するためのオフガス排気ラインと、
上記ポンプによって上記吸収用水を上記吸収塔に移送するための循環ラインとを有することを特徴とする燃料ガス製造装置。 - 請求項1に記載の燃料ガス製造装置を用い、
有機廃棄物を超臨界水中又は亜臨界水中において反応させて得た反応混合物を冷却する冷却工程と、
気液分離槽において、上記冷却を行った反応混合物を、気相分と、硫化水素及びアンモニアを含有する液相分とに気液分離させる気液分離工程と、
吸収塔において、上記気相分を吸収用水と接触させることにより、上記気相分中に残留している硫化水素及びアンモニアを上記吸収用水に吸収除去させる吸収工程とを行って、上記気相分から燃料ガスを製造することを特徴とする燃料ガスの製造方法。 - 請求項2において、15〜50MPa・Gの圧力状態で上記反応混合物を生成し、15〜50MPa・Gの圧力状態で上記反応混合物を上記気液分離槽へ供給することを特徴とする燃料ガスの製造方法。
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