本発明は、波長可変レーザ光発生装置に関し、特に、波長可変範囲が連結している複数の波長可変レーザ素子が搭載され、レーザ発振している波長可変レーザ素子を切り替えることによって、広帯域に亘って出射光の波長を変化させうる波長可変レーザ光発生装置に関する。
近年の通信需要の飛躍的な増大に伴い、波長の異なる複数の光信号を多重化して一本の光ファイバで大容量伝送する波長多重通信システム(WDMシステム: Wavelength Division Multiplexing システム)の開発が進んでいる。この様な波長多重通信システムにおいて柔軟且つ高度な通信システムを実現するため、広い波長範囲、例えばCバンド(1525〜1565nm)全域に亘って、所望の波長を高速に選択して出力できる波長可変レーザ装置の実用化が強く求められている。
このような波長可変レーザ装置として、一つの共通基板の上に、波長可変範囲が数nmの波長可変レーザ素子(例えば、3電極DBRレーザ素子等)を複数集積したアレイ集積型の波長可変レーザ装置の開発が進められている(特許文献1)。
図1は、このアレイ集積型の波長可変レーザ装置(以下、集積波長可変レーザ装置2と呼ぶ)の斜視図である。
この集積波長可変レーザ装置2では、半導体基板4の上に、波長可変範囲が僅かずつずれている複数の波長可変レーザ素子6が集積されており、それぞれの波長可変範囲を隙間なく連結させることによって広い波長範囲でのレーザ発振が実現される。そして、その波長可変レーザ素子6各々の出力端は光導波路8の一端と接合されており、光導波路8の他端は、例えば多モード干渉導波路(Multi Mode Interference,MMI)からなる光結合器10に接続されている。そして、光結合器10の出力導波路12には、光増幅器14が接続されている。
光結合器10は、光導波路8を伝播して来た各波長可変レーザ素子6の出力光の一部(又は全部)を、その出力導波路12に出力する。光増幅器14は、光導波路8から出力導波路12に至る光路(主に、光結合器10)で減衰した信号光(波長可変レーザ素子6の出力光)を増幅して、集積波長可変レーザ装置2の外部に出力する。
集積波長可変レーザ装置2は、一つの波長可変レーザ素子6のみを動作させ、その出力光を、光導波路8から光増幅器14に至る光路を伝播させて外部に出射する。
このようにして外部に出射されるレーザ光(以後、出射光と呼ぶ)の波長を変化させるためには、変化後の出射光の波長として所望の値が、動作中の波長可変レーザ素子6が波長を変化し得る範囲内(波長可変範囲)にあれば、動作中の波長可変レーザ素子6を制御して出射光の波長を所望の値にする。
一方、所望の波長が、動作中の波長可変レーザ素子6の波長可変範囲内にない場合には、所望の波長が可変波長範囲内に存在する他の波長可変レーザ素子6を動作させて、出射光の波長を所望の値にする。
集積波長可変レーザ装置2は、通常、可変波長範囲が互いに連結する複数の波長可変レーザ素子6によって構成される。従って、個々の波長可変レーザ素子6の可変波長範囲は数nmであるが、全体としては、例えばCバンド全体をカバーするような広帯域の可変波長範囲が実現される。
特開2006−286928号公報
特開2006−286928号公
Hiroyuki Ishii et al, "A Tunable Distributed Amplification DFB Laser Diode (TDA−DFB−LD)", IEEE PHOTONICS TECHNOLOGY LETTERS, VOL. 10, NO. 1, JANUARY 1998, pp 30−32.
集積波長可変レーザ装置2には、波長可変範囲は広く且つ波長可変動作が高速であることが要求される。このような要求を満たすためには、波長可変レーザ素子6の波長可変範囲はなるべく広く、且つその波長可変動作が高速であることが必要である。
このような要求を満たす波長可変レーザ素子としては、3電極DBR(Distributed Bragg Reflector)レーザ、TTG−DFB(Tunnable Twin Guide−Distributed Feedback)レーザ、波長可変分布増幅−分布帰還半導体レーザ素子(TDA−DFBレーザ素子;Tunable Distributed Amplification−Distributed Feedback Laser)などが挙げられる(特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1)。
これらの波長可変レーザ素子は、何れも、電流注入が可能なコア層とこのコア層に沿って設けられた回折格子とからなる光導波路を有する。このコア層に電流を注入すると、キャリアが蓄積してコア層の屈折率が変化する。コア層の屈折率が変化すると、光導波路の等価屈折率が変化する。その結果、回折格子のブラッグ波長が変化し、波長可変レーザ素子の発振波長が最大で数nm変化する。
これら波長可変レーザ素子の中でも、TDA−DFBレーザ素子は、モード跳びがないため、波長制御が容易である。しかも、素子の作製が容易である。このため、集積波長可変レーザ装置を構成する波長可変レーザ素子の選択肢として有望である。
図2は、駆動電源(励起電源34及び波長制御電源36)が接続された状態のTDA−DFBレーザ素子16の断面を説明する図である。図3は、TDA−DFBレーザ素子16の平面図である。
図2に示すように、TDA−DFBレーザ素子は、n型のInP基板18と、回折格子40の形成されたn型のInGaAsPからなる回折格子層20と、n型のInPからなるバッファ層22と、光導波層(コア層)38と、p型InPからなる上部クラッド層28と、コンタクト層42、利得電極30と、波長制御電極32と、利得電極30と波長制御電極32の間に形成されたSiO2膜44によって構成されている。また、n型のInP基板18の裏面には、n側電極46が形成されている。尚、InP基板18と、回折格子層20と、バッファ層22は、下部クラッド層を構成する。
利得導波路層(活性層)24をコア層とする複数の利得導波路48と、波長制御層26をコア層とする複数の波長制御導波路50が連結され、利得導波路層(活性層)24と波長制御導波路50が交互に光学的に接続された光導波層38をコア層とする光導波路が構成されている。
ここで、利得導波路層(活性層)24は、回折格子40のブラッグ波長(例えば、1.55μm)の近傍に利得のピークを有する、InGaAsPからなる多重量子井戸によって構成されている。一方、波長制御導波路50は、この利得導波路層24よりバンドギャップ波長が短い、InGaAsPバルク層によって構成されている。
利得電極30と波長制御電極32は、図3のように、夫々櫛の歯状に形成されている。利得電極30を構成する夫々の歯は、利得導波路48に設けられたコンタクト層42に電気的に接続されている。一方、波長制御電極32を構成する夫々の歯は、波長制御導波路50に設けられたコンタクト層42に電気的に接続されている。
利得電極30には、利得導波層24に電流を注入して利得を発生させる励起電源34が接続されている。波長制御電極32には、波長制御層26に電流を注入して、波長制御層26の屈折率を変化させる波長制御電源36が接続されている。
次に、TDA−DFBレーザ素子16の動作について説明する。
まず、励起電源34を駆動して、利得電極30を介して利得導波路層(活性層)24に電流(以下、このような電流を励起電流と呼ぶ)を注入してレーザ発振を起こす。この時、TDA−DFBレーザ素子16は、回折格子40の周期から定まるブラッグ波長(又はその近傍)でレーザ発振する。
TDA−DFBレーザ素子16の発振波長を変化させるためには、波長制御電源36を駆動して、波長制御電極32を介して波長制御層26に電流を注入する。電流が注入された波長制御層26には自由キャリアが蓄積し、プラズマ効果によって屈折率が低下する。すなわち、波長制御光導波路50の等価屈折率が低下する。
その結果、回折格子20のブラック波長が全体として短波長側に移動(シフト)し、TDA−DFBレーザ素子16の発振波長も短波長側に移動する。
波長制御層26の屈折率変化はその自由キャリア濃度に比例するので、TDA−DFBレーザ素子16の波長のシフト量は、波長制御層26に注入する電流量によって制御することができる。
TDA−DFBレーザ素子16の波長シフト量は、5nm以上に及ぶ。しかも、波長シフトは、モードホップを伴わない。すなわち、波長が連続的に変化する。従って、アレイ状に配置されるTDA−DFBレーザ素子16の数を8本とすれば、集積波長可変レーザ装置の波長可変範囲は40nm以上に及ぶ。
一の波長から他の波長に波長を切り替えるために要する速度は、原理的には、波長制御層に蓄積した自由キャリアの寿命によって決まる。自由キャリアの寿命は、通常、数nsである。従って、原理的には、数nsの波長切り替えも可能である。
以上の説明から明らかなように、TDA−DFBレーザ素子16によって集積波長可変レーザ装置2を構成すれば、波長可変範囲を容易に数10nmに拡大することができる。しかも、モードホップを伴わずに波長を変化させることが可能であり、且つ、切り替え先の波長が動作中のTDA−DFBレーザ素子16の波長可変範囲内にあれば、原理的には数nsという短時間で波長を切り替えることも可能である。
しかし、変化先の波長が動作中のTDA−DFBレーザ素子16の波長可変範囲内になく、他のTDA−DFBレーザ素子16を動作させなければならない場合には、このような高速の波長変化は困難になる。
図4は、このような場合に、集積波長可変レーザ装置2の出射光を供給するTDA−DFBレーザ素子16(以下、選択素子と呼ぶ)を、一のTDA−DFBレーザ素子から他のTDA−DFBレーザ素子に切り替える時点52(以下、切り替え時点と称する)の前後における、上記一のTDA−DFBレーザ素子に供給される励起電流の変化(実線)及び他のTDA−DFBレーザ素子に供給される励起電流の変化(破線)を説明する図である。横軸は時間であり、縦軸はTDA−DFBレーザ素子16の駆動電流(利得導波路層24への注入電流)である。
実線は、切り替え時点52前における選択素子(以後、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子と呼ぶ)の励起電流である。一方、破線は、切り替え時点52後における選択素子(以後、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子と呼ぶ)の駆動電流である。また、図中に付した記号ILDONは、TDA−DFBレーザ素子をレーザ発振(以下、単に発信と称する)させるための電流値である。一方、記号ILDOffは、TDA−DFBレーザ素子の発振を停止させた時の電流値である。
図4に示すように、2つのTDA−DFBレーザ素子の励起電流は、切り替え時点52を境に、ILDONとILDOFFの間で瞬時に入れ替られる。その際、波長制御層26に注入される電流も、切り替え元では例えばゼロに、切り替え先では変化先の波長を出力しうる電流値に同時に切り替えられる。
励起電流の入れ替えにより、波長切り替え元のTDA−DFBレーザ素子は即時にレーザ発振を停止し、波長切り替え先のTDA−DFBレーザ素子は瞬時にレーザ発振を開始する。
このように切り替え先のTDA−DFBレーザ素子では、選択素子を切り替える動作(以下、選択素子切り替え動作と呼ぶ)と同時に、波長制御層26に注入される電流が、波長変化先の波長を出力させる値に切り替えられる。しかし、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の発振波長は、選択素子切り替え動作(切り替え時点52)の後暫くの間は、以下に説明する通り、所望の波長にはならない。
図1には図示されていないが、集積波長可変レーザ装置2は、温度コントロールされたヒートシンクに搭載される。このため、集積波長可変レーザ装置2が形成された半導体基板4は、一定の温度に保たれる。しかし、半導体基板4の上に形成された、TDA−DFBレーザ素子からなる個々の波長可変レーザ素子6の温度は、集積波長可変レーザ装置2の動作状態によって変化する。
例えば、励起電流がILDOFFの状態にあるTDA−DFBレーザ素子では、入力電力(励起電源34及び波長制御電源36によって、波長可変レーザ素子6に入力される電力の和)が小さいので、半導体基板4に対して温度は殆ど上昇しない。
一方、励起電流がILDONの状態にあるTDA−DFBレーザ素子では、入力電力が大きいので温度の上昇幅が大きくなる。従って、導波路コア層38および回折格子40を構成する半導体層すなわち回折格子層20の温度が上昇する。
半導体は、その温度が上昇すると屈折率が増加する。このため、導波路コア層38および回折格子層20の温度が上昇すると、回折格子40のブラッグ波長が長波長にシフトする。その結果、波長可変レーザ素子6の発振波長が変化する。
一方、TDA−DFBレーザ素子の温度上昇は、その閾値を上昇させ、利得導波路層24のキャリア密度を増加させる。その結果、利得導波路層24の屈折率が減少する。このため、ブラック波長は短波長側にシフトする。しかし、その大きさは、回折格子層20の温度上昇によるブラック波長の長波長シフトより約一桁小さい。従って、温度上昇による閾値が上昇する効果を考慮しても、TDA−DFBレーザ素子のブラッグ波長は、素子温度の上昇によって長波長にシフトする。その結果、発振波長も長波長にシフトする。
TDA−DFBレーザ素子における発振波長の温度変化率は、約+0.09nm/℃である。内訳は、温度変化による回折格子20の屈折率変化の寄与が、約+0.1nm/℃であり、閾値上昇による屈折率変化が約約-0.01nm/℃である。
図5は、切り替え時点52の前後における切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の温度変化54と波長切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化56を説明する図である。図5は、図4に示すように励起電流を瞬時に切り替えた場合におけるTDA−DFBレーザ素子の温度変化を、熱拡散方程式を数値計算して得た結果(シミュレーション)の一例である。境界条件としては、半導体基板4の温度を35℃で一定とした。
図5に示すように、切り替え時点52を境に、波長切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の温度54は下がり始める。一方、波長切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度56は上がり始める。
同図に示すように、選択素子切り替え動作後における切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化は、約1℃である。そして、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化56が略定常状態に達するまでの安定時間(波長切り替え時点52を基準として、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度が、非動作状態の温度から波長切り替え後の定常状態の温度の95%に上昇するまでの時間)は約30m秒である。
大容量のWDMシステム(DWDM システム;Dense Wavelength Division Multiplexing システム)では、波長間隔は非常に狭く設定される。例えば、DWDMで使用する波長の標準規格の一例であるITU−T 50GHzグリッド(波長)では、Cバンド(1525〜1565nm)においる周波数間隔が50GHzに定められている。1℃当たり上記ブラック波長の変化量+0.09nmを、Cバンドにおいる周波数変化量に換算すると11.2GHzに相当する。従って、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の上記温度変化1℃は、グリッド間隔50GHzの1/5以上に及ぶ。このような変化は、無視することができないものである。
しかも、上述した一例では、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の出射するレーザ光の波長が、予定した波長に達するまでには約30m秒もの長時間が必要である。すなわち、選択素子切り替え動作を伴う、波長切り替えには数十m秒の長時間が必要になる。
このような長時間に及ぶ波長切り替え時間すなわち安定時間を短縮するため、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子を、切り替え時点52の前から予め、切り替え時点後の動作条件で駆動し、定常状態に近づけておく予備加熱が行われている(特許文献1)。このようにすれば、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度は、波長切り替え時点52で既に定常状態に近づいている。従って、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の安定時間は短くなる。
但し、波長切り替え時点52以前に、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子がレーザ光を出射することは許されないので、何らかの方法で、予備加熱中は切り替え先のTDA−DFBレーザ素子からレーザ光が出射されないようにしなければならない。
予備加熱中のTDA−DFBレーザ素子からのレーザ光の出射を防止する代表的な方法としては、以下の2つ方法が挙げられる。
図6は、第1の方法で使用される集積波長可変レーザ装置2を構成する波長可変レーザ素子6の近傍を拡大した平面図である。
第1の方法では、TDA−DFBレーザ素子からなる各波長可変レーザ素子6の出射端側に、例えば半導体光増幅器58からなる光シャッターを配置する。替え時点52前の予備加熱状態では、光シャターをON状態(光を通さない状態)にして、予備加熱状態にある波長可変レーザ素子6の出射光を遮断し、光導波路8に入射しないようにする。
一方、選択素子切り替え後(切り替え時点52の後)は、光シャッターをOFF状態(光を通す状態)にして、波長可変レーザ素子6の出射光を通過させ、光導波路8に入射させる。
従って、第1の方法によれば、予備加熱中のTDA−DFBレーザ素子の出力光は、光シャター58により遮断され、集積波長可変レーザ装置2からは出射されない。一方、選択素子切り替え後は、予備加熱されたTDA−DFBレーザ素子からの出力光は、光シャター58を透過し、集積波長可変レーザ装置2から出射される。
尚、光シャッターをON状態にするためには、半導体光増幅器58に電流を注入しなければよい。電流が注入されない状態では、半導体光増幅器58の光増幅層は光を吸収する。すなわち、光シャッターはON状態になる。
一方、光シャッターをOFF状態にするためには、半導体光増幅器58に、電流を注入すればよい。電流が注入されると、半導体光増幅器58の光増幅層は利得を発生し、TDA−DFBレーザ素子の出射光を増幅する。従って、半導体光増幅器58からなる光シャッターはOFF状態になる。
図7は、第2の方法で使用される波長可変レーザ光発生装置2を構成する波長可変レーザ素子6の近傍を拡大した平面図である。
第2の方法では、TDA−DFBレーザ素子からなる各波長可変レーザ素子6の櫛の歯状の利得電極30を、少ない歯で構成した出射端側の第1の利得電極62と残りの歯で構成した第2の利得電極60に分割する。
替え時点52の前の予備加熱状態では、第1の利得電極62(出射端側の利得電極)には電流を注入せず、第2の利得電極60(残りの利得電極)のみに電流を注入する。第1の利得電極62(出射端側の利得電極)直下の利得導波層は、電流が注入されない状態では、TDA−DFBレーザ素子の発振波長に対して吸収体として作用する。このため、予備加熱状態のTDA−DFBレーザ素子は閾値が上昇し、第2の利得電極60(残りの利得電極)に、選択素子切り替え動作後と同じ電流を注入してもレーザ発振は起こらない。
一方、切り替え時点52の後(選択素子切り替え動作後)は、第1の電極62(出射端側の利得電極)にも電流を注入する。すると、TDA−DFBレーザ素子の閾値が下がりレーザ発振が始まる。
すなわち、第2の方法によれば、予備加熱中のTDA−DFBレーザ素子からはレーザ光は出射されず、一方、選択素子切り替え後は、予備加熱され温度が上昇したTDA−DFBレーザ素子からレーザ光が出力される。
図8は、第1及び第2の方法で使用される、波長可変レーザ光発生装置1のシステム構成を説明する図である。
波長可変レーザ光発生装置1は、集積波長可変レーザ装置2と、利得電極30に励起電流を供給する励起電源34と、波長制御電極32に波長制御電流を供給する波長制御電源36と、半導体光増幅器14に励起電流を供給する半導体光増幅器用励起電源35と、光シャター58又は第1の利得電極62(出射端側の利得電極)を制御する光出力制御電源37によって構成されている。
第1の方法では、集積波長可変レーザ装置2は、図6を参照した上記説明のとおり構成されている。そして、夫々の光シャッター58には、光出力制御電源37が一つずつ接続されている。
第2の方法では、集積波長可変レーザ装置2は、図7を参照した上記説明のとおり構成されている。そして、夫々の第1の利得電極62(出射端側の利得電極)には、光出力制御電源37が一つずつ接続されている。
図8から明らかなように、第1及び第2の何れの方法を用いるにしても、c2の電極数は、TDA−DFBレーザ素子一つ当たり一つ増える。従って、波長可変レーザ光発生装置1には、増えた電極夫々に対して一つずつ新たに電源(光出力制御電源37)を用意しなければならなくなる。このため、波長可変レーザ光発生装置1のシステム構成が複雑になる。また、新たに設けた電源(光出力制御電源37)は、夫々別々のパラメータで制御しなければならないので、波長可変レーザ光発生装置1の制御が複雑になる。
そこで、本発明の目的は、切り替え先のTDA−DFB素子の予備加熱が可能で、しかも、システム構成が簡単で且つ制御が容易な波長可変レーザ光発生装置を提供することである。
(第1の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、第1の電流の注入によって利得を発生しうる利得導波層をコア層とする利得導波路と、前記利得導波路層よりバンドギャップ波長が短く、第2の電流の注入によって屈折率を変化しうる波長制御層をコア層とする波長制御導波路とからなり、複数の前記利得導波層と複数の前記波長制御導波層が、交互に光学的に接続されてなる光導波層を、コア層とする第1の光導波路と、前記光導波層に沿って設けられ、前記光導波層と光学的に結合した回折格子と、前記利得導波層全てに一括して、第1の電流を注入するための第1の電極と、前記波長制御導波層全てに一括して、第2の電流を注入するための第2の電極を有し、前記第1の電極と前記第2の電極が、前記光導波層の上に形成されたクラッド層からなる抵抗体を介して電気的に接続され、前記回折格子の周期が夫々異なる複数の(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子を備え、更に、前記(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子毎に設けられ、前記(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子からの出力光が伝播する複数の第2の光導波路と、前記第2の光導波路を伝播した前記出力光を、一の出力光導波路に結合して出射する光結合器を備えた集積波長可変レーザ装置と、前記第1の電極に接続された、前記第1の電流を供給するための第1の電源と、前記第2の電極に接続された、前記第2の電極に逆バイアス電圧を印加した後、前記第2の電極に前記第2の電流を供給する第2の電源とを、前記(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子毎に具備したことを特徴とする。
第1の側面によれば、(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子(TDA−DFB素子)の第2の電極(波長制御電極)に逆バイアス電圧を印加することによって、予備加熱時のレーザ発振を防止することができる。このため、予備加熱中のレーザ発振を防止するため、TDA−DFB素子毎に新たな電極を、集積波長可変レーザ装置に設ける必要がない。
従って、本発明によれば、TDA−DFB素子の予備加熱が可能で、しかも、システム構成が簡単で且つ制御が容易な波長可変レーザ光発生装置を提供することが可能になる。
(第2の側面)
本発明の第2の側面は、第1の側面において、前記集積波長可変レーザ装置が出射する出射光を発生させている前記(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子を、一の前記(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子からなる第1の波長可変レーザ素子から、他の前記(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子からなる第2の波長可変レーザ素子に切り替える選択素子切り替え動作が行われる時点以前から、前記第2の波長可変レーザ素子に接続された前記第1の電源は、前記第2の波長可変レーザ素子の前記第1の電極に、前記第1の電流を供給し、前記第2の波長可変レーザ素子に接続された第2の電源は、前記選択素子切り替え動作以前には、前記第2の波長可変レーザ素子の前記第2の電極に逆バイアス電圧を印加し、前記選択素子切り替え動作以後は、前記第2の波長可変レーザ素子の前記第2の電極に前記第2の電流を供給することを特徴とする。
(第3の側面)
本発明の第3の側面は、第1又は2の側面において、前記第2の波長可変レーザ装置に接続された前記第1の電源は、前記選択素子切り替え動作以前は、前記第1の波長可変レーザ装置と前記第2の波長可変レーザ装置の距離が近いほど、より少ない電流を前記第2の波長可変レーザ装置の前記利得電極に供給する。
第3の側面によれば、予備加熱によって、切り替え先の波長可変レーザ装置が必要以上に加熱されることを、防止することができる。
(第4の側面)
本発明の第4の側面は、第2又は第3の側面において、前記選択素子切り替え動作以前に前記第2の波長可変レーザ素子に接続された前記第1及び第2の電源が供給する零より大きい第1の総電力が、前記選択素子切り替え動作後に前記第2の波長可変レーザ素子に接続された前記第1及び第2の電源が供給する第2の総電力より少なく、且つ、 前記第1の波長可変レーザ素子と前記第2の波長可変レーザ素子の距離が近いほど、前記第1の総電力が小さいことを特徴とする。
第4の側面によれば、第1及び第2の波長可変レーザ素子の距離が近いために、第1の波長可変レーザ素子(波長切り替え元の波長可変レーザ素子)の発生する熱によって、第2の波長可変レーザ素子(波長切り替え先の波長可変レーザ素子)が加熱されても、第1及び第2の波長可変レーザ素子が十分離れている場合と同様に、予備加熱後の安定時間を短くすることができる。
(第5の側面)
第5の側面は、第2乃至4のいずれかの側面において、前記第2の波長可変レーザ素子の前記第1の電極に接続された前記第1の電源が、前記選択素子切り替え動作以前に前記第1の電極への前記第1の電流の供給を開始する前から、前記第2の波長可変レーザ素子の前記第2の電極に接続された第2の電源は、前記第2の電極への逆バイアスの印加を開始することを特徴とする。
第5の側面によれば、予備加熱用の励起電流がTDA−DFBレーザ素子に供給される時点で既に波長制御電極に逆バイアス電圧が印加せれているので、予備加熱中のTDA−DFBレーザ素子のレーザ発振を確実に停止することができる。
(第6の側面)
本発明の第6の側面によれば、第1の電流の注入によって利得を発生しうる利得導波層をコア層とする利得導波路と、前記利得導波路層よりバンドギャップ波長が短く、第2の電流の注入によって屈折率を変化しうる波長制御層をコア層とする波長制御導波路とからなり、複数の前記利得導波層と複数の前記波長制御導波層が、交互に光学的に接続されてなる光導波層を、コア層とする第1の光導波路と、前記光導波層に沿って設けられ、前記光導波層と光学的に結合した回折格子と、前記利得導波層全てに一括して、第1の電流を注入するための第1の電極と、前記波長制御導波層全てに一括して、第2の電流を注入するための第2の電極を有し、
前記第1の電極と前記第2の電極が、前記光導波層及び前記波長制御層の上に形成されたクラッド層からなる抵抗体を介して電気的に接続され、前記回折格子の周期が夫々異なる複数の(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子を備え、 更に、前記第1の電極に接続された、前記第1の電流を供給するための第1の電源と、前記第2の電極に接続された、前記第2の電極に逆バイアス電圧を印加した後、前記第2の電極に前記第2の電流を供給する第2の電源とを、前記(波長可変分布増幅−分布帰還)半導体レーザ素子毎に具備したことを特徴とする。
第6の側面によれば、波長制御電極に供給する信号を逆バイアス電圧から波長制御電流に切り替えることによってTDA−DFBレーザ素子をON/OFF動作させても、その安定時間を短くすることができる。
本発明では、集積波長可変レーザ装置を構成するTDA−DFB素子の波長制御電極に逆バイアス電圧を印加することによって、予備加熱時のレーザ発振を防止する。このため、予備加熱中のレーザ発振を防止するため、TDA−DFB素子毎に新たな電極を、集積波長可変レーザ装置に設ける必要がない。
従って、本発明によれば、TDA−DFB素子の予備加熱が可能で、しかも、システム構成が簡単で且つ制御が容易な波長可変レーザ光発生装置を提供することである。
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
(実施の形態1)
本実施の形態は、TDA−DFBレーザ素子がアレイ状に配置されてなる集積波長可変レーザ装置を備えた波長可変レーザ光発生装置において、上記TDA−DFBレーザ素子の波長制御電極に、波長制御電流の供給だけでなく逆バイアス電圧の印加も可能な電源が接続された波長可変レーザ光発生装置に係わるものである。
本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置は、集積波長可変レーザ装置とその駆動電源によって構成されている。
図9は、本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置のシステム構成を説明する図である。
本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置63は、集積波長可変レーザ装置64と、利得電極30に励起電流を供給する励起電源34と、波長制御電極32に波長制御電流を供給する波長制御電源36と、半導体光増幅器14に励起電流を供給する半導体光増幅器用励起電源35によって構成されている。
本実施の形態に係わる波長可変レーザ光発生装置63は、集積波長可変レーザ装置2を構成するTDA−DFBレーザ素子16がその光出力を制御するための新たな電極を有しない点及び当該電極に接続される光出力制御電源37を有しない点を除けば、図8に示した従来の波長可変レーザ光発生装置2と略同じである。
図10は、波長可変レーザ光発生装置63を構成する集積波長可変レーザ装置64の斜視図である。但し、図10には、利得電極30等は図示されていない。
本実施の形態に係わる集積波長可変レーザ装置64は、半導体基板4の上に、可変波長範囲が僅かずつずれており、かつ、それぞれの波長範囲が隙間なく連結した、複数のTDA−DFBレーザ素子16(波長可変レーザ素子)が集積されている。そして、各々のTDA−DFBレーザ素子16の出力端は光導波路8の一端と接合されており、光導波路8の他端は例えば多モード干渉導波路(Multi Mode Interference;MMI)からなる光結合器10に接続されている。そして、光結合器10を構成する出力導波路12は、半導体光増幅器14に接続されている。
半導体光増幅器14には、半導体光増幅器用励起電源35が接続されている(図9参照)。また、TDA−DFBレーザ素子16には、励起電源34及び波長制御電源36が接続されている(図9参照)。
図11は、集積波長可変レーザ装置64を構成する一つのTDA−DFBレーザ素子16の構成と、その駆動電源の構成を説明する模式図である。
TDA−DFBレーザ素子16は、利得導波路48全てに一括して、第1の電流(励起電流)を供給するための第1の電極(利得電極30)と、波長制御導波路50全てに一括して、第2の電流(波長制御電流)を注入するための第2の電極(波長制御電極32)を備えている。
ここで、利得電極30には、定電流源からなり第1の電流(励起電流)を供給するための第1の電源(励起電源34)が、接続されている。一方、波長制御電極32には、波長制御電極32に逆バイアス電圧を印加した後、上記第2の電流(波長制御電流)を供給する第2の電源(波長制御兼レーザ発振制御電源66)が接続されている。これらの励起電源34及び波長制御兼レーザ発振制御電源66は、TDA−DFBレーザ素子16毎に設けられている。
波長制御兼レーザ発振制御電源66は、例えば、図11に示すように、波長制御電極32に波長制御電流を供給するための定電流源68と、波長制御電極32に逆バイアス電圧を印加するための定電圧源70と、夫々の電源68,70の出力側(グラウンドとは反対側)に設けられたスイッチ72,74を備えている。そして、定電流源68とスイッチ72からなる回路と、定電圧源70とスイッチ74からなる回路が並列に接続されて、波長制御兼レーザ発振制御電源66が構成されている。
図11に示す波長制御兼レーザ発振制御電源66は、スイッチ72及びスイッチ74を交互にON/OFFすることによって、波長制御電極32に対して、波長制御電流の供給又は逆バイアス電圧の印加を行う。
次に、このような波長可変レーザ光発生装置63において行われる、選択素子切り替え動作について説明する。
本実施の形態では、集積波長可変レーザ装置64が出射する出射光を発生させているTDA−DFBレーザ素子16を、一のTDA−DFBレーザ素子16からなる第1の波長可変レーザ素子(切り替え元の波長可変レーザ素子)から、他のTDA−DFBレーザ素子からなる第2の波長可変レーザ素子(切り替え先の波長可変レーザ素子)に切り替える選択素子切り替え動作が行われる時点(切り替え時点52)を境として、励起電源34及び波長制御兼レーザ発振制御電源66の動作が切り替えられる。
まず、切り替え時点以前から、切り替え先の波長可変レーザ素子の利得電極30に接続された励起電源34は、切り替え先の波長可変レーザ素子の利得電極30に励起電流を供給する。
この励起電流の供給によって、切り替え先の波長可変レーザ素子が予備加熱される。
また、切り替え先の波長可変レーザ素子の波長制御電極32に接続された波長制御兼レーザ発振制御電源66は、切り替え時点以前(選択素子切り替え動作以前)には、定電圧源70に逆バイアスを発生させると共にスイッチ74を閉じて、波長切り替え先の波長可変レーザ素子の波長制御電極32に逆バイアス電圧を印加する。一方、切り替え時点以後(選択素子切り替え動作以後)は、定電圧源70に接続されたスイッチ74を開いて逆バイアス電圧の供給を停止し、一方、定電流源68を動作させると共にスイッチ72を閉じて、波長切り替え先の波長可変レーザ素子の波長制御電極32に波長制御電流を注入する。
このように、切り替え時点以前(選択素子切り替え動作以前)に、波長切り替え先の波長可変レーザ素子の波長制御電極32に逆バイアス電圧を印加すると、利得電極30に供給される電流の一部が、波長制御電極32を介して波長制御兼レーザ発振制御電源66流れ込む。これは、利得電極30と波長制御電極32が、導電性の上部クラッド層28で電気的によって接続されているためである。
この結果、利得導波路層24すなわち活性層に注入される電流は、減少し波長可変レーザ素子の閾値以下になる。このため、予備加熱のため、切り替え先の波長可変レーザ素子に、切り替え時点以前(選択素子切り替え動作以前)に、切り替え時点後と同量の電流の供給を開始しても、切り替え先の波長可変レーザ素子はレーザ発振しないようになる。
また、波長制御電極32に逆バイアス電圧が印加されると、利得導波層24に注入される電流密度が均一でなくなるため、切り替え先の波長可変レーザ素子の閾値が増加し、更に、レーザ発振が起こりにくくなる。
これは、波長制御電極32に逆バイアス電圧が印加されると、波長制御電極32に近い領域ほど利得電極30から、利得導波路48に供給された電流がより多く波長制御電極32に流出すためのである。この結果、利得導波路層24に注入される電流の密度は、波長制御層26に接した領域ほど低くなる。このため、利得導波路層のうち波長制御層26に接近した領域が、利得導波路層24の中央部で増幅された光を吸収するようになる。その結果、切り替え時点前における波長制御電極32への逆バイアス電圧の印加が、切り替え先の波長可変レーザ素子の閾値を増加させ、更に、レーザ発振を起こりにくくする。
すなわち、本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置63では、予備加熱の間、切り替え先の波長可変レーザ素子はレーザ発振しない。
以上の説明から明らかなように、本実施の形態によれば、波長可変レーザ素子(TDA−DFBレーザ素子)一つ当たりの電極数を増やすことなく(図9参照)、予備加熱中の波長可変レーザ素子のレーザ発振を防止することができる。従って、本実施の形態によれば、切り替え先の波長可変レーザ素子(TDA−DFB素子)の予備加熱が可能で、しかも、システム構成が簡単で且つ制御が簡単な波長可変レーザ光発生装置を実現することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態は、TDA−DFBレーザ素子の波長制御電極32に接続された波長制御兼レーザ発振制御電源66が、逆バイアス電圧を出力するか注入電流を供給するかを制御する制御ユニット76を備えた波長可変レーザ光発生装置に係るものである。
本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置は、波長制御兼レーザ発振制御電源の構成を除き、実施の形態1の波長可変レーザ光発生装置と同じである。
図12は、本実施の形態に係る波長可変レーザ素子を構成する一のTDA−DFBレーザ素子と、その駆動電源の一構成例を説明する模式図である。
本実施の形態に係る波長制御兼レーザ発振制御電源66は、実施の形態1の波長制御兼レーザ発振制御電源と同様、波長制御電極32に波長制御電流を供給するための定電流源68と、波長制御電極32に逆バイアス電圧を印加するための定電圧源70と、夫々の電源68,70の出力側に接続されたスイッチ72,74を備えている。そして、定電流源68とスイッチ72からなる回路と、定電圧源70とスイッチ74からなる回路が並列に接続されて、波長制御兼レーザ発振制御電源66が構成されている。
波長制御兼レーザ発振制御電源66は、更に、定電流源68と定圧電源70の動作を制御すると共に、スイッチ72,74の動作を制御する制御ユニット76を備えている。
この制御ユニット76の働きにより、切り替え先の波長可変レーザ素子の利得電極30に接続された波長制御兼レーザ発振制御電源66は、切り替え動作以前には、波長制御電極32に逆バイアス電圧を印加し、切り替え動作以後は波長制御電極32に波長制御電流を供給する。
すなわち、本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置は、集積波長可変レーザ装置64が出射する出射光を発生させているTDA−DFBレーザ素子を、一のTDA−DFBレーザ素子からなる第1の波長可変レーザ素子(切り替え元の波長可変レーザ素子)から、他のTDA−DFBレーザ素子からなる第2の波長可変レーザ素子(替え先の波長可変レーザ素子)に切り替える選択素子切り替え動作が行われる時点(切り替え時点)以前から、切り替え先の可変レーザ素子に接続された第1の電源(励起電源36)は、切り替え先の波長可変レーザ素子の利得電極30に電流(励起電流)を供給し、切り替え先の波長可変レーザ素子に接続された波長制御兼レーザ発振制御電源66は、切り替え時点以前(選択素子切り替え動作以前)には、波長切り替え先の波長可変レーザ素子の波長制御電極32に逆バイアス電圧を印加し、切り替え時点以後(選択素子切り替え動作以後)は、波長切り替え先の波長可変レーザ素子の波長制御電極32に波長制御電流を供給するように構成されている。
従って、本実施の形態によれば、例えば、波長可変レーザ光発生装置63自身の働きによって、波長可変レーザ光発生装置が、波長制御電極30に供給される電圧及び電流を制御して、予備加熱中に波長切り替え先の波長可変レーザ素子がレーザ発振しないようにするので、波長可変レーザ光発生装置の制御が実施の形態1の波長可変レーザ光発生装置より容易になる。
(実施の形態3)
本実施の形態は、TDA−DFBレーザ素子がアレイ状に配置されてなる集積波長可変レーザ装置を備えた波長可変レーザ光発生装置において、上記TDA−DFBレーザ素子の波長制御電極に、波長制御電流の供給だけでなく逆バイアス電圧の印加も可能な電圧源が接続された波長可変レーザ光発生装置に係わるものである。
本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置は、波長制御兼レーザ発振制御電源66の構成を除き、実施の形態1の波長可変レーザ光発生装置と同じである。
すなわち、本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置の構成は、図11に図示した波長可変レーザ光発生装置と略同じである。但し、本実施の形態に係わる波長可変レーザ光発生装置は、波長制御兼レーザ発振制御電源66が、正負両極性の定電圧を供給可能な電圧源によって構成されている点で、実施の形態1の波長可変レーザ光発生装置とは相違する。
本実施の形態の波長可変レーザ光発生装置では、上記実施の形態1と同様に、波長制御兼レーザ発振制御電源66が、選択素子切り替え以前は、負の定電圧からなる逆バイアスを波長切り替え先の波長可変レーザ素子の波長制御電極32に印加する。一方、選択素子切り替え以後は、波長制御兼レーザ発振制御電源66が、正の定電圧を波長切り替え先の波長可変レーザ素子の波長制御電極32に印加する。
TDA−DFBレーザ素子を含む半導体レーザ装置の電流―電圧特性は、安定しており、一定の関係を長期間に亘って維持し続ける。従って、波長制御電極に印加する電圧を一定にすれば、一定値の波長制御電流を供給することができます。従って、波長制御電極に印加する正の定電圧を適切に設定すれば、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、選択素子切り替え以前(予備加熱の間)は、切り替え先の波長可変レーザ素子のレーザ発振を阻止すると共に、選択素子切り替え以後は、切り替え先のTDA−DFB素子の波長変動を防止することができる。
そして、本実施の形態では、一の電圧源によって、波長制御兼レーザ発振制御電源66を構成するので、波長制御兼レーザ発振制御電源66の構成が簡素になる。
本実施例は、TDA−DFBレーザ素子がアレイ状に配置されてなる集積波長可変レーザ装置とその駆動電源からなる波長可変レーザ光発生装置であって、TDA−DFBレーザ素子の波長制御電極に接続された駆動電源が、波長制御電極に逆バイアス電圧を印加した後、波長制御電極に波長制御電流を供給する波長可変レーザ光発生装置に係わるものである。
(1)構 成
まず、本実施例に係る波長可変レーザ光発生装置の全体構成について説明する。
本実施例に係る波長可変レーザ光発生装置の構成は、基本的には実施の形態2の波長可変レーザ光発生装置と同じである。従って、実施の形態1と共通する部分については、簡単に説明する。
図9は、本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置63のシステム構成を説明する図である。本実施の形態に係る波長可変レーザ光発生装置63は、集積波長可変レーザ装置64と、利得電極30に励起電流を供給する励起電源34と、波長制御電極2に波長制御電流を供給する波長制御電源36と、半導体光増幅器14に励起電流を供給する半導体光増幅器用励起電源35によって構成されている。
また、図10は、波長可変レーザ光発生装置63を構成する集積波長可変レーザ装置64の斜視図である。集積波長可変レーザ装置64は、TDA−DFBレーザ素子16が、その光出力を制御するための新たな電極を有しない点及を除けば、図8に示した従来の波長可変レーザ光発生装置2と略同じである。
図12は、集積波長可変レーザ装置64を構成する一つのTDA−DFBレーザ素子16の構成を説明する図である。図12には、TDA−DFBレーザ素子16の駆動電源も図示されている。
本実施例に係わる集積波長可変レーザ装置64を構成するTDA−DFBレーザ素子16は、励起電流の注入によって利得を発生しうる利得導波層24をコア層とする利得導波路部48と、利得導波路48よりバンドギャップ波長が短く、波長制御電流の注入によって屈折率を変化しうる波長制御層26をコア層とする波長制御導波路50とからなり、複数の上記利得導波路48と複数の上記波長制御導波路50が、交互に光学的に接続されてなる光導波層38をコア層とする光導波路を備えている。
また、TDA−DFBレーザ素子16は、上記光導波路に沿って設けられ、上記光導波路と光学的に結合した回折格子20を備えている。
また、TDA−DFBレーザ素子16は、利得導波路層30からなる利得導波路全てに一括して、励起電流を注入するための利得電極30と、波長制御層26からなる波長制御導波路50全てに一括して、波長制御電流を注入するための波長制御電極32を備えている。
ここで、利得電極30と波長制御電極32は、光導波路層38の上に形成された上部クラッド層28からなる抵抗体を介して電気的に接続されている。
そして、図10のように、集積波長可変レーザ装置64は回折格子40の周期が夫々異なる複数のTDA−DFBレーザ素子16(LD1〜LD8)を備えている。
更に、集積波長可変レーザ装置64は、TDA−DFBレーザ素子16(LD1〜LD8)毎に設けられ、TDA−DFBレーザ素子16(LD1〜LD8)からの出力光が伝播する複数の光導波路8と、光導波路8を伝播した上記出力光を、一の出力光導波路12に結合して出射する光結合器10を備えている。
ここで、波長可変レーザ光発生装置63は、利得電極30に接続された、定電流源からなり第1の電流(励起電流)を供給するための第1の電源(励起電源34)を備えている。また、波長可変レーザ光発生装置63は、波長制御電極32に接続された、波長制御電極32に逆バイアス電圧を印加した後、上記第2の電流(波長制御電流)を供給する第2の電源(波長制御兼レーザ発振制御電源66)を備えている。そして、励起電源34及び波長制御兼レーザ発振制御電源66は、TDA−DFBレーザ素子16毎に設けられている。
ここで、波長制御兼レーザ発振制御電源66の構成は、上記実施の形態2で説明した電源と同じである。従って、詳細な説明は省略するが、波長制御兼レーザ発振制御電源66は、制御ユニット76によって、波長制御電極32に逆バイアス電圧を印加した後、切り替え動作時点52を境に、波長制御電極32に波長制御電流を供給するように制御される。
次に、本実施例に係る集積波長可変レーザ装置64の構成について、詳しく説明する。
波長可変レーザ光発生装置63を構成する集積波長可変レーザ装置64について説明する(図9参照)。
図10に示すように、集積波長可変レーザ装置64には、8本のTDA−DFBレーザ素子16(LD1〜LD8)がアレイ状に配置されている。
LD1は可変波長範囲が最も短波長で1525〜1530nmであり、LD2の可変波長範囲は1530〜1535nmである。同様に、LD3以降の可変波長範囲は、その上限及び下限が順次5nmずつ増えて行く。従って、LD8の可変波長範囲は、1560〜1565 nmである。故に、本実施例の集積波長可変レーザ装置64の可変波長範囲は、1525〜1565nmである。すなわち、Cバンド(1525〜1565nm)全体をカバーしている。
Cバンド内の所望の波長λで集積波長可変レーザ装置64を動作させるためには、LD1〜LD8の内から所望の波長λを可変波長範囲に有するTDA−DFBレーザ素子16を選択し、選択したTDA−DFBレーザ素子16のみをレーザ発振させる。選択したTDA−DFBレーザ素子16を、所望の波長λで発振させるためには、波長制御導波路50への電流の注入量を制御して、発振波長を所望の波長λに一致させる。
TDA−DFBレーザ素子16の発振波長は、波長制御導波路50に電流を注入していない状態で最も長波側になり、波長制御導波路50へ電流注入量を増やすにしたがって短波側にシフトする。従って、可変波長範囲の上限と所望の波長λの差と波長制御導波路50への電流注入量の関係を予め測定しておき、その結果に基づいて、波長制御導波路50への電流注入量を制御する。このようにして、TDA−DFBレーザ素子16の出力を、所望の波長λに一致させる。
所望の波長λで発振しているTDA−DFBレーザ16の出力光は、光導波路8によってMMIからなる1×8光結合器10に導かれ、光結合器10の出力導波路12を経て光増幅器14に達する(図10参照)。光増幅器14は、光結合器10によって減衰したTDA−DFB16レーザの出力光を増幅して、集積波長可変レーザ装置64の外部に出射する。
次に、TDA−DFBレーザ素子16の構成について説明する。
図12に示すように、TDA−DFBレーザ素子16は、n型のInP基板18と、回折格子40の形成されたn型のInGaAsPからなる回折格子層20と、n型のInPからなるバッファ層22と、光導波層(コア層)38と、厚さ2μmで不純物濃度が1×1018cm−3のp型InPからなる上部クラッド層28と、コンタクト層42と、利得電極30と、波長制御電極32と、利得電極30と波長制御電極32の間に形成されたSiO2膜44とによって構成されている。ここで、n型のInP基板18の裏面には、n側電極46が形成されている。また、InP基板18と、回折格子層20と、バッファ層22は、下部クラッド層を構成する。
ここで、利得導波路層(活性層)24をコア層とする複数の利得導波路48と、波長制御層26をコア層とする複数の波長制御導波路50が連結され、利得導波路層(活性層)24と波長制御導波路50が交互に光学的に接続された光導波層38をコア層とする光導波路が構成されている。
利得導波路層(活性層)24は、利得のピークが1.55μmの近傍になるように構成されたInGaAsPからなる厚さ200nmの多重量子井戸と、この多重量子井戸を上下から挟むバンドギャップ波長が1.15μmで厚さ50nmのInGaAsPからなる上下2層の光閉じ込め層(SCH層:Separate−Confinement Heterostruture)によって構成されている。
一方、波長制御導波路層26は、バンドギャップ波長が1.43μmで厚さ250nmのInGaAsPバルク層によって構成されている。
一つの利得導波路層(活性層)24と一つの波長制御導波路層26の長さは共に30μmであり、利得導波路層24(又は、波長制御導波路層26)が繰り返される周期は60μmである。また、TDA−DFBレーザ素子16の全長は、690μmである。
利得電極30と波長制御電極32は、図3に示した平面図のように、夫々櫛の歯状に形成されている。櫛の歯状の利得電極30を構成する夫々の歯は、利得導波路48上に形成されたコンタクト層42夫々に、電気的に接続されている。一方、櫛の歯状の波長制御電極32を構成する夫々の歯は、波長制御導波路50上に形成されたコンタクト層42に電気的に接続されている。
コンタクト層42は、図12に示すように、利得導波層24及び波長制御層26の直上のみに形成されている。一方、利得電極30と波長制御電極32は、p型InPからなる上部クラッド層28によって電気的に接続されている。すなわち、利得電極30と波長制御電極32は、上部クラッド層28のうち両電極の間に介在する部分からなる抵抗体によって電気的に接続されている。本実施例では、この抵抗体の抵抗値は100Ωである。
この抵抗値としては、20Ω以上500Ω以下が好ましい。20Ω以下では、利得電極30及び波長制御電極32の間の抵抗が小さ過ぎるため、双方の電極に所望の電流(又は、電圧)を独立に供給することが困難になる。500Ω以上では、利得電極30及び波長制御電極32の間の抵抗が大き過ぎるため、予備加熱時に、利得電極30から波長制御電極32に流れ出る電流が少なくなり過ぎ、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子のレーザ発振を止めることができない。
そして、このように構成されたTDA−DFBレーザ素子16の利得電極30には、利得導波層24に電流を注入して利得を発生させる励起電源34が接続されている。また波長制御電極32には、波長制御層26に電流を注入して、波長制御層26の屈折率を変化させる波長制御電源66が接続されている。波長制御電源66の詳細は、実施の形態2で説明した通りである。
(2)動 作
本実施例に係る波長可変レーザ光発生装置63の動作は、波長可変レーザ光発生装置63が出射するレーザ光を発生する波長可変レーザ素子16を、一のTDA−DFBレーザ素子16から他のTDA−DFBレーザ素子16に切り替える動作(すなわち、「選択素子切り替え動作」)を除き、上記「発明が解決しようとする課題」で説明した波長可変レーザ光発生装置1(図8参照)と略同じである。
従って、ここでは、選択素子切り替え動作について説明し、他の動作については説明を省略する。
図13は、切り替え先と切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16が十分に離れている場合(例えば、選択素子を、LD1からLD8に切り替える場合)に、切り替え元又は切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の利得電極30に注入される電流(励起電流)の時間変化を説明する図である。
実線は、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16の励起電流の時間変化を表している。一方、破線は、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の励起電流の時間変化を表している。また、記号ILDonは、波長制御電極に逆バイアスが印加されていない状態で、TDA−DFBレーザ素子がレーザ発振する電流値(すなわち、閾値以上の電流値)を表している。一方、記号ILDoffは、同じく波長制御電極に逆バイアスが印加されていない状態において、TDA−DFBレーザ素子の発振が停止する電流値(すなわち、閾値以下の電流値)を表している。
図13に示すように、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16の励起電流(実線)が、切り替え時点52を境にILDonからILDoffに切り替わると、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16はレーザ発振を停止する。
一方、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の励起電流(破線)は、予備加熱開始時点78でILDoffからILDonに切り替わり、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の予備加熱が開始される。
図14は、ILDon=100mA、ILDoff=0mAの場合について、熱拡散方程式を数値計算して得られたシミュレーションの結果である。縦軸は温度であり、横軸は時間である。
切り替え元のTDA−DFBレーザ素子(LD1)と切り替え先のTDA−DFBレーザ素子(LD8)の間隔は、420μmとした。境界条件として、半導体基板4の温度を35.5℃とした。
本実施例では、予備加熱開始時点78から切り替え先のTDA−DFBレーザ素子への励起電流の供給を開始するので、図14に示すように、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の温度が定常状態に近づく安定時間(素子温度が定常状態の95%に達するまでの時間)が、図5に示した従来例(約30m秒)の約半分(15m秒)に短縮される。
尚、図14には、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16の温度54が、切り替え時点52直前に上昇し始める様子が表されている。この温度上昇は、予備加熱によって上昇した切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16で発生した熱が、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16まで伝導してきたためである。
図15は、このような場合に、切り替え元及び切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極30に印加される電圧の時間変化を説明する図である。実線は、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極32に印加される電圧の時間変化を表している。一方、破線は、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極32に印加される電圧の時間変化を表している。
レーザ発振時には、TDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極32に、定電流源68から定電流(波長制御電流)が注入される。図15に示した順方向の電圧Vtuneon(正電圧)は、波長制御電極32に定電流を供給している時に、定電流源68が発生している電圧(すなわち、波長制御電極32に印加される電圧)である。
図15に示すように、波長切り替え時点52の前には、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極30に、正電圧Vtuneonが印加される(実線参照)。一方、替え時点52の後は、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極30に印加される電圧(実線)は0Vになる。
これに対して、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極30に印加される電圧(破線)は、予備加熱開始時点78以前は0Vであり、予備加熱が開始すると、負の電圧−Vpになる。すなわち、この間、波長制御電極には、(波長制御導波路50に形成されたPN接合に対して)逆バイアス電圧が印加される。
更に、波長制御電極30に印加される電圧(破線)は、波長切り替え時点52で、正電圧Vtuneonに変化する。
本実施例では、ILDon=100mAであり、その時、利得制御電極30には、+1.5Vの電圧が印加される。一方、ILDoffは、0mAである。また、波長制御電極32に印加される電圧のうち−Vpは−1.0Vであり、Vtuneonは約1.5Vである。
従って、予備加熱開始時点78から切り替え時点52に至る期間(図13及び図15参照)、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の利得電極30と波長制御電極32の間には、2.5V(=1.5V−(−1.0))の電位差が生じる。一方、両電極間は、上述したように上部クラッド層28からなる100Ωの抵抗によって電気的に接続されている。
従って、利得電極30から波長制御電極32には、25mA(=2.5V/100Ω)の電流が流れ込む。このため、励起電源34によって利得電極30に供給される電流ILDon(=100mA)のうち、利得導波路層24に実際に注入される電流は、75mA(=100mA−25mA)である。
また、利得導波路層24に注入される電流は、波長制御層26に接近した領域でより多く減少する。このため、波長制御層26近傍の利得導波路層24は、利得導波路層24の中央部で増幅された光に対して吸収体として作用する。このため、予備加熱開始時点78から切り替え時点52に至る期間、TDA−DFBレーザ素子の閾値は上昇する。
これらの効果が相乗して、予備加熱開始時点78から切り替え時点52に至る期間、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16では、励起電流源34によって利得電極30に供給される電流が閾値以下になりレーザ発振が阻止される。
一方、切り替え時点52以降は、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極32に印加される電圧(図15の破線)は正電圧Vtune(〜1.5V)になるので、利得導波路層24にはILDon(=100mA)が略そのまま注入される。このため、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の利得導波路層24に注入さえる電流が閾値を超えるので、切り替え時点52を境に、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16はレーザ発振を開始する。
以上の説明から明らかなように、本実施例によれば、TDA−DFBレーザ素子16に新たに電極を追加することなく予備加熱を行うことができる。従って、波長可変レーザ光発生装置のシステム構成が簡単になり、且つ波長可変レーザ光発生装置の制御が容易になる。
実施例1では、切り替え元と切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16が十分離れている場合について、波長可変レーザ光発生装置の選択素子切り替え動作を説明した。
本実施例は、切り替え元と替え先のTDA−DFBレーザ素子16が接近している場合についての選択素子切り替え動作に係わるものである。
(1)構 成
本実施例に係わる波長可変レーザ光発生装置の構成は、実施例1に係わる波長可変レーザ光発生装置と略同じである。従って、その説明は省略する。
(2)動 作
図16は、切り替え先と切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16が近づいている場合(例えば、選択素子が、図10のLD1からLD5に切り替える場合)において、切り替え元及び切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16夫々の利得電極30に供給される電流の時間変化を説明する図である。
実線は、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16の励起電流(利得電極30に供給される電流)の時間変化を表している。一方、破線は、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の励起電流の時間変化を表している。
ここで、記号ILDonは、波長制御電極に逆バイアス電圧が印加されていない状態で、TDA−DFBレーザ素子がレーザ発振する電流値(すなわち、閾値以上の電流値)を表している。一方、記号ILDoffは、同じく波長制御電極に逆バイアスを印加されていない状態において、TDA−DFBレーザ素子の発振が停止する電流値(すなわち、閾値以下の電流値)を表している。
図16に示すように、切り替え時点52を境に、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16の励起電流(実線)は、ILDonからILDoffに切り替わり、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16はレーザ発振を停止する。
一方、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の駆動電流は、切り替え時点52に先立つ予備加熱開始時点78で、ILoffから、ILDoffとILDonの間の値Imに上昇し、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の予備加熱が開始する。切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の励起電流(破線)は、切り替え時点52で、再度上昇しILDonになる。
本実施例では、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16(例えば、LD1)と、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16(例えば、LD5)が接近している。従って、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16(例えば、LD5)は、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16(例えば、LD1)が発生する熱によって、予備加熱が開始する前に、既に温度がある程度上昇している。従って、予備加熱に必要な電流は、レーザ発振している時の電流ILDonより小さな電流Imになる。この電流Imが高すぎると、素子温度が上昇し過ぎ、かえって安定時間が長くなってしまう。
図17は、切り替え元と切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の距離が240μmの場合に、ILDon=100mA、ILDoff=0mA、Im=70mAとして、熱拡散方程式を数値計算して得られたシミュレーションの結果である。境界条件として、半導体基板4の温度を35.5℃とした。縦軸は温度であり、横軸は時間である。
切り替え元と切り替え先のTDA−DFBレーザ素子が十分離れている場合、予備加熱開始時点78の前における切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度は、図14に示した例(実施例1)では、基板温度(35.5℃)に近い35.7℃である。一方、本実施例では、図17に示すように、予備加熱開始時点78の前に切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度は、既に、基板温度(35.5℃)より高い36.1℃に達している。
従って、予備加熱電流ImがILDonより小さくても、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度は、図17に示すように、切り替え時点52において、切り替え元と切り替え先のTDA−DFBレーザ素子が十分離れている場合(実施例1の図14参照)と略同じ温度(約36.8℃)に上昇している。このため、安定時間も、上記場合と略同じ15m秒になる。
図18は、切り替え元及び切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極30に印加される電圧の時間変化を説明する図である。実線は、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極32に印加される電圧の時間変化を表している。一方、破線は、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子16の波長制御電極32に印加される電圧の時間変化を表している。
図18は、実施例1における波長制御電極30に印加される電圧の時間変化を表す図15と同じである。すなわち、切り替え元及び切り替え先双方のTDA−DFBレーザ素子16における波長制御電極30に印加される電圧の時間変化は、基本的には実施例1と同じである。従って、説明は省略する。
以上の説明では、TDA−DFBレーザ素子16の温度上昇は励起電流(利得導波路層24に供給される電流)によって決まるものとして、選択素子切り替え動作における予備加熱動作を取り扱った。しかし、供給量は少ないが、波長制御導波路50にも電流(波長制御電流)が供給されるので、正確を期すためには、この電流も考慮しなければならない。
また、温度上昇は単位時間当りの発熱量に依存するので、正確には、電流値ではなく、TDA−DFBレーザ素子16に供給された総ての電力を考慮しなければならない。
図19は、このような観点から、波長切り替え元のTDA−DFBレーザ素子16に入力する総電力を一定にして、波長切り替え先と波長切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の間隔を変えた場合の、波長切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度上昇を測定した結果である。
横軸は、波長切り替え先と波長切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の間隔(以下、レーザ間隔と呼ぶ)である。縦軸は、波長切り替え元のTDA−DFBレーザ素子に上記電力を供給していない場合に対する上記電力を供給している場合の、波長切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化(以下、温度上昇と呼ぶ)である。
図19に示した例では、レーザ間隔が420μmと十分に離れている場合には、温度上昇は0.4℃と僅かである。しかし、レーザ間隔が60μmに接近すると温度上昇は4.1℃に達する。図19から明らかように、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度上昇は、レーザ間隔が0μmに近づくほど急激に上昇する。図19に示した曲線を、レーザ間隔が0μmとなる点に外挿した温度5.2℃は、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子自体の温度上昇に一致する。
図20は、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子に予備加熱用の電力を供給して、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度を、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子(すなわち、レーザ発振中のTDA−DFBレーザ素子)と同じ温度に上昇さるために必要な予備加熱用の電力を示した図である。
横軸は、レーザ間隔である。縦軸は、予備加熱に必要な上記電力を、波長切り替え元に供給している電力で規格化した値である。
図20に示すように、レーザ間隔が420μmと離れている場合には、予備加熱に必要な規格化電力は0.93と、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子に供給される電力と殆ど同じであるが、レーザ間隔が60μmに接近すると予備加熱に必要な規格化電力は0.22に減少する。
図20は、切り替え元と切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の距離が近いほど、予備加熱用の電力は少なくてよいことを示している。
すなわち、本実施例では、選択素子切り替え動作以前(切り替え時点52以前)に、波長切り替え先の波長可変レーザ素子に接続された励起電源34及び波長制御兼レーザ発振制御電源66が供給する零より大きい第1の総電力(双方の電源が供給する電力の和)が、選択素子切り替え動作後(切り替え時点52の後)に波長切り替え先の波長可変レーザ素子に接続された励起電源34及び波長制御兼レーザ発振制御電源66が供給する第2の総電力より少なく、且つ、波長切り替え元の波長可変レーザ素子と波長切り替え先の波長可変レーザ素子の距離が近いほど、第1の総電力が小さくなるようにする。
一方、従来の波長可変レーザ光発生装置では、予備加熱用の電力は、レーザ間隔に拘わらず、選択素子切り替え動作後に切り替え先のTDA−DFBレーザ素子に供給する電力と略同じにしていた。
ところで、本実施例では、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子に予備加熱用として供給する電力を、レーザ間隔が狭くなるほど小さくなるようにする。一方、レーザ間隔を30μm以下に狭めることは、素子製作上困難を伴う。従って、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子に、予備加熱用として供給する電力の下限は、図20から明らかなように、切り替え時点52の後、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子に供給する電力の0.1倍以上であることが好ましい。
本実施例によれば、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の発生する熱によって切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度が上昇しても、レーザ間隔に応じて予備加熱用の電力を調整するので、全てのTDA−DFBレーザ素子の安定時間を同じように短くすることができる。
本実施例は、予備加熱開始時点78より前に波長制御電極32に逆バイアス電圧の印加を開始して、予備加熱期間中(特に、予備加熱開始直後)に、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子が確実にレーザ発振しないようにした波長可変レーザ光発生装置に係わるものである。
本実施例に使用する波長可変レーザ光発生装置の構成は、実施例1及び2の波長可変レーザ光発生装置と略同じであるので、その説明は省略する。
本実施例における波長可変レーザ光発生装置の動作は、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子に逆バイアス電圧の印加を開始する時点が、実施例1及び2と異なる。
図21は、切り替え元(実線)と切り替え先(破線)のTDA−DFBレーザ素子の利得電極に供給される電流の時間変化を説明する図である。図22は、切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の温度変化と、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化を説明する図である。図23は、切り替え元(実線)と切り替え先(破線)のTDA−DFBレーザ素子の波長制御電極に印加される電圧の時間変化を説明する図である。
図23に示すように、本実施例では、予備加熱開始時点78の前の時点80(逆バイアス電圧印加開始時点)に、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の波長制御電極32への逆バイアス電圧の印加を開始する。このようにすれば、予備加熱用の励起電流を切り替え先のTDA−DFBレーザ素子に供給しても、確実に切り替え先のTDA−DFBレーザ素のレーザ発振(特に、予備加熱開始直後のレーザ発振)を停止することができる。
本実施例では、予備加熱用の励起電流の供給が開始される時点で、既に波長制御電極30に逆バイアス電圧が印加されている。従って、本実施例によれば、励起電流の供給開始と逆バイアス電圧印加のタイミングがずれて、励起電流の供給が僅かに先行したために、予備加熱期間であるにも拘わらずレーザ発振が始動しまうようなことは起こらない。
図21に示す、TDA−DFBレーザ素子の利得電極に供給される電流の時間変化は、図13に示す実施例1における電流の時間変化と同じである。また、図22に示す、TDA−DFBレーザ素子の温度変化も、図14に示す実施例1における電流の時間変化と同じである。従って、これらの図及びこれらの図に基づいて説明される波長可変レーザ光発生装置の動作に関する説明は省略する。
本実施例は、実施例1乃至3で説明した波長可変レーザ光発生装置を構成する集積波長可変レーザ装置64の製造方法に係わるものである。
以後の説明では特に言及しないが、本実施例における、半導体結晶の成長には、有機金属成長法(MOCVD法)を用いる。
以下、図11を参照して、集積波長可変レーザ装置64の製造方法を説明する。
まず、通常のDFBレーザ素子を製造する場合と同様に、n型のInPからなる基板18の上に、n型のInGaAsPからなる半導体層を成長する。次に、この半導体層の上にレジストを塗布し、電子ビーム描画法によって、光導波路層38の形成が予定されている領域に、僅かずつ周期の異なる回折格子パターンをアレイ状に形成する。その後、ドライエッチングを用いて、上記半導体層をエッチングして回折格子40がアレイ状に配置された回折格子層20を形成する。
次に、回折格子層20の上に、n型のInPからなるバッファ層22、厚さ50nmのノンドープInGaAsP(λg=1.15μm)からなる下部SCH層、厚さ200nmで利得ピークが1.55μmとなるInGaAsP多重量子井戸層(MQW層)、厚さ50nmのノンドープInGaAsP(λg=1.15μm)からなる上部SCH層、p型のInPからなる上部クラッド層28、及びp型のInGaAsPからなるコンタクト層42を成長する。
次に、以上のようして形成した半導体積層構造の上に、例えば、SiO2膜を形成する。次に、上記SiO2膜をエッチングして、波長制御層26が形成されるべき領域が開口し、利得導波路層24となる領域と半導体光増幅器14の活性層となる領域を覆うエッチングマスクを形成する。
このエッチングマスクを用いて、波長制御層26が形成される領域で、コンタクト層、上部クラッド層、上部SCH層、MQW層、及び下部SCHを、ウェットエッチングによって除去する。
次に、このようにMQW層等が除去された領域に、厚さ250nmのInGaAsP(λg=1.43μm)からなるバルク層と、p型のInPからなる上部クラッド層28、及びp型のInGaAsPからなるコンタクト層42を成長する。
以上の工程により、光軸方向に周期的に利得導波層24と波長制御導波層26が交互に配置されなる光導波層38が形成される。
同様にSiO2からなるエッチングマスクを用いて、光導波路8、光結合器10、及び出力導波路12となる領域(図10参照)に形成された上記MQW層等を除去し、厚さ250nmのノンドープInGaAsP(λg=1.3μm)からなるコア層と、ノンドープInPからなる上部クラッド層を形成する。
次に、以上のようして形成した半導体積層構造の上に、例えば、SiO2膜を再度形成する。その後、TDA−DFBレーザ素子が形成される領域、光導波路8が形成される領域、光結合器10が形成される領域、出力導波路12が形成される領域、及び半導体光増幅器14が形成される領域を残して、このSiO2膜を除去してエッチングマスクを形成する。
次に、このエッチングマスクを用いて、上記半導体積層構造を半導体基板4まで、ドライエッチングによって除去して、メサ構造を形成する。
次に、このメサ形状を、Feをドーピングした高抵抗InP層で埋め込む。
次に、利得電極30、波長制御電極32、及び半導体光増幅器14用のp型電極が形成される領域を除き、上述したコンタクト層を除去する。
次に、このように形成された半導体積層構造の上に再度SiO2膜を形成し、その後、残されたコンタクト層の上のSiO2膜を除去する。
その後、n型電極46、利得電極30、波長制御電極32、及び半導体光増幅器14用のp側電極を形成する。
最後に、へき開によって集積波長可変レーザ装置2となるチップを切り出し、両端面に無反射コーティングを施して、集積波長可変レーザ装置64を完成する(図10参照)。
以上の実施例では、複数のTDA−DFBレーザ素子がアレイ状に配置された集積波長可変レーザ装置64を光源とする波長可変レーザ光発生装置63について説明した。しかし、TDA−DFBレーザ素子は、必ずしもアレイ状に配置されている必要はなく、また複数である必要もない。
例えば、光源が集積波長可変レーザ装置に代えてTDA−DFBレーザ素子単体であっても、波長制御電極32に供給する信号を逆バイアス電圧から波長制御電流に切り替えることによってTDA−DFBレーザ素子をON/OFF動作させる場合、その安定時間が短くなる。
アレイ集積型の波長可変レーザ装置の斜視図である(従来技術)。
駆動電源が接続された状態のTDA−DFBレーザ素子の断面を説明する図である(従来技術)。
TDA−DFBレーザ素子の平面図である(従来技術)。
切り替え元及び切り替え先のTDA−DFBレーザ素子に供給される励起電流の時間変化を説明する図である(関連技術)。
切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の温度変化と、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化を説明する図である(関連技術)。
光シャッターを備えたTDA−DFBレーザ素子がアレイ状に配置されてなる集積波長可変レーザ装置の、TDA−DFBレーザ素子近傍を拡大した平面図である。
利得電極が分割されたTDA−DFBレーザ素子がアレイ状に配置されてなる集積波長可変レーザ装置の、TDA−DFBレーザ素子近傍を拡大した平面図である。
波長可変レーザ光発生装置のシステム構成を説明する図である(関連技術)。
波長可変レーザ光発生装置のシステム構成を説明する図である(実施の形態1等)。
実施例1等に係わる集積波長可変レーザ装置の斜視図である。
波長可変レーザ素子を構成する一のTDA−DFBレーザ素子と、その駆動電源の構成を説明する模式図である(実施の形態1)。
波長可変レーザ素子を構成する一のTDA−DFBレーザ素子と、その駆動電源の構成を説明する模式図である(実施の形態2)。
切り替え元(実線)と切り替え先(破線)のTDA−DFBレーザ素子の利得電極に供給される電流の時間変化を説明する図である(実施例1)。
切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の温度変化と、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化を説明する図である(実施例1)。
切り替え元(実線)と切り替え先(破線)のTDA−DFBレーザ素子の波長制御電極に印加される電圧の時間変化を説明する図である(実施例1)。
切り替え元(実線)と切り替え先(破線)のTDA−DFBレーザ素子の利得電極に供給される電流の時間変化を説明する図である(実施例2)。
切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の温度変化と、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化を説明する図である(実施例2)。
切り替え元(実線)と切り替え先(破線)のTDA−DFBレーザ素子の波長制御電極に印加される電圧の時間変化を説明する図である(実施例2)。
レーザ間隔と、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度上昇の関係を説明する図である。
レーザ間隔と予備加熱に必要な電力の関係を説明する図である。
切り替え元(実線)と切り替え先(破線)のTDA−DFBレーザ素子の利得電極に供給される電流の時間変化を説明する図である(実施例3)。
切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の温度変化と、切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化を説明する図である(実施例3)。
切り替え元(実線)と切り替え先(破線)のTDA−DFBレーザ素子の波長制御電極に印加される電圧の時間変化を説明する図である(実施例3)。
符号の説明
1・・・波長可変レーザ光発生装置(関連技術)
2・・・集積波長可変レーザ装置
4・・・半導体基板 6・・・波長可変レーザ素子 8・・・光導波路
10・・・光結合器 12・・・出力光導波路 14・・・半導体光増幅器
16・・・TDA−DFBレーザ素子 18・・・n型のInP基板
20・・・回折格子層 22・・・バッファ層 24・・・利得導波路層
26・・・波長制御層 28・・・上部クラッド層 30・・・利得電極
32・・・波長制御電極 34・・・励起電源
35・・・半導体光増幅器用励起電源
36・・・波長制御電源 37・・・光出力制御電源 38・・・光導波路層
40・・・回折格子 42・・・・コンタクト層
44・・・SiO2膜 46・・・n側電極
48・・・利得導波路 50・・・波長制御導波路
52・・・切り替え時点
54・・・切り替え元のTDA−DFBレーザ素子の温度変化
56・・・切り替え先のTDA−DFBレーザ素子の温度変化
58・・・光シャッター 60・・・第2の利得電極(残りの利得電極)
62・・・第1の利得電極(出射端側の利得電極)
63・・・波長可変レーザ光発生装置(実施の形態1)
64・・・集積波長可変レーザ装置(実施の形態1)
66・・・波長制御兼レーザ発振制御電源
68・・・定電流源 70・・・定電圧源
72,74・・・スイッチ 76・・・制御ユニット
78・・・予備加熱開始時点 80・・・逆バイアス電圧印加開始時点