従来の技術においては、効果的な運転支援を行うことができなかった。
すなわち、特許文献1に開示された技術においては、前記閾値を自車両の車速に基づいて決定しているため、自車両の速度に応じて当該閾値が変動する。このため、自車両の車速が変動すると前記閾値が変動し、自車両と一時停止地点との間の距離が逓減している過程であっても当該距離が複数回閾値を下回ることがあり得る。従って、当該距離が閾値を下回ったときのスロットル開度が警告を行うべき状態である場合には警告がなされ、複数回の警告がなされ得る。しかし、この種の警告が複数回行われると、運転者は当該警告に対する注意力を低下させ、当該警告の効果が充分に現れない。従って、従来技術における警告は効果的な運転支援として機能していない。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、効果的な運転支援を行うことを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明においては、目標位置を取得し、予め決められた減速特性にて自車両を走行させて目標位置において自車両を目標車速とするときの車速の推移を想定し、少なくとも自車両の現在位置から目標位置までの間の各位置にて当該車速を想定して基準車速とする。また、目標位置を取得した後、最初に自車両の現在位置における現在車速が基準車速を越えたときに当該現在位置より前方に制御位置を設定する。そして、自車両が当該制御位置に到達したときの自車両における動作に応じて減速支援部に自車両における減速を支援するための制御を行わせる。
すなわち、目標位置を取得した後、最初に自車両の現在位置における現在車速が基準車速を越えたときに減速支援のための制御を開始する制御位置を決定し、新たに目標位置を設定した後において、1回だけ制御位置の設定が行われ、当該制御位置において減速支援のための制御が1回だけ行われる。このため、警告など、減速を支援するための制御が複数回行われることはなく、減速を支援するための制御を効果的な運転支援として機能させることができる。
ここで、目標位置は、自車両を目標車速にする目標位置を示す情報であれば良く、予め目標車速が対応付けられた各種の位置を目標位置とすることができる。例えば、一時停止位置(目標車速0km/h)や制限車速のある道路(目標車速は制限車速)に設定された所定の位置を目標位置とすれば良い。
むろん、目標位置の設定法は他にも種々の構成を採用可能であり、一時停止位置や制限車速のある道路に設定された所定の位置から所定距離だけ自車両に近い位置を目標位置としても良いし、当該所定距離を自車両の現在車速に応じて変動させても良い。例えば、自車両の現在車速が0〜特定の値までの間は所定距離を一定とし、現在車速が当該特定の値を超えたときに現在車速に応じて所定距離を増加させる構成を採用可能である。また、当該目標位置を示す情報は、種々の態様によって取得可能であり、自車両に搭載された記録媒体に当該情報を記録しておき、当該情報を取得しても良いし、当該情報を記録する記録媒体を備える外部機器から通信等を介して取得しても良い。
基準車速情報取得手段は、予め決められた減速特性にて自車両を走行させて目標位置における車速を目標車速にするときの車速の推移に対応した情報、すなわち、位置毎の車速を基準車速として取得すればよい。従って、予め決められた減速特性に対応した各位置における車速を基準車速とすることができればよく、減速特性に基づいて演算を行うことによって当該各位置における基準車速を取得しても良いし、予め各位置における基準車速の対応関係を、例えばテーブル等として定義しておき、当該対応関係を示す情報を取得しても良い。
減速特性は車両を減速する際の車両の動作を特定するための情報であり、目標位置において自車両の車速を目標車速とするときの自車両の動作(例えば、位置や車速,加速度等)を特定可能であればよい。従って、減速特性は減速度(負の加速度)を示す情報であっても良いし、距離に対する車速の変化を示す情報であっても良く、種々の構成を採用可能である。むろん、車両の重量や路面の摩擦係数等に応じて減速度を調整する構成であっても良い。なお、減速特性は、自車両において制動を行って目標位置において目標車速にすることが可能な限界の減速度よりも絶対値の小さな減速度に対応した特性に設定することが好ましい。
また、当該限界の減速度よりも絶対値の小さな減速度は、多くの運転者が通常の運転で減速する際の典型的な減速度であることが好ましい。この構成によれば、多くの運転者が余裕を持って自車両を減速させて目標位置における車速を目標車速にすることができる。なお、典型的な減速度は予め決定されていれば良く、多数の運転者について、各運転者の減速操作による減速度の統計を取得し、その統計値(例えば、平均値や中央値等)に基づいて典型的な減速度を決定する構成等を採用可能である。むろん、減速度は一定であっても良いし、自車両の現在車速が自車両の現在位置における基準車速を最初に越えた時点からの経過時間や目標位置からの距離によって変動する減速度であっても良い。
このように典型的な減速度に対応した減速特性に基づいて決定される基準車速に従って自車両を走行させると、多くの運転者が余裕を持って自車両を減速させて目標位置における車速を目標車速にすることが可能であるものの、自車両の現在車速が基準車速を越えるタイミングは、減速を支援するタイミングとして早すぎる場合が多い。そこで、本発明のように、自車両の現在車速が基準車速を越えたときの自車両の現在位置より前方に制御位置を設定することにより、過度に早いタイミングで減速を支援するための制御を開始することを防止することができる。
自車両動作情報取得手段は、自車両の現在位置と現在車速とを示す情報を取得することができれば良く、各種センサやカメラ、各種通信などによって取得される種々の情報に基づいて自車両の動作を取得可能である。例えば、車両の位置、速度(あるいは加速度等から得られる速度)をセンサやカメラによって特定する構成や、GPSからの信号や地図上での自車両での軌跡,車車間通信,路車間通信等によって取得する構成を採用可能である。
制御位置設定手段は、目標位置を取得した後、自車両の現在車速が自車両の現在位置における基準車速を最初に越えたときに、自車両の現在位置より前方に制御位置を設定することができればよい。すなわち、自車両の現在位置毎に当該位置に対応付けられた基準車速と自車両の現在車速とを比較し、自車両の現在車速が基準車速を越えるか否か判定して自車両の前方に制御位置を設定すればよい。
なお、制御位置設定手段においては、各目標位置について制御位置を1回だけ設定し、これにより減速を支援するための制御を当該制御位置において1回実施するように構成すればよい。また、ここでは、制御位置の設定処理自体が1回だけであれば良く、1回の設定処理において複数の箇所に制御位置を設定する構成を採用しても良い。すなわち、減速を支援するための制御に複数種類の制御があり得る場合には、各種類の制御を1回だけ実施するように各種類の制御に関する制御位置を決定すればよい。
さらに、制御位置は、自車両の現在車速が基準車速を最初に越えたときの自車両の現在位置より前方に設定し、目標位置に到達する以前に減速を支援できるように設定すれば良い。従って、例えば、自車両の現在位置から目標位置までの距離に所定の係数(例えば一定の係数<1)を乗じて取得した値に基づいて制御位置を特定する構成を採用可能である。例えば、当該係数を乗じて取得した値が制御位置から目標位置までの距離であるとし、当該距離に基づいて制御位置を特定する構成を採用可能である。ここでは、制御位置から目標位置までの距離が、自車両において減速を行って目標位置における車速を目標車速にすることができる距離となるように、当該係数の大きさを設定すればよい。
なお、基準車速や減速特性,制御位置は、自車両の現在車速や、自車両の現在位置から目標位置までの距離などに応じて変動させても良い。例えば、自車両の現在車速が速いほど、基準車速が速く、あるいは、減速特性に対応する減速度の絶対値が大きくなるように設定しても良いし、自車両の現在車速が速いほど制御位置を算出する際の前記係数の値を大きくしても良い。また、自車両の現在位置から目標位置までの距離が小さいほど、基準車速が速く、あるいは、減速度の絶対値が大きくなるように設定しても良いし、自車両の現在車速が速いほど制御位置を算出する際の前記係数の値を大きくしても良い。
減速支援手段は、自車両の現在位置が制御位置に一致したときの自車両における動作に応じて自車両に搭載された減速支援部に前記自車両における減速を支援するための制御を行わせることができればよい。ここで、減速支援部は自車両における減速を支援するための装置であり、運転者に減速を促す装置であっても良いし、実際に減速を行う装置であっても良い。前者としては、例えば、運転者に減速を促すための案内を行う報知部(例えば、表示装置やスピーカー)が挙げられ、後者としては、例えば、自動制御によって自車両の制動を行う制動部(例えば、ブレーキの制御装置)が挙げられる。
また、減速を支援するための制御を行う際のトリガとなる自車両における動作は、減速を行うべきであるか否かを判定するための動作であれば良く、自車両の位置や車速、加速度等であってもよいし、自車両において行われている運転操作に対応した動作であってもよい。
さらに、制御位置における減速支援の例として運転者に対する報知と制動動作との双方を実施可能に構成してもよい。例えば、上述の制御位置として、自車両の運転者に減速を促す報知を行う報知制御位置を設定し、当該報知制御位置よりも前方に自車両に対する制動制御を行う制動制御位置を設定する構成を採用可能である。
この構成において、減速支援手段は、自車両の現在位置が報知制御位置に一致したときの自車両における動作に応じて報知部に減速を促す報知を行うための制御を行わせ、自車両の現在位置が制動制御位置に一致したときの自車両における動作に応じて制動部に自車両を減速するための制御を行わせる。この結果、報知部と制動部とが備えられた自車両において、自車両に対して制動制御を行う前に運転者に対して減速を促す報知を行うことができる。
制動部においては、自車両を減速させるための制御を行うことができればよく、例えば、内燃機関の出力を制御しても良いし、変速機の変速比を制御しても良いし、ブレーキによる減速の程度を制御しても良く種々の構成を採用可能である。より具体的には、自車両の動作(例えば、自車両の現在車速と基準車速との差分)と制動部の制御量を対応付ける構成を採用可能である。なお、内燃機関の出力を制御する場合には、スロットル開度,燃料噴射量,点火時期のいずれかまたは組み合わせを制御すればよい。また、変速機の変速比を制御する場合には、シフトダウンを行うための制御を行えば良く、ブレーキによる減速の程度を制御する場合にはブレーキの程度を調整するための制動制御装置によりホイールシリンダの制動圧を増加または調整させればよい。
さらに、自車両の現在位置が制御位置に一致したときに参照する自車両における動作の例として、基準車速と現在車速との関係を採用可能である。例えば、自車両の現在位置が制御位置に一致したときの自車両の現在車速が制御位置における基準車速を所定量以上上回っている場合に、減速を支援するための制御を行わせる構成を採用可能である。
この構成によれば、自車両の現在車速が基準車速を所定量以上上回っているか否かを判定することによって、自車両において目標位置における車速を目標車速とするための減速がなされているか否かを判定することができる。すなわち、基準車速は予め決められた減速特性によって走行したときに目標位置における自車両の車速を目標車速にするための車速であるため、自車両の現在車速が基準車速を所定量以上上回っているときに、運転者が当該減速特性に対応した減速操作を行っていないと見なすことができる。
そこで、自車両の現在位置が制御位置に一致したときに参照する自車両の動作を現在車速と基準車速との差分で定義し、所定量の閾値と比較する構成とすることで、運転者の減速意志に応じて減速を支援するための制御を行わせることが可能になる。なお、自車両の現在車速から基準車速を減じたときとの差分に相当する所定量は、目標位置における車速を目標車速とするために基準車速よりも上回ることが許容される車速の範囲内で設定すれば良く、例えば、予め決められた一定の差分値であっても良いし、現在車速や基準車速に依存するように設定しても良く、種々の構成を採用可能である。
さらに、自車両の現在位置が制御位置に一致したときに参照する自車両における動作の例として、自車両において行われている運転操作に対応した動作を採用してもよい。例えば、自車両の現在位置が制御位置に一致したときに自車両に搭載された制動操作部にて制動操作が行われていない場合に、減速を支援するための制御を行わせる構成を採用可能である。
この構成によれば、運転者の減速意志に応じて減速を支援するための制御を行わせることが可能になる。なお、制動操作部における制動操作は、減速時の操作であり、ブレーキペダルを操作することによって減速を行っている場合や、アクセルペダルの操作量を所定量以下とすることによって減速を行っている場合に相当する。
さらに、減速特性は基準車速を取得する以前に予め決められていれば良く、例えば、自車両を減速させて走行したときの減速特性の履歴に基づいて基準車速を取得する構成を採用可能である。すなわち、当該減速特性の履歴は、自車両の運転者が通常行う操作によって得られる減速度に対応している。そこで、当該減速特性の履歴(例えば、平均値や中央値等)に基づいて減速特性を決定すれば、当該自車両の運転者が通常行う運転操作に対応した基準車速を取得することができ、より適切な減速支援を行うことが可能になる。
なお、減速特性の履歴は、自車両におけるすべての減速操作に関する履歴であっても良いし、特定の状態における減速操作に関する履歴であっても良い。例えば、減速の結果、自車両の車速が上述の目標車速と一致あるいは類似(差分が所定の範囲内)した車速になった場合に、所定の時点から当該目標車速に至るまでの減速操作について減速特性の履歴を収集する構成を採用可能である。むろん、他にも種々の構成を採用可能であり、例えば、自車両を減速させて目標位置に向けて走行して目標位置にて自車両の車速を目標車速としたときの減速特性の履歴を取得し、当該減速特性の履歴に基づいて前記基準車速を取得する構成を採用可能である。
さらに、運転者を識別し、運転者に応じて基準車速を切り替える構成を採用可能である。すなわち、運転者毎に運転傾向が異なり得るため、各運転者に応じた基準車速を予め定義しておき、運転者を識別して各運転者に応じた基準車速を取得することにより、各運転者に対して効果的な運転支援を行うことが可能になる。なお、運転者毎の基準車速は予め定義することができれば良く、運転者毎に減速特性を特定して基準車速を取得しても良い。
また、上述のように減速特性の履歴を取得する場合には、運転者識別手段によって運転者を識別して減速特性を取得し、運転者毎に減速特性の履歴を取得する構成とすることが好ましい。この構成により、各運転者が通常行う運転操作に対応した基準車速を取得することができ、運転者毎に、より適切な減速支援を行うことが可能になる。なお、運転者識別手段においては、運転操作を行う人物を特定することができれば良く、カメラやセンサ等に基づいて各運転者の特徴に対応した特徴量を予め取得しておき、実際の運転者についての特徴量と予め取得した特徴量とを比較することによって運転者を識別する構成を採用可能である。
さらに、本発明のように自車両の現在車速が基準車速を最初に越えたときに自車両の前方に制御位置を設定し、自車両が当該制御位置に到達したときの自車両の動作に応じて減速を支援するための制御を行う手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のような運転支援装置、プログラム、方法は、単独の運転支援装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような運転支援装置を備えたナビゲーション装置や方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、運転支援装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション装置の構成:
(2)運転支援処理:
(3)他の実施形態:
(1)ナビゲーション装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる運転支援装置を含むナビゲーション装置10の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30とを備えており、記録媒体30やROMに記録されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラム21を実行可能であり、当該ナビゲーションプログラム21はその機能の一つとして自車両の減速支援を行う機能を備えている。
自車両(ナビゲーション装置10が搭載された車両)には、ナビゲーションプログラム21による機能を実現するためにGPS受信部40と車速センサ41とスピーカー42と表示部43と制動部44とが備えられており、これらの各部と制御部20との信号の授受は図示しないインタフェースによって実現されている。
GPS受信部40は、GPS衛星からの電波を受信して自車両の現在位置を算出するための情報を出力する。制御部20は、この信号を取得して自車両の現在位置を取得する。車速センサ41は、自車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して自車両の速度を取得する。車速センサ41は、GPS受信部40の出力信号から特定される自車両の現在位置を補正するなどのためにも利用される。また、自車両の現在位置は、当該自車両の走行軌跡に基づいて適宜補正される。
さらに、制御部20はスピーカー42に制御信号を出力して任意の音声を出力させることができ、表示部43に制御信号を出力して任意の画像を表示させることができる。本実施形態においては、当該スピーカー42および表示部43にて運転者に減速を促す報知が行われる。また、制動部44は、自車両の車輪に搭載されたブレーキによる減速の程度を調整するホイールシリンダの圧力を制御する装置を含み、制御部20は、当該制動部44に対して制御信号を出力してホイールシリンダの圧力を調整させることが可能である。従って、制御部20が当該制動部44に対して制御信号を出力してホイールシリンダの圧力を増加させると、ブレーキによる制動力が増加し、自車両が減速される。
本実施形態においては、制御部20がナビゲーションプログラム21の処理によって自車両の走行予定経路に従って経路案内処理を行い、この過程において、自車両の車速を目標車速とすべき目標位置に自車両が近づいたときには、減速を支援するための運転支援処理を行う。すなわち、ナビゲーションプログラム21は、当該運転支援処理により、ナビゲーション装置10を本発明にかかる運転支援装置として機能させる。このため、ナビゲーションプログラム21は、目標位置情報取得部21aと基準車速情報取得部21bと自車両動作情報取得部21cと制御位置設定部21dと減速支援部21eとを備えている。
また、記録媒体30には、ナビゲーションプログラム21による案内および上述の運転支援を実施するため地図情報30aと減速特性情報30bとが記録されている。地図情報30aは、道路上に設定されたノードを示すノードデータやノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ、ノードや形状補間点の連結を示すリンクデータ、目標物を示すデータ等を含み、自車両の現在位置の特定や目的地への案内、自車両の走行軌跡に基づく自車位置の補正(マップマッチング)等に利用される。
また、本実施形態においては、自車両の車速を目標車速とすべき目標位置および当該目標車速を示す情報を含んでいる(目標位置情報30a1)。本実施形態において、当該目標位置情報30a1は一時停止位置や制限車速のある道路に設定された所定の位置を示す情報で構成されており、前者の目標車速は0km/h、後者の目標車速は制限車速である。
減速特性情報30bは、目標位置において自車両の車速を目標車速とするときの自車両の動作(例えば、位置や車速,加速度等)を特定可能な減速特性を示す情報であり、本実施形態において減速特性は、多くの運転者が通常の運転で減速する際の典型的な減速度(負の加速度)である。また、本実施形態においては、自車両において制動を行って目標位置において目標車速にすることが可能な限界の減速度よりも絶対値の小さな減速度である。
なお、上述の典型的な減速度は予め決定されていれば良く、多数の運転者について、各運転者の減速操作による減速度の統計を取得し、その統計値(例えば、平均値や中央値等)に基づいて典型的な減速度を決定するなどして定義することができる。むろん、減速度は一定であっても良いし、自車両の現在車速が自車両の現在位置における基準車速を最初に越えた時点からの経過時間や目標位置からの距離によって変動する減速度であっても良い。
(2)運転支援処理:
制御部20がナビゲーションプログラム21による処理を実行しているとき、図2に示す運転支援処理が一定期間(例えば、100ms)毎に繰り返し実施される。目標位置情報取得部21aは、記録媒体30から目標位置情報30a1を取得する処理を行うモジュールである。図2に示す運転支援処理において、制御部20は目標位置情報取得部21aの処理により、目標位置情報30a1を参照して自車両の現在位置より前方の所定範囲内にある直近の目標位置を示す目標位置情報30a1を取得する(ステップS100)。
基準車速情報取得部21bは、減速特性情報30bが示す減速度にて自車両を走行させて目標位置における車速を目標車速にする場合の車速であって、当該目標位置到達前の各位置における車速を基準車速として取得するモジュールである。すなわち、制御部20は、基準車速情報取得部21bの処理により、記録媒体30から減速特性情報30bを取得し(ステップS105)、当該減速特性情報30bが示す減速度を積分して車速および車速に対応した位置を取得する。そして、各位置に対応する車速を示す情報を基準車速情報として取得する(ステップS110)。
本実施形態における基準車速情報は、目標位置からの距離に対して基準車速を対応付けた情報である。すなわち、上述の典型的な減速度で自車両を減速させて目標位置における自車両の車速を目標車速とするときの車速の推移を各位置に対応付けた情報が基準車速情報である。
図3に示すグラフは横軸をある原点からの距離、縦軸を車速としたグラフであり、当該グラフに示す実線の直線は基準車速Vsの例を示している。すなわち、当該図3においては、上述の減速度に基づいて算出される位置毎の基準車速が直線になる場合の例を示している。なお、図3Aは目標位置Pdにおける目標車速が0km/h、図3Bは目標位置Pdにおける目標車速がVq(道路上の制限車速に対応する有限の値)である場合の例を示している。これらの図3A,3Bに示す例においては、目標位置Pdからの距離が遠くなるほど基準車速Vsが速くなり、横軸で示される各位置にて基準車速Vsとなるように自車両を走行させると目標位置Pdにて自車両の現在車速が目標車速になることを示している。
次に制御部20は、目標位置Pdを取得した後、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを最初に越えたか否かを判別する(ステップS115)。すなわち、制御部20は、自車両動作情報取得部21cの処理によって、GPS受信部40の出力信号を取得して自車両の現在位置を取得し、車速センサ41の出力信号を取得して自車両の現在車速Vcを取得する。また、制御部20は、制御位置設定部21dの処理により自車両の現在位置に対応する基準車速Vsを取得して、現在車速Vcが当該自車両の現在位置に対応する基準車速Vsより大きいか否かを判別する。
ステップS115にて、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを最初に越えていると判別されたときにはステップS120以降で自車両の減速を支援するための処理を行い、ステップS115にて、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを越えていると判別されないときにはステップS120およびステップS125をスキップする。この場合、後述する報知制御位置と制動制御位置とが設定されないため、自車両において減速を支援するための制御を行われない。
なお、本実施形態においては、減速を支援するための制御が複数回行われることを防止するため、目標位置Pdを新たに取得した後、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを最初に越えた場合に減速を支援するための処理を行う構成としている。この処理は、例えば、以前の目標位置Pdと異なる目標位置Pdを取得したときに、当該目標位置Pdを取得したことを示すフラグをオンとする構成によって実現可能である。すなわち、この構成において、ステップS115において自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを越えていると判別されたときに当該フラグをオフにすることとし、ステップS115の判別を行う際に当該フラグがオンでない場合にはステップS120,S125をスキップする構成等を採用可能である。
目標位置Pdを取得した後、自車両の現在車速Vcが最初に基準車速Vsを越えたとステップS115にて判別されたとき、制御部20は、制御位置設定部21dの処理により、報知制御位置を設定し(ステップS120)、制動制御位置を設定する(ステップS125)。本実施形態においては、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを最初に越えた時点における自車両の現在位置P1より前方に報知制御位置と制動制御位置とを設定する。本実施形態においては、当該自車両の現在位置P1から目標位置Pdまでの距離L1に一定の係数Ca(Ca<1)を乗じて報知制御位置P2を取得し、当該距離L1に一定の係数Cs(Cs<1かつCs<Ca)を乗じて制動制御位置P3を取得する構成としている。
すなわち、距離L1に係数Caを乗じて得られる距離L2を目標位置Pdから報知制御位置P2までの距離として定義し、目標位置Pdから自車両方向に距離L2離れた位置を報知制御位置P2とする。同様に、距離L1に係数Csを乗じて得られる距離L3を目標位置Pdから制動制御位置P3までの距離として定義し、目標位置Pdから自車両方向に距離L3離れた位置を制動制御位置P3とする。この結果、図3A,3Bに示すように、自車両の現在位置P1の前方(自車両から目標位置Pdを向いた方向)に報知制御位置P2が設定され、さらにその前方に制動制御位置P3が設定される。
なお、本実施形態において、上述の係数Ca,Csは予め決められた一定の係数であり、運転者が減速を促す報知を認知・判断した後に減速を行って目標位置における車速を目標車速にすることができる範囲で距離L2を決定できるように係数Caの大きさを設定すればよい。また、自車両において減速を実際に開始して目標位置における車速を目標車速にすることができる範囲で距離L3を決定できるように係数Csの大きさ設定すればよい。むろん、距離L3を距離L2に基づいて算出(L3<L2)しても良い。
次に、制御部20は、制御位置設定部21dの処理により、自車両の現在車速Vcと基準車速Vsとの差分(Vc−Vs)である車速偏差ΔVを取得する(ステップS130)。上述のように、図2に示す処理は一定期間毎に繰り返し実施されるので、自車両の各位置において車速偏差ΔVが取得される。従って、車速偏差ΔVは、報知制御位置P2,制動制御位置P3においても取得される。本明細書においては、報知制御位置P2における車速偏差をΔV2、制動制御位置P3における車速偏差をΔV3と記述する。
さらに、制御部20は、制御位置設定部21dの処理により、報知制御位置P2での車速偏差(車速偏差ΔV2)が予め決められた報知閾値T2より大きいか否かを判別する(ステップS135)。すなわち、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを所定量T2以上上回っているか否かを判定する。ステップS135にて車速偏差ΔV2が報知閾値T2より大きいと判別されたときには、制御部20が減速支援部21eの処理により、スピーカー42および表示部43に減速を促すための制御を行わせる(ステップS140)。一方、ステップS135にて車速偏差ΔV2が報知閾値T2より大きいと判別されないときには、ステップS140をスキップする。
ここで、報知閾値T2は、報知制御位置P2における車速偏差ΔV2と比較される閾値として予め設定されており、報知制御位置P2における自車両の動作が運転者による減速の意志に対応した動作になっているか否かを判定するための閾値である。すなわち、基準車速Vsは予め決められた減速特性によって走行したときに目標位置Pdにおける自車両の現在車速Vcを目標車速にするための車速であるため、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを所定量(報知閾値T2)以上上回っているときに、運転者が当該減速特性に対応した減速操作を行っていないと見なすことができる。
そこで、自車両の動作に対応する現在車速Vcと基準車速Vsとの差分を、報知閾値T2と比較する構成とすることで、運転者の減速意志に応じて減速を支援するための報知を行わせることが可能になる。なお、報知閾値T2は、目標位置Pdにおける車速を目標車速とするために基準車速Vsよりも上回ることが許容される車速の範囲内で設定すれば良く、本実施形態においては、予め一定の差分値が報知閾値T2として定義されている。
さらに、制御部20は、制御位置設定部21dの処理により、制動制御位置P3での車速偏差(車速偏差ΔV3)が予め決められた制動閾値T3より大きいか否かを判別する(ステップS145)。すなわち、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを所定量T3以上上回っているか否かを判定する。
ステップS145にて車速偏差ΔV3が制動閾値T3より大きいと判別されたときには、制御部20が減速支援部21eの処理により、制動部44に減速を行わせる(ステップS150)。一方、ステップS145にて車速偏差ΔV3が制動閾値T3より大きいと判別されないときには、ステップS150をスキップする。
ここで、制動閾値T3は、制動制御位置P3における車速偏差ΔV3と比較される閾値として予め設定されており、制動制御位置P3における自車両において減速動作が行われているか否かを判定するための閾値である。すなわち、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを所定量(報知閾値T3)以上上回っているときに、制動制御位置P3において自車両において減速動作が行われていないと見なす。ここでも、制動閾値T3は、目標位置Pdにおける車速を目標車速とするために基準車速Vsよりも上回ることが許容される車速の範囲内で設定すれば良く、本実施形態においては、予め一定の差分値が制動閾値T3として定義されている。
なお、本実施形態における制動部44は、車速偏差ΔV3とホイールシリンダにおける圧力とを対応付けたテーブルデータを備えており、上述のステップS150においては、制御部20が車速偏差ΔV3を示す制御信号を制動部44に対して出力する。制動部44が当該制御信号を受け取ると、制動部44は当該車速偏差ΔV3に対応した圧力を発生させるための信号をホイールシリンダに出力し、当該車速偏差ΔV3に対応した制動力で自車両を減速させる。むろん、上述の報知閾値T2,制動閾値T3は、一定の差分値であっても良いし、現在車速や基準車速に依存するように設定しても良く、種々の構成を採用可能である。
以上の処理においては、目標位置Pdを取得した後、自車両の現在車速Vcが最初に基準車速Vsを越えたときに制御位置(報知制御位置および制動制御位置)を1回だけ設定し、再度制御位置を設定しないように構成している。このため、報知制御位置および制動制御位置はそれぞれ一カ所だけ設定される。報知制御位置および制動制御位置が一カ所であるとき、自車両において目標位置Pdに近づく過程において自車両は報知制御位置および制動制御位置を1回だけ通過する。従って、警告など、減速を支援するための制御が複数回行われることはなく、減速を支援するための制御を効果的な運転支援として機能させることができる。
また、上述の減速特性は、自車両において制動を行って目標位置Pdにおいて目標車速にすることが可能な限界の減速度よりも絶対値の小さな減速度であって、多くの運転者が通常の運転で減速する際の典型的な減速度である。従って、当該減速特性に基づいて基準車速Vsを特定し、基準車速Vsと自車両の現在車速Vcとを比較して減速を支援するための制御を行わせることにより、多くの運転者が余裕を持って自車両を減速させて目標位置Pdにおける車速を目標車速にすることができるように報知や制動を行うことが可能になる。
一方、上述のように典型的な減速度に対応した減速特性に基づいて決定される基準車速Vsに従って自車両を走行させると、多くの運転者が余裕を持って自車両を減速させて目標位置Pdにおける車速を目標車速にすることが可能であるものの、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを越えるタイミングは、減速を支援するタイミングとして早すぎる場合が多い。そこで、本発明のように、自車両の現在車速Vcが基準車速Vsを越えたときの自車両の現在位置P1より前方に制御位置(報知制御位置および制動制御位置)を設定することにより、過度に早いタイミングで減速を支援するための制御を開始することを防止することができる。
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、自車両の現在車速が基準車速を最初に越えたときに自車両の前方に制御位置を設定し、自車両が当該制御位置に到達したときの自車両の動作に応じて減速を支援するための制御を行うことができる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、目標位置の設定法は種々の構成を採用可能であり、一時停止位置や制限車速のある道路に設定された所定の位置から所定距離Ldだけ自車両に近い位置を目標位置としても良いし、当該所定距離Ldを自車両の現在車速に応じて変動させても良い。
例えば、自車両の現在車速が0〜特定の値までの間は所定距離Ldを一定とし、現在車速が当該特定の値を超えたときに現在車速に応じて所定距離Ldを増加させる構成を採用可能である。また、当該目標位置を示す情報は、種々の態様によって取得可能であり、目標位置を示す情報を記録する記録媒体を備える外部機器から通信等を介して取得しても良い。
さらに、上述の実施形態においては、減速度に基づいて基準車速情報を取得していたが、むろん、基準車速情報は他にも種々の構成によって取得可能であり、予め決められた減速特性にて自車両を走行させて目標位置における車速を目標車速にする場合の、各位置と基準車速との対応関係を、予め例えばテーブル等として定義しておき、当該対応関係を示す情報を取得しても良い。また、減速特性は距離に対する車速の変化を示す情報であっても良く、種々の構成を採用可能である。むろん、車両の重量や路面の摩擦係数等に応じて減速度を調整する構成であっても良い。
さらに、自車両動作情報取得手段にて、自車両の現在位置と現在車速とを示す情報を取得するための構成は、各種カメラ、各種通信など、種々の構成を採用可能である。例えば、車両の位置、速度(あるいは加速度等から得られる速度)をカメラによって特定する構成や、GPSからの信号や地図上での自車両での軌跡,車車間通信,路車間通信等によって取得する構成を採用可能である。なお、本発明においては、各目標位置について制御位置を1回だけ設定し、これにより減速を支援するための制御を当該制御位置において1回実施するように構成すればよい。
また、基準車速や減速特性,制御位置は、自車両の現在車速や、自車両の現在位置から目標位置までの距離などに応じて変動させても良い。例えば、自車両の現在車速が速いほど、基準車速が速く、あるいは、減速特性に対応する減速度の絶対値が大きくなるように設定しても良いし、自車両の現在車速が速いほど制御位置を算出する際の前記係数の値を大きくしても良い。また、自車両の現在位置から目標位置までの距離が小さいほど、基準車速が速く、あるいは、減速度の絶対値が大きくなるように設定しても良いし、自車両の現在車速が速いほど制御位置を算出する際の前記係数の値を大きくしても良い。
さらに、減速を支援するための制御を行う際のトリガとなる自車両における動作は、減速を行うべきであるか否かを判定するための動作であれば良く、上述のような車速偏差の他、自車両の位置や車速、加速度等であってもよいし、自車両において行われている運転操作に対応した動作であってもよい。
さらに、制動部においては、自車両を減速させるための制御を行うことができればよく、例えば、ブレーキによる減速の程度を制御する構成の他、内燃機関の出力を制御しても良いし、変速機の変速比を制御しても良いし、これらの組み合わせで減速を行う構成としても良い。なお、ブレーキによる減速の程度を制御するためのテーブルデータとしては、上述のように車速偏差と制御量(ホイールシリンダにおける圧力)とを対応付ける構成であっても良いし、車速偏差以外にも各種の自車両の動作(例えば自車両の減速度)と制動部の制御量を対応付ける構成を採用可能である。さらに、内燃機関の出力を制御する場合には、スロットル開度,燃料噴射量,点火時期のいずれかまたは組み合わせを制御すればよい。また、変速機の変速比を制御する場合には、シフトダウンを行うための制御を行えばよい。
さらに、自車両の現在位置が制御位置に一致したときに参照する自車両における動作の例として、自車両において行われている運転操作に対応した動作を採用してもよい。例えば、自車両の現在位置が制御位置に一致したときに自車両に搭載された制動操作部にて制動操作が行われていない場合に、減速を支援するための制御を行わせる構成を採用可能である。
この構成によれば、自車両において運転者が実際に制動操作を行っていない場合に減速を支援するための制御を行わせることにより、運転者の減速意志に応じて減速を支援するための制御を行わせることが可能になる。なお、制動操作部における制動操作は、減速時の操作であり、ブレーキペダルを操作することによって減速を行っている場合や、アクセルペダルの操作量を所定量以下とすることによって減速を行っている場合に相当する。
さらに、自車両を減速させて走行したときの減速特性の履歴を運転者毎に識別し、運転者毎の基準車速を取得する構成を採用しても良い。図4は、かかる実施形態における運転支援装置を含むナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。同図4に示す構成は図1に示す構成とほぼ同様であるが、自車両に車内カメラ400が搭載され、ナビゲーションプログラム21に運転者識別部210aが追加されている。また、基準車速情報取得部21bにおける処理内容が異なり、減速特性情報30bが運転者毎に定義される点と減速特性の履歴が蓄積される点とが異なっている。
車内カメラ400は、自車両の運転席を視野に含む位置に取り付けられたカメラであり、撮影した画像を示す画像情報を出力する。運転者識別部210aは当該画像情報に基づいて運転者を識別するためのモジュールであり、制御部20は運転者識別部210aの処理によって上述の画像情報を取得し、当該画像に含まれる運転者の画像の特徴量に基づいて運転者を識別する。すなわち、予め画像情報に基づいて運転者の画像の特徴量を取得しておき、当該特徴量毎に運転者を分類して記録媒体30に記録しておく。そして、運転者を識別する際には、運転者識別部210aの処理によって取得した画像に含まれる運転者の画像の特徴量と記録媒体30に記録された特徴量とを比較することによって運転者を識別する。なお、運転者識別部210aにおいては、運転者を識別することができれば良く、車内カメラ400の他、重量センサなど各種のセンサを利用して運転者を識別する構成を採用可能である。
また、減速特性情報30bは、運転者毎に減速特性の履歴を記録した情報であり、本実施形態においては、運転者と当該運転者が運転をしているときの減速度の履歴とを対応付けた情報である。本実施形態における基準車速情報取得部21bは、当該履歴を収集する機能も備えており、自車両が走行しているときに運転者毎の減速度を収集する。すなわち、制御部20は、運転者識別部210aによって識別された運転者を示す情報を取得し、また、GPS受信部40や車速センサ41が出力する情報に基づいて自車両の減速度を取得する。そして、自車両の走行中における減速度を、前記識別された運転者に対応付けて減速特性情報30bに記録する。
一方、運転支援を行う際には上述の図2に示す処理とほぼ同様の処理を行うが、運転者毎の減速特性に基づいて基準車速を決定するため、本実施形態における運転処理においては、ステップS105およびS110において図2と異なる処理を行う。すなわち、本実施形態においては、制御部20が基準車速情報取得部21bによって運転者識別部210aによる運転者の識別結果を取得する処理を行う。そして、減速特性情報30bを参照し、当該運転者に関する減速特性、すなわち、当該運転者の減速度の履歴を取得し、当該履歴の平均値や中央値等を取得して当該運転者の減速度を特定する。また、当該運転者に対応する減速度を積分して車速および車速に対応した位置を取得する。さらに、制御部20が基準車速情報取得部21bによって各位置に対応する車速を示す情報を基準車速情報として取得する処理を行う。すなわち、運転者に応じて基準車速を切り替える。
ステップS115以降の処理は、図2に示す処理と同様である。以上の結果、本実施形態においては運転者毎の基準車速が特定されるため、運転者毎の減速特性に応じたより適切な減速支援を行うことが可能になる。
なお、減速特性の履歴は、自車両におけるすべての減速操作に関する履歴であっても良いし、特定の状態における減速操作に関する履歴であっても良い。例えば、減速の結果、自車両の車速が上述の目標車速と一致あるいは類似(差分が所定の範囲内)した車速になった場合に、所定の時点から当該目標車速に至るまでの減速操作について減速特性の履歴を収集する構成を採用可能である。むろん、他にも種々の構成を採用可能であり、例えば、自車両を減速させて目標位置に向けて走行して目標位置にて自車両の車速を目標車速としたときの減速特性の履歴を取得し、当該減速特性の履歴に基づいて前記基準車速を取得する構成を採用可能である。
さらに、図4に示す構成において、運転者を識別しない構成を採用しても良い。すなわち、運転者を識別する構成を省略して自車両の減速特性の履歴を取得する構成とすれば、自車両において通常行われる減速操作に関する減速特性を取得することができる。従って、自車両における通常の減速特性に対応した基準車速を取得することができる。また、運転者識別部を備えるが、自車両の走行中に減速特性の履歴を取得しない構成を採用しても良い。すなわち、予め運転者自身が複数の減速度の候補から選択した運転者毎の減速特性を示す減速特性情報30bを記録媒体30に記録しておき、運転者識別部210aによって識別された運転者毎の減速特性情報30bを参照して基準車速を取得する構成を採用しても良い。
10…ナビゲーション装置、20…制御部、21…ナビゲーションプログラム、21a…目標位置情報取得部、21b…基準車速情報取得部、21c…自車両動作情報取得部、21d…制御位置設定部、21e…減速支援部、30…記録媒体、30a…地図情報、30a1…目標位置情報、30b…減速特性情報、40…GPS受信部、41…車速センサ、42…スピーカー、43…表示部、44…制動部