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JP4889517B2 - 回転電機装置 - Google Patents

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本発明は、例えばハイブリッドカーなどの車両に搭載されるインバータと制御装置と回転電機が一体になった制御装置一体型の回転電機装置、特に、発電機と始動電動機を兼ねる発電電動機などとして好ましく用いることができる回転電機装置に関する。
従来の制御装置一体型の回転電機装置は、ファン付きロータとステータを支持するフロント及びリアブラケットと、スイッチング素子を実装した一つのヒートシンクと、ヒートシンクを覆うカバーとをリアブラケットに接続し、カバーの一端に吸気孔を設け、冷却風はヒートシンクの冷却フィン、ステータを通過してリアブラケットの排気孔から排出されるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2006−166538号公報(第1頁、図1)
上記のような従来の回転電機装置では、リアブラケットから排出された高温空気が還流して、カバーの吸気孔より再流入し、周囲温度に比べ温度が上昇するため、これを吸気するヒートシンクは温度上昇し、その結果、ヒートシンクに実装されたスイッチング素子を有するパワー回路は同様に温度上昇して、故障に至る恐れがあるという課題があった。また、このような状況下でスイッチング素子の温度を冷却するには、ヒートシンクを大きくする必要があり、装置が大型化するという課題があった。
この発明は上記のような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、ブラケットから機外に排出された高温の冷却風が還流するのを防いで冷却効率を高め、ヒートシンクを小型化することができる制御装置一体型の回転電機装置を提供することを目的としている。
この発明に係る回転電機装置は、ステータに対する軸方向の一側部に設けられヒートシンクを具備するパワー回路部と、このパワー回路部を保持すると共に、機外方向から該パワー回路部を経た冷却風が上記ステータの一側部で放射方向に排出されるように設けられた排気部を有するブラケットと、このブラケットの排気部に設けられ、該排気部から排出された冷却風を上記ステータの軸方向他側部方向に偏向させる金属製気流制御部材とを備え、上記ブラケットは冷却風を軸方向に上記ステータ側に流入させるための通風孔を有するリアブラケットからなり、上記パワー回路部は該リアブラケットの通風孔の外側部に配設され、かつ、上記リアブラケットに固定されて上記パワー回路部を包囲すると共に軸方向外側から外気を流入させるための上記通風孔に連通する吸気孔を有するカバーケースが設けられているものであって、上記気流制御部材に一体形成された上記気流制御部材の固定部は上記パワー回路部の上記ヒートシンクと共に上記カバーケースに対して共締めされているものである。
この発明においては、ブラケットの排気部に、排出された冷却風をステータの軸方向他側部方向に偏向させる金属製気流制御部材を設けたことにより、排気部から排出された冷却風がブラケットの軸方向他側部方向に流れることで還流が防止され、パワー回路部の冷却効果が高められることで、吸気温度が低減されヒートシンクの温度も低減され、ヒートシンクを小さくでき、装置を小型化できるとともに、気流制御部材に一体形成された固定部はパワー回路部のヒートシンクと共にカバーケースに対して共締めされているので、気流制御部材とヒートシンクとの熱伝達を確保して放熱性を向上でき、しかも、接続点数を少なくして、部品コストを低減できる
実施の形態1.
図1〜図3はこの発明の実施の形態1による制御装置一体型の回転電機装置を説明するもので、図1は全体構成を示す側面断面図、図2は図1の回転電機装置をリアブラケット側から見た背面図、図3は図1に示された気流制御部材を示す斜視図である。なお、各図を通じて同一符号は同一部分を示すものとする。図において、制御装置一体型の回転電機装置1は、ブラケットとしてのリアブラケット2、及びフロントブラケット3に支持されたステータ4と、これらリアブラケット2及びフロントブラケット3にベアリング5A及び5Bを介して回転自在に支承されたロータ6を備え、ロータ6の中心はシャフト7によって構成されている。
上記ステータ4の軸方向の一側部(図1の左方向、後方側)には、ステータ4に巻装されたステータコイル4aに電流を供給するパワー回路部8、パワー回路部8を制御する制御基板9、ロータ6の界磁巻線6aに界磁電流を供給するためのブラシ10などが配設され、パワー回路部8、ブラシ10はリアブラケット2に固定されたカバーケース11によって包囲され、制御基板9はカバーケース11の外側部(図1の左側)に固定されて蓋11aによって覆われている。また、図示省略しているエンジン制御ユニットなどと通信するためのコネクタ12がカバーケース11に取り付けられており、該コネクタ12と制御基板9とは図示省略している信号線によって接続されている。
パワー回路部8は図示省略している通常一般的なインバータ回路を構成する上アームのヒートシンク81A、スイッチング素子82A、下アームのヒートシンク81B、スイッチング素子82Bからなり、ヒートシンク81A、81Bはターミナル(図示省略)を樹脂封止された絶縁部材83、84と共にカバーケース11を介してリアブラケット2に軸方向に組みつけられている。なお、図1ではU、V、Wの3相からなるパワー回路部8の内、V相の分が図示されている。ロータ6の軸方向一側(図の左側、後方端面)にはファン6bが装着されており、ファン6bの回転により吸気された冷却風は、図1に示す破線矢印Aの経路にて示すように、カバーケース11の後方側端面に設けられ、リアブラケット2の通風孔2b、排気部2aに連通する複数の吸気孔11bから外気を軸方向に吸入し、ヒートシンク81A、81Bのフィン、ステータ4の一側部のステータコイル4a部を通過して、リアブラケット2の排気部2aより放射方向に排出される。
そして、上記リアブラケット2の図1中下側の排気部2aには、該排気部2aから放射方向に排出された冷却風をステータ4の軸方向他側部方向(図1の右方向)に偏向させる図3に示す形状の気流制御部材13が設けられている。該気流制御部材13は、リアブラケット2とカバーケース11の間に固定部(フランジ)13aを挟み込む如く取り付けられ、フィン部13bがカバーケース11の右側端面とリアブラケット2の排気部2aとの間付近から略軸方向外側に突出され、排気部2aから排出された冷却風が軸方向他側部方向(図1の右方向)に偏向するように湾曲して形成され、排気部2aの放射方向外側に該排気部2aから離間して延在している。なお、該気流制御部材13の材質は樹脂でも差し支えないが、リアブラケット2からの放熱性を考慮する場合には、金属製とすることは望ましい。
また、U、V、Wの3相から構成されているパワー回路部8は、図2に示すように、U相、V相、W相の各相の上アームのヒートシンク81A、及び下アームのヒートシンク81Bの対が、周方向に分かれて配設されている。そして、カバーケース11の複数の吸気孔11bは、U相、V相、及びW相の各相のヒートシンク81A、81Bの直前にそれぞれ設けられ、背面側から見たときに図2に示すように、全てのヒートシンク81A、81(計6個)の放熱フィンが吸気孔11bを通して直接見えるように設けられ、吸入される外気が直接フィンに当たるように構成されている。なお、気流制御部材13は、この例では還流の多いV相部位のみに設置しているが、必要に応じてU相部位、W相部位にも同様に設置可能である。
なお、気流制御部材13は、固定部(フランジ)13aをヒートシンク81A、81Bと共にカバーケース11に対してボルト14、ナット15で共締めすることができる。また、シャフト7の軸方向他側部(図1の右端部)にはプーリ16が装着されており、該プーリ16に、何れも図示省略しているエンジン(内燃機関)の出力軸との間で駆動ベルトが巻き懸けられ、回転電機装置1を発電機として用いるときは該エンジンの回転力によって駆動ベルト及びプーリ16を介して駆動され、エンジンの始動電動機として用いるときは図示省略しているバッテリーの電力によりプーリ16及び駆動ベルトを介してエンジンのクランクシャフト(図示省略)を回転させるように構成されている。
次に、上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。なお、回転電機装置1を発電機または電動機として動作させること自体は公知の従来装置と全く同様であるので説明を省略する。回転電機装置1のロータ6が発電機または電動機として回転すると、ファン6bによって機外から外気が破線矢印Aで示すようにカバーケース11の吸気孔11bからカバーケース11内に取り入れられ、ヒートシンク81A、81Bを経てリアブラケット2の通風孔2bを通り、ステータ4の一側部のステータコイル4a側方部を順次通過して、リアブラケット2の排気部2aより放射方向に排出され、気流制御部材13によって軸方向他側部方向(図1の右方向)に偏向されて機外に排出される。
上記のように実施の形態1によれば、リアブラケット2の排気部2aに、排出される冷却風をステータ4の軸方向他側部方向(図1の右側方向)に偏向させる気流制御部材13を設けたことにより、排気部2aから排出された高温の冷却風の還流が抑制され、スイッチング素子82A、82Bを有するパワー回路部8の冷却効果が高められる。その結果、ヒートシンク81A、81Bの温度は低減して、装置を小型化できる。また、気流制御部材13はリアブラケット2からの熱が伝導されることで放熱板としても機能しており、冷却風との接触面積を大きくしていることでリアブラケット2の温度を低減することができる。その結果、リアブラケット2に組み付けたヒートシンク81A、81Bへの受熱が小さくなり、ヒートシンク温度を低減して、装置を小型化できる。さらに、リアブラケット2の排気部2aからの異物混入を防ぐことができ、製品の破損を抑制して、信頼性を向上させることができる。
また、従来装置では複数のスイッチング素子が一つのヒートシンクに実装されていたため、スイッチング素子間で熱干渉が発生してスイッチング素子温度のばらつきがあったので、スイッチング素子温度は最大温度基準で設計されるため、ヒートシンクを大きくする必要があった。これに対し実施の形態1では、ヒートシンクは複数に分割されていることで、各相への熱干渉を減らし、かつ、気流制御部材13を個別に配置することで、局所的な温度分布を無くして、ヒートシンク温度を低減させ、装置を小型化できる。また、気流制御部材13はエンジンのハウジングの形状によって、還流の大きい相のみに設置することができ、部品コストを低減することができる。さらに、還流を抑制できるため、エンジンのハウジングに近接して設置することができ、設置スペースを小さくすることができる。また、気流制御部材13はヒートシンク81A、81Bとカバーケース11を共締めする構造であるため、接続点数が少なく、合理的であり、部品コストを低減することができる。
実施の形態2.
図4はこの発明の実施形態2による回転電機装置の要部を示す断面図である。図において、気流制御部材17はリアブラケット2の排気部2aの径方向外側に突出され該排気部2aの外方を風路を介して覆った後、ステータ4の軸方向他側部方向(図4の右側方向)に長く伸びて延在するように延出して形成されている。その他の構成、符号は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。上記のように構成された実施の形態2においては、冷却風は矢印Bに示す経路となり、前軸方向から機外へ排出されることで、還流が一層抑制されると共に、冷却風の一部はステータ4の外側面に衝突される。ステータ4の温度は排気温度よりも高温であるため、冷却風の排気によりステータ4も冷却される。
上記のように実施の形態2によれば、気流制御部材17を軸方向他側部方向(図4の右側方向)に長く伸びて延在するように延出したことにより、還流が一層抑制されると共に、ステータ4を冷却するための通風経路を形成することができる。このため、ステータ4からリアブラケット2、ヒートシンク81A、81Bへの受熱を小さくでき、ヒートシンク温度を低減できる。その結果、装置を一層小型化できる。また、気流制御部材17は長く伸びて延在していることで表面積が増大し冷却風との接触面積が大きくなり、よりリアブラケット2の温度を低減できる。また、リアブラケット2の排気部2aからの異物混入をより一層防ぐことができ、製品の破損を抑制して、信頼性を向上させることができる。
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3による回転電機装置の要部を示す断面図である。上記実施の形態2との違いは気流制御部材18の内側にフィン18a及び外部にフィン18bからなる凹凸をそれぞれ設けたことである。なお、フィン18a、18bは、気流制御部材18を例えば金属で構成する場合には、形成するときにプレス等を用いて、凹凸形状を設ければ良い。また、樹脂で一体注型してもよい。なお、該凹凸は気流制御部材18の両面に設けた例で示しているが、内側及び外側の何れか一方のみに設けても相応の効果が得られることは勿論である。その他の構成は実施の形態2と同様であるので説明を省略する。
上記のように構成された実施の形態3においては、内側のフィン18aはファン6bの回転時に気流制御部材18を用いてリアブラケット2を強制冷却するのに主に使用される。一方、外側のフィン18bはファン6bの停止後に気流制御部材18を用いてリアブラケット2を自然空冷するのに主に使用される。特に、外側のフィン18bはアイドルストップ時のエンジン停止状態ではファン6bが回転しないため、ヒートシンク81A、81Bは冷却されずに、発熱体であるステータ4からの受熱を受けて温度上昇するが、自然空冷されることで、ヒートシンク81A、81Bの温度上昇を小さくでき、効率良くアイドルストップを可能にする。また、気流制御部材18のフィン18aの凸部に冷却風が衝突することで、ステータ4の外表面方向に排気流が多く流れることにより、ステータ4も効率良く冷却される。
上記のように実施の形態3によれば、気流制御部材18の内側及び外側にフィン18a、18bからなる凹凸を設けたことにより、ファン6bの回転時及び停止時のリアブラケット2の温度を低減することができる。このため、ヒートシンク81A、81Bの温度上昇も抑制されることで装置を小型化できる。また、フィン18a、18bにより、回転時には気流制御部材18とステータ4の強制冷却が行なわれ、停止時には気流制御部材18の自然冷却が促進されることでスイッチング素子82A、82Bの温度を低減でき、効率良くアイドリングストップを行うことができる。また、ステータ4の外表面に向けて冷却風の流れが発生することで、ステータ4の温度を低減することができ、ヒートシンク81A、81Bの受熱を小さくすることで、装置を小型化できる。また、気流制御部材18にフィン18a、18bからなる凹凸を設けたことで、気流制御部材18の剛性が向上し、耐振動性も向上するという効果が得られる。
実施の形態4.
図6はこの発明の実施の形態4による回転電機装置の要部を示す断面図である。この実施の形態4では、実施の形態2に示す気流制御部材17とカバーケース11を一体成形して、気流制御部材付カバーケース19としたことである。なお、気流制御部材付カバーケース19の図の左端部側には吸気孔19aが設けられ、右端部側には気流制御部19bが形成されている。その他の構成は実施の形態2と同様であるので説明を省略する。
この実施の形態4では、上記構造により、実施の形態2と同様の作用効果が得られる他気流制御部19bがカバーケースと一体的に樹脂成形されることで、部品点数が減り、工作性もよくなり、安価で簡単な構成とすることができる。また、一体化されていることで、気流制御部19bの剛性が向上され、耐振動性を向上させることができるとういう効果も得られる。
なお、上記実施の形態の説明では、回転電機装置1をハイブリッドカーなどの発電機兼始動電動機として用いる場合について説明したが、用途や使用方法などは必ずしも実施の形態に限定されるものではないことは言うまでもない。また、パワー回路部8をリアブラケット2側に設けた場合について説明したが、フロントブラケット3側に設置することも差し支えない。その他、例えばパワー回路部8の温度を検知する熱センサを設け、アイドリングストップ時に該熱センサが予め設定された所定値を超えたときに、車両に標準装備されているバッテリーにより電動ファンを回転させて冷却する機能を付加するなど、この発明の精神の範囲内で種々の変形や変更が可能であることは言うまでもない。
この発明の実施の形態1による制御装置一体型の回転電機装置の全体構成を示す側面断面図。 図1の回転電機装置をリアブラケット側から見た背面図。 図1に示された気流制御部材を示す斜視図。 この発明の実施形態2による回転電機装置の要部を示す断面図。 この発明の実施形態3による回転電機装置の要部を示す断面図。 この発明の実施形態4による回転電機装置の要部を示す断面図。
符号の説明
1 回転電機装置、 2 リアブラケット(ブラケット)、 2a 排気部、 2b 通風孔、 3 フロントブラケット、 4 ステータ、 4a ステータコイル、 5A、5B ベアリング、 6 ロータ、 6a 界磁巻線、 6b ファン、 7 シャフト、 8 パワー回路部、 81A、81B ヒートシンク、 82A、82B スイッチング素子、 83、84 絶縁部材、 9 制御基板、 10 ブラシ、 11 カバーケース、 11a 蓋、 11b 吸気孔、 12 コネクタ、 13、17、18 気流制御部材、 13a 固定部(フランジ)、 13b フィン部、 14 ボルト、 15 ナット、 16 プーリ、 18a、18b フィン(凹凸)、 19 気流制御部材付カバーケース、 19a 吸気孔、 19b 気流制御部。

Claims (4)

  1. ステータに対する軸方向の一側部に設けられヒートシンクを具備するパワー回路部と、このパワー回路部を保持すると共に、機外方向から該パワー回路部を経た冷却風が上記ステータの一側部で放射方向に排出されるように設けられた排気部を有するブラケットと、このブラケットの排気部に設けられ、該排気部から排出された冷却風を上記ステータの軸方向他側部方向に偏向させる金属製気流制御部材とを備え、上記ブラケットは冷却風を軸方向に上記ステータ側に流入させるための通風孔を有するリアブラケットからなり、上記パワー回路部は該リアブラケットの通風孔の外側部に配設され、かつ、上記リアブラケットに固定されて上記パワー回路部を包囲すると共に軸方向外側から外気を流入させるための上記通風孔に連通する吸気孔を有するカバーケースが設けられているものであって、上記気流制御部材に一体形成された上記気流制御部材の固定部は上記パワー回路部の上記ヒートシンクと共に上記カバーケースに対して共締めされていることを特徴とする制御装置一体型の回転電機装置。
  2. 上記パワー回路部は上記ステータの周方向に分割して配設された複数のヒートシンクを備え、上記気流制御部材は、該複数のヒートシンクに応じて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機装置。
  3. 気流制御部材は、上記排気部の径方向外側に突出され該排気部の外方部を覆った後上記ステータの軸方向他側部方向に長く伸びて延在するように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転電機装置。
  4. 上記気流制御部材は、表面に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の回転電機装置。
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